説明

スペーサ

【課題】
脊柱プロテーゼとして使用可能な、拡張可能なインプラントの提供。
【解決手段】
拡張可能な骨内スペーサであって、表面、近い端部、遠い端部、及び長さを有する、軸に沿ったチューブと、前記チューブが載置されたハンドルを備え、前記表面は、複数のスリットを規定している。前記複数のスリットは、軸方向
にずらされた少なくとも2つの拡張部を規定し、前記チューブが軸方向に圧縮された場合に、前記拡張部は前記表面から外へ拡張し、拡張されたスペーサの外形を規定するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願]
この出願は、PCT出願PCT/IB98/00523の一部継続出願に基づく特願2000-595624の分割出願である。PCT出願PCT/IB98/00523は、米国を指定しており、その開示内容は、参照によりここに組み込まれる。この出願は、本願と同日に、椎間板・オー・テック・メディカル・テクノロジーズ社を出願人として、アトーニー・ドケット110/01357及び110/01362によりイスラエル受理官庁に提出され、米国を指定する2つのPCT出願にも関連している。上記2つのPCT出願の開示内容は、参照によりここに組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、特に脊柱プロテーゼとして使用するための拡張可能なインプラントに関する。
【0003】
[発明の背景]
医療一般の難問の一つに脊髄における椎間板の断裂がある。椎間板を出た物質は、脊髄を圧迫し、激しい苦痛を引き起こす。破裂した椎間板は、一般に外科的処置で処理される。この処置では、損傷を受けた椎間板の一部又は全部が取り去られ、そして脊柱が融合、つまり、取り去られた椎間板に隣り合う少なくとも2つの椎骨が融合する。脊柱融合に関しては、多くのアプローチがある。あるアプ
ローチでは、プレート及び/又はねじを用いて椎骨がつなげられる。他のアプローチでは、2つの椎骨の間にスペーサ(「ケージ装置」ともいう)が挿入され、その空間内へと成長した骨が隣り合う椎骨を融合させる。一般に、スペーサの軸は、脊柱の軸及び体の面に対して垂直である。ときとして、スペーサ内への骨の成長を促進するために、スペーサは複数の孔を有する。参照によりその開示内容
がここに組み込まれるPCT公開WO98/38918は、すぼめた状態で挿入され、椎骨間の空間を満たすために拡張されるスペーサを記載している。参照によりその開示内容がここに組み込まれるピサロディの米国特許第5,123,926号(その他)により例示されている他の型のスペーサは、スペーサの一部、通常はその中心部分、が比較的小さな量だけ拡張し、近接している椎骨をつなげ、常固定用ねじとして機能する。
【0004】
参照によりその開示内容がここに組み込まれる米国特許第5,800,549号は、シリンジを用いて挿入される柔軟な椎間板の置換具を記載している。しかし、この置換具は隣り合う椎骨を融合させない。むしろ、取り去られた椎骨間の椎間板の形状及び機能に取って代わることを目的としている。
【0005】
公知であるいくつかの融合用装置における欠点の一つは、その装置を挿入するのに比較的大きな入り口が人体に必要とされる点である。いくつかにおいて、標準的大きさの外科的な切開が必要となる。他においては、侵襲が極小である腹腔鏡サイズの孔が必要となるが、その孔は、一般に、融合用装置のサイズより大きい。
【0006】
いくつかの公知の融合用装置における他の欠点は、その装置のデリバリー(delivery)のための手順が比較的複雑であるということである。
【0007】
いくつかの公知の融合用装置における他の欠点は、処置の侵襲性(例えば、椎骨の処置は切開又は開腹を必要とする)と、融合装置及び骨の間の接触領域とにトレードオフが要求されるということである。一般に、接触面が小さいと、融合装置が骨に埋まり、脊柱がゆっくりと縮む。
【0008】
[発明の要約]
本発明のいくつかの好ましい実施形態の目的は、細い直径の針を用いて挿入できる椎骨間スペーサを提供することである。
【0009】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面において、第1の直径を有するスペーサが挿入され、そして、より大きな第2の直径に拡張される。好ましくは、第2の直径は、第1の直径の3倍、4倍、5倍、又はそれ以上に大きい。従って、12mmの椎骨間空間用のスペーサは、(内)径が4mmの針を用いて挿入することができる。しかし、本発明のいくつかの実施形態では、例えば、20%及び200%又は300%の間のように、直径の増大はより小さい。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、外科的処置による過大な侵襲を行うことなく、高い椎骨間充填を達成するために、スペーサの半径方向における拡張が利用される。好ましくは、スペーサと椎骨とが大きな面で接触する。
【0011】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面は、拡張するスペーサに役立つ幾何学的構造の一群に関する。本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、はじめに直径が細い構造からなる。スペーサが拡張されると、直径が増大する。本発明の好ましい実施形態では、スペーサの直径は、スペーサの長さを代償にして増大する。つまり、スペーサの長さは短くなる。本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、拡張することにより、長く、実質的にまっすぐな物体から、波状の輪郭を有するより短い物体へと変わる。変化したスペーサの実効径は、波の径である。波の径は、初期の直径より相当に大きい。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、表面に軸方向のスリットが複数形成された中空のチューブから形成される。好ましくは、スリットは、平行なスリットの組として配列される。各組は、スパイクを規定する。そのスパイクは、好ましくは、スリット間の部材がスリットに対して垂直に折り曲げられたときに形成される。チューブが圧縮された場合に、スパイクが、好ましくは逆「V字」の形で、外へ折れ曲がる。本発明のすべての実施形態ではないが、典型的には、スパイクは、短い基部と、1以上(通常は少なくとも2つ)の足又は側部とを含み、そして、足の端部と連結された頂部を含んでもよい。例えば逆「V字」のようないくつかの実施形態において、スパイクは、頂部に代えて、又は頂部に加えて、ピーク頂部を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、チューブが全ての方向に「拡張」するように、チューブの外周回りに複数のスパイクが形成されている。好ましくは、全てのスパイクが同じ長さを有する。あるいは、スパイクの長さは、外周上のスパイクの角度位置に依存することであってもよい。一例において、外周は、チューブの単位軸方向長さ毎に8つのスパイクを有し、拡張されたチューブの断面は正方形
であり、4つの等しい長さのスパイクが正方形の各辺の中央にあり、4つのより長いスパイクが正方形の角部にある。本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、複数の連続したチューブのセグメントからなり、各セグメントが1以上のスパイクを含む。一例では、一方が(正方形の辺にくる)短いスパイクを有し、他方が(正方形の角にくる)より長いスパイクを有する2種類のセグメントを交互に配置することにより正方形断面を達成する。あるいは、スパイクの長さは、回転対称ではない。上記に代えて又は上記に加えて、断面は回転対称ではない。上記に代えて又は上記に加えて、スパイクの長さ及び/又は外形は、スペーサに沿ったスパイクの軸方向位置、そして恐らくは角度位置の関数として変化する。本発明の好ましい実施形態において、スパイクの配置及び/又は長さは、椎骨
間の空間の予想される形状に従う。
【0014】
本発明のいくつかの好ましい実施形態による完成したスペーサは、例えば2つの椎骨の間隔を離すための所望の外形を提供すべく、体内に入れられる複数のスパイクを含む。拡張しないチューブの本体部分はスパイクを相互連結し、例えば、スパイクが失われることを防止し、及び/又は、最終的な外形が達成されるようにスパイクの最終的な配置を補助又は案内する。従って、スパイク以外の幾何的構造もまた、同様の効果を得るために提供される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、各スパイクは、等しい長さの2つの平行なスリットにより規定される。あるいは、2つのスリットの長さは等しくない。上記に代えて又は上記に加えて、スリットは平行でない。例えば、スリットが、千鳥状になっている。上記に代えて又は上記に加えて、スパイクの少なくとも一部は、2以上のスリット、例えば3つ又は4つのスリットにより規定されてもよい。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、スリットは、チューブの軸に平行である。あるいは、スリット又はスリットの対の少なくとも一部は、チューブに平行でない。本発明の一つの実施形態において、スリットは、チューブ上に螺旋を形成する。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、張り出したスパイクは、チューブの軸に対して実質的に垂直である。スパイクの少なくとも一部は、その軸に対して傾斜している。一例において、外側のスパイクは、外に曲げられ、例えば、周囲の骨組織をしっかり保持する。他の例では、スパイクの少なくとも一部は、内側に曲げられ、例えば、圧縮力を作用させ、例えば、スペーサが挿入されている骨折した骨を一緒にして保持する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、スパイクは実質的にまっすぐである。あるいは、少なくとも一部のスパイクが、スパイク及びチューブの軸を有する平面内で、及び/又はその平面から外へ、曲げられる。曲げる代わりに、少なくとも一つのスパイクは、複数のまっすぐな部分を有し、その部分の各々がスパイクの他の部分に対して傾斜していてもよい。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、スパイクは、チューブの表面に対して垂直である。あるいは、少なくとも一つのスパイクが表面に対して垂直ではない。一例では、スパイクは、チューブの表面に平行又はほぼ平行な角度でチューブの表面から突き出ている。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、拡張されたスペーサは、だいたい円筒形状であり、円筒形状の軸は、チューブの軸と一致する。いくつかの実施形態において、拡張したスペーサの断面は、円以外(例えば矩形)であるが、このようなスペーサはチューブの軸に一致する主軸を有することが好ましい。しかし、本発明の他の好ましい実施形態では、拡張されたスペーサの主軸は、チューブの軸と一致しない。一例では、スペーサの断面を見たときにスペーサの一方の側の全てのスパイクが、反対側のスパイクよりも長い場合に、軸が平行であってもよい。他の例では、軸は非平行であってもよく、あるいは、同一面内にないことでさえあってもよい。非平行な軸が役に立つ一つの状況として、スペーサが、椎骨の間に斜めの角度で(例えば斜め後ろ方向から)挿入される場合がある。このような挿入においては、それでも拡張されたスペーサが椎骨の終板と平行であることが望ましい。本発明の好ましい実施形態において、スペーサが斜めの角度で挿入され、拡張された場合に、拡張されたスペーサの輪郭の軸が、体の軸の一つと実質的に整列するように、スペーサ上のスパイクの長さが整えられる。場合によっては、椎骨間の空間がより充填されるように、2つのスペーサが異なる斜めの角度で挿入される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、チューブの断面は円形である。あるいは、断面は多角形、例えば正方形又は三角形であり、チューブの周回りにあるスパイクの数と同数の面があることが好ましい。
【0022】
中空チューブの表面に形成されたスパイクに代えて、チューブ自体(中空である必要はない)、又はリボン状のものを波状の側面形状を形成するために曲げてもよい。
【0023】
本発明のいくつかの好ましい実施形態における一側面は、不均一な厚み及び/又は機械的特性を有する材料からチューブを形成することに関する。いくつかの実施形態において、スペーサの機械的特性は、スペーサ(又はスペーサが切り出されるチューブ)が組み立てられてから変えられる。他の実施形態では、このような機械的特性はスペーサが形成される前に少なくとも部分的に変えられる。本発明の好ましい実施形態では、拡張されたスペーサのスパイクに圧力がかけられると応力が集中する点又は領域において、厚み及び/又は強度が増大させられる。上記に代えて又は上記に加えて、拡張されたスペーサのスパイクに圧力がかけられると、応力が集中する点において、厚み及び/又は強度が増大させられる。上記に代えて又は上記に加えて、チューブが拡張した後にスパイクがつぶれることを機械的に妨げるために、1以上のスパイクにおいて、厚みが増大される、及び/又は突出部が設けられる。一つの例として、交互に配置されたスパイクのセグメントをスペーサが有する場合、一つのセグメントは、隣接するセグメントのスパイクを強化する1以上の突出部を有することができる。上記に代えて又は上記に加えて、チューブが拡張したときに折れ曲がる(及び/又は広がる)と予想されるチューブの部分には、より弱い力又は/及び予備的な応力が加えられる。上記に代えて又は上記に加えて、厚み及び/又は強度及び/又は弾性における変化は、周囲の組織によりよく一致するスペーサ部分を形成する。本発明のいくつかの実施形態において、スペーサは、周囲の組織の外形にぴったりと合う。他の実施形態では、スペーサの機械的特性が周囲の組織に合わせられる。例えば、固い骨と相対するスペーサでは弾力性が高められる。
【0024】
本発明のいくつかの好ましい実施形態における一側面は、張り出すスパイクを有し、そのスパイクの少なくとも一部は「非V字」形状の輪郭を有する椎骨間スペーサに関する。本発明の好ましい実施形態において、スパイクは平坦な頂部を有する。椎骨の中にスパイクが埋まらないように、事によるとその頂部の上には小さな突出物が形成される。上記に代えて又は上記に加えて、スパイクは凹形状の側面を有するので、圧力がかかってもつぶれない。
【0025】
本発明のいくつかの好ましい実施形態における一側面は、スペーサの拡張に関する。本発明の好ましい実施形態において、拡張は、スペーサの一端から多端へと進行する。ここで、一つのセグメントにおけるスパイクは、隣接するスパイクが張り出す前に、完全に張り出す。あるいは、全てのスパイクが同時に張り出す。あるいは、拡張の順番は制御されない。あるいは、はじめに第1のグループのスパイクが部分的に張り出し、次に、他のスパイクが少なくとも一部張り出した後に、第1のグループのスパイクがより多く張り出す。本発明の好ましい実施形態において、スペーサの拡張は、造形要素をスペーサに挿入し、及び/又は、スパイクの拡張を制限又は妨げる外側束縛部を用いて制御される。事によると、スペーサは、造形要素と係合するために、内側にねじ山を有する。上記に代えて又は上記に加えて、拡張は、スペーサの異なる部分に異なる機械的強度を与え、拡張時に弱い部分を最初に拡張させることで制御される。
【0026】
本発明のいくつかの好ましい実施形態における一側面は、スパイクの拡張する寸法を制限することに関する。一般に、スパイクは、折り曲げられた材料の細片からなる2つの側部から形成される。2つの側部は、チューブ(又はその軸)の一部によって規定される基部とともに、三角形(又は口述する他の形状)を形成する。スパイクの2つの構成要素である側部の長さは、一般に、スリットにより一定量に制限されているので、スパイクが最終的に拡張する長さ(つまり、三角形の高さ)は、基部の長さに反比例する。本発明のいくつかの実施形態において、基部の長さが(スパイク自体の厚みを除いて)実質的にゼロとなるようにスペーサが軸方向に圧縮される。あるいは、本発明の好ましい実施形態では、基部が相当長くなるように、チューブの軸方向の収縮が制限される。好ましくは、スパイクの2つの側部の一方又は双方にある突出部が、側部間の最小距離、つまり、基部の最小寸法、及びスパイクの最大長さを定める。あるいは、チューブの本体自体がその収縮を機械的に制限することであってもよい。一例において、チューブが拡張された(及び軸方向に圧縮された)場合に、スパイクとして外へ向けて張り出さずに、自身の上に折り重なる又はチューブの中に突出するような材料部
分を2つのスリットが形成することができる。軸方向の収縮は、折り重ねられた材料の厚み、又は、チューブの内側に当たる材料により制限される。
【0027】
2つの足部により形成されるスパイクに代わり、スパイクは、同一平面内にない3つ以上の足部により形成されてもよい。一つの例では、3つの足部及び基部が、4面体形状のスパイクを形成する。あるいは、2つの足部及び(基部ではなく)頂部を用いて矩形又は逆三角形の輪郭を形成することもできる。
【0028】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面は、スペーサの特性を制御するために、チューブの一部を切り取ることに関する。本発明の好ましい実施形態において、除去された部分は、スペーサの拡張された外形を形成するのに使用される。一つの例では、スパイクを規定するチューブ部分のほとんどがスペーサから除去される。スペーサが拡張(及び軸方向に圧縮)された場合、除去された部分の2つの端は、接触し、そして、さらに軸方向に収縮することが不可能となる、又は、より大きな抵抗を受けるようになるまで進む。他の例では、チューブの除去された部分は、スペーサの一方の側を弱化させ、拡張時にスペーサがその方向に曲がる原因となる。
【0029】
上記に代えて又は上記に加えて、スペーサ(チューブ及び/又はスパイク部分)の除去された部分は、スペーサの中への骨の成長を促進できる。
【0030】
スペーサの除去部分に代えて又はそれに加えて、スペーサの拡張した外形に、例えばチューブ部分の外形に、事によるとスパイクの外形から独立して、影響を及ぼすために1以上のスリットを形成してもよい。
【0031】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面は、筋違を有するスペーサに関する。このスペーサにおいて、各筋違は、スペーサが展開されたときに2以上のスパイクを相互に連結することが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、筋違は、チューブの表面から形成される。このチューブの表面は、スパイクをも形成する。あるいは、筋違は、スパイクが形成される層の上又は下に配置された、材料の第2の層から形成される。いくつかの好ましい実施形態において、第2の層は、拡張されたスペーサにおいて、筋違がスパイクに連結される場所においてのみ第1の層に付けられる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、筋違はスパイクの頂部を相互に連結する。上記に代えて又は上記に加えて、筋違は、スパイクの側部を、例えばその中央部において、連結してもよい。上記に代えて又は上記に加えて、筋違は、側部と頂部を連結してもよい。上記に代えて又は上記に加えて、スパイクは、スパイク部分をチューブ自体と連結してもよい。好ましくは、必須のことではないが、相互に連結されたスパイクと筋違は、三角形又は四面体の形を形成する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、一つの筋違は2つのスパイクを相互に連結する。いくつかの実施形態では、一つのスパイクが2つ以上の筋違に連結されてもよい。例えば、外周に4つのスパイクを有するスペーサでは、スペーサの断面を包囲するリングを形成するように4つの筋違を備えてもよい。径方向に相互に連結しているスパイクに代えて又はそれに加えて、筋違は、スパイクを軸方向に相互連結してもよく、例えば、スペーサの軸に平行な筋違のラインを形成してもよい。実質的に、スパイクを相互に連結するいかなるパターンも提供でき、例えば、拡張されたスペーサにおいて(例えばスペーサの軸回りに)螺旋パターンを形成するように、スパイクを相互に連結する螺旋状の筋違のパスも提供できる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、筋違は、スペーサの断面の外形に対して平行であり、例えば、スペーサが矩形断面を有する場合には、矩形を規定する。しかしながら、他の実施形態では、そのような平行性は要求されない。例えば、筋違は、スペーサの断面に対して45°回転した矩形を規定できる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、筋違は、放射状の対称に配列される。上記に代えて又は上記に加えて、筋違は軸対称に配列される。あるいは、筋違は非対称に配列される。好ましくは、筋違の非対称なパターンは、スパイクの非対称のパターンに合わせられる、及び/又は、そろえられる。あるいは、パターンは、合わせられず、及び/又は、そろえられない。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、筋違は、スパイク間、及び/又はスペーサ部分との間の相対運動を構造的に制限する。好ましくは、これは、スパイクによって連結された2つの部分が互いの方へ(及び/又は離れる方へ)動くことを妨げることにより行われる。上記に代えて又は上記に加えて、筋違は、他の構造的支援、例えば、2点の相対的な外向きの運動を制限すること、スペーサの一部の拡張を制限すること、圧力によるスペーサの所定の変形を制限すること、及び/又はスパイクの拡張を制限すること、に対する支援を提供できる。
【0037】
筋違を使用することに代えて又はそれに加えて、これら筋違の機能の1以上をワイヤで提供してもよい。ここで用いる場合、(共に相互連結要素の例である)ワイヤ及び筋違の違いは、主にそれらの剛性及び厚みにある。さらに、筋違は、スペーサが拡張されたときと、すぼめられた(又は予め定められた場所で折り曲げられた)ときとで、通常、同じ剛性の形態を維持する。一方、ワイヤは、その形態を変えることができ、例えば、スペーサがすぼめられたときには折れ曲がり、スペーサが拡張されたときには伸びる。直接的な構造的機能に代えて又はそれに加えて、筋違及び/又はワイヤは、例えば、骨との融合を促進する、又は周囲の骨にスパイクが埋め込まれる又は沈むのを制限するような所望の接触面を得るのに使用できる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、相互連結要素は、一定の断面を有する。あるいは、断面及び/又は機械的特性は、相互連結要素の長さ、幅、及び/又は厚みに沿って変化してもよい。事によると、異なる相互連結要素(例えば異なる筋違)は、異なる外形及び/又は材料特性を有することであってもよい。
【0039】
本発明の好ましい実施形態の一側面は、軸方向に縮小するスペーサのための固定機構に関する。本発明の好ましい実施形態において、固定機構は、スペーサの内部ボルトをスペーサの外側部分に対して固定する。好ましくは、スペーサを収縮させるために使用する部材を引くことにより固定が行われる。あるいは、その部材を前に進める及び/又は回転させることにより固定が行われる。本発明の好ましい実施形態において、固定機構及び/又は部材解除機構は、軸方向の収縮を完了したスペーサによって用意される。
【0040】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面は、特に椎間板除去用の、組織穴掘り用の工具に関する。本発明の好ましい実施形態において、その工具は、細長い部材からなる。細長い部材は、その端部に拡張可能な部分を有し、その拡張可能な部分は、複数のスパイクを備えている。その工具は、直径が小さい状態で脊椎に挿入し、それからスパイクを広げることができる。組織の穴掘りは、スパイクが組織を壊すように、その工具を回転させて行うことが好ましい。すると、それらのスパイクが、椎間板組織を分解する。好ましくは、工具は中空で、壊された組織は、椎骨間空間から吸い出される。上記に代えて又は上記に加えて、その工具の入り口地点からの直線上にない場所に届くように、その工具を曲げてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、工具の中空部の中にスタイレットが挿入され、椎骨間空間の中の種々の場所に案内される。工具は金属から形成されることが好ましいが、他の材料、例えば合成樹脂、から形成されてもよい。工具の回転速度は、例えば、100RPMと遅くてもよく、例えば、3000RPMと早くてもよい。いくつかの実施形態において、スパイクは鋭いエッジを有する。一方、他の実施形態では、このような鋭いエッジは必要ない、及び/又は、備えられない。
【0041】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面は、拡張可能なチューブ−スパイク構造を他の用途、例えば骨の固定、歯のインプラント、長い、短い及び曲がった等の骨を含む骨折した骨の支持、股関節又は指の関節のような関節用の(好ましくは骨髄チャンネルの内側における)骨固定具、及び/又は徐々に変化する骨構造、等の使用に関する。本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、針を用いて直すべき骨の中に挿入され、及び/又は支持される。一例において、スペーサは拡張されていない形態で挿入される。一旦骨の切片が、例えばX線画像技術を用いてそろえられると、骨の切片を把持するためにスペーサが拡張され、そして、事によるとそれらをくっつける。本発明の好ましい実施形態では、骨が接合すると、スペーサをすぼませ、細いカニューレを用いて除去することができる。
【0042】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面は、外部から供給される電力及び/又は制御を用いて埋め込まれたスペーサの形態を制御することに関する。本発明の好ましい実施形態では、スペーサの拡張状態は、このように外部から供給された電力及び/又は制御信号に応じて増大及び/又は減少する。好ましくは、このような増大及び/又は減少は、スペーサが埋め込まれた骨、例えば肋骨又は足の骨、を徐々に曲げる、まっすぐにする、長くする、短くする、ねじる、及び/又は他の方法で骨を整形することに用いる。一例として、軸方向長さに応じて曲がるスペーサを用いて、骨を曲げる及び/又はまっすぐにする。好ましくは、骨の整形用のスペーサが外部からの命令に応じて、及び/又はつめ車機構を用いて、予め定められた量を毎日自動的に伸びる/曲がる。
【0043】
本発明のいくつかの好ましい実施形態の一側面は、内部の生理的なパラメータを知らせるために埋め込まれたスペーサを使用することに関する。一例として、治療をしている医師が回復過程を監視できるように、スペーサが骨の内部成長を知らせる。他の例として、治療している医師が骨及び/又はスペーサの構造上の問題を判断できるように、スペーサは加わったトルク及び圧力を知らせる。本発明の好ましい実施形態では、スペーサにセンサ、例えばシリコン圧力又はひずみセンサが備えられる。あるいは、例えば、骨の内部成長に応じて変化するスペーサの振動モードにより、及び/又は、装置の形態の変化、特に圧力に敏感な特定部分における形態変化を(医療的画像技術を用いて)追跡することにより、スペーサのボディ自体が検出結果の少なくとも一部を提供する。圧力に敏感な部分とは、例えば、成長する骨による外部からの圧力により圧縮される中空の金属バブルである。バブルの形状は、例えばX線画像又はスペーサの共振特性の解析から測定することができる。
【0044】
このように、本発明の好ましい実施形態によれば、表面、近い端部、遠い端部、及び長さを有する軸方向チューブを備え、前記表面は、複数のスリットを規定しており、前記複数のスリットは、軸方向にずらされた2つの拡張部を規定し、前記チューブが軸方向に圧縮された場合に、前記拡張部は前記表面から外へ拡張し、拡張されたスペーサの外形を規定する拡張可能なスペーサが提供される。
【0045】
好ましくは、前記少なくとも2つの軸方向にずらされた拡張部は、少なくとも3つの拡張部を含み、前記3つの拡張部は、前記チューブから少なくとも3つの異なる方向へ張り出す。上記に代えて又は上記に加えて、前記少なくとも2つの軸方向にずらされた拡張部は、少なくとも4つの拡張部を含み、前記4つの拡張部は、前記チューブから少なくとも4つの異なる方向へ張り出す。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、前記スリットはまっすぐである。上記に代えて又は上記に加えて、前記スリットは曲がっている。
本発明の好ましい実施形態において、前記スリットは幅が狭い。
本発明の好ましい実施形態において、前記スリットは、その範囲の少なくとも一部において、わずかではない幅を有する。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、前記スリットは、前記チューブの軸に実質的に平行である。
本発明の好ましい実施形態において、前記スリットは、前記チューブの軸に非平衡である。
本発明の好ましい実施形態において、前記スリットは、長さが等しい一対として設けられている。
本発明の好ましい実施形態において、前記スリットは、長さが等しくない一対として設けられている。
本発明の好ましい実施形態において、第1の拡張部に係るスリットが、軸方向にずれている第2の拡張部に係るスリットと軸方向に重なっている。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブの前記近い端部は、基部のエンドキャップを規定し、前記エンドキャップは、拡張された前記拡張部の外形により規定される空間から外側へ張り出す。
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブの前記遠い端部は、遠端ののエンドキャップを規定し、前記エンドキャップは、拡張された前記拡張部の外形により規定される空間から外側へ張り出す。あるいは、前記拡張部の少なくとも一つは、前記チューブの前記近い端部と面が揃っている。あるいは、前記拡張部の少なくとも一つは、前記チューブの前記遠い端部と面が揃っている。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサに近接する生組織と係合するために、前記スペーサから軸方向に伸びる少なくとも一つの棘を含む。好ましくは、前記少なくとも一つの棘は、前記スペーサから軸方向に伸びる少なくとも2つの棘を含む。
本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、内部ボルトを含む。好ましくは、前記内部ボルトは、滑らかな外面を有する。あるいは、前記内部ボルトは、ねじを切られた外面を有する。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、前記ボルトは基部を有し、前記基部は、前記チューブの内径よりも大きな外径を有し、前記基部は、前記ボルトと相対的な一方向における前記チューブの軸方向の移動を制限する。
本発明の好ましい実施形態において、前記ボルトは頭部を有し、前記頭部は、前記チューブの少なくとも一つの端部に対し固定され、前記チューブの軸方向の拡張を防止する。好ましくは、前記頭部は、前記チューブから前記ボルト頭部へ向けて伸びる少なくとも一つの突出部と係合する構成されている。あるいは、前記頭部は、前記チューブと係合するために、前記頭部から前記チューブへ向けて伸びる少なくとも一つの突出部を含む。あるいは、前記頭部は、前記チューブの内径よりも大きな外径を有するように外側へ張り出すフランジを含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、前記ボルトは、前記スペーサのを配置している間に前記ボルトを保持するための棒要素と係合するように構成されている。好ましくは、前記ボルトは、前記棒要素と係合するために内側にねじ山を有する。あるいは、前記チューブが前記ボルトの頭部を閉じこめている限り、前記ボルトは前記棒要素と機械的に係合する。
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサは複数の切片を含み、各切片は、前記スペーサから張り出す1以上の拡張部を規定している。好ましくは、前記切片は、少なくとも2種類の切片を含み、各種類の切片は、前記チューブに対して異なる方向に張り出す拡張部を規定している。好ましくは、前記2種類の切片は、一つの線に沿って張り出す2つの拡張部を規定する水平切片と、前記2つの拡張部に対して約45°で張り出す4つの拡張部を規定する切片とを含む。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つの拡張方向は、前記チューブに対して垂直である。
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブの軸を含む平面内において、前記チューブの軸と鋭角を形成する。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブに対して非垂直方向に張り出す。
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブの軸を含む平面内において、先端が前記チューブから離れる方向を向いた三角形の輪郭を有する。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブの軸を含む平面内において、曲がった輪郭を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブの軸を含む平面内において、前記チューブから離れる方向に沿って、幅が狭くなり、次に幅が広くなる輪郭を有する。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブの軸に垂直な面内において、前記チューブから離れる方向に沿って、幅が狭くなる輪郭を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブの軸に垂直な面内において、前記チューブから離れる方向に沿って、幅が狭くなり、次に幅がひろくなる輪郭を有する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記チューブの軸に垂直な面内において、一様な輪郭を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、尖った先端形状を有する。あるいは、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記拡張部の基部と実質的に同じ大きさの先端形状を有する。あるいは、前記少なくとも2つの拡張部の少なくとも1つは、前記拡張部の基部より実質的に大きい先端形状を有する。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部は、前記軸に沿って不均一に分布されている。あるいは、前記拡張部は、前記軸に沿って均一に分布されている。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部は、前記チューブの周囲に沿って不均一に分布されている。あるいは、前記拡張部は、前記チューブの周囲に沿って均一に分布されている。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の異なるものは異なる外形を有する。上記に代えて又は上記に加えて、前記拡張部は、螺旋状のパターンに分布されている。上記に代えて又は上記に加えて、前記チューブの軸は、前記拡張された外形と同軸である。本発明の好ましい実施形態において、前記チューブの軸は、前記拡張された外形の軸と平行である。
【0059】
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブの軸は、前記拡張された外形の軸と非平行である。好ましくは、前記チューブの軸及び前記拡張された外形の軸は、拡張した状態において椎骨と整列するようスペーサを斜めに挿入できるように構成されている。
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサが拡張されたときの外形の断面は円形である。
【0060】
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサの拡張されたときの外形の断面は矩形である。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張された外形の断面は、前記拡張された外形の軸に沿って変化する。
【0061】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張された外形の断面直径は、前記拡張された外形の軸に沿って変化する。好ましくは、前記断面は矩形であり、前記断面の直径は前記拡張された外形の軸に沿って増大する。
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブの断面の直径は、前記チューブの軸に沿って変化する。上記に代えて又は上記に加えて、前記チューブの断面は、前記チューブの軸に沿って変化する。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブは、円形断面を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブは、楕円形断面を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブは、矩形断面を有する。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサが拡張されていないとき、前記チューブの軸は曲がっている。
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサが拡張されていないとき、前記チューブの軸はまっすぐである。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサが拡張されているとき、前記チューブの軸は曲がっている。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサが拡張されているとき、前記チューブの軸はまっすぐである。
本発明の好ましい実施形態において、拡張された形態において前記スペーサを保持するつめ車機構を含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサの少なくとも一部は、前記スペーサの軸方向の収縮を防止する。好ましくは、前記少なくとも一部は、前記スペーサが軸方向に収縮されたときに当たる一対のタブを含む。あるいは、前記少なくとも一部は、折れ曲がって前記スペーサの対向する2つの側面の間に厚みを形成し、前記対向する側面が接触することを防止する細片を含む。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つが、前記拡張部がすぼむことを防止する突出部を少なくとも含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つが、前記2つの拡張部を連結させる突出部を少なくとも含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部が拡張された時に前記拡張部を互いに連結させる相互連結要素を少なくとも一つ含む。好ましくは、前記相互連結要素は、柔軟なワイヤを含む。あるいは、前記相互連結要素は、実質的に剛体である筋違を含む。
【0065】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つは、曲げ動作のみを行う継ぎ目 のみを含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つは、少なくとも一つのねじり動作を行う継ぎ目を含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つは、前記拡張された外形を形成するために、かなり大きな軸方向部分を前記チューブから離れる方へ持ち上げる持ち上げ式拡張部を含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つは、拡張部の先端部により連結された少なくとも2つの足部を含む。
【0066】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つは、拡張部の先端部により連結された少なくとも3つの足部を含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部の少なくとも一つは、拡張部の先端部により連結された少なくとも4つの足部を含む。上記に代えて又は上記に加えて、前記拡張部の少なくとも一つは、少なくとも2つの足部を含み、前記足部は前記チューブの軸と一直線に並んでいる。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサの拡張を補助するために、複数の焼きなまされた箇所が前記スペ
ーサに設けられている。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサの拡張を補助するために、複数のエッチングされた箇所が前記スペーサに設けられている。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサの拡張を補助するために、複数の孔が前記スペーサに設けられている。好ましくは、前記孔は、応力を前記スペーサに分散させる。
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサは、全体が焼きなまされる。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサは、前記スペーサが埋め込まれた後に、時間とともに前記スペーサの軸方向長さを変える手段を含む。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは金属から形成される。あるいは、前記スペーサは合成樹脂から形成される。
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサは、異なる材料の別個の領域の組み合わせから形成される。
【0068】
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサは、前記拡張変形時に弾性変形をする弾性材料を含む。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは、前記拡張変形時に塑性変形をする塑性材料を含む。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは、前記拡張変形時に超弾性変形をする超弾性材料を含む。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは、形状記憶材料を含む。
【0069】
