説明

ストロー内蔵リシール容器

【課題】 ストローを袋容器内に内蔵させ内容液を数回に分けて吸飲する場合に、途中での液漏れを防ぎ、そのストローを再使用が可能になるように埃等が付着することを防ぐリシールが可能であるストロー内蔵リシール容器を提供する
【解決手段】 ストロー2の先端のストロー吸い口部12を収容することが可能なストロー吸い口部収容部8と内容液を収容可能な袋本体部11とを有していて、ストロー2を先端がストロー吸い口部収容部8内にあってストロー2の下端部19が袋本体部の底部24近傍に達している状態で収納して内蔵している袋容器を備え、ストロー吸い口部収容部と袋本体部とは互いの連通が遮断されていてストローを通してのみ連通しており、ストローはリシール可能なリシール構造22を有しかつストローはリシール構造部よりも下端部寄りの部分20で袋容器に固着されていることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は袋容器(パウチ容器)にジュースなどの内容液を充填した場合に、その袋容器から内容液を吸飲するためのストローを内蔵した袋容器におけるリシール技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートシール性を有する樹脂製フィルムやこれらに金属の蒸着を施したフィルム、あるいは紙やアルミニウム箔等の金属箔などの積層体を用いた包袋に内溶液を吸飲するためのストローを設けた吸飲具付き袋容器が多種提案され、実際に上市されている。これらの多くはストローの端部の飲み口部がむき出しであり、輸送中や保管中あるいは店頭での販売中に埃等が付着したり、人の手が触れたりするのを完全に防止することが困難であった。そこでこの点を改良すべく工夫されたいくつかの提案が先になされている。しかしこれらの改良された技術をもってしても、飲料用袋容器として見た場合、それらは端部の飲み口部に内容液が付着したり、比較的高粘度で絞り出し適性を有する内容品に限定されるなどの問題点を有している。
【0003】
【特許文献1】特開平8−337255号
【特許文献2】特開平10−305850号
【特許文献3】特開平11−130153号
【特許文献4】特開平11−152152号
【特許文献5】特開平11−263354号
【特許文献6】特開2000−289763号 特許文献1ではストローの途中に蛇腹を設け、その蛇腹の部分でストローを折り曲げた状態で袋容器に内蔵しておき、袋容器を引き裂き開口したときに、その開口からストローを摘み出して内容液を吸飲するものである。ただしストローの上端は開口から突出せず、開口からかなり下に位置しているので、ストローの取り出しが難しい。
【0004】
特許文献2では、注出具の注出口のリシールを図ったものであるが、この注出具は袋容器の上端に取り付けられている剛性の栓体構造のもので、ストローではないので、内容液の吸飲が難しい。
【0005】
特許文献3では注出具は内容液に浸漬するストローではなく、袋容器の上端に取り付けられている剛性の栓体構造のものであるので、内容液の吸飲が難しい。
【0006】
特許文献4では袋容器にストローを内蔵するが、ストローの上端は袋容器から突出していて、この突出部分にリシール可能なキャップが装着されている。したがって突出部分は未開封状態の袋容器には内包されていないので、突出部分が保護されない。
【0007】
特許文献5では容器に注出具を取り付け、その注出具が容器から突出する先端部を開閉可能な密封室で覆うものである。しかし注出具の先端が容器から突出しないので、吸飲が難しい。またここでは注出具はストローではない。
【0008】
特許文献6では袋容器にストローを内蔵するが、ストローの上端は初めから袋容器から突出していて、この突出部分にリシール可能なキャップが装着されている。したがってキャップは袋容器に内包されていないので、袋容器によって保護されることはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は上記の如き事情に鑑みてなされたものであって、ストローを袋容器内に内蔵させた場合に、ストローを使用した後に、そのストローの吸い口を再使用が可能になるように液漏れを防いだり、埃等が付着することを防ぐリシールが可能であり、また、ストローが袋容器内の内容液の液面下に沈むことがなく保持することができ、かつストローの端部の吸い口が袋容器から常に突出していて摘み易く、かつ構造が簡単なストロー内蔵リシール容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的に対応して、この発明のストロー内蔵リシール容器は前記ストローの先端のストロー吸い口部を収容することが可能なストロー吸い口部収容部と内容液を収