説明

スパウト付きパウチ容器

【課題】内容物を注出する際、脈動が発生しにくく、首折れすることのないスパウト付きパウチ容器を提供する。
【解決手段】パウチ10に取り付けられるスパウトは、パウチ10にヒートシールされる装着部22及びこの装着部22に連設された口部23を有する本体部21と、この本体部21における口部23を開閉するスクリューキャップとを備えている。本体部21には、内容物の流出路21aが形成されており、この流出路21aを挟んでパウチ10の厚み方向の両側に、装着部22及び口部23を貫通する連通路21bがそれぞれ形成されている。装着部22には、流出路21aを挟んでパウチ10の厚み方向の両側に、パウチ10内にそれぞれ張り出す一対の楕円筒状の張出部材24が連設されており、各張出部材24は、それぞれの内部空間が各連通路21bに連通していると共にそれぞれの先端側がパウチ10の厚み方向の外側に広がるような状態で湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ボトル容器に詰め替えるためのシャンプーやリンス等の液体商品を充填する容器に適したスパウト付きパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボトル容器に詰め替えるためのシャンプー等の液体商品を充填するスパウト付きパウチ容器としては、図9に示すようなものがある。このスパウト付きパウチ容器50は、同図(a)、(b)に示すように、柔軟性シートによって袋状に形成されたボトムガセットタイプのパウチ51と、このパウチ51の上縁部に装着された、注口となる口部52aをスクリューキャップ52cによって開閉することができるスパウト52とを備えており、このスパウト52は、図10(a)、(b)に示すように、パウチ51の上縁部にヒートシールされる、口部52aが突設された平面舟形状の装着部52bに、口部52aとパウチ51内とを連通する、内容物である液体商品の流出路FRが形成されている。
【0003】
こういったスパウト付きパウチ容器50に充填された詰替用の液体商品をボトル容器等に移し替える際は、図9(b)に示すように、スパウト52の口部52aを閉塞しているスクリューキャップ52cを外し、図11に示すように、容器全体を徐々に傾けながら、スパウト52の口部52aをボトル容器60の口部61の上端縁に沿わせるようにして、液体商品をスパウト52の口部52aからボトル容器60の口部61に注ぎ入れることになる。
【0004】
【特許文献1】特開平07−187202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したスパウト付きパウチ容器50では、内容物を注出する際、図12に示すように、スパウト52の口部52aが内容物によって塞がれてしまう。パウチ51は柔軟性シートによって形成されているので、内容物の流出に伴ってある程度変形するが、注出量に変形が追いつかず、パウチ51の内部と外部との間で圧力差が生じることになる。従って、パウチ51から内容物をスムーズに流出させることができず、パウチ51内からの内容物の流出とパウチ51内への空気の進入とが交互に起こることによって、脈動が発生することになる。このため、パウチ51から流出する内容物の流量が安定せず、内容物の詰替作業を円滑に行うことができないといった問題がある。
【0006】
また、柔軟性シートによって形成されたパウチ51は保形性が低いので、内容物を注出する際、図13に示すように、スパウト52の装着部付近でパウチ51が折れ曲がる、所謂首折れが発生しやすく、これに伴って、スパウト52におけるパウチ51内に開放された内容物の導入口が閉塞気味になり、内容物を注出し難くなるといった問題もある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、内容物を注出する際、脈動が発生しにくく、首折れすることのないスパウト付きパウチ容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、スパウトがパウチに装着されたスパウト付きパウチ容器であって、前記スパウトは、前記パウチ内に充填された内容物の流出路と、前記流出路を挟んで前記パウチの厚み方向の両側にそれぞれ形成された、前記パウチ内と外部とを連通する連通路と、前記流出路を挟んで前記パウチの厚み方向の両側部において、前記パウチ内にそれぞれ張り出す張出部材とを有していることを特徴とするスパウト付きパウチ容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、請求項1にかかる発明のスパウト付きパウチ容器では、スパウトが、内容物の流出路を挟んでパウチの厚み方向の両側にそれぞれ形成された、パウチ内と外部とを連通する連通路を有しているので、パウチの底部を徐々に持ち上げるようにして、パウチの厚み方向が上下方向を向くような状態で、内容物をスパウトから注出すると、内容物の流出路の上側に位置している一方の連通路から空気がパウチ内に導入され、流出路からは内容物だけが流出することになるので、脈動が発生しにくく、内容物の詰替作業を円滑に行うことができる。