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサは、20kg以上の軸方向圧力の下で軸方向へ変形するように構成されている。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは、30kg以上の軸方向圧力の下で軸方向へ変形するよう
に構成されている。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは、50kg以上の軸方向圧力の下で軸方向へ変形するように構成されている。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは、70kg以上の軸方向圧力の下で軸方向へ変形するように構成されている。上記に代えて又は上記に加えて、前記スペーサは、90kg以上の軸方向圧力の下で軸方向へ変形するように構成されいてる。
【0070】
本発明の好ましい実施形態において、人間の脊椎に対して前記チューブの軸が垂直になるように配置された場合、活動している前記人間の椎骨の中で前記スペーサが拡張状態を維持するように構成されている。上記に代えて又は上記に加えて、前記チューブの断面の直径は、前記拡張された外形における断面の最大直径
の2分の1以下である。
本発明の好ましい実施形態において、前記チューブの断面の直径は、前記拡張された外形における断面の最大直径の4分の1以下である。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張された外形は、人間の椎骨の間に合うように大きさを定められている。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部は先端部を有し、前記先端部は、対象となっている椎骨が前記スペーサの外形と接触する表面に対し、少なくとも20%の表面充填率を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部は先端部を有し、前記先端部は、対象となっている椎骨が前記スペーサの外形と接触する表面に対し、少なくとも40%の表面充填率を有する。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部は先端部を有し、前記先端部は、対象となっている椎骨が前記スペーサの外形と接触する表面に対し、少なくとも60%の表面充填率を有する。
【0072】
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張した外形は、椎間板に接触していた、対象となっている椎骨の表面の少なくとも40%を覆う。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張した外形は、椎間板に接触していた、対象となっている椎骨の表面の少なくとも60%を覆う。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張した外形は、椎間板に接触していた、対象となっている椎骨の表面の少なくとも80%を覆う。
【0073】
本発明の好ましい実施形態において、表面、及び一部分に最大断面を有する細長い本体と;および前記本体から放射状に張り出す複数の拡張部とを備え、前記拡張部は、前記本体の表面領域の少なくとも50%が拡張部により覆われるように、前記一部分を含む前記本体の少なくとも40%の上に集中しており、前記集中している拡張部は、前記本体の直径の少なくとも3倍の直径を形成し、前記拡張部は、前記表面に形成される、スペーサが提供される。好ましくは、前記拡張部は、前記本体の少なくとも50%の上に集中している。上記に代えて又は上記に加えて、前記拡張部は、前記本体の少なくとも70%の上に集中している。
【0074】
本発明の好ましい実施形態において、前記スペーサは、生物活性化被覆剤により被覆されている。好ましくは、前記生物活性化被覆剤は、骨の内部への成長を遅らせる。上記に代えて又は上記に加えて、前記生物活性化被覆剤は、骨の内部への成長を促進させる。
本発明の好ましい実施形態において、前記拡張部は、スパイクを含む。
本発明は、本発明の好ましい実施形態についての下記の詳細な説明、及び、添付の図面からより明確に理解できるであろう。
【0075】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
基本スペーサ(ケージ)の説明
図1Aは、本発明の好ましい実施形態による拡張可能なスペーサ20が拡張されていない形態を示す平面投影図である。図1Bは、スペーサ20の斜視図である。スペーサ20は、チューブのような細長い中空の物体22から構成され、その上に複数のスパイク24が(平坦な形状に)形成されており、各スパイクは、一組のスロット26によって輪郭を定められている。軸方向投影図36に示されるように、本発明の好ましい実施形態では、チューブ22の断面は円形である。図1Aに示された実施形態において、チューブ22は、スパイク部分28と非スパイク部分30とを交互に有している。好ましくは、チューブ22の一端にエンドキャップ34が形成されている。本発明の好ましい実施形態では、エンドキャップ34は中空である。あるいは、エンドキャップ34は中実であるが、骨の内部への成長を促進するために、多孔質材料から構成されるか、孔を有することが好ましい。エンドキャップの代わりに、又はエンドキャップに加えて、スペーサ20は、チューブの端部に取り付けられ、これによりチューブの一部のみ、好ましくは端部にスリットが形成されているようにする。
【0076】
図1C−1Dは、拡張された形態のスペーサ20を示す。図1Cは、平面投影図(側面及び軸方向)であり、図1Dは、斜視図である。拡張された場合、スパイク28は外向きに広がり、チューブ22は軸方向に圧縮される。非スパイク部分30及びエンドキャップ34は、ゆがまないことが好ましい。図において見られるように、直径が相当に、例えば5倍に拡大する。さらに、図1Cにおけるスパイク24の厚み(38)を図1Aの(28)と比較すると明らかなように、軸方向の相当な収縮が生じる。
【0077】
スペーサ20は非スパイク部分を有すると説明したが、本発明のいくつかの好ましい実施形態、例えば、図1Aにおいて点線35により例示されているように、スリットが交互に重ねられた場合には、このような非スパイク部分が形成されないことが理解されるべきである。
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、チューブのスリット26は、その端部に丸い孔、例えば孔32、を有する。これらの孔は、好ましくは、応力及び/又は機械的欠陥のチューブ22内における伝播を抑制すべく形成される。これに代えて又はこれに追加して、これらの孔は、スペーサ20が軸方向につぶされた場合に、スパイク28がスリットの端部において選択的に外へ折れ曲がるように、スリットの端部を弱化するために形成される。これに代えて又はこれに追加して、スリット26は、その中央部(スパイク28の頂点)に孔33を有し、その孔の位置におけるスパイクの折れ曲がりを促進してもよい。
上記は、スペーサの限られた一部の種類についての説明であり、下記にその変形が明らかにされる。
【0079】
基本的なデリバリー方法
図2A−Dは、スペーサ20を挿入し拡張させる手順を示している。図2Aにおいて、損傷を受けた椎間板54が椎骨50及び椎骨52の間である椎骨間空間55に位置している。一般に、2つの椎骨の間にスペーサを挿入する前に、椎間板54が部分的に又は完全に除去される。好ましくは、椎間板54は、最小侵襲技術を用いて、例えば図9A及び9Bを参照して後に説明するように、好ましくは細い針のみを用いて、除去される。あるいは、例えばWO98/38918に記載されている腹腔鏡によるアプローチを用いる。この場合、患者の外傷が最小となるように注意することが好ましい。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、当該技術において公知のように、全ての軟骨終板が除去されるが、これは必須ではない。上記の代わりとして又は上記に追加して、骨の成長を促進するために、終板及び/又は椎骨自体に複数の孔が形成される。
【0081】
図2Bにおいて、椎間板は除去され、スペーサが拡張されていない形状で椎骨間の空間55へ挿入されている。本発明の好ましい実施形態において、スペーサ20は、細長い部材60の端部に取り付けられるか、又は形成される。好ましくは、スペーサ20は、シリンジを用いて、又は、スペーサが一旦挿入されると回収できる「オーバーチューブ」に入れて挿入される。上記に代えて又は上記に追加して、脊髄への損傷を回避するために、スペーサ20はX線誘導を用いて挿入される。
【0082】
図2Cにおいて、スペーサ20は、放射状に拡張(そして軸方向に短縮)される過程にある。スペーサ20の部分62は拡張されており、一方、スペーサ62の範囲64は未だに拡張されていない。
【0083】
図2Dにおいて、スペーサ20は、その拡張範囲の全体にわたって放射状に拡張され、椎骨間の空間55を満たしている。本発明の好ましい実施形態では、椎骨50及び椎骨52の間の融合を促進するために、骨スラリー又は整骨用の固定用化合物のような固定剤が椎骨間の空間55の中へ供給される。骨スラリー、骨チップ、又は骨粉の場合、このような整骨は一週間程度のベットでの安静を必要とするであろう。好ましくは、スペーサ20は、ベットでの安静期間が少なくなるか、全く必要なくなるように、骨が整骨するまで自身の形状を維持できる程度に十分に固い。上記に代えて又は上記に加えて、要求される剛性の少なくともいくらかは、固定剤によって提供される。上記に代えて又は上記に加えて、固定剤は、空間の充填材として役立ち、及び/又は、圧縮強さを高める。上記に代えて又は上記に加えて、固定剤として又は固定剤の一部として、成長ホルモン、酵素、抗バクテリア薬、抗炎症化合物、及び/又はその他の生物に作用する物質を空間55に注入し、融合及び/又は他の所望の効果を促進してもよい。好ましくは、充填材は、空間55の全体を満たす連続体である。
【0084】
テンペルのオルソロジック社は、「スピナロジック」という名称の装置を生産している。その装置は、磁場を生成することにより回復を促進しているようである。本発明のいくつかの実施形態では、スペーサが、磁力線を制御するために、(好ましくは、カプセルに包まれた、又はコーティングされた)フェライトのような磁性材料から構成されるか磁性材料を含む。上記に代えて又は上記に加えて、スピナロジックの装置を回復促進のために標準的な方法で用いてもよい。
【0085】
同日に提出されたとして前述したPCT出願の一つには、椎間板へのアクセス及びスペーサのデリバリー・システムの例が記載されている。
【0086】
内部成長の制御
本発明の好ましい実施形態において、骨スラリーは、骨チップ、例えば球、立方体、又は平坦な矩形の形状をしたチップを含む。このようなチップは、例えば、小さな揺動のこぎり及び/又は骨刀を用いて生成できる。デリバリーチューブに骨チップを押し通すことに下垂体鉗子又は骨インパクターホルダーを利用できる。必ずしもではないが、一般的にこのデリバリーチューブは、スペーサが通されたチューブと同じである。一応用例において、チューブは内径6mmを有し、したがって、骨チップは最も大きくて5.9mmでなければならない。
【0087】
典型的な骨の供給源としては、トリコーシアル・オートローガス・クレスト・移植骨片、腓骨移植銀行、又は死体の骨がある。上記に代えて又は上記に加えて、骨スラリーは、当該技術で公知のように、メッシュ、ヒドロキシアパタイト及び/又は骨化加速材料を含むことができる。骨チップは、用いられている特定のスパイクの間にぴたりとはめ込むことができ、かつ、スパイクの側面を通過できるように選択してもよい。
【0088】
本発明の他の好ましい実施形態では、固定材が、いくつかの実施形態のように取り囲むチューブを通してよりも部材60を通して供給されるので、そのようなチューブは提供されない。その代わりに、少なくとも脊椎内のいくつかの作業について、部材60がそのような外側チューブとして役立つ。あるいは、固定材は、シリンジを用いて供給される。図1Dを見れば、拡張した形態においてスペーサ20が、椎骨間空間55の間及びスペーサ20の内側に骨スラリー(及び/又は新しく成長した骨)を流すための広い孔を有し得ることが分かるであろう。本発明の好ましい実施形態では、スペーサ20が、ホルモンのように、骨の成長を促進する材料を被覆されている。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサ20は、新しく成長した骨が付着できる物質を被覆される。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサ20は、そこへの骨の付着を促進するために、少なくともその一部が荒く仕上げられる。一例として、スペーサの少なくとも一部がサンドブラストにより仕上げられる。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサは、骨の内部への成長を促進するために、孔及び/又は小さな突起を形成されていてもよい。このような孔は、チューブ上及び/又はスパイク上に形成されてもよい。好ましくは、このような孔を囲む領域は、スペーサの拡張した形状に孔が悪影響を及ぼさないように、より強固となるように処理される。
【0089】
あるいは、スペーサの少なくともいくつかの部分は、骨の成長を遅らせるように処理する、例えば、放射能を持たせたり、骨の成長を妨げる材料でコーティングすることとしてもよい。このような遅延は、スペーサの除去(後述)を可能とするのに便利であろう。このような遅延は、スペーサが除去されない場合に骨がそれを取り囲むこととなるように、短期間のものであり、その効果はある時間の後に消えることが好ましい。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの少なくとも一部が、骨の内部への成長を促進する仕上げ及び/又は形状(例えば孔)を有する。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサは、突き通すことができない材料、例えばバルーン、を囲む又はそれに囲まれることであってもよい。その材料は、スペーサの拡張時に膨張させられる。事によると、バルーンの表面は、組織の付着及び/又はしばらくして分解を助ける。あるいは、バルーンはスペーサにその長さに沿って取り付けられ、バルーンを膨張することでスペーサが拡張される。
【0090】
あるいは、外側にメッシュ、織地、又はバルーンのようなものを用いてスペーサと骨の間の接触を、恐らく所望の領域を除いて、促進する、例えば接触領域を増大させる及び/又はスペーサと周囲の骨との間における接触圧力が高くなることを防止することができる。メッシュ及び/又はバルーンは、好ましくはスペーサより先に挿入され、スペーサは、そのメッシュ又はバルーンの内側で拡張される。あるいは、メッシュ又はバルーンは、スペーサが体に挿入される前にスペーサに取り付けられる。たぶん、メッシュは生体が吸収可能なものであり、メッシュの中に骨が成長してから消滅する。メッシュに代えて、よりきつく織った織地又はフェルトを用いてもよい。なお、当該技術では、一時的な骨内部成長構造物が多く知られており、スペーサ及び骨の間に(及び/又は内側に)備えることができる。
【0091】
スペーサへの蓋の取り付け
埋込手順の次の段階は、好ましくは、スペーサ20を供給するために用いた切断部を閉じることである。あるいは、より一般的には、最小侵襲処理において、部材60を引き出すことである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、部材60がまだ挿入されている間よりも、部材60が取り去られた後に、針を用いて骨スラリーを注入することができる。
【0092】
本発明の好ましい実施形態では、スペーサ20が、例えばねじが切られた連結器により部材60に取り付けられ、処置の最後に部材20をスペーサ60から取れるようにする。
【0093】
あるいは、スペーサ20は、部材60の延長部を形成する。本発明の好ましい実施形態において、スペーサ20は、それが椎骨間の空間55に入る位置において、又はその近くにおいて、例えば部材60の内側に又は周りに挿入された切断具を用いて切断される。あるいは、部材60は、スペーサ20からねじり取られる。部材60は、スペーサ20との結合部において弱化されていることが好ましい。スペーサの拡張されていない部分は、拡張された部分(この部分は骨としっかり係合しているだろう)と比較して相対的に弱い。したがって、スペーサ20の拡張されていない部分は、弱い結合部分として働くことができる。おそらく、部材60はスペーサ20からねじ取られる(そして、その結果生じる鋭い縁は、おそらく部材60を通して又はその周りから挿入された工具を用いて、全て滑らかにされるだろう)。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサ20は、弱化された結合部分と重なり合うスリーブを含む。したがって、部材60がねじり取られると、残ったギザギザのエッジは全てそのスリーブにより覆われ、スペーサを囲む組織と接触しない。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの拡張が完了した後に、そのギサギザの端部は蓋をされる。蓋は、スペーサの端部にねじ付けることができる。上記に代えて又は上記に加えて、蓋は、細長いねじを切られた部分に取り付けられたエンドキャップを有するボルトの形状をしている。細長いねじが切られている部分は、たぶん離れた方の端部においてスペーサと係合し、エンドキャップは、スペーサの近いほうの端部に押し付けられるか、(例えばねじを用いて)係合する。以下、蓋をするための他の機構を説明する。
【0094】
上記に代えて又は上記に加えて、図2Dに示すように一旦スペーサが拡張されると、関係のない(つまり、椎骨間の空間55から外へ突出している)スペーサの部分が全て切り取られる。スペーサの取り去られた部分は、拡張されてもよく、部分的に拡張されてもよく、又は拡張されなくてもよい。本発明の好ましい実施形態において、切断は、部材20の内側から、例えば回転する切歯を用いて行う。切歯は、部材60の内側に挿入された幅の狭い細長い部材に取り付けられる。
【0095】
スペーサのサイズ合わせ
スペーサの埋め込みにおいて考慮すべき問題の一つは、スペーサ20を椎骨間の空間55に確実に合わせることである。本発明の好ましい実施形態では、(例えば工具一式として)各々が異なる(圧縮された)軸方向長さ及び/又は異なる径方向の直径を有する埋込用の複数のスペーサを利用できる。必要なスペーサのサイズは、椎骨間の空間55のCT画像又はX線画像における測定値から決めることができる。あるいは、拡張可能な要素を椎骨間の空間に挿入し、その要素が拡張した程度に基づいて、充填すべき空間の大きさ、及び必要とするスペーサの外形を見積もってもよい。
【0096】
スペーサのデリバリー方向
本発明の好ましい実施形態において、外科的アプローチは、患者の背中から行われる。あるいは、横から又は後横からのアプローチを用いてもよい。埋め込まれたスペーサは、埋込中は非常に細いので、他の融合装置を用いると提供できないアプローチを計画し、及び/又はアプローチ方向を使用することが容易である。上記に代えて又は上記に加えて、本発明のいくつかの好ましい発明において、少なくとも拡張していない形態において、特にそこにスリットを形成した結果として、スペーサをその主軸に沿って曲げやすく作ることができる。したがって、スペーサは、曲がったガイド、たぶん内視鏡やカテーテルのような曲げることのできるガイド、を用いて椎骨間の空間55に備えることができる。あるいは、スペーサが形状記憶材料から形成されている場合には、スペーサを容易に曲げられるように、延性を示すようになる温度以下にスペーサを冷やしてもよい。上記の代わり又は上記に加えて、特にスペーサが弾性又は超弾性を有する場合、曲がった外側チューブを用いるのに代えて又は加えて、スペーサの中を通して挿入された、曲がったスタイレットを用いて、挿入の間、スペーサを曲がった形状に維持する。後述する図2Pは、挿入の代替方法を描いている。この代替方法では、都合のよい方向からの椎骨へのアプローチを可能とするために、スペーサの小さな断面と、いくつかの拡張可能な構造における固有の柔軟性とを利用する。
【0097】
本発明の好ましい実施形態では、スペーサが細いために、患者の体にあまり外傷を与えない。上記に代えて又は上記に加えて、細いスペーサを用いることにより、又は異なる外科的なアプローチを用いることにより、先行技術以前の外傷を回避する。咬合小面間接、筋肉、じん帯、血管、脊椎、及び/又は他の体の構造を犠牲にすることなく、又は犠牲を少なくするという利益を得つつも、使用できるアプローチの範囲は広く、外科的切開も用いることができることに留意すべきである。
【0098】
スペーサの拡張の制御
図2E−2Gは、本発明の好ましい実施形態による、スペーサを拡張させ、その拡張を制御する種々の方法を示している。図2Eでは、示されているように、拡張は本質的に制御されていない。スペーサ70は、エンドキャップ74に取り付けられた拡張部材72を用いて拡張される。部材72がスペーサ70と相対的に矢印の方向に動かされると、その結果生じた応力によりスペーサ70が軸方向につぶれ、スパイクが外に張り出す。スパイクが張り出す順番は、とりわけ、スパイクの相対的な硬さに依存する。通常、スパイクはほぼ同じ硬さを有するので、拡張はスペーサ全体で徐々に生じるか、最初に曲がった位置で突然生じるであろう。あるいは、スペーサは、設計により、特定の順番にスパイクの張り出しが規定できるように、いくつかのスパイクが他のスパイクより弱くなるように構成できる。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、部材72の相対運動は、部材72を椎骨に対して適切な位置に維持し、そしてスペーサ70を部材72の端部へ向けて押すことを含む。相対運動は、直接力を加えることにより達成されることが好ましい。あるいは、相対運動は、よりゆっくり行うことができ、制御可能であるねじ動作を用いて行われる。スペーサにねじを設けるのは、部材60に沿ったいずれの場所でもよい。しかし、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、スペーサ70は、エンドキャップ74と反対側の端部の内側にねじを切られる。
