説明

スロットイン型ディスク装置

【課題】ディスクをディスク装置に挿入したり取り出したりする時に充分なクリアランスを確保した上で、装置の薄型化を図りつつ、スピンドルモータへのディスクの装着動作を確実に行うことができるスロットイン型ディスク装置を提供すること。
【解決手段】ベース本体10と蓋体20とからシャーシ外装を構成し、シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口11を形成し、ベース本体10にトラバースベース30を設け、トラバースベース30にスピンドルモータ31とピックアップ32とピックアップ32を移動させる駆動手段33とを設け、トラバースベース30をベース本体10側と蓋体20側との間で変位させるトラバースベース移動手段を設け、トラバースベース移動手段を、シャーシ外装に設けたローディングモータ60と、ローディングモータ60の駆動によって摺動するスライダー40,50と、スライダー40,50の移動によって動作するトラバースカム部材とによって構成したディスク装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどのディスク状の記録媒体への記録、または再生を行うディスク装置に関し、特に外部からディスクを直接挿入し、または直接排出できるスロットイン型ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク装置は、トレイまたはターンテーブル上にディスクを載置し、このトレイやターンテーブルを装置本体内に装着するローディング方式が多く採用されているが、このようなローディング方式では、トレイやターンテーブルが必要な分、ディスク装置本体を薄型化するには限度があった。このため、最近では、ローディングモータによりレバー等でディスクを直接操作するスロットイン型ディスク装置が存在する(例えば特許文献1)。
しかしこのようなスロットイン型ディスク装置では、ディスクをこのディスク装置に挿入したり取り出したりする時に、トラバースベースに支持されたスピンドルモータを下降させて、挿入のための一定のクリアランスを設ける必要があるため、トラバースベースの昇降のための距離が装置の厚み方向に必要とされる。近年、パーソナルコンピュータの小型化に伴い、ディスク装置も小型化、薄型化が求められており、スロットイン方式のディスク装置で薄型化を図る場合、トラバースベースの昇降のための距離を必要最小限に押さえる必要がある。
このような技術的課題に対して本発明者らは、スピンドルモータをトラバースベースに対して、更に下方へ移動させることが可能な構成を既に提案している(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−352498号公報
【特許文献2】特願2004−257560号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献2で提案した構成の場合、スプリングの付勢力がスピンドルモータの降下時に強く、スピンドルモータの上昇時には弱く作用する構成であるため、ディスク再生時に外乱振動や繰り返し精度が安定しないという課題がある。
【0004】
そこで本発明は、スロットイン型ディスク装置で、ディスクをディスク装置に挿入したり取り出したりする時に充分なクリアランスを確保した上で、装置の薄型化を図りつつ、スピンドルモータへのディスクの装着動作を確実に行うことができるスロットイン型ディスク装置を提供することを目的とする。
更に本発明は、スプリングの付勢力をスピンドルモータが上昇位置にあるときに作用させる構成とすることで、ディスク再生時に外乱振動や繰り返し精度を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のスロットイン型ディスク装置は、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、前記ベース本体にトラバースベースを設け、前記トラバースベースにスピンドルモータとピックアップと当該ピックアップを移動させる駆動手段とを設け、前記トラバースベースを前記ベース本体側と前記蓋体側との間で変位させるトラバースベース移動手段を設け、前記トラバースベース移動手段を、前記シャーシ外装に設けたローディングモータと、前記ローディングモータの駆動によって摺動するスライダーと、前記スライダーの移動によって動作するトラバースカム部材とによって構成したディスク装置であって、前記スピンドルモータを保持するスピンドルモータ支持部と、前記スライダーの移動によって動作するスピンドルカム部材と、前記スピンドルカム部材によって前記トラバースベースに対して近接離間するクラッチプレートと、前記スピンドルモータ支持部と前記クラッチプレートとの間に配置されるモータスプリングとを有し、前記クラッチプレートが前記トラバースベースに近接し、前記スピンドルモータが前記ディスク側に移動することで、前記モータスプリングが圧縮されることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記モータスプリングを前記スピンドルモータの外周側に配置したことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記クラッチプレートのストロークを、前記スピンドルモータのストロークよりも大きくしたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記スピンドルモータ支持部と前記クラッチプレートには貫通孔を有し、それぞれの前記貫通孔にはモータピンが挿入され、前記モータスプリングが前記モータピンを中心軸として配置されることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記スピンドルカム部材を、直交する方向に配置した2つの部材で構成し、前記トラバースカム部材と前記スライダーとを直交する方向に配置し、一方の前記スピンドルカム部材を前記トラバースカム部材と平行に配置し、他方の前記スピンドルカム部材を前記スライダーと平行に配置したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記クラッチプレートを前記スピンドルモータの外周側に配置したことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置において、前記トラバースベースには装着したディスクをリリースする凸部を有し、前記凸部を前記スピンドルモータの外周部に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ディスク装置の薄型化と小型化を図ることが出来るものであり、特に、スピンドルモータをトラバースベースに対して、下方へ移動させることが可能な構成としたので、トラバースベースの昇降距離を必要最小限に押さえても、ディスク挿入のためのクリアランスを確保することができ、更なるディスク装置の薄型化が可能となる。
また本発明によれば、スプリングの付勢力をスピンドルモータが上昇位置にあるときに作用させることで、ディスク再生時に外乱振動や繰り返し精度を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態によるスロットイン型ディスク装置は、スピンドルモータを保持するスピンドルモータ支持部と、スライダーの移動によって動作するスピンドルカム部材と、スピンドルカム部材によってトラバースベースに対して近接離間するクラッチプレートと、スピンドルモータ支持部とクラッチプレートとの間に配置されるモータスプリングとを有し、クラッチプレートがトラバースベースに近接し、スピンドルモータがディスク側に移動することで、モータスプリングが圧縮されものである。本実施の形態によれば、スプリングの付勢力をスピンドルモータが上昇位置にあるときに作用させることで、ディスク再生時に外乱振動や繰り返し精度を安定させることができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるスロットイン型ディスク装置において、モータスプリングをスピンドルモータの外周側に配置したものである。本実施の形態によれば、スピンドルモータをベース本体に近接配置できるため、ディスクをディスク装置に挿入したり取り出したりする時に充分なクリアランスを確保した上で、装置の薄型化を図ることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態によるスロットイン型ディスク装置において、クラッチプレートのストロークを、スピンドルモータのストロークよりも大きくしたものである。本実施の形態によれば、スピンドルモータの降下時は、モータスプリングの力はかからず、モータスプリングの力がかかるのは、スピンドルモータがストローク分だけ上昇した後の、クラッチプレートのオーバーストローク分だけとすることができる。また、モータスプリングの荷重を高く設定できるため、トラバースベースに対するスピンドルモータの付勢力を強くでき、自己振動や外乱振動に対する安定性を高めることができる。また、スピンドルモータをトラバースベースに高荷重で付勢できるため、繰り返し精度の安定性を図ることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態によるスロットイン型ディスク装置において、スピンドルモータ支持部とクラッチプレートには貫通孔を有し、それぞれの貫通孔にはモータピンが挿入され、モータスプリングがモータピンを中心軸として配置されるものである。本実施の形態によれば、スピンドルモータの安定した昇降動作を確保することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態によるスロットイン型ディスク装置において、スピンドルカム部材を、直交する方向に配置した2つの部材で構成し、トラバースカム部材とスライダーとを直交する方向に配置し、一方のスピンドルカム部材をトラバースカム部材と平行に配置し、他方のスピンドルカム部材をスライダーと平行に配置したものである。本実施の形態によれば、トラバースベースとスピンドルモータとの安定した昇降動作を確保することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態によるスロットイン型ディスク装置において、クラッチプレートをスピンドルモータの外周側に配置したものである。本実施の形態によれば、スピンドルモータをベース本体に近接配置できるため、ディスクをディスク装置に挿入したり取り出したりする時に充分なクリアランスを確保した上で、装置の薄型化を図ることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第1の実施の形態によるスロットイン型ディスク装置において、トラバースベースには装着したディスクをリリースする凸部を有し、凸部をスピンドルモータの外周部に配置したものである。本実施の形態によれば、凸部をスピンドルモータの外周部に配置することで、ディスクのリリースを確実に行うことができる。
