スピーカ装置およびその製造方法
【課題】振動板に所望の張力を与えることにより、スピーカの音響特性の向上を図ること。
【解決手段】外部から投射された影像を映し出す平面状の振動板2と、映像が映し出される面と反対側の面において振動板2を保持するフレーム3と、スクリーン2をフレーム3に対して接離する方向に駆動させるための駆動体と、を具備するスピーカ装置1において、振動板2が膨張もしくは収縮しても、該振動板2を平旦な面に維持するように、振動板2に対して周方向外方に向かって張力が作用するように、振動板2をフレーム3に張設することを特徴とする。
【解決手段】外部から投射された影像を映し出す平面状の振動板2と、映像が映し出される面と反対側の面において振動板2を保持するフレーム3と、スクリーン2をフレーム3に対して接離する方向に駆動させるための駆動体と、を具備するスピーカ装置1において、振動板2が膨張もしくは収縮しても、該振動板2を平旦な面に維持するように、振動板2に対して周方向外方に向かって張力が作用するように、振動板2をフレーム3に張設することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、筐体によって保持された振動板の中央にボイスコイルを配置し、該ボイスコイルに信号を送信することにより、振動板の前方より音を放出させるスピーカ装置が存在する。このようなタイプのスピーカ装置としては、特許文献1に開示されているものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているスピーカ装置では、振動板を支持している支持枠の短辺部における内側縁部にフレットを介挿させることにより、振動板の長手方向に張力を加えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−275187号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているスピーカ装置では、温度や湿度の影響により振動板に加えられる張力の大きさが変化し、それに伴い、振動板の音響特性が変化することから、環境条件によっては充分な音量が得られず、音の歪みが発生するといった問題がある。
【0006】
特に、ボイスコイルの駆動によって、振動板におけるボイスコイル設置位置近傍がボイスコイルの発熱により熱膨張し、局所的に凸状もしくは凹状に変形してしまう。このような変形は、振動板の音響特性の悪化につながってしまう。
【0007】
特許文献1に開示されているスピーカ装置では、フレットを介挿し、長手方向に張力を加えることによって、上述のような熱膨張に起因する音響特性の悪化を防止しようとしている。しかしながら、このような方法では音響特性を良好に維持するために充分な張力が得られないことがある。
【0008】
また、振動板を保持する筐体の外側に、振動板に対して張力を発生させるためのフレームを取り付ける方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、フレームの取付後には良好な音響特性を得ることができるものの、フレームの取付前には適切な張力を得ることができない。このため、フレームを取り付ける前にスピーカ装置の性能を確認する必要があり、作業性が低下してしまう。
【0009】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、振動板に所望の張力を与えることにより、音響特性の向上を図ることが可能なスピーカ装置およびそのその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、平面状の振動板と、振動板のうち外側に露出する平面と反対側の面において振動板を保持するフレームと、スクリーンをフレームに対して接離する方向に駆動させるための駆動体と、を具備するスピーカ装置において、振動板を平旦な面に維持するために、振動板に対して周方向外方に向かって張力が作用するように、振動板をフレームに張設したものである。
【0011】
また、振動板に作用する張力は、振動板およびフレームのいずれか一方もしくは双方を熱膨張もしくは熱収縮させることによって発生するものとするのが好ましい。
【0012】
また、振動板に張力を作用させるために、フレームを弓なりに反わせ、該フレームが弓なりに反った状態から元の状態に戻る際の該フレームの復元力を利用するのが好ましい。
【0013】
また、フレームの内側には、該フレームの間に架け渡される形態で加圧部品が配置され、該加圧部品の両端がフレームの内周縁を周方向外方に向かって押圧することによって、張力が振動板に作用するものとするのが好ましい。
【0014】
また、加圧部材を、架け渡されるフレーム間の間隔よりも、当該間隔に対して0.5%以下の範囲内で大きな寸法を有する梁状部材とするのが好ましい。
【0015】
また、加圧部材は、梁状部材に加え、該梁状部材の端部とフレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧するネジ部材を有するものとするのが好ましい。
【0016】
また、加圧部材は、梁状部材に加え、該梁状部材の端部とフレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧する弾性部材を有するものとするのが好ましい。
【0017】
また、梁状部材を、フレーム間に弓状に反った状態で架け渡すのが好ましい。
【0018】
また、梁状部材は、フレーム間に相反する方向に弓状に反った状態で一対に架け渡されており、両梁状部材の間に、双方の梁状部材の反りを矯正するための連結部材を設けるのが好ましい。
【0019】
また、他の発明は、フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、フレームの振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、加熱手段により加熱された平板状の形態を有する載置板の上に、第1の接着剤が塗布された振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、振動板が載置板上に載置された状態で所定時間放置して、該振動板を加熱する工程と、第2の接着剤が塗布されたフレームを、その一面が振動板の一面と対向するように、振動板の上に位置合わせして載置する工程と、振動板の上に載置されたフレームを、その上から平板状の形態を有する押圧板で押圧して、振動板とフレームとを圧着させる工程と、振動板とフレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、押圧を解除する工程と、を有するものである。
【0020】
また、フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、フレームの振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、その載置面が上方に向かって曲面状に膨らむ凸形状もしくは下方に向かって曲面状に窪む凹形状に形成される載置板の上に、第1の接着剤が塗布された振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、第2の接着剤が塗布されたフレームを、その一面が振動板の一面と対向するように、振動板の上に位置合わせして載置する工程と、振動板の上に載置されたフレームを、その上から、その押圧面が凸形状に対応する凹形状もしくは凹形状に対応する凸形状にそれぞれ形成される押圧板で押圧して、振動板とフレームとを圧着させる工程と、振動板とフレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、押圧を解除する工程と、を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、振動板に所望の張力を与えることにより、音響特性の向上を図ることが可能なスピーカ装置およびそのその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の斜視図である。
【図3】図2中のスピーカ装置を製造するために用いられる加圧装置の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】図3中の加圧装置の載置板と押圧板との間に、スクリーンとフレームとを配置させる過程を説明するための側面図である。
【図6】図3中の加圧装置によってスクリーンとフレームを加圧した状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置を製造するために用いられる加圧装置の凸板と凹板との間に、スクリーンとフレームとを配置させる過程を説明するための側面図である。
【図9】図8中の加圧装置によってスクリーンとフレームを加圧した状態を示す図である。
【図10】加圧装置から取り出した直後のスクリーンおよびフレームの側面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置の背面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置をC−C線で切断した断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るスピーカ装置における短手梁状部材の短部近傍の断面図である。
【図14】図13における短手梁状部材の端部近傍をD−D線で切断した断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係るスピーカ装置における短手梁状部材の短部近傍の断面図である。
【図16】図15における短手梁状部材の端部近傍をE−E線で切断した断面図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置の背面図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置を図17中のF−F線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明(各実施の形態に共通)において、図1、図2および図11〜図18に示す矢示X1方向を表、矢示X2方向を裏、矢示Y1方向を左、矢示Y2方向を右、矢示Z1方向を上および矢示Z2方向を下とそれぞれ規定する。また、図3、図5、図6および図7〜図9の上方を「上」および下方を「下」と規定する。
【0024】
図1は、スピーカ装置1の分解斜視図である。図2は、スピーカ装置1の斜視図である。
【0025】
スピーカ装置1は、直接駆動型のスピーカ装置であり、図1に示すように、外部からの影像を映し出す面を構成する振動板となるスクリーン2と、スクリーン2を保持するフレーム3と、スクリーン2を振動させる駆動体の一部を構成する磁気回路4と、磁気回路4をフレーム3に支持する支持部材5と、から主に構成されている。なお、スピーカ装置1の寸法例としては、たとえば、長手方向の寸法を約1000mm、短手方向の寸法を600mmおよび厚さ寸法を35mmとすることが可能である。
【0026】
フレーム3は、図1に示すように、長方形の枠形状を呈している。このフレーム3の長手方向への寸法となる長さ寸法および短手方向への寸法となる幅寸法は、スピーカ装置1の長さ寸法および幅寸法と略同一となっている。また、フレーム3の材料として、アルミニウム合金が採用されている。しかしながら、フレーム3の材料はアルミニウム合金に限定されるものではない。
【0027】
また、フレーム3は、長手方向を構成する2つの長手側枠6,6と、短手方向を構成する2つの短手側枠7,7とから構成されている。長手側枠6および短手側枠7の断面形状は、例えば、角部を有する略U字形状(略凹字形状)を呈している。上述したように、フレーム3は長方形の枠形状を呈しているため、その中央に、長方形の形状で表裏方向に開口する開口領域8を有する。
【0028】
また、開口領域8の略中央には、磁気回路4が配設されている。磁気回路4は、ホルダ(不図示)と、マグネット(不図示)から構成されている。この磁気回路4は、支持部材5によってフレーム3に保持されている。支持部材5は、開口領域8を上下に2分割するように配置されている。支持部材5は、上下方向に幅広な角柱形状(すなわち、薄板に近い柱形状)を有している。また、支持部材5の両端の端面は、対向する2つの長手側枠6,6に接合されている。また、本実施の形態では、支持部材5の材料として、アルミニウム合金が採用されている。しかしながら、支持部材5の材料はアルミニウム合金に限定されるものではない。
【0029】
また、図1および図2に示すように、スクリーン2は、その外周面が、フレーム3の外周面と一致するように、該フレーム3の表側に取り付けられる。このスクリーン2は、フレーム3との間に接着剤を介在させて固定される。スクリーン2がフレーム3に固定された状態では、該スクリーン2はYZ平面に対して水平な面を有している。また、スクリーン2がフレーム3に固定された状態では、該スクリーン2はフレーム3によって、図2中の矢示P方向に代表される周方向外方に向かって引っ張られている。すなわち、スクリーン2とフレーム3との間では、スクリーン2を周方向外方に向かって引っ張る張力が作用する。これより、フレーム3はスクリーン2の張力に対する反力によって内側に引っ張られることになるが、該反力に耐えうるだけの剛性を有しているため、フレーム3がスクリーン2の張力の影響でゆがんだり有害な撓みを起こすことはない。
【0030】
また、スクリーン2の材料の一例としては、アルミニウム合金を採用するものがある。しかしながら、スクリーン2の材料はアルミニウム合金に限定されるものではなく、種々の振動特性・反射特性を考慮して、適宜選択可能である。また、スクリーン2の裏面における磁気回路4と対応する位置には、駆動体の一部を構成する不図示のボイスコイルが配置されている。当該ボイスコイル(不図示)は、所定の寸法のコイルボビンに、コイル線を巻きつけることにより形成されている。このボイスコイル(不図示)は磁気回路4と協働してスクリーン2を振動させる。また、駆動体として、磁気回路4およびボイスコイル(不図示)ではなく、圧電素子等を採用しても良い。
【0031】
次に、スピーカ装置1の製造方法について説明する。
【0032】
図3は、図2中のスピーカ装置1を製造するために用いられる加圧装置10の側面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置1の製造方法を示すフローチャートである。図5は、図3中の加圧装置10の載置板14と押圧板15との間に、スクリーン2とフレーム3とを配置させる過程を説明するための側面図である。図6は、図3中の加圧装置10によってスクリーン2とフレーム3を加圧した状態を示す側面図である。
【0033】
スピーカ装置1は、図3に示す加圧装置10を用いて製造される。この加圧装置10は、スクリーン2とフレーム3とを熱圧着するために用いられる。図3に示すように、加圧装置10は、定盤11と、定盤11の上方に配置される遮熱板12と、遮熱板12の上方に配置されるヒーター13と、ヒーター13の上方に配置される平板状の載置板14と、載置板14上に載置され、対象物を押圧するための平板状の押圧板15と、押圧板15を把持するための把持部16と、を有する。
【0034】
定盤11は、厚みがやや大きな平板状の形態を有しており、加圧装置10を設置箇所に設置する際の基台の役割を果たしている。遮熱板12は、断熱材から形成されており、ヒーター13から発生する熱が定盤11に伝達されるのを防止する役割を果たしている。ヒーター13は略平板状の形態を有しており、該ヒーター13としては、電気ヒーターや赤外線ヒーターを好適に用いることができる。また、ヒーター13は、加熱温度を設定できるものを採用するのが好ましい。ヒーター13の上方に配置されている載置板14は、たとえば、アルミニウムから形成することができ、約10mmの厚さ寸法を有する。また、載置板14の載置面14aは、平坦な面に形成されている。押圧板15は載置板14と対向するように配置されており、その厚さ寸法は、たとえば、載置板14と同様に約10mmに形成することができる。また、押圧板15の押圧面15aは、平坦な面に形成されている。把持部16は、押圧板15の上方に固定され、上方に向かって略傘形状に突出する板状の形態を有する把持板16aと、把持板16aの略中央から上方に向かって突出するように設けられる取っ手16bとを有する。