容可能な袋本体部とを有していて、前記ストローを先端が前記ストロー吸い口部収容部内にあってストローの下端部が前記袋本体部の底部近傍に達している状態で収納して内蔵している袋容器を備え、前記ストロー吸い口部収容部と前記袋本体部とは互いの連通が遮断されていて前記ストローを通してのみ連通しており、前記ストローはリシール可能なリシール部を有しかつ前記ストローは前記リシール部よりも前記下端部寄りの部分で前記袋容器に固着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明のリシール容器では、ストローが袋容器内に内溶液と共に内蔵されているので、吸飲具を別途に用意する必要がなく、そのストローを用いて直ちに内溶液を吸飲することができる。
袋容器から内溶液を一部分吸い出した後に、残液を一時的に保存しておく場合にはストローをリシールすることができるので、内容液を清潔に保ち、内容液の吹き出しや、漏れ出しを防ぐことができる。ストローのリシールは、単にストローの上端部の吸い口部をキャップで閉じることであり、またはストローの吸い口部の下方部分を一重または二重にキンク折り曲げするだけでよいので、簡単にリシールが可能で構造も簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の詳細を一実施の形態を示す図面について説明する。
【0013】
図1から図5において、1aはストロー内蔵リシール袋容器である。
ストロー内蔵リシール容器1aはストロー2を袋容器3内に封入して備えている。
袋容器3はヒートシール性を有する樹脂製フィルムやこれらに蒸着を施したフィルム、あるいは紙やアルミニウム箔等の金属箔などの積層体を用いた左右の胴片4、5と底片6を周縁部のヒートシール部7でヒートシールして袋状に構成した容器である。袋容器3はストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とを隣接させて備えている。ストロー吸い口部収容部8はストロー2の先端の吸い口部12を収容する部分であって、袋容器3の1つの隅角部13に形成されている。ストロー吸い口部収容部8は周辺部をヒートシール部9によってヒートシールされて中央部に空所10が形成され、この空所10内にストロー2の吸い口部12を収容する。袋本体部11は周縁部をヒートシール部7でヒートシールして袋状に構成されていて、内容液14を収容する部分であって、袋容器3に対する内容液14の未充填の状態では袋容器3の上端部は充填口15を用意するために未シールの状態になっている。ストロー2は先端の吸い口部12がストロー吸い口部収容部8内にあってストロー2の下端19が袋本体部11の底部24の近傍に達している状態で袋容器3内に内蔵されている。
【0014】
袋容器3においてストロー吸い口部収容部8と袋本体部11は隣り合って配置されているが両者は連通してはいない。ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との境界部の近傍において、袋本体部11の上端は図3に示すようにヒートシール部16によって左胴片4、右胴片5及びストロー2の外面が一体的にヒートシールされ、このヒートシール部16によって袋本体部11の上端開口部は閉じられ、ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との連通は断絶されている。但しストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との両者にわたってストロー2が配置されているので、ストロー2の中空を通してのみストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とは連通していることになる。ストロー2はヒートシール部16によって袋本体部11に固着している。
【0015】
ストロー吸い口部収容部8の基端部はヒートシール部16の直近の切り裂き部分17で切り裂くことが可能であり、この切り裂きによってストロー吸い口部収容部8は開封する。この切り裂きはストロー吸い口部収容部8の全幅にわたってストロー吸い口部収容部8を横断して行われ、ストロー吸い口部収容部8は袋本体部11から完全に切り離されるのでもよいし、または側部に連結部18を残して切り離して開封するのであってもよい。
【0016】
切り裂き部分17には弱め線21を設けてもよい。この弱め線21は切り裂き部分17における切り裂きを容易にするための弱部である。ストロー2の先端の吸い口部12にはリシール構造22が採用されている。リシール構造22は一旦開口したストローの中空部の連通を遮断して内容液14の流通を途絶させるための構造であり、この図1から図4に示す実施態様では、リシール構造としてストロー2の吸い口部12に着脱して吸い口部12を開閉するキャップ23を備えることにより構成している。ストロー2の吸い口部12はキャップ23が嵌合してシールされた状態でストロー吸い口部収容部8内に納まっている。