【実施例】
【0008】
以下本発明の一実施例によるディスク装置について説明する。
図1は本実施例によるディスク装置のベース本体の平面図である。
本実施例によるディスク装置は、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装が構成され、このシャーシ外装のフロント面にベゼルが装着される。また本実施例によるディスク装置は、ベゼルに設けたディスク挿入口からディスクを直接挿入するスロットイン型ディスク装置である。
図1に示すように、ディスクへの記録再生機能やディスクのローディング機能を行う各部品は、ベース本体10に装着される。
ベース本体10は、深底部10Aと浅底部10Bが形成され、浅底部10Bによってフロント面からリア面に至るウイング部が形成されている。
ベース本体10のフロント側にはディスクを直接挿入するディスク挿入口11を形成し、ベース本体10のリア面の端部にはコネクタ12を配設している。ベース本体10のディスク挿入口11側にはトラバースベース30が配置され、ベース本体10のコネクタ12側にはリアベース13が配置されている。トラバースベース30とリアベース13とは互いが重ならないように配置されている。リアベース13のベース本体10面側にはプリント基板14が設けられている。
【0009】
トラバースベース30は、スピンドルモータ31とピックアップ32とピックアップ32を移動させる駆動手段33とを保持している。スピンドルモータ31はトラバースベース30の一端側に設けられ、ピックアップ32はトラバースベース30の一端側から他端側までを移動可能に設けられている。またピックアップ32は停止時にはトラバースベース30の他端側、すなわちベース本体10の外周側に配置される。
トラバースベース30において、スピンドルモータ31がベース本体10の中央部に位置し、またピックアップ32の往復動範囲がスピンドルモータ31よりもディスク挿入口11側に位置し、またピックアップ32の往復移動方向がディスクの挿入方向と異なるように配設されている。ここで、ピックアップ32の往復移動方向とディスクの挿入方向とは、45度の角度としている。
トラバースベース30は、一対のインシュレータ34A、34Bによってベース本体10に支持されている。
一対のインシュレータ34A、34Bは、スピンドルモータ31の位置よりもピックアップ32の静止位置側に配設している。本実施例では、インシュレータ34Aはディスク挿入口11の内側近傍の一端側に、インシュレータ34Bはディスク挿入口11の内側近傍の中央部に設けている。インシュレータ34A、34Bは、弾性材料からなるダンパー機構を備えている。トラバースベース30は、インシュレータ34A、34Bを支点として、スピンドルモータ31側をベース本体10と近接離間させるように動作する。
【0010】
以下に、このトラバースベース30を動作させるトラバースカム部材51を備えたメインスライダー40とサブスライダー50について説明する。
メインスライダー40とサブスライダー50とは、スピンドルモータ31の側方に位置するように配設されている。メインスライダー40は、その一端がシャーシ本体10のフロント面側、その他端がシャーシ本体10のリア面側となる方向に配設されている。また、サブスライダー50は、トラバースベース30とリアベース13との間に、メインスライダー40と直交する方向に配設されている。
トラバースベース30を変位させるトラバースカム部材51は、サブスライダー50のスピンドルモータ31側の面に設けられている。
【0011】
メインスライダー40の一端側にはローディングモータ60が配設されている。ローディングモータ60の駆動軸とメインスライダー40の一端側とは歯車機構61を介して連結されている。
このローディングモータ60の駆動によってメインスライダー40を長手方向に摺動させることができる。またメインスライダー40は、カムレバー70によってサブスライダー50と連結している。
カムレバー70は回動支点71、ピン72及びピン73を有している。ピン73はメインスライダー40の上面に設けたカム溝と係合し、ピン74でサブスライダー50の上面に設けたカム溝と係合している。
このカムレバー70は、メインスライダー40の移動によって動作し、サブスライダー50を移動させることによってトラバースカム部材51を動作させてトラバースベース30を変位させる。
【0012】
以上説明した、コネクタ12、トラバースベース30、リアベース13、プリント基板14、インシュレータ34A、34B、メインスライダー40、サブスライダー50、及びローディングモータ60は、ベース本体10の深底部10Aに設けられ、これらの部材と蓋体20との間に、ディスク挿入空間を形成する。
【0013】
次に、ディスクを挿入するときにディスクを支持するガイド部材と、ディスクを挿入するときに動作するレバー部材について説明する。
