説明

スパウト付き収容体

【課題】内容物注出時に外気が入り込むことを防止して再封止が可能であると共に、構造が簡単で安定した内容物の注出操作が行えるスパウト付き収容体を提供する。
【解決手段】スパウト付き収容体に取着されるスパウト5は、収容部に収容された内容物を外部に注出する注出路6bと、注出路6bに配設され、内容物の注出方向に弾性変形可能で、その中央領域に収容部側に向けて形成される当接部12を具備すると共に、その周囲に内容物を通過させる通過部を具備した封止壁11と、収容部に収容された内容物を流通させる流路31aを具備し、当接部12と密着する開口31bを具備した筒状の流路部材30と、を有する。そして、封止部材10には、流路部材30の外面に対して所定の隙間S1をおいて対向する円筒部15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を取り出し可能にするスパウトを取着したスパウト付き収容体に係わり、特に、スパウト構造に特徴を有するスパウト付き収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば合成樹脂製のシート(プラスチックフイルムなど)を重ねて溶着(熱溶着)すると共に、これにスパウトと称される注出口を溶着(熱溶着)したスパウト付き収容体が知られている。このようなスパウト付き収容体は、内部(収容部)に液体や半流動体などの内容物を充填し、スパウトを介して内容物が注出されるようになっており、医療分野、食品分野、日用品分野等、様々な分野で使用されている。
【0003】
ところで、上記したスパウト付き収容体を利用するに際し、特定の分野では、スパウトを介して内容物を取り出す際に、収容部内に外気などが入り込むのを防止したいことがある。これは、外気が入り込むことで内容物と反応し、内容物の性質が変化してしまう可能性があるためである。通常、上記したスパウト付き収容体では、内容物を取り出した後、再封止できるように、キャップのような閉塞体が設けられるが、使用時において、閉塞体を外し、そのまま内容物を注出した後、再び閉塞体を取着しても、閉塞体を開封して注出操作をする際に、必然的に外気が収容部に入り込んでしまう。
【0004】
このため、例えば、特許文献1には、内容物を注出する開口部に棒状体(シール部材)を遊挿しておくと共に、棒状体に傾斜部を形成し、この傾斜部を開口部の下方領域に形成した開口傾斜部に当接させた注出口構造が知られている。前記棒状体には、付勢部材(バネ)が固定されており、棒状体に形成された傾斜部を、開口傾斜部に当て付けることでシールするようにしている。すなわち、棒状体を付勢力に抗して押し込むことで、棒状体の傾斜部と開口傾斜部との当接が離間して内容物の注出が可能となり、かつ、棒状体に付勢力が作用することで、棒状体の傾斜部が開口傾斜部に当て付けられて内容物がシールされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−62791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した公知技術の注出口構造では、棒状体を付勢する付勢部材を組み込む必要があるため、構造が複雑になると共に組み込み性が悪く、コストが高くなってしまう。また、付勢部材に抗して棒状体を押し込む必要があるため、内容物を注出する際の操作が面倒であると共に、内容物の安定した注出操作が行い難いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、内容物注出時に外気などが入り込むことを防止して再封止が可能であると共に、構造が簡単で安定した内容物の注出操作が行えるスパウト付き収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、シート状部材を重ねて周囲を溶着することにより内容物を収容するための収容部を形成する収容本体と、前記収容本体に取着されて内容物を取り出し可能にするスパウトとを有するスパウト付き収容体であって、前記スパウトは、前記収容部に収容された内容物を外部に注出する注出路と、前記注出路に配設され、内容物の注出方向に弾性変形可能で、その中央領域に収容部側に向けて形成される当接部を具備すると共に、その周囲に内容物を通過させる通過部を具備した封止部材と、前記収容部に収容された内容物を流通させる流路を具備し、前記当接部と密着する開口を具備した筒状の流路部材と、を有し、前記封止部材には、前記流路部材の外面に対して所定の隙間をおいて対向する円筒部が形成され、前記封止部材は、前記収容部の内圧が高まることで前記内容物によって流路部材の開口に圧力が作用した際、弾性変形して内容物を前記開口から流出させ、前記隙間を経由して前記通過部を介して内容物を注出路に案内し、かつ、前記収容部の内圧を解除した際、前記当接部で前記流路部材の開口をシールする、ことを特徴とする。
