説明

ストロークシミュレータ

【課題】ブレーキペダルの操作に反力を付与するストロークシミュレータにおいて、ブレーキペダルの操作量を検出することができ、かつ、小型化を可能にする。
【解決手段】ブレーキペダル13の操作量に基づき、コントローラ60により電動モータ14を制御して、ボール−ネジ機構16を介して押圧部材17を推進し、ピストン7を押圧してブレーキ液圧を発生させる。ブレーキペダル13の操作に反力を付与する反力バネ34を受ける固定バネ受部50に歪センサ70を取付ける。歪センサ70の検出信号に基づき、コントローラ60により、固定バネ受部50の歪を演算し、演算した歪から、反力バネ34のバネ力(ブレーキペダル踏力)、更に、反力バネ34のバネ特性からブレーキペダル13のストロークを演算する。歪センサ70は、小型で可動部も不要であるため、ストロークシミュレータ18の小型化が可能となり、センサの配線処理も容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両のブレーキ装置において、ブレーキペダルの操作に対して反力を付与するためのストロークシミュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキ装置において、ブレーキペダルの操作量を検出し、コントローラによってブレーキペダルの操作量に応じてアクチュエータの作動を制御し、アクチュエータが各車輪に設けられた摩擦ブレーキを作動させることによって制動を行うようにした、いわゆる「ブレーキ・バイ・ワイヤ」を適用したものが知られている。ブレーキ・バイ・ワイヤによるブレーキ装置においては、ブレーキペダルに踏み代(ストローク)を与えると共に、踏込みに対して適度な反力を付与するためにストロークシミュレータが用いられている。
【0003】
特許文献1には、ブレーキペダルと連動するマスタシリンダのピストンのストロークを検出するストロークセンサを設けて、ブレーキペダルの操作量を検出するようにしたストロークシミュレータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−104332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものでは、ピストンのストロークを直接検出するため、ストロークセンサが大きくなり、結果として、ストロークシミュレータが大型化するという課題がある。また、前述のブレーキ・バイ・ワイヤにおいては、ブレーキペダルの踏力を検出すると、さらに精度よくブレーキ制御を行うことができるが、上記特許文献1に記載されたストロークセンサでは、ブレーキペダルの踏力を直接検出することができず、踏力を検出するセンサが別途必要になり、さらにストロークシミュレータが大形化してしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、ブレーキペダルの操作量を検出することができ、かつ、小型化が可能なストロークシミュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、ブレーキペダルが連結される入力部材と、該入力部材の移動に対して反力を作用させる反力付与部材とを備えたストロークシミュレータにおいて、
前記反力付与部材の反力が作用する部位に、該反力による変形を測定する歪検出手段を設け、該歪検出手段の測定信号に基づき、少なくとも2種類の前記ブレーキペダルの操作量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るストロークシミュレータによれば、ブレーキペダルの操作量を検出することができ、かつ、小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るストロークシミュレータが組込まれた電動倍力装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す電動倍力装置の要部であるストロークシミュレータを拡大して示す縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るストロークシミュレータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態について、図1乃至図2を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る電動倍力装置1は、マスタシリンダ2に結合される。マスタシリンダ2は、タンデム型であり、プライマリ及びセカンダリの2つの液圧ポート3、4を有し、液圧ポート3、4には、2系統の液圧回路を有する液圧制御ユニット5を介して、4つの車輪にそれぞれ設けられた液圧式のブレーキ装置6が接続されている。ブレーキ装置6は、液圧によって制動力を発生する例えば公知のディスクブレーキ又はドラムブレーキとすることができる。なお、以下の説明において、「前方」、「前側」という場合には、車両の前進方向を示し、また、「後方」、「後側」という場合には、車両の後退方向を示すこととする。