【0035】
スピーカ装置1を製造する場合、まず、スクリーン2の裏側面2a(図5参照)に第1の接着剤を塗布するとともに、フレーム3の表側面3a(図5参照)に第2の接着剤を塗布する(塗布工程:S101)。第1の接着剤および第2の接着剤は、裏側面2aおよび表側面3aにおいて、それぞれが互いに接触する部位に塗布される。なお、第1の接着剤と第2の接着剤とは、互が混合されると、数分後に硬化するアクリル性の2液接着剤を構成している。次に、図5に示すように、第1の接着剤が塗布されたスクリーン2をその裏側面2aが上方を向くように、載置板14の載置面14aに載置する(第1載置工程:S102)。
【0036】
次に、ヒーター13を発熱させて、該ヒーター13を約50℃の温度まで上昇させる。このように、載置板14にスクリーン2を載置させ、ヒーター13を発熱させた状態で数分間放置すると、ヒーター13の熱がスクリーン2に伝達される。その結果、スクリーン2も約50℃まで温度が上昇する(加熱工程:S103)。ここで、たとえば、室温を25℃とした場合、スクリーン2を約50℃まで温度を上昇させると、スクリーン2は25℃だけ温度上昇したことになる。また、スクリーン2の長手方向の寸法は、スピーカ装置1の長手方向の寸法と同様の約1000mmとされている。さらに、上述したように、スクリーン2の温度を25℃から50℃まで変化させた場合、スクリーン2の長手方向の寸法は線膨張率の変化により0.5mm伸長する。なお、室温および加熱温度は、それぞれ25℃および50℃に限定されるものではなく、他の温度に設定するようにしても良い。
【0037】
次に、載置板14上に載置されたスクリーン2の上方に、第2の接着剤が塗布されたフレーム3を、互いの接着面が重なるように位置合わせして載置する(第2載置工程:S104)。その直後、装置等に把持部16を把持させて、押圧板15を下方に移動させる。このように、スクリーン2上に載置されたフレーム3をその上方から押圧板15によって加圧する。(圧着工程:S105)。載置板14の載置面14aおよび押圧板15の押圧面15aは平旦な面となっているため、圧着直後のスクリーン2とフレーム3は、平坦な状態を維持している。また、圧着直後の状態では、スクリーン2とフレーム3とは温度差を有しているため、高温であるスクリーン2からフレーム3に接着剤を介して熱が伝達され、その結果、フレーム3の温度が室温よりも高くなる。ここで、上述したアクリル性の2液接着剤は、混合された後、数分で硬化する接着剤であるため、スクリーン2とフレーム3とは温度差を有した状態において接着される。
【0038】
加圧状態で、数分間放置した後、たとえば、装置等によって把持部16を把持させて、押圧板15を上方に移動させ、スクリーン2およびフレーム3の加圧状態を解除し、圧着したスクリーン2およびフレーム3を加圧装置10から取り出す(取出工程:S106)。圧着したスクリーン2およびフレーム3を室温25℃の条件下で放置すると、スクリーン2およびフレーム3から熱が放出され、該スクリーン2およびフレーム3は共に25℃になる。この際、スクリーン2は温度降下するため、該温度降下により収縮力が作用し、スクリーン2は周方向内方に向かって縮もうとする。一方、フレーム3は、高い剛性を有すため温度降下によって、撓んだり縮んだりすることはない。このため、フレーム3とスクリーン2との間には張力が作用する。しかしながら、フレーム3は、高い剛性を有すため、スクリーン2が縮もうとする力に耐えることができ、スクリーン2がフレーム3によって外側に引っ張られた状態が維持される。
【0039】
スクリーン2およびフレーム3が室温に到達した後、室温の温度変化にともなって、スクリーン2およびフレーム3の温度が変化すると、該スクリーン2およびフレーム3は膨張もしくは収縮することになる。しかしながら、スクリーン2およびフレーム3はアルミニウム合金等の同一の材料によって形成されており、かつ両者は室温である同一温度に維持される。このため、スクリーン2およびフレーム3の膨張率および収縮率は略同一となり、両者の間に発生する張力は温度変化によってさほど変化することはない。その結果、スクリーン2およびフレーム3は、両者の間に一定の張力が作用した状態で、平坦な形状を維持できる。取出工程の後、スクリーン2の裏側にボイスコイル(不図示)を配設するとともに、フレーム3に、その裏側から支持部材5を介して磁気回路4を取り付けることによって、スピーカ装置1が製造される。
【0040】
以上のように構成されたスピーカ装置1では、スクリーン2の熱的な膨張および収縮を利用して、スクリーン2に張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に向かって引っ張っている。また、スクリーン2およびフレーム3はアルミニウム合金等の同じ材料から形成されている。このため、温度や湿度によるスクリーン2およびフレーム3の膨張率および収縮率を略同一とすることができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させることができるとともに、温度や湿度等の環境条件が変化した場合でも、スクリーン2に作用する張力の大きさが変化するのを防止できる。その結果、スクリーン2の音響特性が悪化するのを防止できる。
【0041】
また、スピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2をヒーター13で加熱し、熱的に膨張させた状態で、該スクリーン2に対してフレーム3を圧着させ、その後、常温において放置させている。ここで、圧着直後の状態、すなわち、スクリーン2とフレーム3との間に温度差がある状態では、スクリーン2は熱的に膨張している状態にあるため、スクリーン2とフレーム3との間に張力はさほど作用しない。一方、圧着後数分間経過した状態、すなわち、スクリーン2とフレーム3との間に温度差がさほどない状態では、スクリーン2は熱収縮しようとしているため、該スクリーン2にはフレーム3に対して張力が作用することになる。このため、スクリーン2が膨張した状態で、該スクリーン2にフレーム3を取り付けることができる。したがって、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0042】
また、スピーカ装置1の製造方法では、第1の接着剤と第2の接着剤としては、互いに混合されると、数分後に硬化するアクリル性の2液接着剤が用いられている。このため、加熱されたスクリーン2に室温のフレーム3を圧着させた場合、スクリーン2の温度がフレーム3と同一の温度となる前に、該スクリーン2とフレーム3とが接着される。したがって、スクリーン2が膨張した状態でフレーム3に取り付けることができ、硬化後同じ温度となったときにスクリーン2に対して確実に張力を作用させることができる。また、スクリーン2およびフレーム3はアルミニウム合金等の同じ材料から形成されているため、室温の変化によりスクリーン2およびフレーム3が膨張もしくは収縮した場合でも、両者の膨張率および収縮率を略同一とすることができる。したがって、環境が変化に影響されることなく、スクリーン2に一定の張力を作用させることができる。
【0043】
また、スピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2の加熱条件や材料等によってスクリーン2に作用する張力の大きさを調節できる。具体的には、スクリーン2の加熱時間、加熱温度、接着剤の種類、硬化時間、スクリーン2とフレーム3の熱膨張率、熱収縮率、スクリーン2とフレーム3との間における剛性の方向もしくは大きさの相違等を変化させることによって、スクリーン2に作用する張力を調節することができる。このため、スクリーン2に作用する張力を容易に調節することが可能である。
【0044】
また、スピーカ装置1の製造方法では、載置板14の載置面14aおよび押圧板15の押圧面15aは平旦な面を有している。このため、平坦なスピーカ装置1を、容易に製造することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、製造方法のみが相違するため、相違する部分を主に説明する。なお、第2の実施の形態に係るスピーカ装置1およびその製造方法において、第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0046】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1の製造方法を示すフローチャートである。図8は本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1を製造するために用いられる加圧装置20の凸板21と凹板22との間に、スクリーン2とフレーム3とを配置させる過程を説明するための側面図である。図9は、図8中の加圧装置20によってスクリーン2とフレーム3を加圧した状態を示す図である。図10は、加圧装置20から取り出した直後のスクリーン2およびフレーム3の側面図である
【0047】
本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1は、図8に示す加圧装置20を用いて製造される。この加圧装置20は、スクリーン2とフレーム3とを熱圧着するために用いられる。図8に示すように、加圧装置20は、定盤11と、定盤11の上方に配置される凸板21と、凸板21上に載置された対象物を押圧するための凹板22と、凹板22を把持するための把持部16と、を有する。
【0048】
図8に示すように、凸板21は定盤11の上方に配置されている。該凸板21を側面視すると、凸板21には上方に向かって凸曲面状に膨らんでいる凸面21aが設けられている。凸板21は、たとえば、アルミニウムから形成することができ、その中央部は、最も小さい厚みを有する外周部と比較して、約5mm程度上方に突出している。凹板22は凸板21と対向するように配置されている。該凹板22を側面視すると、凹板22には、上方に向かって凹曲面状に窪んでいる凹面22aが設けられている。凹板22は、たとえば、アルミニウムから形成することができ、その中央部は、最も大きな厚みを有する外周部と比較して、約5mm程度上方に窪むように形成されている。把持部16は、凹板22の上方に固定されている。なお、凸板21の凸面21aと凹板22の凹面22aとは、互いに対応する(たとえば、同一の曲率を有する)ような凸状および凹状に形成されている。
【0049】
スピーカ装置1を製造する場合、まず、上述のS101と同様の塗布を行う(塗布工程:S201)。次に、図8に示すように、第1の接着剤が塗布されたスクリーン2をその裏側面2aが上方を向くように、凸板21の凸面21a上に載置する(第1載置工程:S202)。
【0050】
さらに、凸板21上に載置されたスクリーン2の上方に、第2の接着剤が塗布されたフレーム3を、互いの接着面が重なるように位置合わせして載置する(第2載置工程:S203)。本実施の形態では、第1載置工程(S202)の後に、加熱工程(S103)を行わない点で第1の実施の形態と相違する。
【0051】
その後、上述のS105と同様の圧着を行う(圧着工程:S204)。上述したように、凸板21の凸面21aと凹板22の凹面22aとは、互いに対応するような凸状および凹状に形成されている。このため、凹板22を凸板21に向かって加圧すると、スクリーン2およびフレーム3は凸面21aと凹面22aから上下方向の応力を受け、弓なりに反った状態に変形する。
【0052】
次に、上述のS106と同様に、圧着されたスクリーン2およびフレーム3を加圧装置20から取り出す(取出工程:S206)。加圧装置20から取り出した直後のスクリーン2およびフレーム3は図10に示すように、側面視して弓なりに反った状態を維持している。この状態では、フレーム3の曲げ剛性および弾性により、フレーム3には、元の状態に復元しようとする矢示A方向のモーメントが作用する。これにともない、スクリーン2は、図10に示す矢示B方向に引っ張られ、長手方向に向かって伸長する。このため、フレーム3が平坦な状態に復元すると、スクリーン2には、図10に示す矢示B方向の引張応力が作用することになる。なお、本実施の形態では、長辺に沿った方向にのみ応力を作用させる場合を示しているが、短辺に沿った方向にも、長辺側と同様に応力を作用させるのが好ましい。その後、第1の実施の形態の場合と同様、ボイスコイル(不図示)および磁気回路4を配設することによって、スピーカ装置1が製造される。
【0053】
以上のように構成されたスピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2とフレーム3とを弓なりに反わせた状態で、両者を圧着させている。このため、フレーム3には、該フレーム3の弾性および曲げ剛性により、元の状態に復元しようとする矢示A方向のモーメントが作用する。これにともない、スクリーン2は、図10に示す矢示B方向に引っ張られ、長手方向に向かって伸長する。したがって、スクリーン2およびフレーム3が、平坦な状態に復元すると、スクリーン2には、図10に示す矢示B方向の引張応力が作用することになる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0054】
また、スピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2の引張剛性およびフレーム3の曲げ剛性および弾性を変化させることによって、スクリーン2に作用する張力を調節することができる。このため、スクリーン2に作用する張力を容易に調節することが可能となる。
【0055】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置30について、図面を参照しながら説明する。また、第3の実施の形態に係るスピーカ装置30では、第1および第2の実施の形態とフレームの構成のみが相違するため、フレームの構成について主に説明する。また、第3の実施の形態に係るスピーカ装置30において、第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0056】
図11は、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置30の背面図である。図12は、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置30をC−C線で切断した断面図である。
【0057】
スピーカ装置30は、第1の実施の形態の場合と同様、スクリーン2と、スクリーン2を保持するフレーム31と、スクリーン2を振動させる駆動体の一部を構成する磁気回路4と、磁気回路4をフレーム3に支持する支持部材5と、から主に構成されている。なお、図11および図12において、駆動体、磁気回路4および支持部材5の図示は省略する。
【0058】
フレーム31は、図11に示すように、長方形の略枠形状を呈している。また、フレーム31は、上述の第1の実施の形態と同様の長手側枠6,6と、短手側枠7,7とを有している。本実施の形態の長手側枠6は、左右の側方に位置する長手側板部6aと、長手側板部6aの両端から互いに対向するように同方向に向かって延出する一対の長手立板部6bとを有する。短手側枠7も長手側枠6と同様に、短手側板部7aと、短手立板部7bを有する。フレーム3の中央には、長方形の形状の開口領域8が形成されている。なお、フレーム3の材料として、アルミニウム合金が採用されている。しかしながら、フレーム3の材料はアルミニウム合金に限定されるものではない。
【0059】
また、開口領域8には、長方形の短手方向に沿って加圧部品となる2本の短手梁状部材32,32が配置されている。短手梁状部材32,32は、開口領域8を長手方向に沿って3分割するように配置されている。これにより、フレーム31内には、左右および中央のそれぞれに3つに分割された分割領域33,34,35が形成される。分割領域33,34は長手方向において同じ幅寸法を有しており、分割領域35は、分割領域33,34の幅寸法よりも小さい寸法を有している。図12に示すように、短手梁状部材32の断面形状は略T字状を呈している。具体的には、短手梁状部材32は、短手方向に平板状の形態で伸びる短手平梁部36と、短手平梁部36の短手方向略中央から表側に向かって延出する短手鍔梁部37とを有する。短手梁状部材32は、その両端部の端面が、対向する長手側枠6の長手側板部6aに当接する形で開口領域8内に配置されている。
