説明

スプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置

【課題】 連続的に取水供給量を切り換えて水流によって散水スプレイの制御が妨害されることのないようにした、スプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置を提供する。
【解決手段】 羽根車付の歯車装置70が配備された、異なる角度に散水スプレイ体Bを揺動する散水制御機構が配設され、リンク機構において、2つの入口オリフィス84を有する水ダクト80と、リンケージ歯車891および2つのカバーブロック893を有する散水制御装置89と、から構成されたスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置と協働して、リンケージ歯車と2つのカバーブロックが歯車装置と共に回転して、取水量を徐々に切り換えて、散水距離を、遠くから近くへ、近くから遠くへと、リズミカルに変化させ、芝生に均等に散水する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置に関し、更に具体的に言うと、労せずしてスムーズに散水スプレイ制御装置を回転させて、連続的に取水供給量を切り換えて、水流によって散水スプレイの制御が妨害されることのないようにした、スプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の断面斜視図である。
このような従来技術の散水スプレイ揺動制御装置は散水装置10を含み、入口ポート11を通過した水流が水車12へ噴射されて、水車12が回転し、ギアシャフト13を付勢するようになっている。その後、ギアシャフト13はウォームギア14を駆動して、同軸に固定されている円筒状車輪装置15をウォームギア14と一緒に回転させるようになっている。
【0003】
円筒状車輪装置15の螺旋形の案内凹部151に隣接している突出シャフト161が、螺旋形の案内凹部151の回転によりに押し付けられ、摺動座17の楕円形の細長いスロット開口171内で前後移動するように制限されている。したがって、摺動座17と一体成型されたプラグ体16も前後に移動させられて、水流出口オリフィス18から離れたり近づいたりして放水空間を変えることにより、水流出口オリフィス18から散水される水量に変化をもたらすようにしている。
【0004】
しかしながら、このような従来技術のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置にはいくつか不具合がある。
まず第一に、水車12を回転させると円筒状車輪装置15とプラグ体16も順繰りにその回転を付勢せられるのであるが、充分な水圧にない状態で水流が噴射された場合、水圧が低いために、円筒状車輪装置15とプラグ体16を回転させるには水車12へ発射される水流が弱過ぎて、互いに干渉せざるを得なくなり、操作中に回転が停止してしまうということになる。
第二に、プラグ体16が摺動座17内で前後に移動した場合、水流が楕円形の細長いスロット開口171を介して摺動座17の中へ浸入して来るので、水圧が高くなった場合でも、摺動座17に溜まった水流が抵抗層を形成し、これによりプラグ体16が封鎖されてしまうということになると共に、水車12もプラグ体16に干渉されて、稼働中に回転し難くなる。
【0005】
別のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置が米国特許第4860954号に開示されているが、この特許では、スプリンクラーはシャフトの前後方向の移動を付勢するために羽根車の回転を利用していて、チューブと連通しているシャフトの一端部に偏心カムが配設されている。中でも、この二番目の従来技術は数多くの構成部品を使用していて、非常に複雑な構造に特徴づけられるものであり、これによって、組立が難しくて製造に時間が掛かるのを余儀なくさせられる。
【特許文献1】米国特許第4860954号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を改善して、散水スプレイ制御装置のリンケージ歯車が歯車装置の一方の歯車と直接噛み合うことによるリンケージ機構を提供することにより、1組のカバーブロックが徐々に回転させられて、取水供給量が切り換えられるようになるので、散水スプレイ制御装置が動作中に水流に干渉されるようなことが防止されると共に、歯車装置も散水スプレイ制御装置の回転を簡単に円滑に正確に付勢することができるようになる、というスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置を提供することを第1の目的とする。