セパレータとその製造方法
【課題】樹脂層に耐熱層を積層したセパレータであって,切断や溶着の工程に悪影響を与えることのないセパレータとその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のセパレータは,樹脂層11に耐熱層12を積層してなるセパレータ10であって,樹脂層11の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理が施された親水性処理済部35と,親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部39とが設けられており,耐熱層12は,親水性処理済部35上に形成されているとともに,親水性非処理部39上には形成されていないものである。親水性を向上させる処理は例えばコロナ処理であり,耐熱層12を形成する処理は例えばグラビア塗工処理である。さらに,耐熱層12が形成されていない範囲内で,切断処理を行う。
【解決手段】本発明のセパレータは,樹脂層11に耐熱層12を積層してなるセパレータ10であって,樹脂層11の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理が施された親水性処理済部35と,親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部39とが設けられており,耐熱層12は,親水性処理済部35上に形成されているとともに,親水性非処理部39上には形成されていないものである。親水性を向上させる処理は例えばコロナ処理であり,耐熱層12を形成する処理は例えばグラビア塗工処理である。さらに,耐熱層12が形成されていない範囲内で,切断処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば捲回型の二次電池等に使用されるセパレータとその製造方法に関する。さらに詳細には,樹脂層とセラミック層とが重ね合わされたセパレータとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン二次電池等には,いわゆる捲回型の電極体を用いているものがある。捲回型の電極体は,それぞれ帯状に形成された正極板,負極板,セパレータを適切に重ねて捲回したものである。このセパレータとしては,従来より,多孔質の有機ポリマーによる多孔膜が広く使用されてきた。例えば,PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)/PPの複合材料からなる,いわゆるシャットダウン機能を有するものが知られている。しかしながら,このような多孔膜は,異常発熱等によってさらなる高温にさらされた場合に焼き切れるおそれがあった。
【0003】
そこで,有機ポリマーによる多孔膜に耐熱性の高い樹脂組成物を積層することにより,耐熱性を高めたセパレータが提案されている(例えば,特許文献1参照。)。さらに,ポリマー不織布をプラズマ処理して,その上にセラミック被覆を施したセパレータも開示されている(例えば特許文献2参照。)。プラズマ処理を行うことにより,セラミック被覆の剥離を防止したセパレータとできるとされている。
【0004】
一方,製造上の利便性から,幅広の帯状の樹脂膜を素材として使用し,その長手方向に沿って切断することにより複数枚のセパレータを製造することが行われている。この製造方法を用いて,上記のようにセラミック層等の耐熱層を形成したセパレータを製造する場合には,通常,まず幅広の樹脂膜の全面に耐熱層を積層し,その後,長手方向に沿って複数枚に切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59733号公報
【特許文献2】特開2008−208511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように耐熱層を全面にわたり形成した幅広の樹脂膜を,長手方向に沿って切断する場合には,樹脂層と耐熱層とをまとめて切断することになる。しかしながら,耐熱層に使用されているセラミックス等を切断すると,切断刃の摩耗が進行しやすい。そして,摩耗の進行した箇所のある切断刃で切断を続けると,セパレータの樹脂層の一部が細く突出した状態(「ヒゲ」と称される)で残る場合があるという問題点があった。また,切断処理によって,切断箇所近くの耐熱層が樹脂膜から剥がれることがあるという問題もあった。
【0007】
また,捲回体の製造では通常,電極板やセパレータを適切な幅で1つの捲回体に必要な長さより長く製造し,巻き芯等に巻き付けたものを使用する。ここから巻きだして,他のシートと重ね合わせて捲回し,必要な長さだけ捲回したらそこで切断して,1つの捲回体とするのである。このような方法で製造する場合には,セパレータを長手方向に直角に切断することとなる。この場合にも,耐熱層を切断すると切断刃の摩耗が進行しやすいという問題点があった。
【0008】
さらに,捲回体では,例えば,捲回体の巻き初めや巻き終わりにおいては,セパレータを溶着することによって固定することが望ましい。粘着テープ等での接着も可能ではあるが,テープの分のコストがかかるうえに,捲回体の厚みが増すため,あまり好ましくない。しかし,耐熱層の溶融温度は非常に高く,耐熱層が全面に形成されたセパレータは,通常の溶着温度では溶着することはできないという問題点もあった。
【0009】
本発明は,前記した従来のセパレータとその製造方法が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,樹脂層に耐熱層を積層したセパレータであって,切断や溶着の工程に悪影響を与えることのないセパレータとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のセパレータは,樹脂層に耐熱層を積層してなるセパレータであって,樹脂層の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理が施された親水性処理済部と,親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部とが設けられており,耐熱層は,親水性処理済部上に形成されているとともに,親水性非処理部上には形成されていないものである。
【0011】
本発明のセパレータによれば,耐熱層は,親水性処理済部上に形成されているので,樹脂層と耐熱層とが強固に接着されている。そして,樹脂層には,耐熱層が形成されていないとともに親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部も設けられている。この範囲は,親水性が向上されていないため,たとえ耐熱層の材料である塗料がいくらか付着したとしても,強固な接着は得られず,容易に剥がれて落ちる。従って,親水性非処理部は確実に樹脂層のみが露出しているので,この箇所において切断や溶着を行えば,それらの工程に悪影響を与えるおそれはない。例えば,切断刃の摩耗を特に進行させるおそれはなく,ヒゲの発生を効果的に防止できる。また,切断時に耐熱層のかけらが飛散したり,切断箇所近傍の耐熱層が剥離するおそれもない。さらに,樹脂層のみの箇所同士であれば,容易かつ確実に溶着することができるので,粘着テープを使用しないで捲回体を形成することもできる。
【0012】
さらに本発明では,親水性非処理部は,樹脂層の少なくとも片方の長手方向縁辺部に設けられていることが望ましい。また,親水性非処理部は,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられていてもよい。あるいは,親水性非処理部が,長手方向縁辺部以外の箇所にも,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられているものであってもよい。
材料として用意する樹脂層の大きさと製造するセパレータの大きさとの関係に応じて,樹脂層から複数個のセパレータを製造することができる。例えば,樹脂層の幅がセパレータの幅の2倍以上であれば,樹脂層の長手方向に沿って幅を2以上に切断する。このとき,間に親水性非処理部を形成してその両側に耐熱層を形成し,親水性非処理部において切断すれば,製造されたセパレータは長手方向縁辺部に親水性非処理部が設けられているものとなる。なお,いずれの場合にも,樹脂層における親水性非処理部の残部は親水性処理済部である。
【0013】
さらに本発明では,樹脂層における親水性非処理部の裏面が,耐熱層で被覆されていない面であることが望ましい。
このようなものであれば,樹脂層における親水性非処理部は,両面とも耐熱層で被覆されていないものとなる。従って,その箇所で切断しても,切断刃に悪影響を与えるおそれはない。
【0014】
また,本発明は,樹脂層に耐熱層を積層することによるセパレータの製造方法であって,樹脂層の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理を部分的に施して親水性処理済部を設けるとともに,残部を親水性を向上させる処理を施していない親水性非処理部として残し,樹脂層における親水性処理済部上に耐熱層を形成するとともに,親水性非処理部上には耐熱層を形成しない塗工処理を行うセパレータの製造方法にも及ぶ。
このようにすれば,本発明のセパレータを製造することができる。さらに,製造工程中に切断する工程が含まれていても,切断刃の摩耗の進行を抑制し,樹脂層のヒゲや耐熱層の剥離を発生させないで製造できる。なお,もし親水性非処理部に多少塗料が付着していたとしても,それはその場所に塗工処理を施したことにはならない。
【0015】
さらに本発明の製造方法では,セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを樹脂層として用意し,親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,樹脂層における親水性処理済部となるべき箇所に対向して電極が配置されるとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所に対向する箇所には電極が配置されない状態で行い,塗工処理はグラビア塗工処理であり,グラビア塗工処理を,樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,親水性非処理部に対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて行い,塗工処理後に,親水性非処理部の範囲内において,樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造することが望ましい。