【0017】
このように構成されたストロー内蔵リシール容器1aにおいて、内溶液14はパッケージング工程において充填口15から充填され、充填後に充填口15がヒートシールされて、商品が完成する。
【0018】
次にこのストロー内蔵リシール容器1aから需要者が内溶液14を飲もうとする場合には袋容器3のストロー吸い口部収容部8を切り裂き部分17から切り離す。これによりストロー2の吸い口部12がキャップ23を装着した状態で露出する。この状態でキャップ23をはずし、内溶液14を吸飲することができる。飲む操作を途中で止めた場合には、吸い口部12にキャップ23を再び嵌合させれば、ストロー2を吸い口部12でリシールすることができる。
【0019】
図6から図9はこの発明の他の実施形態に係るストロー内蔵リシール容器1bが示されている。このストロー内蔵リシール容器1bにおいては、ストロー2として途中に1個のキンク部分31を有するキンクストローを使用したものであり、リシール構造22もこのキンク部分31を利用して構成されている。すなわち、図6に示すように、ストロー2の上端の吸い口部12及びその下のキンク部分31がストロー吸い口部収容部8の空所10内に入っている状態でストロー内蔵リシール容器1bが構成されている。キンク部分31はストロー2が急角度で折れ曲がることによってストロー2の中空部の連通が遮断し、またその折れ曲がりが緩角度に変化したり、直管状に復元することによってストロー2の中空部が連通する部分である。ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との境界部の近傍において、袋本体部11の上端は図7に示すようにヒートシール部16によって左胴片4、右胴片5及びストロー2の外面が一体的にヒートシールされ、このヒートシール部16によって袋本体部11の上端開口部は閉じられ、ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との連通は遮断されている。但しストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とはストロー2の中空部を通してのみ連通されている。ヒートシール部16の中間部32は袋本体部11側に後退しているので、袋本体部11の上端に窪み33が形成される。またストロー2はキンク部分31の下方部分でヒートシール部16によって袋本体部11に固着している。このストロー内蔵リシール容器1bから内溶液14を飲もうとする場合には図9に示すように、袋容器3のストロー吸い口部収容部8を引き裂き部分17から切り離すと、そこにストロー2の先端部がキンク部分31で折れ曲がって臨んでいる。ストロー2の先端の吸い口部12は袋本体部11の窪み33の縁に当たって押さえられているので、ストロー2のキンク部分31の折れ曲がった姿勢は保持されてストロー2の連通は遮断しており、袋本体部11内の内容液14は流れ出ない。そこで図8に示すようにその吸い口部12を摘んでキンク部分31を伸ばしてストロー2を連通させ、内容液14を吸飲することができる。
【0020】
リシールする場合は図9に示すように、再びキンク部分31を折り曲げて吸い口部12を下向きにして、窪み33に少し差し込んで姿勢を保つようにする。これにより吸い口部12をリシールすることができる。
【0021】
ストロー2としては図10から図13に示す他の実施態様のストロー内蔵リシール容器1cのように、キンク部分31を2つ有するストロー(Zキンクストロー)の方が、飲むときには2つのキンク部分31(キンク部分31a、31b)が伸長して吸い口部12の突き出し量が大きくて飲む操作が容易になり、またリシールするときには2つのキンク部分31(キンク部分31a、31b)でシールし、その姿勢は窪み33の縁に当接させて保持するので、リシールが一層確実である。このストロー内蔵リシール容器1cの構造はストロー2の構造を除いてはストロー内蔵リシール容器1bの構造と実質的に同じである。すなわち、図10に示すように、ストロー2の上端の吸い口部12及びその下の2つのキンク部分31a、31bがストロー吸い口部収容部8の空所10内に入っている状態でストロー内蔵リシール容器1cが構成されている。ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との境界部の近傍において、袋本体部11の上端は図11に示すようにヒートシール部16によって左胴片4、右胴片5及びストロー2の外面が一体的にヒートシールされ、このヒートシール部16によって袋本体部11の上端開口部は閉じられ、ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との連通は遮断されている。但しストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とはストロー2の中空部を通してのみ連通されている。またストロー2はキンク部分31bの下方部分でヒートシール部16によって袋本体部11に固着している。このストロー内蔵リシール容器1cから内溶液14を飲もうとする場合には図13に示すように、袋容器3のストロー吸い口部収容部8を引き裂き部分17から切り離すと、そこにストロー2の先端部がキンク部分31a、31bで折れ曲がって臨んでいる。ストロー2の先端の吸い口部12は袋本体部11の窪み33の縁に当たって押さえられているので、ストロー2のキンク部分31a、31bの折れ曲がった姿勢は保持されてストロー2の連通は遮断しており、袋本体部11内の内容液14は流れ出ない。そこで図12に示すようにその吸い口部12を摘んで両キンク部分31a、31bを伸ばしてストロー2を連通させ、内容液14を吸飲することができる。
【0022】
リシールする場合は図13に示すように、再び両キンク部分31a、31bを折り曲げ、窪み33の内面に干渉させて姿勢を保つようにする。これにより吸い口部12をリシールすることができる。
【0023】
図14から図17にはこの発明の他の実施例に係るストロー内蔵リシール容器1dが示されている。このストロー内蔵リシール容器1dではストロー2として上端部の近傍に1個のキンク部分31が設けられており、かつその下方に蛇腹部分34が設けられているものを使用する。ストロー内蔵リシール容器1dは蛇腹部分34の下方において袋容器3にヒートシール部16によって固着されている。このストロー内蔵リシール容器1dにおいてはリシールを実現させるための構造は先に説明した他の実施例のストロー内蔵リシール容器1bと実質上同等である。このストロー内蔵リシール容器1dにおいてはストロー2に蛇腹部分34が設けられているので、長手方向に屈伸可能であり、内容液14の吸飲操作が容易である。すなわち、図14に示すように、ストロー2の上端の吸い口部12及びその下のキンク部分31及び蛇腹部分34がストロー吸い口部収容部8の空所10内に入っている状態でストロー内蔵リシール容器1dが構成されている。ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との境界部の近傍において、袋本体部11の上端は図15に示すようにヒートシール部16によって左胴片4、右胴片5及びストロー2の外面が一体的にヒートシールされ、このヒートシール部16によって袋本体部11の上端開口部は閉じられ、ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との連通は遮断されている。但しストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とはストロー2の中空部を通してのみ連通されている。またストロー2は蛇腹部分34の下方部分でヒートシール部16によって袋本体部11に固着している。このストロー内蔵リシール容器1bから内溶液14を飲もうとする場合には図17に示すように、袋容器3のストロー吸い口部収容部8を引き裂き部分17から切り離すと、そこにストロー2の先端部がキンク部分31で折れ曲がって臨んでいる。ストロー2の先端の吸い口部12は袋本体部11の窪み33の縁に当たって押さえられているので、ストロー2のキンク部分31の折れ曲がった姿勢は保持されてストロー2の連通は遮断しており、袋本体部11内の内容液14は流れ出ない。そこで図16に示すようにその吸い口部12を摘んでキンク部分31を伸ばしてストロー2を連通させ、かつ蛇腹部分34でストロー2の向きを調節して内容液14を吸飲することができる。
【0024】
リシールする場合は図17に示すように、再びキンク部分31を折り曲げ吸い口部12を下向きに折り曲げ、窪み33に少し差し込んで姿勢を保つようにする。これにより吸い口部12をリシールすることができる。
【0025】
