説明

スライド式ケーブルダクトカバー機構、スライド式ケーブルダクト、および、複数段型スライド式ケーブルダクト

【課題】制御機器の保守性を損なうことなく制御盤内への制御機器の収納効率を大きく向上させたスライド式ケーブルダクトカバー機構、スライド式ケーブルダクト、および、複数段型スライド式ケーブルダクトを提供することを課題とする。
【解決手段】スライド式ケーブルダクトカバー機構18は、ケーブルを収容するスライド式ケーブルダクト10の正面部を構成するケーブルダクト正面部20と、ケーブルダクト正面部20を前後方向にスライド式で往復動可能とする前後方向移動機構24と、ケーブルダクト正面部20を前後方向に直交するケーブルダクト短手方向にスライド式で往復動可能とする短手方向移動機構26と、を備えている。ケーブルダクト正面部20は、スライド式ケーブルダクト10の側部12に着脱自在に係合しており、かつ、DINレール30を正面側に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御機器を実装するためのDINレールを正面側に有するスライド式ケーブルダクトカバー機構、スライド式ケーブルダクト、および、複数段型スライド式ケーブルダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御盤では、リレーなどの部品が数多く実装された制御機器についてはDINレールを用いてこの制御機器を実装している。そして、制御機器同士を接続する電線については、ケーブルダクトを配置してこのケーブルダクト内に収納している。このため、制御盤内には、制御機器を実装する領域と、ケーブルダクトを実装する領域とが必要であり、各々の領域を同一平面上にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2002−95131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のケーブルダクトを用いた制御盤の製造では、制御機器とケーブルダクトとを別々の領域に実装するため、制御機器への電線接続の追加や削除などの変更を容易に行うことができる。しかし、制御機器とケーブルダクトとを同一平面上に実装するため、制御盤内に実装する制御機器が増えると、制御盤の追加や制御盤寸法を大きくする必要があり、このため、制御機器の収納効率が悪く、しかも制御盤が高価になるという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に開示されたケーブルダクトは、制御機器をケーブルダクト上に実装することで実装効率を上げることを目的としている。この場合、制御機器への配線変更などの保守を行うには、ケーブルダクトの側面側に空間の存在が必要であり、複数のケーブルダクトを近接して実装することが出来ない。このため、制御機器の収納効率向上はあまり見込めない。
【0006】
以上のような事情に照らし、本発明は、制御機器の保守性を損なうことなく制御盤内への制御機器の収納効率を大きく向上させたスライド式ケーブルダクトカバー機構、スライド式ケーブルダクト、および、複数段型スライド式ケーブルダクトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、ケーブルを収容するスライド式ケーブルダクトの正面部を構成するとともに前記スライド式ケーブルダクトの側部に着脱自在に係合し、かつ、DINレールを正面側に有するケーブルダクト正面部と、前記ケーブルダクト正面部を前後方向にスライド式で往復動可能とする前後方向移動機構と、前記ケーブルダクト正面部を前後方向に直交するケーブルダクト短手方向にスライド式で往復動可能とする短手方向移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る発明では、スライド式ケーブルダクトに収容されたケーブルに対して引き出す等のアクセスをするには、まず、スライド式ケーブルダクトの側部とケーブルダクト正面部との係合を解除する。
【0009】
そして、前後方向移動機構によりケーブルダクト正面部を正面方向に引き出す、すなわち、使用者がスライド式ケーブルダクトの正面側に位置してケーブルダクト正面部を手前側に引き出す。この結果、スライド式ケーブルダクトの側部よりも手前側にケーブルダクト正面部が位置し、ケーブルダクト正面部の短手方向への移動が側部によって妨げられることが回避される。
【0010】
そして、短手方向移動機構によりケーブルダクト正面部を短手方向に移動させると、収容空間がスライド式ケーブルダクトの正面側に開放され、使用者がケーブルにアクセス可能となる。従って、制御機器とスライド式ケーブルダクトとを正面側から見て同じ領域に実装する際に、スライド式ケーブルダクトの側面側に空間が形成されていなくても、スライド式ケーブルダクトの収容空間を簡単に開放することが可能になる。よって、制御機器の保守性を損なうことなく制御盤内への制御機器の実装効率を大きく向上させたスライド式ケーブルダクトカバー機構が実現される。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記ケーブルダクト正面部、前記前後方向移動機構、および、前記短手方向移動機構の構成部材の材質を高熱伝導率の材質としたことを特徴とする。これにより、DINレールに実装された制御機器から発生する熱を効率良く制御盤の表面から放熱することができ、発熱量の大きい制御機器も制御盤内に実装することが可能となる。
