説明

セパレータ、燃料電池装置及び電子機器

【課題】複数のセパレータの間に膜電極接合体を挟持したセル構造を含む燃料電池装置を構成した場合、このようなセル構造同士を外部配線を設けることなく、直列又は並列、又はその両方を含む接続とすることができる。
【解決手段】両面セパレータ1Aは、第三の基板13A表面に蛇行溝121Aとその周囲に対応する箇所に内部導電性膜131Aが形成され、一つが内部導電性膜131Aに接続されて他が絶縁された複数の第三コネクタ139Aが形成され、第三の基板13A裏面に蛇行溝141Aとその周囲に対応する箇所に内部導電性膜132Aが形成され、一つが内部導電性膜132Aに接続され、他が絶縁された複数の第四コネクタ130Aがその周囲に形成され、各対応する第一乃至第四コネクタ113A,139A,130A,153A同士は、各基板11A,13A,15Aにおいて互いに対応する位置に設けられ、互いに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ、燃料電池装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、高いエネルギー利用効率を実現できる燃料電池についての研究・開発が盛んに行われている。燃料電池は、アノードガス中の水素ガスと空気中の酸素ガスとを電気化学的に反応させて化学エネルギーから電気エネルギーを直接取り出すものであり、将来性に富む有望な電池であると位置付けられている。
【0003】
従来の燃料電池は膜電極接合体と導電性基板であるセパレータとを交互に積層することでスタック化されており、二つのセパレータとその間に挟持された膜電極接合体とにより構成される燃料電池セルが直列に接続されている。膜電極接合体は固体高分子電解質膜の両面にそれぞれ矩形状の電極が設けられたものであるが、以下においては、簡略化のため、さらに、この電極における固体高分子電解質膜と当接する面とは逆の面に電極と同形状の導電性を有するガス拡散層を積層するとともに、電極及びガス拡散層を囲繞するように枠状のガスケットが設けられたものを含めて膜電極接合体と定義して記載する。セパレータは両面に流路を形成したものであり、セパレータの一方の面に形成された流路にはアノードガスが流れ、他方の面に形成された流路にはカソードガスが流れるようになっている。
【0004】
上述のように燃料電池セルを直列に接続した場合、全ての燃料電池セルに同量の電流が流れることになるため、例えば積層された複数の燃料電池セルのうち、一つの燃料電池セルの発電効率が悪いと、この燃料電池セルに大きな負荷がかかりひいては逆電圧が発生し、電極触媒の溶出等の致命的な現象が発生し、燃料電池の寿命に大きく影響を及ぼすことがある。
そこで、上述したような問題点を回避するために、電流量を抑えた状態で、燃料電池を動作させると、全体としての発電性能が大きく低下するという問題があった。
【0005】
図26は、燃料電池の発電特性を示したグラフの一例である。このグラフより、一つの燃料電池セルがグラフの「異常」と示した特性であるとき、6Aでは0Vもしくはマイナスの電圧に低下してしまい燃料電池セルの寿命に大きく影響することがわかる。したがって、実際には全体を5.5A程度に電流を制御して使用する必要が生じる。この制限を異常のある燃料電池セルではなく、正常に動作している燃料電池セル一つについてのみ考えると、6.0Aの時に0.59V(3.54W)で動作可能な燃料電池セルは、5.5Aの出力制御をすることによって0.61V(3.35w)となり、5.4%の性能の低下となる。この性能の低下は、スタック全体として考えても同様であり、スタック構造によって、一つの燃料電池セルの不具合の影響が与える影響が大きいということが認められる。
【0006】
上記問題点の影響を回避する方法の一つとして燃料電池セルを電気的に並列接続することが挙げられる。図27は、燃料電池セルを並列接続した時の燃料電池の発電特性を示したグラフである。正常に動作しているときに、二つの燃料電池セルにて6A、0.59Vで運転動作している系がある。ここで、上記と同じ不具合が片方のセルに発生した時、二つの燃料電池セルに掛かる電流値を固定して考えると、電気的に並列に接続されているため、電流値は合計して12Aで同じ電圧の点にて、各燃料電池セル間で調整されて動作する(グラフ中のXとYの矢印のように変化)。このことにより、一つの燃料電池セルに対して突発的に不具合が発生しても、他の正常な燃料電池セルにて補う作用により、限界電圧に落ち込み難いという効果が認められる。また、これは二つの燃料電池セルでなくそれ以上の数の燃料電池セルを電気的に並列につなぐとさらに安定化する効果がある。
【0007】
ここで、燃料電池セルを並列接続する技術として、絶縁性基板であるセパレータの両面又は片面における流路が形成される領域内にガス拡散層と当接する導電層を設けて、この導電層に接続されて且つ流路が形成される領域外に前述の導電層に接続された外部接続端子を設ける構造が知られている。この場合、スタックの中間部に配置される両面セパレータの各面に設けられた導電層と、2つの膜電極接合体の各アノード電極とがそれぞれ当接するように、この膜電極接合体が配置されて、この導電層に接続された第一外部接続端子を負極端子とされる。さらに、スタックの両端部であって且つこの両面セパレータとの間にそれぞれ上述の膜電極接合体を挟んで配置される2つの片面セパレータに、これら2つの膜電極接合体のカソード電極と当接する導電層が設けられ、これら2つの導電層に接続された第二外部接続端子を正極端子とする構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−055296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発電セル積層体(同引用文献の図7の符号50)を含む燃料電池は、各発電セル(同図の符号10)の内部においてのみ並列接続されている。したがって、このような発電セル同士を複数個直列接続、又は、並列接続する場合、従来と同様に、そのスタックの外部にて配線を形成するしかなく、各発電セル毎に設けられた外部接続端子同士を並列に接続する外部回路が必要となり、部品点数が増加して組立工程も複雑となるという問題があった。また、これに伴って検査工程が増加するとともに歩留まりの低下が発生するという問題もあった。さらには、発電セル積層体の外部に並列接続用の回路を設ける必要があるために単位発電量に対する燃料電池の大きさが大きくなってしまうという問題もあった。
その上、上記特許文献1に記載された技術の各発電セルは、単位発電量しか出力できないため、このような発電セル燃料電池を、一般的な電子機器において使用する場合は、昇圧回路が必要となるが、燃料電池セル相当の電圧が小さすぎるため、一般的な電子機器においては実現が困難又は不可能であるか、又は電力損失が大きくなってしまうという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、発電セル同士の直列接続、又は、並列接続を含む電気的接続を、外部配線を設けることなく、簡易に実現することができ、ひいては、高出力で安定した電力を得ることができ、また、組立工程が少なく、大型化しないセパレータ及び燃料電池装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のセパレータは、1以上の絶縁性基板を含むセパレータであって、
前記セパレータの一方の面にガスが流通するガス流路と、導電性を有する第一導電層と、複数の第一接続端子とが形成され、
前記複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記第一導電層とが接続され、
前記複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記第一導電層とが絶縁され、
前記セパレータの他方の面に前記複数の第一接続端子のうち何れか一つとそれぞれ対応する複数の第二接続端子が形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、
他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち何れか一つとそれぞれ対応する他のセパレータの複数の第二接続端子が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項1又は2に記載の発明によれば、セパレータの一方の面に導電性を有する第一導電層と複数の第一接続端子とを形成し、複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと第一導電層とを接続し、複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと第一導電層とを絶縁し、セパレータの他方の面に複数の第一接続端子のうち何れか一つとそれぞれ対応する複数の第二接続端子を形成しているので、この構成を備える2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟持したセル構造を含む燃料電池装置を構成した場合、このようなセル構造同士を外部配線を設けることなく、並列に接続することができる。
【0012】
請求項3に記載のセパレータは、1以上の絶縁性基板を含むセパレータであって、
前記セパレータの一方の面にガスが流通するガス流路と、導電性を有する第一導電層と、複数の第一接続端子とが形成され、
前記複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記第一導電層とが接続され、
前記複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記第一導電層とが絶縁され、
前記セパレータの他方の面にガスが流通するガス流路と、導電性を有する第二導電層と、複数の第二接続端子とが形成され、
前記複数の第二接続端子のうち少なくとも一つと前記第二導電層とが接続され、
前記複数の第二接続端子のうち他の少なくとも一つと前記第二導電層とが絶縁され、
前記複数の第一接続端子のうち何れか一つと前記複数の第二接続端子のうち何れか一つとが接続されたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載のセパレータは、請求項3に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、
他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に前記他のセパレータの前記第一導電層と接続された他のセパレータの第二導電層が形成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、
他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に前記他のセパレータの第一導電層と接続された外部接続端子が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に他のセパレータの複数の第二接続端子を備え、前記他のセパレータの第二接続端子のうち少なくとも一つが前記他のセパレータの第一接続端子と接続されるとともに前記他のセパレータの第一導電層と接続され、
前記他のセパレータの第二接続端子のうち他の少なくとも一つが前記他のセパレータの第一接続端子と接続されるとともに前記他のセパレータの第一導電層と絶縁されることを特徴とするセパレータ。
【0016】
請求項3乃至6の何れか一項に記載の発明によれば、セパレータの一方の面に導電性を有する第一導電層と複数の第一接続端子とを形成し、複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと第一導電層とを接続し、複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと第一導電層とを絶縁し、セパレータの他方の面に導電性を有する第二導電層と複数の第二接続端子とを形成し、複数の第二接続端子のうち少なくとも一つと第二導電層とを接続し、複数の第二接続端子のうち他の少なくとも一つと第二導電層とを絶縁し、複数の第一接続端子のうち何れか一つと複数の第二接続端子のうち何れか一つとを接続しているので、この構成を備える2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟持したセル構造を含む燃料電池装置を構成した場合、このようなセル構造同士を外部配線を設けることなく、並列に接続することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載のセパレータであって、
ボルトが挿通される複数の穴を備え、
前記複数の第一接続端子は前記複数の穴の間に設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、セパレータの一方の面に導電性を有する第一導電層と複数の第一接続端子とを形成し、複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと第一導電層とを接続し、複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと第一導電層とを絶縁し、セパレータの他方の面に導電性を有する第二導電層と複数の第二接続端子とを形成し、複数の第二接続端子のうち少なくとも一つと第二導電層とを接続し、複数の第二接続端子のうち少なくとも一つと第二導電層とを絶縁し、複数の第一接続端子のうち何れか一つと複数の第二接続端子のうち何れか一つとを接続しているので、この構成を備える2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟持したセル構造を含む燃料電池装置を構成した場合、このようなセル構造同士を外部配線を設けることなく、並列に接続することができる。また、複数の第一接続端子がボルトが挿通される複数の穴の間に設けられているので、燃料電池装置の大きさを大きくすることなく、上述の接続を実現することができる。
【0019】
請求項8に記載の燃料電池装置は、請求項3に記載のセパレータを備えることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の燃料電池装置は、請求項3に記載の一のセパレータと、請求項4に記載の他のセパレータと、電解質膜の両面にそれぞれ少なくとも一つ電極が設けられた膜電極接合体とを備え、
前記一のセパレータの一方の面と前記他のセパレータの一方の面とが対向配置され、前記膜電極接合体が前記他のセパレータの一方の面と前記一のセパレータの一方の面との間に挟持されるセル構造を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の燃料電池装置は、請求項3に記載の一のセパレータを複数個と、電解質膜の両面にそれぞれ少なくとも一つ電極が設けられた膜電極接合体とを備え、
前記複数個の一のセパレータのうちの一つにおける一方の面と前記複数個の一のセパレータのうち他の一つにおける他方の面とが対向配置され、前記膜電極接合体が前記複数個の一のセパレータのうち一つにおける一方の面と前記複数個の一のセパレータのうち他の一つにおける他方の面との間に挟持されるセル構造を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項8乃至10の何れか一項に記載の発明によれば、請求項3に記載のセパレータを備えるので、膜電極接合体が2つのセパレータ間に挟持されるセル構造同士を、外部配線を設けることなく、並列に接続することができる。
【0023】
請求項11に記載の電子機器は、請求項8乃至10の何れか一項に記載の燃料電池装置を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項11に記載の発明によれば、請求項8乃至10の何れか一項に記載の燃料電池装置を備えるので、膜電極接合体が2つのセパレータ間に挟持されるセル構造同士を、外部配線を設けることなく、並列に接続することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、2つのセパレータの間に膜電極接合体を挟持したセル構造を含む燃料電池装置を構成した場合、このようなセル構造同士を外部配線を設けることなく、並列に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第一の実施の形態]
まず、第一の実施の形態として、図2に示す、両面セパレータ1A、1B、1C、1D、1E、片面セパレータ2A、3A等を使用した燃料電池装置5について、この燃料電池装置5を備えた発電装置400とともに説明する。
図1は、燃料電池装置5を備えた発電装置400のブロック図である。この発電装置400は、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、腕時計、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、遊技機、その他の電子機器に備え付けられたものであり、電子機器本体を動作させるための電源として用いられる。
【0027】
発電装置400は、メタノール等の燃料と水を別々に又は混合した状態で貯留した燃料容器401と、燃料容器401から供給された燃料と水を気化させる気化器403と、燃料容器401から燃料と水を吸引するとともに吸引した燃料と水を気化器403に供給する燃料ポンプ402と、気化器403から供給された燃料と水の混合気を水素ガスと二酸化炭素ガス等を化学反応式(1)、(2)のように生成する改質器404と、改質器404から供給された混合気中の一酸化炭素を化学反応式(3)のように酸化させることで混合気から一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器405と、一酸化炭素除去器405から供給された混合気のうち水素ガスと外気の酸素ガスとの電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池装置5と、外気の空気を吸引するとともに吸引した空気を一酸化炭素除去器405及び燃料電池装置5に供給する空気ポンプ406と、を備える。
【0028】
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 …(2)
2CO+O2→2CO2 …(3)
【0029】
なお、燃料容器401に貯留された燃料は、メタノールの代わりに、エタノール等のアルコール類やガソリンといった水素原子を含む化合物が適用可能である。
【0030】
図2は、スタック型の燃料電池装置5を図3のIVb−IVb切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図、図3は、図2における両面セパレータ1Aの平面図、図4(a)は、図2における膜電極接合体6を上記IVb−IVb切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の拡大断面図、図4(b)、(c)は、それぞれ図2における両面セパレータ1Aを上記IVb−IVb切断線又はIVc−IVc切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の拡大断面図、図5(a)、(b)は、それぞれ図2における片面セパレータ2Aを上記IVb−IVb切断線又はIVc−IVc切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の拡大断面図である。
燃料電池装置5は、片面セパレータ3A、膜電極接合体6、両面セパレータ1E、膜電極接合体6、両面セパレータ1D、膜電極接合体6、両面セパレータ1C、膜電極接合体6、両面セパレータ1B、膜電極接合体6、両面セパレータ1A、膜電極接合体6、片面セパレータ2Aが上から順に積層されたセルスタック71と、セルスタック71の陽極側の集電板72と、セルスタック71の陰極側の集電板73等を備えている。
【0031】
セルスタック71は、複数の燃料電池セルが電気的に接続されて積層されてなるものである。ここで、各燃料電池セルは、膜電極接合体6が片面セパレータ3A及び両面セパレータ1Eによって挟まれた構造、膜電極接合体6が各両面セパレータ1A〜1Eによって挟まれた構造、膜電極接合体6が両面セパレータ1A及び片面セパレータ2Aによって挟まれた構造である。両面セパレータ1A〜1Eは、隣接する燃料電池セルの双方の構造を兼ね、隣接する燃料電池セル1A〜1Eは、後述するように直列又は並列に接続されている。積層される燃料電池セルの数は、各膜電極接合体6,6,…の起電力と、燃料電池装置5に要求される出力電圧によって定まる。
【0032】
図4を用いて膜電極接合体6,6,…について説明する。なお、いずれの膜電極接合体6も同様に構成されている。
膜電極接合体6は、固体高分子電解質膜61と、ガス拡散層62a,62bと、触媒63a,63bと、ガスケット64a,64bとを備えて構成されている。
【0033】
固体高分子電解質膜61は、矩形状に形成された膜であって、水素イオン(H+)を選択的に透過させるものである。固体高分子電解質膜61の両面であってそれぞれの中央部には、導電性を有する触媒63a,63bが矩形状に設けられている。触媒63a,63bは、例えば、導電性を有する担体上に触媒を担持させたものとしてよい。触媒63a,63b上には、それぞれ触媒63a,63bと当接するように、触媒63a,63bと同形状の導電性を有するガス拡散層62a,62bが配置されている。ガス拡散層62a,62bは、水素、水、酸素等のガスを透過して拡散させるものである。触媒63aとガス拡散層62aとはアノード(水素極)として機能し、触媒63bとガス拡散層62bとはカソード(酸素極)として機能する。
【0034】
固体高分子電解質膜61の外周部であって、一方の面には、触媒63aとガス拡散層62aとを囲繞するよう矩形枠型のガスケット64aが設けられており、他方の面には、触媒63bとガス拡散層62bとを囲繞するよう矩形枠型のガスケット64bが設けられている。ガスケット64a,64bは絶縁体であり、かつ弾性体である。ガスケット64a,64bは膜電極接合体6を挟む片面セパレータ2A,3Aと両面セパレータ1A〜1Eとの間に、ガス拡散層62a,62b及び触媒63a,63bを配置するためのスペーサーとして機能するとともに、片面セパレータ2Aより供給されるアノードガス、両面セパレータ1A〜1Eに形成された蛇行溝121A〜121Eを流通するカソードガス、及び、両面セパレータ1A〜1Eに形成された蛇行溝141A〜141Eを流通するアノードガスが燃料電池装置5から漏れ出すことを防ぐガスシールとしても機能する。このようなガスケット64a,64bは、例えばイソブチレンゴムを用いて形成することができる。
【0035】
複数の両面セパレータは、隣接する各両面セパレータ1E,1D,1C,1B,1Aの間にそれぞれ1つの膜電極接合体6,6,…を挟んだ状態で、燃料電池装置5の一方の端部側から順に積層されている。そして、一方の端部側に配された両面セパレータ1Eには、膜電極接合体6を挟んで片面セパレータ3Aが設けられ、他方の端部側に配された両面セパレータ1Aには、膜電極接合体6を挟んで片面セパレータ2Aが設けられている。
【0036】
詳しくは後述するが、両面セパレータ1Aは、図4に示すように、表面に4つの第一コネクタ(第一接続端子)113A,113A,…を備えるとともに、裏面に4つの第二コネクタ(第二接続端子)153A,153A,…を備えている。また、両面セパレータ1Aは、これらの第一コネクタ113A,113A,…及び第三コネクタ153A,153A,…のそれぞれに対応する、4つの第三コネクタ(第三接続端子)139A,139A,…と4つの第四コネクタ(第四接続端子)130A,130A,…とを備えており、これらの第一〜第四コネクタは、燃料電池の積層方向に平行な直線に沿って互いに対応する位置に設けられていて、これらの互いに対応するコネクタ同士が、内部配線によって電気的に接続されている。
さらに、第一コネクタ113A,113A,…及び第二コネクタ153A,153A,…は、何れも、各基板に備えられた複数の締結用穴を囲繞する最短の閉曲線内に形成されている。例えば、本第一の実施の形態においては、これらの第一コネクタ113A,113A,…及び第二コネクタ153A,153A,…は、それぞれに隣接する2つの締結用穴112A,112A、152A,152Aが配列される直線上に沿って設けられており、且つ、この直線と垂直な方向における第一コネクタ113A,113A,…及び第二コネクタ153A,153A,…の幅は、各締結用穴112A,152Aの幅以下となるように形成されている(図3、図6参照)。
【0037】
ここで、図3に示すように、それぞれ4つのコネクタにおいて、左下のコネクタの位置をX1、左上のコネクタの位置をX2、右上のコネクタの位置をX3、右下のコネクタの位置をX4とし、以下、これらの位置をX1〜X4を使用して説明するものとする。
さらに、図4に示すように、両面セパレータ1Aは、その表裏面側に配置される膜電極接合体6のガス拡散層62aと当接するアノード側表面導電性膜(第一導電層)127A及びガス拡散層62bと当接するカソード側表面導電性膜(第二導電層)147Aを備え、後述の微細孔部126Aに形成されたビア配線によってアノード側表面導電性膜127Aと接続された内部導電性膜(第三導電層)131Aと、後述の微細孔部146Aに形成されたビア配線によってカソード側表面導電性膜147Aと接続された内部導電性膜(第四導電層)132Aとを内部に備えており、内部導電性膜131A,132Aはそれぞれ、上述の位置X1〜X4の何れかにおいて、第一コネクタ113A,113A,…及び第四コネクタ153A,153A,…の何れか少なくとも1つに接続されている。
【0038】
本実施の形態の両面セパレータ1Aは、内部導電性膜131Aは、位置X2において第一コネクタ113Aと接続され、内部導電性膜132Aは、位置X2において第四コネクタ153Aと接続されている。また、詳しくは後述するが、図2に示す他の両面セパレータ1B,1C,1Eも両面セパレータ1Aと同様の構成を有するが、各内部導電性膜と第一又は第二コネクタとが接続される位置(X1〜X4)が上述の両面セパレータ1Aとは異なっている。なお、図2に示す両面セパレータ1Dについては、各内部導電性膜と第一又は第二コネクタとが接続される位置が、図4に示す両面セパレータ1Aと同じである。
【0039】
ここで、以下において、位置Xn(nは自然数)の第一コネクタがアノード側表面導電性膜と電気的に接続され、位置Xm(mは自然数)の第二コネクタがカソード側表面導電性膜と電気的に接続された両面セパレータを指数n,mを用いて、「XnXm両面セパレータ」と言う。特に、n=mのときを「同型のXnXm両面セパレータ」と言い、n≠mのときを「異型のXnXm両面セパレータ」と言う。例えば、上述の両面セパレータ1Aの場合は、同型のX2X2両面セパレータと言う。
【0040】
