スペーサ固定用具及びスペーサ固定用具付きスペーサ
【課題】スペーサを骨に固定する操作を容易かつ確実に行うことができるスペーサ固定用具、及び骨同士の間隙を確保する操作を容易に行い得るスペーサ固定用具付きスペーサを提供する。
【解決手段】骨同士の間隙にスペーサを挿入した状態で、前記スペーサを前記骨に固定するのに用いられるスペーサ固定用具であって、
複数の糸と、前記各複数の糸の少なくとも一方の端部に設けられた、前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、
前記針状部材は、前記複数の糸を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されていることを特徴とするスペーサ固定用具。
【解決手段】骨同士の間隙にスペーサを挿入した状態で、前記スペーサを前記骨に固定するのに用いられるスペーサ固定用具であって、
複数の糸と、前記各複数の糸の少なくとも一方の端部に設けられた、前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、
前記針状部材は、前記複数の糸を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されていることを特徴とするスペーサ固定用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサを骨に固定する際に用いられるスペーサ固定用具及びこのスペーサ固定用具を備えるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
頚椎脊椎症性脊髄症、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、椎間板ヘルニア等の治療として、正中縦割式頚椎拡大椎弓形成術が行なわれている。
【0003】
正中縦割式拡大椎弓形成術では、椎弓や棘突起の正中部(中央部)を切断し、正中部を境にして、両側の椎弓をヒンジのようにして開くことにより、脊柱管を拡大する。この際、椎弓や棘突起を切断して開いた間隙には、スペーサが挿入される。
【0004】
スペーサは、例えば、平面視でほぼ台形状のものを、幅の狭い部分が脊柱管(椎孔)側となるように、前記間隙に挿入して使用される。
【0005】
スペーサが椎弓又は棘突起から離脱するのを防止するために、椎弓又は棘突起に形成された貫通孔、及びスペーサに形成された貫通孔に縫合糸を挿通し、スペーサを締め付けるように縛って固定する(例えば、特開2007-082826号(特許文献1)参照)。このスペーサの固定は通常複数の縫合糸を用いて行なわれるが、複数本の縫合糸を貫通孔に挿通する操作は極めて煩雑であり、改良が望まれている。
【0006】
特開2011-136092号(特許文献2)は、少なくとも1本の生体親和性材料からなる縫合糸と、該縫合糸に少なくとも1つ設けられ、該縫合糸より高い剛性を有する針状の硬質部とを備える骨移植用縫合具を開示しており、前記硬質部が、手術針からなる態様を記載している。特許文献2は、前記硬質部を先頭にして骨補填材や自家骨の貫通孔に挿入することにより、柔らかい縫合糸を容易に貫通孔内に案内して通すことができ、湿潤した自家骨に通すことにより縫合糸がふやけてしまった後も挿入性を維持することができると記載している。
【0007】
また実用新案登録第3069906号(特許文献3)は、同じ長さの複数本の糸を並べて構成した縫合糸の両端にそれぞれ手術用針を固着して取付けてなる手術用針付き縫合糸を開示しており、前記手術用針を縫合糸へ固着して取付ける手段としては、前記針の基部に軸線方向に向けて設けた糸取付孔に前記複数本の端部をまとめて挿入し、押圧着する方法を挙げている。
【0008】
しかしながら、特許文献2及び3に記載の骨移植用縫合具及び手術用針付き縫合糸は、手術用針を縫合糸へ固着して取付けたものであるため、複数本の縫合糸を容易に分離することができない。従って、例えば前記正中縦割式拡大椎弓形成術において、前記貫通孔に挿通した縫合糸でスペーサを縛って固定する際に、前記手術用針の近くで前記縫合糸をはさみ等で切断し、複数本の縫合糸を分離するという作業が必要になる。このような作業を術中に行うことは大変煩雑であり、分離した手術用針を見失った場合、この部分を見つけ出すことが難しく、患者の体内に取り残す危険性もある。
【0009】
特開2011-136091号(特許文献4)は、複数本の生体親和性材料からなる縫合糸の両端部に、加熱して互いに融着することにより形成された接合部を有し、前記接合部が、前記縫合糸の引張強度より小さい接合力で互いに接合して形成されている骨移植用縫合具を開示しており、ハサミ等を使用しなくても、各縫合糸の接合された部分を互いに引き剥がすことができると記載している。
【0010】
しかしながら、特許文献4に記載の骨移植用縫合具の前記接合部は、接合部の剛性が十分でないため、例えば前記正中縦割式拡大椎弓形成術において、自家骨の貫通孔に縫合糸の接合部を挿通する際に、縫合糸が折れ曲がったり膨潤したりして作業が難航する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007-082826号公報
【特許文献2】特開2011-136092号公報
【特許文献3】実用新案登録第3069906号公報
【特許文献4】特開2011-136091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、スペーサを骨に固定する操作を容易かつ確実に行うことができるスペーサ固定用具、及び骨同士の間隙を確保する操作を容易に行うことのできるスペーサ固定用具付きスペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、複数本の縫合糸の端部を樹脂で被覆し、前記被覆した樹脂同士を、容易に分離できるように連結して前記縫合糸の端部を束ねることにより、骨及びスペーサに設けた貫通孔に容易に挿通することができるとともに、前記連結部において前記縫合糸を容易に分離でき、挿通した後のスペーサを固定する操作を容易に行うことができることを見出し、本発明に想到した。
【0014】
すなわち、本発明のスペーサ固定用具は、骨同士の間隙にスペーサを挿入した状態で、前記スペーサを前記骨に固定するのに用いられるスペーサ固定用具であって、
複数の糸と、
前記各複数の糸の少なくとも一方の端部に設けられた、前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、
前記針状部材は、前記複数の糸を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されていることを特徴とする。
【0015】
前記針状部材は、長手方向側部に設けられた連結部を介して連結されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記連結部で分離するのが好ましい。
【0016】
前記針状部材は、長手方向側部で分離可能に接合されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記接合部で分離することを特徴とするのが好ましい。
【0017】
前記針状部材の一部に切り込みが設けられており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記針状部材の切り込みの部分で分離するのが好ましい。
【0018】
前記複数の糸を分離する際に必要な力は、引張強度で1〜10 Nであるのが好ましい。
【0019】
本発明のスペーサ固定用具付きスペーサは、骨同士の間隙に挿入される、貫通孔を有するスペーサであって、前記のスペーサ固定用具を前記貫通孔に挿通してなることを特徴とする。
【0020】
前記スペーサが、椎弓、又は椎弓及び棘突起を切断して開いた間隙に挿入するためのものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のスペーサ固定用具は、複数の糸と前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、前記針状部材又はそれらの連結部で前記複数の糸を容易に分離できるように構成されているので、骨及びスペーサに設けた貫通孔に複数の糸を容易に挿通することができるとともに、挿通した後に複数の糸同士を容易に分離することができ、スペーサを固定し骨同士の間隙を確保する操作を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のスペーサ固定用具の一例を示す模式図である。
【図2】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部の例を模式的に示す(a)斜視図、及び(b)A-A断面図である。
【図3】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材の連結部の例を模式的に示す正面図である。
【図4】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部のさらに他の例を模式的に示す(a)斜視図、(b)B-B断面図、及び(c)さらに他の例を示す断面図である。
【図5】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部のさらに他の一例を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部のさらに他の一例を模式的に示す(a)斜視図及び(b)C-C断面図である。
【図7】本発明のスペーサ固定用具付きスペーサの一例を示す斜視図である。
