説明

セラミックガス放電メタルハライドランプ

セラミックガス放電メタルハライド(CDM)ランプ10は大幅なエネルギーの節約のために既存の高圧ヨウ化物(HPI)メタルハライド及び高圧水銀蒸気(HP)ランプ器具に組み込むことができる。CDMランプ10は、1対の放電電極17,18を有するセラミック放電容器12と、ネオン及びアルゴンの希ガスのペニング混合物と、酸素ディスペンサを含むとともに強酸素バインダを約5モルパーセント以下に制限する化学充填物とを含む。好適な実施形態において、放電容器12は2より小さいアスペクト比Rと、最大1.2mmの壁厚tと、最大14mmの放電電極17、18間の距離dと、最大7mmの放電電極17、18と浮遊アンテナ26との間の最短距離を有する放電容器12の外壁の浮遊アンテナ26とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックガス放電メタルハライド(CDM)ランプに関し、より詳細には、多結晶アルミナ(PCA)セラミック放電容器と放電空間内の希ガスの出発混合物を利用するようなランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天然資源を残しておくことへの要望の高まりは、より高効率の照明及びランプの需要につながっている。例えば、中国での新たなエネルギー規制は、メタルハライド(MH)ランプに対して90ルーメン/ワットの最低効率を要求している。
【0003】
高圧ヨウ化物(HPI)メタルハライドランプは、40年超にわたって市場にあり、白色光と長寿命を提供し多様な照明用途を有する。これはヨーロッパとアジアで特に人気がある。しかし、HPIランプの効率は、80ルーメン/ワットの中程度の範囲内にある。高圧水銀蒸気(MVまたはHP)ランプの効率はさらに低い(例えば、透明電球で57.5ルーメン/ワット、蛍光体を被覆した400Wランプで45lm/W)。
【0004】
CDMランプは多結晶アルミナ(PCA)の高度に安定した放電容器を採用し、PCAの放電容器は自然光の発光スペクトルに近い光放射の発光スペクトルを作り出すように設計されたハロゲン化金属塩の混合物の使用を可能にする。ランプはまた、HPI及びHPランプより、高い温度で動作することができ、はるかに高いルーメン出力を有し、はるかに改良された色特性とより高い効率を有し、それらの使用は大幅なエネルギーの節約をもたらすことができる。
【0005】
特許文献1は、150Wから1000Wの出力を持つセラミックガス放電メタルハライド(CDM)ランプを開示している。これらのランプは、高圧ナトリウム(HPS)またはパルススタート石英メタルハライド(QMH)のソケットに組み込むことができるが、HPIまたはHPランプに組み込むことに適していない。これは、HPI及びHPランプが安定器により動作するためであり、この安定器は一般的にイグナイタにより供給される高電圧パルス(例えば、3kVから4kV)の無いリアクタまたは定消費電力自動変圧調整器(CWA)安定器である。さらに、これらの安価な安定器用の開路電圧(OCV)は、石英メタルハライド(MH)ランプの作動のために設計された安定器の開路電圧よりも低い(HPI/HP安定器で〜240VのOCV、MH安定器で〜300V)。ランプに点火するには、特許文献1によれば、これらの安定器ではイグナイタにより供給される高電圧パルス(>3kV)が必要である。
【0006】
特許文献1は、確実な点火を増進するために微量の放射性クリプトン(Kr85)を含む99.99%キセノンの始動ガスをCDMランプの放電容器内に用いる。キセノンガスの使用は、始動と通常動作中の電極からのタングステンのスパッタリングを抑えること、及び大きいキセノン原子のサイズに起因する壁の黒化を減らすことを目的としている。しかし、キセノンガスの使用は、ランプの点火電圧を上昇させる傾向がある。したがって、特許文献1に開示されたランプは、確実な始動のために3kVより高い電圧パルスを有する安定器により動作しなければならない。
【0007】
キセノン−クリプトン85の代わりにアルゴン−クリプトン85を始動ガスとして用いるランプもある。アルゴンガスの利点は、アルゴンと水銀、放電容器内にある別の成分の間にいわゆるペニング混合物(主な構成成分に比べて低いイオン化電圧を有する微量の別のガスを含むある不活性ガスの混合物)を形成することである。ペニング混合物は点火電圧をかなり下げる。放電容器内のアルゴンガスにより、ランプ点火電圧はキセノンガスの場合よりはるかに低くなる。したがって、アルゴンガスを用いるランプはイグナイタ無しの安定器を用いるランプシステムへの改造応用の対象である。
【0008】
アルゴンガスの不利な点はアルゴン原子がキセノン原子より小さいことであり、したがって、電極からのタングステンのスパッタリングを抑えること、及び放電容器の壁にタングステン原子が到達することを防ぐことに関して、アルゴンガスはキセノンガスほど良くない。結果として、壁の黒化が生じ、キセノン充填ランプに比べてアルゴン充填ランプの光束の維持(lumen maintenance)は低い。ネオン−アルゴンのペニング混合物は純アルゴンガスより約8倍低い点火電圧を持つことが知られている(非特許文献1)。しかし、ネオンの軽い原子が支配的なこの混合物は、タングステンのスパッタリングを抑えることに関して純アルゴンよりさらに効率が低い。したがって、ネオン−アルゴンのペニング混合物のような軽いガスを充填したランプの光束の維持は、アルゴンとキセノンのより重い原子を用いるランプの光束の維持よりさらに低い。