【0009】
上記した構成によれば、例えば、収容部に対して押圧力を作用させると、内容物は流路部材に流れて開口に向けて移動する。開口部分では、そこに当接している当接部に対する圧力が高まることから、弾性変形可能な封止部材が弾性変形して押し上げられ、開口から内容物が流れ出る。この流れ出た内容物は、封止部材に形成された円筒部の内面と流路部材の外面との間の隙間を経由して、封止部材の通過部を介して注出路に案内され、外部に注出することが可能となる。そして、収容部に対する押圧力を解除すると、弾性変形した封止部材は元に戻り、当接部が流路部材の開口をシールし、収容部内に外気等が入り込むことを防止する。なお、前記封止部材に形成された円筒部により、円筒部の内面と流路部材の外面との間の隙間に内容物を保持しておくことも可能となり、このように内容物が保持されることで、シール効果が高められる。
【0010】
また、上記した構成のスパウト付き収容体では、前記流路部材に、前記円筒部を囲繞するように配置され、前記隙間を経由して流れる内容物を貯留可能にするカップ状の貯留部を形成しておいても良い。
【0011】
このような構成では、収容部に対する押圧力を解除した際に、内容物が貯留部に貯留されることから、膨出した当接部と流路部材の開口とのシール部分に外気等が入り込めなくなり、シール効果をより確実にすることが可能となる。
【0012】
また、上記した構成のスパウト付き収容体では、前記封止部材を、前記注出路に対して圧入される圧入部材として一体成形し、前記流路部材は、前記圧入部材に対して嵌入可能に一体成形することが可能である。
【0013】
上記したように、封止部材は、中央領域に収容部側に向けて形成した当接部と、その周囲に形成され内容物を通過させる通過部と、円筒部とを有する構造であるため、構造そのものが簡単であり、合成樹脂等によって一体成形することができ、かつ、流路部材についても、収容部に収容された内容物を流通させる流路と、当接部と密着する開口とを有する構造であるため、その構造が簡単であり、合成樹脂等によって一体成形することができる。このため、封止機能を有するスパウト部分の構造を簡略化して、コストの低減を図ることが可能となる。
【0014】
また、上記した構成のスパウト付き収容体では、前記流路部材を、前記開口に向けて流路が縮径化するように形成することが好ましい。
【0015】
このような構成では、収容部の内圧を高めることで、容易に封止部材を弾性変形させることができ、安定した内容物の注出が可能となる。
【0016】
また、上記した構成のスパウト付き収容体では、前記封止部材に形成される通過部を、前記円筒部の周囲に、周方向に沿って所定間隔をおいて複数形成しておくことが好ましい。
【0017】
このような構成では、注出路に均一に内容物が流れ出ることができ、安定した内容物の注出が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内容物注出時に外気などが入り込むことを防止して再封止が可能であると共に、構造が簡単で安定した内容物の注出操作が行えるスパウト付き収容体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るスパウト付き収容体の一実施形態を示す図。
【図2】図1に示すスパウト付き収容体から内容物を注出する状態を示す図。
【図3】図1に示すスパウト付き収容体のスパウトの構造を示す部分断面図。
【図4】封止機能を有する封止部材と流路部材を組み付ける状態を示す断面図。
【図5】封止部材を示す図であり、その内部の構成を示した斜視図。
【図6】流路部材の構成を示す斜視図。
【図7】封止部材と流路部材を組み付けた状態を示す斜視図。
【図8】(a)から(e)を含み、注出操作時の作用を順に説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1から図7は本発明の一実施形態に係るスパウト付き収容体を示しており、図1は、スパウト付き収容体の全体構成を示す図、図2は、図1に示すスパウト付き収容体から内容物を注出する状態を示す図、図3は、図1に示すスパウト付き収容体のスパウトの構造を示す部分断面図、図4は、封止機能を有する封止部材と流路部材を組み付ける状態を示す断面図、図5は、封止部材を示す図であり、その内部の構成を示した斜視図、図6は、流路部材の構成を示す斜視図、そして、図7は、封止部材と流路部材を組み付けた状態を示す斜視図である。なお、これらの図では、スパウトの構造を分かりやすく説明するために、スパウト部分を大きく示してある。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るスパウト付き収容体1は、液体や半流動体(以下、内容物とする)を収容する収容本体1aを有している。この収容本体1aは、例えば、合成樹脂のような比較的柔軟な材質で構成されているシート状部材2a,2bを重ね、これを周囲で溶着(熱溶着)することによって形成される。この場合、溶着部分は、斜線部3で示されており、それ以外の部分が袋状になって内容物が収容される収容部Sを形成する。