このようにすれば,樹脂層の少なくとも片方の長手方向縁辺部に親水性非処理部が設けられているセパレータを製造することができる。
【0016】
さらに本発明の製造方法では,親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,コロナ放電処理では,樹脂層における親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わず,塗工処理はグラビア塗工処理であり,グラビア塗工処理では,グラビアロールが親水性処理済部に対向している間に限り樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが親水性非処理部に対向している間は樹脂層とグラビアロールとを接触させないことが望ましい。
このようにすれば,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に親水性非処理部が設けられているセパレータを製造することができる。
【0017】
さらに本発明の製造方法では,セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを樹脂層として用意し,親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,樹脂層における親水性処理済部となりうる箇所に対向して電極が配置されるとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所にのみ対向する箇所には電極が配置されない状態で,樹脂層における親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わないように行い,塗工処理はグラビア塗工処理であり,グラビア塗工処理を,樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,親水性非処理部にのみ対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて,グラビアロールが親水性処理済部に対向している間に限り樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが親水性非処理部に対向している間は樹脂層とグラビアロールとを接触させないように行い,塗工処理後に,親水性非処理部の範囲内において,樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造するようにしてもよい。
このようにすれば,長手方向縁辺部以外の箇所にも,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に親水性非処理部が設けられているセパレータを製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセパレータとその製造方法によれば,樹脂層に耐熱層を積層したセパレータであっても,切断や溶着の工程に悪影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本形態のセパレータを示す概略断面図である。
【図2】セパレータの製造工程を示す説明図である。
【図3】コロナ処理装置を示す概略構成図である。
【図4】耐熱層の塗工装置を示す概略構成図である。
【図5】比較例における塗工状態の例を示す説明図である。
【図6】耐熱層の塗工装置を示す概略構成図である。
【図7】セパレータの製造途中の状態を示す説明図である。
【図8】実施例における塗工状態の例を示す説明である。
【図9】比較例における塗工状態の例を示す説明である。
【図10】両面に耐熱層を有するセパレータを示す概略断面図である。
【図11】セパレータの製造方法の別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明を具体化した形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,樹脂層に耐熱層が積層されたセパレータとそれを製造する製造方法に本発明を適用したものである。
【0021】
本形態のセパレータ10は,図1に示すように,樹脂層11に耐熱層12が積層された帯状のものである。例えば,捲回型の二次電池において,正負の電極板の間に捲回される絶縁体である。以下では,セパレータ等の帯状のものについて,巻き方向となる方向を長手方向(図中で奥行き方向),長手方向に直角な方向を幅方向(図中で左右方向)という。このセパレータ10は,捲回時の利便性のためにロール状のものとしている。すなわち,二次電池において必要とされる幅で,かつ,同じく必要とされる長さより長いものを巻き芯等に巻き付けた状態とした。なお,図1のセパレータ10は,この図では厚さ方向(図中で上下方向)にかなり拡大して示しているが,実際の厚さは幅方向の大きさに対してごく薄いものである。
【0022】
本形態のセパレータ10では,図1に示すように,耐熱層12は,樹脂層11の片面にほぼ均一の厚さに形成されている。本形態のセパレータ10の樹脂層11としては,電気絶縁性を有する樹脂材のフィルムを用いることができる。例えば,PP/PE/PPによる複合素材の多孔膜とすればよい。このような素材の樹脂フィルムは,従来よりセパレータとして広く使用されてきたものである。耐熱層12は,電気絶縁性を有するとともに樹脂層11より耐熱性の大きい素材で形成されている。例えば,セラミックス等が好ましい。本形態では,樹脂層11の厚さに比較して耐熱層12は薄く,例えば1/4〜1/6程度である。
【0023】
なお本形態では,樹脂層11に耐熱層12を積層する方法として,水を含む溶媒によって水系塗料状としたセラミックス材をグラビア塗工によって積層する方法を採用している。従って,グラビア塗工を行う前に樹脂層11の親水性を向上させておくことにより,耐熱層12を強固に被覆させることができる。親水性を向上させる処理を行わずにセラミックスを被覆した場合には,耐熱層12が剥がれやすく,適切なセパレータを製造することができない。
【0024】
そして幅方向に関しては,図1に示すように,セパレータ10の樹脂層11の幅Aより耐熱層12の幅Bはやや小さい。樹脂層11の上面13のうち,この耐熱層12が設けられている幅Bの範囲は,耐熱層12の形成前にコロナ処理またはプラズマ処理等の親水性を向上させる処理が行われた範囲である。すなわち,耐熱層12が積層されている範囲が親水性処理済部である。
【0025】
一方,図1に示すように,セパレータ10の幅方向の両端部には,耐熱層12の積層されていない未積層部15がある。未積層部15は,上記の幅Aから幅Bを除いた範囲であり,幅方向両側にほぼ同じ幅Cの範囲となっている。この未積層部15は,親水性を向上させる処理が行われなかった範囲であり,樹脂層11のみが露出している。すなわち,未積層部15が親水性非処理部である。
【0026】
例えば,リチウムイオン二次電池では,正負の電極板は通常,金属箔にそれぞれの活物質の合材を塗布して形成されている。このようなリチウムイオン二次電池に本形態のセパレータ10を用いる場合には,その耐熱層12の幅Bは,正負のいずれの活物質の合材の幅よりも小さくないことが望ましい。また,未積層部15の幅Cは,少なくとも0.1mm以上,より好ましくは1mm程度以上とする。
【0027】
なお,後述するように,本形態のセパレータ10には,その長手方向にも間欠的に耐熱層12の形成されていない範囲が設けられていることが望ましい。すなわち,リチウムイオン二次電池に用いた場合に,巻始めと巻終わりに相当する箇所は,幅方向の全体にわたって,ある程度の幅で樹脂層11が露出しているとよい。そして,この箇所についても,親水性を向上させる処理は行われていない。1つの電池に使用されるセパレータ10の長さは,用途等に応じて適切に選択される。
【0028】
次に,本形態のセパレータ10を製造する方法について説明する。セパレータ10の製造工程は,その概略を図2に下から上へ向かって順に示すように,以下の手順で行われる。すなわち,樹脂層11の素材として,セパレータ10の樹脂層11の幅Aの約2倍の幅の樹脂フィルム21を使用し,
・コロナ処理装置23によるコロナ処理,
・塗工装置25によるセラミックス層の塗工処理,
・切断装置27による切断処理
をこの順に行う。
【0029】
本形態では,図2に示すように,樹脂フィルム21に対して,まず,コロナ処理装置23によるコロナ処理を行う。コロナ処理は,プラズマ処理の1種であり,大気中・大気圧付近で行う表面改質のための親水性向上処理である。この処理を行うことにより,その表面の親水性や接着性を向上させ,この後に塗工するセラミックスを樹脂フィルム21に強固に付着させることができる。
【0030】
コロナ処理装置23は,その概略を図3に示すように,高周波電源31,コントローラ32,電極33を有している。樹脂フィルム21は,接地されている処理ロール34に巻き掛けられ,電極33のごく近くを一定の速度で通るように配置される。そして,高周波電源31による高周波・高電圧出力を,電極33と処理ロール34との間にかけることによってコロナ放電を発生させる。このコロナ放電下に樹脂フィルム21を通過させ,この放電のエネルギーを樹脂フィルム21に作用させるものである。
【0031】
本形態では,図2に示すように,幅方向に2つに分けた電極33を設けて,コロナ処理を行う。各電極33は,その幅方向の大きさはセパレータ10の耐熱層12の幅Bと等しいものであり,幅方向に直線上に並べられている。さらに,両電極33はそれぞれ,樹脂フィルム21の幅方向端部から未積層部15の幅Cだけ空けた位置に配置される。従って,両電極33の間には幅Cの2倍の幅の隙間が設けられる。なお,両電極33は,同種のものであり,一つのコントローラ32によって同様に制御される。
