説明

スライドドア車の車体構造

【課題】戸袋に形成された排水孔を通じて排水された水がフロアパネルに浸入することを抑制する。
【解決手段】スライドドア車の車体構造10では、ロッカインナパネル18とフロアパネル22の車両幅方向外側部22Aとは、連結パッチ24により連結されており、この連結パッチ24には、内側戸袋14の下壁部46に形成された排水孔54よりも車両幅方向内側の位置に、車両幅方向外側部22Aの上面22Bに対して車両上側に突出する止水部88が形成されている。従って、内側戸袋14に形成された排水孔54を通じて排水された水Wがロッカインナパネル18の貫通孔78を通じてフロアパネル22側へ向けて流れてきても、この水Wを止水部88で止水することができる。これにより、排水孔54を通じて排水された水Wがフロアパネル22に浸入することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドア車の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライドドアをガイドするガイドレールを収容した戸袋がロッカを貫通する車体構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−24268号公報
【特許文献2】特開2007−8398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車体構造において、例えば、戸袋内に浸入した水を排水させるために戸袋に排水孔が形成された場合、この排水孔を通じて排水された水がフロアパネルに浸入する虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、戸袋に形成された排水孔を通じて排水された水がフロアパネルに浸入することを抑制することができるスライドドア車の車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のスライドドア車の車体構造は、車両側面部に形成されたドア開口の下縁部を構成するロッカ部に車両前後方向に延在され、前記ドア開口を開閉するスライドドアの下部を車両前後方向に移動可能に支持すると共に、車両前側に向かうに従って車両内側に向かう先端折曲部を前部に有するガイドレールと、車両幅方向外側に開口する袋状に形成されて前記先端折曲部を収容すると共に、前記先端折曲部の車両下側に位置する下壁部に排水孔が形成された戸袋と、車両幅方向に貫通し前記戸袋が挿入された貫通孔を有すると共に、前記ロッカ部を構成するロッカインナパネルと、車両幅方向外側部が前記ロッカインナパネルの車両幅方向内側で且つ前記戸袋の車両下側に位置するフロアパネルと、前記ロッカインナパネルと前記車両幅方向外側部とを連結すると共に、前記排水孔よりも車両幅方向内側の位置に前記車両幅方向外側部の上面に対して車両上側に突出する止水部が形成された連結パッチと、を備えている。
【0007】
このスライドドア車の車体構造によれば、ロッカインナパネルとフロアパネルの車両幅方向外側部とは、連結パッチにより連結されており、この連結パッチには、排水孔よりも車両幅方向内側の位置に、フロアパネルの上面に対して車両上側に突出する止水部が形成されている。従って、戸袋に形成された排水孔を通じて排水された水がフロアパネル側へ向けて流れてきても、この水を止水部で止水することができる。これにより、戸袋に形成された排水孔を通じて排水された水がフロアパネルに浸入することを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載のスライドドア車の車体構造は、請求項1に記載のスライドドア車の車体構造において、前記連結パッチが、前記止水部よりも車両幅方向外側に入口を有する車両下側への排水路を形成しているものである。
【0009】
このスライドドア車の車体構造によれば、連結パッチは、車両下側への排水路を形成しており、この排水路の入口は、止水部よりも車両幅方向外側に位置している。従って、止水部で止水した水を、この排水路を通じて車両下側へ排水することができる。
【0010】
請求項3に記載のスライドドア車の車体構造は、請求項2に記載のスライドドア車の車体構造において、前記排水路の出口が、車両幅方向外側を向いているものである。
【0011】
このスライドドア車の車体構造によれば、排水路の出口は、車両幅方向外側を向いている。従って、車両下側から跳ね上げられた水が排水路を逆流してフロアパネル側へ向けて流れることを抑制することができる。
【0012】
請求項4に記載のスライドドア車の車体構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスライドドア車の車体構造において、前記フロアパネルの前記止水部よりも車両幅方向内側に車両下側への排水構造が設けられたものである。