【図8】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するための模式図である。
【図9】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するための他の模式図である。
【図10】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するためのさらに他の模式図である。
【図11】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するためのさらに他の模式図である。
【図12】スペーサを固定する方法を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1] 正中縦割式拡大椎弓形成術
本発明のスペーサ固定用具又はスペーサ固定用具付きスペーサは、例えば正中縦割式拡大椎弓形成術において使用する。正中縦割式拡大椎弓形成術を図8〜図11を用いて説明する。なお、図8〜図11において、上側が背側、下側が腹側である。
【0024】
図8に示すように、椎骨100は、椎体110と、椎体110の後方(図8中の上側)に延び、脊柱管(椎孔)140を形成する椎弓120と、椎弓120の中央部から後方に突出する棘突起130とを有する。
【0025】
まず、図9に示すように、棘突起130を、正中線200に沿ってエアドリル等を用いて切断し、椎弓120を2分割して切断部130a、130bを形成する。また、椎弓120の根元部の外側に、エアドリル等を用いて溝121a、121bを形成する。この溝121a、121bは、外板のみ削り内板を削らない程度の深さとする。この溝121a、121bを形成した部位は、ヒンジ部(蝶番)122a、122bとなる。
【0026】
次に、図10に示すように、ヒンジ部122a、122bを軸に、切断部130a、130bを回動させることにより、棘突起130の切断した部分を広げ、間隙150をあける。ここで、必要に応じて、切断部130a、130bの間隙150に面した内側面を整形する。
【0027】
次に、切断部130a、130bに貫通孔131a、131bをあける。その後、図11に示すように、平面視でほぼ台形状のスペーサSを間隙150に挿入する。これにより、患者の棘突起130と、スペーサSとで、拡大された椎弓160が形成される。
【0028】
この操作を行う途中又は終了後、棘突起130の貫通孔131a、131b及びスペーサSの貫通孔S1に、本発明のスペーサ固定用具1を挿通する。そして、後述するように、第1の糸10a及び第2の糸10bを、それぞれ逆方向に引っ張ることにより、スペーサ固定用具1の針状部材11を連結部12で分離し、2本に分離した第1の糸10a及び第2の糸10bを用いて、スペーサSを切断部130a、130bに固定する。
【0029】
スペーサSとしては、アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム系化合物等のバイオセラミックスで構成されるものが好適に用いられる。また、気孔率は、70%以下(特に、30〜50%)のものが好適である。
【0030】
[2]スペーサ固定用具
スペーサ固定用具1は、図1に示すように、それぞれ直径Dを有する複数の糸10と、これらの複数の糸10の少なくとも一端に設けられた、前記糸10より高い剛性を有する針状部材11とからなり、前記針状部材11は、前記複数の糸10を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されている。図1に示す例では、第1の糸10a及び第2の糸10bの両端部にそれぞれ針状部材11,11を設け、各端部においてそれぞれ第1の糸10a及び第2の糸10bに設けた針状部材11a及び針状部材11bをその側部で連結した構成を有している。
【0031】
(1)第一の態様
スペーサ固定用具の第一の態様は、前記複数の針状部材11の間に連結部を有し、前記連結部で分離できるように構成したものである。
【0032】
(A) 針状部材
針状部材11a、11bは、図2(a)及び図2(b)に示すように、その基部111に第1の糸10a及び第2の糸10bを接合した断面円形の棒状の部材であり、それらの軸方向側部に、前記針状部材11a及び針状部材11bを容易に分離できるように形成された連結部12を有しており、前記連結部12によって針状部材11a、11bは一体となり、複数の糸10a、10bを結束している。前記連結部12は、図3(a)に示すように、前記針状部材11a、11bの軸方向側部の全長に渡って設けても良いし、図3(b)に示すように、前記針状部材11a、11bの側部の軸方向に離間して数カ所設けても良い。また、前記針状部材11a、11bが分離しやすくするために、図3(c)に示すように、前記軸方向側部の全長に渡って設けた連結部12にミシン目12aを設けてもよい。
【0033】
針状部材11a、11bを、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、それぞれ断面が半円の柱状物で構成し、それらを組み合わせることにより、針状部材11全体として円柱状になるように構成しても良い。この場合連結部12は、図4(b)に示すように、前記針状部材11a、11bが対向する面の中央部を連結するように設けても良いし、図4(c)に示すように、端部を連結するように設けても良い。また、前述のように、連結部12は、前記針状部材11a、11bの軸方向の全長に渡って設けても良いし、前記針状部材11a、11bの軸方向に離間して数カ所設けても良いし、さらに前記軸方向の全長に渡って設けた連結部12にミシン目12aを設けてもよい。
【0034】
前記連結部12において前記針状部材11a及び針状部材11bを分離する方法は、針状部材11a、11b及び前記連結部12の材質によって異なるが、例えば、軟質の樹脂を用いた場合、前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ逆方向に引っ張って、前記連結部12で引きちぎるようにして分離する方法が挙げられ、また硬質の脆い樹脂を用いた場合、前記針状部材11a、11bを前記連結部12で何度か折り曲げた後、前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ逆方向に引っ張って分離する方法が挙げられる。
【0035】
前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ逆方向に引っ張ったときに、前記針状部材11a、11bを前記連結部12で分離するのに必要な力(分離強度)は、引張強度で1〜10 N程度であるのが好ましく、1.2〜5 N であるのがより好ましく、1.5〜3.5 N程度であるのが最も好ましい。分離強度は、前記第1の糸10aと第2の糸10bとをそれぞれ強度測定機(島津製作所社製「EZ-Test」)にセットし、前記第1の糸10aと第2の糸10bとをそれぞれ反対方向に5 mm/分の速度で引っ張り、前記針状部材11a、11bが分離するまでの引張強度の最大値で評価する。
【0036】
前記針状部材11a、11bの連結部12の分離強度を前記範囲に設定すれば、前記糸10a、10bを必要時に前記連結部12で容易に分離することができ、なおかつ、縫合糸の移送などの際の衝撃や、術中の取り扱い程度では分離しないスペーサ固定用具が得られる。従って、スペーサSを切断部130a、130bに固定する操作を、より短時間で行うことができ、また使用前に前記糸10a、10bが前記針状部材11から分離してしまう不具合を防止できる。
【0037】
前記針状部材11は、前記糸10よりも高い剛性を有するように構成する。このとき、前記針状部材11を形成する材料は、必ずしも前記糸10を形成する材料よりも、材料自体の剛性が高い必要はなく、例えば、前記針状部材11の太さを調節することによって、前記糸10よりも高い剛性を有するような構成が可能である。
【0038】
前記針状部材11が連結された状態でのその長手方向における曲げ強度は、前記針状部材11を前記貫通孔131a、131b及びスペーサSの貫通孔S1に挿通することができる程度の強度を有していれば良く、下記試験法による強度が0.5 N以上であるのが好ましく、1〜5 N程度であるのがより好ましく、2〜3 N程度であるのが最も好ましい。前記針状部材11の曲げ強度を前記範囲に設定すれば、前記針状部材11は、十分に高い剛性を有するようになり、前記挿通操作をより確実かつ容易に行うことができる。
【0039】
曲げ強度の測定は、針状部材11を所定長さに切断し、その一部(約10 mm)が突出するように強度測定機(島津製作所社製、「EZ-Test」)にセットし、この突出部を基台にほぼ垂直に5 mm/分で押し付けることにより行い、折れ曲がるまでの最大強度で評価する。
【0040】
なお、同じ方法で測定した各前記糸10a、10bの長手方向における曲げ強度は、0.02〜0.1 N程度であるのが好ましく、0.025〜0.09 N程度であるのがより好ましい。このような曲げ強度を有する糸10a、10bは、比較的柔軟性が高いため、スペーサSを棘突起130の切断部(骨)130a、130bに固定する操作を行い易い。
【0041】
前記針状部材11は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、テフロン(登録商標)、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、環状ポリオレフィン。シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、SBR等のゴム質重合体、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。
