スライドアシスト装置およびその受け部材
【課題】簡易な後付けを担保しつつ、適正に引戸のスライドをアシストできるアシスト装置およびその受け部材を提供する。
【解決手段】枠体31と引きバネ32とスライド部材34と受け部材5とを備える。受け部材5は、戸枠F1に引戸Dのスライド方向に沿って設けられ、引戸Dの前面に係合して引戸Dの厚み方向の移動を規制する規制プレート51と、この規制プレート51と一体的に設けられ引戸Dの移動に伴ってスライド部材34に対して係脱する受け突部53とを備える。規制プレート51における引戸D側の面が長手方向の所定位置から引戸Dの反アシスト方向に向けて内側に傾斜するガイドテーパー面511aとして形成されている。
【解決手段】枠体31と引きバネ32とスライド部材34と受け部材5とを備える。受け部材5は、戸枠F1に引戸Dのスライド方向に沿って設けられ、引戸Dの前面に係合して引戸Dの厚み方向の移動を規制する規制プレート51と、この規制プレート51と一体的に設けられ引戸Dの移動に伴ってスライド部材34に対して係脱する受け突部53とを備える。規制プレート51における引戸D側の面が長手方向の所定位置から引戸Dの反アシスト方向に向けて内側に傾斜するガイドテーパー面511aとして形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸枠内で左右にスライドして構造物の開口部を開閉する引戸に対し、開閉方向の少なくともいずれか一方向のスライドアシスト力を付与する引戸のスライドアシスト装置およびその受け部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているようなドアクローザー(スライドアシスト装置)が知られている。このドアクローザーは、引戸を対象として設けられ、一旦開放された当該引戸を閉じるときに伸長状態とされた引きバネの付勢力で閉動作をアシストするように構成されている。
【0003】
具体的には、このドアクローザーは、引戸の上端側に付設された本体ボディと、この本体ボディ内に一端がフリー状態で収容される引きバネと、この引きバネのフリー端部に取り付けられ上方に突設されたキャッチ体(スライド部材)と、戸枠に下方に突出する態様で設けられたフック体(受け部材)とを備え、引戸開動作に伴いキャッチ体とフック体とが上下に係合して引きバネを所定量延伸した時点でフック体とキャッチ体との係合状態が解除されるとともに、このキャッチ体が本体ボディに停止保持され、引戸閉動作に伴いキャッチ体とフック体とが再係合してキャッチ体の停止保持状態が解除され引きバネの付勢力で引戸の閉方向のスライドをアシストするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−156851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のスライドアシスト装置によれば、本体ボディが引戸の上端部に埋め込まれて使用されるものであるため、同装置を後付けする場合の取付作業が大掛かりとなり、簡易に取り付けることができなかった。
【0006】
この場合に、スライドアシスト装置のボディ本体を引戸の前面に取り付けるとともに、このボディ本体にスライド可能に収容されるスライド部材を前方に突出させ、またこのスライド部材に応じて受け部材を配置し、スライド部材と受け部材とを横方向に、すなわち引戸の前方側で係脱させることにより、簡易な後付けを担保することも考えられる。
【0007】
しかしながら、引戸には通常その厚み方向、すなわちスライド方向に直交する水平方向について遊びやガタがあるため、引戸の軌道が厚み方向について安定していない。このため、上記のようにボディ本体を引戸の前面に突設して引戸の前方側でスライド部材と受け部材とを引戸の厚み方向に係脱させるように構成した場合には、引戸のスライド移動に伴って、例えばスライド部材と受け部材とが適正に係合せず、また逆にボディ本体と受け部材とが干渉し、場合によっては受け部材が破損するなど、適正に引戸にアシスト力を付与することができないという問題が懸念される。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な後付けを担保しつつ、適正に引戸のスライドをアシストできるアシスト装置およびその受け部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明に係るスライドアシスト装置は、構造物の開口部を開閉する引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられたスライド部材と、戸枠に取り付けられ引戸の移動範囲の所定の範囲で上記スライド部材に上記引戸の前方において係脱する受け部材とを備え、上記引戸の一方向へのスライド時に上記スライド部材と受け部材とが係合して上記弾性部材を伸長させることにより上記スライド部材に当該弾性部材の付勢力を蓄積させ、このスライド部材が所定の保持位置に到達したときに上記スライド部材と受け部材との係合が解除されて上記スライド部材が当該保持位置に保持され、反対方向のスライド時に上記スライド部材と受け部材とが上記保持位置で再係合することにより上記弾性部材の付勢力が解放されてスライドアシスト力として引戸に付与されるスライドアシスト装置であって、上記受け部材は、上記戸枠に引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明に係るアシスト装置用受け部材は、引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられ上記引戸のスライド移動に伴い弾性部材が伸縮することにより付勢力を蓄積または解放可能なスライド部材とを備えるアシスト装置本体の上記スライド部材に対して、上記引戸の前方において係脱することにより、上記付勢力を引戸のスライドアシスト力として所定の範囲で上記引戸に付与するスライドアシスト装置用受け部材であって、戸枠に上記引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
これらの発明によれば、枠体が引戸の前面に突出した状態で設けられるため、スライドアシスト装置を後付けする場合であっても戸首の除去等を必要とせず、同装置を簡易に取り付けることができる。
【0012】
また、受け部材は、上記戸枠に引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備えるので、この規制プレートによって引戸、ひいてはこの引戸に突設されている枠体の厚み方向の遊びやガタの範囲を規制することができる。しかも、この規制プレートと受け部とが一体的に設けられるので、規制プレートと受け部との位置関係を一定に保ち、ひいてはスライド部材と受け部材との相対的位置関係を一定の範囲に収めることができる。このため、スライド部材と受け部材の確実な係合を担保することができるとともに、枠体と受け部との干渉を確実に回避することができ、これにより適正に引戸のスライドをアシストできる。
【0013】
ここで、上記のように規制プレートによって引戸の厚み方向の移動を規制するようにした場合、引戸の軌道によっては引戸のスライドに伴って規制プレートと引戸との衝突が懸念されるが、本発明によれば、上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されているので、引戸をこのテーパー面に沿って軌道修正することができ、これにより規制プレートと引戸との衝突を確実に防止することができる。
【0014】
このスライドアシスト装置に係る発明において、上記規制プレートにおける上記テーパー面のアシスト方向の端縁の位置を特に限定するものではないが、例えば、上記規制プレートにおける上記テーパー面の上記アシスト方向の端縁は、上記規制プレートの長手方向について、上記受け部に対して反アシスト方向に位置するのが好ましい。
【0015】
このように構成すれば、枠体が引戸に対してそのスライド方向先端面同士を面一にする態様で配置された場合でも、確実に枠体と受け部との干渉を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るスライドアシスト装置およびその受け部材によれば、スライドアシスト装置の簡易な後付けを担保しつつ、引戸、ひいてはこの引戸に設けられた枠体の厚み方向の遊びやガタの範囲を規制することができる。しかも、スライド部材と受け部材とを確実に係合させることができるとともに、枠体と受け部との干渉を確実に回避することができる。さらに、引戸を規制プレートのテーパー面に沿って軌道修正することができ、これにより規制プレートと引戸との衝突を有効に防止することもできる。これにより、適正に引戸のスライドをアシストできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るスライドアシスト装置を一部切り欠いた状態で示す斜視図である。
【図2】同装置の正面図である。
【図3】同装置の底面図である。
【図4】同装置の側面図である。
【図5】同装置のアシスト装置本体を初期位置で示す斜視図である。
【図6】同装置のアシスト装置本体を待機位置で示す斜視図である。
【図7】同装置の受け部材を示す斜視図である。
【図8】同装置の受け部材を示す背面図である。
【図9】引戸の開放操作時における同装置の作用を説明するための概念図であり、(A)は引戸閉止状態におけるスライド部材と受け突部との関係を示し、(B)はスライド部材が所定の保持位置において回動掛合片が解除姿勢に姿勢変更した状態を示している。
【図10】引戸の閉止操作時における同装置の作用を説明するための概念図であり、(A)は、一旦開放された引戸を閉止操作することにより、引掛け部材の三角ブロックの前方右縁部がトリガーの係合条に係合した状態、(B)は、舌片が角孔から抜け出して解除姿勢から係合姿勢へ姿勢変化した状態をそれぞれ示している。