【0013】
このスライドドア車の車体構造によれば、フロアパネルには、止水部よりも車両幅方向内側に車両下側への排水構造が設けられている。従って、万が一、止水部を通過した水がある場合でも、この水を排水構造を通じて車両下側へ排水することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述したように、本発明によれば、戸袋に形成された排水孔を通じて排水された水がフロアパネルに浸入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライドドア車の車体構造を車両幅方向に沿って切断した断面図(図3のA−A線断面図)である。
【図2】図1に示されるスライドドア車の車体構造を図1に対して車両前後方向にずれた位置で切断した断面図である。
【図3】図1に示されるスライドドア車の車体構造を車両後方且つ車両幅方向内側から見た斜視図である。
【図4】図1に示されるスライドドア車の車体構造の平面断面図である。
【図5】図1に示されるスライドドア車の車体構造の第一変形例を示す図1に対応する断面図である。
【図6】図5に示される排水部材の斜視図である。
【図7】図5に示されるスライドドア車の車体構造を図6のB−B線で切断した要部拡大断面図である。
【図8】図1に示されるスライドドア車の車体構造の第二変形例を示す図1に対応する断面図である。
【図9】図1に示されるスライドドア車の車体構造の第三変形例を示す図1に対応する断面図である。
【図10】比較例に係るスライドドア車の車体構造を示す図1に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0017】
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(左側)をそれぞれ示している。また、図3では、図1におけるガイドレール12、内側戸袋14、外側戸袋16、サイドアウタパネル20が省かれた状態で示されている。
【0018】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るスライドドア車の車体構造10は、ガイドレール12と、本発明における戸袋に相当する内側戸袋14と、外側戸袋16と、ロッカインナパネル18と、サイドアウタパネル20と、フロアパネル22と、連結パッチ24とを備えている。
【0019】
このスライドドア車の車体構造10が適用された低床スライドドア車26の車両側面部には、スライドドア28によって開閉されるドア開口30が形成されており、このドア開口30の下縁部は、ロッカ部32とされている。
【0020】
ガイドレール12は、このロッカ部32に車両前後方向に延在されており、スライドドア28の下部を車両前後方向に移動可能に支持している。このガイドレール12の前部には、図4に示されるように、車両前側に向かうに従って車両内側に向かう先端折曲部12Aが形成されている。
【0021】
内側戸袋14は、図1に示されるように、レールカバーアッパ34及びレールカバーロア36によって構成されており、全体として車両幅方向外側に開口する袋状に形成されている。つまり、レールカバーアッパ34は、車両上下方向に延びる外側壁部38と、この外側壁部38の車両下側の端部から車両幅方向内側に向けて延びる上壁部40と、この上壁部40の車両幅方向内側の端部から車両下側に向けて延びる内側壁部42とを有している。
【0022】
一方、レールカバーロア36は、車両上下方向に延びて上部が上述の内側壁部42の下部と重ね合わされた状態で結合された内側壁部44と、この内側壁部44の車両下側の端部から車両幅方向外側に向けて延びる下壁部46と、この下壁部46の車両幅方向外側の端部から車両下側に向けて延びる外側壁部48と、この外側壁部48の車両下側の端部から車両幅方向内側に向けて延びる横壁部50と、この横壁部50の車両幅方向内側の端部から車両下側に向けて延びる下側フランジ52とを有している。
【0023】
そして、このようにして袋状に形成された内側戸袋14の内側には、上述のガイドレール12の先端折曲部12Aが収容されている。また、この先端折曲部12Aの車両下側に位置する下壁部46には、車両上下方向に貫通する排水孔54が形成されている。この排水孔54は、下壁部46における車両幅方向外側部に形成されており、後述するロッカインナパネル18に形成された貫通孔78よりも車両幅方向外側に位置されている(図4も参照)。なお、レールカバーロア36の下壁部46は、本発明における戸袋の下壁部に相当する。
【0024】