一方、片面セパレータ2Aは、図5に示すように、表面に複数の第一コネクタ(第一接続端子)213A,213A,…を備えるとともに、裏面に導電性膜(第二導電層)231Aを備え、導電性膜231Aにおける第一コネクタ213A,213A,…にそれぞれ対応する箇所が第二コネクタ253A,253A,…とされている。位置X1の第一コネクタ213Aと第二コネクタ253Aとが微細孔部229Aに形成されたビア配線によって電気的に接続されるとともに、他の位置X2,X3,X4の第一コネクタ213Aと第二コネクタ253Aとは接続されない。また、片面セパレータ2Aは、その表面側に配置される膜電極接合体6のガス拡散層62aと当接する表面導電性膜(第一導電層)227Aを備え、後述の微細孔部226Aに形成されたビア配線によって、上述の表面導電性膜227Aと接続されている。
また、図示しないが、セルスタック71における片面セパレータ2Aが設けられた端部と反対側の端部に設けられた片面セパレータ3Aも片面セパレータ2Aと同様の構成を有している。片面セパレータ3Aは、その表面側(図2における下面側)に配置される膜電極接合体6のガス拡散層62bと当接する表面導電性膜(第一導電層)を備え、微細孔部に形成されたビア配線によって表面導電性膜と接続された裏面導電性膜(第二導電層)を備えており、裏面導電性膜は、位置X4に設けられた第二コネクタを介して、位置X4の第一コネクタに接続されている。尚、この接続構成は、位置X1及びX2を結ぶ直線に沿った断面図である図2には示されない。
【0041】
ここで、以下において、位置Xn(nは自然数)の第一コネクタが裏面導電性膜と電気的に接続される片面セパレータを指数nを用いて、Xn片面セパレータと言う。例えば、上述の片面セパレータ2Aの場合は、X1片面セパレータと言い、片面セパレータ3Aの場合は、X4片面セパレータと言う。
上述のような両面セパレータ1A〜1E、アノード側片面セパレータ2A及びカソード側片面セパレータ3Aのうち互いに隣接するもの同士は、具体的には以下のように電気的に接続されている。
図2に示すように、カソード側X4片面セパレータ3Aの第二コネクタ353Aと、これと隣接するX3X3両面セパレータ1Eの第一コネクタ113Eとが互いに当接し導通している。次いで、X3X3両面セパレータ1Eの第二コネクタ153Eと、これと隣接するX2X2両面セパレータ1Dの第一コネクタ113Dとが互いに当接し導通している。次いで、X2X2両面セパレータ1Dの第二コネクタ153Dと、これと隣接するX1X4両面セパレータ1Cの第一コネクタ113Cとが互いに当接し導通している。次いで、X1X4両面セパレータ1Cの第二コネクタ153Cと、これと隣接するX3X3両面セパレータ1Bの第一コネクタ113Bとが互いに当接し導通している。次いで、X3X3両面セパレータ1Bの第二コネクタ153Bと、これと隣接するX2X2両面セパレータ1Aの第一コネクタ113Aとが互いに当接し導通している。そして、X2X2両面セパレータ1Aの第二コネクタ153Aと、これと隣接するアノード側X1片面セパレータ2Aの第一コネクタ213Aとが互いに当接し導通している。
【0042】
カソード側X4片面セパレータ3Aの導電性膜332Aは、陽極側集電板72と当接して固定されている。陽極側集電板72には、図示しないアノードガス導入孔、アノードガス排出孔、カソードガス導入孔及びカソードガス排出孔が形成されている。また、陽極側集電板72には、燃料電池装置5の陽極側の端子が設けられ、さらに、八つのボルト締結用穴(図示しない)が形成されている。
アノード側X1片面セパレータ2Aの導電性膜231Aは、陰極側集電板73と当接して固定されている。また、陰極側集電板73には、燃料電池装置5の陰極側の端子が設けられ、さらに、八つのボルト締結用穴(図示しない)が形成されている。
【0043】
陽極側集電板72の表面及び陰極側集電板73の裏面には、それぞれエンドプレート76,77が配されている。陽極側集電板72に固定されるエンドプレート76には、中空のガス継手78,78,…が、それらの各中空と陽極側集電板72に形成されたアノードガス導入穴、アノードガス排出穴、カソードガス導入穴及びカソードガス排出穴とがそれぞれ連通するように取り付けられている。
【0044】
そして、陽極側集電板72、カソード側X4片面セパレータ3A、膜電極接合体6、複数の両面セパレータ1A〜1E、アノード側X1片面セパレータ2A、陰極側集電板73が積層され、陽極側集電板72の表面及び陰極側集電板73の裏面を挟み込むようにエンドプレート76,77が陽極側集電板72と陰極側集電板73とにそれぞれ配されて、図示しないボルトにより締結され、これによって燃料電池装置5が構成されている。
なお、上記ボルトによる締結以外に、組み付け後にレーザー溶接やロウ付けなどによって、各セパレータ同士を接合することにより、接触抵抗の小さい構造としても良い。また、互いに隣接するセパレータ同士の接合面において、一方のセパレータの第一コネクタと他方のセパレータの第二コネクタとの表面に、それぞれ微細な突起を設けて弾力性を持たせた構造として、締め付け圧により高さ誤差の吸収機能を持たせた構造としても良い。
【0045】
次に、燃料電池装置5による電力の生成について説明する。
ガス継手78を通じて燃料電池装置5に供給されたアノードガスは、蛇行溝221A,121A〜121Eを流動してアノードガス排出孔223Aを通り、ガス継手78から排出される。アノードガスが蛇行溝221A,121A〜121Eを流動する際に、アノードガスがガス拡散層62aを拡散して触媒63aと接触すると、電気化学反応式(4)に示すように水素ガスが触媒63aの作用を受けて水素イオンと電子とに分離する。
H2→2H++2e- …(4)
【0046】
電子は、触媒63a及びガス拡散層62aを導電し、次いで、両面セパレータ1A,1B,1D,1Eにおいては、それぞれアノード側表面導電性膜127A,127B,127D,127E、アノード側内部導電性膜139A,139B,139D,139E、カソード側内部導電性膜130A,130B,130D,130E及びカソード側表面導電性膜147A,147B,147D,147Eを導電して、隣接する膜電極接合体6,6,…のガス拡散層62bに伝導する。
また、両面セパレータ1Cにおいては、アノード側表面導電性膜127C、アノード側内部導電性膜139C、カソード側内部導電性膜130C、X1の第二コネクタを介して陰極側の端子から外部回路を通って陽極側の端子から陽極側集電板72に戻り、カソード側片面セパレータ3Aを介して膜電極接合体6のガス拡散層62bに伝導する。
さらに、膜電極接合体6のガス拡散層62aにより取り出された電子は、アノード側片面セパレータ2Aに形成されたアノード側表面導電性膜227A、導電性膜231A及び陰極側集電板73を介して陰極側の端子から外部回路を通って陽極側の端子から陽極側集電板72に戻り、カソード側片面セパレータ3Aを介して膜電極接合体6のガス拡散層62bに伝導する。
水素イオンは、固体高分子電解質膜61を透過して、カソード側の触媒63bに伝導する。
【0047】
一方、ガス継手78を通じて、酸素ガスを含むカソードガス(ここでは、空気)がカソードガス導入孔224Aに供給され、膜電極接合体6,6,…のガス拡散層62bにより蓋をされた蛇行溝141A〜141E,321Aを流動してカソードガス排出孔225Aを通り、ガス継手78から排出される。カソードガスが蛇行溝141A〜141E,321Aを流動する際に、カソードガスがガス拡散層62bを拡散して触媒63bと接触すると、電気化学反応式(5)に示すように触媒63bの作用を受け、酸素と固体高分子電解質膜61を透過した水素イオン及びガス拡散層62bに伝導した電子とが反応し、水が生成される。
2H++1/2O2+2e-→H2O …(5)
【0048】
以上のようにして、それぞれの膜電極接合体6,6,…の両面において起電力が発生する。
このように、燃料電池装置5では、触媒63a,63b及びガス拡散層62a,62bで電気化学反応(4)、(5)が起こり、またガス拡散層62a,62bに対応する固体高分子電解質膜61の部分を水素イオンが透過することで、起電力を発生させる。
【0049】
なお、上記ガス拡散層62a,62bは、電池の性質上不要であれば設ける必要はない。また、固体高分子電解質膜61も、膜という形態に限らずスタック構成可能なプレート状のものとしても良い。更に、膜電極接合体6は、固体高分子電解質膜61及びガス拡散層62a,62bのみを備える構成としてもよく、その場合には、触媒63a,63b及びガスケット64a,64bは、膜電極接合体6と別部材とするとよい。
【0050】
次に、上述の両面セパレータ1A〜1E、アノード側片面セパレータ2A及びカソード側片面セパレータ3Aの構成について、より詳細に説明する。
図6の(a)は、両面セパレータ1Aを構成する第一の基板11Aを示し、図4の切断線a−aに沿って切断した際の平断面図、(b)及び(c)は、第二の基板12Aを示し、(b)は切断線b−b、(c)は切断線c−cに沿って切断した際の平断面図、(d),(e),(f)は、第三の基板13Aを示し、(d)は切断線d−d、(e)は切断線e−e、(f)は切断線f−fに沿って切断した際の平断面図、(g)及び(h)は、第四の基板14Aを示し、(g)は切断線g−g、(h)は切断線h−hに沿って切断した際の平断面図、(i)は第五の基板15Aを示し、切断線i−iに沿って切断した際の平断面図である。
両面セパレータ1Aは、矩形板(又は正方形板)に形成した五枚の絶縁性基板11A〜15Aを積層してなるものである。絶縁性基板11A〜15Aとしては、例えば、セラミックス等が挙げられる。
両面セパレータ1Aの表面(図4中上面)となる第一の基板11Aには、その中央部に両面を貫通する矩形状の開口部111Aが形成されている。開口部111Aは後述するアノード側表面導電性膜(第一導電層)127Aを露出させ、この開口部111Aの周囲には、所定間隔に八つのボルト締結用穴112A,112A,…が形成されている。また、ボルト締結用穴112A,112A,…の近傍に、開口部111Aと連通しないように開口部111Aから離間して、後述のアノード側内部導電性膜(第一導電層)131Aを外部接続端子(図示しない)と導通させるための導電性薄膜からなる四つの第一コネクタ(第一接続端子)113A,113A,…が絶縁性基板11Aの表裏面を貫通して形成されている。
ここで、四つの第一コネクタ113A,113A,…は何れも、基板に備えられた複数の締結用穴を囲繞する最短の閉曲線内に形成されている。例えば、本第一の実施の形態においては、これらの第一コネクタ113A,113A,…は、それぞれに隣接する2つの締結用穴112A,112Aが配列される直線上に沿って設けられており、且つ、この直線と垂直な方向における該第一コネクタ113A,113A,…の幅は各締結用穴112A,112A,…の幅以下となるように形成されている。後述する第二コネクタ153A,153A,…、第三コネクタ139A,139A,…及び第四コネクタ130A,130A,…の幅も、上述の第一コネクタ113A,113A,…と同様とされており、更に、後述する他の両面セパレータ1B,1C、アノード側片面セパレータ2A及びカソード側片面セパレータ3Aに設けられた各4つの第一〜第四コネクタも同様の構成とされる。
これによって、本実施形態のセパレータは、各基板におけるスタック方向に対して垂直な面内に四つの第一〜第四コネクタを備える構成としても、従来のセパレータの形状より大きくならないようにすることができる。
【0051】
次に、第一の基板11Aの裏面(図4中下面)に当接して積層された第二の基板12Aは、第一の基板11Aと同形状をなし、その中央部に葛折り状の蛇行溝121Aが形成されている。蛇行溝121Aの一端部は、第二の基板12Aの表裏面を貫通するアノードガス導入孔122Aに連通し、他端部は第二の基板12Aの表裏面を貫通するアノードガス排出孔123Aに連通している。アノードガス導入孔122Aとアノードガス排出孔123Aとは、第二の基板12の対角線上に位置している。また、アノードガス導入孔122Aに、第二の基板12Aの短手方向中心線に対称となるようにカソードガス排出孔125Aが形成され、カソードガス排出孔125Aの対角線上にカソードガス導入孔124Aが形成されている。これらカソードガス導入孔124A及びカソードカス排出孔125Aは、第二の基板12Aの表裏面を貫通している。
【0052】
なお、アノードガスとは、燃料電池を発電するための燃料としての水素ガスを含むガスを意味し、具体的には後述の改質器404(図1参照)で生成された水素ガスやその他の副生成ガス(例えば、二酸化炭素ガス)等を含むガスを意味する。カソードガスとは、燃料電池を発電するための酸素ガスを含むガスを意味し、具体的には燃料電池から取り込まれる空気を意味する。アノードガスは、後述の一酸化炭素除去器405(図1参照)から供給され、カソードガスは後述の空気ポンプによって供給される。
【0053】
また、蛇行溝121Aの周囲を囲み、第一の基板11Aの開口部111Aに対応する箇所に、第二の基板12Aの表裏面を貫通する多数の微細孔が形成されて微細孔部126Aが構成されている。この微細孔部126Aは、対応する開口部111Aに対応する形状とされ、ここでは矩形状となっている。そして、この矩形状の微細孔部126Aの表面を覆うようにアノード側表面導電性膜127Aが形成されるとともに、微細孔部126Aの内部には導電材料が充填されることにより、ビア配線が形成されている。この導電材料は上述のアノード側表面導電性膜127Aと同じ材料でもよく、低抵抗率の材料が望ましい。