【図11】本発明に係るスライドアシスト装置の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態のスライドアシスト装置は、戸車付きの非吊下式の引戸に適用したものであるが、本発明のスライドアシスト装置は戸車なしの非吊下式引戸や、吊下式引戸等、その他の引戸にも適用することができる。また、本実施形態のスライドアシスト装置は、引戸に対し閉止方向についてスライドアシスト力を付与するものとなされているが、開放方向についてアシスト力を付与するものであってもよい。もちろん、開閉各方向についてスライドアシスト力を付与するスライドアシスト装置を引戸にともに設けるものであってもよい。
【0019】
図1は本実施形態のスライドアシスト装置の全体を一部切り欠いた状態で示す斜視図であり、図2は同装置の正面図である。また、図3は同装置の底面図であり、図4は同装置の側面図である。なお、以下、便宜上、各図における+X方向を右方向、+Y方向を後方向、+Z方向を上方向として説明するが、これらの方向の表現については特に限定されるものではなく、単に本実施形態の装置内における相対的な位置関係を表したものである。
【0020】
スライドアシスト装置1は、引戸Dの前面(正面)に取り付けられたアシスト装置本体3と、戸枠Fに取り付けられた受け部材5とを備える。
【0021】
ここで、このスライドアシスト装置1が取り付けられる引戸Dの構造について簡単に説明する。引戸構造は、構造物の開口部Wを開閉する引戸Dと、この引戸Dの戸首D1が遊嵌される鴨居F1および引戸Dの下端部が嵌め込まれる敷居F2を含む戸枠Fとを備える。引戸Dは、戸本体D2と、戸本体D2の上部に設けられた戸首D1と、戸本体D2の下縁部に取り付けられた左右一対の戸車D3とを備える。一方、戸枠Fの鴨居F1および敷居F2のそれぞれには、引戸Dが嵌め込まれる案内溝F3,F4を有し、この案内溝F3,F4に沿って引戸Dが開閉される。これらの案内溝F3,F4は、引戸Dの戸首D1や引戸Dの下端部の厚み寸法よりも若干大きく形成されており、引戸Dの厚み方向に対して遊びをもたせている。
【0022】
スライドアシスト装置1に戻って、このスライドアシスト装置1は、アシスト装置本体3と受け部材5とが協働して付勢力を蓄積または開放可能に構成され、この開放された付勢力をスライドアシスト力として引戸Dに対して付与されるようになっている。
【0023】
アシスト装置本体3は、図5および図6に示すように、引戸Dに取り付けられた枠体31と、この枠体31内に一端がフリー状態で収容される引きバネ32(弾性体に相当)と、枠体31内に一端がフリー状態でかつ引きバネ32と並列に収容されたダンパー部材33と、この引きバネ32およびダンパー部材33のフリー端部に取り付けられたスライド部材34とを備え、上記付勢力としての引きバネ32の弾性力を蓄積または開放可能に構成された一般的なものである。従って、このアシスト装置本体3は、その具体的構成を特に限定するものではないが、以下に簡単に説明する。
【0024】
図5および図6は、アシスト装置本体3を示す斜視図である。これらの図は、スライド部材34が引戸Dの閉止位置に対応する初期位置にあるか、引戸Dの開放操作に伴ってスライド部材34が所定の保持位置にあるかで異なる。
【0025】
具体的には、アシスト装置本体(以下、単に「装置本体」という)3は、長手方向の各端部に第1および第2エッジブロック312,313が嵌め込まれた角筒状の枠体31と、枠体31内であって第2エッジブロック313に一端が固定された引きバネ32と、枠体31内でこの引きバネ32と上下に並設されるとともに第2エッジブロック313に一端が固定されたダンパー部材33と、この引きバネ32およびダンパー部材33の他端であるフリー端部に取り付けられ、枠体31内をその長手方向に沿ってスライド可能なスライド部材34とを備える。この装置本体3は、図2に示すように、引戸の上端部前面に、枠体31の左端面が引戸Dの左側面と面一となる態様で取り付けられている。
【0026】
枠体31は、図5および図6において二点鎖線で示され、左右方向(引戸Dのスライド方向)に細長い角筒状の枠本体311と、この枠本体311の長手方向一端部(左端部)に嵌め込まれる第1エッジブロック312と、枠本体311の長手方向他端部(右端部)に嵌め込まれる第2エッジブロック313とを備え、各エッジブロック312,313のねじ孔312a,313aを通してねじ(不図示)が引戸Dにねじ込まれることにより、引戸Dの上端部前面に取り付けられている。
【0027】
枠本体311には、その前面壁に左右方向に延びるガイドスリット311aと、このガイドスリット311aに連設され、ガイドスリット311aに対して拡幅された角形の回動孔311bとが設けられている。ガイドスリット311aは、枠本体311の前面壁の左右方向の中央部より若干左方位置を始点にして左方へ延設されている。このガイドスリット311aの上下幅は、スライド部材34の後述する回動掛合片342における舌片342cの上下幅よりも狭く設定され、スライド部材34の回動掛合片342が回動できないように構成されている。
【0028】
一方、回動孔311bは、ガイドスリット311aの左端部に連設されている。この回動孔311bは、ガイドスリット311aよりも拡幅して構成され、回動掛合片342の舌片342cよりも幅広に構成されている。従って、この回動孔311bは、スライド部材34がこの回動孔311bに至った場合にスライド部材34の回動掛合片342がこの回動孔311bを通して回動可能に構成されている。
【0029】
引きバネ32は、第2エッジブロック313とスライド部材34との間に介設され、スライド部材34に付勢力を付与するためのものである。具体的には、引きバネ32の一端部は第2エッジブロック313の左端部に係止されることにより枠体31に固定され、フリー端部である他端部がスライド部材34の右端部に係止され、これにより引きバネ32が各部材313,34間に張設されている。
【0030】
ダンパー部材33は、直動式ダンパーであり、引きバネ32の付勢力に対して緩衝効果を付与するものである。このダンパー部材33は、第2エッジブロック313とスライド部材34の間に架設され、引きバネ32の下方において該引きバネ32と並列に配置されている。また、ダンパー部材33は、エアダンパー、油圧ダンパー等のいずれのダンパーであってもよいが、本実施形態ではエアダンパーが採用されている。更に、ダンパー部材33は、不図示の一方弁が内蔵された一方向性のダンパーであり、縮む場合、すなわち引戸Dが閉止方向に移動する場合に緩衝効果を付与するように構成されている。なお、ダンパー部材について、ロータリーダンパーを採用するものであってもよい。この場合の具体的構造についてはラック機構を用いるなど既に公知であるので、具体的説明は省略する。
【0031】
スライド部材34は、引きバネ32およびダンパー部材33のフリー端部が係止されるスライドブロック341と、スライドブロック341に軸支され垂直軸342a周りに回動する回動掛合片342とを備え、引戸Dの閉止位置に対応する初期位置(図5参照)と枠体31の回動孔311bに対応する所定の保持位置(図6参照)との間を引戸Dの開閉操作に伴って枠体31に対して相対的に移動するようになされている。
【0032】
スライドブロック341は、左前方角部が切り欠かれた直方体状のブロック基体341aと、このブロック基体341aから前方に向かって突設された突出係合部341bとを備える。
【0033】
ブロック基体341aは、上下幅がガイドスリット311aよりも大きく構成され、枠本体311内を摺動可能に構成されている。このブロック基体341aの上記切欠き部に回動掛合片342が配置される。
【0034】
また、突出係合部341bは、開放状態にある引戸Dの閉止操作時の移動速度が速い場合に受け部材5と係合し、ダンパー部材33の緩衝効果によってその移動速度を減殺するものである。この突出係合部341bは、その上下幅がガイドスリット311aよりも小さく構成され、スライドブロック341が枠本体311に内装された状態でガイドスリット311aを通じて枠本体311から前方に突出するようになされている。
【0035】
回動掛合片342は、引戸Dの開放動作に伴いスライド部材34の初期位置から保持位置に至るまでの間、受け部材5(特に後述する受け突部53)に係合し、スライド部材34が保持位置に至ることによりこの回動孔311bを通じて枠体31内に没入回動することにより受け部材5との係合状態が解除されるとともにスライド部材34をその保持位置に停止保持するためのものである。また、回動掛合片342は、引戸Dの閉止動作に伴い受け部材5と再係合し、スライド部材34の停止保持状態を解除するとともに受け部材5と協働して上記解除に伴い引きバネ32の弾性力を引戸Dにスライドアシスト力として付与するように機能する。
【0036】
この回動掛合片342は、平面視で左方に向かって先細りに形成された三角形状を呈する三角ブロック342b(図9,10参照)と、この三角ブロック342bの前面左半分の部分に固定された平面視で左方へ向かって先細りの舌片342cとを備えている。三角ブロック342bは、ブロック基体341aの上記切欠き部に配置され、垂直軸342aによってブロック基体341aに軸支されている。
【0037】
舌片342cは、受け部材5の受け突部53に対して係脱する部材である。この舌片342cは、その上下幅がガイドスリット311aの上下幅よりも大きく、かつ、回動孔311bの上下幅よりも小さく寸法設定されているとともに、左右寸法が回動孔311bの左右寸法よりも短く設定されている。この舌片342cの先端部(左端部)は回動掛合片342の後述する係合姿勢でガイドスリット311a内に突出する突出部分342dを有し、この突出部分342dが回動孔311bの端縁に係合することにより回動掛合片342に回動力を付与するようになされている。そして、舌片342cは、ガイドスリット311aの範囲内にあるとき、図5に示すように、ガイドスリット311aから前方に突出した状態にあり、この状態で受け突部53に係合している。また、舌片342cは、回動掛合片342が回動孔311bに至ることにより、図6に示すように、回動孔311bを通じて垂直軸342aを中心に時計方向に回動可能に構成され、この回動に伴い受け突部53との係合状態が解除される。
【0038】
次に、受け部材5について説明する。図7はスライドアシスト装置の受け部材を示す斜視図であり、図8は同受け部材を示す背面図である。