【0022】
前記収容本体1aについては、その全体形状、大きさ、溶着領域等について、特に限定されることはなく、各種のものが含まれる。本実施形態では、収容本体1aの全体形状としては、底部1bを有する直立可能ないわゆる自立体容器として構成されているが、単に、2枚のシート状部材2a,2bの周囲領域を溶着しただけの非自立体であっても良い。また、本実施形態の収容本体1aは、2枚のシート状部材2a,2bの上端側を斜めにした傾斜部1cを有する略矩形形状として構成されている。
【0023】
そして、シート状部材2a,2bが溶着される際、前記傾斜部1cには、内容物を取り出し可能にするスパウト5が溶着される。このスパウト5は、合成樹脂等によって予め一体成形されており、2枚のシート状部材2a,2bを溶着する際、傾斜部1cの間に介在されて取着される。このため、スパウト5には、断面舟形形状(略楕円形状)の溶着部5aが形成されており、この部分が傾斜部1cに介在されて、2枚のシート状部材2a,2b間にスパウト5が溶着される(溶着される部分を格子状の斜線で示してある)。
【0024】
前記シート状部材2a,2bは、前述したように柔軟性を有する合成樹脂製のシート(プラスチックフイルム)であり、例えば、溶着し易いようにポリエチレンやポリプロピレンなどによって構成され、公知のように、その表面側に、内容物に対するバリア性(ガスバリア性および遮光性)を高めるように、ナイロン、アルミホイルなどを積層した、いわゆる複合層で構成されることが好ましい。
【0025】
前記スパウト5は、収容本体1aから外部に突出して内容物を外部に注出するための筒状(円筒状)の注出口部6を備えている。この場合、注出口部6には、図1に示されるように、注出口部6の外周面にキャップ螺合用のネジ部6aを形成しておき、キャップ50等の閉塞体を着脱自在に取り付けるようにしても良い。また、注出口部6の内側は、収容部S内に収容された内容物を外部に注出する注出路6bが形成されている。前記収容部Sに収容された内容物は、図2に示すように、キャップ50を注出口部6から取り外し、収容本体1aを傾けると共に押圧力を作用させることで、注出路6bから注出することが可能となっている。
【0026】
前記スパウト5は、注出路6bに配設される封止部材10と、封止部材10に関連する流路部材30を備えている。これらの封止部材10及び流路部材30は、以下に詳述するように、スパウト5に一体化されるように組み付けられる。
【0027】
前記封止部材10は、注出路6bに対して直交する方向に配設され、注出路6bを閉塞する封止壁11を備えている。封止壁11は、注出路6bの方向(注出方向)に弾性変形可能となるように、薄い肉厚の板状体として形成されており、その中央領域には、収容部側に向けて当接部12が形成されている。本実施形態では、この当接部12は、収容部側に向けて膨出する略半球状に形成されている。また、板状の封止壁11には、その当接部12の周囲に、内容物を通過させる通過部14が形成されている。この通過部14は、封止壁11のいずれかの領域に形成されたものであれば良いが、図5に示すように、安定した注出が成されるように、周方向に沿って所定間隔をおいて複数(略扇形状で4箇所)形成しておくことが好ましい。
【0028】
また、前記封止部材10には、前記当接部12の周りに、収容部側に向けて突出する円筒部15が形成されている。この円筒部15は、後述する流路部材の外面に対して所定の隙間S1をおいて対向するように封止壁11に一体形成されており、前記複数の通過部14は、この円筒部15の周囲に形成されている。
【0029】
そして、上記したように構成される封止部材10は、注出口部6の注出路6bに対して圧入されるように、図4及び図5に示すように、円筒状部材として構成されている。すなわち、円筒状部材の円周壁部10Aが注出路6bに対して圧入され、その上面が封止壁11となり、その下端にフランジ10Bが形成されて、このフランジ10Bがスパウト5の溶着部5a下側に密着して固定されるようになっている。このため、封止部材10は、合成樹脂等によって一体成形することが可能となっている。
【0030】
前記流路部材30は、スパウト5、詳細には、上記したスパウト5に一体化される封止部材10に嵌入されるよう構成されている。流路部材30は、全体として筒状に形成された本体31を備えており、その本体31には、収容部に収容された内容物を流通させる流路31aと、前記封止部材10(封止壁11)に形成された当接部12に密着する開口31bが形成されている。すなわち、開口31bは、図4に示すように、凹状にくぼんでおり、前記略半球状の当接部12に密着して、その開口31bを閉塞するように形成されている。
【0031】
