説明

ストロボ装置、及び撮像装置

【課題】放電管から放射される光を照射範囲内に効率的に照射できるストロボ装置及び撮像装置を提供する。
【解決手段】放電管7の光透過部6の前面に配置される光学部材8は、光透過部6から前方に射出された主光線BMが入射する第一入射面10と、放電管7の光透過部6から斜め前方に射出した補完光線BSが入射する一対の第二入射面11a,11bと、第二入射面11a,11bからの補完光線BSを前方に全反射させる一対の全反射面12a,12bと、主光線BMと補完光線BSを外部に射出させる射出面13とを有し、各全反射面12a,12bは、曲面で構成され、各曲面の放電管7側にある始点SPから延びる二つの接線TLa,TLb同士が、放電管7の中心Cより後方側で且つガラスバルブ4の外周面よりも前方側で交差するように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスバルブの外周面に反射膜が形成されるとともに反射膜の非形成領域からなる光透過部が前面側に形成された放電管と、放電管の光透過部から放射される光を被写体等の照射対象に照射するための光学部材とを備えたストロボ装置、及び、これを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、写真撮影や動画撮影等に用いられるストロボ装置として、放電管が放射した光を照射対象側に反射させる反射傘を備えたものが普及しているが、反射傘は、放電管(ガラスバルブ)の中心から四方八方に放射される光(放電管の周方向全周から放射される光)を照射範囲内に集光するために、開口を大きくする必要があり、ストロボ装置全体を小型化するのに限界がある。
【0003】
また、放電管が放射した光を反射傘で反射させる場合、放電管から照射対象(前方)側とは反対側に放射した光が、空気よりも大きな屈折率のガラスバルブや反射傘で透過や反射を複数回繰り返すため、その度に光量を低下させてしまう。
【0004】
そして、反射傘に加えてライトガイド等の光学部材を設けることによって集光効率を向上させたストロボ装置が提案されているが、この種のストロボ装置は、反射傘による反射で光量の低下した光を屈折率の異なる光学部材で集光するため、光量をさらに低下させる虞がある(特許文献1)。
【0005】
そこで、出願人(発明者)は、ストロボ装置の小型化と、照射範囲外に光が放射することによる光量低下の防止を図るために、ガラスバルブの外周面に反射膜が形成されるとともにガラスバルブの外周面の前面側に反射膜の非形成領域からなる光透過部が形成された放電管を備えたストロボ装置を提案している(本願出願時には未公開の特許文献、特願2009−0914017号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−262537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さらに、発明者は、鋭意研究の結果、上記構成の放電管の光透過部から放射された発散光を集めて発光効率を上げるためには、放電管の光透過部と、光学部材内部の反射曲面と、放電管の中心(ガラスバルブの軸心)との位置関係が重要であることを判明させた。
【0008】
よって、本発明は、放電管から放射された光を照射範囲内に効率的に照射できるストロボ装置、及び、これを備えた撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るストロボ装置は、円筒状のガラスバルブの外周面に反射膜が形成されるとともにガラスバルブの外周面の前面側に反射膜の非形成領域からなる光透過部が形成された放電管と、光透過部の前方に配置される光学部材とを備えたストロボ装置であって、光学部材は、放電管の光透過部の前方で該光透過部と対向するように形成され、光透過部から前方に向けて放射された主光線を入射させる第一入射面と、放電管の軸心と直交する方向に間隔をあけて放電管側から第一入射面側に延びるように形成され、放電管の光透過部から斜め前方に放射した補完光線を入射させる一対の第二入射面と、放電管の軸心と直交する方向に間隔をあけて第二入射面よりも外側で前方に向けて延びるように形成され、第二入射面からの補完光線を前方に全反射させる一対の全反射面と、第一入射面の前方に形成され、主光線と補完光線を外部に射出させる射出面とを有し、一対の全反射面のそれぞれは、放電管側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管側にある始点から延びる各曲面に対する二つの接線同士が、放電管の中心より後方側で且つガラスバルブ外周面よりも前方側で交差するように形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成のストロボ装置によれば、放電管の光透過部から前方に放射された主光線が第一入射面及び射出面を通過して前方に射出されることになる。すなわち、光透過部を透過した主光線は、ストロボ装置の光軸に対する角度がゼロ、或いは小さな角度であるため、光透過部の前方にある第一透過部及び射出面を透過しても、大きく広がることなく前方側の照射範囲を照射することになる。これに対し、放電管の光透過部から斜め前方に放射された補完光線は、主光線に比してストロボ装置の光軸に対する角度が大きいため、第一入射面に入射せずにその両側にある第二入射面に入射することになる。そうすると各第二入射面に入射した補完光線は、第二入射面を通過して全反射面上に導かれる。
【0011】
