説明

スライダ保持カバー及びこれを取り付けたファスナー付袋体。

【課題】ファスナーにスライダを取り付けた状態で運搬しても勝手にこぼれたり、店頭などに展示してもスライダをスライドさせることが出来ず且つ盗難等を防止することが出来且つ袋体の購入者は簡単にスライダをスライドさせることが可能で商品を取り出すことの出来るスライダ保持カバーを提供する。
【解決手段】ファスナー2に取り付けたスライダ3周囲に側壁及び上面壁と前面開口部後面壁を設け、該スライダ3を覆うスライダ保持部材4と、一方に平板で突起部5aと、他方に前記突起部5aを嵌め入れる穴をそれぞれ設けた柔軟な係止部材5と、前記スライダ保持部材と係止部材とを連結する連結棒6と、を備え、小孔1aを設けた袋体1に固定するスライダ保持カバー7及び袋体の前記小孔に前記突起部5aを通し、前記スライダー保持カバー7を取り付けて固定するファスナー付袋体1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い合成樹脂製等の袋体の開口部に取り付けたファスナーに開閉用としてスライダを取り付け、商品を収納した袋体を運搬する際商品がこぼれ出たりしないようにしたり、店頭に並べたとき内部の商品の盗難を防止することのできるスライダ保持カバー及びこのこれを取り付を取り付けたファスナー付袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に化粧品や菓子類或いは文房具類等薄い樹脂製等の薄いシートで製作された袋体に収納してスーパーストアやコンビニエンスストア等の店頭に並べて販売することが多い。近年は、図16に示すように、袋体1にファスナー2を設け、該ファスナー2にスライダ3を取り付けてスライドさせることによって開閉し、内部の商品を出し入れするものもある。この場合、図16(A)、(B)に示すように、ファスナー2は、袋体1の開口部の近傍の一方の内壁1bに設けられた凸条係合部2aと、ほぼ同じ位置の対向する内壁1cに設けられ該凸条係合部2aを嵌め入れる凹条溝係合部2bと、からなり、スライダ3でファスナー2を開閉する。スライダ3には、凸条係合部2aと凹条係合部2bとを分離する突起3aと係合させる凹部3bとが形成されている。
【0003】
多数の商品を収納した袋体を運搬するときスライダ3を閉めておいたつもりでも、一部の袋体では若干開いた状態で運ばれると袋体内部の商品が自然とこぼれ出ることもある。通常、ファスナー2にスライダ3を取り付けた商品入り袋体1を店頭に並べて置いた場合、スライダ3は簡単にスライドさせることができるので袋体1内の商品はフアァナー2を開けて簡単に取り出すことが可能である。従って、袋体1内の商品は簡単に万引きされることもあり、また店頭で例えば吊り下げた状態で袋体を並べた場合その状態で盗難されると簡単には気付かれない。しかもスライダのスライド操作時には殆ど周囲の人に聞こえるような音はしないので余計に気付かれない。このようにファスナー2にスライダ3を取り付けることは便利であるが、店頭販売時盗難に逢いやすいという問題がある。
【0004】
従来の店頭に吊り下げた袋体入り商品を盗まれない工夫としては、帯状体に再閉塞可能なファスナーにプラスチック製のスライダを跨いで走行させるように取り付け、前記ファスナーのの端部に設けた端側停止部で停止し、該スライダの突出部がファスナーの凹部に嵌まり、固定するように構成されたスライダを閉じた位置に保持する構造を備えた再閉塞可能なプラスチック製ファスナーが知られている(特許文献1)。その他盗難防止用の簡易な錠が要求される袋物類等のスライダとしてはジッパーのスライダーに設けるものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−91911
【特許文献2】特開2000−225007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図15に示すように、袋体1の開口部にファスナー2を設けてスライダ3を取り付けると、開口部のファスナー2を開閉するためには、スライダ3をスライドさせないと開閉することは出来ない。従って、スライダ3をファスナー2にスライド不可能に固定すれば、袋体に収納した商品は取り出し不可能となり、商品のこぼれ防止や、盗難防止は可能であるが、袋体に入った商品の購買者は開閉部のファスナー2が開閉しないので商品を取り出すことが出来ないことになる。また、スライダ3をファスナー2に固定することは通常の状態ではできない。いずれにしてもファスナー2を開かないようにしたり、スライダ3の走行を不可とすればファスナー2にスライダ3を取り付ける意味はない。また、ファスナー2に設けたスライダ3を固定することはファスナーとスライダの機能を発揮することが不可能となるので通常の状態では固定することが出来ない。
