説明

スプリンクラ施工法及びスプリンクラ装置

【課題】 配管工事の簡略化を図り、施工期間の短縮を図り、設置費用の大幅な削減を図ることができる経済的なスプリンクラ施工法を提供する。
【解決手段】 建物Hの外周に主配管7を設け、該主配管7からの分岐管8を建物Hの側壁9を貫通及び天井裏を通して予め設けた各室のスプリンクラヘッド設置用開口部10へ延長し、該スプリンクラヘッド設置用開口部10において前記分岐管8と前記スプリンクラヘッド12を連結固定するスプリンクラ施工法、好ましくは、建物Hの外周の天井裏位置に主配管を設けること、さらに好ましくは、前記分岐管8の一部をフレキシブル管11とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラ施工法及びスプリンクラ装置に関し、詳しくは、既存の建物に対するスプリンクラ施工法及びスプリンクラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラは、火災時における人命の安全のために必要な装置である。特に、老人ホーム、その他の福祉施設などの多くの部屋と多くの人が住んでいる建物には必須の装置である。しかしながら、多くの部屋と多くの人が住んでいながらスプリンクラ装置の設置されていない既存の建物が多く存在しているのが現状である。
【0003】
従来、前記既存の建物に対してスプリンクラ装置を設置する場合には、新築時と同様の工法が採用されていた。すなわち、既存の建物の外壁及び内壁からなる側壁あるいはさらに天井等を一時的に取り外すことによりスプリンクラ装置を設置し、該装置の設置後に前記取り外した側壁の一部あるいは取り外した天井等を原状に復帰させることが常であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−235396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のスプリンクラ施工法は、大工事となり、必然的に施工期間も長くなり、設置費用も膨大となるものであった。さらに工事期間中、住人を一時退去などの必要が生じ、仮に住人を退去させない場合であっても住人に迷惑をかけ忍耐を求めるものであった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑み、配管工事の簡略化を図り、施工期間の短縮を図り、設置費用の大幅な削減を図ることができる極めて経済的なスプリンクラ施工法及びスプリンクラ装置を提供することを目的とする。その結果として本発明は既存建物に対するスプリンクラ装置の普及に貢献することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のスプリンクラ施工法は、建物の外周に主配管を設け、該主配管からの分岐管を建物の側壁を貫通及び天井裏を通して予め設けた各室のスプリンクラヘッド設置用開口部へ延長し、該スプリンクラヘッド設置用開口部において前記分岐管と前記スプリンクラヘッドを連結固定することを特徴とする(請求項1)。
【0008】
前記施工法の本発明によれば、主配管の設置は建物の外周であり、建物の外壁及び内壁からなる側壁あるいはさらに天井等を一時的に取り外すなどの変更を来たすこともない。したがって、住人に迷惑をかけることもなく、主配管の設置作業を容易且つ迅速に行うことができる。さらに、万一の漏水事故に対応することも容易である。
【0009】
さらに、各室への分岐管もそれぞれの室の近くを通る主配管から各種のジョイントを介して延長すればよく、配管材料の節約及び配管作業の容易化及び迅速化を図ることができる。
【0010】
前記本発明のスプリンクラ施工法によれば、配管工事が簡略化され、施工期間を短縮することができるなど設置費用の大幅な削減を図ることができる。
【0011】
前記施工法発明の実施の一形態は、建物の外周の天井裏位置に主配管を設けたことを特徴とする(請求項2)。この実施の一形態によれば分岐管を前記主配管とそれぞれ水平を保って設けることができ分岐管の設置作業の容易化及び迅速化を図ることができるととも配管材料も節約され、さらに二階部分にスプリンクラを設けることも容易となる。
【0012】
前記施工法発明の実施の一形態は、前記分岐管の一部をフレキシブル管としたことを特徴とする(請求項3)。この実施の一形態によれば、前記分岐管のフレキシブル管部を適宜湾曲等させることにより分岐管全体の長さ調整が可能であり、前記スプリンクラヘッド設置用開口部における前記スプリンクラヘッドと前記分岐管の連結固定を容易に行うことができる。
【0013】
本発明のスプリンクラ装置は、建物の外周の天井裏位置に設けられた主配管と、該主配管から建物の側壁を貫通及び天井裏を通して各室の予定されたスプリンクラヘッド設置用開口部へ延長された分岐管と、該分岐管の先端に固定されたスプリンクラヘッドと、からなることを特徴とする(請求項4)。
【0014】
