セグメントの設置方法及びセグメントの積み重ね用治具
【課題】セグメントの変形や破損をまねくこと無くセグメントを段数多く積み重ねた状態で仮置きすることができる積み重ね用治具及びその積み重ね用治具を利用したセグメントの設置方法を提供する。
【解決手段】積み重ね用治具3は、最下段のセグメント1と地面との間に設置された厚板状の柔軟性部材4と、上下に積み重ねられたセグメント1間に設置された厚板状の柔軟性部材5とから構成される。柔軟性部材5は、上下に積み重ねられたセグメント1間に、柔軟性部材4の略真上の位置に設置されている。
【解決手段】積み重ね用治具3は、最下段のセグメント1と地面との間に設置された厚板状の柔軟性部材4と、上下に積み重ねられたセグメント1間に設置された厚板状の柔軟性部材5とから構成される。柔軟性部材5は、上下に積み重ねられたセグメント1間に、柔軟性部材4の略真上の位置に設置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントの内面側を上方に向けて複数積み重ねて仮置きする設置方法、及びセグメントを積み重ねるための積み重ね用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
環状の覆工体を構成する断面弧状のセグメント1が、工場に仮置きされる場合は、図13に示すように、縦置き状態で設置されるのが一般的である。そして、このように設置されたセグメント1を工場から工事現場へ出荷する際には、セグメント1の姿勢を縦置きからその内面側が上方になるように横置きに転換し、それ以降は、これらを複数積み重ねた状態で取り扱っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、セグメントを横置きに積み重ねる際、セグメント間に輪木と呼ばれる角材を適宜かませるだけで空間を確保しており、このまま段数を多く積み上げた状態で長時間放置すると、角材と接触している部分に過大な荷重が作用するので、時間の経過とともに、セグメントが変形したり、破損したりする恐れがあった。
【0004】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、セグメントの変形や破損をまねくこと無くセグメントを段数多く積み重ねた状態で仮置きすることができる積み重ね用治具及びその積み重ね用治具を利用したセグメントの設置方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、環状の覆工体を構成する断面弧状のセグメントの複数個を、それらの内面側を上方に向けて平面上に積み重ねた状態で仮置きする前記セグメントの設置方法において、
厚板状又は環状の柔軟性部材を前記平面上に設置し、
最下段の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で前記柔軟性部材上に設置した後、
別の前記柔軟性部材を、設置済みの前記柔軟性部材の略真上に位置するように、設置済みの最上段の前記セグメントの内面の上に設置する工程と、別の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で、設置済みの最上段の前記柔軟性部材上に設置する工程と、を所定数の前記セグメントが積み重ねられるまで繰り返すことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、平面と最下段のセグメントとの間及び上下に隣接するセグメント間に、柔軟性部材を設置することにより、セグメントは平面や他のセグメントと接触しない。また、柔軟性部材は変形可能なので、セグメントの外面、内面に沿って湾曲状に変形してセグメントに面的に密着するため、セグメントに作用する荷重は面状に分散し、荷重が一箇所に集中しない。さらに、平面と最下段のセグメントとの間に設置された柔軟性部材の略真上に位置するように、セグメント間の柔軟性部材を配置することにより、セグメントを支持する位置を上下方向に揃えることができる。これにより、各セグメントを支持する位置と上方のセグメントの荷重が作用する載荷位置とが一致するので、セグメントに曲げモーメントが作用しなくなる。したがって、セグメントに変形や破損が生ずるのを防止できる。
【0007】
また、本発明のセグメントの積み重ね用治具は、上記セグメントの設置方法で用いられ、厚板状又は環状の柔軟性部材からなることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記柔軟性部材は、流体が充填された厚板状の袋体からなることとしてもよく、この場合、袋体は、上下に対向する面同士が間隔をおいて接合されることにより、複数の領域に区分けされてなることとすれば、袋体は複数の領域に区分けされるので、一つの領域内の流体が流失しても他の領域でセグメントを支持することができる。
【0009】