【0007】
本発明は、上記する課題を解決するためになされたものであり、ファスナーにスライダを取り付けた状態で運搬しても勝手にこぼれたり、店頭などに展示しても、スライダをスライドさせることが出来ず且つ盗難等を防止することが出来、商品の入った袋体の購入者は簡単に従来のようにスライダをスライドさせることが可能で商品を取り出すことの出来るスライダ保持カバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記する課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、スライダ保持カバー(7)が、袋体(1)に設けたファスナー(2)に取り付けたスライダ(3)周囲の両側側壁(4a、4b)と上部壁(4f)と前面に設けた開口部(4c)および後面壁(4e)とより成り、該スライダ(3)を覆うスライダ保持部材(4)と、曲げ可能な平板の一方の端部近傍に先太部(5b)を設けた突起部(5a)を、平板の他方の端部近傍に前記先太部を嵌め入れる穴(5c)をそれぞれ設けた係止部材(5)と、
前記スライダ保持部材(4)と係止部材(5)とを連結する連結棒(6)と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載のスライダ保持カバー(7)を設けた袋体(1)は、袋体(1)に設けたファスナー(2)に取り付けたスライダ(3)周囲の両側側壁(4a、4b)と上部壁(4f)とスライダ前面に設けた開口部(4c)および後面壁(4e)とより成り、該スライダ(3)を覆うスライダ保持部材(4)と、
曲げ可能な平板の一方の端部近傍に先太部(5b)を設けた突起部(5a)を、平板の他方の端部近傍に前記先太部(5b)を嵌め入れる穴(5c)をそれぞれ設けた係止部材(5)と、
前記スライダ保持部材(4)と係止部材(5)とを連結する連結棒(6)と、
を備えたスライダ保持カバー(7)を、前記係止部材(5)の前記突起部(5a)を袋体(1)のファスナー(2)近傍に設けた小孔(1a)を通し、該突起部(5a)を前記穴(5c)に通して固定することを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、スライダ保持カバーまたは/及びファスナー付袋体が、前記スライダ保持部材(4)には、スライダ(3)を覆うように嵌め入れたとき、前記スライダ保持部材(4)の側壁(4a、4b)はスライダ(3)寄りに全体を湾曲させかつ内側壁にスライダ側部と接するように凹凸(4d、4d)を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
スライダ保持カバーは、ファスナーに取り付けられたスライダにカバー部材を被せると共に係止部材を袋体に固定してスライダを不動とすることが出来る。このため袋体の内部に収容した商品が運搬中にこぼれたり、店頭に並べたとき取り出しが不可能となるので万引き等の盗難を防止することができる。また、スライダカバーは連結棒を鋏やカッター等でカットすることができるのでこれらのスライダカバー部材から係止部材を切り離し、購入者は自由にスライダを移動させ袋体に商品を出し入れすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のスライダ保持カバーの平面図である、
【図2】図2は、本発明のスライダ保持カバーの側面図である。
【図3】図3は、本発明のスライダ保持カバーの底面図である。
【図4】図4は、図1の本発明の平面図をP矢視方向から見た図である。
【図5】図5は、図1の本発明の平面図をQ矢視方向から見た図である。
【図6】図6は、本発明のスライダ保持カバーの図1の平面図のDーD矢視断面拡大図である。
【図7】図7は、本説明を構成する係止部材のBーB矢視断面図である。
【図8】図8は、斜方向前部上方から見た本発明を構成するスライダ保持カバーの全体図である。
【図9】図9は、斜方向後部上方から見た本発明を構成するスライダ保持部材全体図である。
【図10】図10は、前部斜方向下方から見た本発明を構成するスライダ保持部スライダ保持部材4の全体図である。
【図11】図11は、後部斜方向下方から見た本発明を構成するスライダ保持部材の全体図である。
【図12】図12は、図1のスライダ保持部材のC部拡大図である。
