説明

スプレー容器用ホルダ

物質容器(14)を受入れることができる、物質容器用スリーブ(10)であって、物質容器(14)からの物質の噴射を制御するように作動できる対応する物質噴射装置のシャーシ(12)の開口内に受入れられる物質容器用スリーブ(10)において、物質噴射装置のシャーシ(12)の電磁スイッチを作動させるように作動する磁石(42)を有することを特徴とする物質容器用スリーブ(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホルダに関し、より詳しくは、スプレー容器用ホルダに関する(但し、これに限定されるものではない)。
【背景技術】
【0002】
香料、脱臭剤、衛生流体、浄化流体等の放出装置は、多くの場合、加圧エアロゾルキャニスタを用いている。このようなキャニスタは、一般に、キャニスタの一端に配置された管状弁ステムを押下げたときに物質を放出する。弁ステムは、キャニスタの一端のクリンプセクションから突出しており、このクリンプセクションは、一般に、肩部の下のくびれたウェストを有している。
【0003】
一般に、2形式の弁ステムが使用されている。1つは、ステムを軸線方向に押下げてスプレーを発生させる垂直作用弁であり、他は、ピボット装着されたアームを押下げることにより物質を放出できるチルト弁である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾルキャニスタの垂直作用弁の弁ステムは、力を受けるように設計された方向以外の方向の力が弁ステムに加えられると損傷を受け易い。通常の使用時に、圧力は、ステムの軸線に沿って弁ステムに加えられるべきである。前記軸線に対して傾斜した力が加えられると、損傷が生じる。或いは、または、これに加えて、スプレー装置の一要素(これを通ってエアロゾルキャニスタ内の物質が放出される)の弁ステムの不整合により、エアロゾルキャニスタからの物質の好ましくない漏洩が引起こされることがある。このような物質の漏洩は、特に、エアロゾルキャニスタ内に保持された物質が、腐蝕性があるか、こぼれたときに除去が困難である場合に不利である。
【0005】
本発明の目的は、上記不利益に対処することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様によれば、物質容器を受入れることができる、物質容器用スリーブであって、物質容器からの物質の噴射を制御するように作動できる対応する物質噴射装置のシャーシの開口内に受入れられる物質容器用スリーブにおいて、物質噴射装置のシャーシの電磁スイッチを作動させるように作動する磁石を有する構成の物質容器用スリーブが提供される。
【0007】
スリーブは位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの一方を有し、位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの他方は、物質噴射装置のシャーシの部品である。本明細書の全体を通して、用語「対(単一または複数)」とは、単一の対または2以上の対をいうものとする。
【0008】
スリーブは物質容器グリッピング手段を有し、前記物質容器グリッピング手段は、
全体として第一方向を向いているタブを備えかつ物質容器のネックセクションと係合できる第一グリッピング要素と、
物質容器のヘッドセクション上に延びかつヘッドセクションと係合できる第二グリッピング要素とを有し、
第一グリッピング要素および第二グリッピング要素は、それぞれ、物質容器用スナップ嵌合を形成できかつ物質容器のネックセクションおよびヘッドセクションを支持できる。
【0009】
本発明の第二態様によれば、物質容器を受入れることができる、物質容器用スリーブであって、物質容器からの物質の噴射を制御するように作動できる対応する物質噴射装置のシャーシの開口内に受入れられる物質容器用スリーブにおいて、
位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)の一方を有し、位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)の他方は、物質噴射装置のシャーシの部品であることを特徴とする物質容器用スリーブが提供される。