【0060】
本実施の形態では、フレーム31内における短手方向の取付間隔Hの寸法は、たとえば、594mmに形成されている。一方、短手梁状部材32の長手方向の長さ寸法は594.2mmの寸法に形成されている。このため、短手梁状部材32が開口領域8に配置された状態では、その両端部が長手側枠6の長手側板部6aを内側から外側に向かって押圧している。すなわち、短手梁状部材32は、フレーム31に対して短手方向における外方に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。なお、短手梁状部材32の長手方向の長さ寸法は、取付間隔Hの寸法よりも大きければ良く、594.2mmに限定されるものではない。
【0061】
分割領域33には、短手方向において略3等分する位置に、加圧部品となる2本の上梁状継手40,40が長手方向に沿って配置されている。また、分割領域35には、短手方向において略3等分する位置に、加圧部品となる2本の中梁状継手41,41が長手方向に沿って配置されている。また、分割領域34には、短手方向において略3等分する位置に、加圧部品となる2本の下梁状継手42,42が長手方向に沿って配置されている。図11に示すように、これら上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42は、開口領域8内を長手方向に横切るように、直線状に配置されている。すなわち、上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42によって、開口領域8は左右方向において3つの領域に分割されている。これより、開口領域8は、短手梁状部材32,32、上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42によって、9つの領域に分割されている。
【0062】
上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42の断面形状は、それぞれ略T字状を呈している。具体的には、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42のそれぞれは、長手方向に平板状の形態で伸びる長手平梁部40a,41a,42aと、長手平梁部40a,41a,42aの短手方向略中央から表側に向かって延出する長手鍔梁部40b,41b,42bとを有する。また、上梁状継手40には、その長手平梁部40aの他端に、長手平梁部40aの部分が長手方向に沿って略L字状に切り欠かれた段差状の切欠部40cが形成されている。さらに、中梁状継手41には、その長手平梁部41aの両端に、長手平梁部41aの部分が長手方向に沿って略L字状に切り欠かれた段差状の切欠部41cが形成されている。また、下梁状継手42には、その長手平梁部42aの一端に、長手平梁部42aの部分が長手方向に沿って略L字状に切り欠かれた段差状の切欠部42cが形成されている。図11に示すように、上梁状継手40は、上側の短手側枠7と、上側に配置される短手梁状部材32との間に架け渡されている。具体的には、上梁状継手40は、その一端側の端面が上側の短手側枠7の短手側板部7aに当接すると共に、その他端側の端面が上側に配置される短手梁状部材32の短手鍔梁部37に当接するように分割領域33内に配置されている。この際、上梁状継手40の他端に設けられる切欠部40cには、短手梁状部材32の短手平梁部36が入り込んでいる(図12参照)。
【0063】
図11に示すように、中梁状継手41は、2つの短手梁状部材32の間に架け渡されている。具体的には、中梁状継手41は、その各端面が2つの短手梁状部材32の短手鍔梁部37における対向する面に当接するように分割領域35内に配置されている。この際、中梁状継手41の両端に設けられる切欠部41cには、短手梁状部材32の短手平梁部36が入り込んでいる(図12参照)。下梁状継手42は、下側の短手側枠7と、下側に配置される短手梁状部材32との間に架け渡されている。具体的には、下梁状継手42は、その他端側の端面が下側の短手側枠7の短手側板部7aに当接するすると共に、その一端側の端面が下側に配置される短手梁状部材32の短手鍔梁部37に当接するように分割領域34内に配置されている。この際、下梁状継手42の一端に設けられる切欠部42cには、短手梁状部材32の短手平梁部36が入り込んでいる(図12参照)。
【0064】
本実施の形態では、分割領域33,34における短手方向の取付間隔Jの寸法は、たとえば、420.5mmに形成されている。一方、上梁状継手40および下梁状継手42の長手方向の長さ寸法は420.6mmの寸法に形成されている。また、中梁状継手41の長さ寸法は、分割領域35の短手方向の取付間隔Kと同じ寸法となる147mmに形成されている。このため、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42が開口領域8に配置された状態では、上梁状継手40の上端部および下梁状継手42の下端部が中梁状継手41を介して、短手側枠7の長手側板部7aを内側から外側に向かって押圧している。すなわち、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42は、フレーム31に対して長手方向外方に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。なお、上梁状継手40および下梁状継手42の長手方向の長さ寸法は、取付間隔Jの寸法よりも大きければ良く、420.6mmに限定されるものではない。
【0065】
本実施の形態では、フレーム31は、まず、スクリーン2を枠状に形成された長手側枠6,6および長手側枠7,7に接着させる。そして、完全に該接着剤が硬化した後、枠状に形成された長手側枠6,6および長手側枠7,7の短手方向に沿って短手梁状部材32を介在させる。その後、各分割領域33,34,35の短手方向(図11におけるフレーム31の長手方向)に沿って上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42を介在させることによって組み立てられる。
【0066】
以上のように構成されたスピーカ装置30では、短手梁状部材32を開口領域8内に介在させることによって、フレーム31を短手方向外方に向かって押圧することができる。また、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を開口領域8内に介在させることによって、フレーム31を長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0067】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態に係るスピーカ装置50について、図面を参照しながら説明する。また、第4の実施の形態に係るスピーカ装置50では、第3の実施の形態に対して短手梁状部材32と長手側枠6、並びに、上梁状継手40、下梁状継手42と短手側枠7との接合方法のみが相違するため、当該接合方法の構成について主に説明する。また、第3の実施の形態に係るスピーカ装置50において、第1から第3の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0068】
図13は、本発明の第4の実施の形態に係るスピーカ装置50における短手梁状部材32の端部近傍の断面図である。図14は、図13における短手梁状部材32の端部近傍をD−D線で切断した断面図である。
【0069】
本実施の形態に係るスピーカ装置50では、フレーム51は、第3の実施の形態と同様、それぞれ2本の長手側枠6,6、短手側枠7,7、短手梁状部材32,32、上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42を有している。本実施の形態では、短手梁状部材32は取付間隔Hよりも短い長さに形成されている。また、上梁状継手40および下梁状継手42も取付間隔Jよりも短い長さで形成されている。また、中梁状継手32は取付間隔Kと同じ長さに形成されている。
【0070】
図13および図14に示すように、短手梁状部材32の端部は、長手側枠6の長手側板部6aと当接していない。短手鍔梁部37を隔てた両側の短手平梁部36の端部近傍には一対の長穴52(図16参照)が形成されており、該長穴52にネジ53を挿通させ、ネジ53の先端を後方の長手立板部6bに螺入させることにより、短手梁状部材32の端部が長手側枠6に固定されている。なお、ネジ53のネジ部53aが長穴52内を移動することにより、短手梁状部材32は長手側枠6に対して相対移動可能となる。
【0071】
図14に示すように、短手平梁部36の端部近傍には、短手鍔梁部37を隔てた両側に略直方体形状の保持部材54,54が配設されている。また、短手平梁部36において保持部材54に狭持される部分には、表裏方向に並ぶように2つの円孔55が設けられている。また、各保持部材54,54にも、該円孔55と上下方向において対応する位置に2つのネジ穴54a,54aが設けられている。具体的には、この保持部材54は、ネジ穴54a,54aと円孔55,55とを位置合わせした状態で、短手平梁部36上に配置される。そして、図14に示すように、上方の保持部材54の2つのネジ穴54aに向かってネジ56を螺入させる。すると、ネジ56が円孔55を通過し、下方に配置される保持部材54のネジ穴54aに螺入される。このようにして、保持部材54が短手平梁部36に固定される。
【0072】
さらに、図13および図14に示すように、保持部材54には、左右方向に向かって貫通するネジ孔54bが設けられている。このネジ孔54bは表裏方向において、保持部材54に螺入された2つのネジ56,56の間に位置している。そして、ネジ孔54bには押圧ネジ57が挿入される。この押圧ネジ57の先端を長手側枠6の長手側板部6aに当接させ、該押圧ネジ57によって長手側板部6aを押圧することで、フレーム51を左右方向に押圧することが可能となる。なお、このような押圧するための構成(以下、ネジ押圧機構という。)は、短手梁状部材32の左右のいずれか一方のみに設けても良いが、短手梁状部材32の左右の両端に設けるのが好ましい。
【0073】
また、短手平梁部材32と同様、上述のネジ押圧機構は、上梁状継手40および下梁状継手42が短手側枠7と接触する側の端部に設けられる。なお、上述のネジ押圧機構を、上梁状継手40および下梁状継手42が短手梁状部材32と接触する側の端部にも設けるようにしても良い。このように、ネジ押圧機構は、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42を介してフレーム31を、外方向に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。さらに、上述のネジ押圧機構を、中梁状継手41に適用しても良い。
【0074】
以上のように構成されたスピーカ装置50では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を開口領域8内に介在させ、短手梁状部材32の両端部、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の短手側枠7と接触する側の端部に、ネジ押圧機構を設けることにより、押圧ネジ57によって、フレーム31を短手方向外方および長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0075】
また、スピーカ装置50では、短手梁状部材32の短手平梁部36、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の長手鍔梁部40b,42bに、長穴52が形成されているため、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節をすることができる。したがって、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節、並びに、押圧ネジ57の挿入量を調節することによって、フレーム51に対する押圧力を調節することが可能となる。また、押圧ネジ57の挿入量を調節するといった容易な動作で、フレーム51に対する押圧力を調節することができる。
【0076】
(第5の実施の形態)
以下、本発明の第5の実施の形態に係るスピーカ装置60について、図面を参照しながら説明する。また、第5の実施の形態に係るスピーカ装置60では、第4の実施の形態に対して、フレーム61を押圧する機構の構成のみが相違するため、当該相違部分について主に説明する。また、第5の実施の形態に係るスピーカ装置60において、第1から第4の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0077】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係るスピーカ装置60における短手梁状部材32の端部近傍の断面図である。図16は、図15における短手梁状部材32の端部近傍をE−E線で切断した断面図である。
【0078】
図15および図16に示すように、本実施の形態に係るスピーカ装置60では、第4の実施の形態のネジ押圧機構中で長手側枠6を押圧するために用いられている押圧ネジ57に替えて、弾性部材となる押圧バネ62が用いられている。具体的には、押圧バネ62は、保持部材54と長手側枠6の長手側板部6aとの間に介在される。そして、この押圧バネ62が長手側枠6の長手側板部6aを外側に押圧することで、フレーム51を左右方向外方に向かって付勢(押圧)することが可能となる。なお、このような押圧するための構成(以下、バネ押圧機構とういう。)は、短手梁状部材32の左右のいずれか一方のみに設けても良いが、短手梁状部材32の左右の両端に設けるのが好ましい。
【0079】
また、短手平梁部材32と同様、上述のバネ押圧構成は、上梁状継手40および下梁状継手42が短手側枠7と接触する側の端部にも設けられる。なお、上述のバネ押圧機構を、上梁状継手40および下梁状継手42が短手梁状部材32と接触する側の端部にも設けるようにしても良い。このように、バネ押圧機構は、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42を介してフレーム31に、外方向に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。さらに、上述のバネ押圧機構を、中梁状継手41に適用しても良い。また、組み立て性を向上させるために、押圧バネ62の中心側に位置すると共に押圧バネ62の押圧時よりも短い支持軸を保持部材54に設けるようにしても良い。
【0080】
以上のように構成されたスピーカ装置60では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を開口領域8内に介在させ、短手梁状部材32の両端部、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の短手側枠7と接触する側の端部に、バネ押圧機構を設けることにより、押圧バネ62の押圧力によって、フレーム31を短手方向外方および長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0081】
また、スピーカ装置60では、短手梁状部材32の短手平梁部36、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の長手鍔梁部40b,42bに、長穴52が形成されているため、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節をすることができる。したがって、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節、並びに、押圧バネ62のバネ定数を調節することによって、フレーム51に対する押圧力を調節することが可能となる。また、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42と、長手側枠6および短手側枠7との間に寸法差が生じた場合でも容易にスクリーン2に作用する張力を調節することができる。