このとき、補完光線は、第二入射面に対する入射による屈折で、放電管の光透過部から放射されたときよりもストロボ装置の光軸に対する角度が大きくなって全反射面に導かれるが、全反射面での反射でストロボ装置の光軸側に向きが変えられることになる。特に、上記構成のストロボ装置は、各全反射面が、放電管側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管側にある始点を接点とする各曲面に対する二つの接線同士が、放電管の中心より後方側で且つガラスバルブの外周面よりも前方側で交差するように形成されているため、第二入射面を通過して全反射面で反射された補完光線は、反射位置が放電管側(曲面の始点側)になるほど立ちあがった状態(ストロボ装置の光軸に対して平行に近づく状態)となる。
【0012】
従って、上記構成のストロボ装置は、放電管からの光を無造作に照射範囲以外に射出させることがなく、主光線及び補完光線を前方にある照射範囲内に効率的に射出させることができる。
【0013】
本発明の一態様として、各全反射面は、終点側で反射した補完光線が、相手方の全反射面側にある第一入射面の端縁近傍を通過した主光線と平行又は略平行になるように形成されていることが好ましい。このようにすれば、補完光線を主光線の存在する領域内に導くことができ、放電管から放射された光(主光線及び補完光線)を効率的に照射範囲に照射することができる。
【0014】
また、本発明の撮像装置は、上記構成の何れかのストロボ装置を備えていることを特徴とする。かかる撮像装置によれば、上記何れかのストロボ装置を備えているため、放電管からの光を無造作に照射範囲以外に放射させることがなく、主光線及び補完光線を前方にある照射範囲内に効率的に射出させることができる。従って、十分な光量で写真撮影や動画撮影を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係るストロボ装置は、放電管から放射された光を照射範囲内に効率的に照射できるといった優れた効果を奏し得る。
【0016】
また、本発明の撮像装置は、上記構成のストロボ装置を備えているため、放電管から放射された光を照射範囲内に効率的に照射でき、これによって写真撮影や動画撮影を良好に行うことができるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るストロボ装置の概略斜視図
【図2】同実施形態に係るストロボ装置における発光部の概略斜視図
【図3】同実施形態に係るストロボ装置における発光部の概略断面図
【図4】本発明の第一実施例の発光部と比較例の発光部との光路の相違を説明するための説明図であって、(a)は、第一実施例に係る発光部の概略断面図、(b)は、第一比較例に係る発光部の概略断面図、(c)は、第二比較例に係る発光部の概略断面図
【図5】本発明の第一実施例の発光部と比較例の発光部との配光の相違を説明するための説明図であって、(a)は、第一実施例に係る発光部の配光を示すグラフ、(b)は、第一比較例に係る発光部の配光を示すグラフ、(c)は、第二比較例に係る発光部の配光を示すグラフ
【図6】本発明の第二実施例の発光部と比較例の発光部との光路の相違を説明するための説明図であって、(a)は、第二実施例に係る発光部の概略断面図、(b)は、第三比較例に係る発光部の概略断面図、(c)は、第四比較例に係る発光部の概略断面図
【図7】本発明の第二実施例の発光部と比較例の発光部との配光の相違を説明するための説明図であって、(a)は、第二実施例に係る発光部の配光を示すグラフ、(b)は、第三比較例に係る発光部の配光を示すグラフ、(c)は、第四比較例に係る発光部の配光を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るストロボ装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係るストロボ装置は、デジタルカメラやアナログカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置(図示しない)に設けられる。そして、ストロボ装置は、図1に示す如く、被写体等の照射対象に向けて照射させる光を発する発光部2と、発光部2を保持する保持手段3とを備えている。
【0020】
発光部2は、図2及び図3に示す如く、円筒状のガラスバルブ4の外周面に反射膜5が形成されるとともにガラスバルブ4の外周面の前面側に反射膜5の非形成領域からなる光透過部6が形成された放電管7と、光透過部6の前方に配置される光学部材8とを備えている。
【0021】
放電管7は、いわゆる、閃光放電管であり、図2に示す如く、筒状のガラスバルブ4の両端部に電極端子9a、9bが封着されている。そして、本実施形態に係る放電管7は、上述の如く、反射膜5及び光透過部6が形成されており、反射膜5は、放電管7の発光領域に対応してガラスバルブ4の軸心C方向及び周方向に広がるように形成され、光透過部6は、放電管7の発光領域に対応してガラスバルブ4の軸心C方向に延びるように形成されている。
【0022】
具体的には、反射膜5は、金属蒸着によって形成されたもので、図3に示す如く、ガラスバルブ4の軸心Cを中心にしてガラスバルブ4の周方向における240°〜270°の範囲に形成される。これに伴い、本実施形態に係る放電管7は、ガラスバルブ4の外周面に反射膜5の形成されていない部分である光透過部6がガラスバルブ4の軸心Cを中心にしてガラスバルブ4の周方向における90°〜120°の範囲に形成される。従って、光透過部6は、ガラスバルブ4の軸心Cの延びる方向に長手をなした矩形状の領域に形成されている。
【0023】