【0010】
スリーブは、物質容器グリッピング手段を有し、前記物質容器グリッピング手段は、
全体として第一方向を向いているタブを備えかつ物質容器のネックセクションと係合できる第一グリッピング要素と、
物質容器のヘッドセクション上に延びかつヘッドセクションと係合できる第二グリッピング要素とを有し、
第一グリッピング要素および第二グリッピング要素は、それぞれ、物質容器用スナップ嵌合を形成できかつ物質容器のネックセクションおよびヘッドセクションを支持できる。
スリーブには、物質噴射装置のシャーシの電磁スイッチを作動させるように作動できる磁石を設けることができる。電磁スイッチは、リードスイッチが好ましい。
【0011】
本発明の第三態様によれば、物質容器を受入れることができる、物質容器用スリーブであって、物質容器からの物質の噴射を制御するように作動できる対応する物質噴射装置のシャーシの開口内に受入れられる物質容器用スリーブにおいて、
物質容器グリッピング手段を有し、前記物質容器グリッピング手段は、
全体として第一方向を向いているタブを備えかつ物質容器のネックセクションと係合できる第一グリッピング要素と、
物質容器のヘッドセクション上に延びかつヘッドセクションと係合できる第二グリッピング要素とを有し、
第一グリッピング要素および第二グリッピング要素は、それぞれ、物質容器用スナップ嵌合を形成できかつ物質容器のネックセクションおよびヘッドセクションを支持できる構成のスリーブが提供される。
【0012】
スリーブにより物質容器をグリッピングすることにより、スリーブをスプレー装置のシャーシ内に挿入して、物質容器のアウトプットセクションと、物質噴射装置のシャーシの弁セクションすなわちシーリング組立体との所望の整合を達成できる。
【0013】
スリーブには、物質噴射装置のシャーシの電磁スイッチを作動させるように作動できる磁石を設けることができる。電磁スイッチは、リードスイッチが好ましい。
【0014】
磁石は、永久磁石または他の磁性体で構成できる。
磁石は、スリーブの上部、好ましくはグリッピング手段上、より好ましくは、1つの第二グリッピング要素上に配置される。好ましくは、磁石は、その磁極がスリーブの長手方向軸線とほぼ整合するように配置される。
【0015】
磁石は、好ましくは、そのディスク形状に一致する円形である凹部内に配置されるのが好ましい。磁石は、製造中のオーバーモールディング法により覆うことができる。
磁石は、電磁スイッチに接近できるように、スリーブの頂点、または、頂点の近く、例えば、スリーブのショルダに配置されるのが好ましい。
【0016】
スリーブは、位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの一方を有し、位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの他方は、物質噴射装置のシャーシの部品で構成できる。
【0017】
スリーブは、好ましくは、位置決め突出部(単一または複数)を有し、位置決め突出部は少なくとも1つの位置決めリブであるのが好ましい。位置決めリブは、好ましくは、スリーブの本体セクションに沿って、好ましくは、そのショルダセクションから延びている。位置決め突出部(単一または複数)は、好ましくは、本体セクションより幅広のベースセクションまで延びている。
【0018】
位置決め突出部(単一または複数)は、少なくともスリーブの取扱い性を向上させるために、或いは、スリーブを製造する成形作業を容易にするために、或いは、それらの両方のために、丸い輪郭を有するのが好ましい。
【0019】
ベースセクションは、本体セクションの基部から外方に拡がっているのが好ましい。ベースセクションは、ベースセクションの撓みを可能にする少なくとも1つの撓みスロットを有するのが好ましい。スロット間に少なくとも1つの撓みタブを形成するため、1つ以上のスロットを設けるのが好ましい。位置決めリブは、ショルダセクションから、本体セクションに沿って、1つの撓みタブまで下方に延びるのが好ましい。
【0020】
少なくとも1つの撓みタブには、スプレー装置のシャーシの対応する凹部および突出部内にロックされる少なくとも1つのロッキング突出部および凹部を設けることができる。
【0021】