外側戸袋16は、車両幅方向に延びる上壁部56と、この上壁部56の車両幅方向内側の端部から車両下側に向けて延びる側壁部58と、この側壁部58の車両下側の端部から車両幅方向内側に向けて延びるフランジ60とを有している。上壁部56は、レールカバーアッパ34の上壁部40に対して車両上側に離間しており、側壁部58は、レールカバーアッパ34及びレールカバーロア36の内側壁部42,44に対して車両幅方向内側に離間している。また、上壁部56の車両幅方向外側部は、後述するロッカインナパネル18の上壁部64に重ね合わされた状態で結合されており、フランジ60は、後述するフロアパネル22に重ね合わされた状態で結合されている。
【0025】
ロッカインナパネル18は、ロッカ部32の車両幅方向内側部を構成しており、車両幅方向外側に開口する断面ハット状に形成されている。つまり、このロッカインナパネル18は、車両上下方向に延びる縦壁部62と、この縦壁部62の車両上下方向上側及び下側の端部から車両幅方向外側に向けて延びる上壁部64及び下壁部66と、この上壁部64及び下壁部66の車両幅方向外側の端部から車両上下方向上側及び下側に向けて延びる上側フランジ68及び下側フランジ70を有している。
【0026】
上側フランジ68は、レールカバーアッパ34の外側壁部38に形成された上側フランジ72と、サイドアウタパネル20に形成された上側フランジ74と重ね合わされた状態で結合されている。一方、下側フランジ70は、レールカバーロア36に形成された下側フランジ52と重ね合わされた状態で結合されている。この下側フランジ52,70同士の結合部は、車両前後方向に間隔を空けて並ぶ複数のスポット溶接による溶接部76とされている。
【0027】
また、このロッカインナパネル18の縦壁部62には、車両幅方向に貫通する貫通孔78が形成されている。この貫通孔78は、図4に示されるように、ガイドレール12の先端折曲部12Aに対応する位置に形成されており、車両前後方向に延びる長孔とされている(図3も参照)。そして、この貫通孔78には、図1,図4に示されるように、上述の内側戸袋14が挿入されている。
【0028】
フロアパネル22は、図1に示されるように、車両幅方向に延在されており、その車両幅方向外側部22Aは、ロッカインナパネル18の車両幅方向内側で且つ内側戸袋14の車両下側に位置している。
【0029】
連結パッチ24は、平板材を例えばプレス成形等することにより形成されたものであり、車両幅方向に延びる外側結合部80と、この外側結合部80の車両幅方向内側で且つ車両上側に位置する内側結合部82とを有している。外側結合部80は、ロッカインナパネル18の下壁部66に車両下側から重ね合わされた状態で例えばスポット溶接による溶接部84によって結合されている。一方、内側結合部82は、フロアパネル22の車両幅方向外側部22Aに車両上側から重ね合わされた状態で例えばスポット溶接による溶接部86によって結合されている。そして、これにより、ロッカインナパネル18の下壁部66とフロアパネル22の車両幅方向外側部22Aとは、連結パッチ24を介して連結されている。
【0030】
この連結パッチ24には、上述の内側結合部82における車両幅方向内側の端部に止水部88が形成されている。この止水部88は、内側結合部82における車両幅方向内側の端部から車両上側且つ車両幅方向内側に向けて延びている。つまり、この止水部88は、車両上側に向かうに従って車両幅方向内側に向かうように、車両上下方向に対して傾斜されている。また、この止水部88は、上述の排水孔54よりも車両幅方向内側に位置しており、且つ、車両幅方向外側部22Aの上面22Bに対して車両上側に突出している。なお、この止水部88は、図3に示されるように、上述の貫通孔78における車両前後方向の略全長に亘って形成されている。
【0031】
また、上述の外側結合部80は、上述の連結パッチ24における車両前後方向の両端部にそれぞれ形成されるか、又は、連結パッチ24における車両前後方向の両端部と、この両端部の間に車両前後方向に間隔を空けて複数形成されている。そして、この連結パッチ24には、この車両前後方向に並ぶ一対の外側結合部80の間に、図2に示されるように、水案内部90が形成されている。
【0032】
水案内部90は、縦壁部90Aと横壁部90Bを有している。縦壁部90Aは、内側結合部82の車両幅方向外側の端部から車両下側且つ車両幅方向外側に向けて延びている。つまり、この縦壁部90Aは、車両下側に向かうに従って車両幅方向外側に向かうように、車両上下方向に対して傾斜されている。一方、横壁部90Bは、縦壁部90Aの車両下側の端部から車両幅方向外側に向けて延びている。
【0033】