図18から図21にはZキンクストローを使用したこの発明の他の実施態様に係るストロー内蔵リシール容器1eが示されている。この実施例のストロ内蔵リシール容器1eではストロー2の2個のキンク部分31a、31bがストロー2の先端から大きく中央部にかけて形成されている形式のものを用いており、これに対応して、キンク部分31a、31bを収容する空所10が大きくかつ深く形成され、かつ開封後のストロー2の吸い口部12を覆って埃等が付着するのを防ぐ手段が講じられている点で他の実施例のストロー内蔵リシール容器1b、1c、1dと異なっている。すなわち、図18、図19及び図20において1eはストロー内蔵リシール容器である。ストロー内蔵リシール容器1eは左右の胴片4、5と底片6とを周縁部7でヒートシールして袋状に構成した袋容器3を有している。袋容器3はストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とを隣り合わせに備えている。ストロー吸い口部収容部8はストロー2の先端の吸い口部12を収容する部分であって、袋容器3の1つの隅角部13に形成されている。ストロー吸い口部収容部8は周辺部をヒートシール部9によってヒートシールされて中央部に空所10が形成され、この空所10内にストロー2の吸い口部12を収容する。
【0026】
袋本体部11は周縁部をヒートシール部7でヒートシールして袋状に構成されて内容液14を収容する部分である。
【0027】
ストロー2は先端の吸い口部12がストロー吸い口部収容部8内にあってストロー2の下端19が袋本体部11の底部24の近傍に達している状態で袋容器3内に内蔵されている。袋容器3においては図20に示すように、ヒートシール部7、16によって左胴片4、右胴片5及びストロー2の外面が一体的にヒートシールされ、このヒートシール部によってストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との連通は遮断され、ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11との両者にわたってストロー2が配置されているので、このストロー2の中空を通してストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とは連通している。
【0028】
ヒートシール部16の中間部32は袋本体部11側に大きく後退しているので、袋本体部11の側部に大きな縦長の窪み33が形成されている。ストロー2は2つのキンク部分31a、31bの下側でヒートシール部16によって袋容器3に固着している。
【0029】
縦長の窪み33はストロー2の中間部を収容してストロー2の動作を許容するための動作室35を構成するものである。動作室35の上端ではヒートシール部16を内側に張り出した形状にしてその張り出した部分がストロー2の動作に対するガイド部36として機能するように構成する。ストロー2は上端がストロー吸い口部収容部8内にあり、中間部が動作室35内にあり下端部19が袋本体部11内に位置する状態で袋容器3内に内蔵されるストロー2の中間部には2つのキンク部分31a、31bがあり、リシール構造22はこの2つのキンク部分31a、31bによって構成される。ストロー2の2つのキンク部分31a、31bが急角度で折れ曲がることによってストロー2の中空部の連通が遮断し、またその折れ曲がりが緩角度に変形することによってストロー2の中空部は連通し、ストロー2は内容液14を流通させることができる。
【0030】
ストロー吸い口部収容部8は袋本体部11に対して切り裂き部分17において切り裂いて窪み33を開封することができる。切り裂き部分17はa点から始まってb点に達している。切り裂き部分17には弱め線21を設けてもよい。ストロー吸い口部収容部8は袋本体部11との間を完全に切り離して分離する構造としてもよいし、若しくは連結部18だけを切り残して、袋本体部11と連結する構造としてもよい。この実施例のストロー内蔵リシール容器1eでは連結部18が切り残されて袋本体部11にストロー吸い口部収容部8が連結している構造となっている。連結部18が切り残される構造の場合は、その連結部18がヒンジとして機能して、開封後のストロー吸い口部収容部8が連結部18を中心として回転変位して窪み33及びそこに露出しているストロー2の先端の吸い口部12を開閉するための蓋体として機能する。ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とは切り離しの時の縁部の形状として、切り離し開始点aの近傍の切り離し部分17の両側に突起38、41が形成され、開封後のストロー吸い口部収容部8が窪み33を閉じる時には突起38、突起41とが係合して、ストロー吸い口部収容部8と袋本体部11とを仮係止させることができる。袋容器3に対する内容液14の未充填の状態では、袋容器3の上端部は充填口15を用意するために未シールの状態になっている。
【0031】
このように構成されたストロー内蔵リシール容器1eにおいて、内溶液14が充填され、充填口15がヒートシールされて商品が完成する。
【0032】
