説明

スペーサ取り付け定規

【課題】電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、容易に電線の所定の位置関係に取り付けることができるスペーサ取り付け定規を提供する。
【解決手段】定規本体10の一方に、電線80を支持する電線支持部30を有し、他方に互いに異なる幅を有するクランプの幅調整を行うクランプ幅調整部20を有し、クランプ幅調整部20は複数の固定用ネジ孔を有し、定規本体10はクランプ幅調整部20がクランプの幅調整を行うための複数の幅調整ガイド穴12を有し、幅調整ボルト14が複数の幅調整ガイド穴12を通して複数の固定用ネジ孔に捩じ込まれ、複数の幅調整ガイド穴に沿って、クランプ幅調整部20が移動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ取り付け定規に係り、より詳しくは、電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、容易に電線の所定の位置関係に取り付けることができるスペーサ取り付け定規に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線を所定の間隔で把持するスペーサの取り付けにおいては、直尺定規を使用していた。このため、電線を把持するクランプの幅が同じスペーサにおいても、定規の電線への当て方が悪いとスペーサが斜めに取り付けられてしまう不具合を生じていた。したがって、クランプの幅が異なるスペーサにおいては、直尺定規でクランプ幅の差分を補正して取り付けることが困難であり、より頻繁に、スペーサが斜めに取り付けられてしまう不具合を生じていた。
【0003】
特許文献1には、固定クランプとルーズクランプとによる4導体スペーサについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−9544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、容易に電線の所定の位置関係に取り付けることができるスペーサ取り付け定規を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスペーサ取り付け定規は、電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、電線の所定の位置関係に取り付けるスペーサ取り付け定規であって、定規本体は、定規本体の一方に、電線を支持する電線支持部を有し、他方に互いに異なる幅を有するクランプの幅調整を行うクランプ幅調整部を有し、クランプ幅調整部は複数の固定用ネジ孔を有し、定規本体はクランプ幅調整部がクランプの幅調整を行うための複数の幅調整ガイド穴を有し、幅調整ボルトが複数の幅調整ガイド穴を通して複数の固定用ネジ孔に捩じ込まれ、複数の幅調整ガイド穴に沿って、クランプ幅調整部が移動できるように定規本体に仮固定され、クランプ幅調整部が移動により所定の位置に設定されると、定規本体とクランプ幅調整部とが幅調整ボルトにより固定されて、電線支持部が電線に取り付けられ、互いに異なる幅を有するクランプの各端面が、固定された定規本体とクランプ幅調整部とに密着するように調整されることにより、スペーサの互いに異なる幅を有するクランプが、それぞれ電線の所定の位置関係に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
本発明のスペーサ取り付け定規は、電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、電線の所定の位置関係に取り付けるスペーサ取り付け定規であって、定規本体は、定規本体の中央部にスペーサの枠体に接触する十字型に構成された枠体接触部を有し、定規本体の片側に、電線を支持する電線支持部を有し、クランプの取り付け位置から枠体接触部が所定の距離だけ離れた位置に設定されるよう、電線支持部が電線に取り付けられ、スペーサの互いに異なる幅を有するクランプが取り付けられているスペーサ枠体が、枠体接触部に均等に接触するように調整されることにより、スペーサの互いに異なる幅を有するクランプが、それぞれ電線の所定の位置関係に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを容易に電線の所定の位置関係に取り付けることができるスペーサ取り付け定規を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による第1のスペーサ取り付け定規の構成図。
【図2】第1のスペーサ取り付け定規の取り付け関係図。
【図3】第1のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第1工程説明図。
【図4】第1のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第2工程説明図。
【図5】第1のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第3工程説明図。
【図6】本発明による第2のスペーサ取り付け定規の構成図。
【図7】第2のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第1工程説明図。
【図8】第2のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第2工程説明図。
【図9】第2のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第3工程説明図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明による第1のスペーサ取り付け定規の構成図である。図1において、第1のスペーサ取り付け定規100の定規本体10は、定規本体10の一方に、電線80を支持する電線支持部30を有している。他方には、互いに異なる幅を有するクランプ70、74の幅調整を行うクランプ幅調整部20を有している。クランプ幅調整部20は、複数の固定用ネジ孔(図示せず)を有し、定規本体10は、クランプ幅調整部20がクランプの幅調整を行うための複数の幅調整ガイド穴12を有している。
【0011】
幅調整ボルト14が複数の幅調整ガイド穴12を通して複数の固定用ネジ孔に捩じ込まれ、複数の幅調整ガイド穴12に沿って、クランプ幅調整部20が移動できるように定規本体10に仮固定される。クランプ幅調整部20が移動により所定の位置に設定されると、定規本体10とクランプ幅調整部20とが幅調整ボルト14により固定されて、電線支持部30が電線80に取り付けられる。つぎに、互いに異なる幅を有するクランプ70、74の各端面が、固定された定規本体10とクランプ幅調整部20とにそれぞれ密着するように調整されることにより、電線80の所定の位置関係に取り付けられる。これらの取り付け工程は、後に詳細に説明される。
【0012】
スペーサ300は、固定クランプ70とルーズクランプ74とスペーサ枠体72とを有している。ルーズクランプ74は、ルーズクランプ固定ネジ76を有している。固定クランプ70とルーズクランプ74とが、第1のスペーサ取り付け定規100により、クランプ取り付け位置Aに取り付けられる。また、複数の固定用ネジ孔のいくつかには、幅調整ガイドピン13が立てられて、幅調整ガイド穴12にガイドされるように設定されても良い。
【0013】
図2は、第1のスペーサ取り付け定規の取り付け関係図である。図2aにおいて、一点差線Aは、クランプ取り付け位置を示している。間隙Bは、固定クランプ70とルーズクランプ74とのクランプの幅の差を示している。この図のように、ルーズクランプ74側に電線支持部30がセットされる場合、第1のスペーサ取り付け定規100とスペーサ300との位置関係は、クランプ幅調整部20が定規本体10に対し、間隙Bだけせり出して固定される。また、図2bの第1のスペーサ取り付け定規100とスペーサ300との位置関係においては、クランプ幅調整部20が定規本体10に対し、間隙Bだけ控えて固定される。
【0014】
図3は、第1のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第1工程説明図である。図3において、まず、固定クランプ70が、クランプ取り付け位置Aに取り付けられるよう、ハンマー85により調整され、取り付けられる。つぎに、図2aにおいて準備された第1のスペーサ取り付け定規100の電線支持部30が、電線80に取り付けられ、クランプ幅調整部20が固定クランプ70と面合せされる。
【0015】
図4は、第1のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第2工程説明図である。図4において、図3に示されているクランプ取り付け位置との間隙Cが、ハンマー85により調整され、定規本体10とルーズクランプ74とが密着するよう面合せされる。
【0016】
図5は、第1のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第3工程説明図である。図5において、定規本体10とルーズクランプ74とが面合せされると、ラチェットレンチ90により、ルーズクランプ固定ネジ76が締め付けられて、ルーズクランプ74は電線80に固定され、取り付け作業が終了する。
【0017】
図6は、本発明による第2のスペーサ取り付け定規の構成図である。図6において、第2のスペーサ取り付け定規200の定規本体50は、定規本体50の中央部にスペーサの枠体72に接触する十字型に構成された枠体接触部40を有している。定規本体50の片側に、電線80を支持する電線支持部60を有している。
【0018】
スペーサ300は、固定クランプ70とルーズクランプ74とスペーサ枠体72とを有している。また、ルーズクランプ74は、ルーズクランプ固定ネジ76(図7参照)を有している。固定クランプ70とルーズクランプ74とが、第2のスペーサ取り付け定規200により、クランプ取り付け位置Aに取り付けられる。
【0019】
図7は、第2のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第1工程説明図である。直線Cは、枠体接触部40がクランプの取り付け位置Aから所定の距離だけ離れた位置を示している。間隙Dは、枠体接触部40がクランプの取り付け位置Aから所定の離れたその距離を示している。図7において、図3の場合と同様に、まず固定クランプ70が、クランプ取り付け位置Aに取り付けられるよう、ハンマー85により調整され、取り付けられる。つぎに、枠体接触部40が、クランプの取り付け位置Aから所定の距離Dだけ離れた位置Cに設定されるよう、電線支持部60が電線80に取り付けられる。
【0020】
図8は、第2のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第2工程説明図である。図8において、枠体接触部40とスペーサ枠体72との間隙が、ハンマー85によりそれぞれ調整され、枠体接触部40とスペーサ枠体72とが均等に接触するように面合せされる。
【0021】
図9は、第2のスペーサ取り付け定規によるスペーサ取り付け第3工程説明図である。図9において、枠体接触部40とスペーサ枠体72とが面合せされると、ラチェットレンチ90により、ルーズクランプ固定ネジ76が締め付けられて、ルーズクランプ74は電線80に固定され、取り付け作業が終了する。
【0022】
以上説明したように本発明によれば、電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、容易に電線の所定の位置関係に取り付けることができるスペーサ取り付け定規を提供することができる。また、電線を把持するクランプの幅が同じスペーサにおいても、同様に、本発明のスペーサ取り付け定規を用いることができる。
【符号の説明】
【0023】
10 定規本体
12 幅調整ガイド穴
13 幅調整ガイドピン
14 幅調整ボルト
20 クランプ幅調整部
30 電線支持部
40 枠体接触部
50 定規本体
60 電線支持部
70 固定クランプ
72 スペーサ枠体
74 ルーズクランプ
76 ルーズクランプ固定ネジ
80 電線
85 ハンマー
90 ラチェットレンチ
100 第1のスペーサ取り付け定規
200 第2のスペーサ取り付け定規
300 スペーサ
A クランプ取り付け位置
B クランプ取り付け位置との間隙
C 枠体接触部設定位置
D クランプ取り付け位置から離れた所定の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、電線の所定の位置関係に取り付けるスペーサ取り付け定規であって、
定規本体は、前記定規本体の一方に、前記電線を支持する電線支持部を有し、他方に前記互いに異なる幅を有するクランプの幅調整を行うクランプ幅調整部を有し、
前記クランプ幅調整部は複数の固定用ネジ孔を有し、前記定規本体は前記クランプ幅調整部が前記クランプの幅調整を行うための複数の幅調整ガイド穴を有し、
幅調整ボルトが前記複数の幅調整ガイド穴を通して前記複数の固定用ネジ孔に捩じ込まれ、前記複数の幅調整ガイド穴に沿って、前記クランプ幅調整部が移動できるように前記定規本体に仮固定され、
前記クランプ幅調整部が前記移動により所定の位置に設定されると、前記定規本体と前記クランプ幅調整部とが前記幅調整ボルトにより互いに固定されて、前記電線支持部が前記電線に取り付けられ、
前記互いに異なる幅を有するクランプの各端面が、前記固定された前記定規本体と前記クランプ幅調整部とに密着するように調整されることにより、前記スペーサの前記互いに異なる幅を有するクランプが、それぞれ前記電線の所定の位置関係に取り付けられることを特徴とするスペーサ取り付け定規。
【請求項2】
電線を把持するクランプの幅が異なるスペーサを、電線の所定の位置関係に取り付けるスペーサ取り付け定規であって、
定規本体は、前記定規本体の中央部に前記スペーサの枠体に接触する十字型に構成された枠体接触部を有し、前記定規本体の片側に、前記電線を支持する電線支持部を有し、
前記クランプの取り付け位置から前記枠体接触部が所定の距離だけ離れた位置に設定されるよう、前記電線支持部が前記電線に取り付けられ、
前記スペーサの前記互いに異なる幅を有するクランプが取り付けられているスペーサ枠体が、前記枠体接触部に均等に接触するように調整されることにより、前記スペーサの前記互いに異なる幅を有するクランプが、それぞれ前記電線の所定の位置関係に取り付けられることを特徴とするスペーサ取り付け定規。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182863(P2012−182863A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42160(P2011−42160)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000117010)旭電機株式会社 (127)
【Fターム(参考)】