説明

スピーカ駆動装置

【課題】 特定の利用者に追従させて特定のスピーカを駆動することができ、スピーカの聴取性を向上させることができるスピーカ駆動装置を提供すること。
【解決手段】 一の角度と他の角度との間を揺動可能に設けられた揺動部材140と揺動部材140に保持され所定範囲に音声を出力するスピーカ150とを有し互いに異なる方向に配置された複数のユニット120、121、122、123と、所定範囲に位置する利用者を検出する人体センサ160と、人体センサ160の検出結果に基づいて揺動部材140を駆動するモータ170と、揺動部材140の動作に応じてスピーカ150の出力を制御する制御部190とを備えるようにスピーカ展示装置100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、各種スピーカを駆動するためのスピーカ駆動装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスピーカ駆動装置の一例として、多面体に形成された筐体と、筐体に固定された複数のスピーカとを備える音響発生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−274479号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のスピーカ駆動装置は、筐体に固定された複数のスピーカを同時に駆動するように構成されているために、特定の利用者に追従させて特定のスピーカを駆動することができないという事情があった。
【0004】
そこで、本願は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その課題の一例として、特定の利用者に追従させて特定のスピーカを駆動することができ、スピーカの聴取性を向上させることができるスピーカ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載のスピーカ駆動装置は、一の角度と他の角度との間を揺動可能に設けられた揺動部材と前記揺動部材に保持され所定範囲に音声を出力するスピーカとを有し互いに異なる方向に配置された複数のユニットと、前記所定範囲に位置する利用者を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記揺動部材を駆動する第1の駆動手段と、前記揺動部材の動作に応じて前記スピーカの出力を制御する第1の制御手段とを備えることを特徴とする構成を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本願を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下説明する実施形態は、本願に係るスピーカ駆動装置を、例えば、各種スピーカを展示するためのスピーカ展示装置に適用した場合の実施形態を示している。
【0007】
まず、本実施形態におけるスピーカ展示装置の構成について、図1から図3を用いて説明する。なお、図1(a)は、本実施形態におけるスピーカ展示装置を示す側面図であり、図1(b)は、本実施形態におけるスピーカ展示装置を示す下面図であり、図2(a)及び(b)は、本実施形態におけるスピーカ展示装置を示す断面図であり、図3は、本実施形態におけるスピーカ展示装置を示すブロック図である。
【0008】
本実施形態におけるスピーカ展示装置100は、図1及び図2に示すように、建物の一部、例えば、天井101に取り付けられた支持部材102と、支持部材102に支持された本体103とを備え、所謂、天吊りタイプのスピーカ展示装置として構成されている。具体的には、支持部材102は、支持杆、支持棒、ワイヤなどの部材によって構成されている。
【0009】
本体103は、ブッシュ111を中心にして回転可能に設けられた回転部材110と、回転部材110に支持された複数(例えば4つ)のユニット120、121、122、123と、レバー131を介してユニット120、121、122、123に連結されたロッド130とを有し、ユニット120、121、122、123は、互いに異なる方向に、例えば、90°毎に配置されている。
【0010】
ユニット120、121、122、123は、ヒンジ141を中心にして揺動可能に設けられた揺動部材140と、揺動部材140に保持され、所定範囲に音声を出力するスピーカ150と、所定範囲に位置する利用者を検出する検出手段の一例としての人体センサ160とを有し、スピーカ150及び人体センサ160は、同一方向に指向性を有している。
【0011】
具体的には、揺動部材140は、上述したロッド130が上下動することにより、一の角度(例えば45°図2(a)参照)と他の角度(例えば75°図2(b)参照)との間を揺動し、スピーカ150及び人体センサ160を上下方向に変位させるようになっている。
【0012】
また、スピーカ展示装置100は、図3に示すように、第1の駆動手段の一例としてのモータ170と、第2の駆動手段の一例としてのモータ171と、揺動部材140の角度を検出する角度センサ180と、回転部材110の角度を検出する角度センサ181と、第1の制御手段及び第2の制御手段の一例としての制御部190とを備えている。
【0013】
具体的には、モータ170は、人体センサ160の検出結果に基づいてロッド130を上下動させ、揺動部材140を駆動するようになっている。モータ171は、人体センサ160の検出結果に基づいてブッシュ111を回転させ、回転部材110を駆動するようになっている。制御部190は、揺動部材140及び回転部材110の動作に応じてスピーカ150の出力を制御するようになっている。
【0014】
次に、本実施形態におけるスピーカ展示装置の動作について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は、本実施形態における出力制御工程を示すフローチャートであり、図5は、本実施形態におけるスピーカ展示装置を示す下面図である。
【0015】
本実施形態におけるスピーカ展示装置100は、図4及び図5に示すように、上述したスピーカ150の出力を制御する出力制御工程(ステップS101からステップS105)を実行する。
【0016】
まず、制御部190は、角度センサ181の検出信号に基づいてモータ171を駆動し、モータ171は、ユニット120をA方向に回転させる(ステップS101)。なお、本実施形態では、優先方向をA方向に設定している。
【0017】
次に、制御部190は、角度センサ180の検出信号に基づいてモータ170を駆動し、モータ170は、ユニット120を上下方向、例えば、一の角度から他の角度を経由して一の角度まで揺動させる(ステップS102)。
【0018】
このときに、制御部190は、人体センサ160の検出信号に基づいて利用者が検出されたか否かを判別し(ステップS103)、利用者が検出されなかった場合には、本工程を終了する。
【0019】
一方、利用者が検出された場合には、制御部190は、モータ170を停止し、モータ170は、スピーカ150及び人体センサ160が利用者に対向するようにユニット120を静止させる(ステップS104)。
【0020】
次に、制御部190は、スピーカ150を駆動し、利用者に対して音声を出力する(ステップS105)。そして、所定時間(例えば5秒)が経過した後に、次のユニット123をA方向に回転させ、一連の処理(ステップS101からS105)を繰り返す。これにより、各種スピーカを順次駆動することができる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態では、スピーカ展示装置100は、一の角度と他の角度との間を揺動可能に設けられた揺動部材140と揺動部材140に保持され所定範囲に音声を出力するスピーカ150とを有し互いに異なる方向に配置された複数のユニット120、121、122、123と、所定範囲に位置する利用者を検出する人体センサ160と、人体センサ160の検出結果に基づいて揺動部材140を駆動するモータ170と、揺動部材140の動作に応じてスピーカ150の出力を制御する制御部190とを備えることを特徴とする構成を有している。
【0022】
この構成により、本実施形態では、人体センサ160の検出結果に基づいて揺動部材140を駆動するとともに、揺動部材140の動作に応じてスピーカ150の出力を制御するようになっているので、特定の利用者に追従させて特定のスピーカを駆動することができ、スピーカの聴取性を向上させることができる。
【0023】
また、本実施形態では、スピーカ展示装置100は、ユニット120、121、122、123を支持するとともに回転可能に設けられた回転部材110と、人体センサ160の検出結果に基づいて回転部材110を駆動するモータ171と、回転部材110の動作に応じてスピーカ150の出力を制御する制御部190とを備えることを特徴とする構成を有している。
【0024】
この構成により、本実施形態では、人体センサ160の検出結果に基づいて回転部材110を駆動するとともに、回転部材110の動作に応じてスピーカ150の出力を制御するようになっているので、特定の利用者に追従させて特定のスピーカを駆動することができ、スピーカの聴取性を向上させることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、スピーカ展示装置100を天吊りタイプのスピーカ展示装置に適用しているが、これに限らず、床置きタイプ及び壁掛けタイプのスピーカ展示装置に適用してもよい。
【0026】
また、本実施形態では、上述した処理(ステップS101)においてユニット120が回転するときに、優先方向をA方向に設定しているが、これに限らず、優先方向を順次変更するように設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は、本願の一実施形態におけるスピーカ展示装置を示す側面図であり、(b)は、本願の一実施形態におけるスピーカ展示装置を示す下面図である。
【図2】(a)及び(b)は、本願の一実施形態におけるスピーカ展示装置を示す断面図である。
【図3】本願の一実施形態におけるスピーカ展示装置を示すブロック図である。
【図4】本願の一実施形態における出力制御工程を示すフローチャートである。
【図5】本願の一実施形態におけるスピーカ展示装置を示す下面図である。
【符号の説明】
【0028】
100 スピーカ展示装置
101 天井
102 支持部材
103 本体
110 回転部材
111 ブッシュ
120、121、122、123 ユニット
130 ロッド
131 レバー
140 揺動部材
141 ヒンジ
150 スピーカ
160 人体センサ
170、171 モータ
180、181 角度センサ
190 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の角度と他の角度との間を揺動可能に設けられた揺動部材と前記揺動部材に保持され所定範囲に音声を出力するスピーカとを有し互いに異なる方向に配置された複数のユニットと、
前記所定範囲に位置する利用者を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記揺動部材を駆動する第1の駆動手段と、
前記揺動部材の動作に応じて前記スピーカの出力を制御する第1の制御手段とを備えることを特徴とするスピーカ駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスピーカ駆動装置において、
前記ユニットを支持するとともに回転可能に設けられた回転部材と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記回転部材を駆動する第2の駆動手段と、
前記回転部材の動作に応じて前記スピーカの出力を制御する第2の制御手段とを備えることを特徴とするスピーカ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−140728(P2006−140728A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327991(P2004−327991)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(591043569)パイオニア精密株式会社 (16)
【Fターム(参考)】