【0009】
特許文献2は、放電容器内のイオン化可能な充填物が酸素ディスペンサ(oxygen dispenser)を含むとともに希土類ハロゲン化物を含まないことを特徴とするCDMランプを開示している。酸素ディスペンサはCaOを含む。このCaOは、ランプの演色性を向上させるとともに壁の黒化を妨げ、そして、希土類ハロゲン化物が無いことは放電容器の壁のより少ない腐食を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,833,677号
【特許文献2】米国特許第6,362,571号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】John Waymouth,Electric Discharge Lamps,The M.I.T. Press Figure 3.10, p64−p65
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
様々な実施形態及び実装において、本発明は、ネオンとアルゴンの混合した始動ガス及び酸素ディスペンサ及び約5モルパーセント以下の希土類ハロゲン化物(例えば、ヨウ化物)またはハロゲン化スカンジウムやハロゲン化イットリウムなどの他の強酸素バインダ(strong oxygen binders)を含む化学充填物を用いる放電容器を有するCDMランプに焦点を合わせている。
【0013】
限られた量の強酸素バインダと共に酸素ディスペンサの存在は、タングステン再生として知られるプロセスがランプ動作中に放電容器内で生じることを可能にする。このプロセスは、放電容器の壁の近くにWOの十分な蒸気圧が存在する際に壁へのタングステン結晶の成長を防ぐことを可能にする。アーク放電のプラズマ流により生じる高温において、WOが分解するとともにタングステンが電極上に戻って付着する。結果として、放電壁はきれいに保たれ、ランプの光束の維持はネオン-アルゴンの混合した比較的軽いガスの存在により悪影響を及ぼされることがない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
最も広い実施態様において、本発明は、放電空間を囲むセラミック放電容器を有するCDMランプに具現化され、放電空間は希ガス始動混合物、金属ハロゲン化物混合物、及び水銀を充填され、希ガス混合物はネオンとアルゴンの混合物であることを特徴とし、さらに放電空間は酸素ディスペンサを含み、酸素ディスペンサは酸化カルシウム(CaO)を含むことを特徴とする。CaOは放電容器の充填物の一部を形成するという点で有利である。本発明はさらに、放電空間内の希土類ハロゲン化物、ハロゲン化スカンジウム及びハロゲン化イットリウムなどの強酸素バインダの存在が厳しく制限される点に特徴がある。
【0015】
好ましくは、希ガス混合物は、約95から99.8モルパーセントのネオン、残りのアルゴンから成るペニング混合物、好ましくは約98から約99.8モルパーセントのネオンと約0.2から約2モルパーセントのアルゴンからなるペニング混合物である。また、好ましくは、CaOを含む酸素ディスペンサはセラミックのCaO含侵担体の形態である。強酸素バインダの合計は、最大約5モルパーセント、好ましくは最大約3モルパーセントに制限される。
【0016】
ネオン及びアルゴン間の効果的なペニング混合物の形成により、ランプはイグナイタ無しの安定器により供給される大変低い電圧で始動することができる。低温において大変低い蒸気圧を有するHgの圧力に依存するアルゴン−水銀混合物とは異なり、ネオン-アルゴンのペニング混合物は低温に影響されない。このため、ネオン-アルゴンガスが充填されたランプは冷たく暗い環境において確実に始動することができる。
【0017】
極限の状態での確実な始動のため、微量のKr85のような放射性ガスがあることが好ましい。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、放電管が、始動ガス充填圧力、放電容器外の受動始動電極、アスペクト比R、壁厚t、及び放電電極と始動電極間の距離を含む特定の設計上の特徴を有する。これらは、HPI及びHPランプ用に設計された高電圧パルス(>3kV)無しの古い形式の磁気安定器でランプを始動可能にする。本発明のこの実施形態によれば、充填圧力は40mbarから250mbarの間、好ましくは60mbarから150mbarの間である。圧力が低すぎると、ランアップ中にランプをサイクルアウト(cycle out)させるヨウ化水素電圧スパイクを取り除くことが難しい。他方で、圧力が高すぎると、高圧が点火電圧を増加させるのでランプを始動することが難しくなる。