さらに、第二の基板12Aには、第一の基板11Aのボルト締結用孔112A,112A,…に対応して八つのボルト締結用孔128A,128A,…が形成されている。また、第一の基板11Aに形成された四つの第一コネクタ113A,113A,…に対応して表裏面を貫通する多数の微細孔が形成されて微細孔部129A,129A,…がそれぞれ構成されている。これらの微細孔部129A,129A,…は、それぞれ対応する第一コネクタ113A,113A,…に対応する形状とされ、ここでは円形状となっている。また、円形状の微細孔部129A,129A,…の内部には導電材料が充填されることにより、ビア配線が形成されている。
【0054】
第二の基板12Aの裏面に当接して積層された第三の基板13Aは、第一及び第二の基板11A,12Aと同形状をなし、表面中央部には、第一の基板11Aの開口部111Aと対応するように矩形状のアノード側内部導電性膜131Aが形成されている。一方、裏面中央部にも、アノード側内部導電性膜131Aと対応してカソード側内部導電性膜(第二導電層)132Aが形成されている。
そして、これら両内部導電性膜131A,132Aの四隅には、アノードガス導入孔133A、アノードガス排出孔134A、カソードガス導入孔135A及びカソードガス排出孔136Aが第三の基板13Aの表裏面を貫通して形成されている。また、両内部導電性膜131A,132Aの周囲には、第一及び第二の基板11A,12Aのボルト締結用孔112A,112A,…、128A,128A,…に対応して八つのボルト締結用孔137A,137A,…が形成されている。
X1〜X4の位置には、それぞれ、第一の基板11Aの第一コネクタ113A,113A,…に対応して微細孔部138A,138A,…が表裏面を貫通して形成されており、これら微細孔部138A,138A,…の表面を覆うように導電性薄膜からなる四つの第三コネクタ(第一接続端子)139A,139A,…が形成されている。これらの微細孔部138A,138A,…は、それぞれ対応する第三コネクタ139A,139A,…に対応する形状とされ、ここでは円形状となっている。また、円形状の微細孔部138A,138A,…の内部には導電材料が充填されることにより、ビア配線が形成されている。
【0055】
X2の第三コネクタ139Aは、第三の基板13Aの表面上において、アノード側内部導電性膜131Aに電気的に接続するように連続して形成され、アノード側内部導電性膜131Aと導通している。なお、その他のX1、X3、X4の三つの第三コネクタ139A,139A,…は、アノード側内部導電性膜131Aと離間して形成されており、導通していない。
また、微細孔部138A,138A,…の裏面を覆うように導電性薄膜からなる四つの第四コネクタ(第四接続端子)130A,130A,…がX1〜X4の位置にそれぞれ形成されている。X1の第四コネクタ130A,130A,…は、それぞれカソード側内部導電性膜132Aに電気的に接続するように連続して形成され、カソード側内部導電性膜132Aと導通している。なお、その他のX1、X3、X4の三つの第四コネクタ130A,130A,…は、カソード側内部導電性膜132Aと離間して形成されており、導通していない。
【0056】
第三の基板13Aの裏面に当接して積層された第四の基板14Aは、第一〜第三の基板11A〜13Aと同形状をなし、その中央部に葛折り状の蛇行溝141Aが形成されている。蛇行溝141Aの一端部は、第四の基板14Aを貫通するカソードガス導入孔144Aに連通し、他端部は第四の基板14Aを貫通するカソードガス排出孔145Aに連通している。また、上述したアノードガス導入孔122A,133A及びアノードガス排出孔123A,134Aに対応して、第四の基板14Aにもアノードガス導入孔142A及びアノードガス排出孔143Aが形成されている。
【0057】
また、蛇行溝141Aの周囲を囲み、第一の基板11Aの開口部111Aに対応する箇所に、第四の基板14Aの表裏面を貫通する微細孔部146Aが形成されている。そして、この微細孔部146Aの表面を覆うようにカソード側表面導電性膜147Aが矩形状に形成されている。この微細孔部146Aは、対応する開口部111Aに対応する形状とされ、ここでは矩形状となっている。また、矩形状の微細孔部146Aの内部には導電材料が充填されることにより、ビア配線が形成されている。
さらに、第四の基板14Aには、第一〜第三の基板11A〜13Aと同様に八つのボルト締結用孔148A,148A,…が形成され、第一〜第四コネクタ113A,113A,…、139A,139A,…、130A,130A,…に対応する箇所に、表裏面を貫通する微細孔部149A,149A,…がそれぞれ形成されている。これらの微細孔部149A,149A,…は、それぞれ対応する第一〜第四コネクタ113A,113A,…、139A,139A,…、130A,130A,…に対応する形状とされ、ここでは円形状となっている。また、円形状の微細孔部149A,149A,…の内部には導電材料が充填されることにより、ビア配線が形成されている。
【0058】
第四の基板14Aの裏面に積層された第五の基板15Aは、第一〜第四の基板11A〜14Aと同形状をなし、その中央部に両面を貫通する矩形状の開口部151Aが形成されている。開口部151Aは第四の基板14Aのカソード側表面導電性膜(第二導電層)147Aを露出させ、この開口部151Aの周囲には、第一〜第四の基板11A〜14Aと同様に八つのボルト締結用孔152A,152A,…が形成されている。また、X1〜X4の位置には、開口部151Aと連通しないように開口部151Aから離間して、第三の基板13Aのカソード側内部導電性膜132Aを外部接続端子(図示しない)と導通させるための導電性薄膜からなる四つの第二コネクタ(第二接続端子)153A,153A,…が形成されている。
【0059】
そして、上述したように、第二〜第四の基板12A〜14Aの円形状の微細孔部129A,129A,…、138A,138A,…、149A,149A,…にはビア配線が形成されていて、これによって、第一コネクタ113A,113A,…、第三コネクタ139A,139A,…、第四コネクタ130A,130A,…及び第二コネクタ153A,153A,…がそれぞれ接続されている。また、第一コネクタ113A,113A,…及び第二コネクタ153A,153A,…は外部接続端子(図示しない)に接続されている。さらに、X2の第三コネクタ139Aがアノード側内部導電性膜131Aに電気的に接続するように連続して形成されており、X2の第四コネクタ130Aがカソード側内部導電性膜132Aに電気的に接続するように連続しているとともに、X2の第三コネクタ139AとX2の第四コネクタ130AとがX2の微細孔部138Aによって接続されることにより、互いに隣接するアノード側内部導電性膜131Aとカソード側内部導電性膜132Aとが導通する。
また、上述したように、第二及び第四の基板12A,14Aの矩形状の微細孔部126A,146Aにはビア配線が形成されていて、これによって、第二の基板12Aのアノード側表面導電性膜127Aと第三の基板13Aのアノード側内部導電性膜131A、及び、カソード側内部導電性膜132Aと第四の基板14Aのカソード側表面導電性膜147Aとが導通されている。
このようにして、アノード側内部導電性膜131Aと接続されたX2の第三コネクタ139Aと、カソード側内部導電性膜132Aと接続されたX2の第四コネクタ130Aとを備えたX2X2両面セパレータ1Aは、第二の基板12Aのアノード側表面導電性膜127Aと第四の基板14Aのカソード側表面導電性膜147AとがX2の第三コネクタ139A及びX2の第四コネクタ130Aを介して導通している。従って、X2X2両面セパレータ1Aを挟んで配置される膜電極接合体同士は互いに電気的に直列に接続されている。
また、本実施形態のセパレータは、第二の基板12Aのアノード側表面導電性膜127A及び第四の基板14Aのカソード側表面導電性膜147Aが、何れもX2の第一コネクタ113A及びX2の第二コネクタ153Aと導通しているとともに、X2の第一コネクタ113Aを介して、隣接する両面又は片面セパレータの対応する位置に設けられたコネクタと電気的に接続されている。
【0060】
同型のXnXm両面セパレータ(例えば、上述のX3X3両面セパレータ1B、X2X2両面セパレータ1D、X3X3両面セパレータ1E)は、何れも上述のX2X2両面セパレータの構成と同様の構成であるから、第二の基板のアノード側表面導電性膜と第四の基板のカソード側表面導電性膜とが導通しているので、互いに隣接した膜電極接合体同士が電気的に直列に接続される。また、第二の基板のアノード側表面導電性膜はXnの第一コネクタと導通し、第四の基板のカソード側表面導電性膜はXm(n=m)の第二コネクタと導通しているとともに、これら第二の基板のアノード側表面導電性膜及び第四の基板のカソード側表面導電性膜は、Xn(Xmと表記してもよい)の第一コネクタ又は第二コネクタを介して、隣接するセパレータの表裏面何れかにおける対応する位置に設けられたコネクタと電気的に接続されている。
以上のような同型のXnXm両面セパレータ(n=m)の等価回路は、一般的に、図9(b)に記載する電気回路図のうち、両面セパレータ1A,1B,1D,1Eを点線で囲んだ箇所のように表される。尚、図9については追って詳細に説明する。
【0061】
図7(a)は、X1X4両面セパレータ1Cを構成する第一の基板11C、(b)及び(c)は第二の基板12C、(d),(e),(f)は第三の基板13C、(g)及び(h)は第四の基板14C、(i)は第五の基板15Cを示し、(a)〜(i)は、それぞれ図2と同様の図1における切断線a−a〜i−iに沿って切断した際の平断面図である。
X1X4両面セパレータ1Cは、X2X2両面セパレータ1Aと同様に第一〜第五の基板11C〜15Cが積層されてなり、第三の基板13Cに形成された四つの第三コネクタ139C,139C,…のうち、X1の第三コネクタ139Cがアノード側内部導電性膜131Cに連続して形成され、四つの第四コネクタ130C,130C,…のうち、X4の第四コネクタ130Cがカソード側内部導電性膜132Cに連続して形成されている。なお、その他の構成は、X2X2両面セパレータ1Aと同様のため、同様の数字を付したものに英字のみをCに変更してその説明を省略する。
このように構成されたX1X4両面セパレータ1Cは、第一コネクタ113C〜第四コネクタ153Cが導電配線されているが、X1の第三コネクタ139Cがアノード側内部導電性膜131Cに連続して形成され、X4の第四コネクタ130Cがカソード側内部導電性膜132Cに連続して形成されているので、隣接するアノード側内部導電性膜131Cとカソード側内部導電性膜132Cとが導通されずに、絶縁される。その結果、異型のX1X4両面セパレータ1Cは並列に接続されている。
このように構成されたX1X4両面セパレータ1Cは、第一コネクタ113C,113C,…と第三コネクタ139C,139C,…とが、X2X2両面セパレータ1Aと同様に円形状の微細孔部129C,129C,…に形成されたビア配線によって互いに接続され、同様に、第三コネクタ139C,139C,…と第四コネクタ130C,130C,…とが、円形状の微細孔部138C,138C,…に形成されたビア配線によって互いに接続され、第四コネクタ130C,130C,…と第二コネクタ153C,153C,…とが、円形状の微細孔部149C,149C,…に形成されたビア配線によって互いに接続されている。また、X1の第三コネクタ139Cがアノード側内部導電性膜131Cに電気的に接続するように連続して形成され、X4の第四コネクタ130Cがカソード側内部導電性膜132Cに電気的に接続するように連続して形成されているが、X1の第三コネクタ139CとX4の第四コネクタ130Cとは絶縁されているので、隣接するアノード側内部導電性膜131Cとカソード側内部導電性膜132Cとが導通されずに、ひいては第二の基板12Cのアノード側表面導電性膜127Cと第四の基板14Cのカソード側表面導電性膜147Cとが絶縁される。その結果、詳しくは後述するが、異型のX1X4両面セパレータ1Cを挟んで配置される膜電極接合体同士は互いに電気的に並列に接続されている。また、第二の基板12Cのアノード側表面導電性膜127CはX1の第一コネクタ113Cと導通し、第四の基板14Cのカソード側表面導電性膜147CはX4の第二コネクタ153Cと導通している。
【0062】
異型のXnXm両面セパレータ(n≠m)は、何れも上述のX1X4両面セパレータの構成と同様の構成であるから、第二の基板のアノード側表面導電性膜と第四の基板のカソード側表面導電性膜とが導通していないので、互いに隣接した膜電極接合体同士が電気的に絶縁されている。また、第二の基板のアノード側表面導電性膜はXnの第一コネクタと導通し、第四の基板のカソード側表面導電性膜はXm(n≠m)の第二コネクタと導通しているとともに、第二の基板のアノード側表面導電性膜はXnの第一コネクタを介して、又、第四の基板のカソード側表面導電性膜はXmの第二コネクタを介して、隣接するセパレータの表裏面何れかにおける対応する位置に設けられたコネクタと電気的に接続されている。
以上のような異型のXnXm両面セパレータ(n≠m)の等価回路は、一般的に、図9(b)に記載する電気回路図のうち、両面セパレータ1Cを点線で囲んだ箇所のように表される。
【0063】
図8の(a)は、片面セパレータ2Aを構成する第一の基板21Aを示し、図5の切断線a−aに沿って切断した際の平断面図、(b)及び(c)は、第二の基板22Aを示し、(b)は切断線b−b、(c)は切断線c−cに沿って切断した際の平断面図、(d)は、第三の基板23Aを示し、切断線d−dに沿って切断した際の平断面図である。
片面セパレータ2Aは、矩形状に形成した三枚の絶縁性基板(第一〜第三の基板21A〜23A)を積層してなるものであり、第一の基板2Aは、第一の実施の形態のX2X2両面セパレータ1Aを構成する第一の基板11Aと同様のもので、開口部211A、四つの第一コネクタ(第三接続端子)213A,213A,…、八つのボルト締結用孔212A,212A,…が所定箇所に形成されている。