図2はディスクを保持した状態を示す本装置の平面図である。
深底部10Aのディスク挿入口11近傍の一端側には、所定長さの第1のディスクガイド17が設けられている。この第1のディスクガイド17は、ディスク挿入側から見た断面が、「コ」の字状の溝を有している。この溝によってディスクは支持される。
一方、ディスク挿入口11側の浅底部10Bには、引き込みレバー80が設けられ、この引き込みレバー80の可動側端部に第2のディスクガイド81を備えている。第2のディスクガイド81は、円筒状のローラで構成され、引き込みレバー80の可動側端部に回動自在に設けられている。また、第2のディスクガイド81のローラ外周には溝が形成され、この溝によってディスクは支持される。
引き込みレバー80は、可動側端部が固定側端部よりもディスク挿入口11側で動作するように配置され、固定側端部に回動支点82を有している。
【0014】
引き込みレバー80は、サブレバー90によって動作する。
サブレバー90は、可動側の一端に凸部91を備え、他端側に回動支点92を備えている。サブレバー90の凸部91は、引き込みレバー80の長溝内を摺動する。また、サブレバー90の回動支点92は、メインスライダー40上に位置している。なお、回動支点92は、メインスライダー40とは連動せず、ベース本体10に固定されている。またサブレバー90の回動支点92よりも凸部91側の下面には、ピン93を備えている。このピン93は、メインスライダー40の上面に設けられたカム溝内を摺動する。従って、サブレバー90は、メインスライダー40の移動にともなって角度が変更され、このサブレバー90の角度の変更によって引き込みレバー80の旋回角度を変更する。すなわち、サブレバー90の動作によって、引き込みレバー80の第2のディスクガイド81がスピンドルモータ31に近接離間するように動作する。
【0015】
ベース本体10の引き込みレバー80と異なる側部には、排出レバー100が設けられている。この排出レバー100の一端側の可動側端部にはガイド101が設けられている。また、排出レバー100の他端側には、回動支点102が設けられている。また、排出レバー100の可動側端部には、ガイド101よりもリア面側に当接部103が設けられている。また、排出レバー100には、弾性体104が設けられている。この弾性体104の一端は排出レバー100に固定されており、他端はリアベース13に固定されている。当接部103は、リア面側に引き込まれた場合に、リアベース13の当接部13Aと当接する。また排出レバー100は、弾性体104の弾性力によってディスク挿入口11側に引き出される。なお、排出レバー100は、リンクアーム105を介してメインスライダー40と連動して動作する。
また、排出レバー100と同じ側のベース本体10の側部には、ガイドレバー180が設けられている。ガイドレバー180は、リア面側を回動支点181とし、可動側にガイド182を備えている。このガイドレバー180は、弾性体によってガイド182側がディスク側に突出するように付勢されている。また、このガイドレバー180は、リンクアーム105を介してメインスライダー40と連動し、このメインスライダー40の動きに応じて、ガイド182側がディスクから離間するように動作する。
【0016】
ベース本体10のリア面側には規制レバー110が設けられている。この規制レバー110は、リア面側端部を回動支点111とし、可動側端部にガイド112を備えている。この規制レバー110は、弾性体によってガイド112側が常にフロント側に突出するように付勢されている。また、この規制レバー110は所定位置でリミットスイッチを動作させる。すなわち、ディスクが所定位置まで挿入されると、リミットスイッチがオフし、ローディングモータ60を駆動する。このローディングモータ60の駆動によって、メインスライダー40が摺動する。
凸部30D18は、スピンドルモータ31の外周部に位置するトラバースベース30に円弧状に設けており、装着されるディスクの中心部の非記録面に対応する位置に当接することでディスクをリリースさせる。
【0017】
また、ベース本体10のフロント側には、フロントガイダー21が設けられている。フロントガイダー21は、ディスク挿入口11の一端側であって、引き込みレバー80とディスク挿入口11との間に配置されている。またこのフロントガイダー21は、ローディングモータ60や歯車機構、メインスライダー40の一部を覆うように、これらの部材よりも蓋体20側に設けられている。このフロントガイダー21は、挿入されるディスクの記録面全面が接触しないように周囲にテーパーが設けられ、表面がウレタンフッ素コーティングされている。フロントガイダー21は、第1のディスクガイド17や第2のディスクガイド81では十分にディスクを支持できない場合に、ディスクの面方向への傾きによって記録面に傷が付くのを防止することができる。なお、フロントガイダー21をフェルト材で構成してもよい。
【0018】
図3、図4は、本装置のトラバースベースを示す要部斜視図である。
駆動手段33は、駆動モータ33Aと、ピックアップ32を摺動させる一対のレール33Bとを有し、一対のレール33Bはトラバースベース30の一端側と他端側とを連接するように両側部に配置されている。駆動モータ33Aは、ディスク挿入口11側のレールの外方に、その駆動軸がレール33Bと平行になるように配置されている。
【0019】
図5から図8は、本装置のトラバースベースの構成部品を示す要部斜視図である。
まず、図5に示すように、クラッチプレート35は、スピンドルモータ31を配置する開口部35Aを有している。この開口部35Aの周囲には、3つの貫通孔35Bを有し、それぞれの貫通孔35Bの位置にモータスプリング36が配置される。また、クラッチプレート35は、複数のクラッチピン35Cを有している。本実施例では、直交する2側面の一方の側面の端部に1つのクラッチピン35Cを、他方の側面の両端部に2つのクラッチピン35Cを有している。また、クラッチプレート35は、段付ビス18を挿入可能な開口部35Dと、スピンドルモータ支持部31Aに引っかかる曲げ部35Eを形成している。
【0020】
次に、図6に示すように、開口部35Aの位置にスピンドルモータ31が配置される。スピンドルモータ31は、周囲にスピンドルモータ支持部31Aが形成されている。スピンドルモータ31は、このスピンドルモータ支持部31Aによって保持されている。
スピンドルモータ支持部31Aは、クラッチプレート35の貫通孔35Bと対応する位置に3つの貫通孔31Bを有している。モータスプリング36は、スピンドルモータ支持部31Aとクラッチプレート35との間に配置される。また、スピンドルモータ支持部31Aは、段付ビス18を挿入可能な開口部31Cと、曲げ部35Eと係合する切欠部31Dを形成している。
【0021】
次に、図7に示すように、スピンドルモータ31は、トラバースベース30に配置される。トラバースベース30は、複数のトラバースカムピン30Aを有している。本実施例では、直交する2側面の一方の側面に2つのトラバースカムピン30Aを有している。また、トラバースベース30は、段付ビス18を逃がす開口部30Bを形成している。更に、トラバースベース30は、クラッチプレート35の貫通孔35Bと対応する位置に3つのモータピンを備えている。
【0022】
次に、図8に示すように、トラバースベース30の直交する2側面の一方の側面には第1のスピンドルカム部材52が、他方の側面には第2のスピンドルカム部材41が配置される。従って第1のスピンドルカム部材52はトラバースカム部材51と平行に配置され、第2のスピンドルカム部材41はメインスライダー40と平行に配置される。
【0023】
以下、本装置のスピンドルモータの昇降動作について説明する。
図9は降下した状態を示す要部斜視図、図10は同状態の側面断面図、図11は上昇した状態を示す要部斜視図、図12は同状態の側面断面図である。
なお、図9及び図11におけるスピンドルレバー42は、カムレバー70のピン72が摺動する溝を有し、カムレバー70の動作によって第2のスピンドルカム部材41をメインスライダー40と同一の方向に移動させる。また、図10及び図12に示すように、蓋体20の中央部には、開口部21が設けられている。この開口部21は、ディスクXの中心孔よりも大きな半径の円形開口であり、更にディスクXの中心孔に嵌合するスピンドルモータ31のハブよりも大きな開口である。開口部21の外周部には、ベース本体10側に突出させた絞り部22が形成されている。
【0024】
まず、図9及び図10に示すように、第1のスピンドルカム部材52及び第2のスピンドルカム部材41によってクラッチピン35Cはベース本体10側に配置されるため、クラッチプレート35は、ベース本体10に最も近接した位置に規制される。
モータスプリング36は、スピンドルモータ支持部31Aとクラッチプレート35とを引き離す方向に付勢するが、スピンドルモータ支持部31Aとクラッチプレート35とが所定間隔以上とならないように段付ビス18などによって固定している。
この状態から、メインスライダー40が移動することで、カムレバー70が回動支点71を中心として所定角度回動する。このカムレバー70の回動によって、第1のスピンドルカム部材52及び第2のスピンドルカム部材41は、所定距離だけ移動する。
図11及び図12はこの状態を示している。
【0025】
第1のスピンドルカム部材52及び第2のスピンドルカム部材41の移動によって、クラッチピン35Cは蓋体20に近接する方向に移動する。このクラッチピン35Cの移動によって、クラッチプレート35は蓋体20側に移動し、モータスプリング36を介してスピンドルモータ31も蓋体20側に移動する。
【0026】
ここでは、クラッチプレート35のストロークBを、スピンドルモータ31のストロークAよりも大きく設定している。例えば、クラッチプレート35のストロークBを2.4mm、スピンドルモータ31のストロークAを2.0mmとする。このように、クラッチプレート35のストロークBを、スピンドルモータ31のストロークAよりも大きく設定することで、モータスプリング36の付勢力がかかるのは、スピンドルモータ31がストローク分だけ上昇した後の、クラッチプレート35のオーバーストローク分(0.4mm分)だけとすることができる。また、スピンドルモータ31の降下時は、モータスプリング36の付勢力はかからない。また、モータスプリング36の荷重を高く設定できるため、トラバースベース30に対するスピンドルモータ31の付勢力を強くでき、自己振動や外乱振動に対する安定性を高めることができる。また、スピンドルモータ31をトラバースベース30に高荷重で付勢できるため、繰り返し精度の安定性を高めることができる。
なお、チャッキング動作時には、図11及び図12の状態から、トラバースカム部材51によってトラバースカムピン30Aが蓋体20側に移動することで、更にトラバース30が蓋体20側に近接する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、CD、DVD等のディスク状記録媒体の記録または再生を行うディスク装置において、ディスクを確実にスピンドルモータに装着させるためのトラバースベースの移動を最小限に制限しても、ディスクの確実な自動装着操作が可能となるスペースを確保することが可能となり、庭用映像機器やコンピュータの周辺装置として用いられる薄型化の必要なディスク装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例によるディスク装置のベース本体の概略平面図
【図2】同ディスク装置のディスクを保持した状態を示す平面図
【図3】同ディスク装置のトラバースベースを示す要部斜視図
【図4】同ディスク装置のトラバースベースを示す要部斜視図
【図5】同ディスク装置のトラバースベースの構成部品を示す要部斜視図
【図6】同ディスク装置のトラバースベースの構成部品を示す要部斜視図
【図7】同ディスク装置のトラバースベースの構成部品を示す要部斜視図
【図8】同ディスク装置のトラバースベースの構成部品を示す要部斜視図
【図9】同ディスク装置のスピンドルモータの降下した状態を示す要部斜視図
【図10】同状態の側面断面図
【図11】同ディスク装置のスピンドルモータの上昇した状態を示す要部斜視図
【図12】同状態の側面断面図
【符号の説明】
【0029】
10 ベース本体
11 ディスク挿入口
12 コネクタ
20 蓋体
30 トラバースベース
31 スピンドルモータ
40 メインスライダー
41 第2のスピンドルカム部材
50 サブスライダー
51 トラバースカム部材
52 第1のスピンドルカム部材
70 カムレバー
80 引き込みレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース本体と蓋体とからシャーシ外装を構成し、前記シャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成し、前記ベース本体にトラバースベースを設け、前記トラバースベースにスピンドルモータとピックアップと当該ピックアップを移動させる駆動手段とを設け、前記トラバースベースを前記ベース本体側と前記蓋体側との間で変位させるトラバースベース移動手段を設け、
前記トラバースベース移動手段を、前記シャーシ外装に設けたローディングモータと、前記ローディングモータの駆動によって摺動するスライダーと、前記スライダーの移動によって動作するトラバースカム部材とによって構成したディスク装置であって、
前記スピンドルモータを保持するスピンドルモータ支持部と、
前記スライダーの移動によって動作するスピンドルカム部材と、
前記スピンドルカム部材によって前記トラバースベースに対して近接離間するクラッチプレートと、
前記スピンドルモータ支持部と前記クラッチプレートとの間に配置されるモータスプリングとを有し、
前記クラッチプレートが前記トラバースベースに近接し、前記スピンドルモータが前記ディスク側に移動することで、前記モータスプリングが圧縮されることを特徴とするスロットイン型ディスク装置。
【請求項2】
前記モータスプリングを前記スピンドルモータの外周側に配置したことを特徴とする請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置。
【請求項3】
前記クラッチプレートのストロークを、前記スピンドルモータのストロークよりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置。
【請求項4】
前記スピンドルモータ支持部と前記クラッチプレートには貫通孔を有し、それぞれの前記貫通孔にはモータピンが挿入され、前記モータスプリングが前記モータピンを中心軸として配置されることを特徴とする請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置。
【請求項5】
前記スピンドルカム部材を、直交する方向に配置した2つの部材で構成し、前記トラバースカム部材と前記スライダーとを直交する方向に配置し、一方の前記スピンドルカム部材を前記トラバースカム部材と平行に配置し、他方の前記スピンドルカム部材を前記スライダーと平行に配置したことを特徴とする請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置。
【請求項6】
前記クラッチプレートを前記スピンドルモータの外周側に配置したことを特徴とする請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置。
【請求項7】
前記トラバースベースには装着したディスクをリリースする凸部を有し、前記凸部を前記スピンドルモータの外周部に配置したことを特徴とする請求項1に記載のスロットイン型ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate