説明

スラブ軌道のレール応急処置器、及びスラブ軌道のレール応急処置方法

【課題】 スラブ軌道におけるレール応急処置器及びレール応急処置方法を提供する。
【解決手段】 損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に、互いに嵌合可能な第1反力受け部材21と第2反力受け部材22を、レール底部R2を左右両側から略囲むようにしてレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、レールRの腹部の両側に第1継目板11と第2継目板12を添接し、第1継目板11と第1反力受け部材21の直立部21bの間に、レールの長手方向から2枚の第1クサビ板41Aと41Bを差し込み、第2継目板12と第2反力受け部材22の直立部の間に、レールの長手方向から2枚の第2クサビ板42Aと42Bを差し込んで、各継目板11と12を外側から押さえ付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールが損傷した場合にレール交換までの時間中、レールの損傷箇所を応急的に防護して列車を徐行で通過させるためのレール応急処置器及びレール応急処置方法に関し、特に、スラブ軌道におけるレール応急処置器及びレール応急処置方法の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路幅員が大きく道路交通量の多い踏切道等においては、踏切箇所のまくらぎを取り外し、そのかわりとして、鉄筋コンクリート(RC)からなる板状のコンクリートブロックを複数個用い、PC鋼棒を孔に挿通して締め付けることにより全体を一体化し、このコンクリートブロックの上面に設けられた2つの溝部の内部に、それぞれレールを収容し、取付ボルトやナット等(図示せず)によって締結・支持する「連接軌道」と呼ばれる軌道構造が用いられている。
【0003】
このような連接軌道区間において、レールが損傷した場合にレール交換までの時間中、レールの損傷箇所を応急的に防護して列車を徐行で通過させるためのレールの応急継目装置としては、特許文献1に示されたものが知られている。
【0004】
このレール応急継目装置では、連接軌道のコンクリートブロックにおいてレールが収容され敷設される空間である溝部の2つの側面に接触するように2つの固定金具を配置し、それぞれの固定金具に螺子孔を設け間隔保持ボルトが回転自在に螺合するように取り付け、間隔保持ボルトを回転させることにより間隔保持ボルトの頭部が受具の外部側面に接近又は離れるように構成しておく。一方、レールの損傷部分を両側から挟み込むように2枚の継目板を取り付け、各々の継目板の側面に形成された溝に嵌合する嵌合凸部を有する受具を各継目板の外側にそれぞれ配置する。そして、各間隔保持ボルトをそれぞれ回転させて間隔保持ボルトの頭部が受具の凹部を押圧するようにし、この結果、継目板がレールの損傷部分の側面に圧接されるようにし、これにより、レールの損傷部分を固定するようにしたものである。
【0005】
しかしながら、スラブ軌道区間においては、レールが損傷した場合にレール交換までの時間中、レールの損傷箇所を応急的に防護して列車を徐行で通過させるためのレール応急処置器については、従来は、特に提案はなされていない。
【特許文献1】特許第3285980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、スラブ軌道におけるレール応急処置器及びレール応急処置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るスラブ軌道のレール応急処置器は、
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置器であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左側に第1継目板を添接し、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の右側に第2継目板を添接し、
前記第1継目板の腹部の左外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第1クサビ板を差し込み、前記第1継目板をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、
前記第2継目板の腹部の右外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第2クサビ板を差し込み、前記第2継目板をその腹部の右外側から押さえ付けること
を特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係るスラブ軌道のレール応急処置器は、
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記2枚の第1クサビ板が挿入される以前に、前記第1反力受け部材の直立部の右側面に第1間隔部材が添接され、前記2枚の第2クサビ板が挿入される以前に、前記第2反力受け部材の直立部の右側面に第2間隔部材が添接され、
その後、前記第1継目板の腹部の左外側面と、前記第1間隔部材の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第1クサビ板を差し込み、前記第1継目板をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、
前記第2継目板の腹部の右外側面と、前記第2間隔部材の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第2クサビ板を差し込み、前記第2継目板をその腹部の右外側から押さえ付けること
を特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係るスラブ軌道のレール応急処置器は、
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記嵌合凸部の平面形状は略コ字状に形成され、
前記第2反力受け部材は、2個の第2反力受け部材ピースにより構成され、
一つの第2反力受け部材ピースには、平面形状が略L字状で前記嵌合凸部の半分と嵌合するピース切欠部が形成されるとともに、
他の第2反力受け部材ピースには、略L字とは鏡対称となる形状の平面形状を有し前記嵌合凸部の他の半分と嵌合するピース切欠部が形成されること
を特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係るスラブ軌道のレール応急処置器は、
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記レールの左側の底部の上面となる斜面の上に設置し、前記2枚の第1クサビ板を下方から支持する第1受台部材と、
前記レールの右側の底部の上面となる斜面の上に設置し、前記2枚の第2クサビ板を下方から支持する第2受台部材を備えること
を特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5に係るスラブ軌道のレール応急処置器は、