【0100】
本発明の好ましい実施形態において、部材72は、拡張過程の最後に、突然衝撃力を加え、部材とエンドキャップ74との間の結合を破ることにより、スペーサ70から取り去られる。あるいは、部材72は、エンドキャップ74からねじ切られる。あるいは、特にスペーサ20に切られたねじを用いて相対運動が達成されている場合には、部材72は、好ましくは、スペーサに切られたねじと逆の
ねじを用いてエンドキャップ74と結合される。したがって、部材72は、ねじ切ることができる。ある実施形態では、エンドキャップのねじは、スペーサのねじと同じ方向に切られる。
【0101】
図2Fは、内部間隔設定部材82を用いて拡張されるスペーサ80を示す。しかし、図2Eの例と異なり、拡張は束縛具84を用いて制御されている。束縛具84は、選定された領域を除き、スペーサ80からスパイクを広げさせない。好ましくは、選定された領域は、束縛具84の端部である。あるいは、特に図2Gにおいて示すように、選定された領域は、束縛具の端部から離れていてもよい。外側の束縛具84に代えて又はそれに加えて、スペーサ80は、内部にある束縛具を利用してもよい。好ましくは、内部の束縛具は、束縛具に設けられた雄ねじ及び/又はスペーサ80に設けられた雌ねじを用いてスペーサ80と係合する。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサは、ねじを用いず、ねじ動作ではなく
直接引っ張ることにより拡張される。
【0102】
本発明の好ましい実施形態では、内部の束縛具と外部の束縛具との動きが、スペーサの拡張を制御するために同期させられる。一例では、スペーサと相対的に外部の束縛具を回転させることによりスペーサが外部の束縛具から繰り出される(好ましくは、スペーサと外部束縛具とはねじ結合をしている)。したがって、新しく「押し出された」スペーサの部分は、拡張されておらず、また、束縛されていない。その後、又はできればそれと同期して、内部の束縛具又は部材72が、ここでも多分スペーサと相対的に回転して(好ましくは、それらの間のねじ結合を利用して)引っ込められる。これが、スペーサに軸方向の応力を生じさせ、新しく押し出された部分を拡張させる。ある実施形態では、内部及び外部の束縛具は、同時に回転させてもよい。しかし、各束縛具は、スペーサに対して、異なるねじ山の角度を有し、各々が同じ回転運動を異なる軸方向運動に変換する。
【0103】
いくつかの実施形態では、部材72及び/又は内部の束縛具は、スペーサの内側にある一以上のレール及び/又は一連の突起と部材内の溝を用いて、スペーサに対して所望の角度に維持される。実施形態によっては、レール、溝、及び/又は突起は、直線上に配置されていない。
【0104】
先に飛んで、図2K及び2Lは、本発明の好ましい実施形態による、束縛具84用の先端を示す。この形の効果の1つは、束縛されている他のスパイクに対し(束縛具により束縛されていない)1以上のスパイクの選択的に拡張することであり、それにより、スペーサの拡張及び/又はスパイクの広がりを制御できることである。
【0105】
戻って、図2Gは、外部の枠92を用いて拡張を制御されるスペーサ90を示す。本発明の好ましい実施形態において、枠92は、複数の孔94を有する。スペーサ90が枠92に対して相対的に動かされると、スパイクは予め定められている孔94からのみ張り出すことができる。スペーサの相対運動は、上記した技術のいずれを用いて実現してもよい。しかし、スペーサ90が枠92に対して押しつけられるので、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、内部部材を必要としない。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、枠92は、体内に残される。本発明の好ましい実施形態では、少なくともいくつかの孔94が、そこからスパイクが張り出すことができるような、軸方向又は横方向のスロットの形状を有する。例えば、いくつかの実施形態において、枠92が束縛具とつながっているフォークの歯状の部位を有し、そのフォークの歯状の部位は、スペーサの方向に向けて開口しており、上記スロットを形成している。このような枠は、スペーサが拡張した後に引っ込めることができる。
【0106】
本発明の好ましい実施形態において、このような枠は、ワイヤなどの中実部材の湾曲を制御することに用いることもできる。この中実部材は、まっすぐな要素を波打つリボン状の要素に折り曲げることで「拡張」される(リボンの湾曲部が各スパイクとなる)。好ましくは、複数の弱められた部分、強化された部分、及び/又は断面が増大された領域がワイヤの長手方向に沿って形成され、これにより、枠92の孔から押し出されたワイヤの広がりを制限及び/又は制御する。したがって、スペーサの拡張、少なくともリボンタイプのスペーサの拡張は、スペーサの軸方向長さと無関係なものとすることができる。
【0107】
上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの拡張に(不図示の)バルーンを用いてもよい。バルーンは、スペーサの内腔に挿入され、膨張されたときにスパイクを半径方向に広げる。一般に、スペーサの「リング」部分はバルーンの影響を受けない。事によると、バルーンは、「リング」には影響を及ぼさないが、スパイクを押し出す複数の指状突起を有する。上記に代えて又は上記に加えて、リング部分もバルーンによって変形されてもよい。一例として、リング部分は、スパイクほどではないが拡張できるメッシュ材からなる。本発明の好ましい実施形態では、リングが変形する前にスパイクが外へ広がるように、リング部分は、スパイクよりも大きな力によって塑性変形をする。
【0108】
スペーサの拡張の例
図13A−13Cは、本発明の好ましい実施形態による、スペーサを拡張する方法の例を示す。スペーサ1002は、内部にボルト1008を有するチューブとして用意される。ボルト1008は、好ましくは、スペーサ1002の端部がそのボルトを通り過ぎて前進することを防止する。スペーサの拡張部を形作るために、外側束縛具1004が備えられている。腹腔鏡管1006も示されている。この実施形態では、ボルト1008及び管1006の双方が体の外のベース1010に固定されている。このベースは、体の方へ進むことを防止するために、例えば患者及び/又は患者のベッドに固定してもよい。
【0109】
図13Aは、開始位置を示し、ボルト1008と(拡張されていない状態の)スペーサ1002が(不図示の)2つの椎骨の間に伸びている。 スペーサ1002及び束縛具1004の双方が前進させられる。しかし、スペーサは、ボルトにより前進を妨げられているので、束縛具1004により拡張が妨げられていない領域で拡張し、1以上のスパイクを形成する。その結果は、図13Bに示されている。
次に、束縛具及びスペーサの双方が再び前進できるように、束縛具1004が後ろに引かれる(図13C)。
【0110】
スペーサの除去
ときに、スペーサが挿入された後、事によるとスペーサの挿入処置が完了した数日後であっても、スパイクの長さを調整する必要が生じることがある。
スペーサが不正確に埋め込まれたことが、例えばX線画像により証明された場合にも、スペーサを除去する必要が生じるだろう。本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサの調整及び/又は除去が可能である。
【0111】
本発明の好ましい実施形態において、スペーサの除去は、スペーサが細い直径を有するようにスペーサを拡張していない状態にし、そしてスペーサを取り去ることを意味する。一般に、スペーサは、拡張していない状態とする過程において軸方向に長くなるので、スペーサの中には自動的に除去されるものがあろう。好ましくは、スペーサの一端は、その一端が動かない一方で、他端が制止されている一端から遠ざかるように、動きを制限される。上記に代えて又は上記に加えて、(軸方向に伸長している)スペーサの他端は、敏感な組織と衝突しないように案内される。
【0112】
スペーサの応力は、スパイクの長さを増大(又は減少)させることにより変えることができ、これにより、周囲の骨の組織をより大きな(又はより小さな)力で押圧できる。あるいは、応力は、スペーサ又は椎骨間の空間に、好ましくは針を用いて、弾性材を加えることで増大させることができる。図4Eに示したように、ある例では、第2のスペーサ(142)が第1のスペーサ(144)の中に挿入される。スパイクの長さを減少させることは、スペーサの長さを許容できない量に増大させるかもしれない。スペーサの余分な長さは、切り取り、体から取り去ることが好ましい。
【0113】
スペーサ特性の制御
本発明の好ましい実施形態では、スペーサの下記3つの特性、スペーサの軸方向長さ、スパイクの長さ、及びスパイクの張力、のうち1つ以上が独立して制御できるべきである。いくつかの実施形態では、利用可能なスペーサのセットから特定のスペーサを挿入のために選択することで、これらの特性を制御できる。他の実施形態では、所望の特性を得るようにスペーサを適合させてもよい。例えば
、長さは、スペーサ全体を拡張させず、そして非拡張部分を切断することで制御できる。さらに、本発明のいくつかの実施形態では、スペーサの特性をその挿入後に変更することが望まれる。従って、体の中にありながら、スペーサを最適な動作形態に維持又は変更できることが望まれている。
【0114】
いくつかのケースでは、スペーサの長さの変更が望まれるが、それに伴う張力又はスパイク長さのいかなる変化も望まれない又は承認されない。前記したように、スペーサの張力は、第2のスペーサを挿入することで増大できる。
【0115】
図2H−2Jは、スペーサが拡張された後に、スペーサの外形及び/又は張力特性を変えるための種々の方法を示す。ありふれた変更方法は、スペーサを取り去り、新しいスペーサを挿入するか、同じスペーサを修正した後に挿入するというものである。本発明の好ましい実施形態において、スペーサの除去は、スペーサをしぼませ、その結果として細い直径を有するチューブを取り去ることを含む。
【0116】
図2Hは、維持部材106及び把持部材104を用いてさらに拡張させられたり、すぼまさせられたりするスペーサ100を示す。本質的に、部材104はスペーサの一端に係合し、部材106は、スペーサ100の他端に係合する。2つの部材が互いに相対的に動くと、スペーサは拡張したり、拡張状態から戻ったりする。本発明の好ましい実施形態において、維持部材106は、エンドキャップ108に係合する。係合は、単純な接触、部材106がエンドキャップ108内のくぼみにぴったり嵌る、又はねじ結合であることができる。把持部材104は、スペーサ100をその近い方の端部102で把持することが好ましく、端部102の中でねじ結合することが好ましい。あるいは、端部102の外部に結合、おそらくねじ結合、してもよい。本発明の好ましい実施形態では、スペーサ100を修正するときに、部材106はその場に維持され、その結果、エンドキャップ108は体の中へと進むことはない。
【0117】
図2Iは、ねじ、即ちブッシュ112の挿入により拡張状態から戻される(すなわち完全にすぼまさせられる)スペーサ110を示す。あるいは、スペーサが挿入された場合、ねじがスペーサに残っていてもよい。ねじ112は、ねじが切られている端部118及びエンドキャップ116と係合する。ねじが回されると、スペーサは拡張状態から戻される。発明の好ましい実施形態において、ねじは、シリンジを用いて挿入される。ことによると、ねじはシリンジのニードルを形成する。あるいは、ねじは挿入されたねじ回しを用いて、ヘッド114において係合される。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、ねじ112が、ニードルを用いてスペーサに挿入される。本発明の好ましい実施形態において、ねじはスペーサにねじ込まれる。あるいは、スペーサの近い側のエンドキャップが鍵穴の形を有し、その鍵穴は、ねじを挿入できる直径が大きな部分と、ねじが係合できる直径が小さな部分とを有する。遠い側のエンドキャップは、ねじと係合する代わりに、ねじを押しつけることのできる止め具として作用することであってもよい。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、スペーサの内部の内腔は、ねじが係合できるねじ山及び/又は突起を有する。突起は、スペーサの拡張により作られることであってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、突起は、スペーサの中を遠い側のエンドキャップまで挿入された針のねじを案内する案内部を形成する。案内部は、針/ねじが脱線し、スペーサの側面から出てしまうことを阻止する。スペーサが体内で曲がった形をとるとき、この類の案内部が備えられることが好ましい。
【0120】
本発明の好ましい実施形態では、スペーサの近い側のエンドキャップがフレア状の開口部を有し、ねじ、ニードル、又はねじ回しのヘッドのスペーサへの挿入、及び/又はエンドキャップとの係合を容易にする。上記に代えて又は上記に加えて、エンドキャップの磁化、及び挿入する物体における対応する磁気センサ、又は超音波トランスヂューサ等の案内機構が備えられてもよい。上記に代えて又は
上記に加えて、スペーサが挿入された後、ワイヤガイドがスペーサに取り付けられたまま残り、内視鏡その他の挿入された物体がそのワイヤをたどってスペーサまで案内されることであってもよい。ワイヤの一方の端は、体の外へ出ていてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、例えば大径のボールを取り付けることで、ワイヤの端は容易に認識できるようになる。
【0121】
図2Jは、一体式拡張制御機構を有するスペーサ120を示す。内側にねじが切られているチューブ122が、外側にねじが切られているねじ124と共に提供される。ねじのエンドキャップ126が回転させられると、ねじはチューブと相対的に移動し、スペーサが拡張し、あるいは、拡張状態から戻る。代わりに、ねじを固定してチューブを回転させてもよい(つまり、チューブがスペーサに対して相対的に回転でき、ねじが少なくとも回転に関してスペーサに固定されている)。ねじ回し128、又は少なくともその先端は、ねじまで挿入される。あるいは、スペーサ120は、つめ車機構を有し、それにより、部材124がホルダー122に押し込まれることはできるが、戻って出ることができないとしてもい(又はその逆としてもよい)。この場合、把持部材104(図2H)のような把持具が備えられ、スペーサ120の動きを制御できることが好ましい。
【0122】
本発明の好ましい実施形態において、スペーサ120の内部は、チューブ122(又はホルダー122)として機能し、好ましくは予めねじを切られている。いくつかの実施形態では、チューブの内腔内に蓄積されているあらゆる物質の放出を促進するために、チューブ122の両端は開口しているか、孔を形成されている。上記に代えて又は上記に加えて、ねじ122の直径は、チューブ122の内部断面の全てを占めてしまうことがないように、十分に小さい。
【0123】
本発明の好ましい実施形態において、ねじ124は、スペーサの拡張が完了した後に、好ましくは挿入処置の一部として、挿入される。あるいは、調整が必要であるという決定等の事実があった後に、ねじ126が挿入されることであってもよい。あるいは、スペーサ120が最初に拡張されている間に、その拡張を完了させるためにねじ124を挿入してもよい。
【0124】
本発明の好ましい実施形態では、スペーサ120の拡張の修正は、図2F−2Gに示したように、内部又は外部の束縛具又は枠体を挿入することで制御できる。したがって、スペーサの一部(例えば中央部又は端部)においてのみスパイク長を変更すること及び/又はスペーサの一部における軸方向長さの増大をスペーサの他の部分におけるスパイクの拡張で補うことが可能である。上記に代えて又は上記に加えて、図2E−2Jにおいて説明したねじ山及び/又は「エンドキャップ」は、端部以外のスペーサの部分に配置してもよい。
【0125】
本発明の好ましい実施形態において、スペーサの内腔の「最小直径」は、スペーサが拡張されても、すぼまさせられても、変化しない。あるいは、例えば、チューブの一部が、スパイクのように外側に向けてではなく、内腔の中へと折れ曲がる場合には、内腔は減少してもよい。
【0126】
スペーサの変形過程
本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、その素材の塑性変形を利用して拡張したり、すぼんだりする。つまり、チューブは、拡張したスペーサを形成するために塑性変形する。あるいは、拡張又はすぼみの少なくとも1つは、素材の弾性、超弾性、又は形状記憶特性を利用して行う。一例として、スペーサは、部分的に拡張されてから、挿入の前に、弾性変形により完全にすぼまされる。したがって、拡張が開始されると、いくつかの又は全てのスパイクがスペーサから突出する。そして、スペーサにかかる軸方向の力が増大すると、スパイクはさらに外へ動くが、中へ動くことはない。スペーサのいくつかの部分は、中へ折れ曲がるように構成されてもよい。これらの部分は、スペーサの挿入の前に、それらの「内部の位置」からどくように弾性変形させられてもよい。後述する図6XI−6XLは、拡張されたスパイクの形状を制御するためにスペーサの弱化された部分を示す。
【0127】
上記に代えて又は上記に加えて、スペーサは、それを構成する材料の超弾性特性を利用する。一例では、スペーサは、拡張した形態に自身で広がる。必要なことは、そのような拡張が望まれるまで拡張を制限することである。このような制限は、スペーサの軸方向長さを維持することにより、又は、スペーサをすぼんだ形態で維持する外部制限チューブを備えることにより達成できる。あるいは、スペーサとほぼ全長において係合する雄ねじを用いて軸方向長さを維持してもよい。一つの実施形態では、スペーサが制限を行うチューブ(又はねじ)から繰り出されると、制限されなくなったスペーサの部分が拡張し、及び/又は周囲の骨の組織と係合する。
【0128】
他の例では、スペーサは、例えば、図2I及び2Jとの関連で上記したねじにより抑制されない限り、自身でつぶれてすぼんだ形態となる。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサは、連動機構、好ましくはつめ車型機構を用いてその形状を維持する。例えば、(後述する)図8Aの実施形態では、2つのタブが隣接すること又は重なり合うことができる。一方のタブが突起を有し、他方のタブが凹部を有し、それらのタブが重なり合えば、突起が凹部と噛み合い、つめ車機構が形成される。上記に代えて又は上記に加えて、一端においてスペーサに結合され、棘を有する他端をスペーサの他の部分と係合させる、棘を備えた、スペーサ内部の細長い部材により専用のつめ車機構を形成してもよい。
【0129】
上記に代えて又は上記に加えて、拡張及び/又はすぼむことは、部分的に超弾性及び部分的に塑性又は弾性によるものであってもよい。
【0130】
本発明の好ましい実施形態では、NiTiのような形状記憶材料によってスペーサを構成することにより超弾性が得られる。好ましくは、材料が状態変化をする温度を約30℃に設定し、埋め込まれた後にスペーサが自然に状態を変化させないようにする。
【0131】
本発明の好ましいいくつかの実施形態では、スペーサは、冷やすことによりすぼむ。ある実施形態において、スペーサは、冷やされると曲がりやすくなる形状記憶材料から形成され、冷やされることで上記のようにすぼむ。他の実施形態において、スペーサは、超弾性部分と形状記憶部分とから形成され、(より強い)形状記憶部分がスペーサを拡張された形態に維持し、超弾性部分がすぼんだ形態に戻る他の力を加える。互いに異なる温度で状態変化をする2種類の形状記憶材料を備えていてもよい。本発明の好ましい実施形態では、スペーサが冷やされると、形状記憶部分から作用する力が弱くなってスペーサがすぼむ。つめ車機構部分のみが形状記憶材料及び超弾性材料から形成され、装置の他の部分は超弾性材料から形成されていてもよい。
【0132】
本発明の好ましい実施形態では、スペーサ全体が単一種類の材料 −塑性変形を行う材料、弾性変形を行う材料、超弾性材料、又は形状記憶材料− からなる。あるいは、スペーサは、各々が異なる特性を有する材料の多重層からなる。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの異なる部分は、異なる機械的特性を有し、及び/又は異なる材料から形成されていてもよい。一例として、リング部分は塑性を有し、スパイクは弾性を有する。他の例では、異なるスパイクは異なる弾性特性を有していてもよい。他の例では、スペーサの一方の側面がある特性を有し、他方の側面が異なる特性を有していてもよい。
【0133】
スペーサのエンドキャップ