前記スプリンクラ装置の本発明によれば、すでに述べたごとく、建物の外壁及び内壁からなる側壁あるいは天井の一部を取り外すなどの変更を来たすことがなく、配管工事が簡略化され、施工期間を短縮することができ、設置費用の大幅な削減を図ることができる。
【0015】
その他、前記本発明のスプリンクラ施工法及びスプリンクラ装置においては、準備する材料、具体的には配管寸法の定格化を図ることによりさらに配管工事の簡略化及び施工期間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスプリンクラ施工法及びスプリンクラ装置によれば、配管工事の簡略化が図られ、施工期間の短縮が可能であり、設置費用の大幅な削減を図ることができ極めて経済的である。また、その結果として既存建物に対するスプリンクラ装置の設置普及に貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスプリンクラ装置を示す建物の概略平面図である。
【図2】図1のスプリンクラ装置を示す建物の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の一形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、Hは建物、1は廊下、2a、2b、2c・・・2nは各室、以下、例えばリビングダイニング3、スタッフルーム4、ホール5、その他の室6である。
【0019】
本発明では、建物Hの外周に主配管7が設けられる。該主配管7は、好ましくは、建物Hの外周の天井裏位置を囲むように設けられる。該主配管7は建物に対して汎用の定格寸法の配管を継ぎ足して使用する構造とすることが好ましい。さらにそれらの間に分岐管8を連結するT字管チーズを容易に介在あるいは接続できる構造とされる。
【0020】
さらに、本発明では、前記主配管7から前記分岐管8が建物Hの側壁9を貫通及び天井裏を通して前記廊下1、各室2a、2b、2c・・・2n、リビングダイニング3、スタッフルーム4、ホール5、その他の室6の予め設けたスプリンクラヘッド設置用開口部10へそれぞれ延長される。
【0021】
前記分岐管8の延長方法は、前記定格寸法の配管を準備した場合には、必要に応じてそれらを継ぎ足しながら建物Hの側壁9に形成した貫通孔から天井裏を通して前記スプリンクラヘッド設置用開口部10へ延長させられる。もっとも、予め一体に長さ調整したものであってもよい。
【0022】
なお、前記分岐管8は、その一部をフレキシブル管とすることが望ましい。図面実施の一形態では、前記分岐管8の先端部がフレキシブル管11に形成されている。したがって、図面実施の一形態では、前記フレキシブル管11が直接スプリンクラヘッド12に連結されている。図中13は水道連結型スプリンクラ消火ポンプである。
【0023】
なお、建物Hが二階建ての場合には、図2に示すように、一階の天井裏位置に設けられた主配管7の各部からの分岐管8を垂直に二階の天井裏位置に延長し、その後は前記と同様の方法によって二階の各室の天井部にスプリンクラを設ければよい。もっとも、一階と同様に二階の天井裏位置の外周に主配管を設けてもよい。
【符号の説明】
【0024】
2a、2b、2c・・・2n 各室
7 主管
8 分岐管
9 側壁
10 スプリンクラ設置用開口部
11 可撓管
12 スプリンクラヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周に主配管を設け、該主配管からの分岐管を建物の側壁を貫通及び天井裏を通して予め設けた各室のスプリンクラヘッド設置用開口部へ延長し、該スプリンクラヘッド設置用開口部において前記分岐管と前記スプリンクラヘッドを連結固定すること特徴とするスプリンクラ施工法。
【請求項2】
建物の外周の天井裏位置に主配管を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラ施工法。
【請求項3】
前記分岐管の一部をフレキシブル管としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスプリンクラ施工法。
【請求項4】
建物の外周の天井裏位置に設けられた主配管と、該主配管から建物の側壁を貫通及び天井裏を通して予め設けた各室のスプリンクラヘッド設置用開口部へ延長された分岐管と、該分岐管の先端に連結されたスプリンクラヘッドと、からなることを特徴とするスプリンクラ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−101728(P2011−101728A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257757(P2009−257757)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(509311757)株式会社 環境整備 (1)
【出願人】(302043505)株式会社サリック (1)
【Fターム(参考)】