好ましくは、第二グリッピング要素は、その上端部がリンクセクションにより結合され、リンクセクションは、物質容器のヘッドセクションと係合できるリングを形成する。リングは、好ましくは、物質容器のアウトプットステムセクションがリングを通って突出することを可能にする開口を有している。
【0022】
第二グリッピング要素およびリンクセクションは、物質容器が第一方向に移動することを阻止するように、ヘッドセクションへの確実な保持を形成するのが有利である。第一グリッピング手段は、物質容器が第二方向に移動するのを阻止するのが有利である。かくして、第一グリッピング手段および第二グリッピング手段は、リンクセクションと協働して、物質容器をスリーブに対して所定位置に確実に保持するのが有利である。第一方向および第二方向は、互いに離れる方向(例えば上方または下方)であるのが好ましい。
【0023】
第二グリッピング要素は、好ましくは、スリーブの長手方向軸線にほぼ整合している直立セクションと、スリーブの長手方向軸線に対してほぼ垂直な上方セクションとからなる。磁石が配置される場所に近い頂部は、直立セクションと上方セクションとの間の頂部である。上方セクション同士は、リンクセクションにより一体結合されるのが好ましい。
【0024】
第一グリッピング要素の各々は、2つの第二グリッピング要素の間に配置されるのが好ましい。スロットは第一グリッピング要素の側面を形成し、また第二グリッピング要素の側面をも形成する。スロットは、第一グリッピング要素を撓ませることができる。
【0025】
第一グリッピング要素は、好ましくは、この下面のカット部分により形成されたテーパ状端部を有する。カットセクションは、好ましくは、物質容器がスリーブ内に挿入されるときに、物質容器に対してよりなだらかな接近角度を形成する。
【0026】
本発明は、物質容器を組込むスリーブをも含むものである。
本発明は、物質容器を組込むスリーブのパックをも含むものである。種々の物質容器は、種々の物質、好ましくは種々の香料物質を収容するのが好ましい。
【0027】
本明細書に開示する全ての特徴は、上記任意の態様と任意に組合せることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明をより良く理解しかつ本発明の実施形態をいかに実施すべきかを示すため、添付図面を参照して本発明を以下に説明する。
【0029】
エアロゾルスプレー装置は、香料、脱臭剤および他の物質を噴霧する装置として良く知られている。このようなエアロゾル装置は、エアロゾルキャニスタ内の物質の量、タイミングおよび放出についてのより良い制御が行えるように、ますます複雑になっている。このように複雑さが高まると、スプレー装置のエアロゾルキャニスタの交換についての制御がより必要になっている。より一層の制御の必要性は、エアロゾルキャニスタの壊れ易いステムが損傷を受けるとスプレー装置の故障を引起こすからである。また、シールを形成するにはエアロゾルキャニスタのステムがスプレー装置のシーリングセクションに接近しなければならない構成の新しい装置は、エアロゾルキャニスタのステムの端部と、エアロゾルキャニスタのステムを受入れるスプレー装置の部分との間に良好な接触を必要とする。
【0030】
このようなスプレー装置では、本願と同日付で出願された本件出願人に係る係属中の特許出願に開示されているように、エアロゾルキャニスタのステムとスプレー装置の受入れ部分との間のシールが、物質が、通常行われているようにエアロゾルキャニスタ内の弁から放出されるのではなく、エアロゾルキャニスタから放出されることを防止する。使用されるシーリング方法からみて、エアロゾルキャニスタのステムとスプレー装置との整合は、従来行われている場合よりも一層重要である。
【0031】
上記スプレー装置に使用される香料は、容器から漏洩すると粘着性残留物を形成するため、漏洩を防止できるならば大きな利益が得られる。
【0032】
これらの特徴および要求から、本件出願人は、エアロゾルキャニスタのようなスプレー物質容器に配置されるスリーブを開発した。
【0033】