【図13】図13は、スライダを袋体に取り付けた状態のスライダを本発明のスライダ保持カバーで保持させた状態の全体斜視図である。
【図14】図14(A)は、ファスナーに設けたスライダに本発明のスライダ保持カバーを被せる前の状態を示す側面図であり、図14(B)は、スライダを嵌めた状態のスライダ保持カバーの側面図である。
【図15】図15は、本発明のスライダ保持カバーの係止部材をファスナーのある開口部の端部より直角の上端部で固定する状態の図である。
【図16】図16は、従来のファスナー付袋体の断面図であり、図16(A)は袋体に設けたファスナーが係合した状態を示し、図16(B)はスライダの突起でファスナーの係合状態を分離した状態を示し、図16(C)はスライダでファスナーを係合させた状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的実施の形態を添付図を参照しながら説明する。なお、従来と同一の構成要素には従来の符号と同一の符号を使用して説明する。
図1は、本発明のスライダ保持カバーの平面図であり、図2はその側面図であり、図3はその底面図である。図4は図1のP矢視方向から見た図であり、図5は図1のQ矢視方向から見た図であり、図6は図1のDーD矢視拡大断面図であり、図7は図1のDーD矢視断面図である。なお、図2には袋体1のファスナー2に取り付けたスライダ3の側面図も表わされ、スライダ3を覆って保持する前の状態を示している。
【0014】
これらの図において、上記するように、4は全体を覆って保持するスライダ保持部材である。また、5は平板状の係止部材であって、柔軟な樹脂材等で製作され曲げ可能であり、一方の端部近傍に先太部5bを設けた突起部5aを設け、他方の端部近傍に前記先太部5bを嵌め入れる穴5cをそれぞれ設けてある。
前記スライダ保持部材4と係止部材5とは連結棒6によって連結されている。すなわち、スライダ保持カバー7は、スライダ保持部材4と係止部材5と連結棒6とで形成されている。また、前記係止部材5に設けた先太部5bの突起部5aは若干の力を入れて押すと他方の穴5cを通すことが可能となっている。
【0015】
図7は、図1の係止部材5のBーB矢視断面図である。上記するように平板状の係止部材5は柔軟な樹脂材製で曲げ可能であり、一方には先太部5bの突起部5aが立設してあり他方には穴5cが穿設され、後述するように前記突起部5aは袋体1に設けた小孔1aを通して、該突起部5aを少し押すと該穴5cに嵌め入れるようになっている。
【0016】
図8は、斜方向前部上方から見た前記スライダ保持部材4の詳細を示すと共にスライダ保持カバー7の全体図でもある。図9は斜方向後部上方から見たスライダ保持部材4を示す。また、図10は前部斜方向下方から見た前記スライダ保持部材4の全体図であり、図11は後部斜方向下方から見た該スライダ保持部材4の全体図である。これらの図から説明すると、このスライダ保持部材4は、内部にスライダ3全体を収納できるように形成されている。すなわち、このスライダ保持部材4は、スライダ3の両側壁を軽く締めつける程度のスライダ保持部材4のカバー左側壁4a と右側壁4b と、門形の開口部4c とスライダの後部を接触させる程度の後壁4e と、前記門形の前部開口部4cと後部壁4e とを上部で繋ぐ上部壁4f と、スライダ3の底部両側を載せる程度の底部壁4gと、で 構成されている。なお、底部壁4gは必ずしも必要なものではない。両側側壁4a 、4b と上壁部4fとの 間には、窓4j、4jが形成される。なお、これらの図において、前記連結棒6の一部を示す。
【0017】
図12は図1のスライダ保持部材4の一部のC部拡大図であって、前記スライダ3を覆うように嵌め入れたとき、該スライダ保持部材4の側壁4a、4b はスライダ3に接するように全体を内側に湾曲させて、内側壁に凹凸4dを設けてスライダ3が簡単に滑って移動しないようにしっかり接触し保持するようにしてある。
【0018】
図13は、本発明のスライダ保持カバー7に袋体1に取り付けたスライダ3を保持させた状態の全体斜視図である。図14はまた、スライダ保持部材4でスライダ3を保持させる状態を示している。この図14(A)に示すように、スライダ保持カバー7にスライダ3を保持させるには、該スライダ保持カバー7をスライダ3より少し後退させ、矢印Lのように袋体1まで降ろし、次に矢印Mのようにスライダ3方向に移動させて開口部4cより入れて該スライダ3を保持する。こうして図14(B)に示すように、スライダ3はスライダ保持部材4の中に収納するように嵌め入れることができる。
