説明

セパレータおよび平板型固体酸化物形燃料電池

【課題】スタック構造における柔軟なガス供給、排出設計を行うことができる平板型固体酸化物形燃料電池のセパレータを提供する。
【解決手段】固体酸化物からなる電解質層21の表裏面に燃料極22と空気極23を配設してなる平板型のセル2とセル2との間に配置され、これらを電気的に接続するセパレータ3であって、積層された複数の板状部材からなり、互いに隣接する2つの前記板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された内部通路と、一端が少なくとも前記セルと対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部通路と接続された孔とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板型の固体酸化物からなる電解質層を備えた固体酸化物形燃料電池のスタック構造に関し、特にセルとともに交互に積層されるセパレータの構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板型の固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は、平板型の固体酸化物からなる電解質層の表裏面にそれぞれ空気極および燃料極とが形成された平板型のセルとセパレータとを交互に複数枚積層して電気的に直列に接続することによりスタックを構成し、このセパレータを介して燃料極に燃料ガスを、空気極に酸化剤ガスをそれぞれ給排気することにより発電を行うようにした燃料電池である。この固体酸化物形燃料電池は、他の燃料電池に比べて発電効率が高く、また作動温度が高い(700℃〜1000℃)ため高温の熱を利用することができるという利点を有している。
【0003】
複数のセルとセパレータを積層してスタック化する際に、セパレータは、セルとセルとの間を電気的に接続し、かつ一方のセルの燃料極に燃料ガスを、他方のセルの空気極に酸化剤ガスをそれぞれ供給する機能を担う。そして、通常、セパレータには、セル同士の電気的な接続を損なわずに効率よく酸化剤ガスと燃料ガスとをそれぞれ空気極と燃料極とに供給するために、セルと対向する面にガス流路を形成したり、ガス分散のための特別な部材(ガス分散層)を設けたりする。
【0004】
一方、固体酸化物形燃料電池に用いられる平板型のセルのなかでも、薄い電解質層が厚い燃料極の基板によって構造的に支えられた燃料極支持型のセルを用いる場合には、セル基板である燃料極の再酸化によるセルの破損を防ぐために、燃料ガスと酸化剤ガスがセルの近く、特に燃料極近くで混ざらないようにシールを行う必要がある。
【0005】
シールが難しい技術であるという理由から、シールをしないスタック構造、例えば燃料極支持型セルでない電解質層支持型の平板型のセルを採用する場合がある。この場合、電解質層は、強度を高めるため、ある程度厚くしなければならないが、燃料ガスをより使い切ることで発電効率を高めるには、上述した燃料極支持型のセルとし、電解質層は極力薄くした方がよい。したがって、少なくとも燃料極を酸化剤ガスから良好にシールすることが重要となる。
【0006】
従来は、シールを確実に行うことは、高温で動作するSOFCを構成する上で特に難しい技術であり、完全なシール技術は確立されておらず、現状では、ある圧力以下のガスに対してのみ良好なシール特性を示すようなシール方法を用いることで持続的な発電を行うようにしている(特許文献1、2)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−174884号公報
【特許文献2】特開2005−019268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、セパレータにおけるガス流路やガス分散層の形状や特性、供給流路、排出流路の形成位置等によってガスの濃度勾配が発生すると、空気極と燃料極の全面に対して均一にガスを分配して供給することができず、セルの面内での発電特性が不均一になる。この不均一により、セルの最良の出力が得られなくなるばかりか、セル面内の温度の分布にむらができる。
また、シールを用いる場合、セパレータにおけるガスの供給方法やガス流路の設計がシール部にかかるガス圧を決定するので、シール特性の良否にも影響を及ぼす。すなわち、シールされたセルの発電にはそれに適したセパレータのガス供給方法やガス流路の設計が必要となる。
このように、固体酸化物形燃料電池においては、空気極や燃料極上におけるガスの分布をある程度制御できるようにガス流路を柔軟に設計できることが望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、スタック構造における柔軟なガス供給、排出設計を行うことができる平板型固体酸化物形燃料電池のセパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るセパレータは、固体酸化物からなる電解質層の表裏面に燃料極と空気極を配設してなる平板型のセルとセルとの間に配置され、これらを電気的に接続するセパレータであって、積層された複数の板状部材からなり、互いに隣接する2つの前記板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された内部通路と、一端が少なくとも前記セルと対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部通路と接続された孔とを有することを特徴とする。ここで、前記板状部材は、前記燃料極と対向する第1の板状部材と、前記空気極と対向する第2の板状部材と、前記第1および第2の板状部材に挾まれた第3の板状部材からなり、前記内部通路は、前記第1の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成され、前記孔は、前記第1の板状部材に形成されてもよい。