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材のうち下方となるものと、軌道スラブ上面との間には、電気的絶縁材料からなる絶縁部材が設置されること
を特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に係るスラブ軌道のレール応急処置器は、
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置器であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左右両側にそれぞれ継目板を添接し、
前記右側の継目板の腹部の右外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記右側の継目板をその腹部の右外側から押さえ付けるとともに、
前記左側の継目板の腹部の左外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記左側の継目板をその腹部の左外側から押さえ付けること
を特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7に係るスラブ軌道のレール応急処置方法は、
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置方法であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左側に第1継目板を添接し、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の右側に第2継目板を添接し、
前記第1継目板の腹部の左外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第1クサビ板を差し込み、前記第1継目板をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、
前記第2継目板の腹部の右外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第2クサビ板を差し込み、前記第2継目板をその腹部の右外側から押さえ付けること
を特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8に係るスラブ軌道のレール応急処置方法は、
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置方法であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左右両側にそれぞれ継目板を添接し、
前記右側の継目板の腹部の右外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記右側の継目板をその腹部の右外側から押さえ付けるとともに、
前記左側の継目板の腹部の左外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記左側の継目板をその腹部の左外側から押さえ付けること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るスラブ軌道のレール応急処置器、及びスラブ軌道のレール応急処置方法は、タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に損傷したレール箇所を応急的に防護するものであって、底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材と、底板部と直立部を有し第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を用い、レールの底部をレールの左右両側から略囲むようにして損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ合計2組設置し、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の一方には底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の他方には底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、嵌合凸部と嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、第1反力受け部材及び第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左右両側にそれぞれ継目板を添接し、各継目板の腹部の外側面と、その外側となるいずれかの反力受け部材の直立部の側面との間の空間に、レールの長手方向から2枚のクサビ板をそれぞれ差し込むようにした。これにより、各継目板をその腹部の外側から押さえ付けることができ、スラブ軌道の場合にも、レールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護することができる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に説明する実施例は、タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に損傷したレール箇所を応急的に防護するものであって、底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材と、底板部と直立部を有し第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を用い、レールの底部をレールの左右両側から略囲むようにして損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ合計2組設置し、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の一方には底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の他方には底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、嵌合凸部と嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、第1反力受け部材及び第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左右両側にそれぞれ継目板を添接し、各継目板の腹部の外側面と、その外側となるいずれかの反力受け部材の直立部の側面との間の空間に、レールの長手方向から2枚のクサビ板をそれぞれ差し込むようにしたものである。このため、各継目板をその腹部の外側から押さえ付けることができ、スラブ軌道の場合にも、レールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護することができ、本発明を実現するための構成として最良の形態である。