【0039】
受け部材5は、戸枠Fに設けられ、引戸Dの移動範囲の所定の範囲(開閉途中位置から閉止位置までの範囲)で引戸Dの前方においてスライド部材34に係脱することにより、スライド部材34に対し付勢力を蓄積または開放させるものである。
【0040】
この受け部材5は、戸枠Fの下面に取り付けられる規制プレート51と、この規制プレート51前端縁から垂下する垂下プレート52と、この垂下プレート52の後面(引戸側の面)に後方に突設された受け突部53(受け部に相当)とを備え、全体として左右方向(引戸Dのスライド方向)に長尺に構成されるとともに正面視略L字状の合成樹脂の一体成形品として構成されている。なお、本実施形態では左右いずれの開き引戸Dにも対応可能で、かつ、引戸Dの閉止方向のスライドアシストだけでなく、引戸Dの開放方向のスライドアシストにも対応可能にするため、受け突部53が左右一対設けられている。従って、本実施形態の受け部材5は、左右いずれの開き方向にも、また開閉いずれのスライドアシストにも対応可能な兼用品として構成されている。
【0041】
規制プレート51は、図3および図4に示すように、鴨居F1の下面であってその案内溝F3の前方に該案内溝F3に隣接して設けられている。この規制プレート51は、引戸Dの前面上端部に係合して引戸Dの厚み方向(引戸のスライド方向に直交する水平方向)の移動を規制するものである。
【0042】
規制プレート51は、図3に示すように、左右方向に長尺の板状体であり、その下面の前後幅、具体的には垂下プレート52の前面から後縁までの距離T0がスライド部材34の枠体31からの突出部分を含めた装置本体3の厚みT1よりも大きく設定されている。従って、規制プレート51によって引戸Dがその厚み方向の移動が規制された状態では、スライド部材34を含め装置本体3と垂下プレート52が干渉しないようになされている。また、規制プレート51は、図7および図8に示すように、引戸Dに係合する引戸D側の側面、すなわち後面511が平滑面として構成されている。従って、この規制プレート51の後面511は、引戸Dの前面に略面接触するようになされている。
【0043】
この規制プレート51の後面511は、長手方向の所定位置から引戸Dの反アシスト方向(本実施形態では右方向)に向けて内側(前方)に傾斜するガイドテーパー面511aとして構成されている。また、本実施形態では、このガイドテーパー面511aが上記反アシスト方向の端部だけでなく、引戸Dのアシスト方向の端部にも設けられている。これは、上記のように受け部材5が兼用品として構成されているためであり、本実施形態のスライドアシスト装置1の設置状況においては、後面511の右端部に設けられたガイドテーパー面511aだけで足りるものである。
【0044】
このガイドテーパー面511aは、図3および図4に二点鎖線で示すように、引戸Dのスライドに伴い引戸Dの左端(アシスト方向端縁)に係合して引戸Dの軌道を修正するものであり、平滑面として構成されている。このガイドテーパー面511aにおける規制プレート51の長手方向内側の各端縁は、対応する左右各受け突部53に対して反アシスト方向に位置するように設定されている。本実施形態では、図3および図8に示すように、ガイドテーパー面511aの長手方向内側の各端縁が各受け突部53の外側縁(規制プレート51の長手方向外側の縁部)に略一致するように構成されている。また、このガイドテーパー面511aの長手方向各外側の各端縁は、前後方向について、規制プレート51の後面から引戸Dの厚み方向の遊びに相当する距離T3だけ退入した位置に設定されている。
【0045】
この規制プレート51には、長手方向中央部および左右両端部に戸枠取付用の取付孔512が貫設されている。この取付孔512は、前後に細長く形成された底面視長円形の孔である。このように取付孔512が長円孔として構成されているので、戸枠取付用のねじに対してその締付け前に規制プレート51を前後移動させることができ、これにより受け部材5の前後位置合わせを確実に行うことができる。
【0046】
また、この規制プレート51には、長手方向に沿って二個一組のプレート取着孔513,514が左右一対貫設され、本実施形態では計4個のプレート取着孔513,514が貫設されている。このプレート取着孔513,514は、隙間調整用プレート7を取り付けるための孔であり、左右一対設けられているのは上記したように兼用品であるためであり、本実施形態の設置状況ではプレート取着孔513だけで足りる。隙間調整用プレート7は、図2に示すように、装置本体3と規制プレート51との間に上下隙間が存在する場合に、該隙間を埋めるために規制プレート51に着脱自在に取り付けられるプレートであり、これにより引戸Dの閉止時の跳ね上がりを防止するためのものである。この隙間調整用プレート7の上面には、上記プレート取着孔513に嵌着される取付ボス71が突設されている。なお、図示していないが隙間調整用プレート7には、取付ボスが嵌着される二個一組の嵌入孔を有し、他の隙間調整用プレートの取付ボス71をこの嵌入孔に嵌着することにより積層し得るように構成されている。すなわち、この隙間調整用プレート7は、複数枚を積層し得るように構成されている。
【0047】
なお、規制プレート51の下面には複数の補強用溝515が前後幅方向の全域に亘って凹設されている。この補強用溝515は、後述する他の実施形態におけるL型アングル19を用いる場合に、このL型アングル19の突部に嵌合されるものである。そして、この嵌合により、受け部材5に作用する引戸Dのスライド方向の外力をL型アングル19に分散伝達され、これにより両者5,19の接合強度を向上させることができる。
【0048】
一方、垂下プレート52は、規制プレート51よりも厚肉に構成された板状体である。この垂下プレート52は、図3に明示するように、長手方向について少なくとも受け突部53が突設された部分が中空に構成され、受け突部53に前後方向に過度の外力が作用した場合に受け突部53が前方に弾性変形するように構成されている。
【0049】
受け突部53は、引戸Dのスライドに伴い、スライド部材34、特に回動掛合片342の舌片342cに係脱されるものである。この受け突部53は、垂下プレート52の後面に上下方向に延びる堤状に左右一対突設されている。受け突部53の突出量は、スライド部材34と係脱可能であれば特に限定するものではないが、本実施形態ではスライド部材34の枠体31からの突出量に対して略同等ないしは若干小さく設定されている。また、受け突部53の上端左右両縁部は面取りされている。なお、受け突部53が左右一対設けられているのは、上記のように兼用品であるためであり、本実施形態では右側に配置された受け突部53だけで足りる。
【0050】
以上のように構成されたスライドアシスト装置1は、例えば次のようにして戸枠Fの鴨居F1または引戸Dに取り付けられる。
【0051】
まず、受け部材5を戸枠Fの鴨居F1の下面に取り付ける。
【0052】
具体的には、受け部材5の長手方向一端縁を戸枠Fの一側部内面に当接させた状態で(図3参照)、垂下プレート52を手前(前方)に配置させつつ規制プレート51を鴨居F1の下面にあてがう。そして、この状態で図3に示すように、規制プレート51の取付孔512を通じてねじSで受け部材5を鴨居F1に仮止めを行う。
【0053】
そして、引戸Dを閉止して厚み方向の遊びを略なくした状態(図4において戸首D1を鴨居F1の案内溝F3内の後側面に押し付けた状態)で、この引戸Dの上端側面に規制プレート51の後面511を当接させ、この状態で上記ねじSを締め付けることにより、受け部材5を鴨居F1に取り付ける。
【0054】
次に、この受け部材5の受け突部53に引戸Dの前方において係脱し得る態様で装置本体3を引戸Dの前面上端部に取り付ける。この際、規制プレート51と戸本体D1の前面との間に若干隙間があってもよい。つまり、受け部材5の規制プレート51と引戸Dとは常に係合している必要はない。
【0055】
具体的には、左右方向について装置本体3の左側面が引戸Dの左側面と略面一になる状態であって、上下方向について規制プレート51の厚みを考慮して戸本体D1の前面上端縁から僅かに下がった位置で、かつ、スライド部材34と受け突部53とが係合し得る位置に装置本体3を配置する。そして、この状態で、枠体31のねじ孔312a,313aを通して引戸Dにねじ(不図示)がねじ込むことにより、装置本体3を引戸Dの前面上端部に取り付ける。
【0056】
このように、このスライドアシスト装置1によれば、引戸Dを戸枠Fから取り外さなくても取り付けることができ、また戸首D1の除去等も必要とせず、戸枠Fの鴨居F1の下面に受け部材5を、引戸Dの前面に装置本体3を取り付けるだけでよく、従来のスライドアシスト装置1に比べて簡易に後付けすることができる。
【0057】
以上のように取り付けられたスライドアシスト装置1の作用について、図9および図10を中心に説明する。図9は引戸Dを閉止された状態から開放する場合のスライドアシスト装置1の作用を説明するための平面視の一部断面図であり、図10は引戸Dを開放した状態から閉止する場合の同装置1の作用を説明するための平面視の一部断面図である。
【0058】
まず、閉止状態にある引戸Dを開放する場合の機能について説明する。
【0059】
スライド部材34は、引戸Dの閉止状態において、図5に示すように、初期位置にあり、ガイドスリット311aの右端部に位置している。この引戸の閉止状態において、図9(A)に示すように、スライド部材34の回動掛合片342は、その舌片342cがガイドスリット311aを通じて枠体31から前方に突出した係合姿勢に設定されている。この係合姿勢では、舌片342cの右端面が受け部材5の受け突部53の左側面に係合した状態になっている。
【0060】
そして、この閉止状態から引戸Dを右方へ移動させて開放していくと、この開放に伴い装置本体3も右方へ移動するが、舌片342cが受け突部53に係合しているため、スライド部材34の移動が妨げられる。このため、スライド部材34は、ガイドスリット311aに沿って枠体31に対して相対的に左方に移動する。このスライド部材34の移動に伴い引きバネ32が伸長し、これによりスライド部材34に引きバネ32の付勢力が蓄積される。
【0061】