【0011】
また、固体酸化物からなる電解質層の表裏面に燃料極と空気極を配設してなる平板型のセルとセルとの間に配置され、これらを電気的に接続するとともに、一方のセルの燃料極に燃料ガスを供給する第1のガス供給通路と、他方のセルの空気極に酸化剤ガスを供給する第2のガス供給通路とを有するセパレータであって、積層された複数の板状部材からなり、前記第1及び第2のガス供給通路の少なくとも一つは、互いに隣接する2つの前記板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された内部供給通路と、一端が少なくとも前記セルと対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部供給通路と接続された供給孔とから形成されてもよい。ここで、前記供給孔の一端は、前記セルの燃料極または空気極の中央部に対向する位置に開口してもよい。
【0012】
また、前記セルにそれぞれ対向する板状部材の少なくともいずれか1つは、前記セルに対向する面に前記供給孔と接続する溝を有してもよい。また、一方のセルの燃料極側から燃料ガスを排気する第1のガス排気通路を有し、この第1のガス排気通路は、互いに隣接する2つの板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された内部排気通路と、一端が少なくとも前記セルの前記燃料極と対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部排気通路と接続された第1の排気孔とから形成されてもよい。ここで、前記第1の排気通路における排気孔の一端は、前記セルの燃料極と対向する領域の外周部に設置されてもよい。
【0013】
また、他方のセルの空気極側から酸化剤ガスを排気する第2のガス排気通路を有し、この第2のガス排気通路は、互いに隣接する2つの板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された第2の内部排気通路と、一端が少なくとも前記セルの前記空気極と対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部排気通路と接続された第2の排気孔とから形成されてもよい。ここで、前記第2の排気通路における排気孔の一端は、前記セルの前記空気極と対向する領域の外周部に設置されてもよい。
【0014】
また、前記板状部材は、前記燃料極と対向する第1の板状部材と、前記空気極と対向する第2の板状部材と、前記第1および第2の板状部材に挾まれた第3の板状部材からなり、前記第1のガス供給通路は、前記第1の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成される第1の内部供給通路と、前記第1の板状部材に形成され前記第1の内部供給通路と接続する第1の供給孔とから形成されるされてもよい。ここで、前記第2のガス供給通路は、前記第2の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成される第2の内部供給通路と、前記第2の板状部材に形成され前記第2の内部供給通路と接続する第2の供給孔とから形成されてもよい。
上述した第1および第2の排気通路に関しても、同様に、第1〜第3の板状部材に設けられた溝と第1または第2の板状部材に形成された孔とから構成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、セルへの燃料ガスおよび酸化剤ガスの給排気をセルの電極面内の任意の位置から行うようにセパレータを設計することが可能となり、スタック構造における柔軟なガス供給、排出設計を行うことができる。その結果、電極の全面に対してガスを略均等に分配して供給することができ、発電効率を向上させることができる。
さらに、ガス供給、排出設計によって、シールされたセルに対しても発電に十分なシール性能を維持しつつ、電極の全面に対してガスを略均等に分配して供給することができ、発電効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかるセパレータ3用いた平板型固体酸化物形燃料電池1の構成を示す図である。
図1に示すように、平板型固体酸化物形燃料電池1は、平板型のセル2とセパレータ3とを交互に複数枚積層して一体的に結合したスタック構造を有し、複数のセル2をセパレータ3によって電気的に接続することにより形成されている。
【0017】
図2は、2種類のセル2の構成を示す構成図である。
図2の(a)は、燃料極支持型セルの構成を示し、燃料極22、電解質層21、空気極23の順に、薄い電解質層21および空気極23が厚い燃料極22を基板として構造的に支えられた構造となっている。
一方、図2の(b)は、電解質層支持型セルの構成を示し、燃料極22、電解質層21、空気極23の順に、薄い燃料極22および空気極23が厚い電解質層21の基板によって構造的に支えられた構造となっている。
本実施の形態では、セル2の一例として、図2(a)が示す燃料極支持型セル2を用いるものとして説明する。なお、本実施の形態においては、電界質層支持型セルを用いてもよいことは言うまでもない。