【0010】
また、スパウトは、流出路を挟んでパウチの厚み方向の両側部において、パウチ内にそれぞれ張り出す張出部材を有しているので、内容物を注出する際、首折れすることがなく、内容物の注出量が低下することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、ポンプ式のボトル容器に詰め替えるためのシャンプー(以下、内容物という。)が充填されるスパウト付きパウチ容器1を示しており、このスパウト付きパウチ容器1は、同図(a)、(b)に示すように、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱接着性を有する合成樹脂フィルムの外面に、ガスバリア性シート等を積層した二軸延伸ポリアミドフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルム等をラミネートした厚さ80〜200μm程度の柔軟性シートによって形成された、扁平状態に折り畳み可能なパウチ10と、このパウチ10に取り付けられる熱接着性樹脂によって形成されたスパウト20とから構成されている。
【0012】
前記パウチ10は、同図(b)に示すように、表裏一対の外装シート12、13と、この外装シート12、13の下端部において両者の間に折り込まれるガセットシート15とから構成されており、外装シート12、13の上縁部及び両側縁部が相互にヒートシールされることによって胴部11が形成されると共に、外装シート12、13間に折り込まれたガセットシート15の周縁を外装シート12、13の内面にヒートシールすることによって胴部11の下端開口部を閉塞するボトムガセット部14が形成されている。
【0013】
前記スパウト20は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱接着性樹脂の成形物からなり、図1(b)及び図2(a)〜(c)に示すように、外装シート12、13の上端縁に挟み込まれた状態で外装シート12、13にヒートシールされる平面舟形状の装着部22及びこの装着部22に連設された、パウチ10の外側に突出する口部23を有する本体部21と、この本体部21における口部23を開閉するスクリューキャップ25とを備えている。
【0014】
前記本体部21には、図3(a)、(b)に示すように、装着部22及び口部23を貫通する内容物の流出路21aが形成されており、この流出路21aを挟んでパウチ10の厚み方向の両側には、装着部22及び口部23を貫通する小径の連通路21b、21bがそれぞれ形成されている。
【0015】
また、本体部21の装着部22には、図2(a)〜(c)及び図3(a)、(b)に示すように、流出路21aを挟んでパウチ10の厚み方向の両側に、パウチ10内にそれぞれ張り出す一対の楕円筒状の張出部材24、24が連設されており、各張出部材24、24は、それぞれの内部空間が各連通路21b、21bに連通していると共に、それぞれの先端側がパウチ10の厚み方向の外側に広がるような状態で湾曲している。従って、本体部21に形成された連通路21b、21bは、この張出部材24、24を介して、パウチ10内と外部とを連通することになる。
【0016】
以上のように、このスパウト付きパウチ容器1では、スパウト20の本体部21が、内容物の流出路21aを挟んでパウチ10の厚み方向の両側にそれぞれ形成された、パウチ10内と外部とを連通する連通路21b、21bを有しているので、パウチ10の底部を徐々に持ち上げるようにして、パウチ10の厚み方向が上下方向を向くような状態で、内容物をスパウト20から注出すると、図4に示すように、内容物の流出路21aの上側に位置している一方の連通路21bから空気がパウチ10内に導入され、流出路21aからは内容物だけが流出することになるので、脈動が発生しにくく、内容物の詰替作業を円滑に行うことができる。このとき、流出路21aの下側に位置している他方の連通路21bは、内容物の流出路として機能することになる。
【0017】
また、スパウト20の本体部21が、流出路21aを挟んでパウチ10の厚み方向の両側部においてパウチ10内にそれぞれ張り出す張出部材24、24を有しており、各張出部材24、24は、それぞれの先端側がパウチ10の厚み方向の外側に広がるような状態で湾曲しているので、同図に示すように、パウチ10における装着部付近の外装シート12、13が張出部材24、24によって確実に支持され、内容物を注出する際に、首折れすることがない。従って、内容物の注出量が低下することがなく、常時、安定した状態で効率よく、内容物の詰替作業を行うことができる。
【0018】
なお、上述した実施形態では、内部空間が各連通路21b、21bに連通するように、筒状の張出部材24、24を装着部22に連設し、各連通路21b、21bが、張出部材24、24を介して、パウチ10内と外部とを連通するようにしているが、これに限定されるものではなく、図5(a)〜(c)及び図6(a)、(b)に示すスパウト20Aのように、板状の張出部材24A、24Aを、装着部22における連通孔21b、21bと流出孔21aとの間に連設するようにしてもよい。