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、エンドキャップは、(図2Hのエンドキャップ108がそうであるように)スペーサが拡張した後にスペーサから突出する。いくつかのケースにおいて、エンドキャップは、骨の組織と係合するスパイクを有していてもよい。あるいは、エンドキャップは、最も端にあるスパイクによって規定される平面内に存在するように形成されてもよい。一例として、これは、エンドキャップをスペーサの中へ予め折り曲げることにより達成できる。あるいは、エンドキャップを拡張過程の一部においてスペーサの中へ折り曲げる、例えば、部材72を引っ張ることによりエンドキャップ74を逆さまにする(図2E参照)ことであってもよい。あるいは、エンドキャップは、スペーサの中に弾性により折り曲げられるように製作されてもよい。あるいは、端にあるスパイクの変形によりエンドキャップをスペーサに折り曲げることであってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサが拡張した後に、エンドキャップに係合しているねじを引っ張ることによりエンドキャップを引っ込めることであってもよい。先に飛んで、図2Oのスペーサは、エンドキャップがスペーサの内側に形成されており、その結果、張り出したスパイクが広い範囲でスペーサの端部に達している。
【0134】
エンドキャップ固定
図2Iを参照する。いくつかの実施形態において、ボルト112は、スペーサ110にねじ付けられていないが、一旦スペーサの拡張が完了すると、ボルトがスペーサ110に、例えばエンドキャップ118において、固定されることが好ましい。この場合、必ずしもねじ山を用いることはない。
【0135】
図13Aは、スペーサ1002とボルト1008とが体から外部の台座までの広い範囲に伸びていることを示しているが、本発明の好ましい実施形態では、ボルト及びスペーサはそれより相当に短い。その代わりに、スペーサ1002は、押し器を用いて前進させられ、ボルト1008は、棒要素を用いて前進することを制限される。
【0136】
スペーサとそのボルトを固定するのに、多くの機構を利用できる。本発明の好ましい実施形態では、固定機構は下記の特徴の1つ以上を含む:
(a)スペーサ保持機構を引っ込めると、スペーサが固定される;
(b)スペーサ保持機構を(特にねじを用いて)前進させると、スペーサが固定される;
(c)機構は、スペーサの拡張が完了した場合にのみ固定することを主とする;及び/又は
(d)固定機構は(変形において)塑性を有するか、弾性(つまり、拘束状態が解除されて機構が固定される)を有する。
【0137】
後述の固定機構は独立したものとして示されているが、実施形態によっては、1つの固定機構の特徴を他の固定機構の特徴と組み合わせてもよい。例えば、固定機構は、スペーサ上のフィンと、ボルト上のフィンとを同じスペーサ装置において組み合わせてもよい。
【0138】
固定用フィンの実施形態
図14A及び14Bは、フィンに基づく固定機構を示している。示された固定機構では、1以上のフィンがボルトから跳ね出てスペーサと係合することで、スペーサがすぼまるのを防止する。他の実施形態、例えば後述する例では、ボルトは塑性変形し、及び/又はフィンの少なくとも一部は、ボルトと係合するために、スペーサから提供できる。
【0139】
図14Aは、拡張され、内部ボルト1022を有するスペーサ1020を概略的に示している。
【0140】
複数のフィン1028がボルト1022から伸び、スペーサ1020のエンドキャップ1026と係合している。この実施形態において、エンドキャップ1026は、フィン1028がよりよく係合できるように、傾斜した縁を有する。フィン1028は、塑性、超弾性、又は形状記憶による拡張機構を用いて広がることが好ましいが、代わりに他の機構を用いてもよい。棒要素1024がボルト1022から引っ込められていることが示されている。
【0141】
図14Bは、拡張されていない状態のスペーサ1020を示す。この状態において、フィン1028は、スペーサ1020により広がることを制限され、また、棒1024に形成されているへこみにおいて棒1024と係合することにより、棒1024がボルト1022から引き抜かれることを防止している。
【0142】
図14Aに戻って、エンドキャップ1026に対してフィン1028が完全に広がることを確実にするために、棒要素1024を前に出すことができる。フィンは、スペーサが軸方向に十分に短縮した場合にのみ上記のように広がることができることに注意する。なぜならば、そうでなければ、フィンはケージの中にあるからである。さらに、一旦フィンが広がると、棒要素1024を取り去ることができる。
【0143】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、スペーサ1020は、フィンを径方向に圧縮することでスペーサに対するボルトの固定を解除し、それによりスペーサをすぼませる装置を用いて取り去られる。
【0144】
この実施形態及び他の実施形態において、スパイクが拡張するスペーサの部位にフィン1028が隣接していることが好ましい。これは、フィンがスパイクと係合することを防ぐためである。上記に代えて又は上記に加えて、フィンはスパイクより幅が広いことであってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、フィンがスパイクと係合しないように、スパイクに対して角度がずれた位置にフィンを配置してもよい。あるいは、フィンは、スペーサの端部以外の位置でスペーサと係合するように広がることであってもよい。これは、例えば、軸方向に沿って、間隔をおいて設けられた複数のフィン係合位置を有するエンドキャップを提供する、又は、フィンが(スペーサの内側から)スペーサ又はスパイクの雌ねじに係合できるようにすることで行う。
【0145】
塑性変形したフィンの実施形態
図15A及び15Bは、塑性変形を利用している点を除き、図14A−14Bと類似する固定機構を示す。エンドキャップ1036に固定するための複数のフィン1038がボルト1032から伸びている。棒要素1034をボルト1032へと前進させると、フィンが塑性変形をしてエンドキャップと係合する。好ましくは、棒要素1034は、ボルト1032内に切られているねじ山に合うねじ山が設けられており、棒要素1034が回転することで前進する。棒は、ねじ出すことにより引くことができる。あるいは、ねじは周方向の一部のみに沿って設け、半回転が完了したときに、棒要素1034がねじから外れることであってもよい。
【0146】
リングを曲げる実施形態
図16A−16Fは、本発明の好ましい実施形態による、広がるフランジを利用した固定機構を示す。
【0147】
図16Aは、ボルトのフランジ1048によりボルト1042に固定される前のスペーサ1040を示す。棒要素1044が、例えばねじ込まれることにより、ボルト1042と係合している。
図16Bでは、棒1044がボルト1042に対して相対的に前進し、これによりフランジ1048を広げ、この結果、フランジがエンドキャップ1036に形成された開口より大きくなり、スペーサがボルトから引き抜けなくなっている。
【0148】
図16Cは、プッシングチューブ1049を拡大した図であり、チューブの端部に形成された突起1047を示している。突起1047は、スペーサ1040における対応する切り欠きと係合するためのものである。対応する突起と切り欠きは、プッシングチューブ1049を用いて、体内で、スペーサ1040の角度方向を維持制御することを可能にする。
図16Dは、棒要素1044の構造の詳細を示す線図である。
図16Eは、ボルト1042の斜視図であり、幅の広い基部1043を示している。基部1043は、図13A−13Cに示されるようにスペーサが前進させられたときに、スペーサ1040がボルトを通り過ぎて前進することを防ぐ。
図16Fは、ボルト1042の構造の詳細を示す線図である。
【0149】
フィンがスペーサ上にある実施形態
図17A−17Cは、他の固定機構を示す。この固定機構では、スペーサ上のフィンがスペーサの内側のボルトに係合する。図17Aは、固定機構が作動する前の形態を示す。スペーサ1050は、その端に形成された複数のフィン1058を有する。スペーサの内側のボルト1052は、1以上のくぼみ1057を有する。くぼみ1057は、ボルト1052をまわる帯状に形成することができる。プッシングチューブ1059は、内側に向けて突出する先端部1056を有する。先端部1056は、フィンがくぼみ1057内にないときに、フィン1058と係合する。したがって、プッシャーチューブ1059は、スペーサ1050から滑り落ちることはない。
【0150】
スペーサが十分に収縮している場合、フィン1058は、くぼみ1057にぴたりと合う。プッシャー1059を引くと、突起1056がフィン1058をくぼみ1057の中へと押し、ボルト1052をスペーサ1050に固定する。好ましくは、フィン1058のこの動きにより、同時にプッシャー1059は自由に引くことができるようになる。しかし、このことは本質的なことではない。本発明の好ましい実施形態では、スリーブ1055(できれば腹腔鏡管1006)により、突起1056が外へ曲がるのではなく、確実にフィン1058が中へ曲がるようにする。軸方向に間隔をおいて複数のくぼみ1057を設け、スペーサ1050の種々の拡張形状を可能としてもよい。
図17Bは、固定機構が作動した後の形態を示す。
図17Cは、スリーブがない状態における図17Aの形態の斜視図である。
【0151】
引き出し型の固定機構
図18A−18Dは、本発明の好ましい実施形態による、ボルトの棒要素が引かれたときにボルト上のフィンが広がる固定機構を示す。
図18Aは、拡張していない形態のスペーサ1060を示す。棒要素1064の伸長部1065は、内側に向けて曲がっている複数のボルト1062のフィン1068によって保持されている。伸長部1065は、フィンの面1063と接触し、軸方向に束縛を受けている。フィン1068は、スペーサ1060により、内側に向いた形態に維持されている。
【0152】
図18Bでは、スペーサが軸方向に十分に収縮しており、フィン1068がスペーサ1060のエンドキャップ1066を越えて伸びることができる。この伸長部は、基本的に弾性、超弾性、又は形状記憶材からなる。あるいは、棒1064がプッシャー1069から相対的に引かれた場合、伸長部1065がフィン1068の面1063に向けて動かされ、フィン1068が外へ広がり、エンドキャップ1066に係合する。
【0153】
面1063がフィンの先端から遠くにある上記のフィンのデザインの代わりに、面1063はフィンの先端のより近くにあってもよい。このようにすれば、(一般的に曲がる箇所である)フィンの基部もまたフィンの先端方向へ移動していなければ、フィンを広げるのに必要な力が小さくなる。この結果、伸長部1065は、示されているよりも長くなる。
図18Cは、ボルト1062の斜視図であり、基部1061をも示している。
図18Dは、棒要素1064の斜視図であり、伸長部1065及び残りの棒1064の好ましい取り付け方法を示している。
【0154】
リング固定の実施形態
図19A−19Cは、本発明の好ましい実施形態による、リングを用いた固定機構を示す。ケージ1070とボルト1072は、リング1075を用いて互いに固定される。リング1075は、ボルト1072に形成された溝1077に嵌り、それにより、ボルトをスペーサ1070のエンドキャップ1076に固定する。
【0155】
図19Aでは、スペーサは拡張していない。プッシャー1079が前進すると、スペーサ1070は軸方向に収縮し、径方向に拡張する。同時に、リング1075は、スペーサ1070に向けて進む。
図19Bでは、リング1075が溝1077内へと収縮し、それによりスペーサを固定している。
図19Cは、リング1075の一例を示す。リング1075は、ニチノールのような超弾性材料から形成されるのが好ましい。しかし、これは必須ではない。
【0156】
チューブの断面
本発明の好ましい実施形態において、チューブ22(図1A−1D)の断面は円形である。あるいは、他の断面、例えば、三角形や正方形等の多角形断面を用いる。スパイクは、多角形の側面に形成されることが好ましい。上記に代えて又は上記に加えて、スパイクは、多角形の頂点に形成される。本発明の好ましい実施形態では、チューブの内側断面と外側断面とが同じ形を有し、及び/又は、位置合せがされている。あるいは、チューブ22の素材は、径方向の厚みが不均一である。一例では、内側断面は三角形であり、外側断面は正方形又は円形である。上記に代えて又は上記に加えて、断面はチューブ22の主軸に対して非対称であってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、チューブの断面形状は、スペーサの軸方向寸法に沿って変化してもよい。本発明の好ましい実施形態では、断面及び/又はチューブ素材の厚みの変化は、スパイクの位置及び/又は求められるその機能による。例えば、チューブの直径は、エンドキャップにおいて増大する。
【0157】
ワイヤ
図2Mは、ワイヤ121を示す。このワイヤ121は、例えば、スペーサの拡張を制限することに使用できる。図において、ワイヤ121は、隣り合うスパイク、スパイク123及びスパイク125、の先端間のとりうる距離を制限する。このようなワイヤが、スペーサの周囲の全てのスパイクの先端間に形成された場合、スパイクが拡張できる最大限がワイヤの長さにより制限される。上記に代えて又は上記に加えて、ワイヤは、2つのスパイク間の角度距離のみを制限することであってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、このようなワイヤは、スパイクと、スペーサの拡張されない部分とを結ぶことであってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、このようなワイヤは、スパイクの先端以外の部分、例えばスパイクの足部の中央に取り付けられてもよい。実施形態によっては、ワイヤ配置が、スペーサの回りに一様に分布するのではない。例えば、軸方向位置、径方向位置の関数、及び/又はスパイク形状又は分布のである。上記に代えて又は上記に加えて、いくつかのワイヤは、スペーサの挿入前に、医者によって切断又は除去されてもよい。
【0158】
スペーサの断面
一般に、拡張されたスペーサの断面は、所望の用途に合うように適当に選択される。椎骨では、椎間板を、それぞれが脊柱の端に配置された平行な2つのスペーサに置き換えることができる。このような配置において、椎骨間スペーサの断面は、端よりも中央が厚い矩形の箱に近いものとなる。本発明の好ましい実施形態では、前述したように、スパイクの長さ又はチューブの直径を変化させることにより断面を軸方向に変化させられる。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの断面形状は、円形から、例えば矩形又は正方形に変化させられる。正方形のスペーサは、たいてい、丸いスペーサより動き回ることがない。
【0159】
本発明の好ましい実施形態において、断面の形状は、軸に沿って変化してもよく、例えば、半径が軸と共に増大若しくは減少し、又は、砂時計の形状、若しくは葉巻の形状に近いものであってもよい。あるいは、断面形状は、例えば、一端で円形であり、他端で正方形となるように変化してもよい。
【0160】
スペーサの軸形状
本発明の好ましい実施形態において、チューブ22の軸は、すぼんだ形態でも、拡張された形態でも実質的にまっすぐである。あるいは、スペーサの挿入中、及び/又は挿入完了後において、スペーサの軸は曲がっていてもよく、ピースワイズに折れ曲がっていてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、すぼんだスペーサにおいて、スペーサの軸は、曲がっていても、おれていてもよい。
【0161】
一例では、スペーサは、挿入を補助するために曲がった形態で製造される。挿入中、スペーサは、まっすぐに伸ばされる、及び/又は挿入された空間に合わせられることが好ましい。
【0162】
他の例では、スペーサはまっすぐ挿入され、それから挿入された空間に合うように曲げられる。一例として、「C」字又は蹄鉄形状のスペーサは、1つのスペーサで椎間板全体にとって代わる。
【0163】
スペーサは、軸方向において曲がるように予め形成され、それから弾性又は超弾性により挿入のための異なる形態に維持されてもよい。あるいは、例えば、部材72が曲がったスタイレットである場合(図2E参照)、又は曲がった束縛具を用いて(図2F参照)、拡張中にスペーサを塑性変形させる。あるいは、スペーサは、例えば曲げることができるスタイレットをスペーサの内腔に挿入して、それからスタイレットを(体の外側から)曲げることにより、部分的に又は完全に拡張された後に曲げられる。
【0164】
上記に代えて又は上記に加えて、スペーサは、拡張されたときに曲がるように構成されてもよい。一例では、スパイクのスロットが、対向する側面に不均一に設けられ、これにより、スペーサの対向する側面でリング部分が異なる軸方向寸法を有するようにする。図2Nは、スペーサのレイアウトを示す。このレイアウトにおいて、一方のスパイク「A」は、スペーサの反対側にある第2のスパイク「B」より短い。スペーサが拡張された場合、不均一なスパイク長のために、スペーサは曲がる。
【0165】
他の例では、スペーサの2つの側面においてスパイクの長さが等しくない。したがって、それらスパイクが周囲の骨に押しつけられると、内腔が曲がる。あるいは、スパイクと周囲の骨との間で所望の接触及び/又は接触圧が得られるように曲げの形態が選択される。上記に代えて又は上記に加えて、スパイク長及び/又はスロットは、拡張したときにスペーサがその軸の回りにねじられるように構成される。例えば、スパイクのスロットが、スペーサの軸に対して平行でない図5のように構成される。
【0166】
空間充填用のスペーサ
実施形態によっては、椎骨間の空間をスペーサが可能な限り完璧に充填することが望まれる。特に、スペーサと椎骨とを最大限接触させることが望まれる。結果として、スペーサがなるべく椎骨に埋め込まれないことが期待される。後述するように、このような結果は、スペーサをメッシュ、織物、又はバルーンで包むことにより達成できる。あるいは、図6F及び6Cと関連して後述するようなスパイクの形状も接触領域を増大させる。図6Fの例では、椎骨に刺すための小さな伸長部がスパイクに設けられ、スペーサの滑りを防止している。
【0167】
図2Pは、拡張されたスペーサの軸に平行でない内部軸136を有するスペーサ130を示す。本発明の好ましい実施形態において、スペーサ130は、椎骨間の空間55に、その空間の主軸に対して斜めの角度で挿入され、重要な人体構造へ損傷を与える危険性を最小にする。しかし、スペーサが拡張されると、非対称に構成されたスパイク長により、拡張されたスペーサの最終的な輪郭が椎骨間の空間55に合う。図2Pの例では、スパイク132の長さがスペーサに沿って減少し、反対側の対応するスパイクの長さが増大する。椎骨間空間の他方の側から、図に示す点線138に沿って、第2のスペーサを挿入してもよい。図2Pの実施形態において、図の面に垂直なスパイクの長さは等しいことが好ましい。しかし、他の実施形態では、これらのスパイクも、不均一な長さを示してもよい。本発明の好ましい実施形態において、細長い部材60(図2)は、スペーサの正しい向きを示す印又は溝をその上に有する。
【0168】
筋違
本発明の好ましい実施形態において、スペーサが拡張し、スパイクが広がると、本明細書で「筋違」と呼ぶ付加的な構造要素が、2(若しくはそれ以上)のスパイク間、又は1(若しくはそれ以上)のスパイクとスペーサのリング部分との間に張られる。明快のために、(拡張されたスペーサにおける)種々の筋違の形態を説明し、それから、そのような筋違の形態を生成する仕組みについて説明する。
【0169】
図3A−3Eは、本発明の好ましい実施形態による筋違を備えたスペーサの軸方向の図である。図3Aを参照して、(拡張されたときの)スペーサ200は、管状部分206と、そこから径方向に広がる複数のスパイク202とを有する。複数の筋違204がスパイク202の頂点をつないでいる。図3Aの例において、拡張されたスペーサの輪郭は矩形であり、スパイクを結びつける矩形の輪郭を形成するために4つの筋違が備えられている。
【0170】
より多い又は少ない数のスパイクを周囲に形成してもよく、例えば、図3Bに示すように、6つのスパイク及び6つの筋違を備えてもよい。
【0171】
全てのスパイクが、筋違によって、完全に相互連結させられる必要はない。例えば、図3Cに示されるように、筋違204Aはスパイク202A及びスパイク202Bを結び、筋違204Bはスパイク202C及び202Dを結ぶが、スパイク202A及び202C、又はスパイク202B及び202Dを結ぶ筋違はない。
【0172】
さらに、筋違を相互接続するパターンは対称である必要はない。例えば、図3Dに示されるように、スパイク(及び筋違)は、スペーサの一方の側からのみ伸びている。可能性として、これら及び/又は他の筋違に関する変形は、スペーサにおける軸方向位置及び/又は径方向位置との関係で決まる。
【0173】
さらに、あるスパイクは筋違に接続され、あるスパイクは全く筋違に接続されないことであってもよい。例えば、図3Eに示されるように、2つのスパイク210及び212が筋違214によって接続されており、一方、スパイク216及び218は、いずれのスパイクとも接続されていない。
【0174】
図3A−3Eは、筋違が、同じ断面上のスパイクをスペーサが接続している所を示している。いくつかの実施形態では、筋違によって、完全な環(実際には多角形)が形成される。あるいは、筋違は、軸方向に(も)ずれたスパイクを結ぶことであってもよい。例えば、筋違は、スペーサの軸に実質的に平行であってもよい。例えば、筋違の相互接続のパターンは、スペーサの軸回りの螺旋を形成してもよい。これらの軸方向の相互接続は、スペーサの円周回りの接続に追加するものであってもよく、又はそれに代わるものであってもよい。
【0175】
上記の図において、筋違は、隣り合うスパイクの頂点を結ぶものとして示された。本発明の好ましい実施形態において、筋違は、隣り合っていないスパイクを結ぶ。上記に代えて又は上記に加えて、筋違は、少なくともその一方の側をスパイクの頂点でない部分、スペーサのスパイクでない部分、例えばチューブ、ワイヤ、又は他の筋違、に結合される。
【0176】
本発明の好ましい実施形態において、筋違はまっすぐである。あるいは、少なくとも1つの筋違は曲がっている。ある実施形態では、筋違が予め曲げられている。他の実施形態では、筋違が、例えばその筋違の中央に接続されたワイヤ又は第2の筋違により、拡張過程において曲げられる。好ましくは、曲げを管理するために、筋違上に弱化された部分が形成される。
【0177】
図3F−3Mは、スパイク間に筋違を備える1つの機構を示す。この例において、筋違は、スパイクの頂点においてスペーサを囲む。本発明の他の実施形態において、筋違は、付加的な又は代替的な機構を用いて提供される。例えば、スペーサを層状の素材で形成し、その層状の素材において、スパイクを形成する層と異なる層により筋違を形成する。
【0178】
スペーサの継ぎ目
ここで、継ぎ目のいくつかの型と、継ぎ目の動きの相対運動とについて考察することは有益である:
(a)拡張過程において軸方向にのみ移動する継ぎ目、例えばスパイクの基部の継ぎ目;
(b)拡張過程において径方向に移動する継ぎ目、例えばスパイクの頂点;そして、
(c)角度方向に動く継ぎ目。
さらに、一組の継ぎ目の間では数種類の相対運動がある、例えば:
(a)相対運動なし−スペーサの同じ円周上にある2つのスパイクの基部;
(b)軸方向移動−同じスパイクの2つの基部の継ぎ目;
(c)径方向移動−スパイクの基部の継ぎ目と頂点の継ぎ目;
(d)一定距離−スパイクの基部の継ぎ目と頂点の継ぎ目;
(e)距離が変化−同じスパイクの2つの基部の継ぎ目;
(f)角度方向移動−拡張の間にスペーサがねじれる場合。
場合によっては、これらのいろいろなタイプの移動及び相対運動は、1つの継ぎ目において組み合わされることもある。
【0179】
筋違形状
図3F及び3Gは、すぼんだ状態にある筋違付きスペーサの展開図(3F)及び軸方向から見た図(3G)である。展開図では、スペーサは軸方向に割って開かれ、上から見られている(やや円筒図法に類似している)。
図3H−3Jは、スパイクは広がっているが筋違がその最終的な位置にない準拡張状態にある同じスペーサを示している(展開図、軸方向図、及び側面図)。
図3K−3Mは、最終的な拡張状態にある同じスペーサを示している(展開図、軸方向図、及び側面図)。
【0180】
上記の図一式は、いくらか概略的であり、場合によっては、正しい形状がやや
歪んでいたり、あるいは、1つの図に示されている小さな形が他の対応する図に
示されていなかったりする。
【0181】
以下の記述において、説明の簡単のために、スパイクの動きが筋違の動きから独立している。しかし、本発明のいくつかの実施形態では、ここで独立した段階として説明されていることが、実際には組み合わされた1つの段階であり、その中では、筋違がその最終的な位置へ移動している間にスパイクが拡張する。さらに、簡単のために、スパイクは幅も厚みもないものとして示されているが、これは実際の実施形態と異なっている。
【0182】
図3Fは、スペーサの軸部分を展開したレイアウトであり、4つのスパイクAEI、BFJ、CGK、及びDHLを示している。[AEI」は、2つの基部の継ぎ目が「A」及び「I」であり、頂点の継ぎ目が「E」であるスパイクを描いている。筋違は、頂点の継ぎ目の間、EF、FG、GH、及びHEに形成されている。図の両側に現れる点「E」は、同じ点であり、レイアウト図であるために2つある。
【0183】
図3Gは、すぼんだスペーサの軸方向の図である。この図において、A、E、I(及びD、H、L、 C、G、K、 B、F、J)は、単一の点として示されている。
図3Hは、スパイクが完全に拡張された後のスペーサを展開したレイアウトである。各スパイクAEI、BFJ、CGK、及びDHLは、実質的に単一の点として示されている。なお、複数のスパイクはまだ軸方向にずれている。
図3Iは、スペーサの軸方向の図である。この図において、スパイクは拡張しており、筋違がスパイクの頂点を相互に連結している。
【0184】
図3Jは、スペーサの側面図であり、筋違が最終的な形態にないことを示している。スパイクの拡張により筋違がスペーサの表面から持ち上げられていることが示されている。スパイクは、少なくともその一端においてスペーサに直接取り付けられている。
【0185】
図3Kは、拡張(及び軸方向の収縮)後のスペーサの展開されたレイアウトである。スパイクは、スペーサの同じ軸方向位置にあることが示されている。
図3Lは、スペーサを軸方向から見た図であり、完全に展開されたスパイク及び筋違を示している。
図3Mは、スペーサの側面図であり、スペーサと筋違とが同じ軸方向位置にあることを示している。
【0186】
スペーサのパラメータ制御
スペーサの設計において、すぼんだスペーサ、及び/又は拡張されたスペーサの特性は、スペーサの種々の形態で制御することで変えることができる。特に、下記の形態の1以上を変えることができる:
(a)すぼんでいるスペーサの長さ;
(b)すぼんでいるスペーサの外形;
(c)スパイクの長さ、幅、数、密度、及び/又は外形;
(d)スパイク間、及び/又はスペーサの他の部分に対するスパイクの相対的位置;
(e)スペーサを構成する部分の、及び/又は、スパイクの、及び/又は、(もしあれば)スペーサの拡張しない部分の材料の弾性、剛性、塑性、及び他の機械的特性;
(f)スペーサの冶金処理及び他の処理;
(g)スペーサの厚み及び厚みの変化;及び
(h)コーティング
【0187】
特に、ことのほかここに説明するように、スペーサの異なる部分ごと、及び/又は、異なるスパイクごとに上記の形態が異なっていてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、上記の点は、時間と共に変化してもよく、例えば、スペーサが徐々に「学習」した結果、弾性が変化してもよい。
【0188】
スペーサの製造
本発明の好ましい実施形態では、金属性のチューブをレーザ又は電子ビームで切断することによりスペーサを製造する。金属製のチューブは、例えば押し出しにより管として成形されてもよく、又は、例えば溶接によりシートから管として形成してもよい。溶接線は、これは直線でないかもしれないが、スパイクの間に配置されることが好ましい。シートは、はじめに切断され、及び/又は、さもなければ少なくとも部分的に形づくられてから管に成形される。
【0189】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、スペーサの選択された部分に冶金処理が施される。ある実施形態では、例えば、レーザ、電子ビーム、又はプラズマビームにより(切断するのではなく)加熱することによりスペーサの一部分を焼きなます。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの残りの部分は、例えば外側又は内側に熱発散用の型枠を用いて、又は加熱用のビームを遮断するマスクを用いて、ビームの加熱から保護される。型枠は、銅又はアルミニウムのような熱伝導性の材料を含むことであってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、型枠は、能動的な冷却手段、例えば水、オイル、若しくはガスによる冷却手段、又は型枠材の昇華による冷却手段を有する。
【0190】
本発明の好ましい実施形態において、焼き鈍しは、ねじられる又は曲げられる場所又は領域をより柔軟にし、その一方で、(スパイクの足部及び筋違のように)歪まない部分をより硬く維持するために用いられる。
【0191】
他に考えられる(おそらく型枠を利用する)局所的な冶金処理としては、局所的なアブレーション(切り通さない)、イオンのデポジション、局所的な焼結、局所的な溶接、クラッディング、メッキ処理、小さな孔の孔あけ、及び/又は材料のさらなる厚み付けがある。拡張過程でスペーサの多くの部分が冷間加工を施されるので、実施形態によっては、スペーサ全体を焼きなますことすらできることに留意すべきである。拡張過程は、焼きなまされた部分と、焼きなまされていない部分との間の境界領域が過度に歪まないように注意して、例えば拡張を押さえるための適当な型枠、例えば図2の束縛具を備えて行うことであってもよい。
【0192】
本発明の好ましい実施形態における焼き鈍しプロセスは、(接触式又は非接触式の)センサを利用して、焼き鈍された場所、及び/又は焼き鈍されていない場所における局所的な温度にフィードバックをかける。例えば、そのセンサは、焼き鈍し用のビームにより金属が溶解してしまうことを防止するのに使用してもよい。そのセンサは、ビーム強度及びドウェル時間のリアルタイム制御に使用でき
る。上記に代えて又は上記に加えて、そのセンサは、特定の領域が焼き鈍されるために、さらに処理を施す必要があるかどうかを決定するのに使用できる。
【0193】
図20は、本発明の好ましい実施形態によるスペーサの一部1100を示す。図において、模様が付された領域は、スペーサの拡張を促進するために、焼き鈍しを施す部分を示す。
【0194】
図20に示されるように、スパイクを形成するスリットは、まっすぐである必要なく、例えば曲がっていてもよい。示されているように、スパイクの形状は、砂時計のそれである。スパイクの中央を焼き鈍すことにより、砂時計の逆の形とすることもできる。
【0195】
スペーサの孔は、応力を再生する(relive)ために用いられ、丸い必要はなく、例えば図21A及び21Bに示すように、スリットと孔の形状は、スプラインの形状をしている。このような形は、スペーサに非平面的な応力が加わると、スペーサの面からスパイクが外へ広がるので望ましい。示されている寸法は、11×11mmの断面、及び4mmのチューブ断面を有する前湾症用のスペーサの寸法である。
【0196】
イスラエル受理官庁に同日に提出されたPCT出願に記載されているように、このような局所的な焼きなましは、他のインプラント類、例えば歯科用のインプラント、又は髄内釘、そして特に、40%又はそれ以上の大きな伸長が要求される医療成形外科用のインプラントの一部分にも応用できる。
【0197】
本発明の好ましい実施形態では、スペーサに上記処置の1つ以上が施され、及び/又は、スペーサの1以上の上記形態及び/又は設計特性が改善され、これにより、本明細書において特に記載するように、下記のスペーサの望ましい特性を得る:
(a)弾性特性、好ましくは、力の作用方向の関数として;
(b)すぼみ特性、つまり、どれだけの径方向の力が(通常は望まれていないのに)スペーサをすぼまさせ、そしてスペーサはどれだけすぼむか;
(c)挿入前、挿入中、及び/又は挿入後の軸方向、回転方向、径方向、ねじり方向、及び/又は曲げの運動に対する抵抗;
(d)拡張されている最中、及び/又は適所に置かれた後に、体の構造の形に対する一致度及び形を合わせる能力、事によると、スペーサの特性を変えること
が要求される
(e)骨と接触する仕方及び/又は程度、特に骨に食い込むことに関して;
(f)表面領域、特に新たに成長した骨へ付着及び/又は体を刺激する危険性に関して;
(g)挿入、拡張、骨の固定、調整、及び/又は回収の方法及びその容易;
(h)作業域の大きさ、つまり、特定の医療状況に特定のスペーサを合わせるときの許容誤差;及び
(i)新たに成長した骨の支持及び/又は質の向上
【0198】
スペーサの表面処理
本発明の好ましい実施形態では、スペーサは、ASTM F67による第2等級の純粋なチタンから作られる。内部ボルトは、好ましくは、ASTM 136によるTi−6AL−4Vから作られる。
【0199】
本発明の好ましい実施形態において、スペーサは650−800℃の間で、好ましくは真空中又は反応性のない雰囲気中で熱処理される。、例えば400℃以上、700℃以上、又は800℃以上の他の温度範囲及び/又は種々の焼き鈍し時間を用いてもよい。必須ではないが、好ましくは、温度は1100℃以下、1000℃以下、又は900℃以下である。焼き鈍し時間は、例えば、1ミリ秒、1秒、及び10秒である。一般に、焼き鈍し時間及び温度は、材料の種類及び/又は先に行われた材料の処理により変わる。場合によっては、表面を溶かすことさえも望ましい。
【0200】
スペーサは、熱処理の前又は後のいずれかに、(切断により)チューブから形成される。もっとも、スペーサは、シートから形成されてもよく又は他の方法を用いて形成されてもよい。
その後、スペーサにいくつかの処理、汚染物質を取り去る、成形過程で生じたくずを取り去る、尖った縁を滑らかにする、バリを取り去る、及び/又は微小な割れを縮小するために、下記のうちの一以上を施すことができる。
【0201】
最初の処理では、HNOを5ml、HFを2ml含み、水を用いて100mlに仕上げられた25℃の試薬に100秒間浸される。次にスペーサは、超音波攪拌されている60℃の水浴中で洗われ、すすがれる。次にスペーサは、空気乾燥される。
第2の処理、機械的洗浄では、スペーサはトラマル内に置かれ、ガラス(好ましくは小さな結晶を用いる)を吹き付けられ、砂を吹き付けられ、及び/又は(好ましくは粒子サイズが小さい)ダイヤモンドペーストで研磨される。
【0202】
上記に代えて又は上記に加えて、例えば、660mlのエタノール、440mlの2−ブトキシ−エタノール、及び過塩素酸の混合物、又は、(体積が)HNOが70%、HFが10%、及びHOが20%の混合物を用いた電解研磨法が用いられる。電流は、例えば約100mA/mmである。電圧は、例えば15Vである。
【0203】
上記に代えて又は上記に加えて、表面処理は、
(a)油及びくずを除去するためにレーザ切断の後に光洗浄が行われる;
(b)水洗い;
(c)室温で1から5分の酸洗浄;
(d)水洗い;
(e)超音波攪拌されている60℃の水で洗浄;及び
(f)空気乾燥。
からなる。
酸洗浄用の酸は、例えば、20−40mlのHNOと、1−2mlのHFの混合物を水を用いて100mlにしたもの、又は、10mlのHNO、5mlHF、及び30mlの乳酸の混合物である。
【0204】
表面処理の他の例は塩浴である:
(a)5−10分間、20℃の塩浴に浸す;
(b)水で洗浄する;
(c)2−5分間、体積比10%のHSO溶液に浸す;
(d)水で洗浄する;そして
(e)所望の厚さの層が除去されるまで酸に浸すことを繰り返す。耐酸材料を用いてスペーサを選択的に被覆することにより、選択性エッチングを行える。
【0205】
四角いスペーサの実施形態
図4Aは、本発明の好ましい実施形態による、拡張されたときに四角い断面を有するスペーサが拡張されていない形態にあるときの平面図投影図である。図4Bは、拡張された状態における図4Aのスペーサの平面投影図である。図4Cは、拡張された状態における図4Aのスペーサの斜視図である。上記の図は、本発明の好ましい実施形態の寸法をも含んでいる。例えば、長さは114mm(非拡
張時)及び23.9mm(拡張時)、各々の端の直径が4mm(非拡張時)及び14mm(拡張時)、材質はチタン、厚みが0.5mmである。上記に代えて又は上記に加えて、材質は、ニチノール(NiTi)、チタン、外科用のステンレススチール、合成樹脂、複合材、及び/又は種々の合金、例えば生物不活性合金、を含んでもよい。
【0206】
本発明のいくつかの実施形態では、骨が内部へ成長するにつれスペーサが分解する用に、スペーサを生物に吸収されるように作る。これにより、スペーサが、(リモデリングを引き起こすような)局所的な高圧を椎骨に作用させる可能性が減る。スペーサの一部、例えば鋭い端部、のみが吸収されてもよい。
【0207】
スペーサの仕上げ
本発明の好ましい実施形態において、本明細書において説明するように、スペーサは滑らかな表面を有する。一般に、滑らかな表面は、破砕する傾向、及び/又は微小な割れが伝播する傾向が少ない。上記に代えて又は上記に加えて、骨の成長及び/又は付着を促進するために、スペーサの表面の少なくとも一部が荒く仕上げられている。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの表面の少なくとも一部は、骨又は柔らかい組織と係合するための小さな棘を有する。いくつかの実施形態では、スパイクの先端及び/又は先端近くの領域のみが円滑でない表面を有する。このような荒さ及び/又は棘は、滑らかなスペーサをコーティングすることによっても得られる。
【0208】
前湾症用のスペーサ
図4Dは、本発明の好ましい実施形態による、図4A−4Cのスペーサの変形例を示す。これらの変形例では、スパイクが8つではなく6つの軸に交わる方向にのみ拡張している。
【0209】
スペーサ1121の側面図1120が示されている。示されているように、断面の直径は、軸に沿って増大する。大きい方の直径は、患者の胃に近い方の端に備えられることが好ましい。
【0210】
正面図1122は、6つのスパイク方向のみが利用されていることを示している。スパイク1126は、2つの椎骨を引き離し、そして、スパイク1124は、スペーサ1121を安定させる。背中には、水平方向の圧力は存在しないので、水平方向を向くスパイクはこの実施形態には用意されていない。
【0211】
2重のスペーサ
図4Eは、例えばスペーサの剛性を増大させるために、スペーサ142が他のスペーサ140の内側で拡張されているというスペーサの形態を示す。本発明の好ましい実施形態では、内側のスペーサ142のスパイク146が、外側のスペーサ140のスパイク144のくぼみに合う形態を有する。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサ140は、内側のスペーサ142の拡張に対し、(例えば
図2Gのように)型枠として機能してもよい。実施形態によっては、このことは、内側のスペーサのスパイクがより鋭い形となることを必要とするであろうし、及び/又は、拡張する内側のスペーサのスパイクが適切に案内されるように、外側のスペーサの内部構造が案内部のようになることを必要とするであろう。
【0212】
あるいは、スパイク146は、例えば点線148で示すように、スパイク144に合わなくてもよい。好ましくは、いずれのスパイクも合わないように、及び/又は、一方の側面及び/又は一部分のスパイクのみが合うように、2つのスペーサは選択される。
【0213】
一般に、第1のスペーサの剛性が小さすぎることが確認されると、内側用のスペーサが第1のスペーサの中に挿入される。場合によっては、このことは、スペーサ140の拡張が制限された結果として生じるので、スパイク144の基部は幅が広くなっている(結果として弱いスパイクとなる)。好ましくは、内側のスペーサは、同じ処置の間に挿入される。あるいは、内側のスペーサは後で、例えば最初の処置が完了してから数日後に挿入されてもよい。
【0214】
1つのスペーサを他のスペーサの内側に挿入することに代えて又は加えて、他の形態を有する単一の椎骨間空間(又は他の体の空間)に複数のスペーサを用いてもよい。ある形態では、椎間板が、脊柱の各々の端に1つずつおかれた2つの平行なスペーサで置き換えられる。一般に、その2つのスペーサは接触しない。あるいは、2つのスペーサは曲げられて、それらの一つの又は二つの端部で接触してもよい。他の例では、2、3、4、又はそれ以上のスペーサが同軸に、例えば直列に挿入されてもよく、及び/又は、同一平面に、例えば並べて挿入されてもよい。一般的に、少なくとも摩擦及び/又はスパイク固有の柔軟性のために、2つのスペーサのスパイクが連結する。場合によっては、スパイクの間隔及び/又はスパイクの形状は、そのような連結を促進又は抑制するように選択してもよい。スペーサが直列に挿入される場合、連結を促進するために、スペーサは、前方に折れ曲がったスパイク、及び/又は後方へ折れ曲がったスパイクを含んでいてもよい。複数のスペーサは、同時に拡張されてもよい。あるいは、第1のスペーサが既に拡張された後に限り第2のスペーサが拡張される。しかしながら、恐
らく、第1のスペーサの拡張は、第2のスペーサの拡張に合わせるように調整されるであろう。場合によっては、スペーサは同軸ではなく、例えば図2Pに関連して説明したように、それらの軸はほぼ直角である。
【0215】
上記に代えて又は上記に加えて、恐らく1つのスペーサで十分である空間を充填するのに複数のスペーサを用いてもよい。場合によっては、複数のスペーサを用いた方が、空間及び/又は脊柱の支持の制御がしやすい。
【0216】
本発明の好ましい一実施形態において、スペーサは、例えば複合化した、及び/又は局所的に変えられた機械的特性を得るために、種々の材料を含んでいてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、例えば骨の成長を促進するために、スペーサ間の電気化学的ポテンシャルを小さくすべく種々の材料を用いてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサを構成するのに2層の材料を用い、そのスペーサの層の間に絶縁体を備えることにより、小さな電位差ポテンシャルを得ることができる。恐らく、電圧源はスペーサ間で接続され、回路は体液で閉じられる。
【0217】
螺旋状に切れ目を入れたスペーサ
図5は、スリット152が螺旋状のパターンでスペーサ上に形成されたスペーサ150を示す。この実施形態では、軸方向の力よりも、スペーサに回転方向の力を加えることでスペーサ150を拡張できる。本発明の好ましい実施形態では、骨に適した固定具を提供すべく、例えば一組の伸張部154で例示されるように、骨と噛み合うようにスペーサの一端が変形される。本発明の好ましい実施形
態において、伸張部154は、例えば点線156により示されるように、外に折れ曲がり、スペーサが拡張する前に径方向において骨と噛み合う。好ましくは、伸張部が弾性又は超弾性材料から作られ、スペーサが適切な場所に挿入されるまで軸方向の形状に維持される。このような固定方法は、ここに記載されている本発明の他の実施形態においても有用である。しかし、本発明の他の実施形態では、スペーサを固定しなくても適切な場所で拡張できるので、骨の固定部は備えられていない。
【0218】
スパイクの変形例
図6A−6Vは、本発明の好ましい実施形態によるスパイクの変形例、及び/又はスパイクの向き、及び/又はスパイクの配置パターンを示す。
【0219】
スパイクの側面の輪郭