【0018】
電解質層21の材質としては、電子を通さず、酸素イオンの伝導特性が高いセラミック材料、例えば酸化ジルコニウム(ZrO2)に酸化スカンジウム(Sc23)を添加したScSZ、このScSZにさらに酸化アルミ(Al23)を添加したSASZや、酸化ジルコニウム(ZrO2)に酸化イットリウム(Y23)を添加したYSZなどのジルコニア材料が用いられている。
【0019】
燃料極22の材質としては、電子導電性を有する酸化物あるいは貴金属、例えばニッケル(Ni)−YSZサーメット、Pt等の材料が用いられる。
空気極23の材質としては、高温酸化雰囲気下で安定で、触媒能が高く、かつ高い電子導電性を有する酸化物あるいは金属、例えば銀(Ag)や白金(Pt)、電気伝導性酸化物であるSr添加ランタンマンガナイト((La、Sr)MnO3、LSM)やランタンニッケル鉄酸化物(La(Ni、Fe)O3、LNF)などの材料が用いられる。
【0020】
また、図1に示すように、セパレータ3には、外部からセパレータ3に燃料ガスを供給する燃料供給マニホールド4と、セパレータ3から外部に燃料ガスを排出する燃料排出マニホールド5と、外部からセパレータ3に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給マニホールド6とが、それぞれパイプ9a、9b、9cによって接続されている。
セパレータ3は、これらパイプ9a、9b、9cによって、燃料ガスの給排気及び酸化剤ガスの供給を行う。また、酸化剤ガスの排気については、セパレータ間の隙間から排出される。この詳細は、後述する空気極側プレート33にて説明する。
【0021】
図3は、本実施の形態に係る平板型固体酸化物形燃料電池におけるセパレータ3の構成を示す構成図である。
図3に示すように、セパレータ3は、本発明における第3の板状部材に相当するセンタープレート31と、本発明における第1の板状部材に相当し、このセンタープレート31の2つの主面のうちの一方の面(以下、「表面」という。)34側に配設された燃料極側プレート32と、本発明における第2の板状部材に相当し、センタープレート31の他方の主面(以下、「裏面」という。)35側に配設された空気極側プレート33とから構成されている。
【0022】
以下に、センタープレート31と燃料極側プレート32と空気極側プレート33とをそれぞれ図面を参照しながら説明する。
まず、センタープレート31について図4を参照しながら説明する。
センタープレート31は、燃料ガスG1を供給する通路である燃料ガス供給通路41と、発電に使われた燃料ガスG1の排ガスG1’を排出する通路である燃料ガス排出通路42と、酸化剤ガスG2が供給される酸化剤ガス供給通路43とを有している。
【0023】
図4(a)に示すように、センタープレート31の表面34は、SUS430等のフェライト形ステンレスによってセル2の形状に合わせた形に形成されている。この表面34には2系統の溝が互いに交わらないように形成され、それぞれ、燃料ガス供給通路41と燃料ガス排出通路42とを構成している。
【0024】
燃料ガス供給通路41の一端41aは、センタープレート31の外周面に開放し、他端41bは、センタープレート31内部の燃料ガス供給位置まで達している。この燃料ガス供給通路41の他端41bは、後述するセンタープレート31の上に配置される燃料極プレート32に設けられてた燃料ガス供給用貫通孔51に接続する。
また、燃料ガス排出通路42の一端42aは、一端41aと同じく、センタープレート31の外周面に開放し、この一端42aから伸びる通路が枝分かれして、1つ以上の他端42bが、センタープレート31内部の燃料ガス排出位置まで達している。
【0025】
上述したセンタープレート31の燃料ガス供給通路41および燃料ガス排出通路42は、セパレータ3の設計に応じて、その形状等が決定される。
例えば、燃料ガス供給通路41の他端41bおよび燃料ガス排出通路42の他端42bを形成する位置や個数については、セパレータ3の設計に応じてセンタープレート31上の任意とすることができる。
【0026】
ここでは、図4(a)に示すように、燃料ガス供給用貫通孔51が燃料極プレート32の中央部に形成できるように、燃料ガス供給通路41の他端41bをセンタープレート31の中央部に1箇所、また、燃料ガス排気用貫通孔52が燃料極プレート32の外周部に形成できるように他端42bをセンタープレート31の外周部に8箇所それぞれ形成する。
【0027】
一方、図4(b)に示すように、センタープレート31の裏面35側には、1つの溝が形成され、この溝は酸化剤ガス供給通路43を構成している。
酸化剤ガス供給通路43の一端43aは、センタープレート31の外周面に開放し、他端43bは、後述するセンタープレート31の裏面35上に配置される空気極プレート33に設けられた酸化剤ガス供給用貫通孔61に接続する。
【0028】
上述したセンタープレート31の酸化剤ガス供給通路43は、セパレータ3の設計に応じて、その形状等が決定される。
例えば、酸化剤ガス供給通路43の他端43bを形成するや個数については、セパレータ3の設計に応じてセンタープレート31上の任意とすることができる。ここでは、図4(b)に示すように、酸化剤ガス供給用貫通孔61が空気極プレート33の中央部に形成できるように、酸化剤ガス供給通路43の他端43bをセンタープレート31の中央部に1箇所形成する。
【0029】
次に、燃料極側プレート32について図5を参照しながら説明する。
図5の(a)と(b)は、それぞれセンタープレート31の表面34と当接する裏面54の平面図、セル2のアノード(燃料極22)と相対する表面53の平面図とを示している。