【0019】
またこの実施形態によれば、浮遊アンテナまたは始動補助とも呼ばれる受動始動電極は、タングステン、モリブデンまたは他の互換性のある金属または合金製であり、放電容器の外側表面に取り付けられるかまたは放電容器上に焼結される。アンテナはランプの内側または外側の如何なる回路にも接続していないが、電界が電極と浮遊アンテナとの間に発生する。さらに、放電容器の内部長さ(IL)と内径(ID)の比(R=IL:ID)として定義されるアスペクト比Rは2より小さいことが好ましく、確実な点火のための放電電極間の短い距離dを実現するために、1.5より小さいことが好ましい。パッシェンの法則に基づいて、始動電圧Uは低温ガス充填圧力pと電極の距離dの直接関数(direct function)[U=f(p*d)]であり、これによればより短い電極の距離dは点火電圧を下げる。
【0020】
またこの実施形態によれば、放電容器の形状は、放電電極とアンテナとの間の距離が約7mm未満、確実な点火のために、好ましくは5mm未満となるように設計される。壁厚は1.2mm未満、同じ理由で好ましくは1.0mm未満とすべきである。
【0021】
放電電極間の距離dは、イグナイタを備える安定器により動作するランプの典型的な距離より短いことが好ましい。例えば、本発明のこの実施形態の400WのCDMランプでは、距離dは約14mm未満、好ましくは約12mm未満とすべきである。本発明のこの実施形態の250WのCDMランプでは、距離dは好ましくは約10mm未満とすべきである。
【0022】
本発明の様々な実施形態によるCDMランプは高い信頼性のある点火特性を示す。例えば、このようなランプは、−30℃における暗く冷たい箱の中だけでなく、室温においても−10%の定格出力で始動することができる。本発明によれば、このようなCDMランプは、従来の磁気安定器システムにより動作する、高圧ヨウ化物(HPI)、メタルハライド、及び高圧水銀蒸気(HP)システムに組み込むことに適している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明のこれら及び他の態様が、図面を参照してより詳細に説明されるであろう。
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態による、ネオン−アルゴンの希ガスを充填物とアンテナを有し、高電圧パルス(イグナイタ)無しの安定器により動作することができる中間ワット数のセラミックガス放電メタルハライド(CDM)ランプを示す。
【図2】図2は、図1に示された形式のCDMランプに用いる成形した放電容器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面は模式的なものであり縮尺通りに描かれているわけではない。異なる図における同じ参照番号は同様の部分を指す。
【0025】
図1は、放電空間14を囲む中央の楕円形状部分13を有するPCA放電容器12と、1対の管状の端部15、16を有するCDMランプ10を示す。1対の放電電極17、18が放電容器12の端部15、16を通るとともに放電容器12の端部15、16に支持されて放電空間14の中へ延びる。外側が球状のエンベロープ19は放電容器12及び放電電極17、18を囲むとともに気密の密閉容器を提供するために金属製のねじ口金20により密閉される。
【0026】
導線21、22が口金20に電気的に接続され、ガラスプレスシール(glass press seal)23を通って延びるとともにガラスプレスシール23に支持される。放電電極17と外部導線21との電気的な接続は支持要素24により提供され、一方、放電電極18と外部導線22との電気的な接続は支持フレーム部材25により提供される。内部ランプ回路のショートを防止するために導線21とフレーム部材25との間に隙間(図1に示さず)が設けられる。フレーム部材25の延長部25aが追加の支持を提供するためにエンベロープ19の上端から内側に延びるくぼみ19aに巻きつく。
【0027】
放電空間14は、希ガス混合物の始動ガス及びナトリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、マンガン、タリウム、希土類元素、及び水銀から選ばれるハロゲン化金属塩の化学充填物で満たされる。
【0028】
本発明の種々の実施形態によれば、化学充填物は、希土類元素、スカンジウム及びイットリウムのハロゲン化物などのわずかの強酸素バインダ、及びランプ動作中に放電空間14内でタングステン再生サイクルを実現するための十分な量の酸素ディスペンサを含み、満足な光束の維持をもたらす。
【0029】
この点について、放電容器内のWO圧力が約1×10−5barから約1×10−10barとなる量の酸素ディスペンサがタングステン再生サイクルを実現するために十分であることが明らかになっている。この範囲より下では、壁の黒化が生じるとともに光束の維持が減少することがあり、一方、この範囲より上では、ランプの寿命がタングステン放電電極の激しいエロージョンあるいは破損に起因して短くなり得る。
【0030】