図1には、スプレー装置のシャーシ12内に配置されたエアロゾルキャニスタのスリーブ10が示されている。エアロゾルキャニスタのスリーブ10は、エアロゾルキャニスタ14のクリンプセクション18と係合する上向きタブ16により、エアロゾルキャニスタ14を所定位置に保持する。エアロゾルキャニスタ14のスリーブ10の4つのショルダセクション20が、エアロゾルキャニスタ14のヘッドセクション22と係合する。
【0034】
4つのショルダセクション20が、スリーブ10の主本体24から延びているストリップ(図2参照)の形状に形成されている。ストリップ状ショルダセクション20は、エアロゾルキャニスタ14のステム28が通って延びる開口を形成するリング状カラー26まで上方に延びている。リング状カラー26は、キャニスタ14の好ましくない上方への移動を阻止する有益な強度をスリーブ10に付与する。
【0035】
上向きタブ16は、スリーブ10に対するエアロゾルキャニスタ14の下方移動を防止し、ショルダセクション20はスリーブ10に対するエアロゾルキャニスタ14の上方移動を防止する。このようにして、エアロゾルキャニスタ14は、エアロゾルキャニスタのスリーブ10内に確実に保持される。かくして、キャニスタの確実な保持が、スプレー装置のシャーシ12内へのスリーブ10およびそのキャニスタ14の正しい挿入を補助する。エアロゾルキャニスタ14は、タブ16がスナップ嵌合によりクリンプセクション18と係合するまで、下から上方に押込むことによりスリーブ内に挿入される。エアロゾルキャニスタ14はエアロゾルキャニスタのスリーブ10から取外すことができるが、この結果、タブ16が破壊され、従ってスリーブ10の再使用が防止される。
【0036】
図2に示すように、リブ30が、開いたベースセクション32に向かってスリーブ10の主本体24を下方に延びている。リブ30は丸い輪郭を有し、このため、取扱いおよび成形が容易になる。他の実施形態では、このようなリブをスリーブ10に2つ以上設けることができる。
【0037】
スロット34が、開いたベースセクション32の開放した下部から、このベースセクション32の一部を上方に延びている。スロット34は、開いたベースセクション32から外方に延びかつエアロゾルキャニスタのスリーブ10をスプレー装置のシャーシ12内にロックするのに使用される突出部36を係合離脱させるように、使用者が掴んだときに開いたベースセクション32が撓むことを可能にする。
【0038】
リブ30は、スリーブ10の主本体24に沿って延びており、図2に示すようにスロット34との間に終端している。リブ30の形状および位置は、エアロゾルキャニスタのスリーブ10を受入れるように配置されたシャーシ12の開口40の対応する溝38の形状および位置に一致する。2つ以上のリブ30が設けられる場合には、同数の溝38が設けられる。リブ(単一または複数)30および対応する溝(単一または複数)38の丸い輪郭は、角張った形状のリブおよび溝と比較して、相互の係合を容易にする。リブ(単一または複数)30および溝(単一または複数)38を設けることにより、スプレー装置のシャーシ12に対するスリーブ10の正しい相対的な位置が定められ、スリーブの垂直軸線の回りでのシャーシに対するスリーブの正しい整合が確保される。このような整合を必要とする理由は、スリーブ10のショルダセクション20の1つに配置された磁石42が、リードスイッチ44(図1参照)に対して正しく位置決めされることを確保することにある。リードスイッチは、本件出願人に係る係属中の英国特許出願により詳細に開示されている。リードスイッチは、磁石が存在する場合にのみ、「開」または「閉」のいずれかを行うように構成された電磁スイッチである。この場合、リードスイッチ44は、磁石42が存在すると閉じるように構成されている。リードスイッチ44が閉じると、スプレー装置のシャーシ12のソレノイド弁46が電力を受入れて、スプレー装置のシャーシ12の制御回路(図示せず)の制御の下で、エアロゾルキャニスタ14から物質を周期的に噴射させることができる。リードスイッチ44を機能させるには、磁石42は、リードスイッチの感知距離内になければならない。
【0039】
従って、スプレー装置のシャーシ12(より詳しくは、リードスイッチ44)に対するエアロゾルキャニスタのスリーブ10(より詳しくは、磁石42)の方向は、エアロゾルキャニスタのスリーブ10およびスリーブ10がスプレー装置のシャーシ12内に嵌合される方向の重要な条件である。別の構成として、磁石42を4つのショルダ20の各々に設けることができる。