【0042】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、芳香族炭化水素ポリマー(ポリ-p-フェニレン、ポリ-p-キシレン等)、芳香族複素環状ポリマー(ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン等)、熱硬化型耐熱性ポリマー(スチリルピリジン系樹脂、シナート系樹脂等)を挙げることができる。これらの熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂と同様に加熱することにより均一の溶融物を得ることができる。上記樹脂はいずれも汎用の公知物質であり、使用するに際しては市販品を購入して使用することができる。
【0043】
これらの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の中でも、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、テトロン、ポリエステルが好ましく用いられる。
【0044】
前記針状部材11は、前記の樹脂を射出成形、圧縮成形等の方法により成形することにより製造するのが好ましい。これらの成形方法としては公知の方法を適用できる。スペーサ固定用具が複数の糸10a、10b、・・・により構成される場合、前記針状部材11a、11b、・・・は、前記連結部12と一体に成形するのが好ましい。
【0045】
前記糸10と前記針状部材11との接合は、例えば図2(a)に示すように、前記針状部材11の基部111に軸方向に形成した取付け孔112に糸10の端部を挿入し、前記針状部材11の端部を加熱して融着するか、接着することによって行うことができる。他の方法として、前記針状部材11を前述の方法で成形する際に、前記糸10と一体に成形する方法が挙げられる。
【0046】
針状部材11の長さは、特に限定されないが、8〜35 mm程度であるのが好ましく、10〜30 mm程度であるのがより好ましい。針状部材11の長さを前記範囲とすることにより、針状部材11を確実に指等で把持することができる。また、前記範囲であれば、針状部材11の長さが長過ぎることがなく、貫通孔131a、131b及び貫通孔S1へのスペーサ固定用部材1の挿通操作を容易に行うことができる。
【0047】
針状部材11が連結された状態における最大太さは、特に限定されないが、0.8〜3 mm程度であるのが好ましく、0.8〜2 mm程度であるのがより好ましく、1〜1.5 mm程度であるのが最も好ましい。針状部材11の前記最大太さは、骨やスペーサに形成した貫通孔によって適宜設定するのが好ましい。なお、針状部材11が連結された状態における最大太さとは、針状部材11が連結された状態での断面形状を内部に含む最小の円の径を示す。
【0048】
針状部材11をスペーサ固定用具1の両端部に設けることにより、スペーサ固定用具1を貫通孔131a、131b及びS1に挿通する際に、いずれの端部側からでも、挿通する操作を行うことができる。
【0049】
針状部材11は、前述の正中縦割式拡大椎弓形成術において、前記棘突起130に形成された貫通孔131a、131b及び前記スペーサSに形成された貫通孔S1(図10及び図11を参照)にスペーサ固定用具1を挿通し易くするために、その先端部113をなめらかな形状(図2(a)では球面形状)に成形するのが好ましい。先端部113の形状は円錐形状等であってもよい。
【0050】
(B)糸
糸10は、特に限定されないが、主として高分子材料からなるのが好ましい。また、糸が生体適合性を有する材料からなるのが好ましく、いわゆる手術用の縫合糸を用いるのが好ましい。
【0051】
高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0052】
これらの中でも、ポリエステルが好ましい。ポリエステルを用いることにより、各糸10a、10bに比較的高い柔軟性を付与することができ、スペーサSを固定する操作がし易くなる。
【0053】
糸10は、モノフィラメント糸で構成してもよく、マルチフィラメント糸で構成してもよい。ここで、モノフィラメント糸とは、長く連続して形成された接続部を有さない一本の繊維のことを言い、マルチフィラメント糸とは、複数のモノフィラメントを撚り合わせて構成された一本の繊維のことを言う。
【0054】
モノフィラメント糸を用いた場合、各糸10a、10bの腰が強くなり、スペーサSをより強固に締め付けること(固定すること)ができるという利点がある。また、フィラメント同士による間隙を有さないので、感染のリスクが減少する。一方、マルチフィラメント糸を用いた場合は、各糸10a、10bの柔軟性が高まり、スペーサSをより容易かつ正確に締め付けることができるようになるという利点がある。
【0055】
また、例えば、第1の糸10aをモノフィラメント糸とし、第2の糸10bをマルチフィラメント糸とすることもできる。この場合、まず、スペーサSを第2のマルチフィラメント糸(糸10b)で仮固定した後、第1のモノフィラメント糸(糸10a)で強固に締め付けて縛る(本固定する)といった使い方ができる。このようにすれば、スペーサSを切断部130a、130bに、より確実かつ強固に固定することができる。
【0056】
第1の糸10aと第2の糸10bの長さは、特に限定されないが、30〜100 cm程度であるのが好ましく、50〜80 cm程度であるのがより好ましい。本実施形態(図1を参照)では、第1の糸10aと第2の糸10bとは、ほぼ等しい長さを有しているが、必要に応じて異なる長さに設定しても良い。
【0057】
第1の糸10aと第2の糸10bとは、ほぼ等しい径を有しているのが好ましい。各糸10a、10bの径Dは、特に限定されないが、0.05〜1 mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.8 mmであるのがより好ましい。なお、目的に応じて各糸10a、10bの径は異なっていてもよい。
【0058】
針状部材11の連結部12で第1の糸10a及び第2の糸10bを分離した後スペーサを固定する際に、異なる糸10a、10bの端部同士を結んでしまわないようにするために、第1の糸10aと第2の糸10bとは、互いに異なる色に着色されているのが好ましい。
【0059】
(C)スペーサ固定用具の使用方法
スペーサ固定用具1を用いて、スペーサSを棘突起130の切断部130a、130bに固定する方法について図12を用いて説明する。なお、図12は、正中縦割式拡大椎弓形成術を説明する図10と図11との間の段階を示すものである。
【0060】
(i) スペーサ固定用具1の一方の針状部材11を指等で把持し、スペーサSの貫通孔S1に挿通する(図示せず)。スペーサ固定用具1がスペーサSの貫通孔S1に挿通した状態で、スペーサ固定用具1の一方の針状部材11を切断部130aにあけた貫通孔131aに、他方の針状部材11を切断部130bにあけた貫通孔131bに挿通する(図12(a)参照)。このとき、針状部材11は、ある程度の長さを有するため、確実に把持することができるとともに、貫通孔131a、131b及びS1に挿通する操作を確実に行うことができる。
【0061】
(ii)スペーサ固定用具1の両端部を離間する方向に引っ張るとともに、スペーサSを間隙150に挿入する(図12(b)参照)。
【0062】
(iii)第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ反対方向に引っ張り、針状部材11の連結部12で第1の糸10a及び第2の糸10bを分離する(図12(c)参照)。このとき、針状部材11は前述のように低い引張強度で分離可能に連結されているので、第1の糸10a及び第2の糸10bは、容易かつすみやかに分離することができる。なお、(ii)と(iii)の順序は逆であっても良い。
【0063】
(iv)分離した第1の糸10aを用いてスペーサSを締め付けるようにして結び、同様に第2の糸10bを用いてスペーサSを締め付けるようにして結ぶ。この時別々の糸同士を間違って結ぶことのないように、第1の糸10a及び第2の糸10bは、あらかじめそれぞれ異なる色に着色しておくのが好ましい。これにより、スペーサSを切断部130a、130bに固定することができる。
【0064】
(v)第1の糸10a及び第2の糸10bの不要な部分を切断して、正中縦割式拡大椎弓形成術を完了する(図12(d)参照)。針状部材11が、生体親和性材料や生体吸収性材料からなる場合は、切断しなくても良い。
【0065】
本発明と異なり、例えば、複数の糸を手術用針に強固に固着した骨移植用縫合具を用いた場合、各糸を容易に分離することができないため、手術用針の根元で前記複数の糸を切断して手術用針を除去し複数の糸を分離する必要がある。このような操作は煩雑であるとともに、手術針は細く小さいため、切断した手術用針を見失った場合、この部分を見つけ出すことが難しく、患者の体内に取り残す危険性もある。
【0066】
これに対して、本発明のスペーサ固定用具1を用いた場合、糸を切断しなくても容易に2本の糸を分離することができるため、操作が容易であり、かつ手術の安全性が高まる。
【0067】
なお、本実施形態では、針状部材11が糸10の両端部に設けられていたが、貫通孔131a、131b及びS1に、糸10を挿通する操作のし易さの点だけを考慮した場合、針状部材11は、糸10のいずれか一方の端部にのみ設けるようにしてもよい。
【0068】
(2)第二の態様
スペーサ固定用具の第二の態様は、前記複数の針状部材11の間に連結部を設けないで、針状部材11をその接合部で分離できるように構成したものである。
【0069】