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、水ダクトに配設された1組の入口オリフィスがカバーブロックと散水スプレイ制御装置の取水通路と共に協働して、散水スプレイ制御装置のリンケージ歯車が歯車装置によって、直接、徐々に徐々に回転されるようになるので、操作が簡単で正確に行ない易くすることのできるスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1にかかるスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置は、異なる角度に散水スプレイ体の揺動動作を付勢するための散水制御集成体から構成され、羽根車のついた歯車装置が前記散水制御集成体内部に配置されており、前記歯車装置と連結して散水スプレイ揺動制御装置がもたらされており、前記散水スプレイ揺動制御装置は、複数個の入口オリフィスが限定された水ダクトと、一端部にリンケージ歯車および他端部に複数個のカバーブロックを有する散水スプレイ制御装置とから成り、前記散水スプレイ制御装置のリンケージ歯車は前記歯車装置の内の一つの対応する歯車に直接噛み合い、前記カバーブロックは前記入口オリフィスと正確に噛み合い、前記散水スプレイ制御装置のリンケージ歯車とカバーブロックとが前記歯車装置によって付勢されて、徐々に徐々に回転させられて入口オリフィスに流れ込む給水量を切り換えることにより、噴射される散水スプレイが、遠くから近くへ、近くから遠くへと、距離をリズミカルに変えて揺動するようにしたことで、芝生上に散水を均一に分布することができるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、前記水ダクトにはその一端部に固定歯車が配置され、前記歯車装置の前端歯車と噛み合うようになることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、前記散水制御集成体は更に、端部水入口および可動座を含み、前記端部水入口および可動座各々には前記水ダクト収容用の溝部が配設されていて、これら溝部を介して互いに密着状態に接合されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、前記端部水入口の溝部内にはリング座が形成されており、該リング座には挿入用ブロックが突出して形成され、複数個の挿入用凹部が表面に形成された位置決め部材に係合して位置決めするようにしたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、前記位置決め部材は、テーパが付いた環状端部に、複数個の逆止プレートと可撓性プレートとが交互に配置されており、前記各々の可撓性プレートはその内側表面に鋸歯状リブが限定されており、位置決め部材の環状のテーパ付き端部が、水ダクトの固定歯車と相対向する端部に形成され鋸歯状表面が限定された係止座へ協働的に連結されると、位置決め部材の可撓性プレートの鋸歯状リブが係止座の鋸歯状表面に弾性的に噛み合うと共に、位置決め部材の逆止プレートが係止座の内側端部壁面に正確に密接隣接して位置付けられるようになることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、前記水ダクトの中間部分には、複数個の環状溝が限定されており、各々の環状溝の中には密封リングが収容されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項2記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、前記水ダクトの固定歯車と可動座の溝部との間に潤滑プレートが挟持されていることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、前記水ダクトの他端部の外側表面には、水ダクトの内側と連通して入口オリフィスが相対向して対称的に配置され、水ダクトの他端部の内部には、窪みの限定された段付きリング状隣接座が配置され、前記窪みの中心には小径になる管路が配置されていて、前記管路の両側には、移動室および集水室が配置され、該移動室を介して前記散水スプレイ制御装置が設置されるという構成になり、散水スプレイ制御装置の一端部に配置された連結プレートの両側部には、相対向して対称的に外側にアーチ形に膨らんで、全体としてH字形構成を形成したカバーブロックが配置されていて、これにより、連結プレートの上側および下側の両方に取水通路が限定されると共に、前記カバーブロックがリング状隣接座に隣接して、連結プレートが前記窪みの上部全体にわたると、適切な空間を保持できるようになることを特徴とする。
【0011】
