説明

スライド式容器

【課題】簡単な操作で蓋をスライドさせて開けることができ、かつ蓋を閉じている時は確実に蓋をロックすることができるスライド式容器を提供する。
【解決手段】矩形の底面および3つの側面を有する本体2、前記本体内にスライド可能に係合された第1収容部、および第1収容部と回動可能に係合された蓋4からなり、蓋は、第2係合部8、および係合部から延在する蓋部9からなり、第2係合部の両側面には、水平凸部11が形成され、第1係合部と第2係合部に、蓋を開ける方向に第2係合部を回動させる弾性体が設けられ、第1凸部とフックの係合を解除して、蓋および第1収容部をスライドさせると、第2収容部の突起が本体の底面の第2凸部と係合して、蓋および第1収容部のスライドが停止され、第2係合部が回動可能になって弾性体によって蓋が開く方向に回動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋をスライドさせて容器の開閉を行うスライド式容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料等を収納する容器の1つとして、蓋のロックを解除して蓋を開けるコンパクトのような容器が多数用いられている。蓋のロックを解除する方法としては、引用文献1に記載されているように、操作片によるロック解除機構を用いたものや、蓋や容器をスライドさせて蓋のロックを解除するスライド式容器など様々なものが用いられている。
【0003】
そして、利便性を高めるために、蓋のロックを解除した後、蓋を開けるために手動で蓋を開く容器だけではなく、ダンパー等の弾性体を利用してロックが解除されたら自動的に蓋が開く構造を用いた容器が多数存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願平3−69015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダンパー等の弾性体により蓋を開く構造の場合、蓋のロックを解除する操作が簡単な場合には、蓋のロックが不十分で衝撃により蓋が開いてしまったり、蓋のロックが強固なものは蓋を開けるには複雑な操作が必要となるなど、蓋のロック状態の信頼性と操作の容易性を両立するのは難しい。特に、弾性体により蓋を開く場合には、衝撃により勝手にロックが解除されると自動的に蓋が開いてしまい、容器に収容した化粧用具や化粧料が飛び出てしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は前記問題を解決するために、簡単な操作で蓋をスライドさせて開けることができ、かつ蓋を閉じている時は確実に蓋をロックすることができるスライド式容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスライド式容器は、矩形の底面および前記底面に対して垂直に形成された3つの側面を有する本体、前記本体内にスライド可能に係合された第1収容部、および前記第1収容部と回動可能に係合された蓋からなり、前記本体の底面には、前記第1収容部のスライド方向に対して直交する直線状の第1凸部および第2凸部が設けられ、前記側面のうち対向する2つの側面の内側には、前記側面が形成されずに開口となっている部分から水平方向に延びる溝が設けられ、前記第1収容部には前記第1凸部および第2凸部と係合するフック、および前記蓋と回動可能に係合する第1係合部が設けられ、前記蓋は、前記第1収容部の第1係合部と回動可能に係合する第2係合部、および前記係合部から延在する蓋部からなり、前記第2係合部の両側面には、前記第2係合部を回動させて前記蓋部で前記第1係合部を閉じた時に、前記本体の側面に設けられた溝内へとスライド可能な水平凸部が形成され、前記溝内に前記水平凸部をスライドさせることにより前記第2係合部の回動が阻止され、前記第1係合部と前記第2係合部に、前記蓋を開ける方向に前記第2係合部を回動させる弾性体が設けられ、前記第1係合部および前記第2係合部が前記本体の側面が形成されずに開口となっている部分から突出するように、前記第1凸部と前記フックの係合を解除して、前記蓋および前記第1収容部をスライドさせると、前記第2係合部の水平凸部も前記本体の溝内をスライドして溝から飛び出して、前記第2収容部の突起が前記本体の底面の第2凸部と係合して前記蓋および前記第1収容部のスライドが停止され、前記第2係合部が回動可能になって前記弾性体によって蓋が開く方向に回動されることを特徴とする。