前記本体31は、全体としてストレート状に延出した構成であっても良いが、図4に示すように、開口31bに向けて流路31aが縮径化されるように形成することが好ましい。本実施形態では、本体31の下方に、前記封止部材10の円周壁部10Aに嵌入される嵌入部31Aが形成されており、その嵌入部31Aより上方側に次第に縮径化される縮径部31Bが形成されている。そして、この縮径部31Bの上端は、上方に向けて略ストレート状に延出した円筒部31Cとなり、その先端に前記開口31bが形成されている。
【0032】
また、嵌入部31Aの下端には、フランジ31Eが形成されており、流路部材30を封止部材10に嵌入すると、前記封止部材10のフランジ10Bに圧接して位置決めされるようになっている。なお、流路部材30を封止部材10に嵌入すると、前記円筒部31Cと封止部材10の円筒部15との間には、所定の隙間S1が形成される(図3参照)。
【0033】
また、本実施形態では、前記流路部材30に、カップ状の貯留部35を一体形成しており、後述するように、内容物を貯留して、シール効果がより高めるように構成している。具体的には、図4及び図6に示すように、貯留部35は、円筒部31Cの中間領域に一体形成されており、流路部材30を封止部材10に嵌入した際、図7に示すように、前記封止部材10の円筒部15を囲繞するように形成されている。このため、前記隙間S1を経由して流れる内容物は、貯留部35に貯留可能となっている。
【0034】
以上のように構成される流路部材30については、封止部材10と同様、合成樹脂等によって一体成形することが可能となっている。
【0035】
次に、図8を併せて参照しながら、本実施形態に係るスパウト付き収容体の作用について説明する。
【0036】
最初、図1に示すように、注出口部6からキャップ50を取り外し、図2に示すように、収容本体1aを傾けて収容部Sに対して押圧力を付与する。これにより、収容部S内の内圧が高まり、内容物は、流路部材30の流路31aに流れ込んで、開口31b側に向けて移動する(図8(a)参照)。このとき、内容物に作用する押圧力によって、封止部材10(封止壁11)は弾性変形しながら押し上げられ、密着状態にあった当接部12と開口31bが離反して内容物は流出し、流路部材30の円筒部31Cと封止部材10の円筒部15との間の所定の隙間S1に流れ込む(図3、図8(b)参照)。そして、隙間S1内で内容物が飽和すると、内容物は、貯留部35を介して円筒部15の外面と貯留部35の内面との間を移動し、そのまま封止壁11の通過部14を通過して、注出路6bから外部に注出される(図8(c)参照)。
【0037】
この場合、収容部Sに対して押圧力を付与し続けている間、上記した注出動作が維持される。
【0038】
そして、上記した収容部Sに対する押圧力を解除すると、封止壁11に対する押圧力がなくなり、弾性変形していた封止壁11は元の状態に戻り、当接部12と開口31bが密着して開口31bがシールされ、これにより、流路部材30を介して収容部S内に外気等が入り込むことが防止される(内容物はシールされた状態となる)。
【0039】
この場合、当接部12と開口31bが密着すると、封止部材10の円筒部15の内面と、流路部材30の円筒部31Cの外面との間の隙間S1に残っていた内容物は、スパウト付き収容体1を図1に示すように戻すと、そのまま収容部S側に伝わり、貯留部35内に貯留されるようになる(図8(d)(e)参照)。すなわち、貯留部35内に内容物が僅かに残ることから、流路が完全に閉鎖された状態となり、外気が通過部14を介して内部に入り込もうとしても、上記した当接部12と開口31bの密着効果(シール効果)に加え、貯留部35に残留した内容物によって確実にシールが成されるようになる(図8(e)参照)。
【0040】
上記した構成のスパウト付き収容体1によれば、内容物を注出する時に、外気などが入り込むことを防止して再封止が可能であると共に、構造が簡単で安定した内容物の注出操作が行えるようになる。特に、本実施形態では、スパウト5、及びこれに組み込まれる封止部材10、流路部材30は、合成樹脂によって一体形成することが可能であり、シール機能を果たすようにバネのような付勢部材やボール部材等を組み込む必要がなく、コストの低減が図れるようになる。
【0041】
すなわち、スパウト5に組み込まれる封止部材10は、封止壁11の中央領域に形成される当接部12と、その周囲に形成される円筒部15と、円筒部15の外側に形成される複数の通過部14とを備えた簡単な構造であるため、合成樹脂等によって容易に一体成形することが可能である。また、流路部材30についても、収容部に収容された内容物を流通させる流路31aと、当接部と密着する開口31bとを有する簡単な円筒構造であるため、合成樹脂等によって一体成形することができ、これにより、封止機能を有するスパウト部分の構造が簡略化され、コストの低減を図ることが可能となる。
【0042】