図5に示すように、燃料極側プレート32には、燃料ガス供給用貫通孔51と燃料ガス排気用貫通孔52とが設けられている。さらに、表面53には、燃料ガス供給用貫通孔51と燃料ガス排気用貫通孔52とに連通し、燃料極側プレート32内部に張り巡らされた燃料ガス給排気溝55と、表面53よりセルの高さ分だけ外周を高くした土手部56とが設けられている。この土手部56の径は、セル2が納まる程度の大きさである。
【0030】
上述した燃料極側プレート32は、セパレータ3の設計に応じて、その形状等が決定される。
例えば、燃料ガス供給用貫通孔51を設ける位置については、セパレータ3の設計に応じて、センタープレート31の燃料ガス供給通路41と連通できれば燃料極側プレート32上の任意とすることができる。また、燃料ガス排気用貫通孔52を設ける位置については、セパレータ3の設計に応じて、センタープレート31の燃料ガス排出通路42と連通できれば、燃料極側プレート32上の任意とすることができる。さらに、燃料ガス供給用貫通孔51および燃料ガス排気用貫通孔52の個数については、セパレータ3の設計に応じて任意とすることができる。
【0031】
ここでは、図5に示すように、燃料ガス供給用貫通孔51は、燃料極プレート32の中央部に1箇所設けられている。この燃料ガス供給用貫通孔51は、センタープレート31に設けられた燃料ガス供給通路41の他端41bと接続している。また、燃料ガス排出通路42は、燃料極プレート32の外周部に8箇所設けられている。この燃料ガス排出通路42は、燃料ガス排出通路42の8箇所の他端42bとそれぞれ対応して接続する。
【0032】
次に、空気極側プレート33について図6を参照しながら説明する。
図6の(a)と(b)は、それぞれセンタープレート31の裏面35と当接する裏面63の平面図と、セル2のカソード(空気極23)と相対する表面62の平面図とを示している。
図6に示すように、空気極側プレート33には、酸化剤ガス供給用貫通孔61が設けられている。さらに、表面62には、酸化剤ガス供給用貫通孔61と接続し、空気極側プレート33内部に張り巡らされた酸化剤ガス給排気用溝64と、空気極側プレート33の外周に酸化剤ガス給排気用溝64よりも一段低くした空気極側プレート外縁部65とが設けられている。この空気極側プレート外縁部65によって、酸化剤ガス給排気用溝64は、外部に開放され、酸化剤ガスG2の排気を可能とする。さらに、空気極側プレート外縁部65によって、酸化剤ガス排出通路を形成すると共に、隣接するセパレータと電気的に短絡することを防ぐことができる。
【0033】
上述した空気極側プレート33は、セパレータ3の設計に応じて、その形状等が決定される。
例えば、酸化剤ガス供給用貫通孔61を設ける位置については、セパレータ3の設計に応じて、センタープレート31の酸化剤ガス供給通路43と連通できれば、空気極側プレート33上の任意とすることができる。また、酸化剤ガス供給用貫通孔61の個数については、セパレータ3の設計に応じて任意とすることができる。
ここでは、図6に示すように、酸化剤ガス供給用貫通孔61は、燃料極プレート32の中央部に1箇所設けられている。この酸化剤ガス供給用貫通孔61は、酸化剤ガス供給通路43の他端43bと接続する。
【0034】
次に、図4、図5及び図6を用いて説明したセンタープレート31、燃料極側プレート32及び空気極側プレート33からセパレータ3を組み立てる方法について説明する。
センタープレート31、燃料極側プレート32及び空気極側プレート33は、センタープレート31の表面34と燃料極側プレート32の裏面54とを、また、センタープレート31の裏面35と空気極側プレート33の裏面63とをロウ付け等の方法によってそれ
ぞれ接合することで、1枚のセパレータ3となる。
【0035】
この際に、燃料ガス供給マニホールド4と燃料ガス供給通路41の一端41aとにパイプ9aを、酸化剤ガス供給マニホールド6と酸化剤ガス供給通路43の一端43aとにパイプ9bを、また、燃料ガス排気マニホールド5と燃料排気通路42の一端42aとにパイプ9cをそれぞれ接合する。これら各パイプの太さや、各セパレータおよび各マニホールドへの荷重方法については、スタックの接触圧力をその他のスタック構成部分の圧力とは独立に取れるようにする方法(引用文献1)や、加圧機構によってスタックと各マニホールドにそれぞれ所定の荷重を加える方法(引用文献2)を用いることができる。
以上の接合により、センタープレート31、燃料極側プレート32および空気極側プレート33は、図1で示したセパレータ3となる。
なお、燃料極側プレート32および空気極側プレート33に設けた貫通孔は、接合後に設けるようにしてもよい。
【0036】
次に、セル2とセパレータ3とを交互に積層する方法について説明する。
ここでは、説明の便宜上、1枚のセパレータ3と2枚のセル2A、2Bを当接する例を用いて説明する。
セル2Aの燃料極22とセパレータ3の燃料極側プレート32の表面53とを直接または導電性の接続部材を介して接するように、セル2Aを土手部56の内部に納めて当接する。土手部56の内部に納められたセル2Aの電解質層21の表面は、土手部56の上面と同じ高さとなる。そして、燃料極側プレート32の土手部56とセル2Aとの間をシールする。
【0037】
図7は、土手部56とセル2Aとの間をシールした状態の一例を示す図である。
図7(a)に示すように、燃料極側プレート32の土手部56とセル2Aとの間にシール材71を配置している。このシール材71は、酸化剤ガス等がセル2Aの燃料極22に接触しないようにするため、電解質層21まで達している必要がある。
