説明

セグメントブラシ

【課題】本発明は、金属線部材、合成樹脂製部材、紙部材等のブラシ毛素材からなり、比較的毛丈の長いセグメントブラシに関するものである。
【解決手段】本発明のセグメントブラシは、ブラシ毛素材が複数本束ねられたブラシ毛と、前記束ねられたブラシ毛を覆う熱収縮性チューブとから少なくとも構成されている。前記セグメントブラシは、端部が研磨装置に固定され、ブラシ毛の一方の端面によってワークを研磨することができる。前記熱収縮性チューブは、前記ブラシ毛の周方向に複数個からなるミシン目の列が複数段形成されている。前記熱収縮性チューブは、前記ブラシ毛の磨り減りに伴い、ミシン目に沿って脱落する。前記熱収縮性チューブは、前記周方向にミシン目が所定の間隔で設けられているため、前記ブラシ毛の縦方向に沿って避けるのを防止するとともに、磨り減った部分が前記ミシン目の段毎に除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属線部材、合成樹脂製部材、紙部材等のブラシ毛素材からなり、比較的毛丈の長いセグメントブラシに関するものである。本発明は、毛丈が長いブラシ毛素材を束ね、ブラシ毛とし、その上を覆った熱収縮性チューブがブラシ毛の長さ方向に裂けるのを防止するとともに、前記ブラシ毛の周方向に沿って、順次除去されるセグメントブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセグメントブラシは、たとえば、特開2008−12632号公報に記載されている。図5はブラシ毛をカバーした従来のセグメントブラシを説明するための図である。図5において、前記セグメントブラシ51は、毛丈の長いブラシ毛素材52の周囲をカバー53によってカバーリングされている。前記毛丈が長いセグメントブラシ51は、前記カバーリングによって、使用中にブラシ毛素材52の先端部分が広がらないようにし、また、ブラシ毛素材52の側面で研磨等を行わないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−12632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記カバーリングを行なったセグメントブラシ51は、前記カバー53が縦方向に裂けて、飛び散ることがあった。また、前記カバー53の消耗とブラシ毛素材52の消耗とは、速さが異なる場合が多い。さらに、前記カバー53は、除去される際に、前記セグメントブラシ51の先端部とワークの間に挟まることがあり、研磨に支障を来す恐れがあった。
【0005】
また、前記カバー53は、一部がワークに付着すると所望の研磨等を正確に行うことが困難であるだけでなく、前記ワークに傷を付けることもあり、研磨中の摩擦熱によって異臭を発生し、作業者の目や鼻を刺激するといった問題があった。また、前記セグメントブラシ51は、ブラシ毛素材52の端部が金属金具54によって、固定されているため、カバー53が縦方向に裂けるという問題があった。
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明は、毛丈を長くしても、熱収縮性チューブの周方向に所定数のミシン目が周方向に列状に設けられているため、縦方向に熱収縮性チューブが裂けることがなく、磨り減った部分が前記ミシン目の周方向に沿って自然に除去されるセグメントブラシを提供することを目的とする。また、本発明は、ブラシ毛素材を束ね、ブラシ毛と金属製金具の間に前記熱収縮性チューブが入っているため、前記両者が固定されるとともに、前記熱収縮性チューブの縦方向の亀裂を上手に防止するセグメントブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明のセグメントブラシは、ブラシ毛素材が複数本束ねられたブラシ毛と、前記ブラシ毛を覆うとともに、前記ブラシ毛の周方向に複数個からなるミシン目の列が複数段形成された熱収縮性チューブとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0008】
(第2発明)
第2発明のセグメントブラシは、ブラシ毛素材が複数本束ねられたブラシ毛と、前記ブラシ毛を覆うとともに、前記ブラシ毛の周方向に複数個からなるミシン目の列が複数段形成された熱収縮性チューブと、前記束ねられたブラシ毛の端部を前記熱収縮性チューブの上から固定する金属製金具とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明のセグメントブラシにおいて、前記ブラシ毛素材は、単線からなる金属素材あるいは合成樹脂素材であることを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
第4発明のセグメントブラシにおいて、前記ブラシ毛素材は、紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材からなることを特徴とする。
【0011】
(第5発明)