【0082】
(第6の実施の形態)
以下、本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置70について、図面を参照しながら説明する。また、第6の実施の形態に係るスピーカ装置70では、第1から第5の実施の形態とフレームの構成のみが相違するため、フレームの構成について主に説明する。また、第6の実施の形態に係るスピーカ装置70において、第1から5の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0083】
図17は、本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置70の背面図である。図18は、本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置70を図17中のF−F線で切断した断面図である。
【0084】
スピーカ装置70は、第1の実施の形態の場合と同様、スクリーン2と、スクリーン2を保持するフレーム71と、スクリーン2を振動させる駆動体の一部を構成する磁気回路4と、磁気回路4をフレーム3に支持する支持部材5と、から主に構成されている。なお、図17および図18において、駆動体、磁気回路4および支持部材5の図示は省略する。
【0085】
フレーム71は、図17に示すように、長方形の略枠形状を呈している。また、フレーム71は、長手側枠6,6と、短手側枠7,7とを有している。長手側枠6は左右の側方に位置する長手側板部6aと、長手立板部6bとを有する。短手側枠7も長手側枠6と同様に、短手側板部7aと、短手立板部7bを有する。フレーム3の中央には、開口領域8が形成されている。
【0086】
また、開口領域8には、フレーム71を短手方向に横切るように2本の短手梁支持部材72,72が配置されている。短手梁支持部材72,72は、開口領域8を長手方向に沿って略3分割するように配置されている。また、長手側枠6における長手側板部6aの内側面において、該長手側枠6を長手方向に沿って略3等分する位置には、断面凹形状の凹部73aを有する梁支持体73が2つ配置されている。具体的には、凹部73aは、梁支持体73の裏側からフレーム71の中央側に向かって略L字状に切り欠かれるように形成されている(図18参照)。そして、対向配置された梁支持体73の凹部73a,73aに短手梁支持部材72の両端が差し込まれる。このように、2つの短手梁支持部材72の両端部が凹部73a,73aに差し込まれることにより、短手梁支持部材72は、それぞれ上下方向外方に向かって弓なりに反った状態を維持する。
【0087】
また、開口領域8には、フレーム71を長手方向に横切るように2本の長手梁支持部材74,74が配置されている。長手梁支持部材74,74は、開口領域8を短手方向に沿って略3分割するように配置されている。また、短手側枠7における短手側板部7aの内側面において、該短手側枠7を短手方向に沿って略3等分する位置には、上述した凹部73aを有する梁支持体73が2つ配置されている。そして、対向配置された梁支持体73の凹部73a,73aに長手梁支持部材74の両端が差し込まれる。このように、2つの長手梁支持部材74の両端部が凹部73a,73aに差し込まれることにより、長手梁支持部材74は、それぞれ左右方向外方に向かって弓なりに反った状態を維持する。
【0088】
このように、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は、弓なりに反った状態でフレーム71に配置されるため、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は弓なりに反った状態から元の状態に復元しようとする。この復元力は、フレーム71に対して短手方向および長手方向に向かって押圧する押圧力として作用する。すなわち、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は、フレーム71に対して短手方向および長手方向への押圧力を作用させるための部材である。なお、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は、たとえば、アルミニウムや鉄等の金属から形成することができる。
【0089】
さらに、各2つの短手梁支持部材72および長手梁支持部材74によって囲まれる領域には、2つの連結部材となるバネ部材75,76が交差するように配置されている。バネ部材75は、長手方向に沿って配置され、その両端部は各短手梁支持部材72,72に接続されている。すなわち、バネ部材75は、短手梁支持部材72,72の間に架け渡されている。このバネ部材75は、自身の引張力によって、各短手梁支持部材72,72を上下方向内側に引っ張っている。このため、各短手梁支持部材72,72は、その反りが矯正される方向に力を受ける。その結果、短手梁支持部材72,72の両端部はより大きな力で、梁支持体73を左右方向外方に向かって押圧することとなる。
【0090】
一方、バネ部材76は、短手方向に沿って配置され、その両端部は各長手梁支持部材74,74に接続されている。すなわち、バネ部材76は、長手梁支持部材74,74の間に架け渡されている。このバネ部材76は、自身の引張力によって、各長手梁支持部材74,74を左右方向内側に引っ張っている。このため、各長手梁支持部材74,74は、その反りが矯正される方向に力を受ける。その結果、長手梁支持部材74,74の両端部はより大きな力で、梁支持体73を上下方向外方に向かって押圧することとなる。
【0091】
以上のように構成されたスピーカ装置70では、弓なりに反った、短手梁支持部材72,72および長手梁支持部材74,74をフレーム71内に介在させることによって、フレーム71を短手方向外方および長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0092】
また、スピーカ装置70では、バネ部材75,76を短手梁支持部材72および長手梁支持部材74によって囲まれた領域に交差するように配置している。このため、短手梁支持部材72,72および長手梁支持部材74,74に対して、その反りを矯正する方向に力を加えることが可能となる。したがって、フレーム71を短手方向外方および長手方向外方に向かってより大きな力で押圧することができる。その結果、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に向かって確実に引っ張ることが可能となる。
【0093】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0094】
上述の各実施の形態では、スピーカ装置1,30,50,60,70では、フレーム2,31,51,61,71の内部に駆動体が1つのみ配置されたスピーカ装置とされているが、駆動体を2つ以上配置しても良い。また、開口領域8を複数有する大型のスピーカ装置1,30,50,60,70としても良い。さらには、スピーカ装置1,30,50,60,70を接合させて形成した大型のスピーカ装置1,30,50,60,70としても良い。
【0095】
また、上述の第1および第2の実施の形態では、スピーカ装置1の製造の際に用いられる第1の接着剤および第2の接着剤は2液混合型の接着剤とされているが、第1の接着剤および第2の接着剤は2液混合型の接着剤に限定されるものではない。
【0096】
また、上述の第2の実施の形態において、スピーカ装置1の製造の際に使用される加圧装置20では、定盤の上方に配置される載置板を凸形状を有する凸板21とし、対象物を押圧するための押圧板を凹形状を有する凹板22としているが、このような構成に限定されるものではなく、たとえば、逆に、載置板を凹形状を有する凹板とし、押圧板を凸形状を有する凸板としても良い。
【0097】
また、上述の第2,3および4の実施の形態では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42は、それぞれ2本ずつ配置されているが、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42のそれぞれの数は2本に限定されるものではなく、1本としても良いし、3本以上としても良い。
【0098】
また、上述の第2,3および4の実施の形態では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を、短手鍔梁部37および長手鍔梁部40b,41b,42bの先端がスクリーン2の裏面と対向するように配置されているが、このような配置構成に限定されず、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を、短手平梁部36および長手平梁部40a,41a,42aがスクリーン2の裏面と対向するように配置するようにしても良い。
【0099】
また、上述の第4の実施の形態では、2本の押圧ネジ57によってフレーム51を押圧しているが、フレーム51を押圧するための押圧ネジ57の数は2本に限定されるものではなく、1本としても良いし、3本以上としても良い。また、上述の第5の実施の形態では、2つの押圧バネ62によってフレーム61を押圧しているが、フレーム61を押圧するための押圧バネ62の数は2つに限定されるものではなく、1つとしても良いし、3つ以上としても良い。
【0100】
また、上述の第6の実施の形態では、短手梁支持部材72,72および長手梁支持部材74,74を、フレーム71に対して周方向外方に向かって弓なりに反わせているが、弓なりに反わす方向は周方向外方に限定されるものではなく、たとえば、短手方向内方もしくは長手方向内方に向かって反わすようにしても良い。この場合、バネ部材75,76としては圧縮バネを用いることができる。また、バネ部材75,76をゴム等の他の付勢部材によって構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0101】
1,30,50,60,70…スピーカ装置
2…スクリーン(振動板)
3,31,51,61,71…フレーム
4…磁気回路
13…ヒーター(加熱手段)
14…載置板
15…押圧板
21…凸板(載置板)
22…凹板(押圧板)
32…短手梁状部材(梁状部材、加圧部品)
40…上梁状継手(梁状部材、加圧部品)
41…中梁状継手(梁状部材、加圧部品)
42…下梁状継手(梁状部材、加圧部品)
57…押圧ネジ(ネジ部材)
62…押圧バネ(弾性部材)
72…短手梁支持部材(梁状部材、加圧部品)
74…長手梁支持部材(梁状部材、加圧部品)
75,76…バネ部材(連結部材)
H…取付間隔(間隔)
J…取付間隔(間隔)
K…取付間隔(間隔)
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、筐体によって保持された振動板の中央にボイスコイルを配置し、該ボイスコイルに信号を送信することにより、振動板の前方より音を放出させるスピーカ装置が存在する。このようなタイプのスピーカ装置としては、特許文献1に開示されているものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているスピーカ装置では、振動板を支持している支持枠の短辺部における内側縁部にフレットを介挿させることにより、振動板の長手方向に張力を加えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−275187号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているスピーカ装置では、温度や湿度の影響により振動板に加えられる張力の大きさが変化し、それに伴い、振動板の音響特性が変化することから、環境条件によっては充分な音量が得られず、音の歪みが発生するといった問題がある。
【0006】
特に、ボイスコイルの駆動によって、振動板におけるボイスコイル設置位置近傍がボイスコイルの発熱により熱膨張し、局所的に凸状もしくは凹状に変形してしまう。このような変形は、振動板の音響特性の悪化につながってしまう。
【0007】
特許文献1に開示されているスピーカ装置では、フレットを介挿し、長手方向に張力を加えることによって、上述のような熱膨張に起因する音響特性の悪化を防止しようとしている。しかしながら、このような方法では音響特性を良好に維持するために充分な張力が得られないことがある。
【0008】
また、振動板を保持する筐体の外側に、振動板に対して張力を発生させるためのフレームを取り付ける方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、フレームの取付後には良好な音響特性を得ることができるものの、フレームの取付前には適切な張力を得ることができない。このため、フレームを取り付ける前にスピーカ装置の性能を確認する必要があり、作業性が低下してしまう。
【0009】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、振動板に所望の張力を与えることにより、音響特性の向上を図ることが可能なスピーカ装置およびそのその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、平面状の振動板と、振動板のうち外側に露出する平面と反対側の面において振動板を保持するフレームと、スクリーンをフレームに対して接離する方向に駆動させるための駆動体と、を具備するスピーカ装置において、振動板を平旦な面に維持するために、振動板に対して周方向外方に向かって張力が作用するように、振動板をフレームに張設したものである。
【0011】
また、振動板に作用する張力は、振動板およびフレームのいずれか一方もしくは双方を熱膨張もしくは熱収縮させることによって発生するものとするのが好ましい。
【0012】
また、振動板に張力を作用させるために、フレームを弓なりに反わせ、該フレームが弓なりに反った状態から元の状態に戻る際の該フレームの復元力を利用するのが好ましい。
【0013】
また、フレームの内側には、該フレームの間に架け渡される形態で加圧部品が配置され、該加圧部品の両端がフレームの内周縁を周方向外方に向かって押圧することによって、張力が振動板に作用するものとするのが好ましい。
【0014】
また、加圧部材を、架け渡されるフレーム間の間隔よりも、当該間隔に対して0.5%以下の範囲内で大きな寸法を有する梁状部材とするのが好ましい。
【0015】
また、加圧部材は、梁状部材に加え、該梁状部材の端部とフレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧するネジ部材を有するものとするのが好ましい。
【0016】
また、加圧部材は、梁状部材に加え、該梁状部材の端部とフレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧する弾性部材を有するものとするのが好ましい。
【0017】
また、梁状部材を、フレーム間に弓状に反った状態で架け渡すのが好ましい。
【0018】
また、梁状部材は、フレーム間に相反する方向に弓状に反った状態で一対に架け渡されており、両梁状部材の間に、双方の梁状部材の反りを矯正するための連結部材を設けるのが好ましい。
【0019】
また、他の発明は、フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、フレームの振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、加熱手段により加熱された平板状の形態を有する載置板の上に、第1の接着剤が塗布された振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、振動板が載置板上に載置された状態で所定時間放置して、該振動板を加熱する工程と、第2の接着剤が塗布されたフレームを、その一面が振動板の一面と対向するように、振動板の上に位置合わせして載置する工程と、振動板の上に載置されたフレームを、その上から平板状の形態を有する押圧板で押圧して、振動板とフレームとを圧着させる工程と、振動板とフレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、押圧を解除する工程と、を有するものである。