【0008】
また、前記蓋を閉じて前記第1収容部が収容された本体内の残りのスペースを、第2収容部とすることもできる。
【0009】
さらに、蓋を閉じた時のロック状態を強固にするために、前記蓋を閉じた時に、前記蓋部の先端と前記本体の側面の内側の互いに接する部分に係合部を設けることもできる。
【0010】
そして、前記第1凸部と前記第2凸部の間に、直線状の第3凸部を前記第1凸部および前記第2凸部と平行に設け、前記フックが、前記第2凸部と前記第3凸部に挟まれた状態で係合されることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスライド式容器は、矩形の底面および前記底面に対して垂直に形成された3つの側面を有する本体、前記本体内にスライド可能に係合された第1収容部、および前記第1収容部と回動可能に係合された蓋からなり、前記本体の底面には、前記第1収容部のスライド方向に対して直交する直線状の第1凸部および第2凸部が設けられ、前記側面のうち対向する2つの側面の内側には、前記側面が形成されずに開口となっている部分から水平方向に延びる溝が設けられ、前記第1収容部には前記第1凸部および第2凸部と係合するフック、および前記蓋と回動可能に係合する第1係合部が設けられ、前記蓋は、前記第1収容部の第1係合部と回動可能に係合する第2係合部、および前記係合部から延在する蓋部からなり、前記第2係合部の両側面には、前記第2係合部を回動させて前記蓋部で前記第1係合部を閉じた時に、前記本体の側面に設けられた溝内へとスライド可能な水平凸部が形成され、前記溝内に前記水平凸部をスライドさせることにより前記第2係合部の回動が阻止され、前記第1係合部と前記第2係合部に、前記蓋を開ける方向に前記第2係合部を回動させる弾性体が設けられ、前記第1係合部および前記第2係合部が前記本体の側面が形成されずに開口となっている部分から突出するように、前記第1凸部と前記フックの係合を解除して、前記蓋および前記第1収容部をスライドさせると、前記第2係合部の水平凸部も前記本体の溝内をスライドして溝から飛び出して、前記第2収容部の突起が前記本体の底面の第2凸部と係合して前記蓋および前記第1収容部のスライドが停止され、前記第2係合部が回動可能になって前記弾性体によって蓋が開く方向に回動されることにより、蓋を閉じている時は強固にロックされ、少しスライドさせると簡単に蓋を開くことができるので、使い勝手がよく信頼性の高いスライド式容器を実現できる。
【0012】
また、前記蓋を閉じて前記第1収容部が収容された本体内の残りのスペースを、第2収容部とすることにより、例えば、化粧料と化粧用具といった2種類のものを分けて収容することが可能となる。
【0013】
そして、前記第1凸部と前記第2凸部の間に、直線状の第3凸部を前記第1凸部および前記第2凸部と平行に設け、前記フックが、前記第2凸部と前記第3凸部に挟まれた状態で係合されることにより、蓋を開いている時のガタつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】スライド式容器の斜視図であり、(a)が蓋を閉じた状態を示し、(b)が蓋をスライドさせた状態を示す。
【図2】第1の実施形態のスライド式容器の斜視図であり、(a)が蓋を開けた状態を示し、(b)が蓋をスライドさせた状態を示す。
【図3】第1の実施形態のスライド式容器の断面図であり、(a)が蓋が閉じた状態を示し、(b)が蓋をスライドさせた状態を示し、(c)が蓋が開いた状態を示す。
【図4】第2の実施形態のスライド式容器の斜視図である。
【図5】第2の実施形態のスライド式容器の断面図であり、(a)が蓋が閉じた状態を示し、(b)が蓋をスライドさせた状態を示し、(c)が蓋が開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を、図を用いて以下に詳細に説明する。図1が本発明のスライド式容器1,1’の斜視図であり、図2が第1の実施形態のスライド式容器1の斜視図、図3が第1の実施形態のスライド式容器1の断面図である。
【0016】
本発明の第1の実施形態のスライド式容器1は、矩形の底面5および前記底面5に対して垂直に形成された3つの側面6,6’を有する本体2、前記本体2内にスライド可能に係合された第1収容部3、および前記第1収容部3と回動可能に係合された蓋4とからなり、前記蓋4と前記第1収容部3を共に、前記本体2に対しスライドさせて開閉するスライド式構造の容器である。
【0017】
前記本体2は上部と側面の1方向が開口となっており、前記本体2の底面5には、前記第1収容部3のスライド方向に対して直交する直線状の第1凸部13および第2凸部13’が設けられ、前記側面6,6’のうち対向する2つの側面6の内側には、前記側面6,6’が形成されずに開口となっている側から水平方向に延びる溝12が設けられている。前記第1凸部13と前記第2凸部13’は互いに平行に、そして、第1収容部3のスライド量と同じ間隔で配置されている。
【0018】
前記第1収容部3の両側面の下方には、前記本体2の側面6の下方に設けられた溝10内をスライドする凸部15が設けられており、これにより、前記第1収容部3は前記本体2内を水平方向にスライド可能となっている。また、前記第1収容部3には前記第1凸部13および前記第2凸部13’と係合するフック14が所定の間隔で分離した状態で設けられ、前記フック14は、前記蓋4が閉じた状態では、前記第1凸部13と係合して前記第1収容部3がスライドするのを防止しており、前記蓋4を開く方向に前記第1収容部3をスライドさせた時に、前記フック14が前記第2凸部13’と係合することで、前記第1収容部3のスライドが停止される。
【0019】
さらに、前記第1収容部3には前記蓋4と回動可能に係合する第1係合部7が設けられており、前記第1係合部7は蓋4が開くように前記第1収容部3をスライドさせると、前記本体2の開口から突出した状態となる。本実施形態では、前記第1収容部3は収容物を収容するスペースが1つとなっているが、収容物の種類等に応じて仕切り壁を設けて、複数のスペースに区切ることも可能である。
【0020】
前記蓋4は、前記第1収容部3の第1係合部7と回動可能に係合する第2係合部8、および前記係合部8から延在する蓋部9からなる。前記第1係合部7と前記第2係合部8の内部には、前記蓋4を開ける方向(図1(b)および図3(b)に矢印で示す方向)に前記第2係合部を回動させる弾性体が設けられており、前記弾性体によって前記蓋4のロックが解除されると自動的に蓋4が開く構造となっている。弾性体としては特に限定するものではなく、ダンパーやスプリング等様々なものが用いられる。
【0021】
前記第2係合部8は前記第1係合部7を挟み込むように配置され、軸と弾性体を用いて互いに回動可能に接続されており、前記第2係合部8の両側面には、前記蓋4を閉じる方向に前記第2係合部8を回動させて前記蓋部9で前記第1収容部3を閉じた時(図1(b)、図2(b)および図3(b)参照)に、前記本体2の対向する2つの側面6の内側に設けられた溝12内へとスライド可能な水平凸部11が形成されている。
【0022】
前記蓋4を閉じる方向に前記第2係合部8を回動させて前記蓋部9によって前記第1収容部3を閉じた状態(図1(b)および図3(b)参照)として、前記溝12内へと前記水平凸部11をスライドさせて挿入すると、前記水平凸部11の動きが前記溝12によって水平方向に制限されるので、前記第2係合部8の弾性体による蓋4を開ける方向への回動は阻止される。これにより、前記蓋4が開く方向への回動は阻止されてロックされた状態となる。
【0023】
また、前記蓋部9の先端に突出部17を設け、前記蓋4を完全に閉じた時に前記蓋部9の先端が接する側面6’に前記突出部17を係合する凹部18を設けている。前記突出部17と前記凹部18が、前記蓋4を閉じた時に前記蓋4と本体2の係合部として作用する。これにより、蓋4を閉じた状態をより強固に保つことができる。
【0024】
前記蓋4を閉じた時に、前記第1収容部3は本体2内に収容されているが、本実施形態では、前記第1収容部3の大きさが本体2内のスペースの半分よりも少し大きくなっており、本体2内には残りのスペースが存在しており、このスペースを第2収容部20として使用する。これにより、例えば、第1収容部3に化粧料を収容し、第2収容部20に化粧用具を収容することができ、異なる2種類の収容物を別々に収容することができる。また、前記第1収容部3を大きくして、前記第2収容部20のスペースを無くすことで、1つの大きな収容部を有するスライド式容器とすることも可能である。
【0025】
本実施形態では、本体2内に仕切り壁を設けておらず、側面6,6’と前記第1収容部3の側面とで囲まれたスペースを第2収容部20として用いているが、前記第1収容部3の側面の前に壁を設けて、第2収容部を側面6,6’と前記壁で取り囲むことにより形成することもできる。また、第1収容部3と同様に複数の収容物を分ける仕切り壁を設けることもできる。
【0026】
次に、本発明のスライド式容器1の使用方法について説明する。図1(a)および図3(a)に示すのが、蓋4を閉じた状態のスライド式容器1である。この時、前記溝12内へと前記水平凸部11がスライドされて完全に挿入されており、前記水平凸部11の動きが前記溝12によって水平方向に制限されて前記第2係合部8の弾性体による回動が制限されている。そして、図3(a)に示すように、前記第1収容部3のフック14が前記本体2の底面5に設けられた第1凸部13と係合して前記第1収容部3が外に出る方向へのスライドを防止し、さらに、前記蓋部9の先端に設けられた突出部17が前記側面6’に設けられた凹部18と係合しており、これにより、蓋4を閉じたロック状態が強固に保たれる。
【0027】
前記蓋4を閉じた状態から、前記蓋4の蓋部9に力を加えて前記フック14と前記第1凸部13の係合および前記突出部17と前記凹部18との係合を解除させながら、前記蓋4を開く方向(図1(a)および図3(a)に示す矢印の方向)へとスライドさせる。すると、図3(b)に示すように、前記第1収容部3のスライドが前記フック14が第2凸部13’に引っ掛かることによって停止され、前記蓋4のスライドも同時に停止される。
【0028】
この時、図2(b)に示すように、前記蓋4の第2係合部8の側面に設けられた水平凸部11は、前記本体2の側面6に設けられた溝12から完全に抜け出した状態となり、その結果、前記溝12による前記水平凸部11の移動の制限は全て解除される。このようにして前記第2係合部8の回動の制限が解除されると、前記第2係合部8は弾性体の作用により、前記蓋4を開く方向(図1(b)、図2(b)および図3(b)に矢印で示す方向)へと回動され、図2(a)および図3(c)に示すように、蓋4が開いた状態となる。
【0029】
この時には、弾性体により前記蓋4を開ける方向に常に力が作用しているので、前記蓋4は開いた状態が保たれており、さらに、図3(c)に示すように、前記蓋4は前記蓋部9が完全に上向きになった状態では、前記蓋部9は前記本体2の底面5よりも下側に位置することとなり、前記蓋4は前記本体2の底面によって水平方向への動きが制限されているので、前記蓋4が完全に開いた状態では前記第1収容部3が本体2内へとスライドすることができない。これにより、使用者は蓋4が開いた状態を保ちながら収容物を取り出したり、化粧料が収容されている場合には、化粧用具を用いて化粧したりすることができる。スライド式容器1を化粧料を収容するコンパクトとして用いる場合には、前記蓋部9の内面に鏡を設けて、化粧の際に鏡を使用できるようにすることも可能である。
【0030】
次に、前記蓋4を閉じる場合には、前記蓋部9に力を加えて前記蓋4を閉じる方向(図2(a)および図3(c)に示される矢印の方向)に前記第2係合部8を回動させる。そして、図1(b)、図2(b)および図3(b)に示すように、前記蓋部9が前記第1収容部3を閉じて、前記本体2の底面6と平行な状態にすると、前記第1収容部3は、前記蓋4と前記本体2の底面5による移動の制限が解除されてスライド可能な状態となっているので、次に、前記蓋4に力を加えて、図1(a)および図3(a)に示される矢印とは反対の方向へと、前記蓋4および前記第1収容部3をスライドさせる。
【0031】
この時、前記蓋4の第2係合部8に設けた水平凸部11を、前記本体2の側面6に設けた溝12の中へと挿入する。これにより、前記第2係合部8の回動は阻止され、蓋4は回動せずにスライドだけが可能な状態となる。さらに、前記蓋4と前記第1収容部3をスライドさせると、前記第1収容部3のフック14が前記本体2の底面5に設けられた第1凸部13と係合し、同時に、前記蓋部9の先端に設けられた突出部17が前記側面6’に設けられた凹部18と係合する。これにより、蓋4の回動および蓋4と第1収容部3のスライドが防止され、蓋4と本体2がロックされた状態となる。
【0032】
このように、本発明のスライド式容器1は、簡単な操作で蓋4をスライドさせて開けることができ、蓋4を閉じた状態では強固にロックされた状態が保たれるので、使い勝手がよく信頼性に優れたものとなる。