第二の基板22Aは、第一の実施の形態の第二の基板12AにおいてX2〜X4に形成された円形状の微細孔部129A,129A,…が設けられておらず、X1のみ円形状の微細孔部229Aが形成されているものである。この第二の基板22Aには、その他、葛折り状の蛇行溝221A、矩形状の微細孔部226A、アノード側(又はカソード側)表面導電性膜(第三導電層)227A、アノード側導入孔222A、アノード側排出孔223A、カソード側導入孔224A、カソード側排出孔225A、八つのボルト締結用孔228A,228A,…が、第一の実施の形態と同様の所定箇所に形成されている。
第三の基板23Aは、第一及び第二の基板21A,22Aと同形状をなし、第二コネクタ253A,253A,…と、第二コネクタ253A,253A,…に対応する箇所を除く全面を構成する導電性膜(第四導電層)231Aとからなるもので、アノードガス導入孔233A、アノードガス排出孔234A、カソードガス導入孔235A及びカソードガス排出孔236A及び八つのボルト締結用孔237A,237A,…が、第一の実施の形態と同様の所定箇所に形成されている。第二コネクタ253A,253A,…は、上述の導電性膜231Aと同一の部材によって構成されるとともにこの導電性膜231Aと電気的に接続され、且つ、上述の第一の基板に設けられた第一コネクタ213A,213A,…のそれぞれに対応する位置に設けられている。
そして、第二の基板22AのX1に形成された円形状の微細孔部229Aにはビア配線が形成され、これによってX1における第一コネクタ213Aと導電性膜231Aを含む第三の基板23Aとが第二コネクタ253Aを介して接続されることにより、これらの各構成が互いに導通している。
また、第二の基板22Aの矩形状の微細孔部226Aにはビア配線が形成され、これによって、第二の基板22Aのアノード側(又はカソード側)表面導電性膜227Aと導電性膜231Aを含む第三の基板23Aとが導通されている。
なお、この片面セパレータ2Aは、X1〜X4のうち少なくとも一箇所(上述のX1片面セパレータ2Aにおいては、位置X1)における第一の基板21Aの第一コネクタ213A及び第二の基板22Aの微細孔部229Aを有する構成とすれば良い。この場合、片面セパレータ2Aの表面に当接して配置される別の両面又は片面セパレータと第三の基板23Aとが当該位置(X1)においてのみ導通される。その一方で、別の両面又は片面セパレータと第三の基板23Aとを絶縁したい場合は、第一の基板21Aの第一コネクタ213A又は第二の基板22Aの微細孔部229Aのうち何れか一方を備えない構成とする。また、他の位置(X2〜X4)においても、後述の燃料電池装置5に適用した場合に、上記の別の両面又は片面セパレータと第三の基板23Aとを導通させる必要があれば、各位置における第一の基板21Aの第一コネクタ213A及び第二の基板22Aの微細孔部229Aを設けるようにしても良い。
【0064】
また、上述のような片面セパレータにおいて、X1〜X4のうち複数箇所において、別の両面又は片面セパレータと第三の基板23Aとが導通するものをXn,m片面セパレータと言う。例えば、位置X1とX2とにおいて第三の基板23Aとが導通するものをX1,2片面セパレータと言う。
一般的に、Xn片面セパレータは、何れも上述のX1片面セパレータの構成と同様の構成であるから、第一の基板におけるXk(kは自然数)の第一コネクタは、第三の基板の導電性膜と電気的に接続されているとともに、第一の基板におけるXl(lは自然数。ただしl≠k)の第三の基板の導電性膜とは電気的に絶縁されている。また、第二の基板のアノード側又はカソード側表面導電性膜は、第三の基板の導電性膜とは電気的に絶縁されている。
以上のような同型のXn片面セパレータ(nは自然数)の等価回路は、一般的に、図9(b)に記載する電気回路図のうち、片面セパレータ2A又は片面セパレータ3Aを点線で囲んだ箇所のように表される。
【0065】
次に、以上の構成を有するセパレータ及び燃料電池装置の作用を説明する。
図9(a)は、本実施の形態の燃料電池装置5のセパレータの配列を示した模式図であり、図中のXnXm又はXn(n、mは1乃至4の自然数)は、上述のセパレータの構成を表す指数である。図9(b)は、本実施の形態の燃料電池装置5の積層方向の電気的接続を表す電気回路図、図9(c)は、本実施の形態の燃料電池装置5の等価回路図である。
図9(b)のうち直線は配線等の電気的接続を示し、直線同士の交差位置における●は、これらの配線等同士が電気的に接続されていることを示す。また、図における左右方向に延びる4本の直線は、上から電位が高い順に配列して記載している。また、これらの直線の左右端部における●は、外部回路に接続される端子を示すとともに、○は、外部回路に接続されない端子を示している。また、点線で囲繞された部分がそれぞれ両面セパレータ又は片面セパレータに対応しており、これらの囲繞された部分同士の間がそれぞれ膜電極接合体に対応していて、各膜電極接合体の部分に記載された電池の回路記号は、これらの各部分において起電力が発生することを表している。
なお、図中セル6とは、カソード側片面セパレータ3AとX3X3両面セパレータ1Eと、これらの間に挟まれる膜電極接合体6からなる燃料電池セル(セル構造)のことを言う。同様にして、セル5は、X3X3両面セパレータ1E、X2X2両面セパレータ1D、膜電極接合体6からなる燃料電池セル、セル4は、X2X2両面セパレータ1D、X1X4両面セパレータ1C、膜電極接合体6からなる燃料電池セル、セル3は、X1X4両面セパレータ1C、X3X3両面セパレータ1B、膜電極接合体6からなる燃料電池セル、セル2は、X3X3両面セパレータ1B、X2X2両面セパレータ1A、膜電極接合体6からなる燃料電池セル、セル1は、X2X2両面セパレータ1A、アノード側片面セパレータ2A、膜電極接合体6からなる燃料電池セルとする。
図9(c)に示すように、上述のように組み合わせてなるスタック構造では、セル6とセル3、セル5とセル2、セル4とセル1とがそれぞれ並列接続され、これら三つの並列接続が互いに直列接続となっている。
したがって、並列接続された二つのセル電流値の合計はそれぞれ同じ値となる(I=I6+I3+I5+I2+I4+I1)。また、並列接続された二つのセル電圧は同じ値となる(V6=V3、V5=V2、V4=V1)。
【0066】
また、以上のようにして複数の燃料電池セルが積層されてなる燃料電池装置5は、積層前に個々の燃料電池セルが互いに同じ出力性能である場合でも、これらの燃料電池セルを積層し、燃料電池装置5として稼働する状態においては、その設計や運転方法などにより各燃料電池セルによって出力性能がばらつく傾向がある。また、そのばらつきは、燃料電池の積層方向における各燃料電池セルのスタック位置に依存する場合が多い。このように、上記燃料電池装置5において出力性能がばらつく例を図10(a),(b)に示した。尚、この場合、出力性能は、同じ電流を流したときの電圧とする。
図10(a),(b)はそれぞれ、縦軸方向が各燃料電池セルの積層方向を表し、横軸方向において右側の方が出力性能が大きいことを表す。また、図中▲は、縦軸方向の左側に示した各セル1〜6の出力性能を表している。具体的には、図10(a)は、セルスタック71の両端側のセルから中央側のセルへと徐々に性能が上がる例であり、図10(b)は、セルスタック71の中央側のセルから両端側のセルへと徐々に性能が上がる例である。
ここで、上述した本実施の形態の燃料電池装置5は、図10における右側への引出線によって関連づけられた各2つのセルがそれぞれ並列とされている。具体的には、セル6とセル3、セル5とセル2、セル4とセル1がそれぞれ並列とされている。このような接続構成を図10(a)や(b)のような出力性能を有するセル1〜6に適用することにより、出力性能の高いセルと出力性能の低いセルとが互いに組み合わされることになる。この場合、図27に示したように、低い性能のセルに対して高い性能のセルが負荷を補うようになり、発電限界に達するセルの発生を防ぐと同時に全体の出力低下を最小限にとどめることができるようになっている。
【0067】
以上のように、本発明の実施の形態の燃料装置5によれば、カソード側X3片面セパレータ3A、膜電極接合体6、複数の両面セパレータ1A〜1E、アノード側片面セパレータ2Aを適宜組み合わせて積層し、アノードガス及びカソードガスを流入することにより、膜電極接合体6を二つ並列接続し、並列接続した膜電極接合体6のグループを三つ直列接続するので、上述のセル構造同士を外部配線を設けることなく、直列又は並列、又はその両方を含む接続とすることができる。更に、各基板に設けられる複数のコネクタは何れも、基板に備えられた複数の締結用穴を囲繞する最短の閉曲線内に形成されているので、従来のセパレータの形状を大きくすることなく、これらのコネクタを備える構成とすることができる。
また、セル構造同士を並列接続することにより、スタックの積層位置において性能差の傾向が発生している場合でも、その性能差を補う作用により、高出力で安定した燃料電池装置5とすることができる。さらに、このような燃料電池装置5は、セル構造同士を直列又は並列接続する場合に、外部配線を設ける必要がないので、組立工程が少ないセパレータ及び燃料電池装置を提供することができる。
【0068】
上述したように、同型のXnXm両面セパレータ(n=m)の等価回路は図9(b)の1A、1B、1D、1E、異型のXnXm両面セパレータ(n≠m)の等価回路は図9(b)の1C、Xn片面セパレータの等価回路は2A、3Aのようになる。この図から、上述したような燃料電池装置5において、内部における膜電極接合体同士の電気的接続を一般的に構成するためには、以下の条件を満たすように構成するとよいことがわかる。
第一に、一の膜電極接合体と他の膜電極接合体とが直列に接続される場合は、一の膜電極接合体のうち他の電極と当接するセパレータをXiXm両面セパレータ又はXi片面セパレータとするとともに、他の膜電極接合体のうち一の電極と当接するセパレータをXnXi両面セパレータ又はXi片面セパレータとする(以下、第一の条件と言う。)。
第二に、一の膜電極接合体と他の膜電極接合体とが並列に接続される場合は、一の膜電極接合体の一の電極と当接するセパレータをXnXi両面セパレータ又はXi片面セパレータとするとともに、他の膜電極接合体の一の電極と当接するセパレータをXmXi両面セパレータ又はXi片面セパレータとし、且つ、一の膜電極接合体の他の電極と当接するセパレータをXjXm両面セパレータ又はXj片面セパレータとするとともに、他の膜電極接合体の他の電極と当接するセパレータをXjXn両面セパレータ又はXj片面セパレータとする(以下、第二の条件と言う。)。
【0069】
ここで、上述したものとは異なる出力性能のばらつきを示す他の燃料電池装置について、セパレータのスタック順序と種類を変更して構成する例を説明する。
[変形例1−1]
以下に具体例として、図11を参照して説明する。
この燃料電池装置は、第一の実施の形態と同様、6個のセルを積層したものであり、運転時に図11(a)のような出力性能を呈するものであるとする。この場合、上述したように、出力性能の大きいセルと出力性能の小さいセルとを並列に接続するとよい。その場合の等価回路を図11(b)に示す。尚、以下では、セパレータの構成を理解しやすくするために図11(b)の等価回路図に対応する電気的接続の模式図である図11(c)を参照して説明する。図11(d)は、燃料電池装置のセパレータの配列を示した模式図である。
図11に示すように、燃料電池装置5Aは、その一方の端部側から順にカソード側X1片面セパレータ301、X2X2両面セパレータ101E、X3X3両面セパレータ101D、X4X3両面セパレータ101C、X4X2両面セパレータ101B、X3X1両面セパレータ101A、アノード側X2片面セパレータ201が、各セパレータ間に膜電極接合体601,601,…を挟んだ状態で積層されている。
【0070】
図中、セル6とはカソード側X1片面セパレータ301とX2X2両面セパレータ101Eと、これらの間に挟まれる膜電極接合体601からなる燃料電池セル(セル構造)のことを言う。同様にして、セル5は、X2X2両面セパレータ101E、X3X3両面セパレータ101D、膜電極接合体601からなる燃料電池セル、セル4は、X3X3両面セパレータ101D、X4X3両面セパレータ101C、膜電極接合体601からなる燃料電池セル、セル3は、X4X3両面セパレータ101C、X4X2両面セパレータ101B、膜電極接合体601からなる燃料電池セル、セル2は、X4X2両面セパレータ101B、X3X1両面セパレータ101A、膜電極接合体601からなる燃料電池セル、セル1は、X3X1両面セパレータ101A、アノード側X2片面セパレータ201、膜電極接合体601からなる燃料電池セルとする。
ここで、上述の両面又は片面セパレータ構成とする手順を以下に記載する。
まず、任意の一のセル、例えばセル6に着目し、セル6のアノード電極と当接する片面セパレータをXi片面セパレータ301及びXjX両面セパレータとする。ここで、i,j,k,lは何れも、互いに異なる1乃至4の自然数であり、添字のないXはコネクタ位置が現時点で不定であることを表す。
図11(b)より、セル6は、セル5及びセル2と直列接続されているから、これらのセルに当接する各セパレータに対して上述の第一の条件を適用すると、膜電極接合体601のアノード電極と当接する両面セパレータ101EをXXj両面セパレータとし、膜電極接合体601のアノード電極と当接する両面セパレータ101BをXXjとすることができる。更に、セル6は、セル1と並列接続されているから、セル1に当接する各セパレータに対して上述の第二の条件を適用すると、膜電極接合体601のアノード電極と当接する両面セパレータ101AをXXi両面セパレータとし、膜電極接合体601のカソード電極と当接する片面セパレータ201をXj片面セパレータとすることができる。
ここで、簡単のために、セパレータのコネクタ位置を表す指数を抽出した配列を用いて、以下に説明する。この場合、上述の条件を配列で表すと式(1)のように決まる。上述の条件によりコネクタ位置が決定できない場合は「−」で表記している。
(i,j,j,−,−,−,−,−,−,−,i,j) … (1)
次に、セル5に着目すると、セル5はセル4及びセル3と直列接続されるとともに、セル2と並列接続されるので、同様の手順により配列は式(2)のように決まる。
(i,j,j,k,k,−,−,−,j,k,i,j) … (2)
更に、セル4に着目すると、セル4はセル3と並列接続されるので、同様の手順により配列は式(3)のように決まる。
(i,j,j,k,k,l,k,l,j,k,i,j) … (3)
最後に、i,j,k,lを何れも、互いに異なる1乃至4の自然数となるように任意に割り当てることにより、図11(d)に示した燃料電池装置の等価回路図11(b)を、例えば式(4)のように構成することができる。ただし、i,j,k,lに1乃至4の自然数を割り当てる組み合わせは、順列的に適宜変更してもよい。
(1,2,2,3,3,4,3,4,2,3,1,2) … (4)
尚、本変形例の燃料電池装置は、上述のように各セパレータを組み合わせて接続することにより、並列接続された三組が直列に接続されるので、並列接続された一組から得られる電圧の約3倍の電圧が得られる。
また、上述の第一及び第二の条件を満たすように構成された燃料電池装置は、2つの回路構成を直列接続する場合には少なくとも2つのコネクタが必要となることから、n個の回路構成を直列に接続する場合、少なくともn+1個のコネクタが必要となることがわかる。従って、本変形例の場合には三組のみ直列に接続することからn+1=4個のコネクタ(X1〜X4)があれば足りることがわかる。
【0071】
上記変形例1−1と同様に、図12(a)〜15(a)のような出力性能を呈する他の変形例である燃料電池装置においては、図12(b)〜15(b)にそれぞれ示す通りの等価回路を構成すればよく、更に、図12(c)〜15(c)にそれぞれ示す通りのセパレータ構成とすればよいことがわかる。
具体的には、図12に示す燃料電池装置は、その一方の端部側から順に、冷却層、カソード側X1片面セパレータ302、X2X2両面セパレータ102L、X3X3両面セパレータ102K、X7X1両面セパレータ102J、X2X2両面セパレータ102I、X3X3両面セパレータ102H、X7片面セパレータ102G、冷却層、X4片面セパレータ102F、X5X5両面セパレータ102E、X6X6両面セパレータ102D、X7X4両面セパレータ102C、X5X5両面セパレータ102B、X6X6両面セパレータ102A、アノード側X7片面セパレータ202、冷却層が、各セパレータ間に膜電極接合体602,602,…を挟んだ状態で積層されている。このように組み合わされてなるスタック構造では、セル12(セル構造)とセル9、セル11とセル8、セル10とセル7、セル6とセル3、セル5とセル2、セル4とセル1とがそれぞれ並列接続され、これら六つの並列接続が互いに直列接続となっている。
【0072】
図13に示す燃料電池装置は、その一方の端部側から順に、冷却層、カソード側X1片面セパレータ303、X2X2両面セパレータ103L、X3X3両面セパレータ103K、X4X4両面セパレータ103J、X5X5両面セパレータ103I、X6X6両面セパレータ103H、X7片面セパレータ103G、冷却層、X4片面セパレータ103F、X5X5両面セパレータ103E、X6X6両面セパレータ103D、X7X1両面セパレータ103C、X2X2両面セパレータ103B、X3X3両面セパレータ103A、アノード側X4片面セパレータ203、冷却層が、各セパレータ間に膜電極接合体603,603,…を挟んだ状態で積層されている。このように組み合わされてなるスタック構造では、セル9(セル構造)とセル6、セル8とセル5、セル7とセル4、セル12とセル3、セル11とセル2、セル10とセル1とがそれぞれ並列接続され、これら六つの並列接続が互いに直列接続となっている。
【0073】
図14に示す燃料電池装置は、その一方の端部側から順に、カソード側X1片面セパレータ304、X2X1両面セパレータ104E、X2X1両面セパレータ104D、X2X2両面セパレータ104C、X3X2両面セパレータ104B、X3X2両面セパレータ104A、アノード側X3片面セパレータ204が、各セパレータ間に膜電極接合体604,604,…を挟んだ状態で積層されている。このように組み合わされてなるスタック構造では、セル4(セル構造)とセル5とセル6、セル1とセル2とセル3がそれぞれ並列接続され、これら二つの並列接続が互いに直列接続となっている。
【0074】
図15に示す燃料電池装置は、表面から順に、カソード側X1片面セパレータ305、X2X2両面セパレータ105C、X3X2両面セパレータ105B、X3X3両面セパレータ105A、アノード側X4片面セパレータ204が、各セパレータ間に膜電極接合体605,605,…を挟んだ状態で積層されている。このように組み合わされてなるスタック構造では、セル2(セル構造)とセル3が並列接続され、この並列接続と、セル1と、セル4とが互いに直列接続となっている。
【0075】
[変形例1−2]
図16は、四枚の絶縁性基板11F,12F、16F、15Fを積層してなるX2X2両面セパレータ1Fを図3のIVb−IVb切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
この変形例の両面セパレータ1Fは、上述した五枚の絶縁性基板11A〜15AからなるX2X2両面セパレータ1Aにおける内部導電性膜131Aと同様の内部導電性膜131Fを一層のみ備えており、両面セパレータ1Aにおける内部導電性膜132Aと同様の内部導電性膜は設けられていない。本変形例1−2の両面セパレータ1Fは、上述した第一の実施の形態の両面セパレータ1Aと対比した場合、両面セパレータ1Aの第三の基板13Aと第四の基板14Aとを一枚の絶縁性基板16Fとするとともに、両面セパレータ1Aの内部導電性膜131A,132Aのうち一方と当該内部導電性膜と同一面上に形成された第三コネクタ139A又は第四コネクタ130Aの何れか一方が省略されているものである。なお、図16中、絶縁性基板11F,12F,15Fにおいては、両面セパレータ1Aと同様の構成部分については同一の数字を用いるとともに末尾に英字Fを付している。この場合、X2の第一コネクタ113F及びX2の第三コネクタ139Fと、アノード側表面導電性膜127F及びカソード側表面導電性膜147Fとが、内部導電性膜131Fとビア配線とを介して互いに電気的に接続されている。
この変形例においては、第一コネクタ113Fと内部導電性膜131Fとが接続される位置Xnと、第二コネクタ139Fと内部導電性膜131Fとが接続される位置Xmとが、構造上必ず同じ位置となるので、本変形例の両面セパレータ1Fは、同型のXnXm両面セパレータ(ただし、n,mはn=mである1乃至4の自然数)となる。
【0076】
[変形例1−3]
図17は、三枚の絶縁性基板11G,17G,15Gを積層してなるX2X2両面セパレータ1Gを図3のIVb−IVb切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
この変形例のX2X2両面セパレータ1Gは、内部導電性膜を備えない構成とした変形例である。本変形例1−3の両面セパレータ1Gは、上述した第一の実施の形態のの両面セパレータ1Aと対比した場合、両面セパレータ1Aの第二の基板12A、第三の基板13A及び第四の基板14Aが、一枚の絶縁性基板17Gとするとともに、両面セパレータ1Aの内部導電層131A,132A、第三コネクタ139A及び第四コネクタ130Aが何れも省略されているものである。なお、図17中、絶縁性基板11G,15Gにおいては、両面セパレータ1Aと同様の構成部分については同一の数字を用いるとともに末尾に英字Gを付している。
詳細には、絶縁性基板17Gの表面上において、表面導電性膜127GがX2の第一コネクタ113Gと対向する位置まで延在して形成されてこの対向位置における表面導電性膜127Gが第三コネクタ139Gとされ、これらのX2の第一コネクタ113GとX2の第三コネクタ139Gとが当接することによって、表面導電性膜127GとX2の第一コネクタ113Gとが電気的に接続されている。
同様に、絶縁性基板17Gの裏面上において、表面導電性膜147GがX2の第二コネクタ153Gと対向する位置まで延在して形成されてこの対向位置における表面導電性膜147Gが第四コネクタ130Gとされ、これらのX2の第二コネクタ153GとX2の第四コネクタ130Gとが当接することによって、表面導電性膜147GとX2の第二コネクタ153Gとが電気的に接続されている。
上述の構成により、X2の第一コネクタ113G及びX2の第二コネクタ153Gと、表面導電性膜127G,147Gとが、ビア配線を介して互いに電気的に接続されている。
また、この変形例において、第一コネクタ113Gと表面導電性膜127Gとが接続される位置Xnと、第二コネクタ153Gと表面導電性膜147Gとが接続される位置Xmとにおいて、n=mとなるようにこの両面セパレータを構成した場合には同型のXnXm両面セパレータ(n=m)に対応するものとなり、n≠mとなるようにこの両面セパレータを構成した場合には異型のXnXm両面セパレータ(n≠m)に対応するものとなる。
【0077】
[変形例1−4]
図18(a)は、五枚の絶縁性基板11H〜15Hを積層してなるX2,4X2,4両面セパレータ1Hを図3のIVb−IVb切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図、図18(b)はX2,4X2,4両面セパレータ1Hを図3のIVc−IVc切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。本変形例においては、位置X2及び位置X4の第三コネクタ139H及び第四コネクタ130Hが何れも、アノード側内部導電性膜131H及びカソード側内部導電性膜132Hに接続されている。これにより、アノード側表面導電性膜127Hとカソード側表面導電性膜147Hとが内部導電性膜131H,132Hを介して、直列に接続される。また、図18中、五枚の絶縁性基板11H〜15Hにおいて、上述した両面セパレータ1Aの第一〜第五の基板15Hと同様の構成部分については同一の数字を用いるとともに末尾に英字Hを付している。ここで、上述の表記「X2,4X2,4両面セパレータ」のうちXに付したカンマ区切りの下付き添数字(ここでは、2及び4)は、両面セパレータ1Hの内部導電層131Aが第三コネクタと位置2及び位置4の両方において接続されるとともに、内部導電層132Aが第四コネクタと位置2及び位置4において電気的に接続されていることを表すものである。
なお、内部導電性膜131Hと第三コネクタ139H及び第四コネクタ130Hとを2つ以上の位置で接続し、内部導電性膜132Hと第三コネクタ139H及び第四コネクタ130Hとをこれら2つ以上の位置と何れも異なる位置で接続することにより、アノード側表面導電性膜127Hとカソード側表面導電性膜147Hとを並列に接続することもできる。
また、内部導電性膜131H,132Hと第三コネクタ139H又は第四コネクタ130Hとが接続される位置は、上述の組み合わせに限らず、適宜変更してもよい。
本変形例では、複数のビア配線を介して電気回路を構成するため、電気抵抗を低減することができ、ひいては燃料電池装置の発電効率を上げることができる。
【0078】
[変形例1−5]
図19(a)は、二枚の絶縁性基板11J、12Jを積層してなるX2片面セパレータ1Jを図3のIVb−IVb切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図、図19(b)は、X2片面セパレータ1Jを図3のIVc−IVc切断線に沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。図19に示す片面セパレータ1Jは、図17の変形例と同様に表面導電性膜127Jをコネクタ形成位置まで延在して形成することによって、第一のコネクタ113Jと表面導電性膜127Jとが接続される構成とするとともに、上述した両面セパレータ1Aの第三の基板13A〜第五の基板15Aが排除されたものである。本変形例の表面導電性膜127Jは位置X2の第一コネクタ113Jと接続される一方で、他の位置X1,X3,X4の第一コネクタ113J,113J,…とは接続されない。
なお、片面セパレータ1Jの裏面、即ち、表面導電性膜127Jが形成されていない側の表面には、第二コネクタ153J,153J,…が露出して形成され、これらの第二コネクタ153J,153J,…は何れも、片面セパレータ1J内部に形成されたビア配線及び第三コネクタ139J,139J,…によって、第一のコネクタ113J,113J,…と接続されている。
上述のような片面セパレータを2つ(例えば、X2片面セパレータとX3片面セパレータ)を組み合わせることによって、これまでに記載した両面セパレータと同様に、隣接する膜電極接合体同士を直列又は並列に接続するように機能させることができる。この場合、X2片面セパレータの第四コネクタと、X3片面セパレータの第四コネクタとが対向するように配置し、互いに対応する位置に設けられた第四コネクタ同士を当接させて接続することによって、隣接する片面セパレータ同士の電気的接続を確立する。