【0011】
タンデム型のマスタシリンダ2には、直列に配置されたプライマリ及びセカンダリの一対のピストン7(プライマリ側のみを図示する)が挿入され、これらのピストン7の前進により、2つの液圧ポート3、4から同じ液圧を供給し、ピストン7の後退時には、ブレーキパッドの摩耗等に応じてリザーバ8から適宜ブレーキ液を補充する。そして、万一、2系統の液圧回路の一方が失陥した場合でも、他方の液圧回路に液圧が供給されるので、制動機能を維持することができる。
【0012】
液圧制御ユニット5は、液圧源である電動ポンプ及び増圧弁、減圧弁等の電磁制御弁を備え、各車輪のブレーキ装置6に供給する液圧を、減圧する減圧モード、保持する保持モード及び増圧する増圧モードを適宜実行して、制動力配分制御やアンチロックブレーキ制御等の各種制御を行う。
【0013】
本電動倍力装置1は、エンジンルームと車室とを区画する隔壁であるダッシュパネル(図示せず)を貫通して、マスタシリンダ2側をエンジンルーム内に、その反対側の入力ロッド10側を車室内に配置して、ダッシュパネルに固定される。入力部材である入力ロッド10には、クレビス12を介してブレーキペダル13が連結される。
【0014】
本電動倍力装置1は、マスタシリンダ2のピストン7を駆動するための電動モータ14と、電動モータ14によってベルト伝動機構15を介して駆動される回転−直動変換機構であるボールネジ機構16と、ボールネジ機構16によって推進されてピストン7を押圧する押圧部材17と、入力ロッド10に連結される反力発生機構であるストロークシミュレータ18とを備えている。
【0015】
ボールネジ機構16、押圧部材17及びストロークシミュレータ18は、同軸上に配置されてハウジング19に収容されている。このハウジング19の、ボールネジ機構16の軸方向における一端側19Aにマスタシリンダ2が結合され、一方、ハウジング19の、ボールネジ機構16の軸方向における他端部19Bには後方に突設された円筒部19Cが形成される。この円筒部19Cの後端から入力ロッド10が突出している
【0016】
押圧部材17は、ピストン7の後方にピストン7と同軸上に配置され、ピストン7の円筒状の後端部側に挿入されてピストン7を押圧する前側小径ロッド部17Aと、該後側小径ロッド部17Bと、これらの間に配置された大径ロッド部17Cとが一体に形成されている。
【0017】
ボールネジ機構16は、円筒状の直動部材22と、直動部材22が挿入される円筒状の回転部材23と、これらの間に形成された螺旋状のネジ溝に装填された複数の転動体であるボール24(鋼球)とを備えた中空構造となっている。直動部材22は、ハウジング19内で軸方向に沿って移動可能に支持され、且つ、軸回りに回転しないように支持されている。直動部材22の軸方向略中央部位には、その内周面に内方に突設する案内部28が形成される。回転部材23は、ハウジング19内でベアリング27、27によって軸回りに回転可能に、且つ、軸方向に移動しないように支持されている。そして、回転部材23を回転させることにより、ネジ溝内をボール24が転動して直動部材22が軸方向に移動する。
【0018】
直動部材22の内部に、押圧部材17の後側小径ロッド17B及び大径ロッド部17Cが挿入され、直動部材22の案内部28から前側の内周面に大径ロッド部17Cが、また、案内部28の内周面に後側小径ロッド17Bが軸方向に沿って摺動可能に支持される。そして、直動部材22の案内部28の前端環状面28Aに押圧部材17の大径ロッド部17Cの後端環状面17C´が当接している。この当接により、直動部材22がマスタシリンダ2側へ前進して大径ロッド部17Cの後端環状面17C´を押圧することになり、押圧部材17が直動部材22と共に前進して前側小径ロッド部17Aがマスタシリンダ2のピストン7を押圧する。また、押圧部材17は、その大径ロッド部17Cが直動部材22から離間することにより、直動部材22の移動を伴わずに単独で前進することができる。ハウジング19の一端部19Aと直動部材22の前端に設けた受け部材22Aとの間には、圧縮コイルバネである戻しバネ29が介装されて、直動部材22をブレーキペダル13が配置されるハウジング19の他端部19B側、すなわち、後方に常時付勢している。