始動ガス混合物は、約95から99.8モルパーセントのネオンの、好ましくは約98から99.8モルパーセントのネオン、及び約0.2から2モルパーセントのアルゴンの、ネオン及びアルゴンのペニング混合物である。特定の好適な実施形態によれば、充填圧力は、約40mbarから約250mbarの範囲内、好ましくは約60mbarから約150mbarである。圧力が低すぎると、ヨウ化水素電圧スパイクを取り除くことが難しい。他方で、圧力が高すぎると、高圧が点火電圧を増加させるのでランプを始動することが難しくなる。
【0031】
本発明の1つの特定の好適な実施形態によれば、図2に示すように、浮遊アンテナ26が放電容器12の外壁に取り付けられる。アンテナはリード線とは全く接続していないが、アンテナと放電電極17、18との間の電界の発生により、アンテナはランプの始動を補助することができる。アンテナ26と放電電極17、18の1つとの間の最短距離aは約7mm未満、好ましくは約5mm未満とすべきである。図2の浮遊アンテナ26は針金の形であるが、細長片または層の形にすることもでき、タングステン、モリブデン、または他の互換性のある金属製にすることもでき、放電容器12の外部表面に取り付ける、焼結する、あるいは貼り付けることもできる。幾つかの実施形態では、放電容器12のアスペクト比Rは、約2より小さく、短い電極の距離dと確実な点火を実現するために、好ましくは約1.5より小さい。
【0032】
実施例1
本発明の幾つかの利点を明らかにするため、2組の中間ワット数(400W)のCDMランプ(アンテナ有りと無し)がテストのために製造され、それぞれ、従来技術によるアルゴンと微量の放射性クリプトン85及び本発明による99.5モルパーセントのネオン及び0.5モルパーセントのアルゴンのネオン−アルゴンのペニング混合物の始動ガスの充填物を有する。ランプは外径18.4mm、全長68mm、及び壁厚1mmを有する楕円形状の放電容器を用いた。始動ガスの充填圧力は100mbarであった。平均の水銀の投与(mercury dose)は〜37mgであった。ハロゲン化金属塩混合物は、40mgの投与レベルにおいてナトリウム、カルシウム、マグネシウム、タリウム、及び希土類ヨウ化物を含む。希土類ヨウ化物の合計は3モルパーセントであった。ランプは米国特許第6,362,571号に開示されているような酸素ディスペンサが投与される。米国特許第6,362,571号の明細書全体は参照としてここに引用される。
【0033】
電極の寸法は8.0mm×0.7mmであり、電極間の距離は14mmであった。ランプは真空充填のED37の外側バルブを使用した。これらのランプには保護スリーブは用いられていない。これらのランプは1000時間プローブ起動MH400W M59安定器でエイジングされた。ArKr85を用いた従来技術とNeArガスを用いた本発明に従って作られた、両方の組のランプに対する石英メタルハライドランプ安定器での始動データを下記表1に挙げる。
【0034】
【表1】

表1は−30℃における冷たく暗い箱の中での始動時間を示している。ArKr85ガスとアンテナを用いたランプは−30℃において始動出来なかった。したがって、少量の充填ガスを用いるがアンテナの無いランプはテストされなかった。NeAr(99.5%:0.5%)ガスを用いた全てのランプは3秒以内で始動した。ネオン−アルゴンガス充填のアンテナ有りとアンテナ無しのランプ間の統計的な差異は無い。
【0035】
実施例2
図1に示される2組の400WのCDMランプが、両組の始動ガス充填物がNe:Ar(95%:0.5%)であり、充填ガス圧力が100mbar、及び放電容器のアスペクト比が1.4であったことを除いて、実施例1に記載されたように準備された。
【0036】
加えて、1組のランプはMo製の浮遊アンテナの形態の始動補助を備えていた。アンテナと放電電極との間の距離aは5mmであった。
【0037】
いずれも高圧水銀蒸気ランプ用に設計された2種類の安定器を使用して始動性が評価された。第1の安定器は、安定器製品番号71A4091、米国標準規格ANSI規格H33(OCV 300V)に従ったAdvance Transformer Co.製のCWA安定器であり、第2の安定器は、安定器製品番号260338、MWH製の反応安定器(reactor ballast)であった。
【0038】
アンテナ無しのランプは公称出力で始動したが、−10%の公称出力では始動しなかった。アンテナが有るランプは−10%の公称定格出力で始動した。
【0039】
本発明(アンテナ有りと無し)にしたがって作られたランプに対する25℃での−10%の入力電圧での始動データを下記表2に挙げる。
【0040】
【表2】

テストは同様にアンテナの有るランプが冷たく暗い中で始動できることを示すために実施された。ANSIの要件に従って、アンテナの有るランプはテストに先立って一晩―30℃の冷たく暗い箱に保管された。
【0041】
テストは同じ2種類の上述の高圧水銀蒸気ランプ用の安定器で実施された。
【0042】
結果を以下の表3に示す。
【0043】
【表3】