引戸Dを継続して開放していくと、引戸Dが所定の開閉途中位置に達し、このときスライド部材34の舌片342cが回動孔311bに達する。この状態からさらに引戸Dが開放されると、舌片342cが受け突部53によって左方へ向かって押圧され、舌片342cの先端突出部分342dが回動孔311bの左縁部に係合し、回動掛合片342が垂直軸342aを中心に時計方向に回動する。これによって、図9(B)に示すように、回動掛合片342は、回動孔311bを通じて回動し、受け突部53との係合状態が解除された解除姿勢へ姿勢変更する。
【0062】
このとき、解除姿勢に姿勢変更された舌片342cは、引きバネ32の付勢力で右方へ引っ張られ、舌片342cの右端面が回動孔311bの右端縁に係止する(図6参照)。これによって、スライド部材34は、回動孔311bに対応する保持位置に停止保持されるとともに、回動掛合片342の三角ブロック342bの前方右端部がガイドスリット311aを通じて枠体31の前方に突出した状態に配置される。
【0063】
次に、開放状態にある引戸Dを閉止する場合の機能について説明する。
【0064】
全開状態の引戸Dを左方へ移動させて閉めていくと、引戸Dは上記開閉途中位置に達する。このとき、図10(A)に示すように、三角ブロック342bの前方右縁部が受け突部53に干渉し、これによって回動掛合片342は、垂直軸342aを中心に反時計方向に回動して、その舌片342cが、回動孔311bから抜け出し、当該舌片342cの右角部が回動孔311bの右縁部へ係止されていた状態が解消される。すなわち、回動掛合片342は、受け突部53に対する解除姿勢から係合姿勢へと姿勢変更する(図10(B))。
【0065】
そして、この姿勢変更に伴い引きバネ32の付勢力が開放されてスライド部材34に作用し、スライド部材34は、ダンパー部材33によって一定の抵抗が付与されつつ、ガイドスリット311aに沿って枠体31に対して相対的に上記保持位置から初期位置に向かって移動する。このとき、スライド部材34は受け部材5の受け突部53に係合しているため、引きバネ32の付勢力はスライドアシスト力として引戸Dの閉止方向に作用する。
【0066】
なお、引戸Dの閉止速度が速い場合には、受け部材5の受け突部53は三角ブロック342bに干渉した後、スライドブロック341の突出係合部341bに衝突し、ダンパー部材33による抵抗が付与されて減速される。
【0067】
ここで、本実施形態のスライドアシスト装置1は、上記したように、後付けを簡易にすべく、鴨居F1の下面に受け部材5を取り付けるとともに、引戸Dの前面に装置本体3を取り付け、受け部材5の受け突部53と装置本体3のスライド部材34とを引戸Dの前方において係合させるように構成されている。また、引戸Dについては、図4に明示されているように、戸枠Fに対し厚み方向に遊びを有する。従って、この遊びに基づき、装置本体3のスライド部材34と、受け部材5の受け突部53の係合が適正にできなかったり、装置本体3の枠体31が受け突部53に干渉したり、引戸Dに対して適正にスライドアシスト力を付与することができないことも想定される。
【0068】
しかしながら、本実施形態のスライドアシスト装置1は、引戸Dの前面に係合して引戸Dの厚み方向の移動を規制する規制プレート51を備えるので、この規制プレート51によって引戸D、ひいてはこの引戸Dに突設されている枠体31の厚み方向の遊び(場合によってはガタ)の範囲を規制して引戸Dの少なくともスライドアシスト範囲においては可及的に引戸Dの遊び(場合によってはガタ)を減少ないしは無くすことができる。また、受け突部53が規制プレート51と一体的に設けられているため、規制プレート51と受け突部53との位置関係を一定に保つことができ、しかも、上記のように引戸Dの遊びが減少されていることと相俟って、スライド部材34と受け突部53との確実な係合を確保することができるとともに、枠体31と受け突部53との干渉を確実に回避することができる。
【0069】
すなわち、このスライドアシスト装置1によれば、適正に引戸Dのスライドをアシストできる。
【0070】
上記のように規制プレート51によって引戸Dの厚み方向の移動を規制するようにした場合、例えば引戸Dの軌道によっては、引戸Dのスライドに伴って規制プレート51と引戸Dとの衝突が懸念されるが、本実施形態のスライドアシスト装置1によれば、規制プレート51における引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するガイドテーパー面511aとして形成されているので、図3および図4に二点鎖線で明示するように、引戸Dをこのガイドテーパー面511aに沿って軌道修正することができ、これにより規制プレート51と引戸Dとの衝突を確実に防止することができる。
【0071】
しかも、本実施形態のスライドアシスト装置1は、ガイドテーパー面511aのアシスト方向の端縁は、規制プレート51の長手方向について、受け突部53に略一致して設けられているので、枠体31が引戸Dに対してそのスライド方向先端面(左端面)同士を面一にする態様で配置された場合でも、確実に枠体31と受け突部53との干渉を防止することができる。
【0072】
なお、以上に説明したスライドアシスト装置1は、本発明に係るアシスト装置の一実施形態であり、その具体的構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、その変形例を説明する。
【0073】
(1)上記実施形態では、非吊下式の引戸Dにスライドアシスト装置1を適用した場合について説明したが、図11に示すように、吊下式の引戸D10についても適用することができる。
【0074】
この他の実施形態に係るスライドアシスト装置1は、上記実施形態における装置本体3および受け部材5の他に、受け部材5を戸枠F10に取り付けるためのL型アングル19も備えている。
【0075】
すなわち、この吊下式の引戸D10では、戸枠F10の上部について受け部材5を取り付けるためのスペースがないことから、受け部材5を取り付けるためのL型アングル19が用いられている。このL型アングル19は、戸枠F10の側面に重合される垂直片191と、この垂直片191の下端縁から水平に延びる水平片192とを有し、全体として受け部材5に対応して長尺に構成されている。
【0076】
このL型アングル19の垂直片191は、図示していないが長手方向に沿って複数のねじ孔を有し、このねじ孔を通じてねじが戸枠F10にねじ込まれることにより、当該戸枠F10に取り付けられる。
【0077】
また、水平片192には、受け部材5における規制プレート51の取付孔512に対応して受け部材5取付用のねじ孔が設けられているとともに、規制プレート51の補強用溝515に対応して突部が設けられている。
【0078】
このようにスライドアシスト装置1は、L型アングル19を利用することにより、戸枠F10に受け部材5の設置スペースがない場合でも簡易に取り付けることができる。
【0079】
(2)上記実施形態では、受け部材5は、規制プレート51と、垂下プレート52と、受け突部53とを備えて構成されているが、受け部材5の具体的構成はこれに限定されるものではない。例えば、垂下プレート52を省略して、規制プレート51の前端縁から受け突部53を垂下させるように構成するものであってもよい。ただし、上記実施形態のように受け部材5が垂下プレート52を備えて構成されれば、受け突部53の強度を向上させることができ、これにより耐久性も向上させることができる。
【0080】
(3)上記実施形態では、受け部材5がいわゆる兼用品として構成されているが、いわゆる左開き引戸、右開き引戸等、各引戸に対応するいわゆる専用品であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
D 引戸
F 戸枠
1 スライドアシスト装置
3 アシスト装置本体
31 枠体
32 引きバネ
33 ダンパー部材
34 スライド部材
5 受け部材
51 規制プレート
511a ガイドテーパー面
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸枠内で左右にスライドして構造物の開口部を開閉する引戸に対し、開閉方向の少なくともいずれか一方向のスライドアシスト力を付与する引戸のスライドアシスト装置およびその受け部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているようなドアクローザー(スライドアシスト装置)が知られている。このドアクローザーは、引戸を対象として設けられ、一旦開放された当該引戸を閉じるときに伸長状態とされた引きバネの付勢力で閉動作をアシストするように構成されている。
【0003】
具体的には、このドアクローザーは、引戸の上端側に付設された本体ボディと、この本体ボディ内に一端がフリー状態で収容される引きバネと、この引きバネのフリー端部に取り付けられ上方に突設されたキャッチ体(スライド部材)と、戸枠に下方に突出する態様で設けられたフック体(受け部材)とを備え、引戸開動作に伴いキャッチ体とフック体とが上下に係合して引きバネを所定量延伸した時点でフック体とキャッチ体との係合状態が解除されるとともに、このキャッチ体が本体ボディに停止保持され、引戸閉動作に伴いキャッチ体とフック体とが再係合してキャッチ体の停止保持状態が解除され引きバネの付勢力で引戸の閉方向のスライドをアシストするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−156851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のスライドアシスト装置によれば、本体ボディが引戸の上端部に埋め込まれて使用されるものであるため、同装置を後付けする場合の取付作業が大掛かりとなり、簡易に取り付けることができなかった。
【0006】
この場合に、スライドアシスト装置のボディ本体を引戸の前面に取り付けるとともに、このボディ本体にスライド可能に収容されるスライド部材を前方に突出させ、またこのスライド部材に応じて受け部材を配置し、スライド部材と受け部材とを横方向に、すなわち引戸の前方側で係脱させることにより、簡易な後付けを担保することも考えられる。
