説明

スラッジの処理方法

【課題】スラッジ、例えば、水路又は汚染された砂の洗浄に由来する沈降物から生じる、重金属及び有機物で汚染されたスラッジの処理方法を提供する。
【解決手段】本発明は、重金属及び有機物を含むスラッジの処理方法であって、スラッジ発泡を活性化し、次いでこのスラッジを乾燥することを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラッジ、具体的には、例えば水路又は汚染された砂の洗浄に由来する沈降物から生じる、重金属及び有機物で汚染された、スラッジの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排出され、処理され及び蓄えられる増大する大量のスラッジによりもたらされる問題は、周知である。これらのスラッジは、多数の起源に由来する。それらは、例えば浄水場、浚渫水路又は種々の産業に由来し、砂の汚染の原因となり得る。水路の洗浄からの沈降物の場合は、含まれる量及び重金属及び有機物等の汚染物質による汚染を考慮すれば、特に問題である。北ヨーロッパの水路の大部分は、ボートの移動を妨害するスラッジによって一般に妨害される。直接的又は間接的な経済的及び環境の影響は、非常に大きい。水路のこの厄介な状態が主に処理に対する現在の対策の欠点及び汚染されたスラッジの蓄積のためであることはさらに周知である。
実際、スラッジの処分の便利な手段は、ボートによる海への排出か、パイプラインによる埋め立て地(沈殿潟(settling lagoon))への運搬から成る。しかし、このスラッジは、重金属又は危険な有機物で汚染されている場合には(一般的に、水路の洗浄に由来する沈降物の場合)、この手段は、明らかに受け入れられない。それらが蓄積され得る前に、このスラッジは、非毒性の試験を満足させるために、実際に処理されなければならない。
これに関して、このスラッジの処理及び貯蔵を促進するために、スラッジを有効にかつ経済的に乾燥し得ることが重要である。
大量のスラッジを処理するために、スラッジをリン酸と混合し、この混合物を焼成に付して、またスラッジ内に含まれている重金属を不活性化しかつ有機物を破壊することは公知である(SOLVAY FR 2815338)。しかし、この公知の方法の実施は、特に焼成の間スラッジを乾燥させるために必要とするエネルギー消費のために、相対的に高価であるという欠点を有する。さらに、リン酸処理された(phosphated)スラッジの液体状態は、特定のタイプの処理の間の困難を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の方法よりも経済的でかつスラッジを例えば建設現場の道具(機械的ディガー、ブルドーザー等)によって容易に処理されるに十分な機械的強度を有する生成物に迅速に変換するスラッジ処理の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
その結果、本発明は、スラッジの処理方法であって、以下の工程、(1)スラッジの密度の90%未満の密度を有する発泡体を形成できる一定条件下でスラッジを発泡させる工程、及び(2)発泡体を乾燥させる工程、を連続的に含むことを特徴とする方法に関する。
「スラッジ」は、懸濁液中に固形物を含有するいかなる水溶性物質を意味すると企図される。それは、天然由来でもよく又は例えば粉砕によって得た微粉の固体物質に水を添加することによって得てもよい。このスラッジが天然由来の場合、スラッジは、有利にもシルト、泥、及び鉱物(砂又はさらに粗砂利)を懸濁液中に含む。水路の洗浄、又は汚染された砂から得られたスラッジは、本発明を適用する天然スラッジを構成する。さらに、焼却灰又は自動車粉砕残留物への水の添加から得られるスラッジは、本発明が適用する人工スラッジの例である。このスラッジ内の懸濁液の粒子の粒径分布の範囲は、非常に大きく、例えば1μ未満〜数百μ又は更に数ミリメートルでよい。スラッジはしばしば非常に微細な粒子を高含有量で有する。しばしば、乾燥スラッジの10質量%は、直径が5μ未満の粒子を含む一方、500μより大きい直径を有する粒子の含有量は、数%まででよい。さらに、特定のスラッジの粒径のヒストグラムは、多様な特徴的な態様を有し、すなわち数ピークを有する。
本発明に従う方法に対して、発泡時70%未満の乾燥物含有量を有するスラッジは、特に好適であり、この乾燥物含有量は、スラッジ中に含有される乾燥物の質量%として定義される。本件明細書において、サンプルの乾燥物含有量は、100℃に維持されたオーブン内で4時間の滞留時間の前後のサンプル質量比を計算することによって決定される。30%未満又は、場合によっては40%の乾燥物含有量は好ましくは避けるべきである。