【0020】
また、フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、フレームの振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、その載置面が上方に向かって曲面状に膨らむ凸形状もしくは下方に向かって曲面状に窪む凹形状に形成される載置板の上に、第1の接着剤が塗布された振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、第2の接着剤が塗布されたフレームを、その一面が振動板の一面と対向するように、振動板の上に位置合わせして載置する工程と、振動板の上に載置されたフレームを、その上から、その押圧面が凸形状に対応する凹形状もしくは凹形状に対応する凸形状にそれぞれ形成される押圧板で押圧して、振動板とフレームとを圧着させる工程と、振動板とフレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、押圧を解除する工程と、を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、振動板に所望の張力を与えることにより、音響特性の向上を図ることが可能なスピーカ装置およびそのその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の斜視図である。
【図3】図2中のスピーカ装置を製造するために用いられる加圧装置の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】図3中の加圧装置の載置板と押圧板との間に、スクリーンとフレームとを配置させる過程を説明するための側面図である。
【図6】図3中の加圧装置によってスクリーンとフレームを加圧した状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置を製造するために用いられる加圧装置の凸板と凹板との間に、スクリーンとフレームとを配置させる過程を説明するための側面図である。
【図9】図8中の加圧装置によってスクリーンとフレームを加圧した状態を示す図である。
【図10】加圧装置から取り出した直後のスクリーンおよびフレームの側面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置の背面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置をC−C線で切断した断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るスピーカ装置における短手梁状部材の短部近傍の断面図である。
【図14】図13における短手梁状部材の端部近傍をD−D線で切断した断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係るスピーカ装置における短手梁状部材の短部近傍の断面図である。
【図16】図15における短手梁状部材の端部近傍をE−E線で切断した断面図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置の背面図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置を図17中のF−F線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明(各実施の形態に共通)において、図1、図2および図11〜図18に示す矢示X1方向を表、矢示X2方向を裏、矢示Y1方向を左、矢示Y2方向を右、矢示Z1方向を上および矢示Z2方向を下とそれぞれ規定する。また、図3、図5、図6および図7〜図9の上方を「上」および下方を「下」と規定する。
【0024】
図1は、スピーカ装置1の分解斜視図である。図2は、スピーカ装置1の斜視図である。
【0025】
スピーカ装置1は、直接駆動型のスピーカ装置であり、図1に示すように、外部からの影像を映し出す面を構成する振動板となるスクリーン2と、スクリーン2を保持するフレーム3と、スクリーン2を振動させる駆動体の一部を構成する磁気回路4と、磁気回路4をフレーム3に支持する支持部材5と、から主に構成されている。なお、スピーカ装置1の寸法例としては、たとえば、長手方向の寸法を約1000mm、短手方向の寸法を600mmおよび厚さ寸法を35mmとすることが可能である。
【0026】
フレーム3は、図1に示すように、長方形の枠形状を呈している。このフレーム3の長手方向への寸法となる長さ寸法および短手方向への寸法となる幅寸法は、スピーカ装置1の長さ寸法および幅寸法と略同一となっている。また、フレーム3の材料として、アルミニウム合金が採用されている。しかしながら、フレーム3の材料はアルミニウム合金に限定されるものではない。
【0027】
また、フレーム3は、長手方向を構成する2つの長手側枠6,6と、短手方向を構成する2つの短手側枠7,7とから構成されている。長手側枠6および短手側枠7の断面形状は、例えば、角部を有する略U字形状(略凹字形状)を呈している。上述したように、フレーム3は長方形の枠形状を呈しているため、その中央に、長方形の形状で表裏方向に開口する開口領域8を有する。
【0028】
また、開口領域8の略中央には、磁気回路4が配設されている。磁気回路4は、ホルダ(不図示)と、マグネット(不図示)から構成されている。この磁気回路4は、支持部材5によってフレーム3に保持されている。支持部材5は、開口領域8を上下に2分割するように配置されている。支持部材5は、上下方向に幅広な角柱形状(すなわち、薄板に近い柱形状)を有している。また、支持部材5の両端の端面は、対向する2つの長手側枠6,6に接合されている。また、本実施の形態では、支持部材5の材料として、アルミニウム合金が採用されている。しかしながら、支持部材5の材料はアルミニウム合金に限定されるものではない。
【0029】
また、図1および図2に示すように、スクリーン2は、その外周面が、フレーム3の外周面と一致するように、該フレーム3の表側に取り付けられる。このスクリーン2は、フレーム3との間に接着剤を介在させて固定される。スクリーン2がフレーム3に固定された状態では、該スクリーン2はYZ平面に対して水平な面を有している。また、スクリーン2がフレーム3に固定された状態では、該スクリーン2はフレーム3によって、図2中の矢示P方向に代表される周方向外方に向かって引っ張られている。すなわち、スクリーン2とフレーム3との間では、スクリーン2を周方向外方に向かって引っ張る張力が作用する。これより、フレーム3はスクリーン2の張力に対する反力によって内側に引っ張られることになるが、該反力に耐えうるだけの剛性を有しているため、フレーム3がスクリーン2の張力の影響でゆがんだり有害な撓みを起こすことはない。
【0030】
また、スクリーン2の材料の一例としては、アルミニウム合金を採用するものがある。しかしながら、スクリーン2の材料はアルミニウム合金に限定されるものではなく、種々の振動特性・反射特性を考慮して、適宜選択可能である。また、スクリーン2の裏面における磁気回路4と対応する位置には、駆動体の一部を構成する不図示のボイスコイルが配置されている。当該ボイスコイル(不図示)は、所定の寸法のコイルボビンに、コイル線を巻きつけることにより形成されている。このボイスコイル(不図示)は磁気回路4と協働してスクリーン2を振動させる。また、駆動体として、磁気回路4およびボイスコイル(不図示)ではなく、圧電素子等を採用しても良い。
【0031】
次に、スピーカ装置1の製造方法について説明する。
【0032】
図3は、図2中のスピーカ装置1を製造するために用いられる加圧装置10の側面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスピーカ装置1の製造方法を示すフローチャートである。図5は、図3中の加圧装置10の載置板14と押圧板15との間に、スクリーン2とフレーム3とを配置させる過程を説明するための側面図である。図6は、図3中の加圧装置10によってスクリーン2とフレーム3を加圧した状態を示す側面図である。
【0033】
スピーカ装置1は、図3に示す加圧装置10を用いて製造される。この加圧装置10は、スクリーン2とフレーム3とを熱圧着するために用いられる。図3に示すように、加圧装置10は、定盤11と、定盤11の上方に配置される遮熱板12と、遮熱板12の上方に配置されるヒーター13と、ヒーター13の上方に配置される平板状の載置板14と、載置板14上に載置され、対象物を押圧するための平板状の押圧板15と、押圧板15を把持するための把持部16と、を有する。
【0034】
定盤11は、厚みがやや大きな平板状の形態を有しており、加圧装置10を設置箇所に設置する際の基台の役割を果たしている。遮熱板12は、断熱材から形成されており、ヒーター13から発生する熱が定盤11に伝達されるのを防止する役割を果たしている。ヒーター13は略平板状の形態を有しており、該ヒーター13としては、電気ヒーターや赤外線ヒーターを好適に用いることができる。また、ヒーター13は、加熱温度を設定できるものを採用するのが好ましい。ヒーター13の上方に配置されている載置板14は、たとえば、アルミニウムから形成することができ、約10mmの厚さ寸法を有する。また、載置板14の載置面14aは、平坦な面に形成されている。押圧板15は載置板14と対向するように配置されており、その厚さ寸法は、たとえば、載置板14と同様に約10mmに形成することができる。また、押圧板15の押圧面15aは、平坦な面に形成されている。把持部16は、押圧板15の上方に固定され、上方に向かって略傘形状に突出する板状の形態を有する把持板16aと、把持板16aの略中央から上方に向かって突出するように設けられる取っ手16bとを有する。
【0035】
スピーカ装置1を製造する場合、まず、スクリーン2の裏側面2a(図5参照)に第1の接着剤を塗布するとともに、フレーム3の表側面3a(図5参照)に第2の接着剤を塗布する(塗布工程:S101)。第1の接着剤および第2の接着剤は、裏側面2aおよび表側面3aにおいて、それぞれが互いに接触する部位に塗布される。なお、第1の接着剤と第2の接着剤とは、互が混合されると、数分後に硬化するアクリル性の2液接着剤を構成している。次に、図5に示すように、第1の接着剤が塗布されたスクリーン2をその裏側面2aが上方を向くように、載置板14の載置面14aに載置する(第1載置工程:S102)。
【0036】
次に、ヒーター13を発熱させて、該ヒーター13を約50℃の温度まで上昇させる。このように、載置板14にスクリーン2を載置させ、ヒーター13を発熱させた状態で数分間放置すると、ヒーター13の熱がスクリーン2に伝達される。その結果、スクリーン2も約50℃まで温度が上昇する(加熱工程:S103)。ここで、たとえば、室温を25℃とした場合、スクリーン2を約50℃まで温度を上昇させると、スクリーン2は25℃だけ温度上昇したことになる。また、スクリーン2の長手方向の寸法は、スピーカ装置1の長手方向の寸法と同様の約1000mmとされている。さらに、上述したように、スクリーン2の温度を25℃から50℃まで変化させた場合、スクリーン2の長手方向の寸法は線膨張率の変化により0.5mm伸長する。なお、室温および加熱温度は、それぞれ25℃および50℃に限定されるものではなく、他の温度に設定するようにしても良い。
【0037】
次に、載置板14上に載置されたスクリーン2の上方に、第2の接着剤が塗布されたフレーム3を、互いの接着面が重なるように位置合わせして載置する(第2載置工程:S104)。その直後、装置等に把持部16を把持させて、押圧板15を下方に移動させる。このように、スクリーン2上に載置されたフレーム3をその上方から押圧板15によって加圧する。(圧着工程:S105)。載置板14の載置面14aおよび押圧板15の押圧面15aは平旦な面となっているため、圧着直後のスクリーン2とフレーム3は、平坦な状態を維持している。また、圧着直後の状態では、スクリーン2とフレーム3とは温度差を有しているため、高温であるスクリーン2からフレーム3に接着剤を介して熱が伝達され、その結果、フレーム3の温度が室温よりも高くなる。ここで、上述したアクリル性の2液接着剤は、混合された後、数分で硬化する接着剤であるため、スクリーン2とフレーム3とは温度差を有した状態において接着される。
【0038】
加圧状態で、数分間放置した後、たとえば、装置等によって把持部16を把持させて、押圧板15を上方に移動させ、スクリーン2およびフレーム3の加圧状態を解除し、圧着したスクリーン2およびフレーム3を加圧装置10から取り出す(取出工程:S106)。圧着したスクリーン2およびフレーム3を室温25℃の条件下で放置すると、スクリーン2およびフレーム3から熱が放出され、該スクリーン2およびフレーム3は共に25℃になる。この際、スクリーン2は温度降下するため、該温度降下により収縮力が作用し、スクリーン2は周方向内方に向かって縮もうとする。一方、フレーム3は、高い剛性を有すため温度降下によって、撓んだり縮んだりすることはない。このため、フレーム3とスクリーン2との間には張力が作用する。しかしながら、フレーム3は、高い剛性を有すため、スクリーン2が縮もうとする力に耐えることができ、スクリーン2がフレーム3によって外側に引っ張られた状態が維持される。
【0039】
スクリーン2およびフレーム3が室温に到達した後、室温の温度変化にともなって、スクリーン2およびフレーム3の温度が変化すると、該スクリーン2およびフレーム3は膨張もしくは収縮することになる。しかしながら、スクリーン2およびフレーム3はアルミニウム合金等の同一の材料によって形成されており、かつ両者は室温である同一温度に維持される。このため、スクリーン2およびフレーム3の膨張率および収縮率は略同一となり、両者の間に発生する張力は温度変化によってさほど変化することはない。その結果、スクリーン2およびフレーム3は、両者の間に一定の張力が作用した状態で、平坦な形状を維持できる。取出工程の後、スクリーン2の裏側にボイスコイル(不図示)を配設するとともに、フレーム3に、その裏側から支持部材5を介して磁気回路4を取り付けることによって、スピーカ装置1が製造される。
【0040】
以上のように構成されたスピーカ装置1では、スクリーン2の熱的な膨張および収縮を利用して、スクリーン2に張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に向かって引っ張っている。また、スクリーン2およびフレーム3はアルミニウム合金等の同じ材料から形成されている。このため、温度や湿度によるスクリーン2およびフレーム3の膨張率および収縮率を略同一とすることができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させることができるとともに、温度や湿度等の環境条件が変化した場合でも、スクリーン2に作用する張力の大きさが変化するのを防止できる。その結果、スクリーン2の音響特性が悪化するのを防止できる。
【0041】
また、スピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2をヒーター13で加熱し、熱的に膨張させた状態で、該スクリーン2に対してフレーム3を圧着させ、その後、常温において放置させている。ここで、圧着直後の状態、すなわち、スクリーン2とフレーム3との間に温度差がある状態では、スクリーン2は熱的に膨張している状態にあるため、スクリーン2とフレーム3との間に張力はさほど作用しない。一方、圧着後数分間経過した状態、すなわち、スクリーン2とフレーム3との間に温度差がさほどない状態では、スクリーン2は熱収縮しようとしているため、該スクリーン2にはフレーム3に対して張力が作用することになる。このため、スクリーン2が膨張した状態で、該スクリーン2にフレーム3を取り付けることができる。したがって、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0042】