次にこのストロー内蔵リシール容器1eから需要者が内溶液14を飲もうとする場合には、袋容器3のストロー吸い口部収容部8を切り裂き部分17の弱め線21に沿って切り裂いた後、ストロー吸い口部収容部8を引っ張る。袋本体部11とストロー吸い口部収容部8との間は連結部18で繋がっているので、連結部18を中心としてストロー吸い口部収容部8が回転して袋本体部11の窪み33が開口する。この窪み33が開口すると、それまでストロー吸い口部収容部8に拘束されていたストロー2が、その拘束から解放されるので、ストロー2の先端を手指で摘んで引き上げることができる。この引き上げによってキンク部分31a、31bの鋭角の曲がりが緩められて、ストロー2はガイド部36に案内されて伸長し、ストローの中空は連通し、先端の吸い口部12が窪み33の上方に引き出され、吸い口部12と袋本体部11の内部とがストロー2の中空を通して連通し、吸い口部12から内容液14が吸飲可能となる。
【0033】
途中で吸飲を止めてリシールする場合には、ストロー2の先端を手指で摘んで押し下げると、この押し下げによってキンク部分31a、31bが再び鋭角に曲がり、ストロー2の中空の連通は遮断され、リシールが再現する。ストロー吸い口部収容部8を連結部18の回りに回転させて、窪み33を閉じるとストロー2の先端の吸い口部12が覆われる。このとき、ストロー吸い口部収容部8の突起38と袋本体部11の突起41が係合して、両者が係止する。
【0034】
ストロー2のキンク部分31a、31bはストロー2が急角度で折れ曲がっている部分であるので、キンク部分以外の円筒状部分に比べると幅が大きくなる。したがってこの部分が窪み33における袋容器3の狭い間隔で対向している左胴片4、右胴片5の間においては、左胴片4、右胴片5と干渉して変位が円滑に行い難い場合もあり得る。したがって、この場合はキンク部分31の変位の経路に沿って袋容器3の壁である左胴片4、右胴片5にキンク部分との干渉を避けるための長円形等の適宜の形状の切り欠き部42を設けるのが良い。また、ストローの吸い口部12の伸長と押し戻しは、吸い口部12を指で触れることなく、切り欠き部42よりもわずかに外方に出たキンク部分31aを両側から指で摘み、右上方にスライドさせることにより吸い口部12が伸長し、左下方にスライドさせると押し戻すことができるので衛生的である。
【0035】
図22から図25にはこの発明の他の実施態様に係るストロー吸い口部収容部内蔵リシール容器1fが示されている。このストロー内蔵リシール容器1fはストロー吸い口部収容部8の構造がストロー内蔵リシール容器1eとは異なっている。すなわち、図22、図23、図24及び図25において、1fはストロー内蔵リシール容器である。ストロー内蔵リシール容器1fではストロー吸い口部収容部8の開封を、袋本体部11からの切り離しではなしに、窓の開設によって行うものである。すなわち、左胴片4には4角形の窓43を開設するための弱め線44が4角形の4辺のうちの3辺、例えば左右辺及び下辺に沿って形成される。上辺に相当する部分45は引き裂きの対象部位ではないので、弱め線44は形成されない。この弱め線44には、切り裂きを容易にするためにカットテープを添設してもよい。
【0036】
ストロー内蔵リシール容器1fではストロー2はキンク部分31a、31bにおいて急角度で屈折した状態で袋容器3の窪み33内に内蔵され、ストロー2の上端の吸い口部12はストロー吸い口部収容部8内で予定されている窓43の上方のヒートシール部7の直下に達している。このようなストロー内蔵リシール容器1fから内容液8を飲む場合には、弱め線44を引き裂いて窓43を開口させる。窓43の上辺に相当する部分45は引き裂かれていないので、3辺の引き裂きによって舌片状の扉46が形成される。この窓43からストロー2を引き出すと、図23及び図25に示すようにストロー2はキンク部分31a、31bが伸長し、ガイド部36に案内されて吸い口部12が窓43から引き出すことが可能になり、これを利用して内溶液14を吸飲することができる。ストロー2の吸い口部12をリシールする場合には、図22に示すように、再びストロー2の外に出ている吸い口部12を窓43からストロー吸い口部収容部8内に押し戻すとキンク部分31a、31bが急角度に屈折して、ストロー2はリシールされる。これにより吸い口部12は袋容器3内に入って左右の胴片4、5に囲まれ、かつ窓43は扉46によって閉じられて埃等の進入を防止する。
(まとめ)
以上の説明から明らかな通り、この発明によれば、吸飲用ストローを袋容器に内蔵させた場合に、そのストローのリシールを確実に実現するとともに、構造が簡単であり、そのストローの吸飲口に埃等が付着することを防ぐカバーを設けることができるストロー内蔵リシール容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の第1の実施態様に係るストロー内蔵リシール容器の正面説明図。