【0032】
上記のように各電極33を配置することにより,図2に示すように,このコロナ処理工程によって,樹脂フィルム21には帯状に2箇所の処理済部35が形成される。そして,コロナ処理装置23を通過した樹脂フィルム21は,処理済部35でのみ親水性や接着性が向上しており,両端部37や中間部38等の非処理部39はもとのままである。なお,コロナ放電処理を行っていない非処理部39の樹脂フィルム21は,濡れ性の低いものであり,その表面にセラミック材等が付着しても容易に剥がれる。
【0033】
次に,塗工装置25によるセラミックス層の塗工処理を行う。本形態の塗工装置25は,図4に示すように,グラビアロール41,液パン42,ドクターブレード43,ガイドロール44を有してグラビア塗工を行う装置である。セラミックス材を含む塗料45を液パン42に供給しておく。その塗料45に部分的に浸漬させた状態でグラビアロール41を回転させて,グラビアロール41の表面に塗料45を付着させる。
【0034】
さらに,ドクターブレード43によって,グラビアロール41の表面への塗料45の付着量が調整された後,グラビアロール41と樹脂フィルム21とが接触される。樹脂フィルム21は,2つのガイドロール44によって,その間の箇所がグラビアロール41に接触するように押し下げられている。これにより,樹脂フィルム21に塗料45を塗布する。本形態では,塗料45の溶媒として水を加えている。
【0035】
本形態のグラビアロール41は,ほぼ円柱形状であり,そのうち図2に示すように,軸方向の2箇所において外周面に彫刻部47が形成されている。この彫刻部47の幅方向の範囲は,コロナ処理装置23の2つの電極33の配置と同じ箇所である。すなわち,幅Bの彫刻部47が2箇所に設けられ,それぞれ樹脂フィルム21の処理済部35に対向するように配置されている。
【0036】
彫刻部47は,グラビアロール41の表面に細かい刻み目が一面に形成された箇所である。従って,グラビアロール41は,彫刻部47の刻み目の間に塗料45を保持することができる。グラビアロール41のうち,彫刻部47以外の箇所は,彫刻されていない滑らかな円柱面となっている。ただし,ドクターブレード43で摺擦しても,彫刻部47以外の箇所の塗料45を完全にぬぐい取れるとは限らない。なお,本形態では,グラビアロール41として彫刻部47以外の箇所の径を細く形成した段付きローラを使用する必要はないが,段付きローラとしてはいけないわけではない。
【0037】
本形態では,図2に示すように,樹脂フィルム21のうち彫刻部47が対向する箇所は,コロナ処理によって親水性が向上された処理済部35である。処理済部35では塗料45は容易に樹脂フィルム21に付着する。従って,塗工装置25による処理によって,樹脂フィルム21の処理済部35の上に塗工部49が形成される。一方,それ以外の非処理部39(両端部37及び中間部38)は,コロナ処理が行われていない。従って,グラビアロール41の彫刻部47以外の箇所に塗料45が多少付着していたとしても,処理済部35以外の箇所の樹脂フィルム21には殆ど付着しない。また,仮に付着したとしても容易に剥がれて落ちる。
【0038】
次に,切断装置27による切断処理を行う。すなわち,図2に示すように,樹脂フィルム21をその中間部38の中央位置で長手方向に沿って切断する。これにより,樹脂フィルム21は,それぞれに塗工部49が形成された2本のセパレータ10となる。なお,本形態では,円形の切断刃とその切断刃に接する切断補助面を有する円形の下刃とによって樹脂フィルム21を挟み,樹脂フィルム21の進行に合わせて切断刃と下刃とを回転させることによる切断(ゲーベル式)を行っている。
【0039】
本形態では,切断装置27によって切断される中間部38には,コロナ処理を行っていない。従って,中間部38は濡れ性が低く,セラミックスが付着しているおそれはない。このことから,切断刃がセラミックスを切るおそれはないので,切断刃の摩耗は効果的に抑制されている。これにより,切断時に樹脂層11の一部が切れ残って突出し,いわゆるヒゲとなることも効果的に防止されている。
【0040】
これに対し,たとえグラビアロール41に本形態のように彫刻部47を形成していても,図5に示すように,樹脂フィルム21の幅方向の全体にわたる電極51を用いたコロナ処理を行うと,好ましい結果が得られない。このようにすると,樹脂フィルム21の幅全体が処理済部52となるため,彫刻部47に対向しない箇所である両端部54及び中間部55へも多少は斑点状にセラミックスの付着箇所57ができてしまう。これは,グラビアロール41の彫刻部47以外の箇所へも塗料45が多少付着することを防止できないことと,塗工時に塗料45の飛び散りが多少発生することによる。
【0041】
なお,電池に封入される電極捲回体を製造する際には,上記のように適切な幅の帯状に製造したセパレータを,それぞれ帯状に製造された正極板や負極板とともに捲回する。そして,必要な長さまで捲回したら,切断し,巻き終わりを固定して捲回体とする。このときにはセパレータの長手方向に直角な方向に切断することになる。この場合にもセラミックスが塗工されている箇所を切断することは,切断刃の摩耗を進行させるため好ましくない。そのため,本形態では,塗工処理の際に,長手方向に直角な方向にも,セラミックスが塗工されていない未塗工箇所を間欠的に形成する(図7参照)ことが好ましい。
【0042】
そのために,本形態では,セラミックス層の塗工処理を間欠的に行う。そして,樹脂フィルム21を一定の速度で送りつつも,コロナ処理とセラミックス層の塗工処理とをともに行わないタイミングを設定する。すなわち,コロナ処理装置23が樹脂フィルム21のうち,セラミックス層を塗工しない箇所に対向している期間は,コントローラ32によって,電極33への電圧の供給を行わないように設定される。これにより,この範囲内では樹脂フィルム21は,親水性が低い状態のままであるので,たとえセラミックスが多少付着しても容易に剥がれ,付着したままとはならない。
【0043】
さらに,塗工装置25が,樹脂フィルム21のうちセラミックス層を塗工しない箇所(コロナ処理を行わなかった範囲)に対向している間は,図6に示すように,塗工装置25のガイドロール44の一方を図中上方へ移動させる。塗工装置25の運転自体は停止させないで,ガイドロール44をグラビアロール41から離れた位置に移動させる。これにより,この箇所では樹脂フィルム21とグラビアロール41とが接触しないので,樹脂フィルム21に塗料45が塗布されない。ここでは,グラビアロール41より下流側のガイドロール44を,樹脂フィルム21の面にほぼ垂直な方向に移動させている。樹脂フィルム21の搬送速度が変化しないように,ガイドロール44の回転は継続して行うことが好ましい。そして,セラミックス層を塗工しない箇所が通り過ぎたら,ガイドロール44の配置を元に戻し,再び塗工処理を行う。
【0044】
このようにすれば,帯状の樹脂フィルム21には,図7に示すように,長手方向の両端部37及び中間部38に加えて,幅方向に間欠的な未塗工部71が形成される。そのため,四角形状のセラミック塗工箇所72が縦横に並んだものとなる。その後,切断装置27によって,長手方向に沿って中間部38を切断する。これにより,間欠的にセラミックスが塗工されたセパレータ10とすることができる。
【0045】
さらに,このセパレータ10を用いて電極捲回体を形成する際には,セパレータや正負の電極板を重ねて必要な長さだけ捲回しつつ巻き出し,最後にそれぞれ切断する。本形態では,セパレータ10の切断箇所は,図7に示した未塗工部71であり,この箇所にはセラミックスが付着していない。従って,切断時にセラミックスの粉の散乱や,セラミックスを切断することによる切断刃の摩耗の進行等は,効果的に防止されている。また,全面にセラミックスを塗布するものと比較して,セラミックスの使用量が少量ですむという効果もある。
【0046】
なお,このようにセパレータ10に間欠的な未塗工部71を形成しておくことにより,捲回体とされた場合に長さ方向の両端部にこの未塗工部71が配置される。従って,捲回体の巻き初めおよび巻き終わりにおいて,セパレータを溶着することができる。例えば,捲回体に含まれる2枚のセパレータ同士をその両端部で溶着すれば,これらを容易に固定できる。
【0047】
発明者は,これらの点を実験によって確かめた。まず,本形態のように分割した電極33を用いた実施例と,樹脂フィルム21の幅方向の全体に作用する1本の電極51(図5参照)を用いた比較例1とを用いて,本実施例の塗工処理を行った。いずれの例でも,上記のように彫刻部47を形成したグラビアロール41を用いて同様の塗工処理を行い,彫刻部47以外の箇所におけるセラミックス材の付着状況を目視で確かめた。
【0048】
なお,この実験では,樹脂フィルム21として,PP/PE/PPの3層構成で厚さ20μmのものを用いた。その空孔率は47%であり,透気度は300秒/100ccであった。これの片面に,チタニア(二酸化チタン)/CMC(カルボキシメチルセルロース)/バインダを98:1:1の割合で混合したものをグラビアコート法によって4μmの厚さに塗工することにより,セラミックス層を形成した。
【0049】
この実験の結果,実施例では,彫刻部47以外の箇所へのセラミックスの付着は見られなかった。一方,比較例1では,彫刻部47以外の箇所へも多少のセラミックスの付着が確認された。従って,コロナ放電処理を選択的に行うことにより,それ以外の箇所へのセラミックスの付着が効果的に防止されることが確認できた。
【0050】
次に,発明者は,本形態のようにセラミックスの付着していない中間部38を切断することにより,切断刃の摩耗が抑制されることをさらなる実験によって確かめた。すなわち,上記の実験と同じ材質を用いて,本形態の実施例と,中間部38を設けないで一面に塗工処理を行った比較例2とを作成した。これをそれぞれ新品の切断刃で切り始め,連続的に切断し続けて各距離まで切断した段階で,切断された箇所のヒゲ発生の有無及び,セラミックス層の滑落の有無を確かめた。
【0051】
ヒゲ発生については,各切断距離について,最後の10m分の切断面を光学顕微鏡(1000倍)で観察し,ヒゲの有無を確認した。また,セラミックス層の滑落については,切断処理の際に切断刃の下に粘着テープを粘着面を上向きにして配置しておき,切断時の滑落物を採取した。その粘着テープを光学顕微鏡(1000倍)で観察し,その中にセラミックスが含まれているか否かを確認した。