針状部材11a、11bは、図5に示すように、その基部111に第1の糸10a及び第2の糸10bを接合した断面半円形の棒状の部材であり、それらの平らな面同士を合わせてその一部を必要時に容易に分離できるように接合して接合部13を形成し、全体として断面円形の棒状として、複数の糸10a、10bを結束している。前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ反対方向に引っ張ったときに、前記接合部13がはがれて前記針状部材11a及び針状部材11bに分離する。図5では、針状部材11a、11bがそれぞれ断面半円形の棒状の部材であるが、これらの形状は、それぞれの接合面として少なくとも1つの平面を有して入れば断面半円形でなくても良い。
【0070】
前記接合部13で針状部材11が容易に分離されるようにするためには、前記接合部13の接合強度及び接合部13の接合面積を調節し、分離する際に必要な力(分離強度)が、引張強度で1〜10 N程度となるようにするのが好ましく、1.2〜5 N程度となるようにするのがより好ましく、1.5〜3.5 N程度となるようにするのが最も好ましい。分離強度は、スペーサ固定用具1の第一の態様において説明した、分離強度の測定方法と同様にして測定することができる。
【0071】
前記針状部材11a及び針状部材11bの接合方法は特に限定されないが、圧着、超音波融着、熱癒着、接着等の方法で接合するのが好ましい。ただし、接着によって接合する場合は、生体に対して悪影響を及ぼさないような接着剤を使用する必要がある。特に製造の簡便さ、接合強度の調節の必要性から、圧着又は超音波融着が好ましい。接合部13は、前記針状部材11a及び針状部材11bの一部に設けるのが好ましい。
【0072】
第二の態様におけるスペーサ固定用具3は、前述のように複数の針状部材11の間に連結部を設けないで、前記針状部材11a及び針状部材11bを容易に分離できるような強度で接合する点以外は第一の態様におけるスペーサ固定用具1と同様である。従って、その他の要件については、前記第一の態様におけるスペーサ固定用具1の説明に記載された内容と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0073】
(3)第三の態様
スペーサ固定用具の第三の態様は、前記針状部材11の途中に設けた切り込みから針状部材11を分離できるように構成したものである。
【0074】
針状部材11a、11bは、図6(a)及び図6(b)に示すように、その基部111に第1の糸10a及び第2の糸10bを接合した断面半円形の棒状の部材であり、それらの平らな面同士を合わせてその一部を接合し、全体として断面円形の棒状として、複数の糸10a、10bを結束している。前記針状部材11a及び針状部材11bの少なくとも片方には、前記針状部材11a、11bを必要時に容易に分離できるように切り込み14が設けられている。前記切り込み14は、前記針状部材11の基部111から一定の距離をおいた、前記接合部13以外の部分に設けられており、前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ反対方向に引っ張ったときに、前記切り込み14をきっかけにして前記針状部材11が折れることにより分離される。図6(a)では針状部材11a、11bのうち、針状部材11aにのみ前記切り込み14が設けられているが、針状部材11a、11bの両方に前記切り込み14を設けても良い。さらに、1つの針状部材11に設ける前記切り込み14は、1カ所であっても良いし、2カ所以上であってもよい。
【0075】
前記切り込み14の部分で針状部材11が容易に分離されるようにするためには、前記切り込み14の深さ及び形状を調節し、分離する際に必要な力(分離強度)が、引張強度で1〜10 N程度となるようにするのが好ましく、1.2〜5 N程度となるようにするのがより好ましく、1.5〜3.5 N程度となるようにするのが最も好ましい。切断強度は、スペーサ固定用具の第一の態様において説明した、分離強度の測定方法と同様にして測定することができる。
【0076】
前記針状部材11a及び針状部材11bの接合方法は特に限定されないが、圧着、超音波融着、熱癒着、接着等の方法で接合するのが好ましい。ただし、接着によって接合する場合は、生体に対して悪影響を及ぼさないような接着剤を使用する必要がある。特に製造の簡便さから、圧着又は超音波融着が好ましい。接合部13の接合強度は、前記分離強度よりも十分に高い必要がある。
【0077】
第三の態様におけるスペーサ固定用具3は、前述のように(a) 針状部材11の少なくとも一方に切り込み14が設けられている点、及び(b)前記針状部材11a及び針状部材11bを容易に分離しないような強度で接合する点以外は第一の態様におけるスペーサ固定用具1と同様である。従って、(a)及び(b)以外の要件については、前記第一の態様におけるスペーサ固定用具1の説明に記載された内容と同様なので、ここでは説明を省略する。なお前記針状部材11aと針状部材11bは、接合するのではなく、一体的に成形されたものであっても良い。
【0078】
[3]スペーサ固定用具付きスペーサ
図7に示すように、スペーサ固定用具付きスペーサ1Sは、貫通孔を有するスペーサSに、前記第一〜第三の態様で説明したようなスペーサ固定用具1を前記貫通孔に挿通してなるものである。
【0079】
スペーサ固定用具1は、例えば、スペーサSの貫通孔S1に挿通された状態で術者に提供される。スペーサ固定用具1は、生体適合性を有する材料等を用いて、スペーサSに固定されていても良い。
【0080】
スペーサ固定用具付きスペーサを用いることで、術場で、スペーサSの貫通孔S1にスペーサ固定用具1を挿通する操作を省略することができるので、手術時間の短縮を図ることができ、術者及び患者の負担を軽減できる。
【0081】
以上、本発明のスペーサ固定用具及びスペーサ固定用具付きスペーサを図示の実施態様に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施態様に限定されるものではなく、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、又は任意の構成のものを付加することができる。
【0082】
例えば、図示した各スペーサ固定用具は、2本の糸で構成されたものであるが、本発明のスペーサ固定用具は3本以上の糸で構成されていてもよい。この場合、例えば、2本の糸でスペーサを骨に固定し、残りの糸は、椎弓から棘突起を切離した場合に、この切離した棘突起を元の位置に固定するために使用したり、棘突起から靭帯を切離した場合に、この切離した靭帯を棘突起に固定するために使用したりすることができる。
【0083】
また、各実施態様で示したスペーサは、椎弓及び棘突起を切断することにより形成された骨同士の間隙に使用するスペーサ、すなわち、棘突起スペーサであったが、椎弓を切断することにより形成された骨同士の間隙に使用するスペーサ、すなわち、椎弓スペーサであってもよい。さらには、前記スペーサは、椎体間に用いられる椎間スペーサであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1、2・・・スペーサ固定用具
10・・・糸
10a・・・第1の糸
10b・・・第2の糸
11、11a、11b・・・針状部材
111・・・基部
112・・・取付け孔
113・・・先端部
12・・・連結部
12a・・・ミシン目
13・・・接合部
14・・・切り込み
1S・・・スペーサ固定用具付きスペーサ
S・・・スペーサ
S1・・・貫通孔
100・・・椎骨
110・・・椎体
120・・・椎弓
121a、121b・・・溝
122a、122b・・・ヒンジ部
130・・・棘突起
130a、130b・・・切断部
131a、131b・・・貫通孔
140・・・脊柱管
150・・・間隙
160・・・拡大された椎弓
200・・・正中線
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサを骨に固定する際に用いられるスペーサ固定用具及びこのスペーサ固定用具を備えるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
頚椎脊椎症性脊髄症、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、椎間板ヘルニア等の治療として、正中縦割式頚椎拡大椎弓形成術が行なわれている。
【0003】
正中縦割式拡大椎弓形成術では、椎弓や棘突起の正中部(中央部)を切断し、正中部を境にして、両側の椎弓をヒンジのようにして開くことにより、脊柱管を拡大する。この際、椎弓や棘突起を切断して開いた間隙には、スペーサが挿入される。
【0004】
スペーサは、例えば、平面視でほぼ台形状のものを、幅の狭い部分が脊柱管(椎孔)側となるように、前記間隙に挿入して使用される。
【0005】
スペーサが椎弓又は棘突起から離脱するのを防止するために、椎弓又は棘突起に形成された貫通孔、及びスペーサに形成された貫通孔に縫合糸を挿通し、スペーサを締め付けるように縛って固定する(例えば、特開2007-082826号(特許文献1)参照)。このスペーサの固定は通常複数の縫合糸を用いて行なわれるが、複数本の縫合糸を貫通孔に挿通する操作は極めて煩雑であり、改良が望まれている。
【0006】
特開2011-136092号(特許文献2)は、少なくとも1本の生体親和性材料からなる縫合糸と、該縫合糸に少なくとも1つ設けられ、該縫合糸より高い剛性を有する針状の硬質部とを備える骨移植用縫合具を開示しており、前記硬質部が、手術針からなる態様を記載している。特許文献2は、前記硬質部を先頭にして骨補填材や自家骨の貫通孔に挿入することにより、柔らかい縫合糸を容易に貫通孔内に案内して通すことができ、湿潤した自家骨に通すことにより縫合糸がふやけてしまった後も挿入性を維持することができると記載している。