第5発明のセグメントブラシにおいて、前記ブラシ毛は、砥粒が接着剤により付着されていることを特徴とする。
【0012】
(第6発明)
第6発明のセグメントブラシにおいて、前記紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材は、染み込まれた接着剤により形状が成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ブラシ毛を覆っている熱収縮性チューブがブラシ毛の磨り減り具合に伴い、周方向に複数個が列状に設けられたミシン目に沿って、脱落するような構造になっているため、前記熱収縮性チューブが前記ブラシ毛の縦方向に沿って裂けるのを防止することができる。
【0014】
本発明によれば、熱収縮性チューブの周方向に列状に設けられた複数個からなるミシン目のある部分と無い部分との比、あるいは周方向のミシン目と周方向のミシン目との間(ブラシ毛の長さ方向の間隔)を、所定の間隔にすることにより、熱収縮性チューブの縦方向の裂け目を防ぐとともに、周方向に沿って前記熱収縮性チューブを容易に脱落させることができる。
【0015】
本発明によれば、束ねられたブラシ毛と、前記ブラシ毛の他端部を覆う金属部材との間に、熱収縮性チューブが入っているため、両者を互いに接着させるとともに、前記熱収縮性チューブがブラシ毛の縦方向に裂け難くなる。
【0016】
本発明によれば、金属製ブラシ毛素材、合成樹脂製ブラシ毛素材、紙の捩じりおよび縒った紙製ブラシ毛素材をセグメントブラシとすることで、素材独特の品質を生かすことができる。特に、前記捩じりおよび縒りを有する紙製ブラシ毛素材は、紙の柔らかさとともに、捩じりおよび縒りの隙間にできる空間によって、研磨面に独特の柔らかさ、腰の強さ、および研磨時における振動を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のブラシ毛を熱収縮性チューブによって覆ったセグメントブラシを説明するための図である。(実施例1)
【図2】本発明のブラシ毛を覆う熱収縮性チューブを説明するための展開図である。
【図3】(イ)および(ロ)は本発明のセグメントブラシの一例を説明するための斜視図である。
【図4】(イ)から(ヘ)は本発明のセグメントブラシに使用する紙製ブラシ毛を説明するための図である。
【図5】ブラシ毛をカバーした従来のセグメントブラシを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1発明)
第1発明のセグメントブラシは、ブラシ毛素材が複数本束ねられたブラシ毛と、前記束ねられたブラシ毛を覆う熱収縮性チューブとから少なくとも構成されている。前記セグメントブラシは、端部が研磨装置に固定され、ブラシ毛の一方の端面によってワークを研磨することができる。前記熱収縮性チューブは、前記ブラシ毛の周方向に複数個からなるミシン目の列が複数段形成されている。前記束ねられたブラシ毛は、前記熱収縮性チューブによって全体を覆っている。
【0019】
前記ブラシ毛は、前記熱収縮性チューブにより、束の状態にした一方の端部で、ワークの研磨面を研磨する。前記ブラシ毛は、研磨により、一方の端部から少しずつ磨り減る。また、前記熱収縮性チューブは、同様に、前記ブラシ毛とともに、磨り減る。前記熱収縮性チューブは、前記ブラシ毛の磨り減りに伴い、ミシン目に沿って脱落する。前記熱収縮性チューブは、前記周方向にミシン目が所定の間隔で設けられているため、前記ブラシ毛の縦方向に沿って避けるのを防止するとともに、磨り減った部分が前記ミシン目の段毎に除去される。
【0020】
前記ミシン目の長さおよび間隔は、たとえば、周方向において、目の部分1に対して、目のない部分が2の割合の場合、縦方向(ブラシ毛の長さ方向)に裂けずに、前記周方向のミシン目に沿って切り取られるように除去される。また、前記ミシン目と上下方向に隣合ったミシン目(段方向)の距離は、ミシン目の長さの2倍の距離にした場合、前記熱収縮性チューブがタイミング良く剥がれ、かつ、縦方向に避けるのを防止することができる。前記熱収縮性チューブにおけるミシン目の周方向の間隔およびブラシ毛の長さ方向の間隔は、ブラシ毛素材の種類およびブラシ毛の太さ、ワークの形状によって任意に変えることができる。
【0021】
(第2発明)
第2発明のセグメントブラシは、前記ブラシ毛の端部を前記熱収縮性チューブの上から固定した金属製金具がある点でのみ、第1発明と異なる。すなわち、前記熱収縮性チューブは、前記ブラシ毛と金属製金具との間に入り、接着剤により、両者を互いに接着させることができる。前記金属製金具は、前記束ねられたブラシ毛の端部を前記熱収縮性チューブの上から固定されるだけでなく、前記ブラシ毛の端部が前記熱収縮性チューブによって接着されるため、ブラシ毛の毛丈が短くなっても、前記熱収縮性チューブが動くことなく、縦方向(ブラシ毛の長さ方向)に裂けることがなく、周方向に除去される。
【0022】
(第3発明)