【0012】
請求項3に係る発明は、外部電源を受電する端子台を前記ケーブルダクト正面部の正面側に設けるとともに、前記DINレールの両サイドににそれぞれ導電性テープが前記DINレールとは絶縁されて貼り付けられ、前記端子台の正極と一方の前記導電性テープとが電気接続されているとともに、前記端子台の負極と他方の前記導電性テープとが電気接続されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、制御機器のDINレールへの実装工程と、制御機器への外部電源の配線工程とを兼ねることができ、作業時間を大きく短縮することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のスライド式ケーブルダクトカバー機構と、請求項1に記載のスライド式ケーブルダクトの前記側部および背面部を構成するケーブルダクト本体と、を備えたことを特徴とする。これにより、制御機器の保守性を損なうことなく制御盤内への制御機器の実装効率を大きく向上させたスライド式ケーブルダクトが実現される。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のスライド式ケーブルダクトで、前記DINレールを設けないことで正面側に平坦面が形成されている奥側スライド式ケーブルダクトと、請求項4に記載のスライド式ケーブルダクトで、前記奥側スライド式ケーブルダクトの前記平坦面に前記背面部が取り付けられた手前側スライド式ケーブルダクトと、を備えたことを特徴とする。これにより、請求項4に記載の発明に比べ、制御盤内への制御機器の収納効率を更に向上させた複数段型スライド式ケーブルダクトが実現される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御機器の保守性を損なうことなく制御盤内への制御機器の収納効率を大きく向上させたスライド式ケーブルダクトカバー機構、スライド式ケーブルダクト、および、複数段型スライド式ケーブルダクトとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態で、(a)はスライド式ケーブルダクトの斜視断面図、(b)は(a)の係合構造を示す断面図、(c)は(a)の矢視P−Pの断面図である。
【図2】第1実施形態のスライド式ケーブルダクトカバー機構の背面斜視図である。
【図3】第1実施形態で、ケーブルダクト正面部を引き出したことを示す斜視断面図である。
【図4】第1実施形態で、ケーブルダクト正面部を引き出した後に短手方向にスライド移動させたことを示す斜視断面図である。
【図5】第2実施形態で、スライド式ケーブルダクトを制御盤に実装したことを示す平面断面図である。
【図6】第3実施形態で、(a)はスライド式ケーブルダクトの斜視断面図、(b)は(a)の矢視X−Xの断面図である。
【図7】第4実施形態の複数段型スライド式ケーブルダクトを示す平面断面図である。
【図8】第4実施形態の複数段型スライド式ケーブルダクトで、手前側のケーブルダクト正面部を引き出したことを示す平面断面図である。
【図9】第4実施形態の複数段型スライド式ケーブルダクトで、手前側のケーブルダクト正面部および奥側のケーブルダクト正面部を引き出したことを示す平面断面図である。
【図10】第1実施形態のスライド式ケーブルダクトを制御盤に複数列に配置した実施例を示す平面断面図である。
【図11】従来のケーブルダクトおよび制御機器を制御盤に配置した従来例を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、すでに説明したものと同一または類似の構成要素には同一または類似の符号を付し、その詳細な説明を適宜省略している。
【0019】
また、図面は模式的なものであり、寸法比などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法比などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0020】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための例示であって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0021】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1で、(a)は本実施形態のスライド式ケーブルダクトの斜視断面図、(b)は(a)の係合構造Qを示す断面図、(c)は(a)の矢視P−Pの断面図である。図2は、本実施形態のスライド式ケーブルダクトカバー機構を説明する背面斜視図である。図3は、本実施形態で、スライド式ケーブルダクトカバー機構を引き出したことを説明する斜視断面図である。図4は、図3に示した状態にした後に収容空間を開放したことを示す斜視断面図である。