請求項9の発明は、請求項8記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、一端部にテーパ付き係止フランジが配設され、その他端部には環状係止フランジが配置され、前記環状係止フランジの内側にバネが配置された圧力解除弁を備え、前記圧力解除弁の環状係止フランジは前記バネによって弾性的に支持されていて、前記圧力解除弁が前記水ダクトの管路へ収容されると、前記テーパ付き係止フランジが前記窪みの内壁に正確に隣接するようになる一方、前記散水スプレイ制御装置の連結プレートの一端部にも前記管路に正確に一致するように形成された切欠部が形成されていて、これにより、高水圧状態に対しては、圧力を解除する機構が働くように水圧の強度によって操作中に圧力解除弁が付勢されるようにしたことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置において、ファン状形態に形成された一対の対称になる係止面を有する入口オリフィスが水ダクトの一端部の内部に形成されており、前記係止面の両側には、移動室および集水室が配置されていて、移動室および集水室が入口オリフィスと流体移動可能に接続しており、散水スプレイ制御装置に前記入口オリフィスとほぼ同形状ではあるが若干大きいカバーブロックが一対備えられており、前記散水スプレイ制御装置が前記移動室に配置され、前記散水スプレイ制御装置のカバーブロックが前記係止面をスムーズに回転してゆくと、前記2つの入口オリフィスを徐々に塞いでゆき、これにより取水量を切り換えてゆくようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置においては、2個の入口オリフィスが、散水スプレイ制御装置のカバーブロックおよび取水通路と協働すると共に、散水スプレイ制御装置のリンケージ歯車が歯車装置の内の対応する歯車と直接噛み合うことで、取水量を連続的に切り換えることができ、これにより、散水スプレイ制御装置の操作が水流に干渉されることがなく、安定した動作が達成される。
また、本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置よれば、散水スプレイの散水距離を、近くから遠くへ、遠くから近くへと、順々に切り換えることにより、芝生面に対し均等な散水を行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。図2は組立完了の本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の断面図、図3は本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の破断概略斜視図、図4は本発明の散水スプレイ揺動制御装置の断面図、図5は散水スプレイ制御装置を示す概略図で、最大給水量段階へ切り換えられた状態を示している図、図6は図5の状態の操作状態における側面図、図7は、散水スプレイ制御装置を示す概略図で、徐々に回転させられ、中間給水量段階へ切り換えられた状態を示している図、図8は図7の回転操作状態における側面図、図9は、本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置から噴射された噴射水を示す概略図で、遠くも近くも均等に芝生上に水が散水されているのを示す図、図10は散水スプレイ制御装置の概略図で、徐々に回転させられ、最小給水量段階へ切り換えられた状態を示している図、図11は図10の回転操作状態における側面図、図12は垂直タイプのスプリンクラーに本発明が取り付けられているのを示す斜視図、図13は本発明の散水スプレイ制御装置の第2の実施例を示す破断斜視図、図14は第2実施例の散水スプレイ制御装置の組立完了状態の断面図、図15は、第2実施例の散水スプレイ制御装置が最大給水量段階へ回転させられているのを示す概略図、図16は中間給水量段階へ切り換えられた状態を示している第2実施例の散水スプレイ制御装置の概略図、図17は徐々に回転させられ、最小給水量段階へ切り換えられた状態の第2実施例の散水スプレイ制御装置の概略図、図18は、本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の第3実施例の組立完成状態の断面図で、低圧の水圧状態にあるのを示す図、図19は図18と同様の図で高圧状態にあるのを示す断面図である。
【実施例1】
【0014】
図2は、本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の第1実施例を示す組立完成状態の一部切欠き断面図である。
本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置おいて、(水平タイプに作られた、或いは図12の垂直タイプに作られた)スプリンクラーでは、散水スプレイ体が、端部水注入口20,位置決め接続部材30,可動座40,連結座50,水流排出口60、歯車装置70とから構成された散水制御集成体を介して、異なる角度に揺動するように付勢される。
【0015】
前記端部水注入口20では、注入ポート21が、給水量を加減するように調整する水制御弁22の調節ポート221へ流体移動可能に接続されている。
前記位置決め接続部材30にはその一側に制限穴31が形成されていて、取水切換装置32と協働することにより水注入口(図示せず)を切り換えて、散水スプレイ体の揺動方向を変えるようになっている。
【0016】
前記連結座50は、可動座40水流排出口60との間に配置されている。