また、本発明において、前記柔軟性部材は、流体が充填された環状の袋体からなることとしてもよく、この場合、袋体は、周方向に所定の間隔をおいて接合又は締め付けられることにより、複数の領域に区分けされてなることとすれば、袋体は複数の領域に区分けされるので、一つの領域内の流体が流失しても他の領域でセグメントを支持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セグメントの変形や破損をまねくこと無くセグメントを段数多く積み重ねた状態で仮置きすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るセグメントの積層構造を示す図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本実施形態に係る柔軟性部材を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係るセグメントの設置手順を示す図である。
【図5】本実施形態に係るセグメントの設置手順を示す図である。
【図6】本実施形態に係るセグメントの設置手順を示す図である。
【図7】本実施形態に係るセグメントの搬送手順を示す図である。
【図8】本実施形態に係るセグメントの搬送手順を示す図である。
【図9】本実施形態に係るセグメントの搬送手順を示す図である。
【図10】本実施形態に係る柔軟性部材の他の実施例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る柔軟性部材の他の形状を示す図である。
【図12】本実施形態に係る柔軟性部材の他の実施例を示す図である。
【図13】工場内でのセグメントの保管状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るセグメント1の積層構造2を示す図であり、図2は、図1のA−A矢視図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、環状の覆工体12(図示しない)を構成するセグメント1を積み重ねた積層構造2は、内面1a側を上方に向けて積み重ねられた複数の断面弧状のセグメント1と、上下に積み重ねられたセグメント1同士が接触しないようにセグメント1間等に設置される積み重ね用治具3とを備える。
【0015】
積み重ね用治具3は、最下段のセグメント1と地面との間に設置された厚板状の柔軟性部材4と、上下に積み重ねられたセグメント1間に設置された厚板状の柔軟性部材5とから構成される。柔軟性部材5は、上下に積み重ねられたセグメント1間に、柔軟性部材4の略真上の位置に設置されている。
【0016】
図3は、本実施形態に係る柔軟性部材4、5の斜視図である。
図3に示すように、柔軟性部材4、5は、例えば、ゴムからなる袋体に、液体、気体又は粘性体等の流体を充填して形成されたものであり、例えば、空気や水等を封入したものが使用できる。この柔軟性部材4、5は、セグメント1の形状に沿って弧状に変形可能である。
再び、図1に示すように、柔軟性部材4の上面4a及び下面4bは、それぞれセグメント1の外面1b及び地面に押圧状態で密着してセグメント1を支持する。
また、柔軟性部材5の上面5a及び下面5bは、それぞれセグメント1の外面1b及び内面1aに押圧状態で密着してセグメント1を支持する。
【0017】
以下に、本実施形態に係るセグメント1の設置方法を施工手順に従って説明する。
図4〜図6は、本実施形態に係るセグメント1の設置手順を示す図である。
【0018】
まず、図4に示すように、柔軟性部材4を地面上に設置する。そして、柔軟性部材4上に、セグメント1を、内面1a側を上方に向けた状態で設置する。このとき、セグメント1の中央が概ね柔軟性部材4の中央の略真上になるように設置する。
次に、図5に示すように、柔軟性部材5をセグメント1の内面1a上に設置する。このとき、柔軟性部材5が、柔軟性部材4の略真上になるように設置する。
次に、図6に示すように、新たなセグメント1を柔軟性部材5の上に設置する。
そして、新たな柔軟性部材5をそのセグメント1の内面1a上に設置し、その上に、新たなセグメント1を設置する作業を繰り返すことにより、所定数のセグメント1を積み重ねる。
【0019】
以下に、本実施形態に係るセグメント1の搬送方法を施工手順に従って説明する。
図7〜図9は、本実施形態に係るセグメント1の搬送手順を示す図である。
【0020】
まず、図7に示すように、上述した設置手順に従って、地上の仮置き場7に複数のセグメント1を積み重ねる。
次に、図8及び図9に示すように、クレーン8で所定の枚数のセグメント1を積み重ねた状態のまま、すなわち、柔軟性部材5をセグメント1間に挟持したまま吊り上げて、仮置き場7から立坑9内へセグメント1を移動させて、立坑9内の台車10に積み重ねる。このとき、台車10上には、新たな柔軟性部材4を設置しておいて、その上に積み重ねた状態のセグメント1を設置する。