第3発明のセグメントブラシにおいて、前記ブラシ毛素材は、単線からなる金属部材あるいは合成樹脂部材を束ねたものであり、必要な太さ、強度、柔軟性を持った材料を選択することができる。
【0023】
(第4発明)
第4発明のセグメントブラシにおいて、前記ブラシ毛素材は、紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材から構成される。前記紙製ブラシ毛素材は、始め、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体のものを捻じった後に、縒られたものである。前記紙シートは、たとえば、ケナフまたは楮のような和紙を原料とすることができる。和紙からなる紙シートは、ひげのような細い繊維からなるとともに、厚さに濃淡があり、先端部が紙独特の柔軟性を有する。
【0024】
また、前記ブラシ毛素材は、和紙意外に、洋紙、古紙、牛乳パック、段ボール等、和紙と異なる独特の柔らかさを有し、合成樹脂製ブラシ毛と異なる独特の性質を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、紙製ブラシ毛素材として使用する際に、用途および目的に合ったものを選択することができる。前記各種紙製シートは、薄いシートを丸めて棒状体とした後、捻じられる。
【0025】
前記捻じられた棒状体は、縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、紙の捩じりおよび縒りから生じる摩擦力、およびこれらによる独特の強度を持ち、腰が強く、かつ、柔軟性の優れた紙製ブラシ毛素材となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製ブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、植え込み部材に植え込まれる。また、前記捩じりおよび縒られた紙製ブラシ毛素材は、捩じりおよび縒り部において、紙独特の柔らかさに加えて隙間ができるため、研磨面の振動を吸収することができ、表面の柔らかい部材の研磨に独特の効果を発揮する。
【0026】
(第5発明)
第5発明のセグメントブラシにおいて、前記ブラシ毛は、砥粒を接着剤により付着させることができる。前記砥粒は、必要に応じて、ダイヤモンド等の鉱石、金属粉、その他公知のものを付着させることができる。
【0027】
(第6発明)
第6発明のセグメントブラシにおいて、前記紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材は、接着剤を全体に染み込ませる。前記紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材は、前記接着剤が乾燥した後、金型により、所望の形状に成形される。先端部所望の形状に成形された捻じり縒りブラシ毛素材は、束ねられて、紙製セグメントブラシとなる。前記紙製セグメントブラシは、研磨面において、紙独特の柔らかさを有するとともに、接着剤による硬さが加わり、セグメントブラシとして、独特の強さを有するものとなる。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明のブラシ毛を熱収縮性チューブによって覆ったセグメントブラシを説明するための図である。図2は本発明のブラシ毛を覆う熱収縮性チューブを説明するための展開図である。図1および図2において、本発明のセグメントブラシ11は、ブラシ毛素材が複数本束ねられたブラシ毛12と、前記ブラシ毛12を覆う熱収縮性チューブ13と、前記ブラシ毛12の端部を前記熱収縮性チューブの上から固定した金属製金具14とから少なくとも構成されている。
【0029】
前記セグメントブラシ11は、後述のように、金属製金具14の部分が研磨装置に固定され、ブラシ毛12の一方の端面(図1の上面)によって、図示されていないワークを研磨することができる。前記熱収縮性チューブ13は、図2に示すように、前記ブラシ毛12の周方向に複数個からなるミシン目132の列が複数段形成されている。前記金属製金具14は、前記束ねられたブラシ毛12の端部を前記熱収縮性チューブ13の上から固定されている。前記熱収縮性チューブ13は、前記ブラシ毛12と金属製金具14との間に入り、接着剤により、両者を互いに接着させることができる。
【0030】
前記ブラシ毛12は、前記熱収縮性チューブ13により、束の状態にした一方の端部(図1の上面)で、図示されていないワークの研磨面を研磨する。前記ブラシ毛12は、研磨により、一方の端部から少しずつ磨り減る。また、前記熱収縮性チューブ13は、同様に、前記ブラシ毛12とともに、磨り減る。前記熱収縮性チューブ13は、前記ブラシ毛12の磨り減りに伴い、ミシン目132に沿って脱落する。
【0031】
前記熱収縮性チューブ13におけるミシン目の長さ(a)132は、ミシン目の間隔(b)133の約半分とすることが望ましい。上の段のミシン目と下の段のミシン目の距離(c)134は、前記ミシン目の約倍とした場合、前記ブラシ毛の縦方向に沿って避けるのを防止するとともに、磨り減った部分が前記ミシン目の段毎に除去される。前記熱収縮性チューブ13におけるミシン目の間隔(周方向)および長さ方向の間隔(ブラシ毛の長さ方向)は、ブラシ毛素材およびブラシ毛12の太さによって任意に変えることができる。
【0032】
前記セグメントブラシ11において、前記ブラシ毛素材は、単線からなる金属部材あるいは合成樹脂部材を束ねたものであり、必要な太さ、強度、柔軟性を持った材料を選択することができる。合成樹脂素材および/または金属素材をカバーリングしたブラシ毛素材は、たとえば、線径が約0.02mmから0.03mmである金属素材または合成樹脂製繊維を複数本束ね、その周囲を熱収縮性チューブ13で覆う。
【0033】
前記合成樹脂素材および/または金属素材は、ダイヤモンド砥粒、無機質砥粒、金属砥粒、その他公知の砥粒を付着させることができる。また、前記砥粒は、パウダー状にして付着させることができる。前記熱収縮性チューブ13は、たとえば、ポリ塩化ビニル系樹脂等、公知のものを使用することができる。また、前記金属素材は、たとえば、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、およびこれらの合金等からなる。
【0034】
前記合成樹脂素材は、たとえば、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリマー、ポリエステル、ポリプラスティック、ピーク、芳香族ポリアミド系耐熱性繊維からなる。なお、図1において、ブラシ毛素材12と金属製金具14の間に熱収縮性チューブ13の一部が入ることにより、前記両者の接着性を向上させているが、前記両者の間に前記熱収縮性チューブ13を入れないこともできる。
【0035】
図3(イ)および(ロ)は本発明のセグメントブラシの一例を説明するための斜視図である。図3(イ)において、取付基台31は、図1に示すセグメントブラシ11が取り付けられる。前記取付基台31に対するセグメントブラシ11の取り付け態様は、複数本が一列に、また、縦方向および横方向に複数個を設けることができる。前記セグメントブラシは、細長いワークまたは大型面部材を研磨することができる。
【0036】
図3(ロ)において、回転ブラシ33は、取付装置34に、図1に示すセグメントブラシ11が回転軸35の周りに円形に取り付けられている。前記回転ブラシ33は、回転軸35の回転により、平面を研磨することができる。また、図示されていないが、前記セグメントブラシ11を組み立てて、カップブラシ、ディスクブラシ、あるいは筒型ブラシとすることができる。
【0037】
図4(イ)から(ヘ)は本発明のセグメントブラシに使用する紙製ブラシ毛を説明するための図である。図4(イ)に示されたような薄い紙製シート41から作製される。前記紙製シート41は、一端から丸められ、丸い棒状体42となる。前記棒状体42は、図(ハ)に示されているように、捻じられられた状態43となる。前記薄い紙製シートを丸めた棒状体42を捻じった後、さらに、縒ることにより、捻じり縒り紙製ブラシ毛44が作製される。
【0038】
前記捩じり縒り紙製ブラシ毛44は、捩じりおよび縒りの間に隙間ができるため、紙独特の柔らかさと腰の強さに加えて、振動を吸収することができる。前記紙製シート41は、和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙製シートは、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品種のものを選択することができる。前記紙製シートは、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。
【0039】
図4(ホ)および(ヘ)は、捻じり縒り紙製ブラシ毛の他の例で、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の少なくとも一本を編み機(公知の編み機)により編み込んだ状態にしたもの45を巻回45′する。前記巻回した網は、たとえば、図(ヘ)に示されたように、取付部材452に一方が取り付けられて網目を有する紙製ブラシとなる。前記紙製ブラシは、その端面451または側面を研磨面とすることができる。前記合成樹脂製ブラシ毛より、研磨面および腰が柔らかい、紙独特の性質を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、紙製ブラシ毛として使用する際の用途により、目的に合った紙の種類を選択することができる。前記各種紙製シートは、薄いシートを丸めて棒状体とした後、捻じられる。
【0040】
前記捻じられた棒状体は、縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、紙の捩じりおよび縒りから生じる摩擦力、およびこれらによる独特の強度を持ち、腰が強く、かつ、柔軟性の優れた紙製ブラシ毛となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製ブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、植え込み部材に植え込まれる。