【図2】図1におけるB部拡大図。
【図3】図2におけるA−A部断面拡大説明図。
【図4】袋容器を開封した状態を示す拡大図。
【図5】ストローの飲み口とキャップの関係を示す拡大図。
【図6】キンクストローを用いた場合の袋容器の未開封の状態を示す拡大図。
【図7】図6におけるA−A部断面拡大説明図。
【図8】キンクストローを用いた場合の袋容器の開封した状態を示す拡大図。
【図9】キンクストローを用いた場合のストローのリシールの状態を示す拡大図。
【図10】Zキンクストローを用いた場合の袋容器の未開封の状態を示す拡大図。
【図11】図10におけるA−A部断面拡大説明図。
【図12】Zキンクストローを用いた場合の袋容器の開封した状態を示す拡大図。
【図13】Zキンクストローを用いた場合のストローのリシールの状態を示す拡大図。
【図14】蛇腹部を持つキンクストローを用いた場合の袋容器の未開封の状態を示す拡大図。
【図15】図14におけるA−A部断面拡大説明図。
【図16】蛇腹部を持つキンクストローを用いた場合の袋容器の開封した状態を示す拡大図。
【図17】蛇腹部を持つキンクストローを用いた場合のストローのリシールの状態を示す拡大図。
【図18】この発明の他の実施態様に係るストロー内蔵リシール容器の正面説明図。
【図19】この発明の他の実施態様に係るストロー内蔵リシール容器の側面説明図。
【図20】図18におけるA−A部断面拡大説明図。
【図21】キンクストローを用いた場合の袋容器の開封した状態を示す正面部分説明図。
【図22】この発明のさらに他の実施態様に係るストロー内蔵リシール容器の正面説明図。
【図23】この発明のさらに他の実施態様に係るストロー内蔵リシール容器の開封した状態の側面説明図。
【図24】図22におけるA−A部断面拡大説明図。
【図25】この発明のさらに他の実施態様に係るストロー内蔵リシール容器の開封した状態の側面説明図。
【符号の説明】
【0038】
1a、1b、1c、1d、1e、1f ストロー内蔵リシール容器
2 ストロー
3 袋容器
4 左胴片
5 右胴片
6 底片
7 ヒートシール部
8 ストロー吸い口部収容部
9 ヒートシール部
10 空所
11 袋本体部
12 吸い口部
13 隅角部
14 内容液
15 充填口
16 ヒートシール部
17 切り裂き部分
18 連結部
19 下端
21 弱め線
22 リシール構造
23 キャップ
24 底部
31a、31b キンク部分
32 中間部
33 窪み
34 蛇腹部分
35 動作室
36 ガイド部
38 突起(ストロー吸い口収容部側)
41 突起(袋本体部側)
42 切り欠き部
43 窓
44 弱め線
45 上辺に相当する部分
46 扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストローの先端のストロー吸い口部を収容することが可能なストロー吸い口部収容部と内容液を収容可能な袋本体部とを有していて、前記ストローを上端部が前記ストロー吸い口部収容部内にあって下端部が前記袋本体部の底部近傍に達している状態で収納して内蔵している袋容器を備え、前記ストロー吸い口部収容部と前記袋本体部とは互いの連通が遮断されていて前記ストローを通してのみ連通しており、前記ストローはリシール可能なリシール部を有しかつ前記ストローは前記リシール部よりも前記下端部寄りの部分で前記袋容器に固着されていることを特徴とするストロー内蔵リシール容器
【請求項2】
前記袋容器の前記ストロー吸い口部収容部は切り裂いて開封可能な開封部を有し、または前記袋本体部との間を完全に切り離してもしくは連結部を残して切り離して開封する開封部を有することを特徴とする請求項1記載のストロー内蔵リシール容器
【請求項3】
前記ストローは直管状ストロー、途中に蛇腹状部分を有するストローまたはポップアップストローであり、前記リシール部は前記ストローの前記上端部の吸い口部にキャップを装着して構成し、または前記ストローのキンク部分の折れ曲がりによって構成したことを特徴とする請求項1記載のストロー内蔵リシール容器
【請求項4】
前記キンク部分の変位の経路に沿って前記袋容器の壁に前記壁と前記キンク部分との干渉を低下させる切り欠き部を形成したことを特徴とする請求項3記載のストロー内蔵リシール容器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−213346(P2006−213346A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26636(P2005−26636)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】