最後に、台車10でセグメント1を積み重ねた状態のまま立坑9からトンネル11内の切羽近傍の覆工体12の構築場所へ搬送する。
【0021】
以上説明した本実施形態における積み重ね用治具3によれば、以下のような効果を得られる。
【0022】
(1)最下段のセグメント1と地面との間及び上下に積み重ねられたセグメント1間には、それぞれ柔軟性部材4、5が設置されるので、セグメント1は地面や他のセグメント1と接触しない。また、セグメント1に作用する荷重を柔軟性部材4、5で面的に支持するため、セグメント1に作用する荷重は分散し、荷重が一箇所に集中しない。さらに、最下部の柔軟性部材4の略真上に、柔軟性部材5を設置することにより、セグメント1を支持する位置を上下方向に揃えることとなる。これにより、各セグメント1を支持する位置と上方のセグメント1の荷重が作用する載荷位置とが一致するので、セグメント1に曲げモーメントが作用しなくなる。したがって、セグメント1に変形や破損が生ずることを防止できる。
【0023】
(2)柔軟性部材4、5は、セグメント1の形状に沿って変形可能であるため、セグメント1に面的に密着することができる。したがって、セグメント1を支持しても傷つけない。
【0024】
なお、柔軟性部材4、5として、図10に示すように、上下に対向する面4aと4b、5aと5bが間隔をおいて接合されることにより、複数の領域に区分けされ、各領域にそれぞれ流体が充填された袋体の柔軟性部材4、5を用いてもよく、この場合においては、柔軟性部材4、5の内部が複数の領域に区分けされるので、一つの領域内の流体が流失しても他の領域でセグメント1を支持することができる。
【0025】
また、本実施形態においては、積み重ね用治具3として、袋体に流体が充填された厚板状の柔軟性部材4、5を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、板状ゴム等の弾性体からなる柔軟性部材を用いてもよい。
【0026】
また、本実施形態においては、積み重ね用治具3として、袋体に流体が充填された厚板状の柔軟性部材4、5を用いた場合について説明したが、この形状に限定されるものではなく、図11に示すように、環状の袋体からなる柔軟性部材を用いてもよい。この環状の柔軟性部材を用いた場合にも、厚板状の柔軟性部材4、5を用いた場合と同様の設置手順で環状の柔軟性部材を設置することにより、セグメント1による荷重の載荷位置をその支点位置に一致させることができるので、セグメント1に曲げモーメントが作用しなくなり、セグメント1に変形や破損が生じないという同様の効果を得ることができる。そして、この場合も、袋体に限定されるものではなく、板状ゴム等の弾性体からなる柔軟性部材を用いてもよい。
【0027】
さらに、環状の袋体からなる柔軟性部材を用いた場合には、図12に示すように、周方向に所定の間隔をおいて柔軟性部材を接合又は締め付けることにより、流体を含む複数の領域に区分けされてなる環状の柔軟性部材として用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 セグメント
1a 内面
1b 外面
2 積層構造
3 積み重ね用治具
4 柔軟性部材
4a 上面
4b 下面
5 柔軟性部材
5a 上面
5b 下面
7 仮置き場
8 クレーン
9 立坑
10 台車
11 トンネル
12 覆工体
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントの内面側を上方に向けて複数積み重ねて仮置きする設置方法、及びセグメントを積み重ねるための積み重ね用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
環状の覆工体を構成する断面弧状のセグメント1が、工場に仮置きされる場合は、図13に示すように、縦置き状態で設置されるのが一般的である。そして、このように設置されたセグメント1を工場から工事現場へ出荷する際には、セグメント1の姿勢を縦置きからその内面側が上方になるように横置きに転換し、それ以降は、これらを複数積み重ねた状態で取り扱っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、セグメントを横置きに積み重ねる際、セグメント間に輪木と呼ばれる角材を適宜かませるだけで空間を確保しており、このまま段数を多く積み上げた状態で長時間放置すると、角材と接触している部分に過大な荷重が作用するので、時間の経過とともに、セグメントが変形したり、破損したりする恐れがあった。