さらに、図7(b)に示すように、シール材71を設けた上に、電解質層21の表面の一部、シール材71および燃料極側プレート32の土手部56を覆うセルカバー81を設けてもよい。このセルカバー81によって、シールの信頼性をより高めることができる。
【0038】
セル2Bの空気極23とセパレータ3の空気極側プレート33の裏面63とを直接または導電性の接続部材を介して接触させる。
なお、燃料ガス等がセル2Bの空気極23に接触しないようにするため、電解質層21まで達するように、空気極側プレート33とセル2Bとの間をシールしてもよい。
【0039】
このようにセル2とセパレータ3とを交互に積層し、この両端にそれぞれ負極終端セパレータ11と正極終端セパレータ12とを当接することで、平板型固体酸化物形燃料電池1が構成される。
負極終端セパレータ11は、燃料極側プレート32とセンタープレート31とに相当するプレートから構成される。積層されたセル2の燃料極22と負極終端セパレータ11の燃料極側プレート32の表面53とを直接または導電性の接続部材を介して接するように、セル2を土手部56の内部に納めて当接する。
また、正極終端セパレータ12は、図示はしないが、上述したセパレータ3の空気極側プレート33とセンタープレート31とに相当するプレートから構成される。積層されたセル2の空気極23と正極終端セパレータ12の空気極側プレート33の裏面63とを直接または導電性の接続部材を介して接触させる。
なお、平板型固体酸化物形燃料電池1は、セル2と負極終端セパレータ11と正極終端セパレータ12とを当接した最小構成でもよい。
【0040】
平板型固体酸化物形燃料電池1を構成する際に、燃料ガス供給マニホールド4、燃料ガス排出マニホールド5および酸化剤ガス供給マニホールド6は、電気的に絶縁するための絶縁リング7を介して積層される。また、各マニホールドの積層の際、各境界面でのガスの機密性を高める為、シール材であるシールリング8を接続部に配置するしてもよい。
図1に示すように、ここでは、燃料ガス供給マニホールド4および燃料ガス排出用マニホールド5にのみシールリング8を用いている。
【0041】
次に、平板型固体酸化物形燃料電池1の動作手順について説明する。
まず、酸化剤ガスG2の給排気について図8を参照しながら説明する。
図8に示すように、酸化剤ガスG2は、酸化剤ガス供給マニホールド6からパイプ9bを通る。そして、酸化剤ガスG2が、センタープレート31の酸化剤ガス供給通路43−空気極側プレート33の酸化剤ガス供給用貫通孔61を通ることによって、酸化剤ガス給排気用溝64に供給される。そして、酸化剤ガスG2は、セル2の空気極23に接触する。
【0042】
酸化剤ガスG2がセル2の空気極27に接触すると、電解質層21と空気極23の界面では、電極反応に寄与する三層界面が形成され、下記(1)式に示す空気極反応により酸化剤ガス中の酸素と電子が反応して酸素イオンに変わる。そして、この酸素イオンは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の電解質層21の内部を移動して燃料極22に到達する。
【0043】
(空気極反応)
1/2O2 +2e- →O2- ・・・(1)
【0044】
空気極反応によって生成された酸化剤ガス給排気用溝64内の排ガスG2’および未反応の酸化剤ガスG2は、酸化剤ガス給排気用溝64の縁からセパレータ3との隙間である酸化剤ガス給排気用通路を通ってスタック1の外部に排出される。
【0045】
次に、燃料ガスG1の給排気について図9を参照しながら説明する。
図9に示すように、燃料ガスG1は、燃料ガス供給マニホールド4からパイプ9aを通る。そして、燃料ガスG1が、センタープレート31の燃料ガス供給通路41−燃料極側プレート32の燃料極供給用貫通孔51を通ることによって、燃料ガス給排気用溝55に供給される。そして、燃料ガスG1は、セル2の燃料極22に接触する。
【0046】
燃料ガスG1がセル2の燃料極22に接触すると、燃料極22では、Ni−YSZサーメット、Pt等から形成された燃料極22の働きで、空気極23から電解質層21の内部を通って移動してきた酸素イオンが下記(2)式および(3)式に示す反応により燃料極22に供給された水素および一酸化炭素と反応し、水蒸気または二酸化炭素と電子が生成される。そして、燃料極22で生成された電子は、外部回路を移動し、空気極23に達する。空気極23に達した電子は、空気極反応により酸素と反応する。この電子が外部回路を移動する過程で電気エネルギーを出力として取り出すことができる。
【0047】
(燃料極反応)
2 +O2- →H2O+2e- ・・・(2)
CO+O2- →CO2+2e- ・・・(3)
【0048】
燃料極反応によって生成された燃料ガス給排気用溝55内の排ガスG1’および未反応の燃料ガスG1は、燃料ガス給排気用溝52−燃料ガス排気用貫通孔52−センタープレート31の燃料ガス排出通路42を通って燃料ガス排気用マニホールド5に排出される。
【0049】
このように本発明によれば、セパレータ3をセンタープレート31,燃料極側プレート32および空気極側プレート33の層状構造で構成したので、燃料ガスG1と酸化剤ガスG2とをそれぞれセル2の燃料極22と空気極23とに任意の位置から供給することができる。その結果、スタックにおける柔軟なガス供給、排出設計を行うことができるので、電極の全面に対してガスを略均等に分配して供給することができ、発電効率を向上させることができる。
【0050】