【0019】
また、上述した各実施形態では、流出路21aを挟んでパウチ10の厚み方向の両側に連通路21bを1つづつ形成しているが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、流出路21aの両側に、2つの連通路21aをそれぞれ形成したり、3つ以上の連通路を形成することも可能である。
【0020】
また、上述した実施形態では、張出部材24A、24Aを、装着部22における連通孔21b、21bと流出孔21aとの間に連設しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、張出部材24B、24Bを、装着部22における連通孔21b、21bの外側に連設することも可能である。
【0021】
また、上述した各実施形態では、先端側がパウチ10の厚み方向の外側に広がるような状態で湾曲している張出部材24、24A、24Bを採用しているが、これに限定されるものではなく、湾曲することなく、真っ直ぐに張り出すものであってもよい。また、張出部材はスパウトの本体部に一体成形されている必要はなく、スパウトの本体部とは別個に作成した張出部材をスパウトの本体部に装着(組み込む、組み立てる等)してもよい。
【0022】
また、上述した実施形態では、ボトムガセットタイプのパウチにスパウトが装着されたスパウト付きパウチ容器について説明したが、これに限定されるものではなく、ボトムガセットタイプ以外の種々のパウチにスパウトが装着されたスパウト付きパウチ容器について本発明を適用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)はこの発明にかかるスパウト付きパウチ容器の一実施形態を示す斜視図、(b)は同上のスパウト付きパウチ容器を扁平に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図2】(a)、(b)は同上のスパウト付きパウチ容器に採用されているスパウトを示す側面図、(c)は同上のスパウトを示す底面図である。
【図3】(a)は図2(a)のX−X線に沿った断面図、(b)は図2(b)のY−Y線に沿った断面図である。
【図4】同上のスパウト付きパウチ容器から内容物を注出している状態を示す部分断面図である。
【図5】(a)、(b)は他の実施形態であるスパウト付きパウチ容器に採用されているスパウトを示す側面図、(c)は同上のスパウトを示す底面図である。
【図6】(a)は図5(a)のX−X線に沿った断面図、(b)は図5(b)のY−Y線に沿った断面図である。
【図7】他の実施形態であるスパウト付きパウチ容器に採用されているスパウトを示す横断面図である。
【図8】他の実施形態であるスパウト付きパウチ容器に採用されているスパウトを示す縦断面図である。
【図9】(a)は一般的なスパウト付きパウチ容器を示す斜視図、(b)は同上のスパウト付きパウチ容器におけるスクリューキャップを外した状態を示す斜視図である。
【図10】(a)は同上のスパウト付きパウチ容器に採用されているスパウトを示す側面図、(b)は同上のスパウトを示す底面図である。
【図11】同上のスパウト付きパウチ容器の使用方法を説明するための斜視図である。
【図12】同上のスパウト付きパウチ容器の問題点を説明するための断面図である。
【図13】同上のスパウト付きパウチ容器の問題点を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 スパウト付きパウチ容器
10 パウチ
11 胴部
12、13 外装シート
14 ボトムガセット部
15 ガセットシート
20、20A スパウト
21 本体部
21a 流出路
21b 連通路
22 装着部
23 口部
24、24A、24B 張出部材
25 スクリューキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウトがパウチに装着されたスパウト付きパウチ容器であって、
前記スパウトは、
前記パウチ内に充填された内容物の流出路と、
前記流出路を挟んで前記パウチの厚み方向の両側にそれぞれ形成された、前記パウチ内と外部とを連通する連通路と、
前記流出路を挟んで前記パウチの厚み方向の両側部において、前記パウチ内にそれぞれ張り出す張出部材と
を有していることを特徴とするスパウト付きパウチ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−320626(P2007−320626A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152981(P2006−152981)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】