【0004】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、セグメントの変形や破損をまねくこと無くセグメントを段数多く積み重ねた状態で仮置きすることができる積み重ね用治具及びその積み重ね用治具を利用したセグメントの設置方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、環状の覆工体を構成する断面弧状のセグメントの複数個を、それらの内面側を上方に向けて平面上に積み重ねた状態で仮置きする前記セグメントの設置方法において、
厚板状又は環状の柔軟性部材を前記平面上に設置し、
最下段の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で前記柔軟性部材上に設置した後、
別の前記柔軟性部材を、設置済みの前記柔軟性部材の略真上に位置するように、設置済みの最上段の前記セグメントの内面の上に設置する工程と、別の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で、設置済みの最上段の前記柔軟性部材上に設置する工程と、を所定数の前記セグメントが積み重ねられるまで繰り返すことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、平面と最下段のセグメントとの間及び上下に隣接するセグメント間に、柔軟性部材を設置することにより、セグメントは平面や他のセグメントと接触しない。また、柔軟性部材は変形可能なので、セグメントの外面、内面に沿って湾曲状に変形してセグメントに面的に密着するため、セグメントに作用する荷重は面状に分散し、荷重が一箇所に集中しない。さらに、平面と最下段のセグメントとの間に設置された柔軟性部材の略真上に位置するように、セグメント間の柔軟性部材を配置することにより、セグメントを支持する位置を上下方向に揃えることができる。これにより、各セグメントを支持する位置と上方のセグメントの荷重が作用する載荷位置とが一致するので、セグメントに曲げモーメントが作用しなくなる。したがって、セグメントに変形や破損が生ずるのを防止できる。
【0007】
また、本発明のセグメントの積み重ね用治具は、上記セグメントの設置方法で用いられ、厚板状又は環状の柔軟性部材からなることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記柔軟性部材は、流体が充填された厚板状の袋体からなることとしてもよく、この場合、袋体は、上下に対向する面同士が間隔をおいて接合されることにより、複数の領域に区分けされてなることとすれば、袋体は複数の領域に区分けされるので、一つの領域内の流体が流失しても他の領域でセグメントを支持することができる。
【0009】
また、本発明において、前記柔軟性部材は、流体が充填された環状の袋体からなることとしてもよく、この場合、袋体は、周方向に所定の間隔をおいて接合又は締め付けられることにより、複数の領域に区分けされてなることとすれば、袋体は複数の領域に区分けされるので、一つの領域内の流体が流失しても他の領域でセグメントを支持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セグメントの変形や破損をまねくこと無くセグメントを段数多く積み重ねた状態で仮置きすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るセグメントの積層構造を示す図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本実施形態に係る柔軟性部材を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係るセグメントの設置手順を示す図である。
【図5】本実施形態に係るセグメントの設置手順を示す図である。
【図6】本実施形態に係るセグメントの設置手順を示す図である。
【図7】本実施形態に係るセグメントの搬送手順を示す図である。
【図8】本実施形態に係るセグメントの搬送手順を示す図である。
【図9】本実施形態に係るセグメントの搬送手順を示す図である。
【図10】本実施形態に係る柔軟性部材の他の実施例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る柔軟性部材の他の形状を示す図である。
【図12】本実施形態に係る柔軟性部材の他の実施例を示す図である。
【図13】工場内でのセグメントの保管状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るセグメント1の積層構造2を示す図であり、図2は、図1のA−A矢視図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、環状の覆工体12(図示しない)を構成するセグメント1を積み重ねた積層構造2は、内面1a側を上方に向けて積み重ねられた複数の断面弧状のセグメント1と、上下に積み重ねられたセグメント1同士が接触しないようにセグメント1間等に設置される積み重ね用治具3とを備える。
【0015】
積み重ね用治具3は、最下段のセグメント1と地面との間に設置された厚板状の柔軟性部材4と、上下に積み重ねられたセグメント1間に設置された厚板状の柔軟性部材5とから構成される。柔軟性部材5は、上下に積み重ねられたセグメント1間に、柔軟性部材4の略真上の位置に設置されている。
【0016】
図3は、本実施形態に係る柔軟性部材4、5の斜視図である。
図3に示すように、柔軟性部材4、5は、例えば、ゴムからなる袋体に、液体、気体又は粘性体等の流体を充填して形成されたものであり、例えば、空気や水等を封入したものが使用できる。この柔軟性部材4、5は、セグメント1の形状に沿って弧状に変形可能である。
再び、図1に示すように、柔軟性部材4の上面4a及び下面4bは、それぞれセグメント1の外面1b及び地面に押圧状態で密着してセグメント1を支持する。
また、柔軟性部材5の上面5a及び下面5bは、それぞれセグメント1の外面1b及び内面1aに押圧状態で密着してセグメント1を支持する。
【0017】
以下に、本実施形態に係るセグメント1の設置方法を施工手順に従って説明する。
図4〜図6は、本実施形態に係るセグメント1の設置手順を示す図である。
【0018】
まず、図4に示すように、柔軟性部材4を地面上に設置する。そして、柔軟性部材4上に、セグメント1を、内面1a側を上方に向けた状態で設置する。このとき、セグメント1の中央が概ね柔軟性部材4の中央の略真上になるように設置する。
次に、図5に示すように、柔軟性部材5をセグメント1の内面1a上に設置する。このとき、柔軟性部材5が、柔軟性部材4の略真上になるように設置する。
次に、図6に示すように、新たなセグメント1を柔軟性部材5の上に設置する。
そして、新たな柔軟性部材5をそのセグメント1の内面1a上に設置し、その上に、新たなセグメント1を設置する作業を繰り返すことにより、所定数のセグメント1を積み重ねる。
【0019】
以下に、本実施形態に係るセグメント1の搬送方法を施工手順に従って説明する。
図7〜図9は、本実施形態に係るセグメント1の搬送手順を示す図である。
【0020】
まず、図7に示すように、上述した設置手順に従って、地上の仮置き場7に複数のセグメント1を積み重ねる。
次に、図8及び図9に示すように、クレーン8で所定の枚数のセグメント1を積み重ねた状態のまま、すなわち、柔軟性部材5をセグメント1間に挟持したまま吊り上げて、仮置き場7から立坑9内へセグメント1を移動させて、立坑9内の台車10に積み重ねる。このとき、台車10上には、新たな柔軟性部材4を設置しておいて、その上に積み重ねた状態のセグメント1を設置する。
最後に、台車10でセグメント1を積み重ねた状態のまま立坑9からトンネル11内の切羽近傍の覆工体12の構築場所へ搬送する。
【0021】
以上説明した本実施形態における積み重ね用治具3によれば、以下のような効果を得られる。
【0022】
(1)最下段のセグメント1と地面との間及び上下に積み重ねられたセグメント1間には、それぞれ柔軟性部材4、5が設置されるので、セグメント1は地面や他のセグメント1と接触しない。また、セグメント1に作用する荷重を柔軟性部材4、5で面的に支持するため、セグメント1に作用する荷重は分散し、荷重が一箇所に集中しない。さらに、最下部の柔軟性部材4の略真上に、柔軟性部材5を設置することにより、セグメント1を支持する位置を上下方向に揃えることとなる。これにより、各セグメント1を支持する位置と上方のセグメント1の荷重が作用する載荷位置とが一致するので、セグメント1に曲げモーメントが作用しなくなる。したがって、セグメント1に変形や破損が生ずることを防止できる。
【0023】
(2)柔軟性部材4、5は、セグメント1の形状に沿って変形可能であるため、セグメント1に面的に密着することができる。したがって、セグメント1を支持しても傷つけない。
【0024】
なお、柔軟性部材4、5として、図10に示すように、上下に対向する面4aと4b、5aと5bが間隔をおいて接合されることにより、複数の領域に区分けされ、各領域にそれぞれ流体が充填された袋体の柔軟性部材4、5を用いてもよく、この場合においては、柔軟性部材4、5の内部が複数の領域に区分けされるので、一つの領域内の流体が流失しても他の領域でセグメント1を支持することができる。
【0025】
また、本実施形態においては、積み重ね用治具3として、袋体に流体が充填された厚板状の柔軟性部材4、5を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、板状ゴム等の弾性体からなる柔軟性部材を用いてもよい。
【0026】
また、本実施形態においては、積み重ね用治具3として、袋体に流体が充填された厚板状の柔軟性部材4、5を用いた場合について説明したが、この形状に限定されるものではなく、図11に示すように、環状の袋体からなる柔軟性部材を用いてもよい。この環状の柔軟性部材を用いた場合にも、厚板状の柔軟性部材4、5を用いた場合と同様の設置手順で環状の柔軟性部材を設置することにより、セグメント1による荷重の載荷位置をその支点位置に一致させることができるので、セグメント1に曲げモーメントが作用しなくなり、セグメント1に変形や破損が生じないという同様の効果を得ることができる。そして、この場合も、袋体に限定されるものではなく、板状ゴム等の弾性体からなる柔軟性部材を用いてもよい。
【0027】
さらに、環状の袋体からなる柔軟性部材を用いた場合には、図12に示すように、周方向に所定の間隔をおいて柔軟性部材を接合又は締め付けることにより、流体を含む複数の領域に区分けされてなる環状の柔軟性部材として用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 セグメント
1a 内面
1b 外面
2 積層構造
3 積み重ね用治具
4 柔軟性部材
4a 上面
4b 下面
5 柔軟性部材
5a 上面
5b 下面
7 仮置き場
8 クレーン
9 立坑
10 台車
11 トンネル
12 覆工体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の覆工体を構成する断面弧状のセグメントの複数個を、それらの内面側を上方に向けて平面上に積み重ねた状態で仮置きする前記セグメントの設置方法において、
厚板状又は環状の柔軟性部材を前記平面上に設置し、
最下段の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で前記柔軟性部材上に設置した後、
別の前記柔軟性部材を、設置済みの前記柔軟性部材の略真上に位置するように、設置済みの最上段の前記セグメントの内面の上に設置する工程と、別の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で、設置済みの最上段の前記柔軟性部材上に設置する工程と、を所定数の前記セグメントが積み重ねられるまで繰り返すことを特徴とするセグメントの設置方法。
【請求項2】
請求項1に記載のセグメントの設置方法で用いられ、厚板状又は環状の柔軟性部材からなることを特徴とするセグメントの積み重ね用治具。
【請求項3】
前記柔軟性部材は、流体が充填された厚板状又は環状の袋体からなることを特徴とする請求項2に記載のセグメントの積み重ね用治具。
【請求項4】
前記厚板状の袋体は、上下に対向する面同士が間隔をおいて接合されることにより、複数の領域に区分けされてなることを特徴とする請求項3に記載のセグメントの積み重ね用治具。
【請求項5】
前記環状の袋体は、周方向に所定の間隔をおいて接合又は締め付けられることにより、複数の領域に区分けされてなることを特徴とする請求項3に記載のセグメントの積み重ね用治具。
【請求項1】
環状の覆工体を構成する断面弧状のセグメントの複数個を、それらの内面側を上方に向けて平面上に積み重ねた状態で仮置きする前記セグメントの設置方法において、
厚板状又は環状の柔軟性部材を前記平面上に設置し、
最下段の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で前記柔軟性部材上に設置した後、
別の前記柔軟性部材を、設置済みの前記柔軟性部材の略真上に位置するように、設置済みの最上段の前記セグメントの内面の上に設置する工程と、別の前記セグメントを、その内面側を上方に向けた状態で、設置済みの最上段の前記柔軟性部材上に設置する工程と、を所定数の前記セグメントが積み重ねられるまで繰り返すことを特徴とするセグメントの設置方法。
【請求項2】
請求項1に記載のセグメントの設置方法で用いられ、厚板状又は環状の柔軟性部材からなることを特徴とするセグメントの積み重ね用治具。
【請求項3】
前記柔軟性部材は、流体が充填された厚板状又は環状の袋体からなることを特徴とする請求項2に記載のセグメントの積み重ね用治具。
【請求項4】
前記厚板状の袋体は、上下に対向する面同士が間隔をおいて接合されることにより、複数の領域に区分けされてなることを特徴とする請求項3に記載のセグメントの積み重ね用治具。
【請求項5】
前記環状の袋体は、周方向に所定の間隔をおいて接合又は締め付けられることにより、複数の領域に区分けされてなることを特徴とする請求項3に記載のセグメントの積み重ね用治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−189937(P2010−189937A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35704(P2009−35704)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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