特に、燃料ガスG1の供給を燃料極22の中央部から行い、燃料ガスG1’の排出をセル2のシール部に近い周辺部にて複数の燃料排出用貫通孔52から行うように構成したことで、ガスの濃度分布のむらが生じず、燃料ガスG1の濃度を略均一に維持することができる。さらに、セル2のシール部にかかる燃料ガスG1の内圧を低い状態に抑えることが可能となり、シールされたセルに対しても発電に十分なシール性能を維持しつつ、セル2の耐久性及び発電性能を向上させることができる。
【0051】
[他の実施の形態]
燃料ガスG1および酸化ガスG2の給排気に用いる貫通孔や、通路、マニホールドの数や配置は、セルの大きさに応じて、発電が最適に行えるよう柔軟に設計を変更してもよい。例えば、セル2の直径が大きい場合、シールされる燃料極側プレート32の土手部分56の内圧が大きくなるという問題がある。
この場合、セパレータを図10乃至13に示すセパレータ3’のように設計することで、この問題を解決することができる。
【0052】
図10が示すように、セパレータ3’は、センタープレート31’と燃料極側プレート32’と空気極側プレート33’とから構成される。
図4のセパレータ3と図11のセパレータ3’とを比較すると、セパレータ3’は、セパレータ3と同様に、燃料ガス供給通路41と、燃料ガス排出通路42と、酸化剤ガス供給通路43とを有しているが、全体的により大きくなっているのは言うまでもなく、主に、燃料ガス排出通路42を2系統に増やして他端42bの数を16箇所としている。
このセパレータ3’の構成に伴って、図12に示すように、燃料極側プレート32’は、図5の燃料極側プレート32より全体的に大きくなっているのは言うまでもなく、主に、燃料供給用貫通孔52を16箇所としている。また、図13に示すように、空気極側プレート33’は、図6の空気極側プレート33より全体的に大きくなっている。
その他の箇所の詳細な説明は、図3の説明にて説明したので、ここでは省略する。
以上のように、セパレータ3’に燃料ガス排気マニホールド5と接続する燃料ガス排気用通路42を2系統設けると共に、燃料ガス排気用貫通孔52の数を16箇所設けたので、シールされる燃料極側プレート32’の土手部分56の内圧を下げることができる。
【0053】
なお、燃料極プレート22に設けた燃料ガス給排気用溝55によって、燃料極面内における燃料ガスの濃度をより略均一に維持することが可能となるとともに、ガス供給時の圧力損失をコントロールすることができ、一層発電性能を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、セル2を燃料極支持型セルを例に説明したが、これに限定するものではなく、図2(b)示した電解質層支持型セルまたは空気極支持型セルにも適用することができる。
【0054】
また、本実施の形態においては、酸化剤ガスの排出流路を隣合うセパレータ間の隙間で構成したが、燃料極22と同様に、センタープレート31の裏面35に酸化剤ガスの排出通路である酸化剤ガス排出通路を酸化剤ガス供給通路43と交わらないように形成し、この酸化剤ガス排出通路と接続する酸化剤ガス排出用貫通孔を空気極側プレート33に設け、酸化剤ガス給排気用溝64と接続するようにしてもよい。
この場合、酸化剤ガス排出マニホールドを設けることで、スタックの外周部、つまり空気極側プレート33の外周部を外部に開放する必要がなくなる。その結果、セル2の空気極23をカバーすることが可能となり、シールの不良により漏れ出た燃料ガスから燃料ガスによる空気極23の劣化を防ぎ、発電特性をより安定に維持することができる。また、この酸化剤ガス排出通路を溝で構成してもよい。
【0055】
また、本実施の形態においては、電極面上でのガスの分配を円滑にするために、燃料ガス給排気用溝55や酸化剤ガス給排気用溝64が設けられているが、セル2の電極の部分のみで十分な発電特性が得られる場合や、セパレータ3と電極との間に金属のメッシュや不織布等の導電性のガス拡散性の高い接続部材を設ける場合などは燃料ガス給排気溝55や酸化剤ガス給排気用溝64等を設けなくてもよい。また、燃料ガス給排気用溝55および酸化剤ガス給排気用溝64は、セパレータ3に設けたが、これらを電極に設けるようにしてもよい。
【0056】
また、センタープレート31は、複数枚のプレート、例えば、燃料ガス供給通路41を有するプレートと、燃料ガス排出通路42を有するプレートと、酸化剤ガス供給通路43有するプレートとから構成されてもよい。
また、本実施の形態において、センタープレート3が有する燃料ガス供給通路41、燃料ガス排出通路42や酸化剤ガス供給通路43等を溝としたが、センタープレート3を貫通する管としてもよい。この場合、例えば、図14に示すように、酸化剤ガスG2は、セパレータ2内を貫通する管を通って平板型固体酸化物形燃料電池1’に給排気される。また、図15に示すように、燃料ガスG1もセパレータ2内を貫通する管を通って平板型固体酸化物形燃料電池1’に給排気される。
【0057】
また、本実施の形態においては、燃料ガス供給通路41および燃料ガス排出通路42は、センタープレート31に設けられた溝としたが、燃料極側プレート32に設けられた溝でもよい。また、燃料ガス供給通路41および燃料ガス排出通路42は、センタープレート31及び燃料極側プレート32に設けられた溝を組合わせて形成されてもよい。
また、酸化剤ガス供給通路43は、センタープレート31に設けられた溝としたが、空気極側プレート33に設けられた溝でもよい。また、空気極側プレート33は、センタープレート31及び空気極側プレート33に設けられた溝を組合わせて形成されてもよい。
【0058】