図6A−6Kは、本発明の好ましい実施形態による、種々のスパイク側面の(つまり、スペーサの側面からみた)輪郭を示している。一般に、スパイクの両側の輪郭はつり合っている。しかし、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、その輪郭は、幅方向において変化してもよい。例えば、スパイクに垂直な面、及び/又はスパイクの軸に平行な面へのスパイクの投影は、四角形であってもよくが、三角形であってもよく、例えば砂時計のようなより複雑な形であってもよい。
【0220】
図6Aは、三角形の輪郭を示している。しかし、スパイクの頂点は、通常、もっと丸いであろう。
図6Bは、四角形の輪郭を示している。
図6Cは、逆算角形の輪郭を示している。
図6Dは、砂時計の輪郭を示している。6C及び6Dの輪郭は、隣り合う骨と大きな領域で接触するという利点を有し得る。おそらく、図6Dのスパイクの利点は、つぶれることに対する抵抗力、及び、つぶれるても、部分的であり、完全につぶれる代わりにスパイクが短くなることが見込まれるということにある。これら逆さまのスパイクの他の利点は、それらの逆さまになった基部が隣り合うスパイクの基部に寄り掛かり、恐らくスペーサの剛性を高め点である。
【0221】
図6E及び6Fは、2段スパイクを示している。このようなスパイクにおいて見込まれる利点は、上段のスパイクが、下段のスパイク部分に影響を与えることなく、つぶれることができる点である。他に見込まれる利点は、大きな加重に耐えられる下段のスパイクと、隣接する骨組織によりよく噛み合う上段のスパイクを提供する点である。このようなスパイクの他に見込める利点は、スパイクと骨の間により大きな接触面を提供する点である。
【0222】
図6Gは、非対称なスパイクを示している。なお、ここで説明する他のスパイクも非対称に構成することができる。
図6Hは、スペーサ表面よりも低い部分を有するスパイクを示している。
図6Iは、張り出しており、スペーサに対して角度が垂直でないスパイクを示している。角度は、89°と20°の間でもよく、例えば約40°、約60°、約70°、又は約80°である。上記に代えて又は上記に加えて、スパイクの輪郭は曲がっていてもよい。
【0223】
図6Jは、一つの腕部のみがスペーサに結合されているスパイクを示している。このようなスパイクは、好ましくは、張り出すための細片にあらかじめ荷重をかけ、スペーサが挿入及び/又は軸方向に収縮されるまで、平な位置に維持することにより製造される。本発明の好ましい実施形態では、スペーサが短縮された場合、スパイク要素がスペーサ表面より上にあり、スペーサ表面によって、より張り出した形状へと導かれる。場合によっては、スパイクと交差するスペーサの表面はスペーサから出っ張り、(軸方向の移動を許容するよりも)スパイクを径方向へさらに押しやる。
図6Kは、複数のサブスパイクを有するスパイクを示している。
【0224】
スパイクの方向
図6L−6Nは、スペーサの軸に垂直な面におけるスパイクとスペーサ間の角度の変形例を(軸方向からみた図を用いて)示している。右に傾いたスパイクが示されているが、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、左に傾いたスパイクが用いられている。
図6Lは、スペーサ表面に垂直なスパイクを示している。
図6Mは、スペーサ表面に対して中間の角度、例えば10°と80°の間、例
えば約30°、約50°、又は約70°にあるスパイクを示している。
図6Nは、スペーサ表面に対して平行なスパイクを示している。
【0225】
図6O−6Sは、スペーサ軸に垂直な平面におけるスパイクの輪郭の変形例を(軸方向からみた図を用いて)示している。スパイクを規定するスリットを所望の輪郭の形状に切ることにより、スパイクの輪郭における変化に影響を及ぼすことができる。好ましくは、スパイクを規定する領域が矩形の形状を有するようにスペーサ表面の部分が除去される。しかし、これは必須ではない。前方の輪郭のみが示されている。一般に、後方の輪郭は前方の輪郭とそろっている。しかし、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、前方と後方の輪郭が異なっていてもよい。
【0226】
図6Oは、矩形の輪郭を示している。
図6Pは、台形の輪郭を示している。
図6Qは、三角形の輪郭を示している。
図6Rは、斜めになった輪郭を示している。
図6Sは、曲がった輪郭を示している。
【0227】
スパイクの配置
図6T−6Vは、本発明の種々の好ましい実施形態による、すぼんだスペーサの表面上におけるスパイクの展開されたレイアウトを示している。
図において、スペーサは拡張され、軸方向に切断され、平らにされ、上から見られている。スパイクは、上から見たときに他の形、典型的には矩形をしているかもしれないが、その位置は、円で示されている。径方向、及び/又は軸方向、及び/又は空間の密度は、いくつかの実施形態で図に示すものとは異なる可能性がある。
【0228】
図6Tは、互い違いのスパイクパターンを示している。このパターンにおいてスパイクはリング状に配置されており、そのリングの間に角度方向のオフセットある。リング毎のスパイクの数は、全てのリング間で同じでもよく、周期的に及び/又は軸方向位置の関数として異なっていてもよい。このパターンは、6角形のグリッド配列のようにも見える。
図6Uは、矩形グリッドのグリッド頂点に配置されたスパイクの一様な分布を示している。
【0229】
図6Vは、軸方向位置の関数として軸方向のスパイク密度が変化するスパイク分布を示している。上記に代えて又は上記に加えて、径方向の密度が、軸方向位置の関数として変化してもよい。上記に代えて又は上記に加えて、径方向の密度は、径方向位置の関数として変化してもよい。上記に代えて又は上記に加えて、軸方向の密度は、径方向位置の関数として変化してもよい。
【0230】
複数の足部を有するスパイク
図6W及び6Xは、2以上の足部を有するスパイクを示す。特に図6Wのスパイク300は、3つの足部302、304、及び306を有する。図6Xにおいて、スパイク308も3つの足部を有する:2つの足部314及び1つの足部312である。スパイク308が(図に垂直な方向に)張り出すと、バー310が、前述したいくつかのスパイクのように曲がるよりはむしろ、ねじれる。利用可能な別のタイプの変形は、ピボット型の変形である。このピボット型の変形では、継ぎ目がスペーサの中に形成される。この様な継ぎ目は、スペーサの他の部分とは異なる材料(又は異なる処理を施された材料)を継ぎ目に用いることで形成されるだろう。これらの変形のタイプ(曲げ、ねじり、及びピボット)及び/又は他の変形タイプは、筋違及びワイヤを形成することにも用いることができる。図6Xにおいて、例えば足部312が足部314の間へと軸方向に移動する場合には、スパイク308の基部の幅はゼロになるであろうことに注意する。
【0231】
リフトアップ・スパイク
図6XA−6XCは、リフトアップ機構を示す。リフトアップ機構では、スパイク(この例では頂部が平坦なスパイク)が拡張されていないスペーサの面から持ち上げられる。図6XAは、側面図であり、図6XBは、斜視図であり、図6XCは、平面の見取り図である。図6XB及び図6XG(後述)を参照する。スペーサ部分の端部315及び316がくっつけられると、足部320が曲がり、部分318が矢印の方向へスペーサから外へ持ち上げられる。本発明の好ましい実施形態では、足部320がその端部において弱化されており、足部は、弱化された領域及び/又は弱化により規定される方向にのみ曲がる。
【0232】
図6XD−6XHは、リフトアップ機構の代案を示す。この代案において、複数の足部320’及び持ち上げ部318’は、実質的に、スペーサの同じ半面にあるので、2つの対称に向かい合うリフトアップ・スパイクを1つのスペーサ部分に作ることができる。図6XHは、平面見取り図であり;図6XD及び6XEは、すぼんでいるスペーサの側面図であり;図6XHは、すぼんでいるスペーサの斜視図である。図6XGは、拡張され、部分318がスペーサから持ち上げられているスペーサの側面図である。この図は、図6XA−6XCに同じように当てはまる。
【0233】
リフトアップ・スパイクの一つの利点は、持ち上げられる部分は曲げられないことから、湾曲している材料片からリフトアップ・スパイクを容易に形成できることである。リフトアップ・スパイクの他の利点は、より大きな面接触領域を提供する能力があることである。その接触領域は、スパイクを付けたときよりも滑らかにすることができる。
【0234】
選択的弱化
図6XI−6XLは、図6A−6Kに示したスパイクの輪郭のいくつかを達成することを補助するために、スペーサ材を弱化する例(スペーサの軸方向部分を取り去った側面図を用いて)を示す。図示した弱化は、スペーサ表面に垂直な方向に材料をエッチング及び/又は切断するというものである。弱化は、化学的処理又は冶金処理により、例えば継ぎ目に小さな孔をあけるなど、他の方法によって達成してもよい。さらに、弱化の方向は、他の方向、(図6XAに示すように)例えばスペーサの表面に沿った方向、又はそこに対して斜め方向であってもよい。上記に代えて又は上記に加えて、スペーサの弱化及び/又は強化は、優先的に歪む方向を定めるために加えてもよい。図6XIは、対称形のスパイクを得ることを補助する弱化パターンを示している。図6XJは、非対称形のスパイクを得ることを補助する弱化パターンを示している。図6XKは、平坦な頂部のスパイクを得ることを補助する弱化パターンを示している。図6XLは、円弧形状のスパイクを得ることを補助する弱化パターンを示している。
【0235】
スパイクの組み合わせ
これまでの図では、個々のスペーサの形を例示したが、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、一つのスペーサに、事によると一つのスパイクに、2以上の上記図面における形を組み合わせることができる。その選択される特定のスパイク形状は、とりわけ、スペーサの予定される用途に依存するであろう。特に、スパイクの組み合わせ及び/又は形状は、例えば隣り合わせるスパイクが互いにもたれかかる、又は互いに係合するというスパイク間で望まれる相互作用に応じて選択されるだろう。
【0236】
突出部
図7は、本発明の好ましい実施形態によるスペーサ部分400における突出部を概略的に示している。上記部分は、側面図及び斜視図で示されている。部分400は、スパイク402及び(場合によってはリング部分である)基部410を有する。本発明の好ましい実施形態では、スパイク402の剛性を高めるために、及び/又は圧力によりすぼむことを防止するために、突出部404及び/又は突出部406が備えられている。突出部404の例では、突出部404が動きを妨げるので、スパイク402は右に折れ曲がることがきない。突出部406の例では、そのような動きは再び妨げられる。突出部406は、スパイク402と(軸方向及び/又は径方向にずれた)隣接するスパイク408との間の隙間を埋めることにより、スペーサの剛性を高めることに代わる又はそれに付加される機能を有することができる。
【0237】
本発明の好ましい実施形態において、突出部は、スペーサの厚みの変化させることで作られる。あるいは、突出部は、外へ(又は内へ)折れ曲がるチューブの一部から構成されてもよい。好ましくは、その部分は、外側に存在するように作られ、スペーサがすぼんでいる間は、例えば外側にある束縛具を用いて内側に保持される。あるいは、突出部は拡張により作られてもよく、例えば突出部は、小さなスパイクから構成されてもよい。
【0238】
軸方向収縮の制限
図8Aは、本発明の好ましい実施形態によるスペーサ420を示している。スペーサ420は、スペーサのチューブ部分422の構造により、軸方向の収縮が制限されている。スペーサ420が拡張する場合、チューブ422が軸方向に縮み、スパイク424が張り出す。さらに、両側のチューブ部分が互いの方向へと進む。これらの部分は、図中、タブ428及びタブ426と印を付けられている。しかし、タブは一つだけが必要であり、他方のチューブ部分はスパイクの基部と面がそろっていてもよく、あるいは、それよりも下がってすらいてもよい。2つのタブが当たると、さらに軸方向に縮むことは不可能になるか、厳しく制限される。さらなる収縮は、もし起こった場合は、一方のタブがつぶれること、又は、一方のタブが他方のタブの上を移動することを要する。図6Jに関連して言及したように、この様なタブは、スパイクの張り出し方向をガイドするのに役立つであろう。
【0239】
本発明の好ましい実施形態において、スペーサの機械的特性、例えば応力、の調整は、例えば外部から針を作用させて一方のタブを他方のタブと相対的に動かし、それらタブが軸方向の運動を続けることができるようにすることで行う。なお、この様な軸方向の運動が可能になると、スペーサはさらに拡張できる。
【0240】
拡張されたスペーサ及び/又はスペーサ上の個々のスパイクの最終的な長さ及び/又は形状は、タブ426及び428により相当影響される。本発明の好ましい実施形態では、軸方向の圧縮をタブが妨げるように、又は妨げないように、タブを取り去る及び/又は曲げることにより、スペーサを特定の用途に合わせる。一例として、この様なタブは、外科医がX線画像での最終的な測定を行った後に、手術室でその外科医によって除去されてもよい。他の例では、スペーサが合わない場合に、スペーサを取り去り、調整して、再挿入する(又は、新しい、調整済みのスペーサが挿入される)。
【0241】
本発明の実施形態では、タブ426(及び428)は、スペーサの長さ全体にわたって一様に分布していてもよい。あるいは、軸方向に不均一に分布していてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、径方向に不均一に分布していてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、タブの長さがスペーサの場所により異なっていてもよい。スペーサ上のタブの不均一な分布は、拡張されたスペーサが曲がった形状となる、及び/又は、スパイクが不均一な長さを有することの原因となる。
【0242】
軸方向の収縮制限の代案
図8Bは、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、スペーサ430の一部が自身の上に折り畳まれ、スペーサの軸方向の縮みを制限する。本発明の好ましい実施形態において、この様な折り畳みは、スペーサ430の細片を例えば参照番号436で示される複数の箇所で弱化することにより達成される。好ましくは、弱化は、素材を折る側において薄くすることを含む。上記に代えて又は上記に加えて、その部分は波状の形に予め形成され、そして、(例えば塑性変形する前の)張り出していないスパイク、又は、(例えば図2に関連して前述したような)制限装置のいずれかにより折り畳まれていない状態に維持される。点線438は、スペーサが拡張したときのスパイクの張り出しを示す。
本発明の他の実施形態では、スペーサの内腔の外の代わりに中へスパイクが張り出し、それによりスペーサの軸方向の収縮を制限する。
【0243】
図8A及び8Bに示された実施形態では、軸方向収縮を制限する要素は、スパイクの代わりに配置されているように見える。このことは可能であるが、これは必須ではない。本発明の他の実施形態では、タブ及び/又は波状に折り曲げられたチューブ部分の少なくともいくつかを半径方向においてスパイクの間に配置でき、例えばある半径に4つのスパイクと4つの軸方向収縮制限要素を含めることができる。上記に代えて又は上記に加えて、例えば図8Aに点線427及び429により示すように、タブが、スパイク自体の一部として形成されてもよい。
【0244】
穴掘り用の工具
図9Aは、本発明の好ましい実施形態による穴掘り用の工具450を示す。本発明の好ましい実施形態では、工具450は、スペーサの挿入に先立って椎間板を砕くのに用いられる。工具450は、好ましくは、シャフト452と先端部454とを有する。本発明の好ましい実施形態では、先端部454が、スペーサとの関連で前述したように、半径方向に膨張可能な要素を有する。これにより、工具は、すぼんでいる直径で挿入でき、掘るべき空間内でのみ膨張させることができる。シャフト452が回転させられると、先端部454も回転し、椎間板の物質を砕く。
【0245】
本発明の好ましい実施形態では、工具450の全体が単一の材料から作られる。あるいは、異なる固さ、剛性、及び/又は耐研磨性のある材料を先端部に用いてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、先端部454の中の側部及び/又は端部は、粉砕を促進するために、尖らせる、及び/又は研磨性材料を被覆することであってもよい。
【0246】
図9Bには、図9Aの工具が描かれており、本発明の好ましい実施形態に従い曲げられた形態が点線により示されている。一般に、掘られる空間の形状は、円断面ではない。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも先端部454の近傍にでシャフト452を曲げることで、先端部454の届く範囲をより大きくしてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、先端部454自身を曲げてもよい。本発明の好ましい実施形態では、シャフト452内に形成された内腔456内へスタイレット458を挿入することにより曲げを行う。あるいは、近傍462が柔軟で、先端部454が自由に曲がることを許容する。
【0247】
本発明の好ましい実施形態では、スタイレット458は、シャフト452とともには回転せず、先端部454は一定の角度に維持され、たとえば先端部454を位置460に維持する。あるいは、スタイレット及びシャフトは同期して回転させられる。
【0248】
上記に代えて又は上記に加えて、工具454は、工具454の軸方向の収縮により曲げられてもよい。上記に示したように、タブ426の不均一な分布のために(図8A)、軸方向の収縮がスペーサの2つの側面で等しくなくてもよい。一例では、標準的な軸方向の収縮は、まっすぐな工具の先端部をもたらす。軸方向の収縮が増大された場合(例えば、そしてスパイクがより拡張され、及び/又はより多くのタブが当たると)、工具は一方の方向へ曲がり、そして、収縮がさらに増大すると、工具は他の方向へ、おそらく反対の方向へ曲がる。
【0249】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、工具450内の内腔が、他の用途を有していてもよい。これらの用途は、内腔456と同じ内腔を用いてもよいし、独立した内腔を必要としてもよい。その用途は、シャフトが回転している間、及び/又はシャフトが静止している間に利用されてもよい。このような内腔の一つの用途に、砕かれた椎間板の物質を吸い出すことがある。他の用途は、流体、例えば医薬、組織軟化剤、及び/又は医療画像造影剤、を注入することである。上記に代えて又は上記に加えて、内腔は、例えばレーザ光線、ナイフ・エッジ、低温手術用の工具、RFコイル又は電気カッター、を内腔を通して供給することによる切断作用を提供するために用いられてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、研磨剤の高圧流を供給してもよい。上記に代えて又は上記に加えて、内腔は、クリップ又はステープルのような、内視鏡手術用の工具及び/又は組織結合器を提供するために用いられてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、内腔は、光学的検査手段又は超音波検査手段のような、画像形成手段を提供することに用いられてもよい。上記に代えて又は上記に加えて、内腔を介して、スペーサを提供し、及び/又は拡張させ、及び/又はすぼませてもよい。本発明の一つの好ましい実施形態では、椎間板が除去された後に、工具自体をさらに膨張させてスペーサとして用いてもよい。
【0250】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、内腔の上記用途は、スペーサによっても行える。特に、工具450は、スペーサを通して提供されてもよい。他の例では、第2のスペーサを第1のスペーサを通して挿入してもよい。第2のスペーサの挿入は、第2のスペーサの部材60を拡張されたスペーサの中を通すことにより行う。
【0251】
スペーサの外形の他の用途
前述したように、拡張可能なスペーサは、脊柱融解に特に適している。しかし、類似の外形をした装置は、他の用途を有していてもよい。一つの用法は、例えば、先に言及したPCT刊行物WO98/38918に記載された一般的な要求を満たす骨の固定装置である。図10Aは、(この例では骨の固定具として用いられている)スペーサ704が挿入された骨折部702を有する骨を例示している。オプションとしての細長い部材706が、例えば図2との関連で前述したように、ガイドとしてあってもよく、又はスペーサの延長部用としてあってもよい。本発明のスペーサは、いくつかの実施形態では、小さな孔を通して、おそらく切開手術をせずに、挿入できる。スペーサは、少なくともその先端部に雄ねじを有し、それによって骨の中へねじ込むことができることとしてもよい。好ましくは、切開手術による切り口を必要とせずに、骨にもうけた同じ孔又は新しい孔を通してスペーサを除去することもできる。図10Bに示されるように、スペーサの挿入が完了すると、スペーサの調整及び/又は除去を補助するために、恐らくスペーサの延長部を用いて、フレア状の開口部708が骨に維持される。あるいは、通常、スペーサは骨の大きな容積を塞ぐのではないので、スペーサを除去する必要がないかもしれない。図10Cは、曲がった骨710、例えば肋骨、へのスペーサの挿入を示している。このようなスペーサは、小さな骨、例えば指の骨、にも挿入することができる。
【0252】
歯科用インプラント