【0019】
ベルト伝達機構15は、回転部材23に一体的に固定される回転部材側プーリ30と、電動モータ14の出力軸40に一体的に固定されるモータ側プーリ32と、これら回転部材側プーリ30とモータ側プーリ32とに巻装されるベルト31とから構成される。なお、電動モータ14は、例えば公知のDCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等とすることができるが、制御性、静粛性、耐久性等の観点から本実施形態ではDCブラシレスモータを採用している。
【0020】
回転部材側プーリ30は、回転部材23の外周面でベアリング27、27の間の位置に固定される。なお、ハウジング19の一端部19A´、すなわち、ボールネジ機構16の軸方向における一端部19Aから側方に、且つ後方に位置する一端部19A´に、電動モータ14取付用のモータ用フランジ19Dが固定される。モータ用フランジ19Dには、後方に突設する円筒部20が形成される。モータ用フランジ19Dは、その円筒部20がハウジング19内に延びるようにハウジング19の一端部19A´に固定される。そして、電動モータ14の本体部がハウジング19のモータ用フランジ19Dに連結され、その出力軸40がハウジング19内の円筒部20内に挿通される。出力軸40は、円筒部20との間に設置されたベアリング41により回転自在に支持される。また、ベアリング41より後方で、モータ用フランジ19Dの円筒部20と出力軸40との間には、出力軸40の回転角度を検出するレゾルバ42が配置されている。レゾルバ42は、出力軸40と共に回転するレゾルバロータ43と、モータ用フランジ19Dの円筒部20に固定されるレゾルバステータ44とからなる。さらに、電動モータ14の出力軸40の先端にモータ側プーリ32が一体的に固定される。そして、電動モータ14の出力軸40からの回転駆動がベルト31を介して回転部材23に伝達されるようになる。
【0021】
次に主に図2を参照してストロークシミュレータ18について説明する。
図2に示すように、ストロークシミュレータ18は、ハウジング19の他端部19Bから後方に向けて突設された円筒部19C内に配置されている。ストロークシミュレータ18は、円筒部19C内に軸方向に沿って摺動可能に挿入された有底円筒状の可動バネ受部材33と、円筒部19C内に挿入されて、円筒部19Cの前端内周部に形成されたフランジ状の固定バネ受部50と、可動バネ受部材33の環状底部33Aとの間に介装され、反力付与部材としての圧縮コイルバネである反力バネ34と、を備えている。
【0022】
可動バネ受部材33は、環状底部33Aの内周端から前方へ延びる円筒状のロッド受部33Bと、環状底部33Aの外周端から前方へ延びその外周面が円筒部19Cの内周面に摺動する円筒状の摺動筒部33Cと、ロッド受部33Bの前端部に嵌合固定されるロッド受部材35とから構成される。このロッド受部材35に入力ロッド10の先端部が連結されている。可動バネ受部材33のロッド受部材35(ロッド受部33B)は、押圧部材17と同軸上に配置されて、押圧部材17の後側小径ロッド部17Bの後端面とロッド受部材35の前端面とが互いに対向している。可動バネ受部材33は、環状底部32Aがストッパ51に当接することにより、その後退位置が規制されている。そして、可動バネ受部材33が、図2に示す非制動位置(ストッパ51に当接して最も後退した位置)にあるときには、押圧部材17の後側小径ロッド部17Bの後端面と、可動バネ受部材33のロッド受部材35の前端面との間に所定の隙間Sが形成される。
【0023】
反力バネ34の一端部を支持する固定バネ受部50の反力バネ34とは反対側の端部には、歪センサ70が装着されている。歪センサ70は、反力バネ34のバネ力が作用する部位である固定バネ受部50に設けられ、ブレーキペダル13の踏力によって圧縮される反力バネ34が発生するバネ力によって固定バネ受部50に生じる変形、すなわち歪の量を測定するものである。歪センサ70は、車載のコントローラ60に接続されている。
【0024】
そして、コントローラ60により、歪センサ70の測定信号に基づいて固定バネ受部50の変形量すなわち歪量を演算し、この演算した歪量から、反力バネ34のバネ力、すなわち、ブレーキペダル13の操作量である踏力、更に、反力バネ34のバネ特性からブレーキペダルの操作量であるペダルストロークを演算する。このとき、例えば、固定バネ受部50の歪と、反力バネ34のバネ力あるいはストロークとの関係を表すマップ又はテーブルを予め作成し、このマップ又はテーブルを用いてブレーキペダル13の操作量を演算してもよい。
【0025】
歪センサ70としては、金属薄膜による通常の歪ゲージを用いることができるが、ここでは、半導体歪ゲージを用いることが望ましい。従来から知られている通常の歪ゲージは、Cu−Ni系合金やNi−Cr系合金の金属薄膜の配線パターンを可撓性のあるポリイミドやエポキシ樹脂フィルムで覆った構造である。歪ゲージは、被測定物に接着剤で接着して使用し、金属薄膜が歪を受けて変形した時の抵抗変化から歪量を算出するものである。また、金属薄膜の歪ゲージでは、抵抗変化が小さいため、得られる電気信号を増幅する必要があり、そのため外部のアンプが必要となる。
【0026】
これに対して、半導体歪ゲージは、検知部が金属薄膜ではなく、シリコン等の半導体に不純物をドープして形成した半導体ピエゾ抵抗を利用したものである。半導体歪ゲージは、歪に対する抵抗変化率が金属薄膜を用いた従前の歪ゲージの数十倍と大きく、微小な歪、例えば、1με程度の歪を測定することが可能である。また、半導体歪ゲージは抵抗変化が大きいため、得られた電気信号を外部のアンプを用いずに使用することもでき、また、半導体歪ゲージの数ミリ角のチップにアンプ回路や温度センサ及び温度補償回路等を作りこむことも可能である。さらには、無線回路等を設けて、被接触でデータを取り出すことも可能である。
【0027】
この半導体歪ゲージは、被測定物に接着剤や金属接合により固定することも可能であり、また、半導体歪ゲージを金属板に接着し、スポット溶接により固定することも可能である。
【0028】
本実施形態においては、半導体歪ゲージを用いることにより、通常の金属薄膜による歪ゲージを用いた場合に比して、歪量の測定精度を高め、また、取付スペースを小さくすることができるので、半導体歪ゲージを用いることが望ましいが、必要な測定精度及び取付スペースが得られれば、通常の歪ゲージを用いてもよい。
【0029】
コントローラ60には、上記の歪センサ70のほか、レゾルバ42及びマスタシリンダ2の液圧を検出する液圧センサ(図示せず)等の各種センサが設けられる。そして、コントローラ60は、これらのセンサの検出に基づいて電動モータ14の作動を制御する。
【0030】
次に、本実施の形態に係る電動倍力装置1の作用について説明する。
通常の制動時には、運転者により、ブレーキペダル13が操作されると、その操作量を歪センサ70によって検出し、コントローラ60により、ブレーキペダル13の操作量に応じて、レゾルバ42の検出を監視しながら、電動モータ14の作動を制御する。そして、電動モータ14によってベルト伝動機構15を介してボールネジ機構16を駆動し、戻しバネ29のバネ力に抗して直動部材22を前進させ、押圧部材17によってピストン7を押圧してマスタシリンダ2に液圧を発生させ、液圧制御ユニット5を介して各車輪のブレーキ装置6に液圧を供給して車両に制動力を発生させる。このとき、押圧部材17の後側小径ロッド部17Bの後端面と、可動バネ受部材33のロッド受部材35の前端面との間の隙間Sが維持される。そして、ブレーキペダル13には、その操作量に応じてストロークシミュレータ18の反力バネ34のバネ力による一定の反力が付与されるので、運転者は、ブレーキペダル13の操作量を調整することにより、所望の制動力を発生させることができる。
【0031】
また、コントローラ60が、ブレーキペダル13の操作量に対する電動モータ14の制御量を変化させることにより、ハイブリッド自動車や電気自動車において減速時に車輪の回転によって発電機を駆動して、運動エネルギーを電力として回収する回生制動時に回生制動分だけマスタシリンダ2の液圧を減圧して所望の制動力を得る回生協調制御を実行することができる。この場合にも、押圧部材17の後側小径ロッド部17Bの後端面と、可動バネ受部材33のロッド受部材35の前端面とが当接することなく、一定量ではないが隙間Sが維持される。この場合、回生制動分だけマスタシリンダ2の液圧が変動しても車両の減速度はブレーキペダル13の操作量に応じたものとなるため、ストロークシミュレータ18の反力バネ34によって付与されるブレーキペダル13の反力が運転者に違和感を与えることがない。
【0032】
ブレーキペダル13の操作量を検出する検出手段として、歪センサ70を用いたことにより、特許文献1に示されるようなストロークセンサを用いる場合に比して、センサが小型であり、また、可動部が不要であるため、ストロークシミュレータの小型化が可能になると共に、構造が簡素になり、センサの配線処理も容易になる。また、歪センサ70は、半導体式であるため、内部に無線回路(図示せず)等を搭載し、コントローラ60側に無線受信回路を設けることにより、歪センサ70とコントローラ60との間で無線通信によって非接触で検出信号を授受することが可能となる。
【0033】
本実施形態において、歪センサ70は、固定バネ受部50の他、可動バネ受部材33、ロッド受部材35、入力ロッド10等の反力バネ34のバネ力が作用する可動部材に設け、これらの部材の歪、すなわち変形量を測定することにより、ブレーキペダル13の操作量を検出することもできる。可動バネ受部材33、入力ロッド10等の可動部材に歪センサ70を設ける場合には、歪センサ70の移動を許容するように配線を行うか、あるいは、上述の無線通信による信号伝達を行うようにする。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。
なお、以下の説明において、ストロークシミュレータ部のみを図示し、上記第1実施形態のものに対して、同様の部分には、同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0035】
図3に示すように、本実施形態に係るストロークシミュレータ18´では、歪センサ70は、固定バネ受部50に代えて反力バネ34自体に装着されている。このとき、歪センサ70を反力バネ34の固定バネ受部50との当接部の付近に取付けることにより、反力バネ34の伸縮による歪センサ70の移動量が小さくなり、有線接続の場合の配線処理が容易になる。そして、歪センサ70により、反力バネ34の撓み、すなわち、歪を直接検出し、コントローラ60により、歪センサ70の検出信号に基づき、反力バネ34のバネ力、すなわち、ブレーキペダル13の操作量である踏力、更に、反力バネ34のバネ特性からブレーキペダル13の操作量であるペダルストロークを演算する。これにより、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0036】
なお、本発明に係るストロークシミュレータは、上記第1及び第2実施形態の他、様々な形式のブレーキ・バイ・ワイヤ型のブレーキシステムに組込んで使用することができる。例えば、ブレーキキャリパに設けられた電動モータによって摩擦パッドを推進して車輪と共に回転するディスクロータに押圧して制動力を得る電動ディスクブレーキを用いたブレーキシステム、あるいは、ブレーキペダルの操作量に応じて、ポンプ等の液圧源によってブレーキ液圧を発生させて、液圧式ブレーキを作動させるブレーキシステムに適用することができる。
【0037】
なお、本実施形態においては、反力付与部材として圧縮コイルバネである反力バネ34を用いたが、踏力に対する反力を付与できるものであれば、これに限ることはなく、巻きばねや皿ばね等の金属ばねのほか、合成樹脂、ゴム等の弾性体や、空気ばねや油圧ばね等の流体ばねとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
13…ブレーキペダル、70…歪センサ(歪検出手段)、10…入力ロッド(入力部材)、34…反力バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルが連結される入力部材と、該入力部材の移動に対して反力を作用させる反力付与部材とを備えたストロークシミュレータにおいて、
前記反力付与部材の反力が作用する部位に、該反力による変形を測定する歪検出手段を設け、該歪検出手段の測定信号に基づき、少なくとも2種類の前記ブレーキペダルの操作量を検出することを特徴とするストロークシミュレータ。
【請求項2】
前記歪検出手段は、前記反力付与部材が力を伝達する部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のストロークシミュレータ。
【請求項3】
前記歪検出手段は、前記反力付与部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のストロークシミュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−71722(P2013−71722A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214671(P2011−214671)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)