【0007】
しかしながら、引戸には通常その厚み方向、すなわちスライド方向に直交する水平方向について遊びやガタがあるため、引戸の軌道が厚み方向について安定していない。このため、上記のようにボディ本体を引戸の前面に突設して引戸の前方側でスライド部材と受け部材とを引戸の厚み方向に係脱させるように構成した場合には、引戸のスライド移動に伴って、例えばスライド部材と受け部材とが適正に係合せず、また逆にボディ本体と受け部材とが干渉し、場合によっては受け部材が破損するなど、適正に引戸にアシスト力を付与することができないという問題が懸念される。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な後付けを担保しつつ、適正に引戸のスライドをアシストできるアシスト装置およびその受け部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明に係るスライドアシスト装置は、構造物の開口部を開閉する引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられたスライド部材と、戸枠に取り付けられ引戸の移動範囲の所定の範囲で上記スライド部材に上記引戸の前方において係脱する受け部材とを備え、上記引戸の一方向へのスライド時に上記スライド部材と受け部材とが係合して上記弾性部材を伸長させることにより上記スライド部材に当該弾性部材の付勢力を蓄積させ、このスライド部材が所定の保持位置に到達したときに上記スライド部材と受け部材との係合が解除されて上記スライド部材が当該保持位置に保持され、反対方向のスライド時に上記スライド部材と受け部材とが上記保持位置で再係合することにより上記弾性部材の付勢力が解放されてスライドアシスト力として引戸に付与されるスライドアシスト装置であって、上記受け部材は、上記戸枠に引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明に係るアシスト装置用受け部材は、引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられ上記引戸のスライド移動に伴い弾性部材が伸縮することにより付勢力を蓄積または解放可能なスライド部材とを備えるアシスト装置本体の上記スライド部材に対して、上記引戸の前方において係脱することにより、上記付勢力を引戸のスライドアシスト力として所定の範囲で上記引戸に付与するスライドアシスト装置用受け部材であって、戸枠に上記引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
これらの発明によれば、枠体が引戸の前面に突出した状態で設けられるため、スライドアシスト装置を後付けする場合であっても戸首の除去等を必要とせず、同装置を簡易に取り付けることができる。
【0012】
また、受け部材は、上記戸枠に引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備えるので、この規制プレートによって引戸、ひいてはこの引戸に突設されている枠体の厚み方向の遊びやガタの範囲を規制することができる。しかも、この規制プレートと受け部とが一体的に設けられるので、規制プレートと受け部との位置関係を一定に保ち、ひいてはスライド部材と受け部材との相対的位置関係を一定の範囲に収めることができる。このため、スライド部材と受け部材の確実な係合を担保することができるとともに、枠体と受け部との干渉を確実に回避することができ、これにより適正に引戸のスライドをアシストできる。
【0013】
ここで、上記のように規制プレートによって引戸の厚み方向の移動を規制するようにした場合、引戸の軌道によっては引戸のスライドに伴って規制プレートと引戸との衝突が懸念されるが、本発明によれば、上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されているので、引戸をこのテーパー面に沿って軌道修正することができ、これにより規制プレートと引戸との衝突を確実に防止することができる。
【0014】
このスライドアシスト装置に係る発明において、上記規制プレートにおける上記テーパー面のアシスト方向の端縁の位置を特に限定するものではないが、例えば、上記規制プレートにおける上記テーパー面の上記アシスト方向の端縁は、上記規制プレートの長手方向について、上記受け部に対して反アシスト方向に位置するのが好ましい。
【0015】
このように構成すれば、枠体が引戸に対してそのスライド方向先端面同士を面一にする態様で配置された場合でも、確実に枠体と受け部との干渉を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るスライドアシスト装置およびその受け部材によれば、スライドアシスト装置の簡易な後付けを担保しつつ、引戸、ひいてはこの引戸に設けられた枠体の厚み方向の遊びやガタの範囲を規制することができる。しかも、スライド部材と受け部材とを確実に係合させることができるとともに、枠体と受け部との干渉を確実に回避することができる。さらに、引戸を規制プレートのテーパー面に沿って軌道修正することができ、これにより規制プレートと引戸との衝突を有効に防止することもできる。これにより、適正に引戸のスライドをアシストできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るスライドアシスト装置を一部切り欠いた状態で示す斜視図である。
【図2】同装置の正面図である。
【図3】同装置の底面図である。
【図4】同装置の側面図である。
【図5】同装置のアシスト装置本体を初期位置で示す斜視図である。
【図6】同装置のアシスト装置本体を待機位置で示す斜視図である。
【図7】同装置の受け部材を示す斜視図である。
【図8】同装置の受け部材を示す背面図である。
【図9】引戸の開放操作時における同装置の作用を説明するための概念図であり、(A)は引戸閉止状態におけるスライド部材と受け突部との関係を示し、(B)はスライド部材が所定の保持位置において回動掛合片が解除姿勢に姿勢変更した状態を示している。
【図10】引戸の閉止操作時における同装置の作用を説明するための概念図であり、(A)は、一旦開放された引戸を閉止操作することにより、引掛け部材の三角ブロックの前方右縁部がトリガーの係合条に係合した状態、(B)は、舌片が角孔から抜け出して解除姿勢から係合姿勢へ姿勢変化した状態をそれぞれ示している。
【図11】本発明に係るスライドアシスト装置の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態のスライドアシスト装置は、戸車付きの非吊下式の引戸に適用したものであるが、本発明のスライドアシスト装置は戸車なしの非吊下式引戸や、吊下式引戸等、その他の引戸にも適用することができる。また、本実施形態のスライドアシスト装置は、引戸に対し閉止方向についてスライドアシスト力を付与するものとなされているが、開放方向についてアシスト力を付与するものであってもよい。もちろん、開閉各方向についてスライドアシスト力を付与するスライドアシスト装置を引戸にともに設けるものであってもよい。
【0019】
図1は本実施形態のスライドアシスト装置の全体を一部切り欠いた状態で示す斜視図であり、図2は同装置の正面図である。また、図3は同装置の底面図であり、図4は同装置の側面図である。なお、以下、便宜上、各図における+X方向を右方向、+Y方向を後方向、+Z方向を上方向として説明するが、これらの方向の表現については特に限定されるものではなく、単に本実施形態の装置内における相対的な位置関係を表したものである。
【0020】
スライドアシスト装置1は、引戸Dの前面(正面)に取り付けられたアシスト装置本体3と、戸枠Fに取り付けられた受け部材5とを備える。
【0021】
ここで、このスライドアシスト装置1が取り付けられる引戸Dの構造について簡単に説明する。引戸構造は、構造物の開口部Wを開閉する引戸Dと、この引戸Dの戸首D1が遊嵌される鴨居F1および引戸Dの下端部が嵌め込まれる敷居F2を含む戸枠Fとを備える。引戸Dは、戸本体D2と、戸本体D2の上部に設けられた戸首D1と、戸本体D2の下縁部に取り付けられた左右一対の戸車D3とを備える。一方、戸枠Fの鴨居F1および敷居F2のそれぞれには、引戸Dが嵌め込まれる案内溝F3,F4を有し、この案内溝F3,F4に沿って引戸Dが開閉される。これらの案内溝F3,F4は、引戸Dの戸首D1や引戸Dの下端部の厚み寸法よりも若干大きく形成されており、引戸Dの厚み方向に対して遊びをもたせている。
【0022】
スライドアシスト装置1に戻って、このスライドアシスト装置1は、アシスト装置本体3と受け部材5とが協働して付勢力を蓄積または開放可能に構成され、この開放された付勢力をスライドアシスト力として引戸Dに対して付与されるようになっている。
【0023】
アシスト装置本体3は、図5および図6に示すように、引戸Dに取り付けられた枠体31と、この枠体31内に一端がフリー状態で収容される引きバネ32(弾性体に相当)と、枠体31内に一端がフリー状態でかつ引きバネ32と並列に収容されたダンパー部材33と、この引きバネ32およびダンパー部材33のフリー端部に取り付けられたスライド部材34とを備え、上記付勢力としての引きバネ32の弾性力を蓄積または開放可能に構成された一般的なものである。従って、このアシスト装置本体3は、その具体的構成を特に限定するものではないが、以下に簡単に説明する。
【0024】
図5および図6は、アシスト装置本体3を示す斜視図である。これらの図は、スライド部材34が引戸Dの閉止位置に対応する初期位置にあるか、引戸Dの開放操作に伴ってスライド部材34が所定の保持位置にあるかで異なる。
【0025】
具体的には、アシスト装置本体(以下、単に「装置本体」という)3は、長手方向の各端部に第1および第2エッジブロック312,313が嵌め込まれた角筒状の枠体31と、枠体31内であって第2エッジブロック313に一端が固定された引きバネ32と、枠体31内でこの引きバネ32と上下に並設されるとともに第2エッジブロック313に一端が固定されたダンパー部材33と、この引きバネ32およびダンパー部材33の他端であるフリー端部に取り付けられ、枠体31内をその長手方向に沿ってスライド可能なスライド部材34とを備える。この装置本体3は、図2に示すように、引戸の上端部前面に、枠体31の左端面が引戸Dの左側面と面一となる態様で取り付けられている。
