説明

スパウトの補強構造

【課題】内部空間に金属製の管が挿通されても、錆が発生しないスパウトの補強構造を提供する。
【解決手段】内部空間2の内面に少なくとも二箇所以上が圧接するスパウト1よりも剛性および強度が高い補強部材4が設けられ、補強部材4の管3に臨む面41が非金属により形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間に管が挿通されるスパウトの補強構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、キッチンカウンターや洗面化粧台に設けられるスパウトが知られている(例えば特許文献1参照)。スパウトは、筒状をして通常金属で形成され、カランの外殻をなすカバーとなるもので、その内部空間に湯や水が流れる管が挿通されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−5045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スパウトの製造コストの低減のため、スパウトが合成樹脂等の金属よりも安価な材料で形成される場合、剛性および強度の低下が問題となる。そこで、補強のため金属で形成される補強部材が内部空間に設けられると、内部空間に挿通される管と接触することがあるが、この管は通常は金属で形成されており、金属同士の接触による錆(いわゆるもらい錆)が発生してしまう惧れがあった。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、内部空間に金属製の管が挿通される場合でも、錆が発生しないスパウトの補強構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0007】
筒状をしてその内部空間に管が挿通されるスパウトの補強構造であって、前記内部空間の内面に少なくとも二箇所以上が圧接する前記スパウトよりも剛性および強度が高い補強部材が設けられ、前記補強部材の前記管に臨む面が非金属により形成されることを特徴とする。
【0008】
また、前記補強部材は、合成樹脂により形成されウェブとフランジとからなるH型をした保持部と、金属で形成され前記フランジの外面に設けられる補強部と、で構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、内部空間に金属製の管が挿通される場合でも、錆が発生しないものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の断面図である。
【図2】同上の補強部材の分解斜視図である。
【図3】カランの全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
スパウト1は、図3に示すように、キッチンカウンターのシンクの周辺部や、洗面化粧台のボウルの周辺部等に設けられる、筒状をしてカランの外殻をなすカバーとなるもので、シンクやボウル等の周辺部の上面が、スパウト1が突設される被取付面となる。スパウト1は、この被取付面から上方または斜め上方に向けて突出され、途中で曲げられて、下流端の開口10は下方または斜め下方を向くように設置される。本実施形態では、側面視略逆J字状をしたもので、その頂部に吐水の開始/停止を切り替えるセンサー8が設けられている。なお、スパウト1の側面視形状は前記逆J字状に限定されず、逆L字状等であってもよい。また、センサー8としては、赤外線により手等の物体を検知するものをはじめ様々なものが用いられ、特に限定されない。
【0013】
スパウト1は、図1に示すように、その内部空間2に湯や水が流れる管3が挿通される。管3としては、鋼管等の金属管や、金属からなり可撓性を有するように形成されるフレキ管等が挙げられるが、金属で形成されていなくてもよい。本実施形態では管3として、金属製のフレキ管からなるシャワーホース31が用いられる。
【0014】
スパウト1は、非金属材料からなるため、金属で形成された同様のものと比較して剛性および強度が低いものである。そこで、スパウト1の剛性および強度の向上のため、補強部材4が設けられる。
【0015】
補強部材4は、スパウト1よりも剛性および強度が高い材料で形成されるもので、本実施形態では金属により形成されるが、金属に限定されないものである。
【0016】
この補強部材4は、スパウト1の内部空間2内において、少なくとも二箇所以上がスパウト1の内面に圧接し、スパウト1を突っ張る状態で内側から外側に向けて力をかけて補強するものである。
【0017】
本実施形態の補強部材4は、図2に示すように、スパウト1よりも剛性および強度が高い複数(本実施形態では二つ)の補強部6と、これら複数の補強部6の位置関係を保持するための保持部5とで構成される。保持部5は、合成樹脂により形成される、ウェブ52とフランジ53とからなるH型材51で構成され、スパウト1の内部空間2の形状に沿うように曲げられている。
【0018】
補強部6は、両方のフランジ53の外面に設けられる板状をしたもので、金属で形成される。補強部6は、フランジ53の外面と同様の形状をしており、フランジ53の外面に沿うように接着剤により貼着されて固定されているが、他の方法により固定されていてもよい。
【0019】
補強部6が固定されたフランジ53は、両端部がスパウト1の内面に圧接する。また、両方のフランジ53に固定された補強部6は、図1に示すようにウェブ52によりその位置関係が保持され、両方の補強部6がスパウト1に圧接された状態が保持される。
【0020】
本実施形態では、ウェブ52は、フランジ53の中央よりも一方の端部に片寄った位置に形成され、スパウト1とフランジ53とで囲まれる空間を大きい方の一方の空間21と小さい方の他方の空間22とに仕切る仕切りとなっている。そして、一方の空間21に管3(シャワーホース31)が収容され、他方の空間22にセンサー8および該センサー8に接続されるセンサーハーネス7が収容される。管3とセンサーハーネス7はウェブ52からなる仕切りにより仕切られ、干渉が防止される。
【0021】
そして、補強部材4の管3に臨む面41が非金属により形成されるもので、本実施形態では、図1に示すように、補強部材4の管3に臨む面41は保持部5の面であって、合成樹脂で形成されている。
【0022】
上記構成によれば、スパウト1が合成樹脂で形成されていて剛性および強度が低くても、スパウト1よりも剛性および強度が高い補強部材4がスパウト1を突っ張る状態で内側から外側に向けて力をかけて補強するため、スパウト1に外側から縮める方向に力がかかっても補強部材4が力を受けて、スパウト1が破壊されずにすむ。また、管3を流れる湯や水の運動量変化に起因して、スパウト1に揺れ(主に上下の揺れ)が発生するのを、剛性が高い補強部材4により抑制される。
【0023】
そして、補強部材4の管3に臨む面41が非金属により形成されるため、管3が金属で形成される場合、補強部材4が管3と接触しても、金属同士の接触による錆(いわゆるもらい錆)が発生してしまうことがない。
【符号の説明】
【0024】
1 スパウト
10 下流端の開口
2 内部空間
21 一方の空間
22 他方の空間
3 管
31 シャワーホース
4 補強部材
41 臨む面
5 保持部
51 H型材
52 ウェブ
53 フランジ
6 補強部
7 センサーハーネス
8 センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をしてその内部空間に管が挿通されるスパウトの補強構造であって、前記内部空間の内面に少なくとも二箇所以上が圧接する前記スパウトよりも剛性および強度が高い補強部材が設けられ、前記補強部材の前記管に臨む面が非金属により形成されることを特徴とするスパウトの補強構造。
【請求項2】
前記補強部材は、合成樹脂により形成されウェブとフランジとからなるH型をした保持部と、金属で形成され前記フランジの外面に設けられる補強部と、で構成されることを特徴とする請求項1記載のスパウトの補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−87600(P2013−87600A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232167(P2011−232167)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】