【0040】
しかしながら、エアロゾルキャニスタのスリーブ10の材料および製造コストを低減させるには、1つのみの磁石42を設けるのが有利であることが判明している。
【0041】
エアロゾルキャニスタのスリーブ10のショルダ20は、全体的に水平な上向き面上に磁石42を配置できる適当な位置を有利に提供できる。この位置は、スプレー装置のシャーシ12内の磁石42の磁界に容易にアクセスできる位置に、リードスイッチ44の対応する位置を有利に位置決めできる位置である。
【0042】
磁石42は、このディスク状の形状に対応してショルダセクション20に形成されたディスク状凹部内に配置される。磁石42は、接着剤によって、または、締り嵌めにより、ポケット内の所定位置に保持される。
【0043】
磁石42は、成形中に、磁石42が、スリーブ10に使用されるプラスチック材料の層の下に埋入される、成形技術分野で知られたオーバーモールディング法により、目に見えないように隠される。
【0044】
或いは、磁石42は、成形中または成形後に所定位置に配置され、かつ、使用前に磁化される磁性材料で置換できる。
【0045】
リードスイッチ44に使用すべき磁石42を配置するのにスリーブ10を用いることは、エアロゾルキャニスタ14に磁石42を単に固定する別の方法に比べて大きい長所を有している。なぜならば、エアロゾルキャニスタ14の製造は、既に大量生産法が確立されており、この製造法を変更することはコスト的に不利益だからである。従って、本願でいう長所を有するスリーブ10の使用は、これまで、簡単なスリーブで達成でき、或いは、有効であるとは考えられていない長所の効率的組合せを提供する。別の構成として、磁石42はエアロゾルキャニスタ14に直接的に固定することもできる。
【0046】
使用に際し、エアロゾルキャニスタ10のスリーブ10の形状は、スプレー装置のシャーシ12に対するスリーブ10の唯一の相対方向を与えることができる。また、スリーブは、ソレノイド(図示せず)の表面に対する、エアロゾルキャニスタ14のステム28の垂直な接近を与えることができる。これにより、ソレノイドの界面の一部を形成しかつソレノイドのシーリング面上に作用する力を均一に分散させるОリングに損傷が与えられることを防止する。これらの特徴は、エアロゾルキャニスタ10の内部弁が使用されず、その代わりに、ステム28の端部とソレノイドのシーリング面との間に、キャニスタ内に保持される物質の漏洩を防止するシールが使用される構成の本発明のような装置において特に重要である。ソレノイド弁は、リードスイッチ44と磁石42との対からなる手段により作動される。従って、ソレノイドスイッチのシーリング面へのステム28の端部の接近は、従来技術の装置における接近に比べて、かなり重要である。スリーブ10の使用は、スリーブ、および、そのエアロゾルキャニスタ14とスプレー装置のシャーシ12との滑らかな係合を可能にする。突出部36は、シャーシ12と係合してスリーブ10を所定位置に保持する。かくして、スリーブ10内のエアロゾルキャニスタ14スプレー装置のシャーシ12から容易かつ迅速に取外すことができる。
【0047】
エアロゾルキャニスタのスリーブ10を使用することにより、他の長所も得られる。これらの長所として、シャーシ12の着色プラスチックと同じ、スリーブの着色プラスチックを使用することによるスリーブ10からの視覚的な外観(visual view)があり、この視覚的な外観は、正しいスリーブ、従って、正しいエアロゾルキャニスタ14がスプレー装置のシャーシ12に使用されることを表示する。この特徴は、スプレー装置のシャーシ12、より詳しくはソレノイド弁46の特定の性能特徴を考慮に入れて、特定薬剤がこの性能特徴に到達したときに重要である。薬剤(formulation)は、特定シャーシ12内で良く機能するように、例えば、粘性等に関して最適化される。スリーブ10は、一般に、プラスチック材料で作られ、その色は、使用される香料の特定種類に一致させることができる。
【0048】