以下の表4は、比較のためのHPI及びHP400Wランプの公開されたデータとともに、本発明のテストをしたCDM400Wランプの光の技術データを示す。本発明のCDM400Wランプの効率がHPIランプより33%高いとともに水銀蒸気ランプより95%高いこと留意されたい。これは、HPIとHPランプを本発明のCDM400Wランプに置き換える場合に33%と95%のエネルギーの節約を意味する。さらに、本発明のCDM400Wランプの演色評価数(CRI)はHPIランプの65及び水銀蒸気ランプの20と比べて94である。
【0044】
【表4】

このように、様々な実施形態及び実装において、本発明は、既存のHPI及びHPシステムに組み込むとともに確実に点火することのできる技術的に進んだCDMランプを開示している。加えて、本発明のランプは、既存のHPI及びHPランプを超える、高効率(>100ルーメン/ワット(lm/W)、これは近年のエネルギー規制に適合または超える)、より良い色特性、及び改善された光束の維持を含む改良された性能を示す。
【0045】
本発明はやむを得ず限られた数の実施態様に関して開示されている。この記載から、他の実施形態及び実施形態の変形は、当業者に明白になるとともに本発明の範囲及び添付の特許請求の範囲内に完全に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間を囲む中央部と、1対の端部とを有するセラミック放電容器と;
それぞれの前記端部を通って前記放電空間内に延びる1対の放電電極と;
前記放電容器を囲む外側ガラスエンベロープと、金属口金と、を有し、前記外側ガラスエンベロープは前記金属口金に前記放電容器の気密の密閉を形成するように密閉され;
前記放電容器は、ネオン及びアルゴンの始動ガス混合物と、酸素ディスペンサ及び約5モルパーセント以下の強酸素バインダを含む化学充填物とを有する、ことを特徴とする、
セラミックガス放電メタルハライド(CDM)ランプ。
【請求項2】
前記ネオン及びアルゴンの始動ガス混合物は、約95から99.8モルパーセントのネオンと約0.2から約5モルパーセントのアルゴンとのペニング混合物を含む、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項3】
前記酸素ディスペンサは酸化カルシウム(CaO)含侵セラミックである、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項4】
前記酸素バインダは、希土類ハロゲン化物、ハロゲン化スカンジウム及びハロゲン化イットリウムから成る群から選択される1つまたは複数の要素である、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項5】
前記酸素バインダは、前記化学充填物の中に最大約5モルパーセントの量存在する、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項6】
前記酸素バインダは、前記化学充填物の中に最大約3モルパーセントの量存在する、
請求項5に記載のCDMランプ。
【請求項7】
前記始動ガス混合物は、前記放電容器内に約40mbarから250mbarの圧力で存在する、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項8】
前記始動ガス混合物は、前記放電容器内に約60mbarから150mbarの圧力で存在する、
請求項7に記載のCDMランプ。
【請求項9】
受動始動電極が前記放電容器の外にある、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項10】
前記受動始動電極が前記放電容器の外壁に位置する、
請求項9に記載のCDMランプ。
【請求項11】
前記放電容器のアスペクト比Rが2より小さい、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項12】
前記放電容器のアスペクト比Rが1.5より小さい、
請求項11に記載のCDMランプ。
【請求項13】
放電電極コイルと受動始動電極との間の距離aが最大約7mmである、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項14】
壁厚tが最大約1.2mmである、
請求項1に記載のCDMランプ。
【請求項15】
前記放電電極間の距離dが最大約14mmである、
請求項1に記載のCDMランプ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−514303(P2012−514303A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544096(P2011−544096)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055529
【国際公開番号】WO2010/076697
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】