【0007】
また実用新案登録第3069906号(特許文献3)は、同じ長さの複数本の糸を並べて構成した縫合糸の両端にそれぞれ手術用針を固着して取付けてなる手術用針付き縫合糸を開示しており、前記手術用針を縫合糸へ固着して取付ける手段としては、前記針の基部に軸線方向に向けて設けた糸取付孔に前記複数本の端部をまとめて挿入し、押圧着する方法を挙げている。
【0008】
しかしながら、特許文献2及び3に記載の骨移植用縫合具及び手術用針付き縫合糸は、手術用針を縫合糸へ固着して取付けたものであるため、複数本の縫合糸を容易に分離することができない。従って、例えば前記正中縦割式拡大椎弓形成術において、前記貫通孔に挿通した縫合糸でスペーサを縛って固定する際に、前記手術用針の近くで前記縫合糸をはさみ等で切断し、複数本の縫合糸を分離するという作業が必要になる。このような作業を術中に行うことは大変煩雑であり、分離した手術用針を見失った場合、この部分を見つけ出すことが難しく、患者の体内に取り残す危険性もある。
【0009】
特開2011-136091号(特許文献4)は、複数本の生体親和性材料からなる縫合糸の両端部に、加熱して互いに融着することにより形成された接合部を有し、前記接合部が、前記縫合糸の引張強度より小さい接合力で互いに接合して形成されている骨移植用縫合具を開示しており、ハサミ等を使用しなくても、各縫合糸の接合された部分を互いに引き剥がすことができると記載している。
【0010】
しかしながら、特許文献4に記載の骨移植用縫合具の前記接合部は、接合部の剛性が十分でないため、例えば前記正中縦割式拡大椎弓形成術において、自家骨の貫通孔に縫合糸の接合部を挿通する際に、縫合糸が折れ曲がったり膨潤したりして作業が難航する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007-082826号公報
【特許文献2】特開2011-136092号公報
【特許文献3】実用新案登録第3069906号公報
【特許文献4】特開2011-136091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、スペーサを骨に固定する操作を容易かつ確実に行うことができるスペーサ固定用具、及び骨同士の間隙を確保する操作を容易に行うことのできるスペーサ固定用具付きスペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、複数本の縫合糸の端部を樹脂で被覆し、前記被覆した樹脂同士を、容易に分離できるように連結して前記縫合糸の端部を束ねることにより、骨及びスペーサに設けた貫通孔に容易に挿通することができるとともに、前記連結部において前記縫合糸を容易に分離でき、挿通した後のスペーサを固定する操作を容易に行うことができることを見出し、本発明に想到した。
【0014】
すなわち、本発明のスペーサ固定用具は、骨同士の間隙にスペーサを挿入した状態で、前記スペーサを前記骨に固定するのに用いられるスペーサ固定用具であって、
複数の糸と、
前記各複数の糸の少なくとも一方の端部に設けられた、前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、
前記針状部材は、前記複数の糸を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されていることを特徴とする。
【0015】
前記針状部材は、長手方向側部に設けられた連結部を介して連結されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記連結部で分離するのが好ましい。
【0016】
前記針状部材は、長手方向側部で分離可能に接合されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記接合部で分離することを特徴とするのが好ましい。
【0017】
前記針状部材の一部に切り込みが設けられており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記針状部材の切り込みの部分で分離するのが好ましい。
【0018】
前記複数の糸を分離する際に必要な力は、引張強度で1〜10 Nであるのが好ましい。
【0019】
本発明のスペーサ固定用具付きスペーサは、骨同士の間隙に挿入される、貫通孔を有するスペーサであって、前記のスペーサ固定用具を前記貫通孔に挿通してなることを特徴とする。
【0020】
前記スペーサが、椎弓、又は椎弓及び棘突起を切断して開いた間隙に挿入するためのものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のスペーサ固定用具は、複数の糸と前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、前記針状部材又はそれらの連結部で前記複数の糸を容易に分離できるように構成されているので、骨及びスペーサに設けた貫通孔に複数の糸を容易に挿通することができるとともに、挿通した後に複数の糸同士を容易に分離することができ、スペーサを固定し骨同士の間隙を確保する操作を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のスペーサ固定用具の一例を示す模式図である。
【図2】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部の例を模式的に示す(a)斜視図、及び(b)A-A断面図である。
【図3】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材の連結部の例を模式的に示す正面図である。
【図4】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部のさらに他の例を模式的に示す(a)斜視図、(b)B-B断面図、及び(c)さらに他の例を示す断面図である。
【図5】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部のさらに他の一例を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明のスペーサ固定用部材の、針状部材及びそれらの連結部のさらに他の一例を模式的に示す(a)斜視図及び(b)C-C断面図である。
【図7】本発明のスペーサ固定用具付きスペーサの一例を示す斜視図である。
【図8】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するための模式図である。
【図9】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するための他の模式図である。
【図10】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するためのさらに他の模式図である。
【図11】正中縦割式拡大椎弓形成術を説明するためのさらに他の模式図である。
【図12】スペーサを固定する方法を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1] 正中縦割式拡大椎弓形成術
本発明のスペーサ固定用具又はスペーサ固定用具付きスペーサは、例えば正中縦割式拡大椎弓形成術において使用する。正中縦割式拡大椎弓形成術を図8〜図11を用いて説明する。なお、図8〜図11において、上側が背側、下側が腹側である。
【0024】
図8に示すように、椎骨100は、椎体110と、椎体110の後方(図8中の上側)に延び、脊柱管(椎孔)140を形成する椎弓120と、椎弓120の中央部から後方に突出する棘突起130とを有する。
【0025】
まず、図9に示すように、棘突起130を、正中線200に沿ってエアドリル等を用いて切断し、椎弓120を2分割して切断部130a、130bを形成する。また、椎弓120の根元部の外側に、エアドリル等を用いて溝121a、121bを形成する。この溝121a、121bは、外板のみ削り内板を削らない程度の深さとする。この溝121a、121bを形成した部位は、ヒンジ部(蝶番)122a、122bとなる。
【0026】
次に、図10に示すように、ヒンジ部122a、122bを軸に、切断部130a、130bを回動させることにより、棘突起130の切断した部分を広げ、間隙150をあける。ここで、必要に応じて、切断部130a、130bの間隙150に面した内側面を整形する。
【0027】
次に、切断部130a、130bに貫通孔131a、131bをあける。その後、図11に示すように、平面視でほぼ台形状のスペーサSを間隙150に挿入する。これにより、患者の棘突起130と、スペーサSとで、拡大された椎弓160が形成される。
【0028】
この操作を行う途中又は終了後、棘突起130の貫通孔131a、131b及びスペーサSの貫通孔S1に、本発明のスペーサ固定用具1を挿通する。そして、後述するように、第1の糸10a及び第2の糸10bを、それぞれ逆方向に引っ張ることにより、スペーサ固定用具1の針状部材11を連結部12で分離し、2本に分離した第1の糸10a及び第2の糸10bを用いて、スペーサSを切断部130a、130bに固定する。
【0029】
スペーサSとしては、アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム系化合物等のバイオセラミックスで構成されるものが好適に用いられる。また、気孔率は、70%以下(特に、30〜50%)のものが好適である。
【0030】
[2]スペーサ固定用具
スペーサ固定用具1は、図1に示すように、それぞれ直径Dを有する複数の糸10と、これらの複数の糸10の少なくとも一端に設けられた、前記糸10より高い剛性を有する針状部材11とからなり、前記針状部材11は、前記複数の糸10を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されている。図1に示す例では、第1の糸10a及び第2の糸10bの両端部にそれぞれ針状部材11,11を設け、各端部においてそれぞれ第1の糸10a及び第2の糸10bに設けた針状部材11a及び針状部材11bをその側部で連結した構成を有している。
【0031】
(1)第一の態様
スペーサ固定用具の第一の態様は、前記複数の針状部材11の間に連結部を有し、前記連結部で分離できるように構成したものである。
【0032】
(A) 針状部材
針状部材11a、11bは、図2(a)及び図2(b)に示すように、その基部111に第1の糸10a及び第2の糸10bを接合した断面円形の棒状の部材であり、それらの軸方向側部に、前記針状部材11a及び針状部材11bを容易に分離できるように形成された連結部12を有しており、前記連結部12によって針状部材11a、11bは一体となり、複数の糸10a、10bを結束している。前記連結部12は、図3(a)に示すように、前記針状部材11a、11bの軸方向側部の全長に渡って設けても良いし、図3(b)に示すように、前記針状部材11a、11bの側部の軸方向に離間して数カ所設けても良い。また、前記針状部材11a、11bが分離しやすくするために、図3(c)に示すように、前記軸方向側部の全長に渡って設けた連結部12にミシン目12aを設けてもよい。
【0033】
針状部材11a、11bを、例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、それぞれ断面が半円の柱状物で構成し、それらを組み合わせることにより、針状部材11全体として円柱状になるように構成しても良い。この場合連結部12は、図4(b)に示すように、前記針状部材11a、11bが対向する面の中央部を連結するように設けても良いし、図4(c)に示すように、端部を連結するように設けても良い。また、前述のように、連結部12は、前記針状部材11a、11bの軸方向の全長に渡って設けても良いし、前記針状部材11a、11bの軸方向に離間して数カ所設けても良いし、さらに前記軸方向の全長に渡って設けた連結部12にミシン目12aを設けてもよい。
【0034】
前記連結部12において前記針状部材11a及び針状部材11bを分離する方法は、針状部材11a、11b及び前記連結部12の材質によって異なるが、例えば、軟質の樹脂を用いた場合、前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ逆方向に引っ張って、前記連結部12で引きちぎるようにして分離する方法が挙げられ、また硬質の脆い樹脂を用いた場合、前記針状部材11a、11bを前記連結部12で何度か折り曲げた後、前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ逆方向に引っ張って分離する方法が挙げられる。
【0035】
前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ逆方向に引っ張ったときに、前記針状部材11a、11bを前記連結部12で分離するのに必要な力(分離強度)は、引張強度で1〜10 N程度であるのが好ましく、1.2〜5 N であるのがより好ましく、1.5〜3.5 N程度であるのが最も好ましい。分離強度は、前記第1の糸10aと第2の糸10bとをそれぞれ強度測定機(島津製作所社製「EZ-Test」)にセットし、前記第1の糸10aと第2の糸10bとをそれぞれ反対方向に5 mm/分の速度で引っ張り、前記針状部材11a、11bが分離するまでの引張強度の最大値で評価する。
【0036】
前記針状部材11a、11bの連結部12の分離強度を前記範囲に設定すれば、前記糸10a、10bを必要時に前記連結部12で容易に分離することができ、なおかつ、縫合糸の移送などの際の衝撃や、術中の取り扱い程度では分離しないスペーサ固定用具が得られる。従って、スペーサSを切断部130a、130bに固定する操作を、より短時間で行うことができ、また使用前に前記糸10a、10bが前記針状部材11から分離してしまう不具合を防止できる。
【0037】
前記針状部材11は、前記糸10よりも高い剛性を有するように構成する。このとき、前記針状部材11を形成する材料は、必ずしも前記糸10を形成する材料よりも、材料自体の剛性が高い必要はなく、例えば、前記針状部材11の太さを調節することによって、前記糸10よりも高い剛性を有するような構成が可能である。
【0038】
前記針状部材11が連結された状態でのその長手方向における曲げ強度は、前記針状部材11を前記貫通孔131a、131b及びスペーサSの貫通孔S1に挿通することができる程度の強度を有していれば良く、下記試験法による強度が0.5 N以上であるのが好ましく、1〜5 N程度であるのがより好ましく、2〜3 N程度であるのが最も好ましい。前記針状部材11の曲げ強度を前記範囲に設定すれば、前記針状部材11は、十分に高い剛性を有するようになり、前記挿通操作をより確実かつ容易に行うことができる。
【0039】
曲げ強度の測定は、針状部材11を所定長さに切断し、その一部(約10 mm)が突出するように強度測定機(島津製作所社製、「EZ-Test」)にセットし、この突出部を基台にほぼ垂直に5 mm/分で押し付けることにより行い、折れ曲がるまでの最大強度で評価する。
【0040】
なお、同じ方法で測定した各前記糸10a、10bの長手方向における曲げ強度は、0.02〜0.1 N程度であるのが好ましく、0.025〜0.09 N程度であるのがより好ましい。このような曲げ強度を有する糸10a、10bは、比較的柔軟性が高いため、スペーサSを棘突起130の切断部(骨)130a、130bに固定する操作を行い易い。
【0041】
前記針状部材11は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、テフロン(登録商標)、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、環状ポリオレフィン。シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、SBR等のゴム質重合体、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。
【0042】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、芳香族炭化水素ポリマー(ポリ-p-フェニレン、ポリ-p-キシレン等)、芳香族複素環状ポリマー(ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン等)、熱硬化型耐熱性ポリマー(スチリルピリジン系樹脂、シナート系樹脂等)を挙げることができる。これらの熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂と同様に加熱することにより均一の溶融物を得ることができる。上記樹脂はいずれも汎用の公知物質であり、使用するに際しては市販品を購入して使用することができる。
【0043】
これらの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の中でも、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、テトロン、ポリエステルが好ましく用いられる。
【0044】
前記針状部材11は、前記の樹脂を射出成形、圧縮成形等の方法により成形することにより製造するのが好ましい。これらの成形方法としては公知の方法を適用できる。スペーサ固定用具が複数の糸10a、10b、・・・により構成される場合、前記針状部材11a、11b、・・・は、前記連結部12と一体に成形するのが好ましい。
【0045】
前記糸10と前記針状部材11との接合は、例えば図2(a)に示すように、前記針状部材11の基部111に軸方向に形成した取付け孔112に糸10の端部を挿入し、前記針状部材11の端部を加熱して融着するか、接着することによって行うことができる。他の方法として、前記針状部材11を前述の方法で成形する際に、前記糸10と一体に成形する方法が挙げられる。
【0046】
針状部材11の長さは、特に限定されないが、8〜35 mm程度であるのが好ましく、10〜30 mm程度であるのがより好ましい。針状部材11の長さを前記範囲とすることにより、針状部材11を確実に指等で把持することができる。また、前記範囲であれば、針状部材11の長さが長過ぎることがなく、貫通孔131a、131b及び貫通孔S1へのスペーサ固定用部材1の挿通操作を容易に行うことができる。
【0047】
針状部材11が連結された状態における最大太さは、特に限定されないが、0.8〜3 mm程度であるのが好ましく、0.8〜2 mm程度であるのがより好ましく、1〜1.5 mm程度であるのが最も好ましい。針状部材11の前記最大太さは、骨やスペーサに形成した貫通孔によって適宜設定するのが好ましい。なお、針状部材11が連結された状態における最大太さとは、針状部材11が連結された状態での断面形状を内部に含む最小の円の径を示す。
【0048】
針状部材11をスペーサ固定用具1の両端部に設けることにより、スペーサ固定用具1を貫通孔131a、131b及びS1に挿通する際に、いずれの端部側からでも、挿通する操作を行うことができる。
【0049】
針状部材11は、前述の正中縦割式拡大椎弓形成術において、前記棘突起130に形成された貫通孔131a、131b及び前記スペーサSに形成された貫通孔S1(図10及び図11を参照)にスペーサ固定用具1を挿通し易くするために、その先端部113をなめらかな形状(図2(a)では球面形状)に成形するのが好ましい。先端部113の形状は円錐形状等であってもよい。
【0050】
(B)糸
糸10は、特に限定されないが、主として高分子材料からなるのが好ましい。また、糸が生体適合性を有する材料からなるのが好ましく、いわゆる手術用の縫合糸を用いるのが好ましい。
【0051】
高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0052】
これらの中でも、ポリエステルが好ましい。ポリエステルを用いることにより、各糸10a、10bに比較的高い柔軟性を付与することができ、スペーサSを固定する操作がし易くなる。
【0053】
糸10は、モノフィラメント糸で構成してもよく、マルチフィラメント糸で構成してもよい。ここで、モノフィラメント糸とは、長く連続して形成された接続部を有さない一本の繊維のことを言い、マルチフィラメント糸とは、複数のモノフィラメントを撚り合わせて構成された一本の繊維のことを言う。
【0054】
モノフィラメント糸を用いた場合、各糸10a、10bの腰が強くなり、スペーサSをより強固に締め付けること(固定すること)ができるという利点がある。また、フィラメント同士による間隙を有さないので、感染のリスクが減少する。一方、マルチフィラメント糸を用いた場合は、各糸10a、10bの柔軟性が高まり、スペーサSをより容易かつ正確に締め付けることができるようになるという利点がある。
【0055】
また、例えば、第1の糸10aをモノフィラメント糸とし、第2の糸10bをマルチフィラメント糸とすることもできる。この場合、まず、スペーサSを第2のマルチフィラメント糸(糸10b)で仮固定した後、第1のモノフィラメント糸(糸10a)で強固に締め付けて縛る(本固定する)といった使い方ができる。このようにすれば、スペーサSを切断部130a、130bに、より確実かつ強固に固定することができる。
【0056】
第1の糸10aと第2の糸10bの長さは、特に限定されないが、30〜100 cm程度であるのが好ましく、50〜80 cm程度であるのがより好ましい。本実施形態(図1を参照)では、第1の糸10aと第2の糸10bとは、ほぼ等しい長さを有しているが、必要に応じて異なる長さに設定しても良い。
【0057】
第1の糸10aと第2の糸10bとは、ほぼ等しい径を有しているのが好ましい。各糸10a、10bの径Dは、特に限定されないが、0.05〜1 mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.8 mmであるのがより好ましい。なお、目的に応じて各糸10a、10bの径は異なっていてもよい。
【0058】
針状部材11の連結部12で第1の糸10a及び第2の糸10bを分離した後スペーサを固定する際に、異なる糸10a、10bの端部同士を結んでしまわないようにするために、第1の糸10aと第2の糸10bとは、互いに異なる色に着色されているのが好ましい。
【0059】
(C)スペーサ固定用具の使用方法
スペーサ固定用具1を用いて、スペーサSを棘突起130の切断部130a、130bに固定する方法について図12を用いて説明する。なお、図12は、正中縦割式拡大椎弓形成術を説明する図10と図11との間の段階を示すものである。
【0060】
(i) スペーサ固定用具1の一方の針状部材11を指等で把持し、スペーサSの貫通孔S1に挿通する(図示せず)。スペーサ固定用具1がスペーサSの貫通孔S1に挿通した状態で、スペーサ固定用具1の一方の針状部材11を切断部130aにあけた貫通孔131aに、他方の針状部材11を切断部130bにあけた貫通孔131bに挿通する(図12(a)参照)。このとき、針状部材11は、ある程度の長さを有するため、確実に把持することができるとともに、貫通孔131a、131b及びS1に挿通する操作を確実に行うことができる。
【0061】
(ii)スペーサ固定用具1の両端部を離間する方向に引っ張るとともに、スペーサSを間隙150に挿入する(図12(b)参照)。
【0062】
(iii)第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ反対方向に引っ張り、針状部材11の連結部12で第1の糸10a及び第2の糸10bを分離する(図12(c)参照)。このとき、針状部材11は前述のように低い引張強度で分離可能に連結されているので、第1の糸10a及び第2の糸10bは、容易かつすみやかに分離することができる。なお、(ii)と(iii)の順序は逆であっても良い。
【0063】
(iv)分離した第1の糸10aを用いてスペーサSを締め付けるようにして結び、同様に第2の糸10bを用いてスペーサSを締め付けるようにして結ぶ。この時別々の糸同士を間違って結ぶことのないように、第1の糸10a及び第2の糸10bは、あらかじめそれぞれ異なる色に着色しておくのが好ましい。これにより、スペーサSを切断部130a、130bに固定することができる。
【0064】
(v)第1の糸10a及び第2の糸10bの不要な部分を切断して、正中縦割式拡大椎弓形成術を完了する(図12(d)参照)。針状部材11が、生体親和性材料や生体吸収性材料からなる場合は、切断しなくても良い。
【0065】
本発明と異なり、例えば、複数の糸を手術用針に強固に固着した骨移植用縫合具を用いた場合、各糸を容易に分離することができないため、手術用針の根元で前記複数の糸を切断して手術用針を除去し複数の糸を分離する必要がある。このような操作は煩雑であるとともに、手術針は細く小さいため、切断した手術用針を見失った場合、この部分を見つけ出すことが難しく、患者の体内に取り残す危険性もある。
【0066】
これに対して、本発明のスペーサ固定用具1を用いた場合、糸を切断しなくても容易に2本の糸を分離することができるため、操作が容易であり、かつ手術の安全性が高まる。
【0067】
なお、本実施形態では、針状部材11が糸10の両端部に設けられていたが、貫通孔131a、131b及びS1に、糸10を挿通する操作のし易さの点だけを考慮した場合、針状部材11は、糸10のいずれか一方の端部にのみ設けるようにしてもよい。
【0068】
(2)第二の態様
スペーサ固定用具の第二の態様は、前記複数の針状部材11の間に連結部を設けないで、針状部材11をその接合部で分離できるように構成したものである。
【0069】
針状部材11a、11bは、図5に示すように、その基部111に第1の糸10a及び第2の糸10bを接合した断面半円形の棒状の部材であり、それらの平らな面同士を合わせてその一部を必要時に容易に分離できるように接合して接合部13を形成し、全体として断面円形の棒状として、複数の糸10a、10bを結束している。前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ反対方向に引っ張ったときに、前記接合部13がはがれて前記針状部材11a及び針状部材11bに分離する。図5では、針状部材11a、11bがそれぞれ断面半円形の棒状の部材であるが、これらの形状は、それぞれの接合面として少なくとも1つの平面を有して入れば断面半円形でなくても良い。
【0070】
前記接合部13で針状部材11が容易に分離されるようにするためには、前記接合部13の接合強度及び接合部13の接合面積を調節し、分離する際に必要な力(分離強度)が、引張強度で1〜10 N程度となるようにするのが好ましく、1.2〜5 N程度となるようにするのがより好ましく、1.5〜3.5 N程度となるようにするのが最も好ましい。分離強度は、スペーサ固定用具1の第一の態様において説明した、分離強度の測定方法と同様にして測定することができる。
【0071】
前記針状部材11a及び針状部材11bの接合方法は特に限定されないが、圧着、超音波融着、熱癒着、接着等の方法で接合するのが好ましい。ただし、接着によって接合する場合は、生体に対して悪影響を及ぼさないような接着剤を使用する必要がある。特に製造の簡便さ、接合強度の調節の必要性から、圧着又は超音波融着が好ましい。接合部13は、前記針状部材11a及び針状部材11bの一部に設けるのが好ましい。
【0072】
第二の態様におけるスペーサ固定用具3は、前述のように複数の針状部材11の間に連結部を設けないで、前記針状部材11a及び針状部材11bを容易に分離できるような強度で接合する点以外は第一の態様におけるスペーサ固定用具1と同様である。従って、その他の要件については、前記第一の態様におけるスペーサ固定用具1の説明に記載された内容と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0073】
(3)第三の態様
スペーサ固定用具の第三の態様は、前記針状部材11の途中に設けた切り込みから針状部材11を分離できるように構成したものである。
【0074】
針状部材11a、11bは、図6(a)及び図6(b)に示すように、その基部111に第1の糸10a及び第2の糸10bを接合した断面半円形の棒状の部材であり、それらの平らな面同士を合わせてその一部を接合し、全体として断面円形の棒状として、複数の糸10a、10bを結束している。前記針状部材11a及び針状部材11bの少なくとも片方には、前記針状部材11a、11bを必要時に容易に分離できるように切り込み14が設けられている。前記切り込み14は、前記針状部材11の基部111から一定の距離をおいた、前記接合部13以外の部分に設けられており、前記第1の糸10a及び第2の糸10bをそれぞれ反対方向に引っ張ったときに、前記切り込み14をきっかけにして前記針状部材11が折れることにより分離される。図6(a)では針状部材11a、11bのうち、針状部材11aにのみ前記切り込み14が設けられているが、針状部材11a、11bの両方に前記切り込み14を設けても良い。さらに、1つの針状部材11に設ける前記切り込み14は、1カ所であっても良いし、2カ所以上であってもよい。