上記スリーブ10の他の特徴は、異なるサイズのエアロゾルキャニスタ14を使用できることである。例えば、特定目的に適した短いエアロゾルキャニスタ14をスリーブ10内に挿入できる。また、図1に示すように、長いエアロゾルキャニスタ14を使用することもできる。この長所は、エアロゾルキャニスタ14の主本体を保持するのではなく、エアロゾルキャニスタ14の頂セクションのみ、すなわち、ヘッドセクション22およびクリンプセクション18を保持することにより得られる。この代わりに、スリーブ10の主本体24内でのエアロゾルキャニスタ14の比較的ぴったりした嵌合を行って、スリーブ10の主本体24内でのエアロゾルキャニスタ14の小さい相対移動をも防止することができる。他の構造は、キャニスタ14のクリンプセクション18より下に極く小さい距離で延びる短い主本体24にすることである。
【0049】
エアロゾルキャニスタ14がスリーブ10内に配置されることにより、エアロゾルキャニスタ内に保持される特定種類の物質が、スプレー装置のシャーシ12に適正に機能することの基準を消費者に与える。
【0050】
また、スリーブ10を設けることは、本件出願人により承認されないエアロゾルキャニスタを用いる場合、または、本件出願人により製造されないエアロゾルキャニスタを用いる場合の安全性の問題に対処できる。このような場合、正しい形式のエアロゾルキャニスタ14とステム28との間にシールが正しく形成されないと、物質(可燃性を有することもある)が非承認のキャニスタから漏洩することがある。非承認のキャニスタは、スプレー装置のシャーシ12を適正にシールする正しいステムを有していない。装置またはスリーブはまた、リードスイッチと磁石との対を用いることなく作ることもでき、これでも上記利益の幾つか、または、全てを得ることができる。
【0051】
図6から図10には、上記スリーブ10の第一実施形態と同じ全ての長所を有するエアロゾルキャニスタのスリーブ100の他の実施形態が示されている。第二実施形態のスリーブ100は第一部品100aおよび第二部品100bで形成され、これらの両部品は、それぞれ、相互係合する突出部102およびチューブ104を介して一体に嵌合される。第二実施形態は、エアロゾルキャニスタ14(図9参照)を、クリンプセクション18の直ぐ下に形成された、エアロゾルキャニスタ14のネックセクション108と係合する第一部品100aおよび第二部品100bのリブ106により所定位置に保持する。スリーブ100に対するエアロゾルキャニスタの上昇移動および下降移動は、ネックセクション108とリブ106との係合により防止される。また、横方向移動は、下方リブ110、112により防止される。第二セクション100bは、スプレー装置のシャーシ120の外面の一部を形成する。第二部品100b、シャーシ120のラインおよび輪郭が一致する連続面を形成する。スリーブ100とシャーシ120との係合は、相互係合する突出部114および凹部116(図7参照)により行われる。図10に示すように、磁石42用のポケット118が設けられており、磁石42は、第一実施形態に関連して上述したように機能する。スリーブ100はこの頂部に開口122を有し、この開口122は、第一実施形態のリング状カラー26と同様に、エアロゾルキャニスタ14のステム28をスリーブ100の頂部から突出させることができる。
【0052】
本願の出願と同時に出願され、または、本願の出願以前に出願され、かつ、公開された全ての刊行物、および、書類、および、これらの刊行物書類の内容は、本願に援用することに留意されたい。
【0053】
本願明細書(全ての特許請求の範囲の記載、要約書および図面を含む)に開示された全ての特徴、および本願明細書に開示された全ての方法の全ての段階またはプロセスは、これらの特徴および段階の少なくとも一方の少なくとも幾つかが相互に排他的である組合せを除く任意の組合せとして組合せることができる。
【0054】
本願明細書(全ての特許請求の範囲の記載、要約書および図面を含む)に開示された各特徴は、特記したものを除き、同じまたは同様な目的を果たす他の特徴により置換できる。従って、特記したものを除き、本願に開示された各特徴は、均等または同様な特徴の一例に過ぎないものである。
【0055】