また、本実施の形態においては、セパレータ3は、センタープレート31、燃料極側プレート32および空気極側プレート33とから構成されるとしたが、燃料ガス供給通路41および燃料ガス排出通路42が燃料極側プレート32に、酸化剤ガス供給通路43が空気極側プレート33にそれぞれ設けられている場合、燃料極側プレート32と空気極側プレート33と組合わせて、セパレータを形成するとしてもよい。この場合、燃料ガス供給通路41および燃料ガス排出通路42と酸化剤ガス供給通路43が交わらないように設計する必要があるが、センタープレート31は不要となり、セパレータ3をより薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係るセパレータを用いた平板型固体酸化物形燃料電池の構成を示す構成図である。
【図2】セルの構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るセパレータの構成を示す構成図である。
【図4】センタープレートの平面図である。
【図5】燃料極側プレートの平面図である。
【図6】空気極側プレートの平面図である。
【図7】シールの一例を示す図である。
【図8】平板型固体酸化物形燃料電池における酸化剤ガスの給排気を示す図である。
【図9】平板型固体酸化物形燃料電池における燃料ガスの給排気を示す図である。
【図10】他の実施の形態に係るセパレータの接合後(a)と接合前(b)とを示す図である。
【図11】図10におけるセンタープレートの表面(a)と裏面(b)とを示す図である。
【図12】図10における燃料極側プレートの表面(a)と裏面(b)とを示す図である。
【図13】図10における空気極側プレートの裏面(a)と表面(b)とを示す図である。
【図14】他の平板型固体酸化物形燃料電池における酸化剤ガスの給排気を示す図である。
【図15】他の平板型固体酸化物形燃料電池におけるの燃料ガスの給排気を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…平板型固体酸化物形燃料電池、2、2A、2B…セル、3、3’…セパレータ、4…燃料供給用マニホールド、5…燃料排出用マニホールド、6…酸化剤供給用マニホールド、7…絶縁リング、8…シールリング、9、9a、9b、9c、9d…パイプ、11…負極終端セパレータ、12…正極終端セパレータ、21…電解質層、22…燃料極、23…空気極、31、31’…センタープレート、32、32’…燃料極側プレート、33、33’…空気極側プレート、34…(センタープレート)表面、35…(センタープレート)裏面、41…燃料ガス供給通路、42…燃料ガス排出通路、43…酸化剤ガス供給通路、51…燃料供給用貫通孔、52…燃料排出用貫通孔、53…(燃料極側プレート)表面、54…(燃料極側プレート)裏面、55…燃料ガス給排気用溝、56…酸化剤ガス供給用溝、61…酸化剤ガス供給用貫通孔、62…(空気極側プレート)表面、63…(空気極側プレート)裏面、64…酸化剤ガス給排気用溝、65…空気極側プレート外縁部、G1…燃料ガス、G1’…排出ガス、G2…酸化剤ガス、G2’…排出ガス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物からなる電解質層の表裏面に燃料極と空気極を配設してなる平板型のセルとセルとの間に配置され、これらを電気的に接続するとともに、一方のセルの燃料極に燃料ガスを供給する第1のガス供給通路と、他方のセルの空気極に酸化剤ガスを供給する第2のガス供給通路とを有するセパレータであって、
積層された複数の板状部材からなり、
前記第1及び第2のガス供給通路の少なくとも一つは、互いに隣接する2つの前記板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された内部供給通路と、一端が少なくとも前記セルと対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部供給通路と接続された供給孔とから形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載されたセパレータにおいて、
前記供給孔の一端は、前記セルの燃料極または空気極の中央部に対向する位置に開口する
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたセパレータにおいて、
前記セルにそれぞれ対向する板状部材の少なくともいずれか1つは、前記セルに対向する面に前記供給孔と接続する溝を有する
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載されたセパレータにおいて、さらに、
一方のセルの燃料極側から燃料ガスを排気する第1のガス排気通路を有し、
この第1のガス排気通路は、互いに隣接する2つの板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された内部排気通路と、一端が少なくとも前記セルの前記燃料極と対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部排気通路と接続された第1の排気孔とから形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項5】
請求項4に記載されたセパレータにおいて、
前記第1の排気通路における排気孔の一端は、前記セルの燃料極と対向する領域の外周部に設置される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載されたセパレータにおいて、さらに、