なお、上述の通り、一方の片面セパレータは、その片面セパレータが備える第三のコネクタと他方の片面セパレータの第三のコネクタとが対向及び当接するように上下反転した上で、他方の片面セパレータと電気的に接続されるように設ける必要がある。このとき、片面セパレータの裏面上に形成される第三のコネクタは、その裏面上において、矩形状または正方形状の片面セパレータの対向する2辺の中点を結ぶ線分に対して線対称に設ける構成とすると、この構成とされた片面セパレータ同士は、何れを組み合わせても第三のコネクタ同士をそれぞれ当接させることができる。
この変形例の場合、2つの片面セパレータを第四コネクタ同士がそれぞれ当接するように配置した際に、各片面セパレータにおいて表面導電性膜と第一コネクタとが同じ位置で接続されている場合(例えば、上述のX2片面セパレータとX3片面セパレータの組み合わせ)、隣接する膜電極接合体同士はこれらの片面セパレータによって直列に接続される。同様に、各片面セパレータにおいて表面導電性膜と第一コネクタとが異なる位置で接続されている場合(例えば、上述のX2片面セパレータとX4片面セパレータの組み合わせ)、隣接する膜電極接合体同士がこれらの片面セパレータによって並列に接続される。
なお、上記何れの変形例においても、上記第一の実施の形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0079】
[第二の実施の形態]
第一の実施の形態では、図2に示すようにカソード側X4片面セパレータ3Aの表面に陽極側集電板72及びエンドプレート76を設け、アノード側X1片面セパレータ2Aの裏面に陰極側集電板73及びエンドプレート77を設ける構成としたが、第二の実施の形態では、カソード側X4片面セパレータ3Kは、第三の基板33Kの表面に陽極側集電板及びエンドプレートが一体に形成された第六の基板36Kが設けられ(図20参照)、アノード側X1片面セパレータ2Kは、第三の基板23Kの裏面に陰極側集電板及びエンドプレートが一体に形成された第七の基板27Kが設けられている(図21参照)。
なお、カソード側X4片面セパレータ3K及びアノード側X1片面セパレータ2Kにおいて、第一の実施の形態のカソード側X4片面セパレータ3A及びアノード側X1片面セパレータ2Aと同様の構成部分には同一の数字にローマ字Kを付してその説明を省略する。
【0080】
図20(a)は、カソード側X4片面セパレータ3Kを構成する第五の基板35K、(b)及び(c)は第四の基板34K、(d)は第三の基板33K、(e)は第六の基板36Kを示し、(a)〜(d)は、それぞれ図8と同様の図5における切断線a−a〜d−dに沿って切断した際の平断面図、(e)も図示しないが同様にして切断した際の平断面図、(f)は、(e)における切断線f−fに沿って切断した際の矢視断面図である。
また、図21(a)は、アノード側X1片面セパレータ2Kを構成する第一の基板21K、(b)及び(c)は第二の基板22K、(d)は第三の基板23K、(e)は第七の基板27Kを示し、(a)〜(d)は、それぞれ図8と同様の図5における切断線a−a〜d−dに沿って切断した際の平断面図、(e)も図示しないが同様にして切断した際の平断面図、(f)は、(e)における切断線f−fに沿って切断した際の矢視断面図である。
【0081】
図20に示すように、カソード側X4片面セパレータ3Kは、第一の実施の形態のカソード側X4片面セパレータ3Aと同様に第三の基板33K、第四の基板34K、第五の基板35Kを有し、さらに、第三の基板33Kの表面に絶縁性の第六の基板36Kが積層されている。第六の基板36Kには、第三の基板33Kのアノードガス導入孔333K、アノードガス排出孔334K、カソードガス導入孔335K及びカソードガス排出孔336Kに連通するガス継手361K,361K,…が表面に突出して設けられている。また、八つのボルト締結用穴362K,362K,…が所定箇所に形成されている。さらに、第六の基板36Kの短手方向左側縁部には、第三の基板33Kの導電性膜331Kを露出する矩形状の切欠部363Kが形成され、この切欠部363Kに導電性膜331Kと導通する電気外部取り出し部(外部端子)364Kが第六の基板36Kの表面から突出して設けられている。電気外部取り出し部364Kは、例えば、上述した燃料電池装置5における陽極側の端子に接続されるようになっている。ここで、第三の基板33Kの導電性膜331Kのうち、第五の基板35Kに設けられた複数の第一コネクタ313K,313K,…に対応する箇所を、第二コネクタ(第二接続端子)353K,353K,…としている。
【0082】
一方、図21に示すように、アノード側X1片面セパレータ2Kは、第一の実施の形態のアノード側X1片面セパレータ2Aと同様に第一の基板21K、第二の基板22K、第三の基板23Kを有し、さらに、第三の基板23Kの裏面に第七の基板27Kが積層されている。第七の基板27Kには、八つのボルト締結用穴271K,271K,…が所定箇所に形成されている。さらに、第七の基板27Kの短手方向左側縁部には、第三の基板23Kの導電性膜231Kを露出する切欠部272Kが形成され、この切欠部272Kに導電性膜231Kと導通する電気外部取り出し部273Kが第七の基板27Kの裏面から突出して設けられている。電気外部取り出し部(外部端子)273Kは、例えば、上述した燃料電池装置5における陰極側の端子に接続されるようになっている。ここで、第三の基板23Kの導電性膜231Kのうち、第一の基板21Kに設けられた複数の第一コネクタ213K,213K,…に対応する箇所を、第二コネクタ(第二接続端子)253K,253K,…としている。
【0083】
そして、上記図20に示すカソード側X4片面セパレータ3Kを、第一の実施の形態におけるカソード側X4片面セパレータ3Aの代わりに使用し、上記図21に示すアノード側X1片面セパレータ2Kを、第一の実施の形態におけるアノード側X1片面セパレータ2Kの代わりに使用しても良い。このような集電機能とセパレータとしての両方の機能を備えたカソード側X4片面セパレータ3K及びアノード側X1片面セパレータ2Kを使用することにより、片面セパレータに別途集電板を設ける必要がなく、部品点数を減らすことができ、燃料電池装置の小型化を図ることができる。
【0084】
なお、上述のような第六の基板36Kや第七の基板27Kを備えたX4片面セパレータ3K、X1片面セパレータ2Kは、一般的に表されるXn片面セパレータに適用することができることは言うまでもない。また、本第二の実施の形態に係る各片面セパレータと、上記第一の実施の形態に係る各両面セパレータとを組み合わせて使用することによって、上記第一の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0085】
[第三の実施の形態]
図22〜図25に、第三の実施の形態の燃料電池装置5Lの構成例を示す。本第三の実施の形態の燃料電池装置5Lにおいては、高電圧側及び低電圧側の電気の取り出し口をともに、燃料電池装置5Lのアノード側の端部に設けたものである。
図22は、燃料電池装置5Lを図24の切断線XXIVb−XXIVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。第三の実施の形態の燃料電池装置5Lは、図2に示す第一の実施の形態の燃料電池装置5と対比すると、アノード側片面セパレータ2L、カソード側片面セパレータ3L、陽極側集電板73L及び陰極側集電板72Lの構成だけが異なっており、それ以外の構成は同じであるので、図22においては、上述の燃料電池装置5の符号と同一のものを付している。
図22に示すように、燃料電池装置5Lの陽極側集電板72Lは、高電圧側及び低電圧側の両方の外部端子が設けられる。一方、陰極側集電板73Lは、外部端子を備えていない。なお、本第三の実施の形態においては、陰極側集電板73Lは備えない構成としてもよい。
図23(a)は、第三の実施の形態の燃料電池装置5Lのセパレータの配列を示した模式図であり、図中のXnXm又はXn(n、mは1乃至4の自然数)は、上述の第一の実施の形態と同様、セパレータの構成を表す指数である。図23(b)は、燃料電池装置5Lの積層方向の電気的接続を表す電気回路図、図23(c)は、燃料電池装置5Lの等価回路図である。
図23(a)に示すように、燃料電池装置5Lは、その一方の端部側から順にカソード側X4片面セパレータ3L、X3X3両面セパレータ106E、X2X2両面セパレータ106D、X1X4両面セパレータ106C、X3X3両面セパレータ106B、X2X2両面セパレータ106A、アノード側X1片面セパレータ2Lが、各セパレータ間に膜電極接合体606,606,…を挟んだ状態で積層されたスタック構造となっている。また、本第三の実施の形態の燃料電池装置5Lが備えるセパレータは何れも、上述の第一の実施の形態と同じ配列であるが、後述するように、端部にそれぞれ配置されるX1片面セパレータ2LとX4片面セパレータ3Lの内部における端子と内部導電性膜間の接続が異なっている。
【0086】
図23(b)に示すように、上述のように組み合わせてなるスタック構造では、上述の第一の実施の形態における燃料電池装置5と同様に、セル6(セル構造)とセル3、セル5とセル2、セル4とセル1とがそれぞれ並列接続され、これら三つの並列接続が互いに直列接続となっている。本第三の実施の形態においては、カソード側の端部に高電圧側及び低電圧側の両方の外部端子を設けることができる。この場合、図23における位置X1の第二接続端子が低電圧側の外部端子となり、位置X4の第2接続端子及び内部導電層が高電圧側の接続端子となる。そして、これらの接続端子が、それぞれ陽極側集電板72Lに設けられた内部配線を介して、陽極側集電板における外面に露出した端部に設けられた外部端子と接続されており、これらの外部端子と燃料電池システムの電圧取り入れ用の端子とが接続されることによって、燃料電池システムに電力が供給される。
【0087】
図24(a)は、第三の実施の形態のアノード側の端部に配置されるX1片面セパレータ2L、図24(b)は、図24(a)のXXIVb-XXIVb切断線に沿った断面、図24(c)は、図24(a)のXXIVc-XXIVc切断線に沿った断面を示す。また、図25(a)は、第三の実施の形態におけるカソード側片面セパレータ3Lの平面図、図25(b)は、図25(a)のXXVb-XXVb切断線に沿った断面、図25(c)は、図25(a)のXXVc-XXVc切断線に沿った断面を示す。なお、カソード端部側には、陰極側集電板73Lの代わりに、絶縁基板が配置されており、X1片面セパレータ2Lは、後述の通り、X1X1両面セパレータ106Aとだけ電気的に接続されている。
図24(a)〜(c)に示すように、アノード側のX1片面セパレータ2Lは、位置X1の第二コネクタ253Lが、位置X1の第一コネクタ213Lと接続されているとともに、内部導電性膜231Lと接続されている。また、位置X2,X3及びX4の第一コネクタ213L,213L,213Lと第二コネクタ253L,253L,253Lとは互いに接続されておらず、内部導電性膜231Lとも絶縁されている。なお、図24に示すアノード側のX1片面セパレータ2Lにおいては、上述の構成に限らず、位置X2,X3及びX4の第二コネクタ253L,253L,253Lは、対応する位置の各第一コネクタ213L,213L,213Lとが絶縁されてさえいれば、何れも内部導電性膜231Lと接続されている構成でもよい。この場合、上述の第一の実施の形態におけるアノード側のX1片面セパレータ2Aと同一の構成となる。更には、上述の位置X2,X3及びX4の第二接続端子の何れも備えない構成としてもよい。
【0088】
図25に示すように、カソード側のX4片面セパレータ3Lは、位置X4の第二コネクタ353Lが、位置X4の第一コネクタ313Lと接続されているとともに、内部導電性膜331Lと接続されている。また、位置X1の第二コネクタ353L,353L,353Lは、位置X1の第一コネクタ313Lと接続されているが、内部導電性膜331Lと絶縁されている。また、位置X2の第一コネクタ313Lと第二コネクタ353Lとは互いに接続されておらず、内部導電層00とも絶縁されている。同様に、位置X3の第一コネクタ313Lと第二コネクタ353Lとは互いに接続されておらず、内部導電層00とも絶縁されている。なお、図25に示すアノード側のX4片面セパレータ3Lにおいては、上述の構成に限らず、位置X2及びX3の第二コネクタ353L,353L,353Lは、第一コネクタ313L,313L,313Lとが絶縁されてさえいれば、何れも内部導電層00と接続されている構成でもよい。更には、上述の位置X2及びX3の第二コネクタの何れも備えない構成としてもよい。
以上の通り、第三の実施の形態における燃料電池装置5Lの構成とすることにより、上述の第一及び第二の実施の形態の効果に加えて、高電圧側及び低電圧側の電気の取り出し口を両方とも燃料電池装置5Lの積層方向における一端部側に設けることができる。これにより、燃料電池装置5Lの外部における引き回し配線を省略することができ、このような燃料電池装置5Lを備える燃料電池システムをより小型化することができる。
また、本第三の実施の形態に係る各片面セパレータと、上記第一の実施の形態に係る各両面セパレータとを組み合わせて使用することによって、上記第一の実施の形態と同様の効果が得られる。
尚、上述の実施の形態及び変形例に記載したセパレータは何れも、少なくとも複数の絶縁性基板を備える構成としたが、これに限らず、これらのセパレータは何れも、一つの絶縁性基板だけを備える構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】燃料電池装置5を備えた発電装置400のブロック図である。