【0041】
前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、さらに、図4(ホ)に示されているように、図示されていない公知の編み機によって編まれる。前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の編み方は、図示以外に、公知の各種方法を採用することができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、先端、側端、側面をブラシ面として使用できる。前記網の編み方は、紙の材質以外に、交差部、結び目、編み目の大小、編み目の密度等によって研磨具合を変えることができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、捩じり縒りだけの場合と比較して、より多くの隙間を有するため、柔らかい研磨以外に、振動を吸収しながらの研磨ができる。
【0042】
図示されていないが、前記紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材は、接着剤を全体に染み込ませる。前記紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材は、前記接着剤が乾燥した後、金型により、所望の形状に成形される。先端部所望の形状に成形された捻じり縒りブラシ毛素材は、束ねられて、紙製セグメントブラシとなる。前記紙製セグメントブラシは、研磨面において、紙独特の柔らかさを有するとともに、接着剤による硬さが加わり、セグメントブラシとして、独特の強さを有するものとなる。
【0043】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。ブラシ毛および混入物質等の材質、大きさ、形状、密度等は、任意に選択することができる。特に、金属部材、合成樹脂製部材、混入部材、付着部材は、本明細書に挙げた以外に公知または周知のものが使用できることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0044】
11・・・セグメントブラシ
12・・・ブラシ毛
13・・・熱収縮性チューブ
131・・・ミシン目
132・・・ミシン目の長さ(a)
133・・・ミシン目とミシン目の間(b)
134・・・長さ方向のミシン目とミシン目の間(b)
31・・・取付基台
32・・・取付凹部
33・・・回転ブラシ
34・・・取付装置
35・・・回転軸
41・・・紙製シート
42・・・紙製シートを棒状にした状態
43・・・捻じった状態
44・・・捻じったものを縒った状態
45・・・板状または棒状の樹脂部材
45′・・・巻回した状態のもの
451・・・研磨部
452・・・取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ毛素材が複数本束ねられたブラシ毛と、
前記ブラシ毛を覆うとともに、前記ブラシ毛の周方向に複数個からなるミシン目の列が複数段形成された熱収縮性チューブと、
から少なくとも構成されていることを特徴とするセグメントブラシ。
【請求項2】
ブラシ毛素材が複数本束ねられたブラシ毛と、
前記ブラシ毛を覆うとともに、前記ブラシ毛の周方向に複数個からなるミシン目の列が複数段形成された熱収縮性チューブと、
前記束ねられたブラシ毛の端部を前記熱収縮性チューブの上から固定する金属製金具と、
から少なくとも構成されていることを特徴とするセグメントブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ毛素材は、単線からなる金属素材あるいは合成樹脂素材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたセグメントブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ毛素材は、紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたセグメントブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ毛は、砥粒が接着剤により付着されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたセグメントブラシ。
【請求項6】
前記紙シートを丸め、捻じり、縒った紙製素材は、染み込まれた接着剤により形状が成形されていることを特徴とする請求項4に記載されたセグメントブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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