前記歯車装置70は、その一端部が連結座50の一側へ据え付けられて、可動座40の内部に収容されている。前記歯車装置70には、水ダクト80の固定歯車81と相互に噛み合う前端部歯車701が、そして羽根車に連結された駆動歯車と噛み合う後端部歯車702が備えられており、羽根車と駆動歯車は、連結座50の中心でその両側面にそれぞれ位置付けられている。羽根車は、水流排出口60を通過して流れる取水流の方向によって決定された方向へ回転される。
前記水ダクト80は、互いに密着して位置する、端部の水注入口20と可動座40とのそれぞれの溝部23,41の内側に配置されている。
【0017】
端部水注入口20の溝部23の内部にはリング座232が設けられていて、リング座232には突出挿入ブロック231が複数個形成されており、図3に示すように、表面に複数個の挿入凹部91が限定されている位置決め部材90と係合するようになっている。位置決め部材90の環状のテーパ付端部には複数個の逆止プレート92と可撓性プレート93とが互いに交互に配置されており、各可撓性プレート93の内側表面には鋸歯状リブが形成されている。
【0018】
また、水ダクト80には、固定歯車81の相対向する反対側端部に、位置決め部材90との連結用に段付係止座82が形成されており、その周囲表面にはギザギザの鋸歯状表面821が限定されている。位置決め部材90を段付係止座82に嵌合させると、位置決め部材90の可撓性プレート93の鋸歯状リブ931が、段付係止座82のギザギザ表面821と弾性的に噛み合って、逆止プレート92が係止座82の内側の端部壁面に正確に密接隣接して位置付けられるようになる。
【0019】
更にまた、水ダクト80には、その中央部分に複数個の環状溝83が配設されていて、それぞれの環状溝83内には密封リング831が配置される。更に、水ダクト80には、その他端部に相対向した1組の入口オリフィス84が形成されている。密封リング831は、端部の水注入口20の溝部23と可動座40の溝部41の内側壁に対してそれぞれ隙間なく密着状態に隣接して配置されているので、防水効果が達成され、水漏れ問題を回避できる。
【0020】
その上、水ダクト80の両端部に存在する固定歯車81と係止座82は、それぞれ、溝部41と逆止プレート92とによって支持されており、そして、固定歯車81と溝部41との間には、潤滑プレート85が挟持されているので、これにより位置付け部材90にぴたりと隣接した位置付けで水ダクト80を保持できるようになる。
水ダクト80には、また、他端部の内部に配置された窪み861と、前記窪み861の中心に配置された小径の管路862とが限定された、段付リング状隣接座86があり、該段付リング状隣接座86の両側部には、それぞれ、移動室87と集水室88とが配置されている。
前記入口オリフィス84と管路862は、水流が可動座40の内部へと流れ込むようにさせる。
【0021】
更にまた、散水スプレイ制御装置89には、リンケージ歯車891が配設されていて、歯車装置70の内の対応する歯車703と噛み合うようになっている。散水スプレイ制御装置89は移動室87の内部に旋回可能に設置されている。散水スプレイ制御装置89のリンケージ歯車891の反対側の端部には、入口オリフィス84に対応するように、H字形の構成になる、1対のカバーブロック893の形成された連結プレート892が配置されている。カバーブロック893は、アーチ形に湾曲して全体形状として蒲鉾状になるように相対向して反対方向外側へ対称的に膨らんだ形で、連結プレート892の両側部に配置されている。また、カバーブロック893はリング状隣接座86に接触すると、連結プレート892が窪み861全体にわたり、これにより、図4にあるように、空間が適切に保持されるようになる。
【0022】
実際に使用する場合、まず、羽根車の駆動歯車によって、歯車装置70が取水流の方向に決定された方向へ回転されて、散水スプレイ体B(図9参照)が揺動運動を付勢されて、歯車装置70の対応する歯車703が、リンケージ機構の散水スプレイ制御装置89のリンケージ歯車891を回転する。
【0023】
図5および図6にあるように、散水スプレイ制御装置89の取水通路894が入口オリフィス84と完全に整合すると、大量の給水がなされて、水ダクト80の両側部に配置された入口オリフィス84,84と、管路862とを通過して、移動室87を通って流れて行き、可動座40に入っていって、更に、連結座50の水出口、羽根車、そして水流排出口60を連続して通過して流れて、散水スプレイ体Bを介して外部に大気中へと噴射される。
【0024】
散水スプレイAは、大量給水レベルにした場合には、更に遠くへ噴射できるようになる。歯車装置70が作動し続けると、カバーブロック893が徐々に回転して、入口オリフィス84に接近して、図7および図8にあるように、順々にオリフィスを塞いでいって、取水量を順番に変えてゆくようにする。故に、散水スプレイ体Bの揺動運動と取水量に応じて、噴射された散水スプレイAの距離が、遠くから近くへ、そして、近くから遠くへと、リズミカルに変動して、図9にあるように、芝生の上に散水を均等に行なうことができる。
【0025】