【0019】
また、袋体1のファスナー近傍には、孔5cを設けた係止部材5を曲げて、該係止部材5の先太部5bを設けた突起部5aを袋体1に設けた穴1aを通し、前記孔5cに通して少し押して係止部材5の穴5cに嵌め入れる。こうしてスライダ3をスライダ保持部材4に嵌め入れて袋体1にスライダ保持カバー7を固定することができる。
【0020】
袋体1には、ファスナー2を設けてスライダ3を取り付け、スライダ保持カバー7のスライダ保持部材4に該スライダ3を嵌め入れ、係止部材5を袋体に取り付けるとスライダ3は不動状態となるのでスライドさせることはできない。従って、商品が運搬中に勝手に袋体1からこぼれたり、店頭に並べて置いた袋体1に収納した商品を盗むことはできない。なお、商品の入った袋体1の購入者は、スライダ保持カバー7の連結棒6を鋏やカッター等で切断すれば、再びスライダ3は自由にファスナー2上を移動させることができる。スライダ保持部材4や係止部材5はスライダ3や袋体1から外してもよい。
【0021】
図15は、本発明のスライダ保持カバー7の係止部材5をファスナー2の開口の端部より直角の上端部で袋体1に固定する状態の図である。このように、本発明のスライダ保持カバー7の係止部材5を係止させる場所はファスナー2のある端部と同じ線上である必要はなく、この線上の延長でなく90度直角の方向の線上で固定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のスライダ保持カバー7は、ファスナー2を設けた袋体1に使用することができる。従って、袋体を運搬中に勝手にこぼれて損害をうけたり、百貨店やスーパー等で袋入りの商品を並べて販売する場合、盗難防止を図る観点から利用することができるので、広く製造販売することができる。また、ファスナーだけ設けた既存の袋体にも取り付けることができるので産業上包装袋の分野で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 袋体
1a 小孔
2 ファスナー
3 スライダ
4 スライダ保持部材
4a スライダ保持部材4のカバー左側壁
4b スライダ保持部材4のカバー右側壁
4c スライダ保持部材4のカバー前部開口部
4d 凹凸
4e スライダ保持部材4のカバーの後壁
4f スライダ保持部材4のカバー上部壁
4g スライダ保持部材4のカバー底部壁
4j スライダ保持部材4の窓
5 係止部材
6 連結棒
7 スライダ保持カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体に設けたファスナーに取り付けたスライダ周囲の両側側壁と上部壁と前面に設けた開口部および後面壁とより成り該スライダを覆うスライダ保持部材と、
曲げ可能な平板の一方の端部近傍に先太部を設けた突起部を、平板の他方の端部近傍に前記先太部を嵌め入れる穴をそれぞれ設けた係止部材と、
前記スライダ保持部材と係止部材とを連結する連結棒と、
を備えてなることを特徴とするスライダ保持カバー。
【請求項2】
袋体に設けたファスナーに取り付けたスライダ周囲の両側側壁と上部壁と前面に設けた開口部および後面壁とより成り該スライダを覆うスライダ保持部材と、
曲げ可能な平板の一方の端部近傍に先太部を設けた突起部を、平板の他方の端部近傍に前記先太部を嵌め入れる穴をそれぞれ設けた係止部材と、
前記スライダ保持部材と係止部材とを連結する連結棒と、
を備えたスライダ保持カバーを、前記係止部材の前記突起部を袋体のファスナー近傍に設けた小孔を通し、該突起部に前記穴に通して固定することを特徴とするスライダ保持カバーを設けた袋体。
【請求項3】
前記スライダ保持部材には、スライダを覆うように嵌め入れたとき、前記スライダ保持部材の側壁はスライダ寄りに全体を湾曲させかつ内側壁にスライダ側部と接するように凹凸を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のスライダ保持カバーまたは/及びファスナー付袋体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−140144(P2012−140144A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293153(P2010−293153)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000249676)株式会社ミューパック・オザキ (16)
【Fターム(参考)】