【0022】
本実施形態のスライド式ケーブルダクト10は、スライド式ケーブルダクト10の側部12および背面部14を構成するケーブルダクト本体16と、スライド式ケーブルダクト10の正面部を構成するスライド式ケーブルダクトカバー機構18と、で構成される。ケーブルダクト本体16は汎用のものであり一体ものとして成形されている。ケーブルダクト本体16とスライド式ケーブルダクトカバー機構18とによって、ケーブル(電線)を収容する収容空間Sが形成されている。
【0023】
(スライド式ケーブルダクトカバー機構)
スライド式ケーブルダクトカバー機構18は、スライド式ケーブルダクト10の正面側をカバーするケーブルダクト正面部20(以下、単に正面部20という)と、正面部20を前後方向(正面、背面方向)F1にスライド式で往復動可能とする前後方向移動機構24と、正面部20を前後方向F1に直交するケーブルダクト短手方向F2(以下、単に短手方向F2という)にスライド式で往復動可能とする短手方向移動機構26と、を備えている。
【0024】
正面部20は、正面から見て左右の両端部でケーブルダクト本体16の側部12の正面側端部に着脱自在に係合する構成になっており、正面部20の両端部と側部12の正面側端部とで係合構造Qを形成している。また、正面部20は、正面側にDINレール30を有する。ここで、DINレール30は、制御機器Gを実装するための汎用のレールであり、制御機器Gを上下方向に一列に実装することが可能である。
【0025】
また、スライド式ケーブルダクトカバー機構18は、正面部20の裏面側から収容空間Sへ前後方向F1と平行に延び出す前後方向スライド板32と、この前後方向スライド板32をスライド可能に両側面側から案内する前後方向案内部材34と、を備えている。前後方向案内部材34は、ケーブルダクト本体16の背面部14に取り付けられ、収容空間Sへ前後方向F1と平行に延び出す形状とされており、前後方向スライド板32が挿入される溝部36(図3参照)を有する。前後方向スライド板32と前後方向案内部材34とによって上記の前後方向移動機構24が形成されている。また、前後方向案内部材34と前後方向スライド板32とによって収容空間Sは左右に分けられている。
【0026】
また、スライド式ケーブルダクトカバー機構18は、正面部20の裏面側に貼り付けられ、短手方向F2に平行な係合凸部40を収容空間S側に有する短手方向スライド板42と、係合凸部40に係合する係合凹部44を正面方向側に有する上下方向に細長状の短手方向案内部材46と、を備えている。この短手方向案内部材46には、前後方向スライド板32の端部がはめ込まれて固定されている。
【0027】
短手方向スライド板42と短手方向案内部材46とによって上記の短手方向移動機構26が形成されている。係合凸部40は、短手方向スライド板42から収容空間S側にかけて上下方向幅が徐々に増大するように断面円錐台状とされ、係合凸部40はこれに合わせた形状とされており、正面部20を手前に引き出しても係合凸部40と係合凹部44とが外れない構成になっている。
【0028】
このような構成により、組み立て作業や保守作業などの意図したとき以外の状態において、正面部20が前後方向(前後方向および背面方向)や左右方向(短手方向F2)にスライド移動することはない。
【0029】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態では、スライド式ケーブルダクト10は、上下方向に沿って制御盤C(図5、図10参照)に実装されている。収容空間SにはケーブルK(図10参照)が収容されている。
【0030】
スライド式ケーブルダクト10に収容されたケーブルKに対して組み立て作業や保守作業等のためにアクセスをするには、まず、側部12と正面部20との係合を解除する。ケーブルダクト本体16は左右方向から収容空間Sの中央に向けて側部12を指で押圧することにより容易に撓むので、この係合は容易に解除される。
【0031】
そして、正面部20を手前側(正面方向側)に引き出す。この結果、側部12よりも手前側に正面部20が位置し、正面部20の短手方向F2への移動が側部12によって妨げられない状態となる。
【0032】
そして、正面部20を短手方向F2に手動で移動させると、正面部20および制御機器Gが短手方向F2に移動して、収容空間Sに収容されているケーブルKを正面から視認することができる状態になる。すなわち、使用者が高い作業効率でケーブルKにアクセス可能となる。
【0033】
従って、制御機器Gとケーブルダクト本体16とを正面側から見て同じ領域に実装する際に、スライド式ケーブルダクト10の側面側に大きな空間が形成されていなくても、スライド式ケーブルダクト10の収容空間Sを簡単に開放することが可能になる。よって、制御機器Gの保守性を損なうことなく制御盤Cへの制御機器Gの収納効率を大きく向上させたスライド式ケーブルダクトカバー機構18およびスライド式ケーブルダクト10とすることができ、制御盤Cの小型化が可能となる。
【0034】
また、前後方向移動機構24および短手方向移動機構26がスライド式の移動機構であるので、これにより、簡単な機構で正面部20の移動をスムーズに行うことができる。
【0035】
なお、組み立て作業や保守作業を終えて、ケーブルKへのアクセスが終了した後には、逆の手順を行うことで簡単にスライド式ケーブルダクト10を収納状態(ケーブルKが収容され、しかも正面部20が側部12に係合した状態)に戻すことができる。
【0036】
また、前後方向案内部材34と前後方向スライド板32とによって収容空間Sを左右に分けることで、制御電線の配線ルートの用途を、クリーン用とダーティー用や、盤内配線用と盤外配線用に分けることが可能で、ダクトセパレータが不要となり、設備のコンパクト化や制御盤Cのコスト削減が可能となる。
【0037】
また、以上の説明では、制御機器Gを垂直方向に配置する場合で説明したが、スライド式ケーブルダクト10を制御盤Cに実装する際に90°回転させた状態、すなわち、DINレール30を水平方向に配置して、制御機器Gを水平方向に並べて配置する場合でも同様の動作となる。
【0038】
また、ケーブルダクト本体16の側部12に空洞(例えばスリット状の空洞48)を形成してもよい。これにより、収容空間Sが外部空間と連通するので、収容空間S内の熱を外部に効率良く放散することができる。また、ケーブルダクト本体16の軽量化も実現される。
【0039】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図5は、本実施形態のスライド式ケーブルダクトを制御盤に実装したことを示す平面断面図である。本実施形態のスライド式ケーブルダクトカバー機構18Aでは、第1実施形態に比べ、正面部20A、前後方向移動機構24A、および、短手方向移動機構26Aの構成部材の材質を、高熱伝導率の材質(例えばアルミニウムなどの金属)としていることが異なり、形状は第1実施形態と同一である。
【0040】
本実施形態では、制御機器Gから発生する熱が正面部20Aに伝播する。そして、短手方向移動機構26Aおよび前後方向移動機構24Aに伝播し、これらの表面や制御盤Cの表面から放熱される。
【0041】
これにより、DINレール30に実装された制御機器Gから発生する熱をスライド式ケーブルダクトカバー機構18Aを介して外部に放出することで、制御機器Gを効率良く冷却することができる。そして、発熱量の大きい制御機器も制御盤内に実装することが可能となる。これらの効果は、第1実施形態で説明したように、ケーブルダクト本体16の側部12に空洞48を形成することで更に顕著となる。
【0042】
なお、ケーブルダクト本体16も高熱伝導率の材質のケーブルダクト本体16Aにすると、ケーブルダクト本体16を経由して制御盤Cの表面から放熱される熱量が大きいので、この冷却効果は更に大きくなる。そして、スライド式ケーブルダクトと制御盤Cとの接触面積を大きくすることで、この冷却効果はより大きくなる。
【0043】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図6で、(a)は本実施形態のスライド式ケーブルダクトの斜視断面図、(b)は(a)の矢視X−Xの断面図である。
【0044】
本実施形態では、第1実施形態に比べ、ケーブルダクト正面部の構成が異なる。本実施形態のスライド式ケーブルダクト50を構成するスライド式ケーブルダクトカバー機構58は、外部電源を受電する端子台56を正面側に有するケーブルダクト正面部60(以下、単に正面部60という)を備えている。そして、この正面部60では、DINレール30の背面側の両サイド30SR、30SLにそれぞれ導電性テープ62R、62LがDINレール30とは電気的に絶縁されて貼り付けられている。そして、端子台56の正極56Pと導電性テープ62Rとが埋め込み配線64Rで電気接続されているとともに、端子台56の負極56Mと導電性テープ62Lとが埋め込み配線64Lで電気接続されている。
【0045】
制御機器GをDINレール30に固定するためのそれぞれのクランプについては、制御機器Gの正極および負極にそれぞれ電気接続する構成にしておく。
【0046】
本実施形態では、外部電源(例えばDC24V)の正極と負極を、端子台56の正極56Pおよび負極56Mにそれぞれ接続する。端子台56に接続された外部電源は、感電しないルート、すなわち埋め込み配線64R、64Lを通り、導電性テープ62R、62Lにそれぞれ電気接続する。従って、DINレール30に制御機器Gを実装することで、制御機器GのDINレール30への実装工程と、制御機器Gへの外部電源の配線工程とを同時に兼ねて行うことができ、作業時間を大きく短縮することができる。
【0047】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図7は、本実施形態の複数段型スライド式ケーブルダクトを示す平面断面図である。図8は、本実施形態の複数段型スライド式ケーブルダクトで、手前側のケーブルダクト正面部を引き出したことを示す平面断面図である。図9は、本実施形態の複数段型スライド式ケーブルダクトで、手前側のケーブルダクト正面部および奥側のケーブルダクト正面部を引き出したことを示す平面断面図である。
【0048】
本実施形態の複数段型スライド式ケーブルダクト70は、奥側スライド式ケーブルダクト72と、奥側スライド式ケーブルダクト72の正面側に取り付けられた手前側スライド式ケーブルダクト74とで構成された二段式のスライド式ケーブルダクトである。
【0049】
奥側スライド式ケーブルダクト72は、背面部73が制御盤Cに取り付けられ得るとともに、DINレール30を設けないことで正面側に平坦面72Fが形成されている。手前側スライド式ケーブルダクト74は、奥側スライド式ケーブルダクト72のこの平坦面72Fに背面部75が取り付けられている。
【0050】
本実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態に比べ、制御盤内への制御機器の実装密度を更に高くすることができる。
【0051】
また、図8に示すように、手前側スライド式ケーブルダクト74の収容空間Sを開くことができ、更に、図9に示すように、奥側スライド式ケーブルダクト72の収容空間Sも開くことができるので、ケーブルの収容容積が大きい。このことは、制御機器の接続する電線本数多い場合であって、第1実施形態〜第3実施形態のスライド式ケーブルダクトにケーブルを収容できないときに特に有効である。
【0052】
(施工例の検討)
以下、第1実施形態のスライド式ケーブルダクト10を制御盤Cに複数列に配置した実施例(図10参照)と、従来のケーブルダクト110および制御機器Gを制御盤Cに配置した従来例(図11参照)とを挙げて説明する。
【0053】
図11に示すように、従来例では、制御機器Gを制御盤Cに実装するとともに、ケーブルダクト110を制御盤Cに実装している。
【0054】
一方、図10に示すように、実施例では、スライド式ケーブルダクト10の正面側に制御機器Gを実装しており、制御機器Gを制御盤Cに直接には実装していない。更に、スライド式ケーブルダクトカバー機構10を短手方向F2にスライド移動させて収容空間Sを正面側に開放することができる程度に、隣り合うスライド式ケーブルダクト10の隙間Dを形成する。従って、この隙間Dをさほど大きくする必要はない。従って、実施例では、従来例に比べ、制御盤Cへの制御機器Gの実装密度を大きく向上させることができる。
【符号の説明】
【0055】
10 スライド式ケーブルダクト
16、16A ケーブルダクト本体
18、18A スライド式ケーブルダクトカバー機構
20、20A ケーブルダクト正面部
24、24A 前後方向移動機構
26、26A 短手方向移動機構
30 DINレール
30SR、30SL 両サイド
50 スライド式ケーブルダクト
56 端子台
56M 負極
56P 正極
60 ケーブルダクト正面部
62R、62L 導電性テープ
70 複数段型スライド式ケーブルダクト
72 奥側スライド式ケーブルダクト
72F 平坦面
74 手前側スライド式ケーブルダクト
75 背面部
F1 前後方向
F2 ケーブルダクト短手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを収容するスライド式ケーブルダクトの正面部を構成するとともに前記スライド式ケーブルダクトの側部に着脱自在に係合し、かつ、DINレールを正面側に有するケーブルダクト正面部と、
前記ケーブルダクト正面部を前後方向にスライド式で往復動可能とする前後方向移動機構と、
前記ケーブルダクト正面部を前後方向に直交するケーブルダクト短手方向にスライド式で往復動可能とする短手方向移動機構と、
を備えたことを特徴とするスライド式ケーブルダクトカバー機構。
【請求項2】
前記ケーブルダクト正面部、前記前後方向移動機構、および、前記短手方向移動機構の構成部材の材質を高熱伝導率の材質としたことを特徴とする請求項1に記載のスライド式ケーブルダクトカバー機構。
【請求項3】
外部電源を受電する端子台を前記ケーブルダクト正面部の正面側に設けるとともに、前記DINレールの両サイドににそれぞれ導電性テープが前記DINレールとは絶縁されて貼り付けられ、
前記端子台の正極と一方の前記導電性テープとが電気接続されているとともに、前記端子台の負極と他方の前記導電性テープとが電気接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスライド式ケーブルダクトカバー機構。
【請求項4】
請求項1に記載のスライド式ケーブルダクトカバー機構と、
請求項1に記載のスライド式ケーブルダクトの前記側部および背面部を構成するケーブルダクト本体と、
を備えたことを特徴とするスライド式ケーブルダクト。
【請求項5】
請求項4に記載のスライド式ケーブルダクトで、前記DINレールを設けないことで正面側に平坦面が形成されている奥側スライド式ケーブルダクトと、
請求項4に記載のスライド式ケーブルダクトで、前記奥側スライド式ケーブルダクトの前記平坦面に前記背面部が取り付けられた手前側スライド式ケーブルダクトと、
を備えたことを特徴とする複数段型スライド式ケーブルダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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