【0052】
【表1】
【0053】
実験の結果は,上記の表1の通りとなった。実施例では80000mまでの切断でヒゲの発生もセラミックスの滑落も見られなかった。一方比較例2では,100mまでの切断ではヒゲの発生もセラミックスの滑落も見られなかったが,5000m切断した時点で既にセラミックスの滑落が見られ始めた。さらに10000m以上切断した場合には,ヒゲの発生も見られた。従って,比較例2に比較して,実施例では切断刃の摩耗が抑制されていることが確認できた。
【0054】
さらに発明者は,以下の実験も行った。上記と同様の材質を用いて,長手方向に間欠的に塗工層を形成する場合の未塗工部71(図7参照)への塗料の付着状態について確認した。本実験の実施例は,コロナ処理およびグラビア塗工処理をともに間欠的に行ったものである。比較例は,コロナ処理は連続して行い,グラビア塗工のみを間欠的に行ったものとした。
【0055】
実験の結果は,実施例では,図8に示すように,セラミックス塗工箇所72と未塗工部71との境界が明確であり,未塗工部71へのセラミックスの付着は見られなかった。一方,比較例では,図9に示すように,セラミックス塗工箇所72から未塗工部71へのはみだし81や,未塗工部71内への斑点状の飛び散り82等が見られた。すなわち,未塗工部71へのセラミックスの付着を完全に防止することは出来なかった。
【0056】
以上詳細に説明したように本形態のセパレータ10は,樹脂層11にセラミックスによる耐熱層12を設けたものである。従って,耐熱性が高く,例えばリチウムイオン二次電池の電極体に好適に用いることができる。さらに,本形態の製造方法によれば,切断箇所を残して耐熱層12を形成する範囲を設定し,その範囲内だけにコロナ処理を行うとともにセラミックスを塗工しているので,切断箇所にセラミックスが付着することが防止されている。従って,切断刃がセラミックスに当たるおそれはなく,切断刃の摩耗が抑制されている。これにより,セパレータ10の幅の2倍の樹脂フィルム21を用いて,効率的にセパレータ10を製造することができる。従って,樹脂層に耐熱層を積層したセパレータであって,幅広の帯状の樹脂素材を用いて製造しても,樹脂層のヒゲや耐熱層の剥離を発生させないで製造できる。
【0057】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,本形態では,セパレータ10の2倍の幅の樹脂フィルム21を用いて,2本に切断するとしたが,3倍以上の幅のフィルムを3本以上に切断してセパレータを製造することももちろん可能である。その場合には,各セパレータの耐熱層の配置に合わせてコロナ処理と塗工処理とを行う。そして,切断する箇所にはコロナ処理を行わないようにすればよい。
【0058】
また,上記の形態や図1では,樹脂層11の片面のみに耐熱層12が形成されているものを記載しているが,図10に示すように,樹脂層の表裏両面に耐熱層が形成されているセパレータ60とすることもできる。この場合には,まず片面に上記のように耐熱層を形成し,それから,反対面にも同じ位置に同様にして耐熱層を形成する。その後,両面で同じ位置に配置されている未積層部を切断してセパレータ60とすればよい。
【0059】
また,上記の形態では,樹脂フィルム21の幅方向両端部にセラミックを塗工しない範囲を残して,セパレータ10の両端部に幅Cの未積層部15があるものとしたが,この箇所の未積層部はなくてもよい。例えば図11に示すように,セパレータの約3倍の幅の樹脂フィルム61に,2箇所の未積層部62を残して耐熱層63を積層し,これをその未積層部62の箇所で切断して,3本のセパレータを製造することもできる。この場合には当然,3箇所の彫刻部が形成されたグラビアロールを使用するとともに,未積層部62には親水性向上処理を行わない。このように製造した場合には,切断後のセパレータとして,幅方向の両側の端部に未積層部を有するものと片側のみしか有しないものとが混在する。それでも,二次電池等に使用することには特に問題はない。
【符号の説明】
【0060】
10 セパレータ
11 樹脂層
12 耐熱層
21 樹脂フィルム
23 コロナ処理装置
25 塗工装置
33 電極
35 処理済部
39 非処理部
41 グラビアロール
47 彫刻部
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば捲回型の二次電池等に使用されるセパレータとその製造方法に関する。さらに詳細には,樹脂層とセラミック層とが重ね合わされたセパレータとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン二次電池等には,いわゆる捲回型の電極体を用いているものがある。捲回型の電極体は,それぞれ帯状に形成された正極板,負極板,セパレータを適切に重ねて捲回したものである。このセパレータとしては,従来より,多孔質の有機ポリマーによる多孔膜が広く使用されてきた。例えば,PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)/PPの複合材料からなる,いわゆるシャットダウン機能を有するものが知られている。しかしながら,このような多孔膜は,異常発熱等によってさらなる高温にさらされた場合に焼き切れるおそれがあった。
【0003】
そこで,有機ポリマーによる多孔膜に耐熱性の高い樹脂組成物を積層することにより,耐熱性を高めたセパレータが提案されている(例えば,特許文献1参照。)。さらに,ポリマー不織布をプラズマ処理して,その上にセラミック被覆を施したセパレータも開示されている(例えば特許文献2参照。)。プラズマ処理を行うことにより,セラミック被覆の剥離を防止したセパレータとできるとされている。
【0004】
一方,製造上の利便性から,幅広の帯状の樹脂膜を素材として使用し,その長手方向に沿って切断することにより複数枚のセパレータを製造することが行われている。この製造方法を用いて,上記のようにセラミック層等の耐熱層を形成したセパレータを製造する場合には,通常,まず幅広の樹脂膜の全面に耐熱層を積層し,その後,長手方向に沿って複数枚に切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59733号公報
【特許文献2】特開2008−208511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように耐熱層を全面にわたり形成した幅広の樹脂膜を,長手方向に沿って切断する場合には,樹脂層と耐熱層とをまとめて切断することになる。しかしながら,耐熱層に使用されているセラミックス等を切断すると,切断刃の摩耗が進行しやすい。そして,摩耗の進行した箇所のある切断刃で切断を続けると,セパレータの樹脂層の一部が細く突出した状態(「ヒゲ」と称される)で残る場合があるという問題点があった。また,切断処理によって,切断箇所近くの耐熱層が樹脂膜から剥がれることがあるという問題もあった。
【0007】
また,捲回体の製造では通常,電極板やセパレータを適切な幅で1つの捲回体に必要な長さより長く製造し,巻き芯等に巻き付けたものを使用する。ここから巻きだして,他のシートと重ね合わせて捲回し,必要な長さだけ捲回したらそこで切断して,1つの捲回体とするのである。このような方法で製造する場合には,セパレータを長手方向に直角に切断することとなる。この場合にも,耐熱層を切断すると切断刃の摩耗が進行しやすいという問題点があった。
【0008】
さらに,捲回体では,例えば,捲回体の巻き初めや巻き終わりにおいては,セパレータを溶着することによって固定することが望ましい。粘着テープ等での接着も可能ではあるが,テープの分のコストがかかるうえに,捲回体の厚みが増すため,あまり好ましくない。しかし,耐熱層の溶融温度は非常に高く,耐熱層が全面に形成されたセパレータは,通常の溶着温度では溶着することはできないという問題点もあった。
【0009】
本発明は,前記した従来のセパレータとその製造方法が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,樹脂層に耐熱層を積層したセパレータであって,切断や溶着の工程に悪影響を与えることのないセパレータとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題の解決を目的としてなされた本発明のセパレータは,樹脂層に耐熱層を積層してなるセパレータであって,樹脂層の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理が施された親水性処理済部と,親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部とが設けられており,耐熱層は,親水性処理済部上に形成されているとともに,親水性非処理部上には形成されていないものである。
【0011】
本発明のセパレータによれば,耐熱層は,親水性処理済部上に形成されているので,樹脂層と耐熱層とが強固に接着されている。そして,樹脂層には,耐熱層が形成されていないとともに親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部も設けられている。この範囲は,親水性が向上されていないため,たとえ耐熱層の材料である塗料がいくらか付着したとしても,強固な接着は得られず,容易に剥がれて落ちる。従って,親水性非処理部は確実に樹脂層のみが露出しているので,この箇所において切断や溶着を行えば,それらの工程に悪影響を与えるおそれはない。例えば,切断刃の摩耗を特に進行させるおそれはなく,ヒゲの発生を効果的に防止できる。また,切断時に耐熱層のかけらが飛散したり,切断箇所近傍の耐熱層が剥離するおそれもない。さらに,樹脂層のみの箇所同士であれば,容易かつ確実に溶着することができるので,粘着テープを使用しないで捲回体を形成することもできる。
【0012】
さらに本発明では,親水性非処理部は,樹脂層の少なくとも片方の長手方向縁辺部に設けられていることが望ましい。また,親水性非処理部は,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられていてもよい。あるいは,親水性非処理部が,長手方向縁辺部以外の箇所にも,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられているものであってもよい。