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器の全体構成を示す横断面図である。また、図2は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器の全体構成を示す上面図である。また、図3は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材の構成を示す図である。また、図4は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器における嵌合凸部板と、その固定用ボルトの構成を示す図である。また、図5は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第2反力受け部材ピースの構成を示す図である。また、図6は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材と第2反力受け部材ピースとの嵌合方法を説明する第1の図である。また、図7は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材と第2反力受け部材ピースとの嵌合方法を説明する第2の図である。また、図8は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材と第2反力受け部材ピースとの嵌合方法を説明する第3の図である。また、図9は、本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1クサビ板の作用を説明する図である。
【0018】
この第1実施例であるレール応急処置器は、スラブ軌道におけるレール損傷時にレールの応急処置を行うことができるものである。特に、第1実施例であるレール応急処置器は、スラブ軌道のうち、軌道スラブの上面にタイプレートと呼ばれる板状の部材を設置し、このタイプレートに、他の各種のレール締結用部材を用いて、レールを締結する形式のスラブ軌道に適用されるものである。
【0019】
以下に、第1実施例のレール応急処置器の構成と、その取り付け方法について、図1ないし図9を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
図1は、このレール応急処置器101の全体構成を、横断面図で示している。また、図2は、このレール応急処置器101の全体構成を、上面図で示している。図1及び図2に示すように、レール応急処置器101においては、損傷したレールRの損傷箇所を含む範囲(レール長手方向の区間)の腹部R1の左右両側にそれぞれ第1継目板11、第2継目板12が添接され、これらの第1継目板11及び第2継目板12が添接された区間のレールRの長手方向の両端(図2における端部P1と、端部P2)に、それぞれ、同一の構成の継目板押圧構造体81が1組ずつ、合計2組、設置されている。
【0021】
継目板押圧構造体81は、第1反力受け部材21と、第2反力受け部材22と、第1クサビ部材41A及び41Bと、第2クサビ部材42A及び42Bと、第1間隔部材51と、第2間隔部材52と、第1受台部材61と、第2受台部材62を有している。また、第2反力受け部材22は、第2反力受け部材ピース23と、第2反力受け部材ピース24の2個の部材から構成されている。また、各継目板押圧構造体81の下方で、軌道スラブ上面S3との間となる部分には、絶縁部材70が設置されている。
【0022】
上記のような構成により、第1継目板11をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、第2継目板12をその腹部の右外側から押さえ付けることができ、レールRの損傷箇所を応急的に防護することができる。
【0023】
次に、レール応急処置器101を構成する各部材について、その構成と作用を詳細に説明する。継目板押圧構造体81については、図2における端部P1に設置されるものについて説明する。図2における端部P2に設置される継目板押圧構造体81は、図2における端部P1に設置される継目板押圧構造体81とまったく同一の構成を有している。
【0024】
第1継目板11は、鋼等からなり、略板状の部材である。第2継目板12も、鋼等からなり、第1継目板11と同一の断面を有する略板状の部材であり、第1継目板11と鏡対称の横断面(レールRの長手方向に垂直となる断面)となるように配置している。第1継目板11、第2継目板12としては、鉄道で用いられる、いわゆる「I形継目板」、特に「接着絶縁レール」又は「接着絶縁継目」に用いられるような、レールRの腹部側面に密接可能な側面形状を有する継目板、ただしレールRの両側からボルトを挿通して締め付けるための孔を開設しない継目板を素材とし、この素材の下方の突出部(以下、「継目板下方突出部」という。図示せず。)を切削加工により除去したものなどが好適である。このように、継目板下方突出部を除去するのは、後述する第1クサビ板41Bや第2クサビ板42Bを円滑に差し込めるように、第1継目板11と第2継目板12の外側となる側面を、平滑な鉛直方向の平面に仕上げるためである。
【0025】
第1反力受け部材21は、図1に示すように、レールRの底部R2と第1継目板11を、レールRの左から略囲むようにして配置される。図1及び図3に示すように、第1反力受け部材21は、鋼等からなり、板状の底板部21aと、板状の直立部21bを有し、略L字状の横断面(レールRの長手方向に垂直となる断面)をなすように形成され、レールRの長手方向に延びる部材である。図2及び図3に示すように、第1反力受け部材21のレールRの長手方向の長さはD1となっている。図3において、図3(A)は、第1反力受け部材21の上面図を、図3(B)は、第1反力受け部材21の側面図を、それぞれ示している。なお、図3において、図の下端は、図2における端部P1に相当している。
【0026】
図1、図3(A)、図3(B)に示すように、第1反力受け部材21の底板部21aには、略円形断面のボルト孔21cが形成されている。図1の設置状態では、ボルト孔21cの軸線方向は、鉛直上下方向となっている。このボルト孔21cの内壁には、雌ネジが形成されており、後述する皿ボルト32の略円柱状の軸部32bの外周面に形成された雄ネジの下部が螺合するようになっている。第1実施例では、第1反力受け部材21の底板部21aには、3個のボルト孔21cが形成されている。このボルト孔21cの個数は、2個、あるいは4個以上であってもよい。また、図3(A)において、破線で示された領域Zは、後述する嵌合凸部板31が取り付けられる箇所を表している。
【0027】
上記した第1反力受け部材21には、レールRの底部R2と第1継目板11を、レールRの左から略囲むようにして配置される前に、あらかじめ、嵌合凸部板31が取り付けられる。図4(A)及び図4(B)は、嵌合凸部板31の構成を示す図であり、図4(A)は、嵌合凸部板31の上面図を、図4(B)は、嵌合凸部板31の側面図を、それぞれ示している。
【0028】
図4(A)に示すように、嵌合凸部板31は、鋼等からなる板状の部材である。また、嵌合凸部板31の平面形状は、略コ字状に形成されている。すなわち、嵌合凸部板31の平面形状は、略長方形状の中央部31aと、中央部31aの両端から略L字状に略直角に屈曲する鈎状部31b及び31cから構成されている。