図11は、本発明の好ましい実施形態による歯科用インプラント600の分解図である。顎601において歯が失われ、その後に穴602が残っている。本発明の好ましい実施形態では、拡張可能なスペーサ604が穴に挿入され、そこで拡張され、歯の被せ物606用の支えを形成する。好ましくは、粉状の骨又は歯の物質のような充填剤が穴602を充填するために用いられる。歯の被せ物のための完全な支えを形成する代わりに又はそれに加えて、支えと、穴602の壁との間の空間を充填するために拡張可能なスペーサを用いることもできる。上記に代えて又は上記に加えて、複数の根を有する自然の歯の一つの根を拡張可能なスペーサで置き換えてもよい。骨の組織、歯の物質、神経組織、及び/又は血管は、スペーサの中空部の中へと成長できることに注意する。強化のために、内部の支え、例えば図2との関連で前述したねじ、をスペーサの中に挿入することであってもよい。
【0253】
柔軟な生組織の結合器
図12A−12Cは、本発明の好ましい実施形態による、軸方向に収縮する、生組織の留め具610の使用状態を示している。組織612が組織614に留められる。留め具610の先端部611は、好ましくは先鋭であり、おそらく返し又は曲げが設けられており、好ましくは、図12Aに示すように2つの組織を突き通す。留め具610は、幅が狭く及び/又は柔軟であり、このためにカテーテル、内視鏡を用いた、及び又は外部のシリンジのような装置を用いた応用に適している。
【0254】
図12Bにおいて、第1の組のスパイク616及び/又は第2の組のスパイク618が、好ましくは張り出し、組織が互いから離れないようにしている。一組のスパイク、例えばスパイク616、のみが張り出している場合には、2つの組織をまとめるために留め具を軸方向、例えば矢印620の方向、へ動かしてもよい。組織612及び/又は組織614は、相当な厚みを有しうることに留意すべきである。このような場合、スパイクは、図12Bに示したように後ろではなく、組織の中へと張り出すことが好ましい。しかし、組織を係合させるという機能は、果たされることが好ましい。
【0255】
図12Cにおいて、留め具610の残りは軸方向に収縮し、2つの組織を極めて近接させる。留め具の中間部分622の幅は、スパイク616及び618が張り出されたときの組織間の距離によるであろうし、及び/又は、処置の間に留め具が動いたかによるであろう。しかし、一般に、2つの組織間の距離は図12Aにおけるより相当小さくなり、2つの組織は、好ましくは相対運動をわずかに許容するか、全く許容しないように、部分622により連結される。留め具(又は前述したようなスペーサ)は、互いに相対的に回転できる複数のリンクにより形成されてもよい。したがって、取り付けられた2つの柔軟な組織は、おのおのがスペーサの異なるリンクにより保持された場合、互いに相対的に回転できる。本発明の好ましい実施形態において、このようなリンクの各々は、独立して拡張したり、すぼませたりできる。
【0256】
前述したのように、留め具610のスパイクは、所定の順番で拡張することが好ましい。しかし、図12A−Cの動作は、すべてのスパイクが同時に拡張されても生じる。一般に、軸方向のわずかな収縮の後、スパイク616は、先端611により組織612に作られた孔を通って引き戻されない程度に十分に拡張する。さらなる軸方向の収縮は、(組織612を伸ばす/動かすことにより)孔における張力を増大させるが、スパイクの大きさをも増大させ、この結果、スパイクの引き戻しはあり得なくなる。
【0257】
本発明の好ましい実施形態では、留め具610を正確に配置する必要はない。なぜならば、一旦、組織612及び614が留め具610により曲げられ、それぞれ2つのスパイク位置の間に置かれると、留め具のさらなる軸方向の収縮が、必ず組織を係合させ、それらをまとめるからである。
【0258】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、部分622におけるスパイクの長さが、留め具610の残りにおけるものより長く、より大きな軸方向の収縮を可能にしている。いくつかの応用例において、留められた柔軟な組織の間にいくらかの「自由」空間を許容することが望ましい。
【0259】
本発明の好ましい実施形態において、一旦、図12A−12Cのプロセスが完了すると、留め具610は、それを適所に保持していた(不図示の)部材からその端部624において切り離される。あるいは、留め具610は、部材に保持されることなく、組織の中へ注入され、自身で拡張できる弾性または超弾性の要素からなる。あるいは、留め具610は、連続押し出しされた留め具の一部から構成されることであってもよい。柔らかい組織を留めることを求められた場合、図12A−12Cにあるように留め具の短い部分が使用され、そして留め具の残りの部分が切断される。したがって、要求される最小の直径、最小限の道具交換及び/又は除去動作により、複合的な留めるための動作を実行できる。
【0260】
代わりの実施形態として、単一のスパイクが、スパイク616及び618にかかっていてもよい。図2K(マルチ−サブ−スパイクのスパイク例)に戻って、単一のスパイクは、2以上のサブスパイク、例えばサブスパイク616及びサブスパイク618、を含んでいてもよい。このような単一のスパイクが部分的に広がると、その2つのサブスパイクが柔軟な組織と係合する。スパイクが続いて広がる(留め具の軸方向の圧縮)につれ、サブスパイクの各々の半径方向の広がりが増大し、そして互いに近づけられる。このような挙動は、例えば図2XIとの関連で前述したように、スパイクを適当に弱化させることにより制御できる。スパイクが異なる方向において異なる程度で弱化されていると、軸方向の圧縮が加えられた場合に、弱化された場所が一般に最初に、次にもっとも強い場所が、折れ曲がる。
【0261】
柔軟な組織を柔軟な組織に留める代わりに、留め具610に似た留め具を柔軟な組織を骨に取り付けるのに使用してもよい。一例において、先端部611が骨への固定具を有する場合、図12A−Cのプロセスは、骨の中にスパイク616を張り出す必要がない点をのぞき、組織614を骨612へ取り付けるために実行することができる。あるいは、スパイク616は、骨をよりよく保持するために、小さな量だけ拡張される。あるいは、例えば、先端部611が骨の皮質部分から柱部分へ突き抜けた場合、スパイク616は大きな量を拡張される。
【0262】
柔軟な組織を骨に留めることに代えて又はこれに加えて、骨を骨に取り付けるのに、及び/又は2つの骨の間に引きつける力を加えるために、同様な留め具を使用することができる。この実施形態では、スペーサが軸方向に短くなった場合に、スパイクが広がる必要はないであろう。本発明の好ましい実施形態では、図6Kに示された、スパイクが最小量張り出すスパイク形状が使用される。あるいは、スパイクは、好ましくは図6Kの逆のスパイク輪郭を用いて、内腔の中へと「張り出す」ことでもよい。
【0263】
スペーサを用いての空間の充填
拡張するスペーサの他の可能な用途は、体内の空洞を充填すること、及び/又は体の組織の機械特性、例えば剛性、弾性、圧縮されたときの最小寸法、を変えることである。例えば、このようなスペーサは、椎間板を硬化するのに使用できる。上記に代えて又は上記に加えて、このようなスペーサは、新しい組織の成長のための枠組みとして使用できる。上記に代えて又は上記に加えて、排膿を向上させるのに使用される。体の組織の機械的特性を変えることは、美容目的、例えば弛みを減らすこと、しまりのない肉の隠蔽、にも使用できる。
【0264】
このようなケースのいくつかにおいて、スペーサは、少なくとも一部において、図4A−4Cとの関係において記載したよりも柔らかく、薄く、及び/又はより柔軟な材料から構成される。一例において、スペーサは合成樹脂から作られる。他の例では、スペーサは、ポリマーをコーティングした金属からなる。
このようなスペーサの他の可能な用途は、押しつぶされた、又はそうでなければ塞がれた空気の通路をあけることである。上記スペーサのいくつかの実施形態の利点は、例えばスペーサが適切に開けることに失敗しても、スペーサが本質的にさえぎることにならないことである。
【0265】
スペーサ外形の外部からの制御
本発明の好ましい実施形態において、スペーサは、例えば前述したように、挿入後に、体の外から制御することができる。一例では、図2Jにもどって、例えば小さな永久磁石がねじに連結されていれば、体の外から磁力を作用させることにより、ねじ124を回すことができる。強力な永久磁石が体の外で回されると、小さいねじにトルクが加わり、ねじがまわる。他の例において、外部から加えられた磁場及び/又は電場を、加圧された流体にバルーンの膨張又は収縮をさせるバルブの制御に使用し、それにより、軸方向に、及び/又は半径方向にスペーサを拡張又はすぼまさせることができる。いくつかの実施形態において、例えば、スペーサを周期的に軸方向に圧縮するために、スペーサの中に統合された(電
気的又は機械的)ロジック(logic)を使用してスペーサの拡張を制御する。電力及び/又は制御信号は、体の内側から、又は体の外の電源(又はコンピュータ)から供給されてもよい。
【0266】
上述した、拡張可能な挿入物に関する装置及び装置をいろいろな方法により変更できることは理解されるであろう。加えて、方法及び装置の双方に関する種々の特徴の多様性が記載されてきた。種々の特徴が種々の方法で組み合わせられることは理解されるべきである。特に、上記で特定の実施形態において示された特徴の全てが、本発明の好ましい類似の実施形態の全てで必要とされるのではない。さらに、上記特徴の組み合わせも本発明の好ましいいくつかの実施形態の範囲内にある。多くの実施形態は装置又は方法としてのみ記載されたが、本発明の範囲は、装置を使用する方法、及び方法を提供する装置の双方を含むこともまた理解されるべきである。本発明の範囲は、ここに記載された装置を作るための機械をも含む。加えて、本発明の範囲は、ここに記載された装置を使用する、組み立てる、較正する、及び/又は維持する方法を含む。段落の見出しは、明快と、明細書の拾い読みを容易にすることを意図しており、記載された主題の適用可能性を制限するものと解釈されてはならない。クレーム又は上記文章において、「構成する」、「からなる」、「含む」、「含んでいる」その他の用語は、「含むが限定されない」ことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0267】
【図1A】図1Aは、本発明の好ましい実施形態による拡張可能なスペーサが拡張されていない形態の平面投影図を示す。
【図1B】図1Bは、図1Aのスペーサの斜視図を示す。
【図1C】図1Cは、拡張された形態における図1Aのスペーサの軸方向平面投影図及び正面平面投影図を示す。
【図1D】図1Dは、拡張された形態における図1Aのスペーサの斜視図を示す。
【図2A−2D】図2A−2Dは、本発明の好ましい実施形態に基づくスペーサを挿入し拡張させる手順を示す。
【図2E−2G】図2E−2Gは、本発明の好ましい実施形態によるスペーサの拡張を制御する方法を示す。
【図2H−2J】図2H−2Jは、本発明の好ましい実施形態による除去可能及び/又は調整可能なスペーサを示す。
【図2K−2L】図2K−2Lは、本発明の好ましい実施形態によるスペーサの拡張を制御するように成形された先端部を示す。
【図2M】図2Mは、本発明の好ましい実施形態による拡張を制限するワイヤを有するスペーサを広げたレイアウトである。
【図2N】図2Nは、本発明の好ましい実施形態による自身で曲がるスペーサを広げたレイアウトである。
【図2O】図2Oは、本発明の好ましい実施形態による内部エンドキャップを有するスペーサを示す。
【図2P】図2Pは、本発明の好ましい実施形態による拡張されたスペーサの軸に対してすぼんだときの軸が平行でないスペーサを示す。
【図3A−3E】図3A−3Eは、本発明の好ましい実施形態による筋違を有するスペーサの軸方向からの図である。
【図3F−3M】図3F−3Mは、スパイクの間に筋違を備える一つの方法を示し、この例では筋違がスパイクの頂部においてスペーサを取り囲む。
【図4A】図4Aは、本発明の好ましい実施形態による、拡張されたときに四角い輪郭を有するスペーサが拡張していない形態にあるときの平面投影図である。
【図4B】図4B拡張された形態にある、図4Aのスペーサの軸方向平面投影図及び正面平面投影図である。
【図4C】図4Cは、拡張された形態にある、図4Aのスペーサの斜視図である。
【図4D】図4Dは、本発明の好ましい実施形態による図4A−4Cのスペーサの変形例を示しており、スパイクが8つではなく6つの軸に交わる方向にのみ拡張している。
【図4E】図4Eは、一方のスペーサが他方のスペーサの中で拡張しているスペーサの形態を示す。
【図5】図5は、スリットが螺旋状にスペーサに形成されているスペーサを示す。
【図6A−6V】図6A−6Vは、本発明の好ましい実施形態による、スパイク及び/又はスパイク方向の変形例を示す。
【図6W−6X】図6W及び6Xは、スペーサが拡張したときにねじれる部分を有するスパイクを示す。
【図6XA−6XC】図6XA−6XCは、本発明の好ましい実施形態による、平坦な頂部を有するスパイクを示す。
【図6XD−6XH】図6XD−6XHは、本発明の他の好ましい実施形態による、平坦な頂部を有するスパイクを示す。
【図6XI−6XL】図6XI−6XLは、所望のスパイク形状を得るために、スペーサの一部を移動させる方法を示す。
【図7】図7は、本発明の好ましい実施形態による、スペーサの一部にある突出部を示す。
【図8A−8B】図8A−8Bは、本発明の好ましい実施形態による、スペーサのチューブ部分の構造によりスペーサの軸方向収縮が制限されるスペーサを示す。
【図9A】図9Aは、本発明の好ましい実施形態による穴掘り工具を示す。
【図9B】図9Bは、本発明の好ましい実施形態による図34の工具を曲がった形態で示す。
【図10A−10C】図10A−10Cは、本発明の好ましい実施形態による拡張可能な骨のインプラントを示す。
【図11】図11は、本発明の好ましい実施形態による歯科用のインプラントの展開図である。
【図12A−12C】図12A−12Cは、本発明の好ましい実施形態による、軸方向に短縮する組織留め具の用途を示す。
【図13A−13C】図13A−13Cは、本発明の好ましい実施形態によるスペーサの拡張の制御方法を示す。
【図14A−14B】図14A及び14Bは、1以上のフィンがボルトから飛び出しスペーサと係合する本発明の好ましい実施形態によるフィンによる固定機構を示す。
【図15A−15B】図15A−15Bは、本発明の好ましい実施形態による、塑性変形を利用した図14A−14Bと類似の固定機構を示す。
【図16A−16F】図16A−16Fは、本発明の好ましい実施形態による、拡張するフランジを利用した固定機構を示す。
【図17A−17C】本発明の好ましい実施形態による、スペーサ上のフィンがスペーサ内のボルトに係合する他の固定機構を示す。
【図18A−18D】図18A−18Dは、本発明の好ましい実施形態による、ボルトの棒要素が引かれたときにボルト上のフィンが広がる固定機構を示す。
【図19A−19C】19A−19Cは、本発明の好ましい実施形態によるリングによる固定機構を示す。
【図20】図20は、本発明の好ましい実施形態による、スペーサの拡張を補助するスペーサの部分を示す図であって、縞模様の複数の領域が焼きなまされるべき部分を示している。
【図21A−21B】図21A−21Bは、本発明の好ましい実施形態による、応力緩和のためのスパイクのデザインを示す。
【符号の説明】
【0268】
20、100、110、120 スペーサ
22、122 チューブ
24 スパイク
26 スリット
28 スパイク部分
30 非スパイク部分
34、108、116 エンドキャップ
50、52 椎骨
54 椎間板
104 把持部材
106 維持部材
112、124 ねじ
128 ねじ回し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能な骨内スペーサであって、
表面、近い端部、遠い端部、及び長さを有する、軸に沿ったチューブと、
前記チューブが載置されたハンドルを備え、
前記表面は、複数のスリットを規定しており、前記複数のスリットは、軸方向にずらされた少なくとも2つの拡張部を規定し、
前記チューブが軸方向に圧縮された場合に、前記拡張部は前記表面から外へ拡張し、拡張されたスペーサの外形を規定する、
拡張可能なスペーサ。
【請求項2】
前記少なくとも2つの軸方向にずらされた拡張部は、少なくとも3つの拡張部を含み、前記3つの拡張部は、前記チューブから少なくとも3つの異なる方向へ張り出す、請求項1のスペーサ。
【請求項3】
前記少なくとも2つの軸方向にずらされた拡張部は、少なくとも4つの拡張部を含み、前記4つの拡張部は、前記チューブから少なくとも4つの異なる方向へ張り出す、請求項1のスペーサ。
【請求項4】
前記スリットはまっすぐである、請求項1から3のいずれか1項のスペーサ。
【請求項5】
前記スリットは曲がっている、請求項1から3のいずれか1項のスペーサ。
【請求項6】
前記スリットは前記チューブへの切り目により形成される、請求項1から5のいずれか1項のスペーサ。
【請求項7】
前記スリットは、前記チューブから除去された切片により形成される、請求項1から5のいずれか1項のスペーサ。
【請求項8】
前記スリットは、前記チューブの軸にほぼ平行である、請求項1から7のいずれか1項のスペーサ。
【請求項9】
前記スリットは、前記チューブの軸に非平行である、請求項1から7のいずれか1項のスペーサ。
【請求項10】
前記スリットは、長さの等しい対として設けられている、請求項1から9のいずれか1項のスペーサ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図2M】
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【図2N】
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【図2O】
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【図2P】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図6M】
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【図6N】
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【図6O】
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【図6P】
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【図6Q】
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【図6R】
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【図6S】
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【図6T】
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【図6U】
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【図6V】
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【図6W】
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【図6X】
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【図6XA】
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【図6XB】
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【図6XC】
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【図6XD】
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【図6XE】
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【図6XF】
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【図6XG】
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【図6XH】
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【図6XI】
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【図6XJ】
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【図6XK】
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【図6XL】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【公開番号】特開2009−6186(P2009−6186A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266752(P2008−266752)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【分割の表示】特願2000−595624(P2000−595624)の分割
【原出願日】平成12年1月27日(2000.1.27)
【出願人】(301050522)ディスク−オー−テック メディカル テクノロジーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】