【0026】
枠体31は、図5および図6において二点鎖線で示され、左右方向(引戸Dのスライド方向)に細長い角筒状の枠本体311と、この枠本体311の長手方向一端部(左端部)に嵌め込まれる第1エッジブロック312と、枠本体311の長手方向他端部(右端部)に嵌め込まれる第2エッジブロック313とを備え、各エッジブロック312,313のねじ孔312a,313aを通してねじ(不図示)が引戸Dにねじ込まれることにより、引戸Dの上端部前面に取り付けられている。
【0027】
枠本体311には、その前面壁に左右方向に延びるガイドスリット311aと、このガイドスリット311aに連設され、ガイドスリット311aに対して拡幅された角形の回動孔311bとが設けられている。ガイドスリット311aは、枠本体311の前面壁の左右方向の中央部より若干左方位置を始点にして左方へ延設されている。このガイドスリット311aの上下幅は、スライド部材34の後述する回動掛合片342における舌片342cの上下幅よりも狭く設定され、スライド部材34の回動掛合片342が回動できないように構成されている。
【0028】
一方、回動孔311bは、ガイドスリット311aの左端部に連設されている。この回動孔311bは、ガイドスリット311aよりも拡幅して構成され、回動掛合片342の舌片342cよりも幅広に構成されている。従って、この回動孔311bは、スライド部材34がこの回動孔311bに至った場合にスライド部材34の回動掛合片342がこの回動孔311bを通して回動可能に構成されている。
【0029】
引きバネ32は、第2エッジブロック313とスライド部材34との間に介設され、スライド部材34に付勢力を付与するためのものである。具体的には、引きバネ32の一端部は第2エッジブロック313の左端部に係止されることにより枠体31に固定され、フリー端部である他端部がスライド部材34の右端部に係止され、これにより引きバネ32が各部材313,34間に張設されている。
【0030】
ダンパー部材33は、直動式ダンパーであり、引きバネ32の付勢力に対して緩衝効果を付与するものである。このダンパー部材33は、第2エッジブロック313とスライド部材34の間に架設され、引きバネ32の下方において該引きバネ32と並列に配置されている。また、ダンパー部材33は、エアダンパー、油圧ダンパー等のいずれのダンパーであってもよいが、本実施形態ではエアダンパーが採用されている。更に、ダンパー部材33は、不図示の一方弁が内蔵された一方向性のダンパーであり、縮む場合、すなわち引戸Dが閉止方向に移動する場合に緩衝効果を付与するように構成されている。なお、ダンパー部材について、ロータリーダンパーを採用するものであってもよい。この場合の具体的構造についてはラック機構を用いるなど既に公知であるので、具体的説明は省略する。
【0031】
スライド部材34は、引きバネ32およびダンパー部材33のフリー端部が係止されるスライドブロック341と、スライドブロック341に軸支され垂直軸342a周りに回動する回動掛合片342とを備え、引戸Dの閉止位置に対応する初期位置(図5参照)と枠体31の回動孔311bに対応する所定の保持位置(図6参照)との間を引戸Dの開閉操作に伴って枠体31に対して相対的に移動するようになされている。
【0032】
スライドブロック341は、左前方角部が切り欠かれた直方体状のブロック基体341aと、このブロック基体341aから前方に向かって突設された突出係合部341bとを備える。
【0033】
ブロック基体341aは、上下幅がガイドスリット311aよりも大きく構成され、枠本体311内を摺動可能に構成されている。このブロック基体341aの上記切欠き部に回動掛合片342が配置される。
【0034】
また、突出係合部341bは、開放状態にある引戸Dの閉止操作時の移動速度が速い場合に受け部材5と係合し、ダンパー部材33の緩衝効果によってその移動速度を減殺するものである。この突出係合部341bは、その上下幅がガイドスリット311aよりも小さく構成され、スライドブロック341が枠本体311に内装された状態でガイドスリット311aを通じて枠本体311から前方に突出するようになされている。
【0035】
回動掛合片342は、引戸Dの開放動作に伴いスライド部材34の初期位置から保持位置に至るまでの間、受け部材5(特に後述する受け突部53)に係合し、スライド部材34が保持位置に至ることによりこの回動孔311bを通じて枠体31内に没入回動することにより受け部材5との係合状態が解除されるとともにスライド部材34をその保持位置に停止保持するためのものである。また、回動掛合片342は、引戸Dの閉止動作に伴い受け部材5と再係合し、スライド部材34の停止保持状態を解除するとともに受け部材5と協働して上記解除に伴い引きバネ32の弾性力を引戸Dにスライドアシスト力として付与するように機能する。
【0036】
この回動掛合片342は、平面視で左方に向かって先細りに形成された三角形状を呈する三角ブロック342b(図9,10参照)と、この三角ブロック342bの前面左半分の部分に固定された平面視で左方へ向かって先細りの舌片342cとを備えている。三角ブロック342bは、ブロック基体341aの上記切欠き部に配置され、垂直軸342aによってブロック基体341aに軸支されている。
【0037】
舌片342cは、受け部材5の受け突部53に対して係脱する部材である。この舌片342cは、その上下幅がガイドスリット311aの上下幅よりも大きく、かつ、回動孔311bの上下幅よりも小さく寸法設定されているとともに、左右寸法が回動孔311bの左右寸法よりも短く設定されている。この舌片342cの先端部(左端部)は回動掛合片342の後述する係合姿勢でガイドスリット311a内に突出する突出部分342dを有し、この突出部分342dが回動孔311bの端縁に係合することにより回動掛合片342に回動力を付与するようになされている。そして、舌片342cは、ガイドスリット311aの範囲内にあるとき、図5に示すように、ガイドスリット311aから前方に突出した状態にあり、この状態で受け突部53に係合している。また、舌片342cは、回動掛合片342が回動孔311bに至ることにより、図6に示すように、回動孔311bを通じて垂直軸342aを中心に時計方向に回動可能に構成され、この回動に伴い受け突部53との係合状態が解除される。
【0038】
次に、受け部材5について説明する。図7はスライドアシスト装置の受け部材を示す斜視図であり、図8は同受け部材を示す背面図である。
【0039】
受け部材5は、戸枠Fに設けられ、引戸Dの移動範囲の所定の範囲(開閉途中位置から閉止位置までの範囲)で引戸Dの前方においてスライド部材34に係脱することにより、スライド部材34に対し付勢力を蓄積または開放させるものである。
【0040】
この受け部材5は、戸枠Fの下面に取り付けられる規制プレート51と、この規制プレート51前端縁から垂下する垂下プレート52と、この垂下プレート52の後面(引戸側の面)に後方に突設された受け突部53(受け部に相当)とを備え、全体として左右方向(引戸Dのスライド方向)に長尺に構成されるとともに正面視略L字状の合成樹脂の一体成形品として構成されている。なお、本実施形態では左右いずれの開き引戸Dにも対応可能で、かつ、引戸Dの閉止方向のスライドアシストだけでなく、引戸Dの開放方向のスライドアシストにも対応可能にするため、受け突部53が左右一対設けられている。従って、本実施形態の受け部材5は、左右いずれの開き方向にも、また開閉いずれのスライドアシストにも対応可能な兼用品として構成されている。
【0041】
規制プレート51は、図3および図4に示すように、鴨居F1の下面であってその案内溝F3の前方に該案内溝F3に隣接して設けられている。この規制プレート51は、引戸Dの前面上端部に係合して引戸Dの厚み方向(引戸のスライド方向に直交する水平方向)の移動を規制するものである。
【0042】
規制プレート51は、図3に示すように、左右方向に長尺の板状体であり、その下面の前後幅、具体的には垂下プレート52の前面から後縁までの距離T0がスライド部材34の枠体31からの突出部分を含めた装置本体3の厚みT1よりも大きく設定されている。従って、規制プレート51によって引戸Dがその厚み方向の移動が規制された状態では、スライド部材34を含め装置本体3と垂下プレート52が干渉しないようになされている。また、規制プレート51は、図7および図8に示すように、引戸Dに係合する引戸D側の側面、すなわち後面511が平滑面として構成されている。従って、この規制プレート51の後面511は、引戸Dの前面に略面接触するようになされている。
【0043】
この規制プレート51の後面511は、長手方向の所定位置から引戸Dの反アシスト方向(本実施形態では右方向)に向けて内側(前方)に傾斜するガイドテーパー面511aとして構成されている。また、本実施形態では、このガイドテーパー面511aが上記反アシスト方向の端部だけでなく、引戸Dのアシスト方向の端部にも設けられている。これは、上記のように受け部材5が兼用品として構成されているためであり、本実施形態のスライドアシスト装置1の設置状況においては、後面511の右端部に設けられたガイドテーパー面511aだけで足りるものである。
【0044】
このガイドテーパー面511aは、図3および図4に二点鎖線で示すように、引戸Dのスライドに伴い引戸Dの左端(アシスト方向端縁)に係合して引戸Dの軌道を修正するものであり、平滑面として構成されている。このガイドテーパー面511aにおける規制プレート51の長手方向内側の各端縁は、対応する左右各受け突部53に対して反アシスト方向に位置するように設定されている。本実施形態では、図3および図8に示すように、ガイドテーパー面511aの長手方向内側の各端縁が各受け突部53の外側縁(規制プレート51の長手方向外側の縁部)に略一致するように構成されている。また、このガイドテーパー面511aの長手方向各外側の各端縁は、前後方向について、規制プレート51の後面から引戸Dの厚み方向の遊びに相当する距離T3だけ退入した位置に設定されている。