材料として用意する樹脂層の大きさと製造するセパレータの大きさとの関係に応じて,樹脂層から複数個のセパレータを製造することができる。例えば,樹脂層の幅がセパレータの幅の2倍以上であれば,樹脂層の長手方向に沿って幅を2以上に切断する。このとき,間に親水性非処理部を形成してその両側に耐熱層を形成し,親水性非処理部において切断すれば,製造されたセパレータは長手方向縁辺部に親水性非処理部が設けられているものとなる。なお,いずれの場合にも,樹脂層における親水性非処理部の残部は親水性処理済部である。
【0013】
さらに本発明では,樹脂層における親水性非処理部の裏面が,耐熱層で被覆されていない面であることが望ましい。
このようなものであれば,樹脂層における親水性非処理部は,両面とも耐熱層で被覆されていないものとなる。従って,その箇所で切断しても,切断刃に悪影響を与えるおそれはない。
【0014】
また,本発明は,樹脂層に耐熱層を積層することによるセパレータの製造方法であって,樹脂層の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理を部分的に施して親水性処理済部を設けるとともに,残部を親水性を向上させる処理を施していない親水性非処理部として残し,樹脂層における親水性処理済部上に耐熱層を形成するとともに,親水性非処理部上には耐熱層を形成しない塗工処理を行うセパレータの製造方法にも及ぶ。
このようにすれば,本発明のセパレータを製造することができる。さらに,製造工程中に切断する工程が含まれていても,切断刃の摩耗の進行を抑制し,樹脂層のヒゲや耐熱層の剥離を発生させないで製造できる。なお,もし親水性非処理部に多少塗料が付着していたとしても,それはその場所に塗工処理を施したことにはならない。
【0015】
さらに本発明の製造方法では,セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを樹脂層として用意し,親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,樹脂層における親水性処理済部となるべき箇所に対向して電極が配置されるとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所に対向する箇所には電極が配置されない状態で行い,塗工処理はグラビア塗工処理であり,グラビア塗工処理を,樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,親水性非処理部に対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて行い,塗工処理後に,親水性非処理部の範囲内において,樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造することが望ましい。
このようにすれば,樹脂層の少なくとも片方の長手方向縁辺部に親水性非処理部が設けられているセパレータを製造することができる。
【0016】
さらに本発明の製造方法では,親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,コロナ放電処理では,樹脂層における親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わず,塗工処理はグラビア塗工処理であり,グラビア塗工処理では,グラビアロールが親水性処理済部に対向している間に限り樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが親水性非処理部に対向している間は樹脂層とグラビアロールとを接触させないことが望ましい。
このようにすれば,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に親水性非処理部が設けられているセパレータを製造することができる。
【0017】
さらに本発明の製造方法では,セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを樹脂層として用意し,親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,樹脂層における親水性処理済部となりうる箇所に対向して電極が配置されるとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所にのみ対向する箇所には電極が配置されない状態で,樹脂層における親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,樹脂層における親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わないように行い,塗工処理はグラビア塗工処理であり,グラビア塗工処理を,樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,親水性非処理部にのみ対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて,グラビアロールが親水性処理済部に対向している間に限り樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが親水性非処理部に対向している間は樹脂層とグラビアロールとを接触させないように行い,塗工処理後に,親水性非処理部の範囲内において,樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造するようにしてもよい。
このようにすれば,長手方向縁辺部以外の箇所にも,樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に親水性非処理部が設けられているセパレータを製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセパレータとその製造方法によれば,樹脂層に耐熱層を積層したセパレータであっても,切断や溶着の工程に悪影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本形態のセパレータを示す概略断面図である。
【図2】セパレータの製造工程を示す説明図である。
【図3】コロナ処理装置を示す概略構成図である。
【図4】耐熱層の塗工装置を示す概略構成図である。
【図5】比較例における塗工状態の例を示す説明図である。
【図6】耐熱層の塗工装置を示す概略構成図である。
【図7】セパレータの製造途中の状態を示す説明図である。
【図8】実施例における塗工状態の例を示す説明である。
【図9】比較例における塗工状態の例を示す説明である。
【図10】両面に耐熱層を有するセパレータを示す概略断面図である。
【図11】セパレータの製造方法の別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明を具体化した形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,樹脂層に耐熱層が積層されたセパレータとそれを製造する製造方法に本発明を適用したものである。
【0021】
本形態のセパレータ10は,図1に示すように,樹脂層11に耐熱層12が積層された帯状のものである。例えば,捲回型の二次電池において,正負の電極板の間に捲回される絶縁体である。以下では,セパレータ等の帯状のものについて,巻き方向となる方向を長手方向(図中で奥行き方向),長手方向に直角な方向を幅方向(図中で左右方向)という。このセパレータ10は,捲回時の利便性のためにロール状のものとしている。すなわち,二次電池において必要とされる幅で,かつ,同じく必要とされる長さより長いものを巻き芯等に巻き付けた状態とした。なお,図1のセパレータ10は,この図では厚さ方向(図中で上下方向)にかなり拡大して示しているが,実際の厚さは幅方向の大きさに対してごく薄いものである。
【0022】
本形態のセパレータ10では,図1に示すように,耐熱層12は,樹脂層11の片面にほぼ均一の厚さに形成されている。本形態のセパレータ10の樹脂層11としては,電気絶縁性を有する樹脂材のフィルムを用いることができる。例えば,PP/PE/PPによる複合素材の多孔膜とすればよい。このような素材の樹脂フィルムは,従来よりセパレータとして広く使用されてきたものである。耐熱層12は,電気絶縁性を有するとともに樹脂層11より耐熱性の大きい素材で形成されている。例えば,セラミックス等が好ましい。本形態では,樹脂層11の厚さに比較して耐熱層12は薄く,例えば1/4〜1/6程度である。
【0023】
なお本形態では,樹脂層11に耐熱層12を積層する方法として,水を含む溶媒によって水系塗料状としたセラミックス材をグラビア塗工によって積層する方法を採用している。従って,グラビア塗工を行う前に樹脂層11の親水性を向上させておくことにより,耐熱層12を強固に被覆させることができる。親水性を向上させる処理を行わずにセラミックスを被覆した場合には,耐熱層12が剥がれやすく,適切なセパレータを製造することができない。
【0024】
そして幅方向に関しては,図1に示すように,セパレータ10の樹脂層11の幅Aより耐熱層12の幅Bはやや小さい。樹脂層11の上面13のうち,この耐熱層12が設けられている幅Bの範囲は,耐熱層12の形成前にコロナ処理またはプラズマ処理等の親水性を向上させる処理が行われた範囲である。すなわち,耐熱層12が積層されている範囲が親水性処理済部である。
【0025】
一方,図1に示すように,セパレータ10の幅方向の両端部には,耐熱層12の積層されていない未積層部15がある。未積層部15は,上記の幅Aから幅Bを除いた範囲であり,幅方向両側にほぼ同じ幅Cの範囲となっている。この未積層部15は,親水性を向上させる処理が行われなかった範囲であり,樹脂層11のみが露出している。すなわち,未積層部15が親水性非処理部である。
【0026】