【0075】
前記切り込み14の部分で針状部材11が容易に分離されるようにするためには、前記切り込み14の深さ及び形状を調節し、分離する際に必要な力(分離強度)が、引張強度で1〜10 N程度となるようにするのが好ましく、1.2〜5 N程度となるようにするのがより好ましく、1.5〜3.5 N程度となるようにするのが最も好ましい。切断強度は、スペーサ固定用具の第一の態様において説明した、分離強度の測定方法と同様にして測定することができる。
【0076】
前記針状部材11a及び針状部材11bの接合方法は特に限定されないが、圧着、超音波融着、熱癒着、接着等の方法で接合するのが好ましい。ただし、接着によって接合する場合は、生体に対して悪影響を及ぼさないような接着剤を使用する必要がある。特に製造の簡便さから、圧着又は超音波融着が好ましい。接合部13の接合強度は、前記分離強度よりも十分に高い必要がある。
【0077】
第三の態様におけるスペーサ固定用具3は、前述のように(a) 針状部材11の少なくとも一方に切り込み14が設けられている点、及び(b)前記針状部材11a及び針状部材11bを容易に分離しないような強度で接合する点以外は第一の態様におけるスペーサ固定用具1と同様である。従って、(a)及び(b)以外の要件については、前記第一の態様におけるスペーサ固定用具1の説明に記載された内容と同様なので、ここでは説明を省略する。なお前記針状部材11aと針状部材11bは、接合するのではなく、一体的に成形されたものであっても良い。
【0078】
[3]スペーサ固定用具付きスペーサ
図7に示すように、スペーサ固定用具付きスペーサ1Sは、貫通孔を有するスペーサSに、前記第一〜第三の態様で説明したようなスペーサ固定用具1を前記貫通孔に挿通してなるものである。
【0079】
スペーサ固定用具1は、例えば、スペーサSの貫通孔S1に挿通された状態で術者に提供される。スペーサ固定用具1は、生体適合性を有する材料等を用いて、スペーサSに固定されていても良い。
【0080】
スペーサ固定用具付きスペーサを用いることで、術場で、スペーサSの貫通孔S1にスペーサ固定用具1を挿通する操作を省略することができるので、手術時間の短縮を図ることができ、術者及び患者の負担を軽減できる。
【0081】
以上、本発明のスペーサ固定用具及びスペーサ固定用具付きスペーサを図示の実施態様に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施態様に限定されるものではなく、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、又は任意の構成のものを付加することができる。
【0082】
例えば、図示した各スペーサ固定用具は、2本の糸で構成されたものであるが、本発明のスペーサ固定用具は3本以上の糸で構成されていてもよい。この場合、例えば、2本の糸でスペーサを骨に固定し、残りの糸は、椎弓から棘突起を切離した場合に、この切離した棘突起を元の位置に固定するために使用したり、棘突起から靭帯を切離した場合に、この切離した靭帯を棘突起に固定するために使用したりすることができる。
【0083】
また、各実施態様で示したスペーサは、椎弓及び棘突起を切断することにより形成された骨同士の間隙に使用するスペーサ、すなわち、棘突起スペーサであったが、椎弓を切断することにより形成された骨同士の間隙に使用するスペーサ、すなわち、椎弓スペーサであってもよい。さらには、前記スペーサは、椎体間に用いられる椎間スペーサであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1、2・・・スペーサ固定用具
10・・・糸
10a・・・第1の糸
10b・・・第2の糸
11、11a、11b・・・針状部材
111・・・基部
112・・・取付け孔
113・・・先端部
12・・・連結部
12a・・・ミシン目
13・・・接合部
14・・・切り込み
1S・・・スペーサ固定用具付きスペーサ
S・・・スペーサ
S1・・・貫通孔
100・・・椎骨
110・・・椎体
120・・・椎弓
121a、121b・・・溝
122a、122b・・・ヒンジ部
130・・・棘突起
130a、130b・・・切断部
131a、131b・・・貫通孔
140・・・脊柱管
150・・・間隙
160・・・拡大された椎弓
200・・・正中線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨同士の間隙にスペーサを挿入した状態で、前記スペーサを前記骨に固定するのに用いられるスペーサ固定用具であって、
複数の糸と、
前記各複数の糸の少なくとも一方の端部に設けられた、前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、
前記針状部材は、前記複数の糸を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されていることを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項2】
請求項1に記載のスペーサ固定用具において、前記針状部材は、長手方向側部に設けられた連結部を介して連結されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記連結部で分離することを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項3】
請求項1に記載のスペーサ固定用具において、前記針状部材は、長手方向側部で分離可能に接合されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記接合部で分離することを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項4】
請求項1に記載のスペーサ固定用具において、前記針状部材の一部に切り込みが設けられており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記針状部材の切り込みの部分で分離することを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のスペーサ固定用具において、前記複数の糸を分離する際に必要な力が、引張強度で1〜10 Nであることを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項6】
骨同士の間隙に挿入される、貫通孔を有するスペーサであって、
前記請求項1〜5のいずれかに記載のスペーサ固定用具を前記貫通孔に挿通してなることを特徴とするスペーサ固定用具付きスペーサ。
【請求項7】
請求項6に記載のスペーサ固定用具付きスペーサにおいて、前記スペーサが、椎弓、又は椎弓及び棘突起を切断して開いた間隙に挿入するためのものであることを特徴とするスペーサ固定用具付きスペーサ。
【請求項1】
骨同士の間隙にスペーサを挿入した状態で、前記スペーサを前記骨に固定するのに用いられるスペーサ固定用具であって、
複数の糸と、
前記各複数の糸の少なくとも一方の端部に設けられた、前記糸より高い剛性を有する針状部材とからなり、
前記針状部材は、前記複数の糸を少なくとも一方の端部で結束し、かつ必要時に分離できるように、長手方向側部において連結されていることを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項2】
請求項1に記載のスペーサ固定用具において、前記針状部材は、長手方向側部に設けられた連結部を介して連結されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記連結部で分離することを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項3】
請求項1に記載のスペーサ固定用具において、前記針状部材は、長手方向側部で分離可能に接合されており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記接合部で分離することを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項4】
請求項1に記載のスペーサ固定用具において、前記針状部材の一部に切り込みが設けられており、前記複数の糸同士を引っ張ることにより、前記針状部材の切り込みの部分で分離することを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のスペーサ固定用具において、前記複数の糸を分離する際に必要な力が、引張強度で1〜10 Nであることを特徴とするスペーサ固定用具。
【請求項6】
骨同士の間隙に挿入される、貫通孔を有するスペーサであって、
前記請求項1〜5のいずれかに記載のスペーサ固定用具を前記貫通孔に挿通してなることを特徴とするスペーサ固定用具付きスペーサ。
【請求項7】
請求項6に記載のスペーサ固定用具付きスペーサにおいて、前記スペーサが、椎弓、又は椎弓及び棘突起を切断して開いた間隙に挿入するためのものであることを特徴とするスペーサ固定用具付きスペーサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−66519(P2013−66519A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205383(P2011−205383)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
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