他方のセルの空気極側から酸化剤ガスを排気する第2のガス排気通路を有し、
この第2のガス排気通路は、互いに隣接する2つの板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された第2の内部排気通路と、一端が少なくとも前記セルの前記空気極と対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部排気通路と接続された第2の排気孔とから形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項7】
請求項6に記載されたセパレータにおいて、
前記第2の排気通路における排気孔の一端は、前記セルの前記空気極と対向する領域の外周部に設置される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載されたセパレータにおいて、
前記板状部材は、前記燃料極と対向する第1の板状部材と、前記空気極と対向する第2の板状部材と、前記第1および第2の板状部材に挾まれた第3の板状部材からなり、
前記第1のガス供給通路は、前記第1の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成される第1の内部供給通路と、前記第1の板状部材に形成され前記第1の内部供給通路と接続する第1の供給孔とから形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項9】
請求項8に記載されたセパレータにおいて、
前記第2のガス供給通路は、前記第2の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成される第2の内部供給通路と、前記第2の板状部材に形成され前記第2の内部供給通路と接続する第2の供給孔とから形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項10】
請求項4乃至7のいずれか1つに記載されたセパレータにおいて、
前記板状部材は、前記燃料極と対向する第1の板状部材と、前記空気極と対向する第2の板状部材と、前記第1および第2の板状部材に挾まれた第3の板状部材からなり、
前記第1のガス排気通路は、前記第1の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成される第1の内部排気通路と、前記第1の板状部材に形成され前記第1の内部排気通路と接続する第1の排気孔とから形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項11】
請求項6または7に記載されたセパレータにおいて、
前記板状部材は、前記燃料極と対向する第1の板状部材と、前記空気極と対向する第2の板状部材と、前記第1および第2の板状部材に挾まれた第3の板状部材からなり、
前記第2のガス排気通路は、前記第2の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成される第2の内部排気通路と、前記第2の板状部材に形成され前記第2の内部排気通路と接続する第2の排気孔とから形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項12】
固体酸化物からなる電解質層の表裏面に燃料極と空気極を配設してなる平板型のセルとセルとの間に配置され、これらを電気的に接続するセパレータであって、
積層された複数の板状部材からなり、
互いに隣接する2つの前記板状部材の互いに対向する面の少なくとも一方に溝を設けることにより形成された内部通路と、
一端が少なくとも前記セルと対向する板状部材の表面に開口し、他端が前記内部通路と接続された孔と
を有する
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項13】
請求項12に記載されたセパレータにおいて、
前記板状部材は、前記燃料極と対向する第1の板状部材と、前記空気極と対向する第2の板状部材と、前記第1および第2の板状部材に挾まれた第3の板状部材からなり、
前記内部通路は、前記第1の板状部材と前記第3の板状部材の少なくともいずれか一方の対向面に溝を設けることにより形成され、
前記孔は、前記第1の板状部材に形成される
ことを特徴とするセパレータ。
【請求項14】
固体酸化物からなる電解質層の表裏面に燃料極と空気極を配設してなる平板型の複数のセルと、第1のセルの燃料極と第2のセルの空気極とを電気的に接続するセパレータとを交互に積層し、前記セパレータを介して前記燃料極および前記空気極にそれぞれ燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給して発電する平板型固体酸化物形燃料電池において、
前記セパレータは、請求項1乃至13のいずれか1つに記載されたセパレータであることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−329063(P2007−329063A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160647(P2006−160647)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000004640)日本発条株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】