例えば,リチウムイオン二次電池では,正負の電極板は通常,金属箔にそれぞれの活物質の合材を塗布して形成されている。このようなリチウムイオン二次電池に本形態のセパレータ10を用いる場合には,その耐熱層12の幅Bは,正負のいずれの活物質の合材の幅よりも小さくないことが望ましい。また,未積層部15の幅Cは,少なくとも0.1mm以上,より好ましくは1mm程度以上とする。
【0027】
なお,後述するように,本形態のセパレータ10には,その長手方向にも間欠的に耐熱層12の形成されていない範囲が設けられていることが望ましい。すなわち,リチウムイオン二次電池に用いた場合に,巻始めと巻終わりに相当する箇所は,幅方向の全体にわたって,ある程度の幅で樹脂層11が露出しているとよい。そして,この箇所についても,親水性を向上させる処理は行われていない。1つの電池に使用されるセパレータ10の長さは,用途等に応じて適切に選択される。
【0028】
次に,本形態のセパレータ10を製造する方法について説明する。セパレータ10の製造工程は,その概略を図2に下から上へ向かって順に示すように,以下の手順で行われる。すなわち,樹脂層11の素材として,セパレータ10の樹脂層11の幅Aの約2倍の幅の樹脂フィルム21を使用し,
・コロナ処理装置23によるコロナ処理,
・塗工装置25によるセラミックス層の塗工処理,
・切断装置27による切断処理
をこの順に行う。
【0029】
本形態では,図2に示すように,樹脂フィルム21に対して,まず,コロナ処理装置23によるコロナ処理を行う。コロナ処理は,プラズマ処理の1種であり,大気中・大気圧付近で行う表面改質のための親水性向上処理である。この処理を行うことにより,その表面の親水性や接着性を向上させ,この後に塗工するセラミックスを樹脂フィルム21に強固に付着させることができる。
【0030】
コロナ処理装置23は,その概略を図3に示すように,高周波電源31,コントローラ32,電極33を有している。樹脂フィルム21は,接地されている処理ロール34に巻き掛けられ,電極33のごく近くを一定の速度で通るように配置される。そして,高周波電源31による高周波・高電圧出力を,電極33と処理ロール34との間にかけることによってコロナ放電を発生させる。このコロナ放電下に樹脂フィルム21を通過させ,この放電のエネルギーを樹脂フィルム21に作用させるものである。
【0031】
本形態では,図2に示すように,幅方向に2つに分けた電極33を設けて,コロナ処理を行う。各電極33は,その幅方向の大きさはセパレータ10の耐熱層12の幅Bと等しいものであり,幅方向に直線上に並べられている。さらに,両電極33はそれぞれ,樹脂フィルム21の幅方向端部から未積層部15の幅Cだけ空けた位置に配置される。従って,両電極33の間には幅Cの2倍の幅の隙間が設けられる。なお,両電極33は,同種のものであり,一つのコントローラ32によって同様に制御される。
【0032】
上記のように各電極33を配置することにより,図2に示すように,このコロナ処理工程によって,樹脂フィルム21には帯状に2箇所の処理済部35が形成される。そして,コロナ処理装置23を通過した樹脂フィルム21は,処理済部35でのみ親水性や接着性が向上しており,両端部37や中間部38等の非処理部39はもとのままである。なお,コロナ放電処理を行っていない非処理部39の樹脂フィルム21は,濡れ性の低いものであり,その表面にセラミック材等が付着しても容易に剥がれる。
【0033】
次に,塗工装置25によるセラミックス層の塗工処理を行う。本形態の塗工装置25は,図4に示すように,グラビアロール41,液パン42,ドクターブレード43,ガイドロール44を有してグラビア塗工を行う装置である。セラミックス材を含む塗料45を液パン42に供給しておく。その塗料45に部分的に浸漬させた状態でグラビアロール41を回転させて,グラビアロール41の表面に塗料45を付着させる。
【0034】
さらに,ドクターブレード43によって,グラビアロール41の表面への塗料45の付着量が調整された後,グラビアロール41と樹脂フィルム21とが接触される。樹脂フィルム21は,2つのガイドロール44によって,その間の箇所がグラビアロール41に接触するように押し下げられている。これにより,樹脂フィルム21に塗料45を塗布する。本形態では,塗料45の溶媒として水を加えている。
【0035】
本形態のグラビアロール41は,ほぼ円柱形状であり,そのうち図2に示すように,軸方向の2箇所において外周面に彫刻部47が形成されている。この彫刻部47の幅方向の範囲は,コロナ処理装置23の2つの電極33の配置と同じ箇所である。すなわち,幅Bの彫刻部47が2箇所に設けられ,それぞれ樹脂フィルム21の処理済部35に対向するように配置されている。
【0036】
彫刻部47は,グラビアロール41の表面に細かい刻み目が一面に形成された箇所である。従って,グラビアロール41は,彫刻部47の刻み目の間に塗料45を保持することができる。グラビアロール41のうち,彫刻部47以外の箇所は,彫刻されていない滑らかな円柱面となっている。ただし,ドクターブレード43で摺擦しても,彫刻部47以外の箇所の塗料45を完全にぬぐい取れるとは限らない。なお,本形態では,グラビアロール41として彫刻部47以外の箇所の径を細く形成した段付きローラを使用する必要はないが,段付きローラとしてはいけないわけではない。
【0037】
本形態では,図2に示すように,樹脂フィルム21のうち彫刻部47が対向する箇所は,コロナ処理によって親水性が向上された処理済部35である。処理済部35では塗料45は容易に樹脂フィルム21に付着する。従って,塗工装置25による処理によって,樹脂フィルム21の処理済部35の上に塗工部49が形成される。一方,それ以外の非処理部39(両端部37及び中間部38)は,コロナ処理が行われていない。従って,グラビアロール41の彫刻部47以外の箇所に塗料45が多少付着していたとしても,処理済部35以外の箇所の樹脂フィルム21には殆ど付着しない。また,仮に付着したとしても容易に剥がれて落ちる。
【0038】
次に,切断装置27による切断処理を行う。すなわち,図2に示すように,樹脂フィルム21をその中間部38の中央位置で長手方向に沿って切断する。これにより,樹脂フィルム21は,それぞれに塗工部49が形成された2本のセパレータ10となる。なお,本形態では,円形の切断刃とその切断刃に接する切断補助面を有する円形の下刃とによって樹脂フィルム21を挟み,樹脂フィルム21の進行に合わせて切断刃と下刃とを回転させることによる切断(ゲーベル式)を行っている。
【0039】
本形態では,切断装置27によって切断される中間部38には,コロナ処理を行っていない。従って,中間部38は濡れ性が低く,セラミックスが付着しているおそれはない。このことから,切断刃がセラミックスを切るおそれはないので,切断刃の摩耗は効果的に抑制されている。これにより,切断時に樹脂層11の一部が切れ残って突出し,いわゆるヒゲとなることも効果的に防止されている。
【0040】
これに対し,たとえグラビアロール41に本形態のように彫刻部47を形成していても,図5に示すように,樹脂フィルム21の幅方向の全体にわたる電極51を用いたコロナ処理を行うと,好ましい結果が得られない。このようにすると,樹脂フィルム21の幅全体が処理済部52となるため,彫刻部47に対向しない箇所である両端部54及び中間部55へも多少は斑点状にセラミックスの付着箇所57ができてしまう。これは,グラビアロール41の彫刻部47以外の箇所へも塗料45が多少付着することを防止できないことと,塗工時に塗料45の飛び散りが多少発生することによる。
【0041】
なお,電池に封入される電極捲回体を製造する際には,上記のように適切な幅の帯状に製造したセパレータを,それぞれ帯状に製造された正極板や負極板とともに捲回する。そして,必要な長さまで捲回したら,切断し,巻き終わりを固定して捲回体とする。このときにはセパレータの長手方向に直角な方向に切断することになる。この場合にもセラミックスが塗工されている箇所を切断することは,切断刃の摩耗を進行させるため好ましくない。そのため,本形態では,塗工処理の際に,長手方向に直角な方向にも,セラミックスが塗工されていない未塗工箇所を間欠的に形成する(図7参照)ことが好ましい。
【0042】
そのために,本形態では,セラミックス層の塗工処理を間欠的に行う。そして,樹脂フィルム21を一定の速度で送りつつも,コロナ処理とセラミックス層の塗工処理とをともに行わないタイミングを設定する。すなわち,コロナ処理装置23が樹脂フィルム21のうち,セラミックス層を塗工しない箇所に対向している期間は,コントローラ32によって,電極33への電圧の供給を行わないように設定される。これにより,この範囲内では樹脂フィルム21は,親水性が低い状態のままであるので,たとえセラミックスが多少付着しても容易に剥がれ,付着したままとはならない。
【0043】
さらに,塗工装置25が,樹脂フィルム21のうちセラミックス層を塗工しない箇所(コロナ処理を行わなかった範囲)に対向している間は,図6に示すように,塗工装置25のガイドロール44の一方を図中上方へ移動させる。塗工装置25の運転自体は停止させないで,ガイドロール44をグラビアロール41から離れた位置に移動させる。これにより,この箇所では樹脂フィルム21とグラビアロール41とが接触しないので,樹脂フィルム21に塗料45が塗布されない。ここでは,グラビアロール41より下流側のガイドロール44を,樹脂フィルム21の面にほぼ垂直な方向に移動させている。樹脂フィルム21の搬送速度が変化しないように,ガイドロール44の回転は継続して行うことが好ましい。そして,セラミックス層を塗工しない箇所が通り過ぎたら,ガイドロール44の配置を元に戻し,再び塗工処理を行う。
【0044】
このようにすれば,帯状の樹脂フィルム21には,図7に示すように,長手方向の両端部37及び中間部38に加えて,幅方向に間欠的な未塗工部71が形成される。そのため,四角形状のセラミック塗工箇所72が縦横に並んだものとなる。その後,切断装置27によって,長手方向に沿って中間部38を切断する。これにより,間欠的にセラミックスが塗工されたセパレータ10とすることができる。
【0045】