【図2】燃料電池装置5を図3の切断線IVb−IVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
【図3】図2における両面セパレータ1Aの平面図である。
【図4】(a)は図2における膜電極接合体6を切断線IVb−IVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の拡大断面図、(b)、(c)は、それぞれ図2における両面セパレータ1Aを切断線IVb−IVb、IVc−IVcに沿って厚さ方向に平行に切断した際の拡大断面図である。
【図5】(a)、(b)は、それぞれ図2における片面セパレータ2Aを切断線IVb−IVb、IVc−IVcに沿って厚さ方向に平行に切断した際の拡大断面図である。
【図6】(a)〜(i)は、図4の切断線a−a〜i−iに沿って切断した際の両面セパレータ1Aの平断面図である。
【図7】(a)〜(i)は、図4の切断線a−a〜i−iに沿って切断した際の両面セパレータ1Cの平断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、図5の切断線a−a〜d−dに沿って切断した際の片面セパレータ2Aの平断面図である。
【図9】(a)は、燃料電池装置5のセパレータの配列を示した模式図、(b)は、燃料電池装置5の積層方向の電気的接続を表す電気回路図、(c)は、燃料電池装置5の等価回路図である。
【図10】燃料電池装置5における出力性能の一例を示した図である。
【図11】(a)は、変形例における出力性能の一例を示した図、(b)は、(a)における燃料電池装置の等価回路図、(c)は、(a)における燃料電池装置の積層方向の電気的接続を表す電気回路図、(d)は、(a)における燃料電池装置のセパレータの配列を示した模式図である。
【図12】(a)は、変形例における出力性能の一例を示した図、(b)は、(a)における燃料電池装置の等価回路図、(c)は、(a)における燃料電池装置のセパレータの配列を示した模式図である。
【図13】(a)は、変形例における出力性能の一例を示した図、(b)は、(a)における燃料電池装置の等価回路図、(c)は、(a)における燃料電池装置のセパレータの配列を示した模式図である。
【図14】(a)は、変形例における出力性能の一例を示した図、(b)は、(a)における燃料電池装置の等価回路図、(c)は、(a)における燃料電池装置のセパレータの配列を示した模式図である。
【図15】(a)は、変形例における出力性能の一例を示した図、(b)は、(a)における燃料電池装置の等価回路図、(c)は、(a)における燃料電池装置のセパレータの配列を示した模式図である。
【図16】両面セパレータ1Fを図3の切断線IVb−IVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
【図17】両面セパレータ1Gを図3の切断線IVb−IVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
【図18】(a)は、両面セパレータ1Hを図3の切断線IVb−IVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図、(b)は、切断線IVc−IVcに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
【図19】(a)は、片面セパレータ1Jを図3の切断線IVb−IVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図、(b)は、切断線IVc−IVcに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
【図20】(a)〜(d)は、図5の切断線a−a〜d−dに沿って切断した際のカソード側片面セパレータ3Kの平断面図、(e)は第六の基板36Kの平断面図、(f)は、(e)における切断線f−fに沿って切断した際の矢視断面図である。
【図21】(a)〜(d)は、図5の切断線a−a〜d−dに沿って切断した際のアノード側片面セパレータ2Kの平断面図、(e)は第七の基板27Kの平断面図、(f)は、(e)における切断線f−fに沿って切断した際の矢視断面図である。
【図22】燃料電池装置5Lを図24の切断線XXIVb−XXIVbに沿って厚さ方向に平行に切断した際の矢視断面図である。
【図23】(a)は、第三の実施の形態における燃料電池装置5Lのセパレータの配列を示した模式図、(b)は、燃料電池装置5Lの積層方向の電気的接続を表す電気回路図、(c)は、燃料電池装置5Lの等価回路図である。
【図24】(a)は、第三の実施の形態におけるアノード側片面セパレータ2Lの平面図、(b)は、(a)のXXIVb−XXIVb断面図、(c)は、(a)のXXIVc−XXIVc断面図である。
【図25】(a)は、第三の実施の形態におけるカソード側片面セパレータ3Lの平面図、(b)は、(a)のXXVb−XXVb断面図、(c)は、(a)のXXVc−XXVc断面図である。
【図26】従来の直列接続をした場合におけるセルの性能差による電流電圧特性を表したグラフである。
【図27】並列接続した場合におけるセルの性能差による電流電圧特性を表したグラフである。
【符号の説明】
【0090】
1A,1B,1C,1D,1E 両面セパレータ
11A,11C 第一の基板(絶縁性基板)
112A,128A,137A,148A,152A ボルト締結穴(穴)
113A,113C 第一コネクタ(第一接続端子)
12A,12C 第二の基板(絶縁性基板)
121A,121C 蛇行溝(ガス流路)
127A,127C アノード側表面導電性膜(第一導電層)
13A,13C 第三の基板(絶縁性基板)
130A,130C 第四コネクタ(第四接続端子)
131A,131C アノード側内部導電性膜(第三導電層)
132A,132C カソード側内部導電性膜(第四導電層)
139A,139C 第三コネクタ(第三接続端子)
14A,14C 第四の基板(絶縁性基板)
141A,141C 蛇行溝(ガス流路)
147A,147C カソード側表面導電性膜(第二導電層)
15A,15C 第五の基板(絶縁性基板)
153A,153C 第二コネクタ(第二接続端子)
2A,2K,2L アノード側片面セパレータ
21A,21K,21L 第一の基板(絶縁性基板)
212A,228A,237A ボルト締結穴(穴)
212K,228K,238K,271K ボルト締結穴(穴)
213A,213K,213L 第一コネクタ(第一接続端子)
22A,22K,22L 第二の基板(絶縁性基板)
221A,221K,221L 蛇行溝(ガス流路)
227A,227K,227L,327L 表面導電性膜(第一導電層)
23A,23K,23L 第三の基板(絶縁性基板)
231A,231K,231L 裏面導電性膜(第二導電層)
237L ボルト締結穴(穴)
253A,253K,253L 第二コネクタ(第二接続端子)
27K 第七の基板(絶縁性基板)
272K 切欠部
273K 電気外部取り出し部(外部端子)
3K,3L カソード側片面セパレータ
313K,313L 第一コネクタ(第一接続端子)
33K,33L 第三の基板(絶縁性基板)
332K,331L 裏面導電性膜(第二導電層)
337L ボルト締結穴(穴)
34K 第四の基板(絶縁性基板)
341K,341L 蛇行溝(ガス流路)
347K,327L 表面導電性膜(第一導電層)
35K 第五の基板(絶縁性基板)
352K,348K,338K,362K ボルト締結穴(穴)
353K,353L 第二コネクタ(第二接続端子)
36K 第六の基板(絶縁層)
363K 切欠部
364K 電気外部取り出し部(外部端子)
5,5L 燃料電池装置
6,601,602,603,604,605,606 膜電極接合体
61 固体高分子電解質膜(電解質膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の絶縁性基板を含むセパレータであって、
前記セパレータの一方の面にガスが流通するガス流路と、導電性を有する第一導電層と、複数の第一接続端子とが形成され、
前記複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記第一導電層とが接続され、
前記複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記第一導電層とが絶縁され、
前記セパレータの他方の面に前記複数の第一接続端子のうち何れか一つとそれぞれ対応する複数の第二接続端子が形成されたことを特徴とするセパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、
他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち何れか一つとそれぞれ対応する他のセパレータの複数の第二接続端子が形成されたことを特徴とするセパレータ。
【請求項3】
1以上の絶縁性基板を含むセパレータであって、
前記セパレータの一方の面にガスが流通するガス流路と、導電性を有する第一導電層と、複数の第一接続端子とが形成され、
前記複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記第一導電層とが接続され、
前記複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記第一導電層とが絶縁され、
前記セパレータの他方の面にガスが流通するガス流路と、導電性を有する第二導電層と、複数の第二接続端子とが形成され、
前記複数の第二接続端子のうち少なくとも一つと前記第二導電層とが接続され、
前記複数の第二接続端子のうち他の少なくとも一つと前記第二導電層とが絶縁され、
前記複数の第一接続端子のうち何れか一つと前記複数の第二接続端子のうち何れか一つとが接続されたことを特徴とするセパレータ。
【請求項4】
請求項3に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、
他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に前記他のセパレータの前記第一導電層と接続された他のセパレータの第二導電層が形成されたことを特徴とするセパレータ。
【請求項5】
請求項3に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、
他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に前記他のセパレータの第一導電層と接続された外部接続端子が設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項6】
請求項3に記載の一のセパレータと組み合わせて使用される他のセパレータであって、 他の1以上の絶縁性基板を含み、
前記他のセパレータの一方の面にガスが流通する他のセパレータのガス流路と、導電性を有する他のセパレータの第一導電層と、他のセパレータの複数の第一接続端子とが形成され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが接続され、
前記他のセパレータの複数の第一接続端子のうち他の少なくとも一つと前記他のセパレータの前記第一導電層とが絶縁され、
前記他のセパレータの他方の面に他のセパレータの複数の第二接続端子を備え、前記他のセパレータの第二接続端子のうち少なくとも一つが前記他のセパレータの第一接続端子と接続されるとともに前記他のセパレータの第一導電層と接続され、
前記他のセパレータの第二接続端子のうち他の少なくとも一つが前記他のセパレータの第一接続端子と接続されるとともに前記他のセパレータの第一導電層と絶縁されることを特徴とするセパレータ。
【請求項7】
請求項3に記載のセパレータであって、
ボルトが挿通される複数の穴を備え、
前記複数の第一接続端子は前記複数の穴の間に設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項8】
請求項3に記載のセパレータを備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項9】
請求項3に記載の一のセパレータと、請求項4に記載の他のセパレータと、電解質膜の両面にそれぞれ少なくとも一つ電極が設けられた膜電極接合体とを備え、
前記一のセパレータの一方の面と前記他のセパレータの一方の面とが対向配置され、前記膜電極接合体が前記他のセパレータの一方の面と前記一のセパレータの一方の面との間に挟持されるセル構造を含むことを特徴とする燃料電池装置。
【請求項10】
請求項3に記載の一のセパレータを複数個と、電解質膜の両面にそれぞれ少なくとも一つ電極が設けられた膜電極接合体とを備え、
前記複数個の一のセパレータのうちの一つにおける一方の面と前記複数個の一のセパレータのうち他の一つにおける他方の面とが対向配置され、前記膜電極接合体が前記複数個の一のセパレータのうち一つにおける一方の面と前記複数個の一のセパレータのうち他の一つにおける他方の面との間に挟持されるセル構造を含むことを特徴とする燃料電池装置。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか一項に記載の燃料電池装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate