説明

ストロボ装置

【課題】 バウンス撮影可能なストロボ装置において、発光部のバウンス撮影状態を検知するバウンス検知手段を、構成を小型化させ、かつ組立を簡易化させながら搭載したストロボ装置を提供すること。
【解決手段】 発光部(2)が連結部(3)を介して本体部(1)に連結され、前記本体部(1)上面に突出するバウンス検知部材(5)を有し、前記発光部(2)下面に基本状態位置において、バウンス検知部材(5)と当接する突起部(2a)を有し、前記本体部(1)上面と対向する連結部(3)下面に、前記発光部(2)が水平方向で回動する全領域において、バウンス検知部材(5)に当たらない円周状の溝部(3a、3b)を有し、
水平方向回動、垂直方向回動によるいずれのバウンス撮影状態においても、突起部(2a)がバウンス検知部材(5)の当接より外れることでバウンス撮影状態を検知することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ装置に関し、特に照明光の照射方向を変更可能なバウンス機能を備えたストロボ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ストロボ装置では照明光の照射方向が変更可能であり、光を被写体に直接照射せずに、一度他の物(天井等)に当ててその反射光を被写体に照射することによりストロボ撮影が行えるバウンス機能を有したものが知られている。そしてバウンス機能を有したストロボ装置においては、発光部を正面位置に向けて被写体に正対させ直接光を被写体に照明する基本状態位置と、正面位置以外のバウンス撮影状態であるときには、ストロボの発光量やストロボの照射角度を変えるために、バウンス検知手段によりバウンス撮影状態にあるかないかの検知を行うものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1におけるストロボ装置では、発光部が連結部を介して本体部に連結され、連結部に対して発光部が回動することで垂直方向回動を行い、また連結部が本体部に対して回動することで水平方向回動を行いバウンス撮影状態にすることができる。そしてストロボ装置の該連結部にバウンス撮影状態検知手段が設けられ、発光部が垂直方向もしくは水平方向に回動したときにバウンス撮影状態にあることを検知するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−99411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、バウンス撮影状態を検知するためブラシとプリント基板により接点部を構成しており、垂直方向の回動時に該接点部をON状態にするためのメカ部材と、水平方向の回動時に該接点部をON状態にするためのメカ部材をそれぞれ用意している。したがって部品点数が多くなり大型化するという問題があった。またバウンス撮影状態を検知する該接点部が連結部に設けられているため、電源や制御部を有する本体部と接点部を有する連結部とをリード線やフレキシブルプリント基板などによって電気的に接続する必要があり、組立作業が複雑になる。また発光部をバウンス撮影状態にしたときにリード線が摩耗し信頼性が下がる、といった問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、バウンス撮影可能なストロボ装置において、発光部のバウンス撮影状態を検知するバウンス検知手段を、構成の小型化かつ組立の簡易化を達成しながら搭載したストロボ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明のストロボ装置は、発光部(2)が連結部(3)を介して本体部(1)に連結され、前記本体部(1)上面に突出するバウンス検知部材(5)を有し、前記発光部(2)下面に基本状態位置において、バウンス検知部材(5)と当接する突起部(2a)を有し、前記本体部(1)上面と対向する連結部(3)下面に、前記発光部(2)が水平方向で回動する全領域において、バウンス検知部材(5)に当たらない円周状の溝部(3a、3b)を有し、
水平方向回動、垂直方向回動によるいずれのバウンス撮影状態においても、突起部(2a)がバウンス検知部材(5)の当接より外れることでバウンス撮影状態を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ストロボ装置の本体部にバウンス検知手段を設けることで、装置構成の簡略化かつ小型化をし、組立性も有利なストロボ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のストロボ装置の一実施形態である発光部が正面位置の状態を示す説明図
【図2】本発明のストロボ装置の一実施形態である垂直、水平方向回動手段を示す説明図
【図3】本発明のストロボ装置の一実施形態である連結部の溝部を示す説明図
【図4】図1の状態から垂直方向に回動させたバウンス撮影状態を示す説明図
【図5】図1の状態から水平方向に回動させたバウンス撮影状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
[実施例1]
以下、図1〜5を参照して、本発明の第1の実施例による、ストロボ装置について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るストロボ装置の発光部が正面位置の状態を示す概略図である。図2は、本発明の実施形態に係るストロボ装置の垂直方向、水平方向の回動手段を示す概略図である。図3は、本発明の実施形態に係るストロボ装置のバウンス検知手段の一部である連結部の溝部を示す概略図である。また図4は、本発明の実施形態に係るストロボ装置の垂直方向に回動したバウンス撮影状態を示す概略図である。図5は、本発明の実施形態に係るストロボ装置の水平方向に回動したバウンス撮影状態を示す概略図である。
【0013】
まず、図1の正面位置の状態を示す概略図をもとに、各部の構成についての説明を行う。
【0014】
1はストロボ装置の本体部の上部を示しており、不図示のストロボ発光制御を行う制御基板や電池ボックス、電源供給回路、電源SWや設定切り替えSW等の各種操作部材が搭載されている。また本体部1は、不図示のカメラに固定され、本体部1とカメラとの間を金属接点等で接続して通信を行い、ストロボ発光量や撮影距離といったストロボ装置の制御が行われる。本体部1には、後述の発光部2が連結部3を介して垂直、水平方向に回動可能に連結されている。
【0015】
2はストロボ装置の発光部であり、キセノン管等の発光体11、反射傘12、フレネル板13、不図示のトリガコイル等のストロボの発光に必要な部品が搭載されている。ここで、発光体11や不図示のトリガコイルはリード線等によって後述の連結部3を通って本体部1の制御基板等と接続される。また発光部2には図1に示すように突起部2aが設けられており、該突起部2aは正面位置の時にバウンス検知部材5に当接し、バウンス検知部材5を本体部1の方向に押下げるようになっている。
【0016】
3はストロボ装置の連結部であり、本体部1と発光部2の間を連結しており、メインコンデンサ14を格納している。
【0017】
連結部3は、垂直方向回動手段により発光部2を垂直方向に回動可能な状態で保持している。垂直方向回動手段は図2に示すように、発光部2の両端が、円形状の垂直方向回動軸部材4に連結されており、垂直方向回動軸部材4の外周部4aと、連結部の両端に形成された円筒形の垂直方向回動穴部3cが勘合し、外周部4aの円筒形状の外周に沿って回動することで垂直方向の回動がなされる。
【0018】
また連結部3は、水平方向回動手段により本体部1に対して回動可能となっている。水平方向回動手段は、連結部3の下面に形成される円形状の水平方向回動突出部3dの外周が、本体部1の上面に形成される円形状の水平方向回動穴部1aに勘合されることで、水平方向回動穴部1aの中心軸Lを中心にして、水平方向の回動が可能となっている。
【0019】
さらに連結部3には、図3(a)、(b)に示すように溝部3aが設けられており、該溝部3aは水平方向回動時にバウンス検知部材5に連結部3の底面が接しないように逃がした形状の溝となっている。また図3(b)に示すように、連結部3には突起部回避溝部3bが設けられており、発光部2が正面位置や垂直方向の回動時であっても、突起部2aと連結部3が干渉しないようなっている。
【0020】
5はバウンス検知部材で、図1に示すように本体部1の連結部3側の面に設けられた本体溝部1bに配置されていて、本体穴部1cから検知部材穴部5aが本体部1の内部に差し込まれている。
【0021】
6はバウンス検知アーム部材であり、図1(b)に示すようにバウンス検知アーム部材6の軸部6aとバウンス検知部材5の検知部材穴部5aにより、バウンス検知部材5を軸部5a周りの方向に回転方向に自由な状態で保持している。またバウンス検知アーム部材6の円筒部6bが、本体部1に設けられたアーム保持部1dに保持されており、円筒部6bの中心軸周りに一定範囲を回転可能な状態となっている。さらに円筒部6bの逆側は検出SW当接部6cとなっており、図1(a)に示すように検出SW7の検出SWアーム部7aと当接するようになっている。
【0022】
またバウンス検知アーム部材6には不図示の付勢バネにより、円筒部6bを中心に検出SW当接部6cが連結部3の方向に付勢されている。したがって、バウンス検知部材5はバウンス検知アーム部材6により、連結部3の方向に付勢せれて、図1に示すように発光部が正面位置の時には突起部2aと接するようになっている。
【0023】
そして、バウンス検知部材5が突起部2aに当接して押し下げられたときには、バウンス検知アーム部材6は円筒部6bを中心に回転し、検出SWアーム部7aを押下げるようになっている。
【0024】
7は検出SWであり、検出SWアーム部7aが押されることでON/OFFを検出するタイプのスイッチである。検出SW7は実装基板10に半田付けにより実装されている。
【0025】
8はレリーズ釦で、撮影者にストロボ装置をリモコンとして使用させるためのものであり、撮影者がレリーズボタンを押下すると、レリーズ釦を介して実装基板10に実装されてレリーズSW9が押される。
【0026】
9はレリーズSWであり、周知のタクトスイッチなどによりON/OFFが検出されるスイッチであり、実装基板10に半田付けされて実装されている。
【0027】
なお、本実施形態では基板などの実装部品の削減により低コスト化を図るためレリーズSW9との基板を共有し、バウンス検知アーム部材6を介して検出SW7が押すことで正面位置を検知して、バウンス検知を行っているが、別の基板やフレキシブルプリント基板を用意して検出SW7をバウンス検知部材5と直接当たるように配置しても良い。また、検出SW7を直接、突起部2aと接するようにしてもよい。そうすることでバウンス検知アーム部材6の廃止による部品点数減や全体の小型化を図ることも可能である。
【0028】
図4は、図1の正面位置の状態から、発光部2が連結部3に対して回動した垂直方向回動状態の図である。
【0029】
図4に示すように発光部2が垂直方向に回動すると、突起部2aがバウンス検知部材5の当接から外れ、バウンス検知部材5はバウンス検知アーム部材6によって連結部3の方向に付勢され、本体部1の本体溝部1bから突出した状態になる。この時、バウンス検知部材5は、溝部3aに位置するため連結部3に当接することなく、突出したままの状態となる。またバウンス検知アーム部材6は不図示の付勢バネにより付勢されているため、円筒部6bの円筒軸を中心に検出SW当接部6cが連結部3の方向に持ち上がる。
【0030】
そして検出SW当接部6cが、検出SW7の検出SWアーム部7aの当接から外れ、検出SW7はOFFの状態となる。その結果、ストロボ制御部にて、ストロボ装置がバウンス状態にあることが検出される。
【0031】
図5は、図1の正面位置の状態から、連結部3が本体部1に対して回動した水平方向回動状態の図である。
【0032】
図5に示すように連結部3が水平方向に回動すると、突起部2aがバウンス検知部材5の当接から外れ、バウンス検知部材5はバウンス検知アーム部材6によって連結部3の方向に付勢され本体部1の本体溝部1bから突出した状態になる。この時バウンス検知部材5は、連結部3の水平方向回動位置がどの場所であっても、溝部3aに位置するため、連結部3の下面には当接することなく、突出したままの状態になる。その結果垂直方向の回動状態と同様に検出SWがOFFの状態となり、ストロボ装置がバウンス状態にあることが検出されるようになる。
【0033】
以上に示すように、本発明では発光部2に設けた突起部2aと連結部3に設けた溝部3aと、本体部1の上面に配置したバウンス検知部材5とにより、発光部2が水直、水平方向にバウンスしたことを検知できる構成とした。その結果、連結部3内にバウンス検知手段を設ける必要が無くなり、装置構成が簡略化かつ小型化され、さらにリード線配線等の組立性にも有利となる。またバウンス検知手段のリード線の可動による摩耗も減らし信頼性を向上させたストロボ装置を提供することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 本体部
2 発光部
3 連結部
4 垂直方向回動軸
5 バウンス検知部材
6 バウンス検知アーム部材
7 検出SW
8 レリーズ釦
9 レリーズSW
10 実装基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部(2)が連結部(3)を介して本体部(1)に連結され、前記本体部(1)上面に突出するバウンス検知部材(5)を有し、前記発光部(2)下面に基本状態位置において、バウンス検知部材(5)と当接する突起部(2a)を有し、前記本体部(1)上面と対向する連結部(3)下面に、前記発光部(2)が水平方向で回動する全領域において、バウンス検知部材(5)に当たらない円周状の溝部(3a、3b)を有し、
水平方向回動、垂直方向回動によるいずれのバウンス撮影状態においても、突起部(2a)がバウンス検知部材(5)の当接より外れることでバウンス撮影状態を検知することを特徴とするストロボ装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−145865(P2012−145865A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5685(P2011−5685)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】