本発明は、上記実施形態の細部に限定されるものではない。本発明は、本願明細書(全ての特許請求の範囲の記載、要約書および図面を含む)に開示された特徴の新規なものまたは全ての新規な組合せ、または本願に開示された全ての方法の段階またはプロセスに及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】スプレー装置のシャーシ内の所定位置に配置されたエアロゾルキャニスタを示す概略側断面図である。
【図2】内部にエアロゾルキャニスタが配置されたエアロゾルキャニスタのスリーブを示す概略斜視図である。
【図3】スプレー装置に隣接するエアロゾルキャニスタのスリーブを示す概略斜視図である。
【図4】エアロゾルキャニスタを収容するエアロゾルキャニスタのスリーブを下から見た概略図およびスプレー装置のシャーシを下から見た概略図である。
【図5】図1から図4に示したエアロゾルキャニスタのスリーブの変更実施形態を示す概略斜視断面図である。
【図6】エアロゾルキャニスタのスリーブの第二実施形態と、スプレー装置のシャーシとを分離した形態で一緒に示す概略斜視図である。
【図7】互いに分離されたエアロゾルキャニスタのスリーブおよびスプレー装置のシャーシの第二実施形態を示す概略斜視図である。
【図8】互いに部分的に係合されたエアロゾルキャニスタのスリーブおよびスプレー装置のシャーシの第二実施形態を示す概略斜視図である。
【図9】第二実施形態のスプレー装置のシャーシ内に係合された第二実施形態のエアロゾルキャニスタのスリーブを示す概略側断面図である。
【図10】第二実施形態によるエアロゾルキャニスタのスリーブの一部を示す斜視側面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 エアロゾルキャニスタのスリーブ
12 スプレー装置のシャーシ
14 エアロゾルキャニスタ
16 タブ
26 リング状カラー
30 リブ
32 ベースセクション
42 磁石
100 スリーブ
120 シャーシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質容器を受入れることができる、物質容器用スリーブであって、物質容器からの物質の噴射を制御するように作動できる対応する物質噴射装置のシャーシの開口内に受入れられる物質容器用スリーブにおいて、
物質噴射装置のシャーシの電磁スイッチを作動させるように作動する磁石を有することを特徴とする物質容器用スリーブ。
【請求項2】
位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの一方を有し、位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの他方は、物質噴射装置のシャーシの部品であることを特徴とする請求項1記載のスリーブ。
【請求項3】
物質容器グリッピング手段を有し、前記物質容器グリッピング手段は、
全体として第一方向を向いているタブを備えかつ物質容器のネックセクションと係合できる第一グリッピング要素と、
物質容器のヘッドセクション上に延びかつヘッドセクションと係合できる第二グリッピング要素とを有し、
第一グリッピング要素および第二グリッピング要素は、それぞれ、物質容器用スナップ嵌合を形成できかつ物質容器のネックセクションおよびヘッドセクションを支持できることを特徴とする請求項1または2記載のスリーブ。
【請求項4】
物質容器を受入れることができる、物質容器用スリーブであって、物質容器からの物質の噴射を制御するように作動できる対応する物質噴射装置のシャーシの開口内に受入れられる物質容器用スリーブにおいて、
位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの一方を有し、位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの他方は、物質噴射装置のシャーシの部品であることを特徴とする物質容器用スリーブ。
【請求項5】
物質容器グリッピング手段を有し、前記物質容器グリッピング手段は、
全体として第一方向を向いているタブを備えかつ物質容器のネックセクションと係合できる第一グリッピング要素と、
物質容器のヘッドセクション上に延びかつヘッドセクションと係合できる第二グリッピング要素とを有し、
第一グリッピング要素および第二グリッピング要素は、それぞれ、物質容器用スナップ嵌合を形成できかつ物質容器のネックセクションおよびヘッドセクションを支持できることを特徴とする請求項4記載のスリーブ。