また、縦壁部90Aは、ロッカインナパネル18の縦壁部62に対して車両幅方向内側に離間しており、横壁部90Bは、ロッカインナパネル18の下壁部66に対して車両下側に離間している。そして、この縦壁部90A及び横壁部90Bは、ロッカインナパネル18の縦壁部62及び下壁部66との間に車両下側への排水路92を形成している。つまり、この排水路92の入口92Aは、縦壁部62と縦壁部90Aとの間の隙間により形成されている。この排水路92の入口92Aは、止水部88よりも車両幅方向外側に位置している。一方、排水路92の出口92Bは、下壁部66と横壁部90Bとの間の隙間により形成されている。この排水路92の出口92Bは、車両幅方向外側を向いている。
【0034】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0035】
先ず、本発明の一実施形態の作用及び効果をより明確にするために、比較例について説明する。比較例では、比較の容易のために本発明の一実施形態と同一名称の部材については同一の符号を用いている。
【0036】
図10に示される比較例に係るスライドドア車の車体構造120は、上述の本発明の一実施形態に係るスライドドア車の車体構造10に対し、連結パッチ24(図1参照)が省かれると共に、フロアパネル22の車両幅方向外側部22Aが車両幅方向外側に延長され、ロッカインナパネル18の下壁部66に車両下側から重ねられた状態で例えばスポット溶接による溶接部122によって結合されている。
【0037】
しかしながら、この比較例に係るスライドドア車の車体構造120では、内側戸袋14に形成された排水孔54を通じて排水された水Wが貫通孔78を通じてフロアパネル22側へ向けて流れてきた場合には、この水Wそのままフロアパネル22に浸入する。そして、例えば、フロアパネル22に凹部124が形成されていた場合には、この凹部124に水Wが溜まり錆が発生する虞がある。
【0038】
また、この比較例に係るスライドドア車の車体構造120では、図10において想像線で示されるように、フロアパネル22として、車両幅方向外側部22Aに車両上側に向けて延びるフランジ126が形成されたものを用いようとしても、貫通孔78が形成されたことによりロッカインナパネル18の縦壁部62とフランジ126との接合面積を確保できない。このため、フロアパネル22として、このようなものを用いることはできない。
【0039】
従って、図10において実線で示されるように、フロアパネル22として、車両幅方向外側部22Aが車両幅方向外側に延長されたものを用いる必要があるが、このようなフロアパネル22は、低床スライドドア車とそれ以外の車両とで共通に使用することができない。このため、低床スライドドア車とそれ以外の車両とで、それぞれ別個にフロアパネル22を製造する必要が生じ、製造コストが増加する。
【0040】
これに対し、図1に示される本発明の一実施形態に係るスライドドア車の車体構造10によれば、ロッカインナパネル18とフロアパネル22の車両幅方向外側部22Aとは、連結パッチ24により連結されており、この連結パッチ24には、排水孔54よりも車両幅方向内側の位置に、車両幅方向外側部22Aの上面22Bに対して車両上側に突出する止水部88が形成されている。従って、内側戸袋14に形成された排水孔54を通じて排水された水Wが貫通孔78を通じてフロアパネル22側へ向けて流れてきても、この水Wを止水部88で止水することができる。これにより、排水孔54を通じて排水された水Wがフロアパネル22に浸入することを抑制することができる。
【0041】
また、図2に示されるように、連結パッチ24は、車両下側への排水路92を形成しており、この排水路92の入口92Aは、止水部88よりも車両幅方向外側に位置している。従って、止水部88で止水した水Wを、この排水路92を通じて車両下側へ排水することができる。以上より、フロアパネル22に錆が発生することを抑制することができる。
【0042】
しかも、フロアパネル22の車両幅方向外側部22Aを連結パッチ24によりロッカインナパネル18の下壁部66に連結しているので、フロアパネル22については、車両幅方向外側部22Aが車両幅方向外側に延長されたものを用いる必要が無く、例えば、車両幅方向外側部22Aに車両上側に向けて延びるフランジ126が形成されたもの(図10の想像線参照)からフランジ126側の部分を切断したものを用いれば良い。これにより、低床スライドドア車とそれ以外の車両とで、共通のフロアパネル22を使用することができると共に、低床スライドドア車に使用するフロアパネル22の加工も最小限で済むので、製造コストの増加を抑制することができる。
【0043】
また、排水路92の出口92Bは、車両幅方向外側を向いている。従って、車両下側から跳ね上げられた水が排水路92を逆流してフロアパネル22側へ向けて流れることを抑制することができる。
【0044】