また、スピーカ装置1の製造方法では、第1の接着剤と第2の接着剤としては、互いに混合されると、数分後に硬化するアクリル性の2液接着剤が用いられている。このため、加熱されたスクリーン2に室温のフレーム3を圧着させた場合、スクリーン2の温度がフレーム3と同一の温度となる前に、該スクリーン2とフレーム3とが接着される。したがって、スクリーン2が膨張した状態でフレーム3に取り付けることができ、硬化後同じ温度となったときにスクリーン2に対して確実に張力を作用させることができる。また、スクリーン2およびフレーム3はアルミニウム合金等の同じ材料から形成されているため、室温の変化によりスクリーン2およびフレーム3が膨張もしくは収縮した場合でも、両者の膨張率および収縮率を略同一とすることができる。したがって、環境が変化に影響されることなく、スクリーン2に一定の張力を作用させることができる。
【0043】
また、スピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2の加熱条件や材料等によってスクリーン2に作用する張力の大きさを調節できる。具体的には、スクリーン2の加熱時間、加熱温度、接着剤の種類、硬化時間、スクリーン2とフレーム3の熱膨張率、熱収縮率、スクリーン2とフレーム3との間における剛性の方向もしくは大きさの相違等を変化させることによって、スクリーン2に作用する張力を調節することができる。このため、スクリーン2に作用する張力を容易に調節することが可能である。
【0044】
また、スピーカ装置1の製造方法では、載置板14の載置面14aおよび押圧板15の押圧面15aは平旦な面を有している。このため、平坦なスピーカ装置1を、容易に製造することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、製造方法のみが相違するため、相違する部分を主に説明する。なお、第2の実施の形態に係るスピーカ装置1およびその製造方法において、第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0046】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1の製造方法を示すフローチャートである。図8は本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1を製造するために用いられる加圧装置20の凸板21と凹板22との間に、スクリーン2とフレーム3とを配置させる過程を説明するための側面図である。図9は、図8中の加圧装置20によってスクリーン2とフレーム3を加圧した状態を示す図である。図10は、加圧装置20から取り出した直後のスクリーン2およびフレーム3の側面図である
【0047】
本発明の第2の実施の形態に係るスピーカ装置1は、図8に示す加圧装置20を用いて製造される。この加圧装置20は、スクリーン2とフレーム3とを熱圧着するために用いられる。図8に示すように、加圧装置20は、定盤11と、定盤11の上方に配置される凸板21と、凸板21上に載置された対象物を押圧するための凹板22と、凹板22を把持するための把持部16と、を有する。
【0048】
図8に示すように、凸板21は定盤11の上方に配置されている。該凸板21を側面視すると、凸板21には上方に向かって凸曲面状に膨らんでいる凸面21aが設けられている。凸板21は、たとえば、アルミニウムから形成することができ、その中央部は、最も小さい厚みを有する外周部と比較して、約5mm程度上方に突出している。凹板22は凸板21と対向するように配置されている。該凹板22を側面視すると、凹板22には、上方に向かって凹曲面状に窪んでいる凹面22aが設けられている。凹板22は、たとえば、アルミニウムから形成することができ、その中央部は、最も大きな厚みを有する外周部と比較して、約5mm程度上方に窪むように形成されている。把持部16は、凹板22の上方に固定されている。なお、凸板21の凸面21aと凹板22の凹面22aとは、互いに対応する(たとえば、同一の曲率を有する)ような凸状および凹状に形成されている。
【0049】
スピーカ装置1を製造する場合、まず、上述のS101と同様の塗布を行う(塗布工程:S201)。次に、図8に示すように、第1の接着剤が塗布されたスクリーン2をその裏側面2aが上方を向くように、凸板21の凸面21a上に載置する(第1載置工程:S202)。
【0050】
さらに、凸板21上に載置されたスクリーン2の上方に、第2の接着剤が塗布されたフレーム3を、互いの接着面が重なるように位置合わせして載置する(第2載置工程:S203)。本実施の形態では、第1載置工程(S202)の後に、加熱工程(S103)を行わない点で第1の実施の形態と相違する。
【0051】
その後、上述のS105と同様の圧着を行う(圧着工程:S204)。上述したように、凸板21の凸面21aと凹板22の凹面22aとは、互いに対応するような凸状および凹状に形成されている。このため、凹板22を凸板21に向かって加圧すると、スクリーン2およびフレーム3は凸面21aと凹面22aから上下方向の応力を受け、弓なりに反った状態に変形する。
【0052】
次に、上述のS106と同様に、圧着されたスクリーン2およびフレーム3を加圧装置20から取り出す(取出工程:S206)。加圧装置20から取り出した直後のスクリーン2およびフレーム3は図10に示すように、側面視して弓なりに反った状態を維持している。この状態では、フレーム3の曲げ剛性および弾性により、フレーム3には、元の状態に復元しようとする矢示A方向のモーメントが作用する。これにともない、スクリーン2は、図10に示す矢示B方向に引っ張られ、長手方向に向かって伸長する。このため、フレーム3が平坦な状態に復元すると、スクリーン2には、図10に示す矢示B方向の引張応力が作用することになる。なお、本実施の形態では、長辺に沿った方向にのみ応力を作用させる場合を示しているが、短辺に沿った方向にも、長辺側と同様に応力を作用させるのが好ましい。その後、第1の実施の形態の場合と同様、ボイスコイル(不図示)および磁気回路4を配設することによって、スピーカ装置1が製造される。
【0053】
以上のように構成されたスピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2とフレーム3とを弓なりに反わせた状態で、両者を圧着させている。このため、フレーム3には、該フレーム3の弾性および曲げ剛性により、元の状態に復元しようとする矢示A方向のモーメントが作用する。これにともない、スクリーン2は、図10に示す矢示B方向に引っ張られ、長手方向に向かって伸長する。したがって、スクリーン2およびフレーム3が、平坦な状態に復元すると、スクリーン2には、図10に示す矢示B方向の引張応力が作用することになる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0054】
また、スピーカ装置1の製造方法では、スクリーン2の引張剛性およびフレーム3の曲げ剛性および弾性を変化させることによって、スクリーン2に作用する張力を調節することができる。このため、スクリーン2に作用する張力を容易に調節することが可能となる。
【0055】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置30について、図面を参照しながら説明する。また、第3の実施の形態に係るスピーカ装置30では、第1および第2の実施の形態とフレームの構成のみが相違するため、フレームの構成について主に説明する。また、第3の実施の形態に係るスピーカ装置30において、第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0056】
図11は、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置30の背面図である。図12は、本発明の第3の実施の形態に係るスピーカ装置30をC−C線で切断した断面図である。
【0057】
スピーカ装置30は、第1の実施の形態の場合と同様、スクリーン2と、スクリーン2を保持するフレーム31と、スクリーン2を振動させる駆動体の一部を構成する磁気回路4と、磁気回路4をフレーム3に支持する支持部材5と、から主に構成されている。なお、図11および図12において、駆動体、磁気回路4および支持部材5の図示は省略する。
【0058】
フレーム31は、図11に示すように、長方形の略枠形状を呈している。また、フレーム31は、上述の第1の実施の形態と同様の長手側枠6,6と、短手側枠7,7とを有している。本実施の形態の長手側枠6は、左右の側方に位置する長手側板部6aと、長手側板部6aの両端から互いに対向するように同方向に向かって延出する一対の長手立板部6bとを有する。短手側枠7も長手側枠6と同様に、短手側板部7aと、短手立板部7bを有する。フレーム3の中央には、長方形の形状の開口領域8が形成されている。なお、フレーム3の材料として、アルミニウム合金が採用されている。しかしながら、フレーム3の材料はアルミニウム合金に限定されるものではない。
【0059】
また、開口領域8には、長方形の短手方向に沿って加圧部品となる2本の短手梁状部材32,32が配置されている。短手梁状部材32,32は、開口領域8を長手方向に沿って3分割するように配置されている。これにより、フレーム31内には、左右および中央のそれぞれに3つに分割された分割領域33,34,35が形成される。分割領域33,34は長手方向において同じ幅寸法を有しており、分割領域35は、分割領域33,34の幅寸法よりも小さい寸法を有している。図12に示すように、短手梁状部材32の断面形状は略T字状を呈している。具体的には、短手梁状部材32は、短手方向に平板状の形態で伸びる短手平梁部36と、短手平梁部36の短手方向略中央から表側に向かって延出する短手鍔梁部37とを有する。短手梁状部材32は、その両端部の端面が、対向する長手側枠6の長手側板部6aに当接する形で開口領域8内に配置されている。
【0060】
本実施の形態では、フレーム31内における短手方向の取付間隔Hの寸法は、たとえば、594mmに形成されている。一方、短手梁状部材32の長手方向の長さ寸法は594.2mmの寸法に形成されている。このため、短手梁状部材32が開口領域8に配置された状態では、その両端部が長手側枠6の長手側板部6aを内側から外側に向かって押圧している。すなわち、短手梁状部材32は、フレーム31に対して短手方向における外方に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。なお、短手梁状部材32の長手方向の長さ寸法は、取付間隔Hの寸法よりも大きければ良く、594.2mmに限定されるものではない。
【0061】
分割領域33には、短手方向において略3等分する位置に、加圧部品となる2本の上梁状継手40,40が長手方向に沿って配置されている。また、分割領域35には、短手方向において略3等分する位置に、加圧部品となる2本の中梁状継手41,41が長手方向に沿って配置されている。また、分割領域34には、短手方向において略3等分する位置に、加圧部品となる2本の下梁状継手42,42が長手方向に沿って配置されている。図11に示すように、これら上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42は、開口領域8内を長手方向に横切るように、直線状に配置されている。すなわち、上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42によって、開口領域8は左右方向において3つの領域に分割されている。これより、開口領域8は、短手梁状部材32,32、上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42によって、9つの領域に分割されている。
【0062】
上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42の断面形状は、それぞれ略T字状を呈している。具体的には、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42のそれぞれは、長手方向に平板状の形態で伸びる長手平梁部40a,41a,42aと、長手平梁部40a,41a,42aの短手方向略中央から表側に向かって延出する長手鍔梁部40b,41b,42bとを有する。また、上梁状継手40には、その長手平梁部40aの他端に、長手平梁部40aの部分が長手方向に沿って略L字状に切り欠かれた段差状の切欠部40cが形成されている。さらに、中梁状継手41には、その長手平梁部41aの両端に、長手平梁部41aの部分が長手方向に沿って略L字状に切り欠かれた段差状の切欠部41cが形成されている。また、下梁状継手42には、その長手平梁部42aの一端に、長手平梁部42aの部分が長手方向に沿って略L字状に切り欠かれた段差状の切欠部42cが形成されている。図11に示すように、上梁状継手40は、上側の短手側枠7と、上側に配置される短手梁状部材32との間に架け渡されている。具体的には、上梁状継手40は、その一端側の端面が上側の短手側枠7の短手側板部7aに当接すると共に、その他端側の端面が上側に配置される短手梁状部材32の短手鍔梁部37に当接するように分割領域33内に配置されている。この際、上梁状継手40の他端に設けられる切欠部40cには、短手梁状部材32の短手平梁部36が入り込んでいる(図12参照)。
【0063】
図11に示すように、中梁状継手41は、2つの短手梁状部材32の間に架け渡されている。具体的には、中梁状継手41は、その各端面が2つの短手梁状部材32の短手鍔梁部37における対向する面に当接するように分割領域35内に配置されている。この際、中梁状継手41の両端に設けられる切欠部41cには、短手梁状部材32の短手平梁部36が入り込んでいる(図12参照)。下梁状継手42は、下側の短手側枠7と、下側に配置される短手梁状部材32との間に架け渡されている。具体的には、下梁状継手42は、その他端側の端面が下側の短手側枠7の短手側板部7aに当接するすると共に、その一端側の端面が下側に配置される短手梁状部材32の短手鍔梁部37に当接するように分割領域34内に配置されている。この際、下梁状継手42の一端に設けられる切欠部42cには、短手梁状部材32の短手平梁部36が入り込んでいる(図12参照)。
【0064】
本実施の形態では、分割領域33,34における短手方向の取付間隔Jの寸法は、たとえば、420.5mmに形成されている。一方、上梁状継手40および下梁状継手42の長手方向の長さ寸法は420.6mmの寸法に形成されている。また、中梁状継手41の長さ寸法は、分割領域35の短手方向の取付間隔Kと同じ寸法となる147mmに形成されている。このため、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42が開口領域8に配置された状態では、上梁状継手40の上端部および下梁状継手42の下端部が中梁状継手41を介して、短手側枠7の長手側板部7aを内側から外側に向かって押圧している。すなわち、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42は、フレーム31に対して長手方向外方に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。なお、上梁状継手40および下梁状継手42の長手方向の長さ寸法は、取付間隔Jの寸法よりも大きければ良く、420.6mmに限定されるものではない。
【0065】
本実施の形態では、フレーム31は、まず、スクリーン2を枠状に形成された長手側枠6,6および長手側枠7,7に接着させる。そして、完全に該接着剤が硬化した後、枠状に形成された長手側枠6,6および長手側枠7,7の短手方向に沿って短手梁状部材32を介在させる。その後、各分割領域33,34,35の短手方向(図11におけるフレーム31の長手方向)に沿って上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42を介在させることによって組み立てられる。
【0066】
以上のように構成されたスピーカ装置30では、短手梁状部材32を開口領域8内に介在させることによって、フレーム31を短手方向外方に向かって押圧することができる。また、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を開口領域8内に介在させることによって、フレーム31を長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0067】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態に係るスピーカ装置50について、図面を参照しながら説明する。また、第4の実施の形態に係るスピーカ装置50では、第3の実施の形態に対して短手梁状部材32と長手側枠6、並びに、上梁状継手40、下梁状継手42と短手側枠7との接合方法のみが相違するため、当該接合方法の構成について主に説明する。また、第3の実施の形態に係るスピーカ装置50において、第1から第3の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0068】
図13は、本発明の第4の実施の形態に係るスピーカ装置50における短手梁状部材32の端部近傍の断面図である。図14は、図13における短手梁状部材32の端部近傍をD−D線で切断した断面図である。
【0069】
本実施の形態に係るスピーカ装置50では、フレーム51は、第3の実施の形態と同様、それぞれ2本の長手側枠6,6、短手側枠7,7、短手梁状部材32,32、上梁状継手40,40、中梁状継手41,41および下梁状継手42,42を有している。本実施の形態では、短手梁状部材32は取付間隔Hよりも短い長さに形成されている。また、上梁状継手40および下梁状継手42も取付間隔Jよりも短い長さで形成されている。また、中梁状継手32は取付間隔Kと同じ長さに形成されている。
【0070】
図13および図14に示すように、短手梁状部材32の端部は、長手側枠6の長手側板部6aと当接していない。短手鍔梁部37を隔てた両側の短手平梁部36の端部近傍には一対の長穴52(図16参照)が形成されており、該長穴52にネジ53を挿通させ、ネジ53の先端を後方の長手立板部6bに螺入させることにより、短手梁状部材32の端部が長手側枠6に固定されている。なお、ネジ53のネジ部53aが長穴52内を移動することにより、短手梁状部材32は長手側枠6に対して相対移動可能となる。
【0071】
図14に示すように、短手平梁部36の端部近傍には、短手鍔梁部37を隔てた両側に略直方体形状の保持部材54,54が配設されている。また、短手平梁部36において保持部材54に狭持される部分には、表裏方向に並ぶように2つの円孔55が設けられている。また、各保持部材54,54にも、該円孔55と上下方向において対応する位置に2つのネジ穴54a,54aが設けられている。具体的には、この保持部材54は、ネジ穴54a,54aと円孔55,55とを位置合わせした状態で、短手平梁部36上に配置される。そして、図14に示すように、上方の保持部材54の2つのネジ穴54aに向かってネジ56を螺入させる。すると、ネジ56が円孔55を通過し、下方に配置される保持部材54のネジ穴54aに螺入される。このようにして、保持部材54が短手平梁部36に固定される。
【0072】
さらに、図13および図14に示すように、保持部材54には、左右方向に向かって貫通するネジ孔54bが設けられている。このネジ孔54bは表裏方向において、保持部材54に螺入された2つのネジ56,56の間に位置している。そして、ネジ孔54bには押圧ネジ57が挿入される。この押圧ネジ57の先端を長手側枠6の長手側板部6aに当接させ、該押圧ネジ57によって長手側板部6aを押圧することで、フレーム51を左右方向に押圧することが可能となる。なお、このような押圧するための構成(以下、ネジ押圧機構という。)は、短手梁状部材32の左右のいずれか一方のみに設けても良いが、短手梁状部材32の左右の両端に設けるのが好ましい。
【0073】
また、短手平梁部材32と同様、上述のネジ押圧機構は、上梁状継手40および下梁状継手42が短手側枠7と接触する側の端部に設けられる。なお、上述のネジ押圧機構を、上梁状継手40および下梁状継手42が短手梁状部材32と接触する側の端部にも設けるようにしても良い。このように、ネジ押圧機構は、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42を介してフレーム31を、外方向に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。さらに、上述のネジ押圧機構を、中梁状継手41に適用しても良い。
【0074】
以上のように構成されたスピーカ装置50では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を開口領域8内に介在させ、短手梁状部材32の両端部、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の短手側枠7と接触する側の端部に、ネジ押圧機構を設けることにより、押圧ネジ57によって、フレーム31を短手方向外方および長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0075】
また、スピーカ装置50では、短手梁状部材32の短手平梁部36、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の長手鍔梁部40b,42bに、長穴52が形成されているため、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節をすることができる。したがって、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節、並びに、押圧ネジ57の挿入量を調節することによって、フレーム51に対する押圧力を調節することが可能となる。また、押圧ネジ57の挿入量を調節するといった容易な動作で、フレーム51に対する押圧力を調節することができる。
【0076】
(第5の実施の形態)
以下、本発明の第5の実施の形態に係るスピーカ装置60について、図面を参照しながら説明する。また、第5の実施の形態に係るスピーカ装置60では、第4の実施の形態に対して、フレーム61を押圧する機構の構成のみが相違するため、当該相違部分について主に説明する。また、第5の実施の形態に係るスピーカ装置60において、第1から第4の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0077】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係るスピーカ装置60における短手梁状部材32の端部近傍の断面図である。図16は、図15における短手梁状部材32の端部近傍をE−E線で切断した断面図である。
【0078】
図15および図16に示すように、本実施の形態に係るスピーカ装置60では、第4の実施の形態のネジ押圧機構中で長手側枠6を押圧するために用いられている押圧ネジ57に替えて、弾性部材となる押圧バネ62が用いられている。具体的には、押圧バネ62は、保持部材54と長手側枠6の長手側板部6aとの間に介在される。そして、この押圧バネ62が長手側枠6の長手側板部6aを外側に押圧することで、フレーム51を左右方向外方に向かって付勢(押圧)することが可能となる。なお、このような押圧するための構成(以下、バネ押圧機構とういう。)は、短手梁状部材32の左右のいずれか一方のみに設けても良いが、短手梁状部材32の左右の両端に設けるのが好ましい。
【0079】
また、短手平梁部材32と同様、上述のバネ押圧構成は、上梁状継手40および下梁状継手42が短手側枠7と接触する側の端部にも設けられる。なお、上述のバネ押圧機構を、上梁状継手40および下梁状継手42が短手梁状部材32と接触する側の端部にも設けるようにしても良い。このように、バネ押圧機構は、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42を介してフレーム31に、外方向に向かって押圧力を作用させるための機能を果たしている。さらに、上述のバネ押圧機構を、中梁状継手41に適用しても良い。また、組み立て性を向上させるために、押圧バネ62の中心側に位置すると共に押圧バネ62の押圧時よりも短い支持軸を保持部材54に設けるようにしても良い。
【0080】
以上のように構成されたスピーカ装置60では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を開口領域8内に介在させ、短手梁状部材32の両端部、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の短手側枠7と接触する側の端部に、バネ押圧機構を設けることにより、押圧バネ62の押圧力によって、フレーム31を短手方向外方および長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0081】
また、スピーカ装置60では、短手梁状部材32の短手平梁部36、並びに、上梁状継手40および下梁状継手42の長手鍔梁部40b,42bに、長穴52が形成されているため、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節をすることができる。したがって、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42の位置調節、並びに、押圧バネ62のバネ定数を調節することによって、フレーム51に対する押圧力を調節することが可能となる。また、短手梁状部材32、上梁状継手40および下梁状継手42と、長手側枠6および短手側枠7との間に寸法差が生じた場合でも容易にスクリーン2に作用する張力を調節することができる。
【0082】
(第6の実施の形態)
以下、本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置70について、図面を参照しながら説明する。また、第6の実施の形態に係るスピーカ装置70では、第1から第5の実施の形態とフレームの構成のみが相違するため、フレームの構成について主に説明する。また、第6の実施の形態に係るスピーカ装置70において、第1から5の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0083】
図17は、本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置70の背面図である。図18は、本発明の第6の実施の形態に係るスピーカ装置70を図17中のF−F線で切断した断面図である。
【0084】
スピーカ装置70は、第1の実施の形態の場合と同様、スクリーン2と、スクリーン2を保持するフレーム71と、スクリーン2を振動させる駆動体の一部を構成する磁気回路4と、磁気回路4をフレーム3に支持する支持部材5と、から主に構成されている。なお、図17および図18において、駆動体、磁気回路4および支持部材5の図示は省略する。
【0085】
フレーム71は、図17に示すように、長方形の略枠形状を呈している。また、フレーム71は、長手側枠6,6と、短手側枠7,7とを有している。長手側枠6は左右の側方に位置する長手側板部6aと、長手立板部6bとを有する。短手側枠7も長手側枠6と同様に、短手側板部7aと、短手立板部7bを有する。フレーム3の中央には、開口領域8が形成されている。
【0086】
また、開口領域8には、フレーム71を短手方向に横切るように2本の短手梁支持部材72,72が配置されている。短手梁支持部材72,72は、開口領域8を長手方向に沿って略3分割するように配置されている。また、長手側枠6における長手側板部6aの内側面において、該長手側枠6を長手方向に沿って略3等分する位置には、断面凹形状の凹部73aを有する梁支持体73が2つ配置されている。具体的には、凹部73aは、梁支持体73の裏側からフレーム71の中央側に向かって略L字状に切り欠かれるように形成されている(図18参照)。そして、対向配置された梁支持体73の凹部73a,73aに短手梁支持部材72の両端が差し込まれる。このように、2つの短手梁支持部材72の両端部が凹部73a,73aに差し込まれることにより、短手梁支持部材72は、それぞれ上下方向外方に向かって弓なりに反った状態を維持する。
【0087】
また、開口領域8には、フレーム71を長手方向に横切るように2本の長手梁支持部材74,74が配置されている。長手梁支持部材74,74は、開口領域8を短手方向に沿って略3分割するように配置されている。また、短手側枠7における短手側板部7aの内側面において、該短手側枠7を短手方向に沿って略3等分する位置には、上述した凹部73aを有する梁支持体73が2つ配置されている。そして、対向配置された梁支持体73の凹部73a,73aに長手梁支持部材74の両端が差し込まれる。このように、2つの長手梁支持部材74の両端部が凹部73a,73aに差し込まれることにより、長手梁支持部材74は、それぞれ左右方向外方に向かって弓なりに反った状態を維持する。
【0088】
このように、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は、弓なりに反った状態でフレーム71に配置されるため、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は弓なりに反った状態から元の状態に復元しようとする。この復元力は、フレーム71に対して短手方向および長手方向に向かって押圧する押圧力として作用する。すなわち、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は、フレーム71に対して短手方向および長手方向への押圧力を作用させるための部材である。なお、短手梁支持部材72および長手梁支持部材74は、たとえば、アルミニウムや鉄等の金属から形成することができる。
【0089】
さらに、各2つの短手梁支持部材72および長手梁支持部材74によって囲まれる領域には、2つの連結部材となるバネ部材75,76が交差するように配置されている。バネ部材75は、長手方向に沿って配置され、その両端部は各短手梁支持部材72,72に接続されている。すなわち、バネ部材75は、短手梁支持部材72,72の間に架け渡されている。このバネ部材75は、自身の引張力によって、各短手梁支持部材72,72を上下方向内側に引っ張っている。このため、各短手梁支持部材72,72は、その反りが矯正される方向に力を受ける。その結果、短手梁支持部材72,72の両端部はより大きな力で、梁支持体73を左右方向外方に向かって押圧することとなる。
【0090】
一方、バネ部材76は、短手方向に沿って配置され、その両端部は各長手梁支持部材74,74に接続されている。すなわち、バネ部材76は、長手梁支持部材74,74の間に架け渡されている。このバネ部材76は、自身の引張力によって、各長手梁支持部材74,74を左右方向内側に引っ張っている。このため、各長手梁支持部材74,74は、その反りが矯正される方向に力を受ける。その結果、長手梁支持部材74,74の両端部はより大きな力で、梁支持体73を上下方向外方に向かって押圧することとなる。
【0091】
以上のように構成されたスピーカ装置70では、弓なりに反った、短手梁支持部材72,72および長手梁支持部材74,74をフレーム71内に介在させることによって、フレーム71を短手方向外方および長手方向外方に向かって押圧することができる。このため、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に引っ張ることが可能となる。
【0092】
また、スピーカ装置70では、バネ部材75,76を短手梁支持部材72および長手梁支持部材74によって囲まれた領域に交差するように配置している。このため、短手梁支持部材72,72および長手梁支持部材74,74に対して、その反りを矯正する方向に力を加えることが可能となる。したがって、フレーム71を短手方向外方および長手方向外方に向かってより大きな力で押圧することができる。その結果、スクリーン2に充分な張力を作用させ、該スクリーン2を周方向外方に向かって確実に引っ張ることが可能となる。
【0093】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0094】
上述の各実施の形態では、スピーカ装置1,30,50,60,70では、フレーム2,31,51,61,71の内部に駆動体が1つのみ配置されたスピーカ装置とされているが、駆動体を2つ以上配置しても良い。また、開口領域8を複数有する大型のスピーカ装置1,30,50,60,70としても良い。さらには、スピーカ装置1,30,50,60,70を接合させて形成した大型のスピーカ装置1,30,50,60,70としても良い。
【0095】
また、上述の第1および第2の実施の形態では、スピーカ装置1の製造の際に用いられる第1の接着剤および第2の接着剤は2液混合型の接着剤とされているが、第1の接着剤および第2の接着剤は2液混合型の接着剤に限定されるものではない。
【0096】
また、上述の第2の実施の形態において、スピーカ装置1の製造の際に使用される加圧装置20では、定盤の上方に配置される載置板を凸形状を有する凸板21とし、対象物を押圧するための押圧板を凹形状を有する凹板22としているが、このような構成に限定されるものではなく、たとえば、逆に、載置板を凹形状を有する凹板とし、押圧板を凸形状を有する凸板としても良い。
【0097】
また、上述の第2,3および4の実施の形態では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42は、それぞれ2本ずつ配置されているが、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42のそれぞれの数は2本に限定されるものではなく、1本としても良いし、3本以上としても良い。
【0098】
また、上述の第2,3および4の実施の形態では、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を、短手鍔梁部37および長手鍔梁部40b,41b,42bの先端がスクリーン2の裏面と対向するように配置されているが、このような配置構成に限定されず、短手梁状部材32、上梁状継手40、中梁状継手41および下梁状継手42を、短手平梁部36および長手平梁部40a,41a,42aがスクリーン2の裏面と対向するように配置するようにしても良い。
【0099】
また、上述の第4の実施の形態では、2本の押圧ネジ57によってフレーム51を押圧しているが、フレーム51を押圧するための押圧ネジ57の数は2本に限定されるものではなく、1本としても良いし、3本以上としても良い。また、上述の第5の実施の形態では、2つの押圧バネ62によってフレーム61を押圧しているが、フレーム61を押圧するための押圧バネ62の数は2つに限定されるものではなく、1つとしても良いし、3つ以上としても良い。
【0100】
また、上述の第6の実施の形態では、短手梁支持部材72,72および長手梁支持部材74,74を、フレーム71に対して周方向外方に向かって弓なりに反わせているが、弓なりに反わす方向は周方向外方に限定されるものではなく、たとえば、短手方向内方もしくは長手方向内方に向かって反わすようにしても良い。この場合、バネ部材75,76としては圧縮バネを用いることができる。また、バネ部材75,76をゴム等の他の付勢部材によって構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0101】
1,30,50,60,70…スピーカ装置
2…スクリーン(振動板)
3,31,51,61,71…フレーム
4…磁気回路
13…ヒーター(加熱手段)
14…載置板
15…押圧板
21…凸板(載置板)
22…凹板(押圧板)
32…短手梁状部材(梁状部材、加圧部品)
40…上梁状継手(梁状部材、加圧部品)
41…中梁状継手(梁状部材、加圧部品)
42…下梁状継手(梁状部材、加圧部品)
57…押圧ネジ(ネジ部材)
62…押圧バネ(弾性部材)
72…短手梁支持部材(梁状部材、加圧部品)
74…長手梁支持部材(梁状部材、加圧部品)
75,76…バネ部材(連結部材)
H…取付間隔(間隔)
J…取付間隔(間隔)
K…取付間隔(間隔)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の振動板と、
上記振動板のうち外側に露出する平面と反対側の面において上記振動板を保持するフレームと、
上記スクリーンを上記フレームに対して接離する方向に駆動させるための駆動体と、
を具備するスピーカ装置において、
上記振動板を平旦な面に維持するために、上記振動板に対して周方向外方に向かって張力が作用するように、上記振動板を上記フレームに張設することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
請求項1記載のスピーカ装置において、
前記振動板に作用する前記張力は、前記振動板および前記フレームのいずれか一方もしくは双方を熱膨張もしくは熱収縮させることによって発生することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項3】
請求項1記載のスピーカ装置において、
前記振動板に前記張力を作用させるために、前記フレームを弓なりに反わせ、該フレームが弓なりに沿った状態から元の状態に戻る際の該フレームの復元力を利用していることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項4】
請求項1記載のスピーカ装置において、
前記フレームの内側には、該フレームの間に架け渡される形態で加圧部品が配置され、該加圧部品の両端が前記フレームの内周縁を周方向外方に向かって押圧することによって、前記張力が前記振動板に作用することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項5】
請求項4記載のスピーカ装置において、
前記加圧部材は、架け渡される前記フレーム間の間隔よりも、当該間隔に対して0.5%以下の範囲で大きな寸法を有する梁状部材であることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項6】
請求項4または5記載のスピーカ装置において、
前記加圧部材は、前記梁状部材に加え、該梁状部材の端部と前記フレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧するネジ部材を有することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項7】
請求項4または5記載のスピーカ装置において、
前記加圧部材は、前記梁状部材に加え、該梁状部材の端部と前記フレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧する弾性部材を有することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項8】
請求項5記載のスピーカ装置において、
前記梁状部材は、前記フレーム間に弓状に反った状態で架け渡されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項9】
請求項5記載のスピーカ装置において、
前記梁状部材は、前記フレーム間に相反する方向に弓状に反った状態で一対に架け渡されており、両梁状部材の間に、双方の梁状部材の反りを矯正するための連結部材を設けたことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項10】
フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、
上記振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、上記フレームの上記振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、
加熱手段により加熱された平板状の形態を有する載置板の上に、上記第1の接着剤が塗布された上記振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、
上記振動板が上記載置板上に載置された状態で所定時間放置して、該振動板を加熱する工程と、
上記第2の接着剤が塗布された上記フレームを、その一面が上記振動板の一面と対向するように、上記振動板の上に位置合わせして載置する工程と、
上記振動板の上に載置された上記フレームを、その上から平板状の形態を有する押圧板で押圧して、上記振動板と上記フレームとを圧着させる工程と、
上記振動板と上記フレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、上記押圧を解除する工程と、
を、有することを特徴とするスピーカ装置の製造方法。
【請求項11】
フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、
上記振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、上記フレームの上記振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、
その載置面が上方に向かって曲面状に膨らむ凸形状もしくは下方に向かって曲面状に窪む凹形状に形成される載置板の上に、上記第1の接着剤が塗布された上記振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、
上記第2の接着剤が塗布された上記フレームを、その一面が上記振動板の一面と対向するように、上記振動板の上に位置合わせして載置する工程と、
上記振動板の上に載置された上記フレームを、その上から、その押圧面が上記凸形状に対応する凹形状もしくは上記凹形状に対応する凸形状にそれぞれ形成される押圧板で押圧して、上記振動板と上記フレームとを圧着させる工程と、
上記振動板と上記フレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、上記押圧を解除する工程と、
を、有することを特徴とするスピーカ装置の製造方法。
【請求項1】
平面状の振動板と、
上記振動板のうち外側に露出する平面と反対側の面において上記振動板を保持するフレームと、
上記スクリーンを上記フレームに対して接離する方向に駆動させるための駆動体と、
を具備するスピーカ装置において、
上記振動板を平旦な面に維持するために、上記振動板に対して周方向外方に向かって張力が作用するように、上記振動板を上記フレームに張設することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
請求項1記載のスピーカ装置において、
前記振動板に作用する前記張力は、前記振動板および前記フレームのいずれか一方もしくは双方を熱膨張もしくは熱収縮させることによって発生することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項3】
請求項1記載のスピーカ装置において、
前記振動板に前記張力を作用させるために、前記フレームを弓なりに反わせ、該フレームが弓なりに沿った状態から元の状態に戻る際の該フレームの復元力を利用していることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項4】
請求項1記載のスピーカ装置において、
前記フレームの内側には、該フレームの間に架け渡される形態で加圧部品が配置され、該加圧部品の両端が前記フレームの内周縁を周方向外方に向かって押圧することによって、前記張力が前記振動板に作用することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項5】
請求項4記載のスピーカ装置において、
前記加圧部材は、架け渡される前記フレーム間の間隔よりも、当該間隔に対して0.5%以下の範囲で大きな寸法を有する梁状部材であることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項6】
請求項4または5記載のスピーカ装置において、
前記加圧部材は、前記梁状部材に加え、該梁状部材の端部と前記フレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧するネジ部材を有することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項7】
請求項4または5記載のスピーカ装置において、
前記加圧部材は、前記梁状部材に加え、該梁状部材の端部と前記フレームとの間に介在され、該フレームを周方向外方に向かって押圧する弾性部材を有することを特徴とするスピーカ装置。
【請求項8】
請求項5記載のスピーカ装置において、
前記梁状部材は、前記フレーム間に弓状に反った状態で架け渡されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項9】
請求項5記載のスピーカ装置において、
前記梁状部材は、前記フレーム間に相反する方向に弓状に反った状態で一対に架け渡されており、両梁状部材の間に、双方の梁状部材の反りを矯正するための連結部材を設けたことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項10】
フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、
上記振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、上記フレームの上記振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、
加熱手段により加熱された平板状の形態を有する載置板の上に、上記第1の接着剤が塗布された上記振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、
上記振動板が上記載置板上に載置された状態で所定時間放置して、該振動板を加熱する工程と、
上記第2の接着剤が塗布された上記フレームを、その一面が上記振動板の一面と対向するように、上記振動板の上に位置合わせして載置する工程と、
上記振動板の上に載置された上記フレームを、その上から平板状の形態を有する押圧板で押圧して、上記振動板と上記フレームとを圧着させる工程と、
上記振動板と上記フレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、上記押圧を解除する工程と、
を、有することを特徴とするスピーカ装置の製造方法。
【請求項11】
フレームによって保持された平面状の振動板を振動させて音を放出させるスピーカ装置の製造方法において、
上記振動板の一面に第1の接着剤を塗布すると共に、上記フレームの上記振動板と対向する面となる一面に第2の接着剤を塗布する工程と、
その載置面が上方に向かって曲面状に膨らむ凸形状もしくは下方に向かって曲面状に窪む凹形状に形成される載置板の上に、上記第1の接着剤が塗布された上記振動板を、その一面と反対側の面が該載置板と対向するように載置する工程と、
上記第2の接着剤が塗布された上記フレームを、その一面が上記振動板の一面と対向するように、上記振動板の上に位置合わせして載置する工程と、
上記振動板の上に載置された上記フレームを、その上から、その押圧面が上記凸形状に対応する凹形状もしくは上記凹形状に対応する凸形状にそれぞれ形成される押圧板で押圧して、上記振動板と上記フレームとを圧着させる工程と、
上記振動板と上記フレームとを圧着させた状態で所定時間放置した後、上記押圧を解除する工程と、
を、有することを特徴とするスピーカ装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−239375(P2010−239375A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84875(P2009−84875)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]