【請求項6】
前記物質噴射装置のシャーシの電磁スイッチを作動させるように作動できる磁石を有していることを特徴とする請求項4または5記載のスリーブ。
【請求項7】
物質容器を受入れることができる、物質容器用スリーブであって、物質容器からの物質の噴射を制御するように作動できる対応する物質噴射装置のシャーシの開口内に受入れられる物質容器用スリーブにおいて、
物質容器グリッピング手段を有し、前記物質容器グリッピング手段は、
全体として第一方向を向いているタブを備えかつ物質容器のネックセクションと係合できる第一グリッピング要素と、
物質容器のヘッドセクション上に延びかつヘッドセクションと係合できる第二グリッピング要素とを有し、
第一グリッピング要素および第二グリッピング要素は、それぞれ、物質容器用スナップ嵌合を形成できかつ物質容器のネックセクションおよびヘッドセクションを支持できることを特徴とするスリーブ。
【請求項8】
前記物質噴射装置のシャーシの電磁スイッチを作動させるように作動できる磁石を有していることを特徴とする請求項7記載のスリーブ。
【請求項9】
前記電磁スイッチはリードスイッチであることを特徴とする請求項1、2、6または8のいずれか1項記載のスリーブ。
【請求項10】
前記磁石は、スリーブの上部に配置されていることを特徴とする請求項1、2、6、8または9のいずれか1項記載のスリーブ。
【請求項11】
前記磁石はグリッピング手段の上に配置されていることを特徴とする請求項3、6または8から10のいずれか1項記載のスリーブ。
【請求項12】
前記磁石は、その磁極がスリーブの長手方向軸線と、ほぼ整合するように配置されていることを特徴とする請求項1、2、5、8、9のいずれか1項記載のスリーブ。
【請求項13】
前記磁石は、電磁スイッチに接近できるように、スリーブの頂点に配置され、または、頂点の近くに配置されることを特徴とする請求項1、2、6、8、9または10のいずれか1項記載のスリーブ。
【請求項14】
位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの一方を有し、位置決め突出部と凹部との対(単一または複数)のうちの他方は、物質噴射装置のシャーシの部品であることを特徴とする請求項2、または、4から7のいずれか1項記載のスリーブ。
請求項1記載のスリーブ。
【請求項15】
前記位置決め突出部(単一または複数)を有していることを特徴とする請求項14記載のスリーブ。
【請求項16】
前記位置決め突出部(単一または複数)は、スリーブの本体セクションに沿って延びていることを特徴とする請求項15記載のスリーブ。
【請求項17】
前記位置決め突出部(単一または複数)は、丸い輪郭を有していることを特徴とする請求項14または15記載のスリーブ。
【請求項18】
前記第二グリッピング要素は、その上端部がリンクセクションにより結合されていることを特徴とする請求項3、5、または、7から17のいずれか1項記載のスリーブ。
【請求項19】
前記リンクセクションは、物質容器のヘッドセクションと係合できるリングを形成していることを特徴とする請求項18記載のスリーブ。
【請求項20】
物質容器を有することを特徴とする請求項1から19のいずれか1項記載のスリーブ。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の複数のスリーブを収容するパックであって、前記スリーブの各々が物質容器を有することを特徴とするパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−529912(P2008−529912A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555683(P2007−555683)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000342
【国際公開番号】WO2006/087514
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(501164056)レキット ベンキサー (ユーケイ) リミテッド (30)
【Fターム(参考)】