さらに,このセパレータ10を用いて電極捲回体を形成する際には,セパレータや正負の電極板を重ねて必要な長さだけ捲回しつつ巻き出し,最後にそれぞれ切断する。本形態では,セパレータ10の切断箇所は,図7に示した未塗工部71であり,この箇所にはセラミックスが付着していない。従って,切断時にセラミックスの粉の散乱や,セラミックスを切断することによる切断刃の摩耗の進行等は,効果的に防止されている。また,全面にセラミックスを塗布するものと比較して,セラミックスの使用量が少量ですむという効果もある。
【0046】
なお,このようにセパレータ10に間欠的な未塗工部71を形成しておくことにより,捲回体とされた場合に長さ方向の両端部にこの未塗工部71が配置される。従って,捲回体の巻き初めおよび巻き終わりにおいて,セパレータを溶着することができる。例えば,捲回体に含まれる2枚のセパレータ同士をその両端部で溶着すれば,これらを容易に固定できる。
【0047】
発明者は,これらの点を実験によって確かめた。まず,本形態のように分割した電極33を用いた実施例と,樹脂フィルム21の幅方向の全体に作用する1本の電極51(図5参照)を用いた比較例1とを用いて,本実施例の塗工処理を行った。いずれの例でも,上記のように彫刻部47を形成したグラビアロール41を用いて同様の塗工処理を行い,彫刻部47以外の箇所におけるセラミックス材の付着状況を目視で確かめた。
【0048】
なお,この実験では,樹脂フィルム21として,PP/PE/PPの3層構成で厚さ20μmのものを用いた。その空孔率は47%であり,透気度は300秒/100ccであった。これの片面に,チタニア(二酸化チタン)/CMC(カルボキシメチルセルロース)/バインダを98:1:1の割合で混合したものをグラビアコート法によって4μmの厚さに塗工することにより,セラミックス層を形成した。
【0049】
この実験の結果,実施例では,彫刻部47以外の箇所へのセラミックスの付着は見られなかった。一方,比較例1では,彫刻部47以外の箇所へも多少のセラミックスの付着が確認された。従って,コロナ放電処理を選択的に行うことにより,それ以外の箇所へのセラミックスの付着が効果的に防止されることが確認できた。
【0050】
次に,発明者は,本形態のようにセラミックスの付着していない中間部38を切断することにより,切断刃の摩耗が抑制されることをさらなる実験によって確かめた。すなわち,上記の実験と同じ材質を用いて,本形態の実施例と,中間部38を設けないで一面に塗工処理を行った比較例2とを作成した。これをそれぞれ新品の切断刃で切り始め,連続的に切断し続けて各距離まで切断した段階で,切断された箇所のヒゲ発生の有無及び,セラミックス層の滑落の有無を確かめた。
【0051】
ヒゲ発生については,各切断距離について,最後の10m分の切断面を光学顕微鏡(1000倍)で観察し,ヒゲの有無を確認した。また,セラミックス層の滑落については,切断処理の際に切断刃の下に粘着テープを粘着面を上向きにして配置しておき,切断時の滑落物を採取した。その粘着テープを光学顕微鏡(1000倍)で観察し,その中にセラミックスが含まれているか否かを確認した。
【0052】
【表1】
【0053】
実験の結果は,上記の表1の通りとなった。実施例では80000mまでの切断でヒゲの発生もセラミックスの滑落も見られなかった。一方比較例2では,100mまでの切断ではヒゲの発生もセラミックスの滑落も見られなかったが,5000m切断した時点で既にセラミックスの滑落が見られ始めた。さらに10000m以上切断した場合には,ヒゲの発生も見られた。従って,比較例2に比較して,実施例では切断刃の摩耗が抑制されていることが確認できた。
【0054】
さらに発明者は,以下の実験も行った。上記と同様の材質を用いて,長手方向に間欠的に塗工層を形成する場合の未塗工部71(図7参照)への塗料の付着状態について確認した。本実験の実施例は,コロナ処理およびグラビア塗工処理をともに間欠的に行ったものである。比較例は,コロナ処理は連続して行い,グラビア塗工のみを間欠的に行ったものとした。
【0055】
実験の結果は,実施例では,図8に示すように,セラミックス塗工箇所72と未塗工部71との境界が明確であり,未塗工部71へのセラミックスの付着は見られなかった。一方,比較例では,図9に示すように,セラミックス塗工箇所72から未塗工部71へのはみだし81や,未塗工部71内への斑点状の飛び散り82等が見られた。すなわち,未塗工部71へのセラミックスの付着を完全に防止することは出来なかった。
【0056】
以上詳細に説明したように本形態のセパレータ10は,樹脂層11にセラミックスによる耐熱層12を設けたものである。従って,耐熱性が高く,例えばリチウムイオン二次電池の電極体に好適に用いることができる。さらに,本形態の製造方法によれば,切断箇所を残して耐熱層12を形成する範囲を設定し,その範囲内だけにコロナ処理を行うとともにセラミックスを塗工しているので,切断箇所にセラミックスが付着することが防止されている。従って,切断刃がセラミックスに当たるおそれはなく,切断刃の摩耗が抑制されている。これにより,セパレータ10の幅の2倍の樹脂フィルム21を用いて,効率的にセパレータ10を製造することができる。従って,樹脂層に耐熱層を積層したセパレータであって,幅広の帯状の樹脂素材を用いて製造しても,樹脂層のヒゲや耐熱層の剥離を発生させないで製造できる。
【0057】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,本形態では,セパレータ10の2倍の幅の樹脂フィルム21を用いて,2本に切断するとしたが,3倍以上の幅のフィルムを3本以上に切断してセパレータを製造することももちろん可能である。その場合には,各セパレータの耐熱層の配置に合わせてコロナ処理と塗工処理とを行う。そして,切断する箇所にはコロナ処理を行わないようにすればよい。
【0058】
また,上記の形態や図1では,樹脂層11の片面のみに耐熱層12が形成されているものを記載しているが,図10に示すように,樹脂層の表裏両面に耐熱層が形成されているセパレータ60とすることもできる。この場合には,まず片面に上記のように耐熱層を形成し,それから,反対面にも同じ位置に同様にして耐熱層を形成する。その後,両面で同じ位置に配置されている未積層部を切断してセパレータ60とすればよい。
【0059】
また,上記の形態では,樹脂フィルム21の幅方向両端部にセラミックを塗工しない範囲を残して,セパレータ10の両端部に幅Cの未積層部15があるものとしたが,この箇所の未積層部はなくてもよい。例えば図11に示すように,セパレータの約3倍の幅の樹脂フィルム61に,2箇所の未積層部62を残して耐熱層63を積層し,これをその未積層部62の箇所で切断して,3本のセパレータを製造することもできる。この場合には当然,3箇所の彫刻部が形成されたグラビアロールを使用するとともに,未積層部62には親水性向上処理を行わない。このように製造した場合には,切断後のセパレータとして,幅方向の両側の端部に未積層部を有するものと片側のみしか有しないものとが混在する。それでも,二次電池等に使用することには特に問題はない。
【符号の説明】
【0060】
10 セパレータ
11 樹脂層
12 耐熱層
21 樹脂フィルム
23 コロナ処理装置
25 塗工装置
33 電極
35 処理済部
39 非処理部
41 グラビアロール
47 彫刻部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層に耐熱層を積層してなるセパレータにおいて,
前記樹脂層の少なくとも片面に,
親水性を向上させる処理が施された親水性処理済部と,
親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部とが設けられており,
前記耐熱層は,前記親水性処理済部上に形成されているとともに,前記親水性非処理部上には形成されていないことを特徴とするセパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のセパレータにおいて,
前記親水性非処理部は,前記樹脂層の少なくとも片方の長手方向縁辺部に設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項3】
請求項1に記載のセパレータにおいて,
前記親水性非処理部は,前記樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項4】
請求項2に記載のセパレータにおいて,
前記親水性非処理部は,前記長手方向縁辺部以外の箇所にも,前記樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のセパレータにおいて,
前記樹脂層における前記親水性非処理部の裏面が,前記耐熱層で被覆されていない面であることを特徴とするセパレータ。
【請求項6】
樹脂層に耐熱層を積層することによるセパレータの製造方法において,
前記樹脂層の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理を部分的に施して親水性処理済部を設けるとともに,残部を親水性を向上させる処理を施していない親水性非処理部として残し,
前記樹脂層における前記親水性処理済部上に前記耐熱層を形成するとともに,前記親水性非処理部上には前記耐熱層を形成しない塗工処理を行うことを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のセパレータの製造方法において,
前記セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを前記樹脂層として用意し,
前記親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,
前記コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して前記樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,前記樹脂層における前記親水性処理済部となるべき箇所に対向して前記電極が配置されるとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所に対向する箇所には前記電極が配置されない状態で行い,
前記塗工処理はグラビア塗工処理であり,
前記グラビア塗工処理を,前記樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,前記親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,前記親水性非処理部に対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて行い,
前記塗工処理後に,前記親水性非処理部の範囲内において,前記樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造することを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載のセパレータの製造方法において,
前記親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,
前記コロナ放電処理では,前記樹脂層における前記親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わず,
前記塗工処理はグラビア塗工処理であり,
前記グラビア塗工処理では,グラビアロールが前記親水性処理済部に対向している間に限り前記樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが前記親水性非処理部に対向している間は前記樹脂層とグラビアロールとを接触させないことを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載のセパレータの製造方法において,
前記セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを前記樹脂層として用意し,
前記親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,
前記コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して前記樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,前記樹脂層における前記親水性処理済部となりうる箇所に対向して前記電極が配置されるとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所にのみ対向する箇所には前記電極が配置されない状態で,前記樹脂層における前記親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わないように行い,
前記塗工処理はグラビア塗工処理であり,
前記グラビア塗工処理を,前記樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,前記親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,前記親水性非処理部にのみ対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて,グラビアロールが前記親水性処理済部に対向している間に限り前記樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが前記親水性非処理部に対向している間は前記樹脂層とグラビアロールとを接触させないように行い,
前記塗工処理後に,前記親水性非処理部の範囲内において,前記樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造することを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項1】
樹脂層に耐熱層を積層してなるセパレータにおいて,
前記樹脂層の少なくとも片面に,
親水性を向上させる処理が施された親水性処理済部と,
親水性を向上させる処理が施されていない親水性非処理部とが設けられており,
前記耐熱層は,前記親水性処理済部上に形成されているとともに,前記親水性非処理部上には形成されていないことを特徴とするセパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のセパレータにおいて,
前記親水性非処理部は,前記樹脂層の少なくとも片方の長手方向縁辺部に設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項3】
請求項1に記載のセパレータにおいて,
前記親水性非処理部は,前記樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項4】
請求項2に記載のセパレータにおいて,
前記親水性非処理部は,前記長手方向縁辺部以外の箇所にも,前記樹脂層の長手方向に対して間欠的に複数箇所に設けられていることを特徴とするセパレータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のセパレータにおいて,
前記樹脂層における前記親水性非処理部の裏面が,前記耐熱層で被覆されていない面であることを特徴とするセパレータ。
【請求項6】
樹脂層に耐熱層を積層することによるセパレータの製造方法において,
前記樹脂層の少なくとも片面に,親水性を向上させる処理を部分的に施して親水性処理済部を設けるとともに,残部を親水性を向上させる処理を施していない親水性非処理部として残し,
前記樹脂層における前記親水性処理済部上に前記耐熱層を形成するとともに,前記親水性非処理部上には前記耐熱層を形成しない塗工処理を行うことを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のセパレータの製造方法において,
前記セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを前記樹脂層として用意し,
前記親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,
前記コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して前記樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,前記樹脂層における前記親水性処理済部となるべき箇所に対向して前記電極が配置されるとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所に対向する箇所には前記電極が配置されない状態で行い,
前記塗工処理はグラビア塗工処理であり,
前記グラビア塗工処理を,前記樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,前記親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,前記親水性非処理部に対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて行い,
前記塗工処理後に,前記親水性非処理部の範囲内において,前記樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造することを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載のセパレータの製造方法において,
前記親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,
前記コロナ放電処理では,前記樹脂層における前記親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わず,
前記塗工処理はグラビア塗工処理であり,
前記グラビア塗工処理では,グラビアロールが前記親水性処理済部に対向している間に限り前記樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが前記親水性非処理部に対向している間は前記樹脂層とグラビアロールとを接触させないことを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載のセパレータの製造方法において,
前記セパレータの幅の2倍以上の幅の樹脂フィルムを前記樹脂層として用意し,
前記親水性を向上させる処理はコロナ放電処理であり,
前記コロナ放電処理を,複数個に分割された電極を互いに離して前記樹脂層の幅方向に一列に配置することにより,前記樹脂層における前記親水性処理済部となりうる箇所に対向して前記電極が配置されるとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所にのみ対向する箇所には前記電極が配置されない状態で,前記樹脂層における前記親水性処理済部となるべき箇所に電極が対向している間に限り放電を行うとともに,前記樹脂層における前記親水性非処理部となるべき箇所に電極が対向している間は放電を行わないように行い,
前記塗工処理はグラビア塗工処理であり,
前記グラビア塗工処理を,前記樹脂層の幅方向の長さ以上のグラビアロールに,前記親水性処理済部に対向する箇所に彫刻部が形成されているとともに,前記親水性非処理部にのみ対向する箇所には彫刻部が形成されていないものを用いて,グラビアロールが前記親水性処理済部に対向している間に限り前記樹脂層とグラビアロールとを接触させるとともに,グラビアロールが前記親水性非処理部に対向している間は前記樹脂層とグラビアロールとを接触させないように行い,
前記塗工処理後に,前記親水性非処理部の範囲内において,前記樹脂層を長手方向に切断することにより2本以上のセパレータを製造することを特徴とするセパレータの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−159434(P2011−159434A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18501(P2010−18501)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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