また、上記した構成のスパウト付き収容体では、流路部材30は、開口31bに向けて流路が縮径化するように形成されているため、収容部Sの内圧を高めることで、容易に封止部材10の封止壁11を弾性変形させることが可能となり、安定した内容物の注出が可能となる。しかも、開口31bは、薄板状の封止壁11の中央領域で当接部12に密着していることから、収容部Sに対して特に強い押圧力を作用させなくても、封止壁の安定した弾性変形が可能となり、内容物を安定して注出することが可能となる。
【0043】
さらに、内容物を通過させる通過部14を、円筒部15の周囲に、周方向に沿って所定間隔をおいて複数形成したことから、注出路6aに均一に内容物が流れ出ることができ、安定した内容物の注出が可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることは無く、種々変形することが可能である。例えば、上記した構成では、流路部材30に貯留部35を形成したが、このような貯留部を形成しない構成であっても良い。すなわち、封止部材10に形成された円筒部15により、円筒部15の内面と流路部材30の円筒部31Cの外面との間の隙間に内容物を保持させておくことも可能となり、このように内容物が保持されることで、貯留部としての機能を持たせることが可能となる。
【0045】
また、シールが成されるように当接部12、及び開口31bの密着構造については適宜、変形することが可能である。
【0046】
さらに、溶着されるスパウト5の全体形状やその大きさ、及びシート状部材に溶着される位置等については、適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 スパウト付き収容体
1a 収容本体
2a,2b シート状部材
5 スパウト
6 注出口部
6b 注出路
10 封止部材
11 封止壁
12 当接部
15 円筒部
30 流路部材
31a 流路
31b 開口
50 キャップ
S 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材2a,2bを重ねて周囲を溶着することにより内容物を収容するための収容部Sを形成する収容本体1aと、前記収容本体に取着されて内容物を取り出し可能にするスパウト5とを有するスパウト付き収容体1であって、
前記スパウト5は、
前記収容部1aに収容された内容物を外部に注出する注出路6bと、
前記注出路6bに配設され、内容物の注出方向に弾性変形可能で、その中央領域に収容部側に向けて形成される当接部12を具備すると共に、その周囲に内容物を通過させる通過部14を具備した封止部材10と、
前記収容部に収容された内容物を流通させる流路31aを具備し、前記当接部12と密着する開口31bを具備した筒状の流路部材30と、
を有し、
前記封止部材10には、前記流路部材30の外面に対して所定の隙間S1をおいて対向する円筒部15が形成され、
前記封止部材10は、前記収容部の内圧が高まることで前記内容物によって流路部材30の開口31bに圧力が作用した際、弾性変形して内容物を前記開口31bから流出させ、前記隙間S1を経由して前記通過部14を介して内容物を注出路6aに案内し、かつ、前記収容部の内圧を解除した際、前記当接部12で前記流路部材30の開口31bをシールする、
ことを特徴とするスパウト付き収容体。
【請求項2】
前記流路部材30には、前記円筒部15を囲繞するように配置され、前記隙間S1を経由して流れる内容物を貯留可能にするカップ状の貯留部35が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のスパウト付き収容体。
【請求項3】
前記封止部材は、前記注出路に対して圧入される圧入部材として一体成形されており、前記流路部材は、前記圧入部材に対して嵌入可能に一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパウト付き収容体。
【請求項4】
前記流路部材は、前記開口に向けて流路が縮径化されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスパウト付き収容体。
【請求項5】
前記通過部は、前記円筒部の周囲に、周方向に沿って所定間隔をおいて複数形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスパウト付き収容体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−180125(P2012−180125A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46117(P2011−46117)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000228408)日本キム株式会社 (37)
【Fターム(参考)】