【0005】
本発明に従えば、スラッジの発泡が実施され、その後スラッジは発泡体の形態(発泡体は、一定の出発物質に対して、出発物質より少ない密度を有するこの物質の状態を意味すると理解される)である。本発明の重要な特徴は、スラッジのその後の処理を容易にできることである。実際、発明者は、典型的に2〜7日、好ましくは4〜6日で変化する貯蔵期間の後、(その期間、最初は発泡体状態のスラッジが通常の外部温度(冷凍は避けるが)で放置される)、その稠度(consistency)は、固体物質のそれに近いことを観測した。
この時点で、スラッジは、機械的ディガー又はブルドーザーのような建設現場の機械によって容易に取り扱われながら大量の水(典型的に40質量%まで)を含有し続け得る。低密度の発泡体は、最良の稠度を提供すると思われる。この発泡体の密度は、処理前のスラッジの密度の90%未満である。85%未満の値、例えば80%未満、好ましくは75%未満は、有利である。この密度が、50%以下にならないことが好ましい。55〜65%の値が特に好適である。
スラッジの発泡は、処理されるべきスラッジに好適ないかなる既知の発泡技術によってもたらされ得る。発泡は、特に化学的ルートによって、気体放出を生じさせる試薬の添加によって得られ得る。好ましい態様において、酸、例えば塩酸、硫酸又はリン酸と、例えばカーボネイトとの反応が使用され、気体が放出され得る。リン酸塩化(phospharization)の間、H2Sの気体放出は、スラッジの発泡を改良することが観測された。発泡体を安定化させる界面活性剤の添加又は存在もまた好ましい。これに関して、水路の洗浄から得られたスラッジ中に存在する大量のフミン酸は、おそらく界面活性剤に対して、発泡に及ぼす好ましい効果を有する。処理されるスラッジによって、本発明に従う密度を有する発泡体を得るために界面活性剤を任意に添加することは適切であるだろう。最も適切な界面活性剤及び使用される量の選択は、それ自体既知の方法で個別的に実施されるだろう。さらに、このスラッジは、発泡を実施するために機械的攪拌に付されることが好ましい。攪拌の強度は、本発明に従う方法の使用に対して、特定の条件に従って選択される。機械的攪拌は強すぎないことが有利である。混合スクリューの使用は、発泡体の形成を最も頻繁に妨げるので、一般的に避けるべきである。静的ミキサーを備えた、又は備えない管のセグメントである管型反応装置の使用が薦められる。それらは、2〜10秒の滞留時間を得るために有利になるように設計されるだろう。それぞれの場合、機械的攪拌は、本発明に従う発泡を促進するために調整される。ある場合には、発泡を生じさせる試薬を、所望の機械的攪拌を生じさせるポンプの通路の上流でスラッジに添加されることが好ましい。静的ミキサーの使用も、最適な機械的攪拌強度を得るために有利であろう。
【0006】
本発明の有利な態様に従って、本発明の方法は、好ましくは発泡前にスラッジのリン酸塩化を含む。スラッジのリン酸塩化は、その発泡と組み合わせると、スラッジ内に存在する有毒化合物が無毒化された廃棄物を得ることが可能になり、そのため、この廃棄物を貯蔵する場合、これらの毒性化合物がこの置き場の環境を汚染しないことが観測された。この態様は、処理されるスラッジが重金属を含んでいる場合に特に有利である。重金属という表現は、一般的に受け入れられている定義に従えば、密度が5g/cm3以上の金属、及びベリリウム、ヒ素、セレン及びアンチモンを意味すると理解される(Heavy Metal in Wastewater and Sludge Treatment Processes; Vol I, CRC Press Inc; 1987; page 2)。鉛は、人体に有害な影響を与えるので特に重要な例である。この態様において、この不活性スラッジは、アルミニウム金属を含んでいても良い。好ましくは、リン酸塩化は、スラッジにリン酸を添加することによって実施される。この場合、発泡及び不活化は、特に水路の浚渫から由来するスラッジ、及び自動車粉砕残留物への水の添加から得られるスラッジに対して同時に得られ得る。使用されるリン酸の量は、処理されるスラッジの正確な組成及び特に重金属の含有量に依存する。実際、乾燥物の質量に対して少なくとも1質量%(好ましくは2%)の量が使用される。リン酸の量が、15%未満であるのが好ましい。2%〜6%の量が、一般的に好適である。
本発明の有利な改良型に従うと、スラッジは、堆肥化に関連する技術によって乾燥される。明細書の残りにおいて、「乾燥されたスラッジ」は、発泡体の乾燥から得られる生成物を示す。この生成物は、乾燥の間、発泡体は、緻密になる傾向にあるので、発泡体状態ではもはや存在していない。堆肥化は、緑廃棄物のような発酵性廃棄物(発酵可能な)の処理に対して周知技術である。それは、廃棄物中に含まれる有機物の分解およびそれが含む液体のパーコレーションによる除去を可能にするため、長期間廃棄物を外部周囲温度で、空気と接触させながら、貯蔵することから成る。本発明のこの態様に従えば、有機物、さらに非発酵性のもの、及び重金属を含む乾燥した発泡スラッジの堆肥化に関する技術の使用により、驚くべきことに、非常に経済的に高い乾燥物含有量に達することが可能となる。このスラッジの任意のそれに続く焼成の間においても、エネルギーの消費は、それによって削減されている。堆肥化に関する技術による発泡スラッジの乾燥により、含まれている有機物の分解が十分な場合、焼成工程を除去することが可能になった。
【0007】
明細書の残りにおいて、「乾燥」の表現は、堆肥化に関連する技術による乾燥を意味すると常に理解されるであろう。乾燥の間、このスラッジは、重力作用の下で水が自然に放出されるのに十分な期間、貯蔵される。24時間より長い乾燥期間が必要である。乾燥のためには少なくとも48時間持続するのが好ましい。1ヶ月以上の乾燥は不必要のようである。実際、1及び2週間の乾燥期間が好適である。
上記の通り、本発明に従って、スラッジが、発泡体の形態で存在する場合、スラッジの乾燥は、より容易かつ効率的である。実際、スラッジの改良された稠度により、従来の建設現場の機械による量の処理が可能となり、また特に堆肥化の間、ひっくり返すことが可能となる。
この態様の推奨される改良型に従うと、乾燥は、12日間の乾燥の後、乾燥されたスラッジが65%好ましくは70%を超える乾燥物含有量に達するという条件下で実施される。
この乾燥は、地上で直接実施される。しかし、本発明に従う方法の有利な態様において、発泡体は、砂層上に置かれる。
この態様の推奨される改良型に従うと、砂層は、砂の重金属による汚染を防ぐために、及び堆肥化の間リン酸化されたスラッジから得られる水の回収を可能にするため、それ自体水に不浸透性の膜上に置かれる。ポリエチレン又はPVCのようなプラスチックで作られる膜が好適である。
乾燥は、雨及び広範囲の温度の変動に対して保護することなく野外にて、外部で、温度は、0℃以上を維持することを条件として実施され得る。それにもかかわらず、堆肥化トンネルのような制限された乾燥システムを使用することが好ましい。そのような堆肥化トンネルは、発酵可能な有機廃棄物の工業的処理の分野で周知である。この堆肥トンネルは、空気循環システムと、硫化水素のような放出気体の収集及び処理のシステムとを有利に備える。硫化水素は、任意の焼成の間、好ましくは回収され、また例えば生物フィルター上で処理され、又は再注入される。堆肥化トンネルが、水不透過性膜上に置かれる砂層を含むことが好ましい。
【0008】
本発明の有利な態様によれば、特にスラッジが大量の有機物を含む場合又は有機物が乾燥の間十分に分解されない場合、乾燥されたスラッジは、焼成される。有機物は、スラッジ内で液体状態又は固体状態でよい。それは、例えば無極性炭化水素(モノ-又はポリ環状)脂肪族又は芳香族炭化水素及び水素化溶媒を含んでもよい。焼成は、この有機物を破壊するよう企図されている。焼成は、有機物が十分に破壊されるように450℃を超える温度で一般的に実施される。いくつかの重金属を気化させることになる過度の温度は、避けるのが賢明である。実際、焼成温度は、1000℃未満である。本発明に従う方法の好ましい改良型においては、焼成温度は、500℃より高く、かつ800℃未満である。特に有機物を破壊し、重金属を可能な限りほとんど揮発させないために、焼成温度を550℃〜750℃にすることが特に有利である。
焼成が、制御された雰囲気下実施されることが有利であると観測される。
この趣旨で、本発明に従う方法の特別な態様において、この大気は酸化性である。この改良型は、以下に記載するように、後に続く任意のモルタルの硬化を促進する。この場合、例えば外気の使用が可能である。その後十分な空気をオーブン内で利用できるように注意すべきである。
別の特別な態様において、雰囲気は還元性である。この態様は、クロム(VI)の形成を阻害する点で特に有利である。
【0009】
焼成期間は、処理されるスラッジの組成及び焼成オーブン内の物質の配置によって決まる。有機物を破壊するのに、かつスラッジがリン酸塩化されている場合に十分なピロリン酸塩を生成するのに十分であるべきである。
本発明に従う方法の特別な態様において、焼成工程から由来する生成物を水と混合し、その後硬化及び固化に付す。この態様において、還元添加剤を混合水(mixing water)に好ましくは配合する。例として、この添加剤は、鉄、マンガン、鉄(II)化合物、マンガン(II)化合物及びアルカリ金属の還元塩から選択され得る。亜硫酸ナトリウムが好適である。
還元剤は、スラッジに含有される乾燥物の質量に対して0.1〜1質量%の量で有利に添加される。
焼成工程の間、いくらかのスラッジ、特にカルサイトに富むスラッジは、ポゾラン材料(pozzolanic material)の形成を生じさせる。この場合、硬化及び固化を生じさせるため水硬結合剤を添加する必要はない。
水硬結合剤が、硬化及び固化をもたらすのに必要である場合、その正確な組成は非常に重要なわけではない。それは、通常ポートランドセメントから構成される。木炭の焼成からの灰等のポゾラン材料も、好適であり得る。水硬結合剤と、モルタルを形成するために企図される焼成生成物とを混合する間、プラスチックペーストを得るに十分な一定量の混合水を添加することが必要である。使用される水硬結合剤の量は、種々のパラメータ、特に選択される水硬結合剤、スラッジの組成及び本発明に従う処理方法の最終生成物に望まれる特性、特にその機械強度によって決まる。実際、焼成灰の質量の1%を超える量の質量の結合剤を使用することがしばしば推奨される。本発明に従えば、水硬結合剤の質量が、50%未満及び好ましくは30%を超えないことが望ましい。
本発明に従う方法の有利な変更態様において、焼成生成物の2%を超えかつ20%未満の水硬結合剤の一定量が使用される。
【0010】
数日に渡って生じるかも知れない、固化の後に得られる固体の形状は、モルタルが成形される。それは、例えばブリケット、又は球形のブロック又はプリズムブロックであってもよい。それは、緻密で、実質的にガス状の封入がなく、それによって良好な機械特性、特に困難なく、その処理及び貯蔵を可能にするのに十分な硬度及び衝撃強度を示す。
固化の後得られる固体及び緻密塊(compact mass)は、「TL」又は「NEN」基準によって定義されるような厳密な手順、に基いて、抽出される浸出物毒性基準に適合する。
三重浸出法(triple lixiviation)「TL」のフレンチ試験は、フレンチ標準XPX31-210に記載される。この試験のプロトコルは、4mmシーブを通過可能なように、材料を粉砕することから成る。この粉砕材料を、一定の攪拌の下で、液体/固体の比が10において、脱塩水で、三重浸出法に付す。各浸出の後、この試験に付される粉末の洗浄液体の重金属含有量を測定する。
ダッチ試験「NEN」は、その一部として、サンプル(125μm未満)の微粉砕し、そして水:固体比が50で水を添加することから成る。次いで、pH7で3時間、次いでさらにpH4で3時間維持される(このpHは、雨水の最小pHである。)。このpHは、1N硝酸溶液(非錯体溶液)を用いて連続的に調整される。次いで、液相の重金属含有量は、分析によって決定される。
米国試験TCLP(毒性指標浸出法)に従えば、9.5mmシーブを通る100gの固体物を使用し、サンプルを6g/lCH3COOH+2.57g/lNaOHを含有する2000mlの溶液に18時間接触させる(pH4.9)。次いで、この材料を0.6-0.8μmのガラス繊維で濾過する。本発明の方法は、例えば以下の工程に適用し得る。
(1)工業の又は都市起源の排水の沈殿から得られるスラッジ。
(2)特定の工場用地の土の汚染除去のような、土の汚染除去から得られるスラッジ。
(3)自動車粉砕残留物又は焼却灰への水の添加から得られるスラッジ。
(4)川、池、井戸又は下水管の浚渫又は洗浄から得られる沈降物。
(5)水路(例えば、港、湖、川、海峡)の洗浄から得られる沈降物。
本発明は、水路の洗浄から得られる沈降物からなるスラッジに特に適する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の発泡に付されるか否かに従って、25℃での貯蔵の間の、スラッジの乾燥物含有量の比較的変化を説明する。
【実施例1】
【0012】
以下に記載する実施例は、本発明の重要性を示す。
(本発明に対応する。)
実施例1において、水路の浚渫から得られるスラッジのサンプルを処理する。スラッジの質量に基づく主要な汚染物質組成を以下の表1に示す。
表1

このスラッジは、1.54kg/dm3の密度を有する。5%(乾燥体の質量に対して)の85%リン酸をこのスラッジに添加した。得られた混合物を管型反応装置に導入し、その出口では混合物は、0.8〜0.9の密度を有する発泡体の形態にあった。次いで、この発泡体を10cmの直径及び約1cmの深さを有する円筒容器に置いた。この容器を25℃の温度及び1.5m/sの速度を有する気流中に100時間置き、その間、サンプルを連続的に秤量した。この乾燥物含有量値を秤量から測定した。結果を表1に示した。
【実施例2】
【0013】
(本発明に対応しない。)
実施例2において、スラッジにリン酸を補充しないことを除いては、実施例1におけるように手順を実施した。経時的な乾燥物含有量値は、図1に表されている。
実施例1及び2の結果を比較すると、処理されるスラッジの乾燥物含有量の経時的変化に対する本発明の発泡の効果が説明される。
【実施例3】
【0014】
(本発明に対応する。)
実施例3において、浚渫スラッジを拡げるための用地から集めたスラッジのサンプルを処理した。スラッジの質量に基づく主要な汚染物質の組成を以下の表2に示す。
表2

このスラッジは、1.67kg/dm3の密度を有する。2.5%(乾燥物の含有量の質量に基づき)のリン酸をこのスラッジに添加した。次いで、リン酸塩化スラッジを蠕動ポンプによってポンプ注入し、1220mmの高さ及び100mmの直径を有する透明カラムに導入した。カラムを1mm開口を有するワイヤーメッシュを低部に充填し、布でカバーした。この布自体を砂層でカバーした(約1cmの厚さ)。次いで、発泡体の形状であるスラッジの密度を、カラム中の発泡体の高さ及びその質量の計量から測定した。1.4kg/dm3の値を得た。この時点では、乾燥物含有量は、50%であった。カラム中で30℃の温度で4日間貯蔵した後、密度は1.7kg/dm3まで増加し、乾燥物含有量は、52.9%であった。
貯蔵の最後で、このサンプルを上記の浸出法「TCLP」に付した。この試験結果を表3に示す(mg/l)。
表3

【実施例4】
【0015】
(本発明に対応しない。)
実施例4において、スラッジが発泡もリン酸塩化もされていないスラッジであることを除いて実施例3の手順を実施した。カラムへの導入の間、このスラッジは、発泡体の形態でなく、その密度は、1.67kg/dm3であった。
乾燥後、このスラッジをTCLP試験に付した。結果を表4に示す。
表4

【実施例5】
【0016】
(本発明に対応する。)
実施例5において、スラッジに85%のリン酸塩を7.2%で補充したことを除いて実施例3の手順を実施した。カラムへの導入の後、発泡体の密度は、1.01kg/dm3であり、すなわち、リン酸塩化前のスラッジ密度の約70%であり、その乾燥物含有量は、50%であった。カラムで6日間の貯蔵した後、密度は、1.4kg/dm3まで増加した。この時点で、その乾燥物含有量は、59.4%であった。この発泡体は、その後皿に移され、次いでカラムに再導入された。このスラッジのひっくり返し作業に似せるこの取り扱いの後、再び6日間スラッジを貯蔵した。6日の終わりに、この乾燥物含有量は71.2%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラッジの処理方法であって、以下の工程、
(1)スラッジの密度の90%未満の密度を有する発泡体を形成できるようにスラッジを発泡させる工程であって、前記スラッジにリン酸を添加し、得られた混合物を、管型反応装置、静的ミキサー及び/又はポンプを使用して行われる調整された機械的攪拌に付すことにより、前記スラッジを不活性化させると同時に発泡させる工程、
(2)前記発泡体を、空気循環システムを備えた制限された乾燥システムにおいて乾燥させる工程、及び
(3)前記乾燥された発泡体を焼成する工程、
を連続的に含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記発泡体が、廃棄物中に含まれる有機物の分解及び廃棄物が含む液体のパーコレーションによる除去を可能にする条件で乾燥させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発泡体が、砂層上に置かれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記砂層が、水に不浸透性の膜上に置かれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥が、12日間の乾燥の後、乾燥されたスラッジが、65%を超える乾燥物含有量に達するという条件下で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−25245(P2011−25245A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227510(P2010−227510)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【分割の表示】特願2004−544283(P2004−544283)の分割
【原出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】