【0029】
嵌合凸部板31には、ボルト孔31dが形成されている。図1の設置状態では、ボルト孔31dの軸線方向は、鉛直上下方向となっている。このボルト孔31dは、嵌合凸部板31の上面に開口を有する逆円錐台形状の孔であるテーパー部31d1と、テーパー部31d1の下方に接続しかつ嵌合凸部板31の下面に開口を有する略円柱状の孔である雌ネジ部31d2によって構成された貫通孔である。雌ネジ部31d2の内壁には、雌ネジが形成されており、後述する皿ボルト32の略円柱状の軸部32bの外周面に形成された雄ネジの上部が螺合するようになっている。第1実施例では、嵌合凸部板31には、3個のボルト孔31dが形成されている。このボルト孔31dの個数は、2個、あるいは4個以上であってもよい。
【0030】
図4(C)は、皿ボルト32の構成を示す側面図である。図4(C)に示すように、鋼等からなり、頭部32aと、軸部32bを有している。頭部32aは、逆円錐台形状に形成されている。また、軸部32bは、頭部32aの下方に接続する略円柱状の部分であり、その外周面には、雄ネジが形成されている。軸部32bの雄ネジは、上記したボルト孔21cの内壁の雌ネジと螺合可能となっている。また、軸部32bの雄ネジは、上記したボルト孔31dの雌ネジ部31d2の内壁の雌ネジと螺合可能となっている。また、皿ボルト32の頭部32aの上面中央には、上面から見ると「−」又は「+」の形状となる溝状の凹部32cが形成されている。この凹部32cに嵌合可能な工具を差し込んで回動させることにより、皿ボルト32をねじ込むことができるようになっている。
【0031】
上記のような構成により、嵌合凸部板31を、皿ボルト32によって、第1反力受け部材21の底板部21aの上面の位置Zに取り付け、固定することができる。この場合、皿ボルト32の上面は平面であり、皿ボルト32の頭部32aは、逆円錐台形状の孔であるテーパー部31d1にすべてが収容されるため、皿ボルト32の頭部32aは、嵌合凸部板31の上面から突出することはなく、嵌合凸部板31の取付後も、嵌合凸部板31の上面は平面状となっている。取り付けられた後の嵌合凸部板31は、特許請求の範囲における第1反力受け部材の底板部から突出する嵌合凸部を構成する。
【0032】
上記したように、第2反力受け部材22は、第2反力受け部材ピース23と、第2反力受け部材ピース24の2個の部材から構成されている。図5(A)は、第2反力受け部材ピース23の構成を示す上面図である。また、図5(B)は、第2反力受け部材ピース24の構成を示す上面図である。なお、図5(B)において、図の下端は、図2における端部P1に相当している。また、図5(A)、図5(B)において、図の上下方向は、レールRの長手方向と一致しており、図の上方に向かう方向は、図2における端部P2に向かう方向と一致している。
【0033】
第2反力受け部材ピース23は、図示はしていないが、レールRの底部R2と第2継目板12を、図1におけるレールRの右から略囲むようにして配置される。図1において、第2反力受け部材ピース23は、第2反力受け部材ピース24の後ろに位置することになる。図5(A)に示すように、第2反力受け部材ピース23は、鋼等からなり、板状の底板部23aと、板状の直立部23bを有し、略L字状の横断面(レールRの長手方向に垂直となる断面)をなすように形成され、レールRの長手方向に延びる部材である。図2及び図5(A)に示すように、第2反力受け部材ピース23のレールRの長手方向の長さはD2となっている。D2の値は、上記した第1反力受け部材21のレールRの長手方向の長さD1の1/2の値となっている。
【0034】
また、図5(A)に示すように、第2反力受け部材ピース23には、そのレール長手方向の端部P1側から底板部23aに切り込まれたピース切欠部23cが形成されている。このピース切欠部23cの平面形状は、端部P1側の端面23fが上となるようにして見た場合に、「L」の字を上下方向線を対称線として鏡対称に逆転した形状をなしている。ピース切欠部23cは、端部P1側の端面23fから、図5(A)における上方(端部P2に向かう方向)に向けて略長方形状に切り欠かれた矩形切欠部23gと、矩形切欠部23gの最も奥の部分から略直角に、図1におけるレールRの中心線に向かう方向に屈曲するように切り欠かれた鈎状切欠部23dから構成されている。
【0035】
ここで、矩形切欠部23gの図5(A)における左右方向の開口幅の値L4は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の幅(図4(A)における鈎状部31b又は31cの上下方向の幅)の値L1よりも、やや大きな値に設定されている。L4とL1の差は、例えば、1.5〜4ミリメートル程度である。また、矩形切欠部23gの図5(A)における上下方向の切欠長さの値L5は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の長さ(図4(A)における嵌合凸部板31の左右方向の長さ)の値L2の1/2の値に設定されている。また、鈎状切欠部23dの図5(A)における上下方向の切欠幅の値L6は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の鈎状部31b又は31cの左右方向の幅の値L3よりも、やや大きな値に設定されている。L6とL3の差は、例えば、1.5〜4ミリメートル程度である。
【0036】
第2反力受け部材ピース24は、図1に示すように、レールRの底部R2と第2継目板12を、図1におけるレールRの右から略囲むようにして配置される。図1及び図5(B)に示すように、第2反力受け部材ピース24は、鋼等からなり、板状の底板部24aと、板状の直立部24bを有し、略L字状の横断面(レールRの長手方向に垂直となる断面)をなすように形成され、レールRの長手方向に延びる部材である。図2及び図5(B)に示すように、第2反力受け部材ピース24のレールRの長手方向の長さは、第2反力受け部材ピース23のレールRの長手方向の長さと同一のD2となっている。
【0037】
また、図5(B)に示すように、第2反力受け部材ピース24には、そのレール長手方向の端部P2側から底板部24aに切り込まれたピース切欠部24cが形成されている。このピース切欠部24cの平面形状は、端部P2側の端面24fが上となるようにして見た場合に、略「L」字状をなしている。ピース切欠部24cは、端部P2側の端面24fから、図5(B)における下方(端部P1に向かう方向)に向けて略長方形状に切り欠かれた矩形切欠部24gと、矩形切欠部24gの最も奥の部分から略直角に、図1におけるレールRの中心線に向かう方向に屈曲するように切り欠かれた鈎状切欠部24dから構成されている。
【0038】