図10および図11にあるように、カバーブロック893が入口オリフィス84を完全に塞ぐまで回転させられた場合、カバーブロック893と入口オリフィス84の間の隙間を流れて浸透して行く分を除いて、水流は集水室88の管路862を通過して流れ続けて、移動室の中へ流れ込んで行く。故に、入口オリフィス84がカバーブロック893によって完全に閉じられた場合でも(すなわち、散水スプレイAが近場の距離に散水される場合)、羽根車および歯車装置70を付勢するのに充分な取水量が保持され、散水スプレイ体Bの通常の揺動運動が容易にでき、最良の使用状態が達成される。
【0026】
更にまた、散水スプレイ制御装置89のリンケージ歯車891が歯車装置70の対応歯車703と直接噛み合うことで、それと共にカバーブロック893が回転して、徐々に取水量を切り換えられるようになる。従って、散水スプレイ制御装置89が作動中に水流に干渉されることを回避できると共に、歯車装置70が全くてこずることなくスムーズに散水スプレイ制御装置89の回転を正確に付勢することができるようになる。
【0027】
また、力を加えて散水スプレイ体Bを傾けた時に、それと同期して連結機構において、前方端部の流水排出口60,連結座50,歯車装置70,可動座40が作動して、歯車装置70の前端歯車と噛み合っている水ダクト80の固定歯車81が付勢されて、水ダクト80が、端部水入口20と可動座40の溝23,41内で回転する。一方、可撓性プレート93の歯形リブ931が水ダクト80のギザギザ表面821に弾性的に拘束されて噛み合っているという設計構造を介して、水ダクト80のギザギザ表面821が位置決め部材90の可撓性プレート93を跳ね上げて、可撓性プレート90の鋸歯形リブ931と反対方向に走行して、徐々にアイドリング回転になる。従って、散水スプレイ体Bに力が行使されて傾けられた場合、抵抗が発生して、これにより、散水スプレイ体Bに過剰な力が加わって損傷が発生しまう、というようなことが回避できる。
【実施例2】
【0028】
図13,図14に、本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の第2の実施例を示す。図13はこの実施例の破断斜視図である。この実施例では、水ダクト80’には、その両端部にギザギザ表面が限定された固定歯車81’と係止座82’が配置され、その間の適切な位置に密閉リング831を収容するための環状凹部83’が複数個設けられている。
【0029】
更に、水ダクト80’には、その一端部の内側に1対のファン状入口オリフィス84’が対称に配置されていて、その間に1対の係止面841’が対称に形成されており、係止面841’の両側に移動室85’および集水室86’が配置され、流体移動できるように入口オリフィスと接続している。
【0030】
散水スプレイ制御装置89’には、リンケージ歯車891’と、このリンケージ歯車891’の相対向する端部に配置され入口オリフィス84’と同様の形状になる1対のカバーブロック892’とが備わっている。カバーブロック892’は入口オリフィス84’よりも若干大きく作られている。従って、散水スプレイ制御装置89’のリンケージ歯車891’が付勢されて歯車装置70に沿って回転したとき、これら2個のカバーブロック892’も係止面841’上で回転させられ、徐々に入口オリフィスを塞いでゆき、これにより取水量を切り換えることができるようになっている。
【0031】
カバーブロック892’が係止面841’に完全に密着したとき、集水室86’に集められた水流が大量に2つの入口オリフィス84’および移動室85’を通過して可動座40’の内部へ流れ出て、図15に示されるように、散水スプレイAは更に遠い距離まで飛んで行くようになる。
【0032】
また、図16,図17に示すように、カバーブロック892’が、一部塞がれた状態から完全に塞がれた状態まで、徐々に2つの入口オリフィス84’を塞いでいくように回転し続けると、噴射される散水スプレイAは遠くから近場の距離へと移動してくる。
このようにして、遠くの芝生も近くの芝生も均等に均一に散水されることができるようになる。
【実施例3】
【0033】
図18には、第3の実施例が示されており、この状態は低圧状態が適用されている。バネ8631が設置されている圧力解除弁863が水ダクト80の管路862に収容される。圧力解除弁863の一端部にはテーパ付きの係止フランジ8632が配置されており、他端部には環状係止フランジ8633が配置されている。環状係止フランジ8633はバネ8631によって弾性的に支持されているので、これによって、テーパ付き係止フランジ8633が窪み861の内壁に対して正確に隣接するようになる。
【0034】
散水スプレイ制御装置89の一端部にある連結プレート892には、管路862に正確に対応する切欠部8921が形成されており、圧力解除弁863が付勢されると、管路862の中を切欠部8921の方に向かってへ移動する。
低水圧の場合には、水流は、入口オリフィス84と同様に圧力解除弁および管路862にも入って行くようになる。しかし、高水圧の場合には、環状係止フランジ8633が水圧によって押し付けられて、バネ8631が圧縮され、圧力解除弁863が管路862に沿って摺動するように案内されて、図19に示すように、切欠部8921の方向へ移動するようになり、これにより、圧力解除機能が果たされる。
【0035】
以上のように、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲における各種の変形,改良は本発明の請求範囲に包含されることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の斜視図、
【図2】組立完了の本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の第1実施例を示す断面図、
【図3】本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の破断概略斜視図、
【図4】本発明の散水スプレイ揺動制御装置の断面図、
【図5】散水スプレイ制御装置を示す概略図で、最大給水量段階へ切り換えられた状態を示している図、
【図6】図5の状態の操作状態における側面図、
【図7】散水スプレイ制御装置を示す概略図で、徐々に回転させられ、中間給水量段階へ切り換えられた状態を示している図、
【図8】図7の回転操作状態における側面図、
【図9】本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置から噴射された噴射水を示す概略図で、遠くも近くも均等に芝生上に水が散水されている状態を示す図、
【図10】散水スプレイ制御装置の概略図で、徐々に回転させられ、最小給水量段階へ切り換えられた状態を示している図、
【図11】図10の回転操作状態における側面図、
【図12】垂直タイプのスプリンクラーに本発明が取り付けられているのを示す斜視図、
【図13】本発明の散水スプレイ制御装置の第2実施例を示す破断斜視図、
【図14】第2実施例の散水スプレイ制御装置の組立完了状態の断面図、
【図15】第2実施例の散水スプレイ制御装置が最大給水量段階へ回転させられているのを示す概略図、
【図16】中間給水量段階へ切り換えられた状態を示している第2実施例の散水スプレイ制御装置の概略図、
【図17】徐々に回転させられ、最小給水量段階へ切り換えられた状態の第2実施例の散水スプレイ制御装置の概略図、
【図18】本発明のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置の第3実施例の組立完成状態の断面図で、低圧の水圧状態にあるのを示す図、
【図19】図18と同様の図で高圧状態にあるのを示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
20 端部の水注入口
21 注入ポート
22 水制御弁
221 調節ポート
23 端部注入口の溝部
30 位置決め接続部材
31 制限孔
32 取水切換装置
40 可動座
41 可動座の溝部
60 水流排出口
70 歯車装置
701 前端部歯車
702 後端部歯車
80 水ダクト
81 固定歯車
82 段付係止座
821 段付係止座のギザギザ表面
84 入口オリフィス
86 段付リング状隣接座
862 管路
87 移動室
88 集水室
89 散水スプレイ制御装置
891 リンケージ歯車
893 カバーブロック
894 取水通路
90 位置決め部材
91 挿入凹部
92 逆止プレート
93 可撓性プレート
931 鋸歯状リブ
A 散水スプレイ
B 散水スプレイ体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置であって、
前記装置は、異なる角度に散水スプレイ体の揺動動作を付勢するための散水制御集成体から構成され、羽根車のついた歯車装置が前記散水制御集成体内部に配置されており、
前記歯車装置と連結して散水スプレイ揺動制御装置がもたらされており、前記散水スプレイ揺動制御装置は、複数個の入口オリフィスが限定された水ダクトと、一端部にリンケージ歯車および他端部に複数個のカバーブロックを有する散水スプレイ制御装置とから成り、
前記散水スプレイ制御装置のリンケージ歯車は前記歯車装置の内の一つの対応する歯車に直接噛み合い、前記カバーブロックは前記入口オリフィスと正確に噛み合い、前記散水スプレイ制御装置のリンケージ歯車とカバーブロックとが前記歯車装置によって付勢されて、徐々に徐々に回転させられて入口オリフィスに流れ込む給水量を切り換えることにより、噴射される散水スプレイが、遠くから近くへ、近くから遠くへと、距離をリズミカルに変えて揺動するようにしたことで、芝生上に散水を均一に分布することができるようにしたことを特徴とするスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項2】
前記水ダクトにはその一端部に固定歯車が配置され、前記歯車装置の前端歯車と噛み合うようになることを特徴とする請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項3】
前記散水制御集成体は更に、端部水入口および可動座を含み、前記端部水入口および可動座各々には前記水ダクト収容用の溝部が配設されていて、これら溝部を介して互いに密着状態に接合されていることを特徴とする請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項4】
前記端部水入口の溝部内にはリング座が形成されており、該リング座には挿入用ブロックが突出して形成され、複数個の挿入用凹部が表面に形成された位置決め部材に係合して位置決めするようにしたことを特徴とする請求項3記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項5】
前記位置決め部材は、テーパが付いた環状端部に、複数個の逆止プレートと可撓性プレートとが交互に配置されており、前記各々の可撓性プレートはその内側表面に鋸歯状リブが限定されており、位置決め部材の環状のテーパ付き端部が、水ダクトの固定歯車と相対向する端部に形成され鋸歯状表面が限定された係止座へ協働的に連結されると、位置決め部材の可撓性プレートの鋸歯状リブが係止座の鋸歯状表面に弾性的に噛み合うと共に、位置決め部材の逆止プレートが係止座の内側端部壁面に正確に密接隣接して位置付けられるようになることを特徴とする請求項4記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項6】
前記水ダクトの中間部分には、複数個の環状溝が限定されており、各々の環状溝の中には密封リングが収容されていることを特徴とする請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置
【請求項7】
前記水ダクトの固定歯車と可動座の溝部との間に潤滑プレートが挟持されていることを特徴とする請求項2記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項8】
前記水ダクトの他端部の外側表面には、水ダクトの内側と連通して入口オリフィスが相対向して対称的に配置され、水ダクトの他端部の内部には、窪みの限定された段付きリング状隣接座が配置され、前記窪みの中心には小径になる管路が配置されていて、前記管路の両側には、移動室および集水室が配置され、該移動室を介して前記散水スプレイ制御装置が設置されるという構成になり、散水スプレイ制御装置の一端部に配置された連結プレートの両側部には、相対向して対称的に外側にアーチ形に膨らんで、全体としてH字形構成を形成したカバーブロックが配置されていて、これにより、連結プレートの上側および下側の両方に取水通路が限定されると共に、前記カバーブロックがリング状隣接座に隣接して、連結プレートが前記窪みの上部全体にわたると、適切な空間を保持できるようになることを特徴とする請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項9】
一端部にテーパ付き係止フランジが配設され、その他端部には環状係止フランジが配置され、前記環状係止フランジの内側にバネが配置された圧力解除弁を備え、前記圧力解除弁の環状係止フランジは前記バネによって弾性的に支持されていて、前記圧力解除弁が前記水ダクトの管路へ収容されると、前記テーパ付き係止フランジが前記窪みの内壁に正確に隣接するようになる一方、前記散水スプレイ制御装置の連結プレートの一端部にも前記管路に正確に一致するように形成された切欠部が形成されていて、これにより、高水圧状態に対しては、圧力を解除する機構が働くように水圧の強度によって操作中に圧力解除弁が付勢されるようにしたことを特徴とする請求項8記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。
【請求項10】
ファン状形態に形成された一対の対称になる係止面を有する入口オリフィスが水ダクトの一端部の内部に形成されており、前記係止面の両側には、移動室および集水室が配置されていて、移動室および集水室が入口オリフィスと流体移動可能に接続しており、散水スプレイ制御装置に前記入口オリフィスとほぼ同形状ではあるが若干大きいカバーブロックが一対備えられており、前記散水スプレイ制御装置が前記移動室に配置され、前記散水スプレイ制御装置のカバーブロックが前記係止面をスムーズに回転してゆくと、前記2つの入口オリフィスを徐々に塞いでゆき、これにより取水量を切り換えてゆくようにしたことを特徴とする請求項1記載のスプリンクラーの散水スプレイ揺動制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2007−151533(P2007−151533A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79122(P2006−79122)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(595075436)源美股▲ぶん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】