【0045】
この規制プレート51には、長手方向中央部および左右両端部に戸枠取付用の取付孔512が貫設されている。この取付孔512は、前後に細長く形成された底面視長円形の孔である。このように取付孔512が長円孔として構成されているので、戸枠取付用のねじに対してその締付け前に規制プレート51を前後移動させることができ、これにより受け部材5の前後位置合わせを確実に行うことができる。
【0046】
また、この規制プレート51には、長手方向に沿って二個一組のプレート取着孔513,514が左右一対貫設され、本実施形態では計4個のプレート取着孔513,514が貫設されている。このプレート取着孔513,514は、隙間調整用プレート7を取り付けるための孔であり、左右一対設けられているのは上記したように兼用品であるためであり、本実施形態の設置状況ではプレート取着孔513だけで足りる。隙間調整用プレート7は、図2に示すように、装置本体3と規制プレート51との間に上下隙間が存在する場合に、該隙間を埋めるために規制プレート51に着脱自在に取り付けられるプレートであり、これにより引戸Dの閉止時の跳ね上がりを防止するためのものである。この隙間調整用プレート7の上面には、上記プレート取着孔513に嵌着される取付ボス71が突設されている。なお、図示していないが隙間調整用プレート7には、取付ボスが嵌着される二個一組の嵌入孔を有し、他の隙間調整用プレートの取付ボス71をこの嵌入孔に嵌着することにより積層し得るように構成されている。すなわち、この隙間調整用プレート7は、複数枚を積層し得るように構成されている。
【0047】
なお、規制プレート51の下面には複数の補強用溝515が前後幅方向の全域に亘って凹設されている。この補強用溝515は、後述する他の実施形態におけるL型アングル19を用いる場合に、このL型アングル19の突部に嵌合されるものである。そして、この嵌合により、受け部材5に作用する引戸Dのスライド方向の外力をL型アングル19に分散伝達され、これにより両者5,19の接合強度を向上させることができる。
【0048】
一方、垂下プレート52は、規制プレート51よりも厚肉に構成された板状体である。この垂下プレート52は、図3に明示するように、長手方向について少なくとも受け突部53が突設された部分が中空に構成され、受け突部53に前後方向に過度の外力が作用した場合に受け突部53が前方に弾性変形するように構成されている。
【0049】
受け突部53は、引戸Dのスライドに伴い、スライド部材34、特に回動掛合片342の舌片342cに係脱されるものである。この受け突部53は、垂下プレート52の後面に上下方向に延びる堤状に左右一対突設されている。受け突部53の突出量は、スライド部材34と係脱可能であれば特に限定するものではないが、本実施形態ではスライド部材34の枠体31からの突出量に対して略同等ないしは若干小さく設定されている。また、受け突部53の上端左右両縁部は面取りされている。なお、受け突部53が左右一対設けられているのは、上記のように兼用品であるためであり、本実施形態では右側に配置された受け突部53だけで足りる。
【0050】
以上のように構成されたスライドアシスト装置1は、例えば次のようにして戸枠Fの鴨居F1または引戸Dに取り付けられる。
【0051】
まず、受け部材5を戸枠Fの鴨居F1の下面に取り付ける。
【0052】
具体的には、受け部材5の長手方向一端縁を戸枠Fの一側部内面に当接させた状態で(図3参照)、垂下プレート52を手前(前方)に配置させつつ規制プレート51を鴨居F1の下面にあてがう。そして、この状態で図3に示すように、規制プレート51の取付孔512を通じてねじSで受け部材5を鴨居F1に仮止めを行う。
【0053】
そして、引戸Dを閉止して厚み方向の遊びを略なくした状態(図4において戸首D1を鴨居F1の案内溝F3内の後側面に押し付けた状態)で、この引戸Dの上端側面に規制プレート51の後面511を当接させ、この状態で上記ねじSを締め付けることにより、受け部材5を鴨居F1に取り付ける。
【0054】
次に、この受け部材5の受け突部53に引戸Dの前方において係脱し得る態様で装置本体3を引戸Dの前面上端部に取り付ける。この際、規制プレート51と戸本体D1の前面との間に若干隙間があってもよい。つまり、受け部材5の規制プレート51と引戸Dとは常に係合している必要はない。
【0055】
具体的には、左右方向について装置本体3の左側面が引戸Dの左側面と略面一になる状態であって、上下方向について規制プレート51の厚みを考慮して戸本体D1の前面上端縁から僅かに下がった位置で、かつ、スライド部材34と受け突部53とが係合し得る位置に装置本体3を配置する。そして、この状態で、枠体31のねじ孔312a,313aを通して引戸Dにねじ(不図示)がねじ込むことにより、装置本体3を引戸Dの前面上端部に取り付ける。
【0056】
このように、このスライドアシスト装置1によれば、引戸Dを戸枠Fから取り外さなくても取り付けることができ、また戸首D1の除去等も必要とせず、戸枠Fの鴨居F1の下面に受け部材5を、引戸Dの前面に装置本体3を取り付けるだけでよく、従来のスライドアシスト装置1に比べて簡易に後付けすることができる。
【0057】
以上のように取り付けられたスライドアシスト装置1の作用について、図9および図10を中心に説明する。図9は引戸Dを閉止された状態から開放する場合のスライドアシスト装置1の作用を説明するための平面視の一部断面図であり、図10は引戸Dを開放した状態から閉止する場合の同装置1の作用を説明するための平面視の一部断面図である。
【0058】
まず、閉止状態にある引戸Dを開放する場合の機能について説明する。
【0059】
スライド部材34は、引戸Dの閉止状態において、図5に示すように、初期位置にあり、ガイドスリット311aの右端部に位置している。この引戸の閉止状態において、図9(A)に示すように、スライド部材34の回動掛合片342は、その舌片342cがガイドスリット311aを通じて枠体31から前方に突出した係合姿勢に設定されている。この係合姿勢では、舌片342cの右端面が受け部材5の受け突部53の左側面に係合した状態になっている。
【0060】
そして、この閉止状態から引戸Dを右方へ移動させて開放していくと、この開放に伴い装置本体3も右方へ移動するが、舌片342cが受け突部53に係合しているため、スライド部材34の移動が妨げられる。このため、スライド部材34は、ガイドスリット311aに沿って枠体31に対して相対的に左方に移動する。このスライド部材34の移動に伴い引きバネ32が伸長し、これによりスライド部材34に引きバネ32の付勢力が蓄積される。
【0061】
引戸Dを継続して開放していくと、引戸Dが所定の開閉途中位置に達し、このときスライド部材34の舌片342cが回動孔311bに達する。この状態からさらに引戸Dが開放されると、舌片342cが受け突部53によって左方へ向かって押圧され、舌片342cの先端突出部分342dが回動孔311bの左縁部に係合し、回動掛合片342が垂直軸342aを中心に時計方向に回動する。これによって、図9(B)に示すように、回動掛合片342は、回動孔311bを通じて回動し、受け突部53との係合状態が解除された解除姿勢へ姿勢変更する。
【0062】
このとき、解除姿勢に姿勢変更された舌片342cは、引きバネ32の付勢力で右方へ引っ張られ、舌片342cの右端面が回動孔311bの右端縁に係止する(図6参照)。これによって、スライド部材34は、回動孔311bに対応する保持位置に停止保持されるとともに、回動掛合片342の三角ブロック342bの前方右端部がガイドスリット311aを通じて枠体31の前方に突出した状態に配置される。
【0063】
次に、開放状態にある引戸Dを閉止する場合の機能について説明する。
【0064】
全開状態の引戸Dを左方へ移動させて閉めていくと、引戸Dは上記開閉途中位置に達する。このとき、図10(A)に示すように、三角ブロック342bの前方右縁部が受け突部53に干渉し、これによって回動掛合片342は、垂直軸342aを中心に反時計方向に回動して、その舌片342cが、回動孔311bから抜け出し、当該舌片342cの右角部が回動孔311bの右縁部へ係止されていた状態が解消される。すなわち、回動掛合片342は、受け突部53に対する解除姿勢から係合姿勢へと姿勢変更する(図10(B))。
【0065】
そして、この姿勢変更に伴い引きバネ32の付勢力が開放されてスライド部材34に作用し、スライド部材34は、ダンパー部材33によって一定の抵抗が付与されつつ、ガイドスリット311aに沿って枠体31に対して相対的に上記保持位置から初期位置に向かって移動する。このとき、スライド部材34は受け部材5の受け突部53に係合しているため、引きバネ32の付勢力はスライドアシスト力として引戸Dの閉止方向に作用する。
【0066】
なお、引戸Dの閉止速度が速い場合には、受け部材5の受け突部53は三角ブロック342bに干渉した後、スライドブロック341の突出係合部341bに衝突し、ダンパー部材33による抵抗が付与されて減速される。
【0067】
ここで、本実施形態のスライドアシスト装置1は、上記したように、後付けを簡易にすべく、鴨居F1の下面に受け部材5を取り付けるとともに、引戸Dの前面に装置本体3を取り付け、受け部材5の受け突部53と装置本体3のスライド部材34とを引戸Dの前方において係合させるように構成されている。また、引戸Dについては、図4に明示されているように、戸枠Fに対し厚み方向に遊びを有する。従って、この遊びに基づき、装置本体3のスライド部材34と、受け部材5の受け突部53の係合が適正にできなかったり、装置本体3の枠体31が受け突部53に干渉したり、引戸Dに対して適正にスライドアシスト力を付与することができないことも想定される。
【0068】
しかしながら、本実施形態のスライドアシスト装置1は、引戸Dの前面に係合して引戸Dの厚み方向の移動を規制する規制プレート51を備えるので、この規制プレート51によって引戸D、ひいてはこの引戸Dに突設されている枠体31の厚み方向の遊び(場合によってはガタ)の範囲を規制して引戸Dの少なくともスライドアシスト範囲においては可及的に引戸Dの遊び(場合によってはガタ)を減少ないしは無くすことができる。また、受け突部53が規制プレート51と一体的に設けられているため、規制プレート51と受け突部53との位置関係を一定に保つことができ、しかも、上記のように引戸Dの遊びが減少されていることと相俟って、スライド部材34と受け突部53との確実な係合を確保することができるとともに、枠体31と受け突部53との干渉を確実に回避することができる。
【0069】
すなわち、このスライドアシスト装置1によれば、適正に引戸Dのスライドをアシストできる。
【0070】
上記のように規制プレート51によって引戸Dの厚み方向の移動を規制するようにした場合、例えば引戸Dの軌道によっては、引戸Dのスライドに伴って規制プレート51と引戸Dとの衝突が懸念されるが、本実施形態のスライドアシスト装置1によれば、規制プレート51における引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するガイドテーパー面511aとして形成されているので、図3および図4に二点鎖線で明示するように、引戸Dをこのガイドテーパー面511aに沿って軌道修正することができ、これにより規制プレート51と引戸Dとの衝突を確実に防止することができる。
【0071】
しかも、本実施形態のスライドアシスト装置1は、ガイドテーパー面511aのアシスト方向の端縁は、規制プレート51の長手方向について、受け突部53に略一致して設けられているので、枠体31が引戸Dに対してそのスライド方向先端面(左端面)同士を面一にする態様で配置された場合でも、確実に枠体31と受け突部53との干渉を防止することができる。
【0072】
なお、以上に説明したスライドアシスト装置1は、本発明に係るアシスト装置の一実施形態であり、その具体的構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、その変形例を説明する。
【0073】
(1)上記実施形態では、非吊下式の引戸Dにスライドアシスト装置1を適用した場合について説明したが、図11に示すように、吊下式の引戸D10についても適用することができる。
【0074】
この他の実施形態に係るスライドアシスト装置1は、上記実施形態における装置本体3および受け部材5の他に、受け部材5を戸枠F10に取り付けるためのL型アングル19も備えている。
【0075】
すなわち、この吊下式の引戸D10では、戸枠F10の上部について受け部材5を取り付けるためのスペースがないことから、受け部材5を取り付けるためのL型アングル19が用いられている。このL型アングル19は、戸枠F10の側面に重合される垂直片191と、この垂直片191の下端縁から水平に延びる水平片192とを有し、全体として受け部材5に対応して長尺に構成されている。
【0076】
このL型アングル19の垂直片191は、図示していないが長手方向に沿って複数のねじ孔を有し、このねじ孔を通じてねじが戸枠F10にねじ込まれることにより、当該戸枠F10に取り付けられる。
【0077】
また、水平片192には、受け部材5における規制プレート51の取付孔512に対応して受け部材5取付用のねじ孔が設けられているとともに、規制プレート51の補強用溝515に対応して突部が設けられている。
【0078】
このようにスライドアシスト装置1は、L型アングル19を利用することにより、戸枠F10に受け部材5の設置スペースがない場合でも簡易に取り付けることができる。
【0079】
(2)上記実施形態では、受け部材5は、規制プレート51と、垂下プレート52と、受け突部53とを備えて構成されているが、受け部材5の具体的構成はこれに限定されるものではない。例えば、垂下プレート52を省略して、規制プレート51の前端縁から受け突部53を垂下させるように構成するものであってもよい。ただし、上記実施形態のように受け部材5が垂下プレート52を備えて構成されれば、受け突部53の強度を向上させることができ、これにより耐久性も向上させることができる。
【0080】
(3)上記実施形態では、受け部材5がいわゆる兼用品として構成されているが、いわゆる左開き引戸、右開き引戸等、各引戸に対応するいわゆる専用品であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
D 引戸
F 戸枠
1 スライドアシスト装置
3 アシスト装置本体
31 枠体
32 引きバネ
33 ダンパー部材
34 スライド部材
5 受け部材
51 規制プレート
511a ガイドテーパー面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部を開閉する引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられたスライド部材と、戸枠に取り付けられ引戸の移動範囲の所定の範囲で上記スライド部材に上記引戸の前方において係脱する受け部材とを備え、上記引戸の一方向へのスライド時に上記スライド部材と受け部材とが係合して上記弾性部材を伸長させることにより上記スライド部材に当該弾性部材の付勢力を蓄積させ、このスライド部材が所定の保持位置に到達したときに上記スライド部材と受け部材との係合が解除されて上記スライド部材が当該保持位置に保持され、反対方向のスライド時に上記スライド部材と受け部材とが再係合することにより上記弾性部材の付勢力が解放されてスライドアシスト力として引戸に付与されるスライドアシスト装置であって、
上記受け部材は、上記戸枠に引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、
上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするスライドアシスト装置。
【請求項2】
上記規制プレートにおける上記テーパー面の上記アシスト方向の端縁は、上記規制プレートの長手方向について、上記受け部に対して反アシスト方向に位置することを特徴とする請求項1記載のスライドアシスト装置。
【請求項3】
引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられ上記引戸のスライド移動に伴い弾性部材が伸縮することにより付勢力を蓄積または解放可能なスライド部材とを備えるアシスト装置本体の上記スライド部材に対して、上記引戸の前方において係脱することにより、上記付勢力を引戸のスライドアシスト力として所定の範囲で上記引戸に付与するスライドアシスト装置用受け部材であって、
戸枠に上記引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、
上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするスライドアシスト装置用受け部材。
【請求項1】
構造物の開口部を開閉する引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられたスライド部材と、戸枠に取り付けられ引戸の移動範囲の所定の範囲で上記スライド部材に上記引戸の前方において係脱する受け部材とを備え、上記引戸の一方向へのスライド時に上記スライド部材と受け部材とが係合して上記弾性部材を伸長させることにより上記スライド部材に当該弾性部材の付勢力を蓄積させ、このスライド部材が所定の保持位置に到達したときに上記スライド部材と受け部材との係合が解除されて上記スライド部材が当該保持位置に保持され、反対方向のスライド時に上記スライド部材と受け部材とが再係合することにより上記弾性部材の付勢力が解放されてスライドアシスト力として引戸に付与されるスライドアシスト装置であって、
上記受け部材は、上記戸枠に引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、
上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするスライドアシスト装置。
【請求項2】
上記規制プレートにおける上記テーパー面の上記アシスト方向の端縁は、上記規制プレートの長手方向について、上記受け部に対して反アシスト方向に位置することを特徴とする請求項1記載のスライドアシスト装置。
【請求項3】
引戸の前面に突出した状態で設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられ上記引戸のスライド移動に伴い弾性部材が伸縮することにより付勢力を蓄積または解放可能なスライド部材とを備えるアシスト装置本体の上記スライド部材に対して、上記引戸の前方において係脱することにより、上記付勢力を引戸のスライドアシスト力として所定の範囲で上記引戸に付与するスライドアシスト装置用受け部材であって、
戸枠に上記引戸のスライド方向に沿って設けられ、当該引戸の前面に係合して上記引戸の厚み方向の移動を規制する規制プレートと、この規制プレートと一体的に設けられ上記引戸の移動に伴ってスライド部材に対して係脱する受け部とを備え、
上記規制プレートにおける引戸側の面が長手方向の所定位置から上記引戸の反アシスト方向に向けて内側に傾斜するテーパー面として形成されていることを特徴とするスライドアシスト装置用受け部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−140838(P2011−140838A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3059(P2010−3059)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000145895)株式会社小林製作所 (21)
【出願人】(000169329)アトムリビンテック株式会社 (81)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000145895)株式会社小林製作所 (21)
【出願人】(000169329)アトムリビンテック株式会社 (81)
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