ここで、矩形切欠部24gの図5(B)における左右方向の開口幅の値L4は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の幅(図4(A)における鈎状部31b又は31cの上下方向の幅)の値L1よりも、やや大きな値に設定されている。L4とL1の差は、例えば、1.5〜4ミリメートル程度である。また、矩形切欠部24gの図5(B)における上下方向の切欠長さの値L5は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の長さ(図4(A)における嵌合凸部板31の左右方向の長さ)の値L2の1/2の値に設定されている。また、鈎状切欠部24dの図5(B)における上下方向の切欠幅の値L6は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の鈎状部31b又は31cの左右方向の幅の値L3よりも、やや大きな値に設定されている。L6とL3の差は、例えば、1.5〜4ミリメートル程度である。
【0039】
次に、第1クサビ板41Aについて説明する。図1、図2、図9に示すように、第1クサビ板41Aは、鋼等からなる板状の部材である。また、第1クサビ板41Aの一方の側面は、斜面となっている。第1クサビ板41Bも、第1クサビ板41Aとまったく同一の構成を有している。第1クサビ板41Bは、図2、図9に示すように、第1クサビ板41Aを逆の方向から差し込むようにしたものである。また、第2クサビ板42A、42Bも、第1クサビ板41Aとまったく同一の構成を有している。図2に示すように、第2クサビ板42A、42Bは、第1クサビ板41Aを図に示される状態で差し込むようにしたものである。第1クサビ板41A及び41B、第2クサビ板42A及び42BのレールRの長手方向の長さはD1となっている。
【0040】
次に、第1間隔部材51について説明する。図1、図9に示すように、第1間隔部材51は、鋼等からなる板状の部材である。また、第1間隔部材51の図1における下部の外側となる端縁は、曲面状に切削加工され曲面部51aとなっている。また、第1間隔部材51の図1における下部の内側となる端縁は、段差状に切削加工され段差部51bとなっている。第2間隔部材52は、図1に示すように、鋼等からなる板状の部材である。また、第2間隔部材52の図1における下部の外側となる端縁は、曲面状に切削加工され曲面部52aとなっている。
【0041】
このような構成により、第1間隔部材51の図1における下部の外側となる曲面部51aは、第1反力受け部材21のL字断面の隅角部の内壁面の曲面に密接可能となっている。同様に、第2間隔部材52の図1における下部の外側となる曲面部52aは、第2反力受け部材ピース24のL字断面の隅角部の内壁面の曲面に密接可能となっている。図示はしていないが、第2間隔部材52の図1における下部の外側となる曲面部52aは、第2反力受け部材ピース23のL字断面の隅角部の内壁面の曲面にも密接可能となっている。また、第1間隔部材51の図1における下部の内側となる段差部51bは、レールRの図1における左側の底部R2Lの左端を収容可能となっている。また、第2間隔部材52の図1における下部の内側となる段差部52bは、レールRの図1における右側の底部R2Rの右端を収容可能となっている。また、第2間隔部材52の図1における下部の内側となる端縁は、段差状に切削加工され段差部52bとなっている。図2に示すように、第1間隔部材52と第2間隔部材52のレールRの長手方向の長さはD1となっている。
【0042】
次に、第1受台部材61について説明する。図1に示すように、第1受台部材61は、鋼等からなる板状の部材である。また、第1受台部材61の図1における下面は、斜面状に切削加工されている。また、第2受台部材62は、鋼等からなる板状の部材である。また、第2受台部材62の図1における下面は、斜面状に切削加工されている。このような構成により、第1受台部材61の図1における下面は、レールRの図1における左側の底部R2Lの上面に載置可能で、その場合に、第1受台部材61の図1における上面は、略平面となり、第1クサビ板41A及び41Bを下から支持できるように構成されている。また、第2受台部材62の図1における下面は、レールRの図1における右側の底部R2Rの上面に載置可能で、その場合に、第2受台部材62の図1における上面は、略平面となり、第2クサビ板42A及び42Bを下から支持できるように構成されている。
【0043】
次に、絶縁部材70について説明する。図1に示すように、絶縁部材70は、電気的絶縁材料、例えば、合成樹脂材料、ゴム系材料からなり、板状に形成された部材である。ゴム系材料には、例えば天然ゴム、合成ゴム等が含まれる。絶縁部材70は、第1反力受け部材21と、軌道スラブ上面S3との間に設置される。また、絶縁部材70には、斜面をつけて、レールRの傾斜(カント)の調整を行う場合もある。
【0044】
次に、上記したレール応急処置器101のレールRへの設置方法について説明を行う。
【0045】
まず、損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端箇所に、レールRの底部R2の下方となる軌道スラブ上面S3の上に、絶縁部材70をそれぞれ敷設する。これは、軌道スラブ上面S3を通って、他方のレールに電流が流れることを防止するためである。
【0046】
次に、損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端箇所の絶縁部材70の上面とレールRの底部R2との間の空隙に、第1反力受け部材21の底板部21aを挿入し、第1反力受け部材21が、レールRの底部R2を、レールRの左から略囲むような状態にして、第1反力受け部材21の底板部21aを絶縁部材70の上に設置する。第1反力受け部材21は、損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端箇所に1個ずつ、合計2個設置される。
【0047】
次に、第2反力受け部材ピース23が、それぞれの第1反力受け部材21の上に設置される。この場合、第2反力受け部材ピース23が、レールRの底部R2を右から略囲むような状態となる。また、第2反力受け部材ピース23の底板部23aは、第1反力受け部材21の底板部21aの上に設置される。
【0048】
この第2反力受け部材ピース23の取付方法を図解したものが、図6〜図8である。上記したように、矩形切欠部23gの図5(A)における左右方向の開口幅の値L4は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の幅(図4(A)における鈎状部31b又は31cの上下方向の幅)の値L1よりも、やや大きな値に設定されている。このため、図6に示すように、第2反力受け部材ピース23の矩形切欠部23gを嵌合凸部板31に嵌合させるようにして、第2反力受け部材ピース23を第1反力受け部材21のP2側(図6における上側)から、P1側(図6における下側)に向けて、レールRの長手方向に平行な方向(図6における上から下へ向かう方向)に移動させることができる。
【0049】
このようにして、第2反力受け部材ピース23を第1反力受け部材21の最も奥まで差し入れた状態が図7である。また、上記したように、鈎状切欠部23dの図5(A)における上下方向の切欠幅の値L6は、図4(A)に示す嵌合凸部板31の鈎状部31b又は31cの左右方向の幅の値L3よりも、やや大きな値に設定されている。このため、
第2反力受け部材ピース23の鈎状切欠部23dを嵌合凸部板31の鈎状部(例えば31c)に嵌合させるようにして、第2反力受け部材ピース23を、レールRの長手方向に直角な方向(図6における左から右へ向かう方向)に移動させることができる。
【0050】
このようにして、第2反力受け部材ピース23を第1反力受け部材21のレール横方向(レール長手方向に直角な方向)の最も奥まで差し入れ、ピース切欠部23cを嵌合凸部板31の半分と嵌合させた状態が図8である。図8の状態では、第2反力受け部材ピース23の鈎状切欠部の顎部23eが、第1反力受け部材21の嵌合凸部板31の顎部31eと互いに嵌合している。このため、第1反力受け部材21又は第2反力受け部材ピース23のいずれかが、レール長手方向(図8における図の上下方向)のいずれかに引っ張られた場合であっても、両者は容易には外れないようになっている。
【0051】
上記の方法と同様にして、第2反力受け部材ピース24を、損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端箇所のそれぞれの第1反力受け部材21と嵌合させることができる。これにより、第2反力受け部材ピース24が、それぞれの第1反力受け部材21の上に設置される。この場合、第2反力受け部材ピース24が、レールRの底部R2を右から略囲むような状態となる。また、第2反力受け部材ピース24の底板部24aは、第1反力受け部材21の底板部21aの上に設置される。
【0052】
これにより、図2に示すように、損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端箇所のそれぞれの第1反力受け部材21に、P2側とP1側の両方から、第2反力受け部材ピース23と第2反力受け部材ピース24を取り付けて、第2反力受け部材22を構成することができる。この状態では、第1反力受け部材21と、第2反力受け部材22は、互いに嵌合し合っているので、それぞれの内壁へ、外向きの水平力が作用しても、これに十分対抗することができるようになっている。
【0053】
次に、破断した箇所のレールRの腹部R1の左側面S1に第1継目板11を添接して他の工具等(図示せず)により一時的に支持するとともに、破断した箇所のレールRの腹部R1の右側面S2に第2継目板12を添接して他の工具等(図示せず)により一時的に支持する。この状態では、第1反力受け部材21が、レールRの底部R2と第1継目板11を、レールRの左から略囲み、第2反力受け部材22が、レールRの底部R2と第2継目板12を、レールRの右から略囲む状態となっている。
【0054】
この状態で、第1反力受け部材21の直立部21bの右側面に、第1間隔部材51を、図1に示すような状態で挿入して添接し、同様にして、第2反力受け部材22(第2反力受け部材ピース23及び第2反力受け部材ピース24)の直立部(23b及び24b)の左側面に、第2間隔部材52を、図1に示すような状態で挿入して添接する。各間隔部材51及び52は、他の工具等(図示せず)により一時的に支持する。
【0055】
その後、第1受台部材61を、図1に示すように、レールRの左側の底部R2Lの上面となる斜面の上に設置し、第2受台部材62を、図1に示すように、レールRの右側の底部R2Rの上面となる斜面の上に設置する。
【0056】
最後に、図9に示すようにして、第1継目板11の腹部の左外側面と、第1反力受け部材21の直立部21bの右側面との間の空間に、レールRの長手方向から2枚の第1クサビ板41A及び41Bを図9の矢印のようにP1、P2の両方から打ち込むようにして差し込み、同時に、第2継目板12の腹部の右外側面と、第2反力受け部材22(第2反力受け部材ピース23及び第2反力受け部材ピース24)の直立部(23b及び24b)の左側面との間の空間に、レールRの長手方向から2枚の第2クサビ板42A及び42Bを差し込む。これにより、第1継目板11をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、第2継目板12をその腹部の右外側から押さえ付けることができる。P2側の継目板押圧構造体81の設置についても、上記とまったく同様にして行うことができる。
【0057】
なお、上記した継目板押圧構造体81の設置方法は、一例であり、他の順序で行ってもよい。最終的に、図1に示す状態で、第1クサビ板41A及び41Bの差し込みと、第2クサビ板42A及び42Bの差し込みが最後に行われることになれば、どのような順序で継目板押圧構造体81の設置を行ってもよい。
【0058】
上記において、ピース切欠部23cとピース切欠部24cは、特許請求の範囲における嵌合切欠部を構成している。
【0059】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではない。上記実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0060】
例えば、第1反力受け部材の嵌合凸部は、別個の部材をボルトで接合する上記実施例の方法のほか、第1反力受け部材を鋳鋼で製造し、嵌合凸部を一体形成するようにしてもよい。
【0061】
また、第1間隔部材と第2間隔部材を用いず、第1クサビ部材と第2クサビ部材のみとしてもよい。
【0062】
また、第1受台部材と第2受台部材を用いず、第1クサビ部材と第2クサビ部材を、特に支持しなくてもよい。
【0063】
また、上記の第1実施例では、レールの腹部の左側に第1継目板を添接し、レールの腹部の右側に第2継目板を添接し、第1反力受け部材を、レールの底部と第1継目板をレールの左から略囲むようにして配置し、第2反力受け部材を、レールの底部と第2継目板をレールの右から略囲むようにして配置し、第1反力受け部材に、底板部から突出する嵌合凸部を設けておき、第2反力受け部材に、底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、嵌合凸部と嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、第1反力受け部材及び第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、各反力受け部材と各継目板との間にクサビ板を挿入する例について説明した。しかし、本発明は、この実施例のみには限定されず、他の構成も可能である。例えば、レールの腹部の右側に継目板を添接し、レールの腹部の左側に継目板を添接し、第1反力受け部材を、レールの底部と右側継目板をレールの右から略囲むようにして配置し、第2反力受け部材を、レールの底部と左側継目板をレールの左から略囲むようにして配置し、第1反力受け部材に、底板部から突出する嵌合凸部を設けておき、第2反力受け部材に、底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、嵌合凸部と嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、第1反力受け部材及び第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、各反力受け部材と各継目板との間にクサビ板を挿入するようにしてもよい。
【0064】