光学部材8は、放電管7の光透過部6の全領域に対向できるように形成される。そのため、本実施形態に係る光学部材8は、ガラスバルブ4の軸心C方向に長手をなす光透過部6に対応して、一方向に長手をなすように形成される。
【0024】
光学部材8は、放電管7からの光を入射させ、入射した光を内部で反射させて外部に射出させるもので、光透過性を有する透明な素材で形成される。すなわち、光学部材8は、透明なガラスや樹脂で形成することができ、本実施形態においては、光学性能と成形のしやすさを両立させるために、透明アクリル樹脂で成形されている。
【0025】
そして、本実施形態に係る光学部材8は、放電管7の光透過部6の前方で該光透過部6と対向するように形成され、光透過部6から前方に向けて放射された主光線BMを入射させる第一入射面10と、放電管7(ガラスバルブ4)の軸心Cと直交する方向に間隔をあけて放電管7側から第一入射面10側に延びるように形成され、放電管7の光透過部6から斜め前方に放射した補完光線BSを入射させる一対の第二入射面11a、11bと、放電管7の軸心Cと直交する方向に間隔をあけて第二入射面11a、11bよりも外側で前方に向けて延びるように形成され、第二入射面11a、11bからの補完光線BSを前方に全反射させる一対の全反射面12a、12bと、第一入射面10の前方に形成され、主光線BMと補完光線BSを外部に射出させる射出面13とを有している。
【0026】
第一入射面10は、放電管7側に凸をなす曲面で構成されている。すなわち、第一入射面10は、射出面13側とは反対側に凸をなすように、放電管7の軸心Cと直交する方向で一方の端縁から他方の端縁に向けて湾曲した曲面で構成されている。第一入射面10の曲率は、被写体等の照射対象への光の照射範囲に応じて決定される。本実施形態に係るストロボ装置1は、放電管7の中央(軸心)Cとガラスバルブ4の周方向における光透過部6の中央とを通る仮想線上に光軸BLが設定されている。これに伴って、第一入射面10は、放電管7(ガラスバルブ4)の軸心Cと直交する方向の中央に光軸BLが通るように形成されている。
【0027】
一対の第二入射面11a、11bは、何れも放電管7側に始点が設定され、終点が第一入射面10の端縁に接続されている。すなわち、各第二入射面11a、11bは、ガラスバルブ4の周方向における光透過部6の両エッジ(反射膜5との境界)の近傍に始点を位置させており、該始点から前方に延びて終点が第一入射面10の各端縁(放電管7の軸心Cと直交する方向にある両端縁)に接続されている。
【0028】
そして、一対の第二入射面11a、11bは、光軸BLを基準に対称的に配置されている。本実施形態において、各第二入射面11a、11bは、始点側よりも終点側が光軸BL寄りに傾斜するように形成されている。すなわち、各第二入射面11a、11bは、放電管7の軸心Cと直交する方向において、終点よりも始点が外側(光軸BLに対して離間する位置)に設定されている。これにより、本実施形態に係る光学部材8は、第一入射面10及び一対の第二入射面11a、11bが溝状の凹部を画定している。
【0029】
一対の全反射面12a、12bのそれぞれは、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面12a、12bの放電管7側にある始点SPを接点とする各曲面12a、12bに対する二つの接線TLa、TLb同士が、放電管7の中心Cより後方側で且つガラスバルブ4の外周面よりも前方側で交差するように形成されている。
【0030】
すなわち、一対の全反射面12a、12bのそれぞれは、外方側に凸をなす湾曲面で構成されており、自身(湾曲面)の始点SPに接する接線TLa、TLbであって、放電管7側にある自身の始点SPから延びる接線TLa、TLb同士が、ガラスバルブ4の軸中心Cよりも後方側(光透過部6のある前面側とは反対側)で且つガラスバルブ4の外周面よりも前方側で交差するように形成されている。
【0031】
また、一対の全反射面12a、12bは、終点EP側で反射した補完光線BSが、相手方の全反射面12a、12b側にある第一入射面10の端縁近傍を通過した主光線BMと平行又は略平行になるように形成されている。
【0032】
射出面13は、ストロボ装置1(発光部2)の最も前方に位置する部位であり、第一入射面10と対向するように形成される。そして、本実施形態の光学部材8は、光学特性を向上させるべく、射出面13にフレネル溝が形成されている。射出面13は、撮像装置に対する搭載状態(取り付け状態)等が考慮され、一対の全反射面12a、12bの終点EP、EP間に形成されたり、全反射面12a、12bの終点EPよりも前方側に形成されたりする。
【0033】
本実施形態に係る光学部材8は、撮像装置に対する取り付けを考慮し、撮像装置のフレーム(図示しない)に形成された開口部に対する嵌合代14を射出面13と全反射面12a、12bの終点EPとの間に形成すべく、射出面13が全反射面12a、12bの終点EPよりも前方に形成されている。なお、光学部材8は、全体が一体成形されるため、上述の如く、嵌合代14を設けても、他の部分(一対の全反射面12a、12b間にある中実の部分)と一体的(連続的)に形成される。従って、嵌合代14と他の部分との間に光を反射させるような面が形成されていないため、他の部分からの光の光路を変更させることはない。
【0034】
図1に戻り、保持手段3は、放電管7を保持すると共に光学部材8を放電管7に当接させて保持するように構成されている。そして、保持手段3は、放電管7の各電極端子9a、9bが電気的に接続される接続金具15、接続金具15が配設された基板16上に固定される。
【0035】
本実施形態に係るストロボ装置1は、以上の通りであり、図3に示す如く、放電管7を発光させたとき、光透過部6を透過した主光線BMが、第一入射面10及び射出面13を介してそのまま前方に射出されることになる。すなわち、光透過部6を透過した主光線BMは、当該ストロボ装置1の光軸BLに対する角度がゼロ、或いは小さな角度であるため、光透過部6の前方にある第一透過部及び射出面13を透過しても、大きく広がることなく前方(照射範囲)を照射することになる。
【0036】
これに対し、光透過部6から斜め前方に放射された補完光線BSは、主光線BMに比してストロボ装置1の光軸BLに対する角度が大きいため、第一入射面10に入射せずにその両側にある第二入射面11a、11bに入射することになる。そうすると各第二入射面11a、11bに入射した補完光線BSは、第二入射面11a、11bを通過して全反射面12a、12b上に導かれる。
【0037】
このとき、補完光線BSは、第二入射面11a、11bに対する入射による屈折で、放電管7の光透過部6から放射されたときよりもストロボ装置1の光軸BLに対する角度が大きくなって全反射面12a、12bに導かれるが、全反射面12a、12bでの反射でストロボ装置1の光軸BL側に向きが変えられることになる。
【0038】
本実施形態に係るストロボ装置1は、各全反射面12a、12bが、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管7側にある始点SPを接点とする各曲面に対する二つの接線TLa、TLbが、前記放電管7の中心Cより後方側で且つ前記ガラスバルブ4外周面よりも前方側で交差するように形成されているため、第二入射面11a、11bを通過して全反射面12a、12bで反射された補完光線BSは、反射位置が放電管7側(曲面の始点SP側)になるほど立ちあがった状態(ストロボ装置1の光軸BLに対して平行に近づく状態)となる。
【0039】
従って、本実施形態に係るストロボ装置1は、放電管7からの光を無造作に照射範囲以外に射出させることがなく、主光線BM及び補完光線BSを前方にある照射範囲内に効率的に射出させることができる。
【0040】
また、本実施形態において、各全反射面12a、12bは、終点EP側で反射させた補完光線BSが、相手方の全反射面12a、12b側にある第一入射面10の端縁近傍を通過した主光線BMと平行又は略平行になるように形成されているため、補完光線BSが主光線BMの存在する領域内に射出することになる。これにより、放電管7から放射される光全体(主光線BM及び補完光線BS)が効率的に照射範囲に照射される。
【0041】
従って、本実施形態に係るストロボ装置1は、放電管7から放射された光を照射範囲内に効率的に照射できるといった優れた効果を奏し得る。また、本実施形態に係るストロボ装置1は、上記構成の全反射面12a、12bが形成されているため、一対の全反射面12a、12b間を必要最小限の間隔にすることができ、発光部2全体の小型化を達成することができる。
【0042】
そして、本実施形態に係るストロボ装置1を搭載した撮像装置は、放電管7から放射された光を照射範囲内に効率的に照射でき、これによって写真撮影や動画撮影を良好に行うことができるといった優れた効果を奏し得る。
【実施例1】
【0043】
発明者は、本発明のストロボ装置の性能を確認したところ、優れた性能を発揮することを確認できた。具体的には、図4(a)に示す如く、本発明の第一実施例に係るストロボ装置1は、上記実施形態で説明したもので、放電管7として、ガラスバルブ4の外径が1.3mmに設定されるとともに、ガラスバルブ4の内径が0.85mmに設定され、反射膜5がガラスバルブ4の軸心Cを中心にして250°の範囲で形成(光透過部6がガラスバルブ4の軸心Cを中心にして110°の範囲で形成)された閃光放電管を採用した。そして、光学部材8は、アクリル樹脂製のもの(d線に対する屈折率1.49程度)を採用した。そして、第一実施例に係るストロボ装置1の照射角度は、光軸BLに対して両側27°の範囲(全範囲54°:35mm版レンズに換算して、28mm相当)に設定した。
【0044】
従って、光軸BLに対して両側30°程度の光を第一入射面10で制御するために、第一入射面10の曲率半径を3mmに設定した。また、照射角度を54°とするために光学部材8の屈折率を考慮する必要があるため、第二入射面11a、11bの傾斜角度を光軸BLに対して3°に設定した。そして、一対の全反射面12a、12bのそれぞれは、上述の如く、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管7側にある始点SPから延びる各曲面に対する二つの接線(図示しない)同士が、前記放電管7の中心Cより後方側で且つ前記ガラスバルブ4外周面よりも前方側で交差するように形成されている。
【0045】
これに対し、第一実施例の比較の対象となる第一比較例に係るストロボ装置1は、図4(b)に示す如く、放電管7に第一実施例と同一のものを採用するとともに、第一入射面10及び第二入射面11a、11bの条件を第一実施例と同一に設定する一方、一対の全反射面12a、12bのそれぞれが、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管7側にある始点SPに接する、各曲面に対する二つの接線(図示しない)同士が、前記放電管7の中心Cより前方側で交差するように形成されている。
【0046】
また、第一実施例の比較の対象となる第二比較例に係るストロボ装置1は、図4(c)に示す如く、放電管7に第一実施例と同一のものを採用するとともに、第一入射面10及び第二入射面11a、11bの条件を第一実施例と同一に設定する一方、一対の全反射面12a、12bのそれぞれが、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管7側にある始点SPに接する、各曲面に対する二つの接線(図示しない)同士が、ガラスバルブ4の外周面よりも後方で交差するように形成されている。
【0047】
そして、第一実施例、第一比較例、及び第二比較例の各ストロボ装置1の放電管7を同一条件で発光させたところ、第一実施例に係るストロボ装置1は、図4(a)に示す如く、光学部材8の屈折率により第一入射面10に入射した主光線BM(図中、破線で示す)が光軸BLに対してやや小さな角度の光線となって光学部材8内を通過し、射出面13から射出する際に、屈折率の違いによって再度光軸BLに対してやや大きな角度の光線となって外部(照射範囲)に照射される。この時、第一入射面10の端縁近傍に入射する補完光線BSが、光軸BLに対して約27°となり、ストロボ装置1の照射角度が54°となる。
【0048】
そして、全反射面12a、12bが外側に向けて凸をなす湾曲面であることから、全反射面12a、12bに対する接線の方向が始点SPから終点EPまでの任意の点でそれぞれ異なるが、各全反射面12a、12bの放電管7側にある始点SP上での接線が、放電管7の軸心Cよりも後方側で且つ放電管7のガラスバルブ4の外周面よりも前方で交差するように全反射面12a、12bが形成されているため、始点SP側において全反射面12a 12bの始点SP近傍における形状が、第二入射面11a 11b からの補完光線を、光軸に略平行な方向に反射させるような曲率/形状をもつ反射面になる。
【0049】
これにより、全反射面12a、12bの始点SP付近で反射された補完光線(図中、二点鎖線で示す)BSは、光軸BLと略平行になるように反射されるため、照射範囲の中心領域に照射される光線となる。そして、全反射面12a、12bの始点SPと終点EPとの間の領域(反射面)で反射される補完光線BSは、光軸BLと交差するように反射され、終点EP側に近づくほど反射される補完光線BSが、相手方の全反射面12a、12b側にある第一入射面10の端縁近傍を通過した主光線BMと平行又は略平行になる。
【0050】
これにより、第一実施例に係るストロボ装置1は、照射範囲内に主光線BM及び補完光線BSを集光できる上に、その照射範囲内の広い範囲で高光量の光が照射される。
【0051】
すなわち、第一実施例に係るストロボ装置1は、図5(a)に示す如く、照射範囲の中央領域(光軸BLに対して両側10°付近)の光量を100%とした場合、周辺部分(光軸BLに対して両側27°付近)は中心部分からの光量低下が15%程度、すなわち、0.3EV程度に抑えることができ、略均一な配光が可能であることが確認できた。
【0052】
これに対し、第一比較例に係るストロボ装置1は、図4(b)に示す如く、各全反射面12a、12bの放電管7側にある始点SPに接する二つの接線同士の交点が、前記放電管7の中心Cより前方側に位置するように全反射面12a、12bが形成されているため、光軸BLに対する接線の角度が大きくなる。すなわち、第一比較例に係るストロボ装置1の全反射面12a、12bは、始点SP側で光軸BLに対して開いた曲線となる。そのため、放電管7からの光線を光軸BLと略平行に反射させようとすると、全反射面12a、12bの曲率を大きくしなければならず、また、始点SP付近の湾曲(カーブ)も全反射面12a、12b間の間隔が照射角度内となるように設定しなければならない。その結果、第一比較例に係るストロボ装置1は、第一実施例のストロボ装置1に比して、全反射面12a、12bが大きな曲率の曲面で形成され、全反射面12a、12bの終点EPが大きく前方に位置している。そのため、第一比較例のストロボ装置1は、上記実施形態における嵌合代14を省略した態様(全反射面12a、12bの終点間に射出面13が形成された態様)になっているにも拘わらず、光学部材8全体が大型化している。
【0053】
そして、第一比較例に係るストロボ装置1では、全反射面12a、12bの始点SP付近において、補完光線BSの全反射面12a、12bへの入射角が大きすぎるため、補完光線BSが光学部材8の外側方向に反射されてしまう。その結果、全反射面12a、12bの始点SP付近で反射した補完光線BSは、再度全反射面12a、12bの終点EP側で反射される。その結果、補完光線BSは、最終的に照射範囲に照射されることになるが、全反射面12a、12bで反射を複数回繰り返すことで補完光線BSの光量が低下してしまう。また、第一比較例のストロボ装置1は、全反射面12a、12bの始点SPと終点EPとの間においても、全反射面12a、12b上での反射が繰り返され、補完光線BSの光量が低下してしまう。
【0054】
そして、第一比較例に係るストロボ装置1は、全反射面12a、12bに対する反射を繰り返すことで多くの補完光線BSが主光線BMの通過する光路内に入りにくくなり、全反射面12a、12bの終点EP近傍で反射される補完光線BSが中央側(光軸BL側)に放射されることになる。その結果、全反射面12a、12bの終点EP近傍で反射される補完光線BSが照射範囲の中央に集まるのに対し、その他の多くの補完光線BSが照射範囲から外れた領域に照射される。
【0055】
従って、第一比較例にかかるストロボ装置1では、図5(b)に示す如く、主光線BMが照射される照射範囲のうち、全反射面12a、12bの終点EP近傍で反射された補完光線BSの集まる中央部分のみの光量が多くなり、照射範囲内への均一な配光ができないことが確認できた。
【0056】
また、第二比較例に係るストロボ装置1は、図4(c)に示す如く、各全反射面12a、12bの放電管7側にある始点SPから延びる二つの接線同士が、ガラスバルブ4の外周面よりも後方で交差するように各全反射面12a、12bが形成されているため、光軸BLに対する接線の角度が小さくなり、全反射面12a、12bの始点SP近傍が立ちあがった態様となる。その結果、第二比較例のストロボ装置1は、一対の全反射面12a、12bの間隔が狭くなりすぎてしまい、放電管7からの補完光線BSの入射角が必要以上に小さくなってしまう。
【0057】
そのため、第二比較例に係るストロボ装置1は、全反射面12a、12bで反射される補完光線BSが主光線BMの光路上を通過するものの、光軸BL側に大きく傾斜した状態となる。その結果、第二比較例に係るストロボ装置1は、第一実施例のストロボ装置1に比して、光軸BLと略平行に反射される成分が少なくなり、射出面13から射出された補完光線BSが被写体に届くまでに(射出面13に対して近い位置で)光軸BLと交差してしまう。
【0058】
従って、第二比較例に係るストロボ装置1では、主光線BMが照射される照射範囲のうちの中央部分の周辺に補完光線BSが集まってしまい、図5(c)に示す如く、照射範囲の中央部分で光量が少なくなり、照射範囲内への均一な配光ができないことが確認できた。
【0059】
以上のように、本発明の第一実施例に係るストロボ装置1は、第一比較例及び第二比較例に係るストロボ装置1よりも優れた性能を発揮できることが確認できた。
【実施例2】
【0060】
また、発明者は、照射角度を広角にしたストロボ装置1についても性能を確認した。具体的には、本発明の第二実施例に係るストロボ装置1は、図6(a)に示す如く、上記実施形態で説明したもので、放電管7として、ガラスバルブ4の外径が1.3mmに設定されるとともに、ガラスバルブ4の内径が0.85mmに設定され、反射膜5がガラスバルブ4の軸心Cを中心にして250°の範囲で形成(光透過部6がガラスバルブ4の軸心Cを中心にして110°の範囲で形成)された閃光放電管を採用した。そして、光学部材8は、アクリル樹脂製のもの(d線における屈折率1.49程度)を採用した。そして、第二実施例に係るストロボ装置1の照射角度は、光軸BLに対して両側30°の範囲(全範囲60°:35mm版レンズに換算して、24mm相当)に設定した。
【0061】
従って、光軸BLに対して両側30°程度の光を第一入射面10で制御するために、第一入射面10の曲率半径を5mmに設定した。また、照射角度を60°とするために光学部材8の屈折率を考慮する必要があるため、第二入射面11a、11bの傾斜角度を光軸BLに対して3°に設定した。
【0062】
そして、一対の全反射面12a、12bのそれぞれは、上述の如く、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管7側にある始点SPから延びる各曲面に対する二つの接線(図示しない)同士が、前記放電管7の中心Cより後方側で且つ前記ガラスバルブ4外周面よりも前方側で交差するように形成されている。
【0063】
これに対し、第二実施例の比較の対象となる第三比較例に係るストロボ装置1は、図6(b)に示す如く、放電管7が第二実施例と同一のものを採用するとともに、第一入射面10及び第二入射面11a、11bの条件を第二実施例と同一に設定する一方、一対の全反射面12a、12bのそれぞれが、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管7側にある始点SPから延びる各曲面に対する二つの接線(図示しない)同士が、前記放電管7の中心Cより前方側で交差するように形成されている。
【0064】
また、第二実施例の比較の対象となる第四比較例に係るストロボ装置1は、図6(c)に示す如く、放電管7が第二実施例と同一のものを採用するとともに、第一入射面10及び第二入射面11a、11bの条件を第二実施例と同一に設定する一方、一対の全反射面12a、12bのそれぞれが、放電管7側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管7側にある始点SPから延びる各曲面に対する二つの接線(図示しない)同士が、ガラスバルブ4の外周面よりも後方で交差するように形成されている。
【0065】
そして、第二実施例、第三比較例、及び第四比較例の各ストロボ装置1の放電管7を同一条件で発光させたところ、第二実施例に係るストロボ装置1は、図6(a)に示す如く、光学部材8の屈折率により第一入射面10に入射した主光線BM(図中、破線で示す)が光軸BLに対してやや小さな角度の光線となって光学部材8内を通過し、射出面13から出光する際に、屈折率の違いによって再度光軸BLに対してやや大きな角度の光線となって外部(照射範囲)に照射される。この時、第一入射面10の端縁近傍に入射する補完光線BSが、光軸BLに対して約30°となり、ストロボ装置1の照射角度が60°となる。
【0066】
そして、全反射面12a、12bが外側に向けて凸をなす湾曲面であることから、全反射面12a、12bに対する接線の方向が始点SPから終点EPまでの任意の点でそれぞれ異なるが、各全反射面12a、12bの放電管7側にある始点SP上での接線が、放電管7の軸心Cよりも後方側で且つ放電管7のガラスバルブ4の外周面よりも前方で交差するように全反射面12a、12bを形成することで、始点SP側において全反射面12a 12bの始点SP近傍における形状が、第二入射面11a 11bからの補完光線を、光軸に略平行な方向に反射させるような曲率/形状をもつ反射面になる。
【0067】
これにより、全反射面12a、12bの始点SP付近で反射された補完光線(図中、二点鎖線で示す)BSは、光軸BLと略平行になるように反射されるため、照射範囲の中心領域に照射される光線となる。そして、全反射面12a、12bの始点SPと終点EPとの間の領域(反射面)で反射される補完光線BSは、光軸BLと交差するように反射され、終点EP側に近づくほど反射される補完光線BSが、相手方の全反射面12a、12b側にある第一入射面10の端縁近傍を通過した主光線BMと平行又は略平行になる。
【0068】
これにより、第二実施例に係るストロボ装置1は、照射範囲内に主光線BM及び補完光線BSを集光できる上に、その照射範囲内の広い範囲で高光量の光が照射される。
【0069】
すなわち、第二実施例に係るストロボ装置1は、図7(a)に示す如く、照射範囲の中央領域(光軸BLに対して両側10°付近)の光量を100%とした場合、周辺部分(光軸BLに対して両側30°付近)は中心部分からの光量低下が20%程度、すなわち、−0.3EV程度に抑えることができ、略均一な配光が可能であることが確認できた。
【0070】
これに対し、第三比較例に係るストロボ装置1は、図6(b)に示す如く、各全反射面12a、12bの放電管7側にある始点SPから延びる二つの接線同士の交点Pが、前記放電管7の中心Cより前方側に位置するように全反射面12a、12bが形成されているため、光軸BLに対する接線の角度が大きくなる。すなわち、第三比較例に係るストロボ装置1の全反射面12a、12bは、始点SP側で光軸BLに対して開いた曲線となる。
【0071】
そのため、放電管7からの光線を光軸BLと略平行に反射させようとすると、全反射面12a、12bの曲率を大きくしなければならず、また、始点SP付近の湾曲(カーブ)も全反射面12a、12b間の間隔が照射角度内となるように設定しなければならない。その結果、第一比較例に係るストロボ装置1は、第二実施例のストロボ装置1に比して、全反射面12a、12bが大きな曲率の曲面で形成され、全反射面12a、12bの終点EPが大きく前方に位置している。そのため、第一比較例のストロボ装置1は、上記実施形態における嵌合代14を省略した態様(全反射面12a、12bの終点間に射出面13が形成された態様)になっているにも拘わらず、光学部材8全体が大型化している。
【0072】
そして、第三比較例に係るストロボ装置1では、全反射面12a、12bの始点SP付近において、補完光線BSの全反射面12a、12bへの入射角が大きすぎるため、補完光線BSが光学部材8の外側方向に反射されてしまう。そのため、全反射面12a、12bの始点SP付近で反射した補完光線BSは、再度全反射面12a、12bの終点EP側で反射される。その結果、補完光線BSは、最終的に照射範囲に照射されることになるが、全反射面12a、12bで反射を複数回繰り返すことで補完光線BSの光量が低下してしまう。また、第三比較例のストロボ装置1は、全反射面12a、12bの始点SPと終点EPとの間においても、全反射面12a、12b上での反射が繰り返され、補完光線BSの光量が低下してしまう。
【0073】
そして、第三比較例に係るストロボ装置1は、全反射面12a、12bに対する反射を繰り返すことで多くの補完光線BSが主光線BMの通過する光路内に入りにくくなり、全反射面12a、12bの終点EP近傍で反射される補完光線BSが中央側(光軸BL側)に放射されることになる。その結果、全反射面12a、12bの終点EP近傍で反射される補完光線BSが照射範囲の中央に集まるのに対し、その他の多くの補完光線BSが照射範囲から外れた領域に照射される。
【0074】
そのため、第三比較例にかかるストロボ装置1では、図7(b)に示す如く、主光線BMが照射される照射範囲のうち、全反射面12a、12bの終点EP近傍で反射された補完光線BSの集まる中央部分のみの光量が多くなり、照射範囲内への均一な配光ができないことが確認できた。
【0075】
そして、第四比較例に係るストロボ装置1は、図6(c)に示す如く、各全反射面12a、12bの放電管7側にある始点SPから延びる二つの接線同士が、ガラスバルブ4の外周面よりも後方で交差するように形成されているため、光軸BLに対する接線の角度が小さくなり、全反射面12a、12bの始点SP近傍が立ちあがった態様となる。その結果、第四比較例のストロボ装置1は、一対の全反射面12a、12bの間隔が狭くなりすぎてしまい、放電管7からの補完光線BSの入射角が必要以上に小さくなってしまう。
【0076】
そのため、第四比較例に係るストロボ装置1は、全反射面12a、12bで反射される補完光線BSが主光線BMの光路上を通過するものの、光軸BL側に大きく傾斜した状態となる。
【0077】
その結果、第四比較例に係るストロボ装置1は、第二実施例のストロボ装置1に比して、光軸BLと略平行に反射される成分が少なくなる結果、射出面13から射出された補完光線BSが被写体に届くまでに(射出面13に対して近い位置で)光軸BLと交差してしまう。
【0078】
従って、第四比較例に係るストロボ装置1では、図7(c)に示す如く、主光線BMが照射される照射範囲のうちの中央部分の周辺に補完光線BSが集まってしまい、照射範囲の中央部分で光量が少なくなり、照射範囲内への均一な配光ができないことが確認できた。
【0079】
以上のように、本発明の第二実施例に係るストロボ装置1は、第三比較例及び第四比較例に係るストロボ装置1よりも優れた性能を発揮できることが確認できた。すなわち、本発明に係るストロボ装置1は、照射範囲を広角にしても優れた性能を発揮できることが確認できた。
【0080】
なお、本発明に係るストロボ装置、及び撮像装置は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0081】
上記実施形態において、撮像装置に搭載されることを前提に説明したが、これに限定されるものではなく、ストロボ装置1は、撮像装置と別体で構成され、必要に応じて撮像装置に取り付けられるものであっても勿論よい。また、上記実施形態において、デジタルカメラ、アナログカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置を対象に説明したが、例えば、カメラ付き携帯電話を対象にしても勿論よい。
【0082】
上記実施形態において、光学部材8の射出面13にフレネル溝を設けたが、これに限定されるものではなく、射出面13は、ストロボ装置1の性能に応じて平面状に形成したり、フレネル溝を形成したりすればよい。
【0083】
上記実施形態において、光学部材8の射出面13を全反射面12a、12bの終点EPよりも前方に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、光学部材8を放電管7の前方に配置した状態で維持できるのであれば、嵌入代14を設けることなく、全反射面12a、12bの終点EP、EP間に射出面13を形成するようにしてもよい。
【0084】
上記実施形態において、全反射面12a、12bの終点EP側で反射させた補完光線BSが、相手方の全反射面12a、12b側にある第一入射面10の端縁近傍を通過した主光線BMと平行又は略平行になるように各全反射面12a、12bを形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、全反射面12a、12bの終点EP側で反射させた補完光線BSが、ストロボ装置1の光軸BLと平行又は略平行になるように各全反射面12a、12bを形成するようにしてもよい。但し、ストロボ装置1の発光性能をより良好にするには、上記実施形態と同様にすることが好ましいことは言うまでもない。
【0085】
上記実施形態において、光学部材8をアクリル樹脂で形成したが、これに限定されるものではなく、光の屈折率を考慮した上で、光を透過させることのできるその他の樹脂で形成してもよいし、ガラスで形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係るストロボ装置及び撮像装置は、放電管が放射した光を照射範囲内に効率的に照射できるという効果を有するため、ガラスバルブの外周面に反射膜が形成される放電管と、放電管の前方に配置される光学部材とを備えるストロボ装置や、そのストロボ装置を備える撮像装置として有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 ストロボ装置
2 発光部
3 保持手段
4 ガラスバルブ
5 反射膜
6 光透過部
7 放電管
8 光学部材
9a、9b 電極端子
10 第一入射面
11a、11b 第二入射面
12a、12b 全反射面
13 射出面
14 嵌合代
15 接続金具
16 基板
BL 光軸
BM 主光線
BS 補完光線
C 軸心(中心)
SP 始点
EP 終点
P 交点
TLa、TLb 接線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のガラスバルブの外周面に反射膜が形成されるとともにガラスバルブの外周面の前面側に反射膜の非形成領域からなる光透過部が形成された放電管と、光透過部の前方に配置される光学部材とを備えたストロボ装置であって、光学部材は、放電管の光透過部の前方で該光透過部と対向するように形成され、光透過部から前方に向けて放射された主光線を入射させる第一入射面と、放電管の軸心と直交する方向に間隔をあけて放電管側から第一入射面側に延びるように形成され、放電管の光透過部から斜め前方に放射した補完光線を入射させる一対の第二入射面と、放電管の軸心と直交する方向に間隔をあけて第二入射面よりも外側で前方に向けて延びるように形成され、第二入射面からの補完光線を前方に全反射させる一対の全反射面と、第一入射面の前方に形成され、主光線と補完光線を外部に射出させる射出面とを有し、一対の全反射面のそれぞれは、放電管側から前方に向かうにつれて互いの間隔を拡大させる曲面で構成されるとともに、各曲面の放電管側にある始点を接点とする各曲面に対する二つの接線の交点が、放電管の中心より後方側で且つガラスバルブ外周面よりも前方側になるように形成されていることを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
各全反射面は、終点側で反射した補完光線が、相手方の全反射面側にある第一入射面の端縁近傍を通過した主光線と平行又は略平行になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のストロボ装置を備えていることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−128240(P2011−128240A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284702(P2009−284702)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】