なお、下側フランジ52と下側フランジ70は、車両前後方向に間隔を空けて並ぶ複数のスポット溶接による溶接部76によって結合されているため、止水部88で止水した水Wは、この溶接部76間の隙間を通じても車両下側へ排水される(図1,図2参照)。
【0045】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0046】
図5に示されるように、フロアパネル22には、止水部88よりも車両幅方向内側に車両下側への排水構造94が設けられていても良い。つまり、この排水構造94では、フロアパネル22に貫通孔96が形成されており、この貫通孔96には、排水パッチ98が設けられている。排水パッチ98は、図6に示されるように、車両前後方向に離間して形成された結合部100と、この結合部100の間に形成された水案内部102とを有している。
【0047】
結合部100は、図5に示されるように、車両幅方向に並ぶ例えばスポット溶接による溶接部104,106によってフロアパネル22に結合されている。水案内部102は、図7に示されるように、貫通孔96を通過する水Wを車両幅方向内側に案内しながら車両下側に排出させる構成とされている。なお、この水案内部102は、貫通孔96を通過する水を車両幅方向外側に案内し排出させる構成とされていても良い(図7と左右反転した構成とされていても良い)。
【0048】
このように構成されていると、図5に示されるように、万が一、止水部88を通過した水Wがある場合でも、図7に示されるように、この水Wを排水構造94を通じて車両下側へ排水することができる。
【0049】
また、排水構造94としては、図8に示されるように、例えば、貫通孔96にドレーンクリップ108が設けられた構成とされていても良く、また、図9に示されるように、フロアパネル22に単に貫通孔96が形成された構成とされていても良い。このように構成されていても、止水部88を通過した水Wを排水構造94を通じて車両下側へ排水することができる。
【0050】
また、図1に示されるように、排水孔54は、貫通孔78よりも車両幅方向外側に形成されていたが、止水部88よりも車両幅方向外側の位置であれば、貫通孔78よりも車両幅方向内側に形成されていても良い。
【0051】
また、連結パッチ24は、排水路92を形成していたが、排水路92は、連結パッチ24以外の部材に形成されていても良い。
【0052】
また、スライドドア車の車体構造10は、車両左側面部に適用されていたが、車両右側面部に適用されても良い。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10 車体構造
12 ガイドレール
12A 先端折曲部
14 内側戸袋(戸袋)
18 ロッカインナパネル
22 フロアパネル
22A 車両幅方向外側部
22B 上面
24 連結パッチ
28 スライドドア
30 ドア開口
32 ロッカ部
46 下壁部
54 排水孔
78 貫通孔
88 止水部
92 排水路
92A 入口
92B 出口
94 排水構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側面部に形成されたドア開口の下縁部を構成するロッカ部に車両前後方向に延在され、前記ドア開口を開閉するスライドドアの下部を車両前後方向に移動可能に支持すると共に、車両前側に向かうに従って車両内側に向かう先端折曲部を前部に有するガイドレールと、
車両幅方向外側に開口する袋状に形成されて前記先端折曲部を収容すると共に、前記先端折曲部の車両下側に位置する下壁部に排水孔が形成された戸袋と、
車両幅方向に貫通し前記戸袋が挿入された貫通孔を有すると共に、前記ロッカ部を構成するロッカインナパネルと、
車両幅方向外側部が前記ロッカインナパネルの車両幅方向内側で且つ前記戸袋の車両下側に位置するフロアパネルと、
前記ロッカインナパネルと前記車両幅方向外側部とを連結すると共に、前記排水孔よりも車両幅方向内側の位置に前記車両幅方向外側部の上面に対して車両上側に突出する止水部が形成された連結パッチと、
を備えたスライドドア車の車体構造。
【請求項2】
前記連結パッチは、前記止水部よりも車両幅方向外側に入口を有する車両下側への排水路を形成している、
請求項1に記載のスライドドア車の車体構造。
【請求項3】
前記排水路の出口は、車両幅方向外側を向いている、
請求項2に記載のスライドドア車の車体構造。
【請求項4】
前記フロアパネルには、前記止水部よりも車両幅方向内側に車両下側への排水構造が設けられている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスライドドア車の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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