また、上記の第1実施例では、第1反力受け部材に嵌合凸部が設けられ、第2反力受け部材(2個のピースからなる)に嵌合切欠部(2個のピースのそれぞれに半分のピース切欠部が設けられる)が設けられた例について説明した。しかし、本発明は、この実施例のみには限定されず、他の構成も可能である。例えば、第1反力受け部材に嵌合切欠部が設けられ、第2反力受け部材(2個のピースからなる)に嵌合凸部(2個のピースのそれぞれに半分のピース凸部が設けられる)が設けられるように構成してもよい。要は、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の一方には底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の他方には底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、嵌合凸部と嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、第1反力受け部材及び第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるように構成されていれば、どのような構成であってもよいのである。
【0065】
また、上記の第1実施例では、第1反力受け部材の底板部の上面に、第2反力受け部材の底板部が乗る状態となっており、嵌合凸部は、第1反力受け部材の底板部の上面から上方へ突出して、上方にある第2反力受け部材の嵌合切欠部と嵌合している。しかし、本発明は、この実施例のみには限定されず、他の構成も可能である。例えば、第2反力受け部材の底板部の上面に、第1反力受け部材の底板部が乗る状態となり、嵌合凸部は、第1反力受け部材の底板部の下面から下方へ突出して、下方にある第2反力受け部材の嵌合切欠部と嵌合するように構成してもよい。この場合、第1反力受け部材を、レールの底部と継目板をレールの左から略囲むようにして配置し、第2反力受け部材を、レールの底部と継目板をレールの右から略囲むようにして配置してもよい。あるいは、第1反力受け部材を、レールの底部と継目板をレールの右から略囲むようにして配置し、第2反力受け部材を、レールの底部と継目板をレールの左から略囲むようにして配置してもよい。要は、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の一方には底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、第1反力受け部材又は第2反力受け部材の他方には底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、嵌合凸部と嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、第1反力受け部材及び第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるように構成されていれば、どのような構成であってもよいのである。また、絶縁部材は、第1反力受け部材又は第2反力受け部材のうち下方となるものと、軌道スラブ上面との間に設置されるようにすればよく、第1反力受け部材と第2反力受け部材のどちらが下方となってもよいのである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るレール応急処置器、又はレール応急処置方法は、鉄道を運営する鉄道事業者で実施可能であり、鉄道線路の保守を行う企業でも実施可能であり、これらの産業で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施例であるレール応急処置器の全体構成を示す横断面図である。
【図2】本発明の第1実施例であるレール応急処置器の全体構成を示す上面図である。
【図3】本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例であるレール応急処置器における嵌合凸部板と、その固定用ボルトの構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第2反力受け部材ピースの構成を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材と第2反力受け部材ピースとの嵌合方法を説明する第1の図である。
【図7】本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材と第2反力受け部材ピースとの嵌合方法を説明する第2の図である。
【図8】本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1反力受け部材と第2反力受け部材ピースとの嵌合方法を説明する第3の図である。
【図9】本発明の第1実施例であるレール応急処置器における第1クサビ板の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0068】
11 第1継目板
12 第2継目板
21 第1反力受け部材
21a 底板部
21b 直立部
21c ボルト孔
22 第2反力受け部材
23 第2反力受け部材ピース
23a 底板部
23b 直立部
23c ピース切欠部
23d 鈎状切欠部
23e 顎部
23f 端面
23g 矩形切欠部
24 第2反力受け部材ピース
24a 底板部
24b 直立部
24c ピース切欠部
24d 鈎状切欠部
24e 顎部
24f 端面
24g 矩形切欠部
31 嵌合凸部板
31a 中央部
31b、31c 鈎状部
31d ボルト孔
31d1 テーパー部
31d2 雌ネジ部
31e 顎部
32 皿ボルト
32a 頭部
32b 軸部
32c 凹部
41A、41B 第1クサビ板
42A、42B 第1クサビ板
51 第1間隔部材
51a 曲面部
51b 段差部
52 第2間隔部材
52a 曲面部
52b 段差部
61 第1受台部材
62 第2受台部材
70 絶縁部材
81 継目板押圧構造体
101 レール応急処置器
R レール
R1 レール腹部
R2 レール底部
R2L 左側レール底部
R2R 右側レール底部
S1 レール腹部左側面
S2 レール腹部右側面
S3 軌道スラブ上面
Z 嵌合凸部板の設置位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置器であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左側に第1継目板を添接し、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の右側に第2継目板を添接し、
前記第1継目板の腹部の左外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第1クサビ板を差し込み、前記第1継目板をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、
前記第2継目板の腹部の右外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第2クサビ板を差し込み、前記第2継目板をその腹部の右外側から押さえ付けること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置器。
【請求項2】
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記2枚の第1クサビ板が挿入される以前に、前記第1反力受け部材の直立部の右側面に第1間隔部材が添接され、前記2枚の第2クサビ板が挿入される以前に、前記第2反力受け部材の直立部の右側面に第2間隔部材が添接され、
その後、前記第1継目板の腹部の左外側面と、前記第1間隔部材の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第1クサビ板を差し込み、前記第1継目板をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、
前記第2継目板の腹部の右外側面と、前記第2間隔部材の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第2クサビ板を差し込み、前記第2継目板をその腹部の右外側から押さえ付けること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置器。
【請求項3】
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記嵌合凸部の平面形状は略コ字状に形成され、
前記第2反力受け部材は、2個の第2反力受け部材ピースにより構成され、
一つの第2反力受け部材ピースには、平面形状が略L字状で前記嵌合凸部の半分と嵌合するピース切欠部が形成されるとともに、
他の第2反力受け部材ピースには、略L字とは鏡対称となる形状の平面形状を有し前記嵌合凸部の他の半分と嵌合するピース切欠部が形成されること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置器。
【請求項4】
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記レールの左側の底部の上面となる斜面の上に設置し、前記2枚の第1クサビ板を下方から支持する第1受台部材と、
前記レールの右側の底部の上面となる斜面の上に設置し、前記2枚の第2クサビ板を下方から支持する第2受台部材を備えること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置器。
【請求項5】
請求項1記載のスラブ軌道のレール応急処置器において、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材のうち下方となるものと、軌道スラブ上面との間には、電気的絶縁材料からなる絶縁部材が設置されること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置器。
【請求項6】
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置器であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左右両側にそれぞれ継目板を添接し、
前記右側の継目板の腹部の右外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記右側の継目板をその腹部の右外側から押さえ付けるとともに、
前記左側の継目板の腹部の左外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記左側の継目板をその腹部の左外側から押さえ付けること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置器。
【請求項7】
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置方法であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左側に第1継目板を添接し、
前記損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の右側に第2継目板を添接し、
前記第1継目板の腹部の左外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第1クサビ板を差し込み、前記第1継目板をその腹部の左外側から押さえ付けるとともに、
前記第2継目板の腹部の右外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚の第2クサビ板を差し込み、前記第2継目板をその腹部の右外側から押さえ付けること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置方法。
【請求項8】
タイプレート型式のスラブ軌道でレールが損傷した場合に、損傷したレール箇所を応急的に防護するレール応急処置方法であって、
底板部と直立部を有し略L字状の断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第1反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの右から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
底板部と直立部を有し前記第1反力受け部材とは鏡対称となる断面をなすように形成されレールの長手方向に延びる第2反力受け部材を、前記レールの底部を前記レールの左から略囲むようにして前記損傷したレール箇所を含む範囲のレール長手方向の両端に1組ずつ設置し、
前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の一方には前記底板部から突出する嵌合凸部を設けておくとともに、前記第1反力受け部材又は前記第2反力受け部材の他方には前記底板部に形成された嵌合切欠部を設けておき、前記嵌合凸部と前記嵌合切欠部を互いに嵌合させることにより、前記第1反力受け部材及び前記第2反力受け部材の内壁への外向き水平力に対抗させるようにし、
損傷した箇所を含む範囲のレールの腹部の左右両側にそれぞれ継目板を添接し、
前記右側の継目板の腹部の右外側面と、前記第1反力受け部材の直立部の左側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記右側の継目板をその腹部の右外側から押さえ付けるとともに、
前記左側の継目板の腹部の左外側面と、前記第2反力受け部材の直立部の右側面との間の空間に、前記レールの長手方向から2枚のクサビ板を差し込み、前記左側の継目板をその腹部の左外側から押さえ付けること
を特徴とするスラブ軌道のレール応急処置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−152755(P2006−152755A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348836(P2004−348836)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【出願人】(000230825)日本軌道工業株式会社 (14)