【0033】
次に、第2の実施形態のスライド式容器1’について説明する。図1,4,5に示すのが、第2の実施形態のスライド式容器1’であり、第2の実施形態のスライド式容器1’は、第1の実施形態のスライド式容器1に第3凸部13’’を設けたものである。ここでは、主に、第3凸部13’’について説明を行う。
【0034】
第2の実施形態のスライド式容器1’は、矩形の底面5および前記底面5に対して垂直に形成された3つの側面6,6’を有する本体2、前記本体2内にスライド可能に係合された第1収容部3、および前記第1収容部3と回動可能に係合された蓋4とからなり、前記蓋4と前記第1収容部3を共に、前記本体2に対しスライドさせて開閉するスライド式構造の容器であり、前記本体2の底面5には、前記第1収容部3のスライド方向に対して直交する直線状の第1凸部13、第2凸部13’及び第3凸部13’’が設けられている。前記第3凸部13’’以外の構造は第1の実施形態と同じ構造であるので、詳しい説明は省略する。
【0035】
前記第1凸部13、前記第2凸部13’及び前記第3凸部13’’は互いに平行に配置され、前記第1凸部13と前記第2凸部13’は、第1収容部3のスライド量と同じ間隔で配置されている。さらに、前記第3凸部13’’は、前記第1凸部13と前記第2凸部13’の間に配置されており、前記第3凸部13’’と前記第2凸部13’の間隔は、図4および図5(b)、(c)に示すように、前記フック14を挟み込んで係合する間隔で配置されている。
【0036】
前記フック14は、前記蓋4が閉じた状態では、前記第1凸部13と係合して前記第1収容部3がスライドするのを防止しており、前記フック14と前記第1凸部13との係合を解除し、前記蓋4を開く方向に前記第1収容部3をスライドさせた時に、前記フック14が前記第3凸部13’’を乗り越えて前記第2凸部13’に引っ掛かることで前記第1収容部3のスライドが停止される。この時、前記第3凸部13’’と前記第2凸部13’によって前記フック14は挟まれて係合されているので、第1収容部3のガタつきが防止される。
【0037】
次に、本実施形態のスライド式容器1’の使用方法について説明する。蓋4を閉じた状態は第1の実施形態と同じであるので説明を省略する。前記蓋4を閉じた状態から、前記蓋4の蓋部9に力を加えて前記フック14と前記第1凸部13の係合および前記突出部17と前記凹部18との係合を解除させながら、前記蓋4を開く方向(図5(a)に示す矢印の方向)へとスライドさせる。
【0038】
すると、前記フック14は前記第3凸部13’’を乗り越えて、図5(b)に示すように、第2凸部13’に引っ掛かることにより、前記第1収容部3のスライドが停止される。これにより、前記蓋4のスライドも停止される。この時、前記蓋4の第2係合部8に設けられた水平凸部11は、前記本体2の側面6に設けられた溝12から完全に抜け出した状態となり、前記溝12による前記水平凸部11の移動の制限は全て解除され、前記第2係合部8の回動の制限が解除されることとなる。そして、前記第2係合部8は弾性体の作用により、前記蓋4を開く方向(図5(b)に矢印で示す方向)へと回動され、図4および図5(c)に示すように、蓋4が開いた状態となる。
【0039】
この時には、弾性体により前記蓋4は開いた状態が保たれ、前記蓋部9が上向きになった状態で前記本体2の底面5よりも下側に位置することで前記本体2の底面によって水平方向への動きが制限されているので、前記蓋4が完全に開いた状態では前記第1収容部3が本体2内へとスライドすることができない。また、前記フック14が前記第2凸部13’および前記第3凸部13’’に挟まれて係合されているので、前記第1収容部3のガタつきも防止される。このように、第3凸部13’’を設けることで、本発明のスライド式容器1’は蓋4が開いた状態がより安定して保たれることとなり、使い勝手も向上する。
【0040】
次に、前記蓋4を閉じる場合には、前記蓋部9に力を加えて前記蓋4を閉じる方向(図4および図5(c)に示される矢印の方向)に前記第2係合部8を回動させる。そして、図1(b)に示すように、前記蓋部9が前記第1収容部3を閉じて、前記本体2の底面6と平行な状態にすると、前記第1収容部3は、前記蓋4と前記本体2の底面5による移動の制限が解除されてスライド可能な状態となっているので、次に、前記蓋4に力を加えて、図1(a)および図5(a)に示される矢印とは反対の方向へと力を加えて前記フック14を前記第3凸部13’’を乗り越えさせて、前記蓋4および前記第1収容部3をスライドさせる。
【0041】
この時、前記蓋4の第2係合部8に設けた水平凸部11を、前記本体2の側面6に設けた溝12の中へと挿入し、前記第2係合部8の回動を阻止した状態で、前記蓋4と前記第1収容部3をスライドさせると、前記第1収容部3のフック14が前記本体2の底面5に設けられた第1凸部13と係合し、同時に、前記蓋部9の先端に設けられた突出部17が前記側面6’に設けられた凹部18と係合する。これにより、蓋4の回動および蓋4と第1収容部3のスライドが防止され、蓋4と本体2がロックされた状態となる。
【0042】
このように、第3の凸部13’’を設けることで、簡単な操作で蓋4をスライドさせて開けることができるだけでなく、前記第1収容部3のガタつきを防止し、蓋4が開いた状態がより安定して保たれることが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1,1’ スライド式容器
2 本体
3 第1収容部
4 蓋部
5 底面
6,6’ 側面
7 第1係合部
8 第2係合部
9 蓋部
10 溝
11 水平凸部
12 溝
13 第1凸部
13’ 第2凸部
13’’ 第3凸部
14 フック
15 凸部
17 突出部
18 凹部
20 第2収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の底面および前記底面に対して垂直に形成された3つの側面を有する本体、前記本体内にスライド可能に係合された第1収容部、および前記第1収容部と回動可能に係合された蓋からなり、
前記本体の底面には、前記第1収容部のスライド方向に対して直交する直線状の第1凸部および第2凸部が設けられ、前記側面のうち対向する2つの側面の内側には、前記側面が形成されずに開口となっている部分から水平方向に延びる溝が設けられ、
前記第1収容部には前記第1凸部および第2凸部と係合するフック、および前記蓋と回動可能に係合する第1係合部が設けられ、
前記蓋は、前記第1収容部の第1係合部と回動可能に係合する第2係合部、および前記係合部から延在する蓋部からなり、前記第2係合部の両側面には、前記第2係合部を回動させて前記蓋部で前記第1係合部を閉じた時に、前記本体の側面に設けられた溝内へとスライド可能な水平凸部が形成され、前記溝内に前記水平凸部をスライドさせることにより前記第2係合部の回動が阻止され、
前記第1係合部と前記第2係合部に、前記蓋を開ける方向に前記第2係合部を回動させる弾性体が設けられ、
前記第1係合部および前記第2係合部が前記本体の側面が形成されずに開口となっている部分から突出するように、前記第1凸部と前記フックの係合を解除して、前記蓋および前記第1収容部をスライドさせると、前記第2係合部の水平凸部も前記本体の溝内をスライドして溝から飛び出して、前記第2収容部の突起が前記本体の底面の第2凸部と係合して前記蓋および前記第1収容部のスライドが停止され、前記第2係合部が回動可能になって前記弾性体によって蓋が開く方向に回動されることを特徴とするスライド式容器。
【請求項2】
前記蓋を閉じて前記第1収容部が収容された本体内の残りのスペースが、第2収容部となることを特徴とする請求項1に記載のスライド式容器。
【請求項3】
前記蓋を閉じた時に、前記蓋部の先端と前記本体の側面の内側の互いに接する部分に係合部を設けることを特徴とする請求項1または2に記載のスライド式容器。
【請求項4】
前記第1凸部と前記第2凸部の間に、直線状の第3凸部を前記第1凸部および前記第2凸部と平行に設け、前記フックが、前記第2凸部と前記第3凸部に挟まれた状態で係合されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスライド式容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−178434(P2011−178434A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44043(P2010−44043)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】