説明

セラミックグリーンシートの切断方法

【課題】切断時の異物付着を防止すると共に、製品のコストアップを防止するセラミックグリーンシートの切断方法を提供する。
【解決手段】金属製の裁断台11の格子状の所定位置に設ける溝部13に硬質プラスチックからなる棒体14の受け部16を裁断台11の上面と面一にして設け、加熱した裁断台11の載置面上にセラミックグリーンシート12を載置した状態で、裁断台11の上方に縦方向と、横方向のそれぞれの受け部16の長さに合わせたそれぞれの切断刃15、15aを並行させて設ける縦方向用の切断刃15の先端を縦方向の受け部16に当接するまで下降させると共に、横方向用の切断刃15aの先端を横方向の受け部16に当接するまで下降させることによりセラミックグリーンシート12を所定寸法に切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックグリーンシートの切断方法に関し、より詳細には、セラミックパッケージ等を作成するために用いられる1枚、又は複数枚を積層した積層体からなるセラミックグリーンシートを切断刃による押し切り方式で所定の大きさに切断するセラミックグリーンシートの切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4(A)〜(D)、図5(A)〜(D)を参照しながら、従来のセラミックグリーンシートの切断方法を説明する。従来からセラミックグリーンシートの切断方法は、1枚、又は複数枚を積層した積層体に個片のセラミックパッケージ等を多数個配列させた集合体を複数個の備えるセラミックグリーンシートを個片の集合体とするために、切断刃による押し切り方式で所定の大きさに切断するのに用いられている。
図4(A)に示すように、セラミックグリーンシートの切断方法では、金属製平板状の裁断台51の上面に載置された平ゴム52上にセラミックグリーンシート53を載置した状態で、裁断台51の上方に配設された切断刃54が下降するようになっている。そして、図4(B)に示すように、このセラミックグリーンシートの切断方法では、切断刃54がセラミックグリーンシート53を切断すると共に、切断刃54の先端部を平ゴム52の内部まで進入させている。図4(C)に示すように、このセラミックグリーンシートの切断方法では、切断刃54の平ゴム52への繰り返しの進入によって、平ゴム52に刃溝55が形成されるようになっている。従って、図4(D)に示すように、この従来のセラミックグリーンシートの切断方法では、刃溝55が形成された平ゴム52上に載置されたセラミックグリーンシート53を切断するときに押し切り方式による剪断開始が遅れ、セラミックグリーンシート53の切断部の先端部分が平ゴム52の刃溝55の内部に垂れ込んだ状態で押し切られるようになっている。
【0003】
また、図5(A)、(B)に示すように、セラミックグリーンシートの他の切断方法では、金属製平板状の裁断台51の溝部56に嵌め込まれて載置された角ゴム57を設ける裁断台51a上にセラミックグリーンシート53を載置した状態で、裁断台51aの上方に配設された切断刃54が下降し、セラミックグリーンシート53を切断すると共に、切断刃54の先端部を角ゴム57の内部まで進入させている。そして、図5(C)、(D)に示すように、この従来のセラミックグリーンシートの他の切断方法では、前記の従来のセラミックグリーンシートの切断方法と同様に、切断刃54の角ゴム57への繰り返しの進入によって、角ゴム57に刃溝55が形成され、刃溝55が形成された角ゴム57上に載置されたセラミックグリーンシート53を切断するときに押し切り方式による剪断開始が遅れ、セラミックグリーンシート53の切断部の先端部分が角ゴム57の刃溝55の内部に垂れ込んだ状態で押し切られるようになっている。
【0004】
従来のセラミックグリーンシートの切断方法には、裁断台の載置面上に切断刃が進入できる硬さを有するアンダシート上にキャリアフィルムとグリーンシートとを貼り合わせてなる薄物シートを搭載した状態で、裁断台の上方に配設された切断刃をアンダシートに食い込むまで下降させることにより上記薄物シートに切断屑を発生させることなく所定寸法に切断する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、従来のセラミックグリーンシートの切断方法には、通気性を有する下敷きシートをセラミック積層体と裁断台との間に敷き込み、また、裁断台の載置面から下敷きシートを介して作用する吸引圧によりセラミックシート積層体を真空吸着し、切断刃の刃先を下敷きシートまで追い込ませてセラミックシート積層体を完全に切断してセラミックシート積層体にバリや、欠け等を発生させることなく切断する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−300190号公報
【特許文献2】特開2002−134356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述したような従来のセラミックグリーンシートの切断方法には、次のような問題がある。
(1)切断刃の平ゴムや、角ゴムへの繰り返しの進入によって、刃溝が形成された平ゴムや、角ゴム上に載置されたセラミックグリーンシートを切断する従来のセラミックグリーンシートの切断方法では、押し切り方式による剪断開始が遅れ、セラミックグリーンシートの切断部の先端部分が平ゴムや、角ゴムの刃溝の内部に垂れ込んだ状態で押し切られるので、剪断面にバリや、欠け等を発生させ、剪断面から剥離したバリや、欠け等のセラミック屑が製品部分に付着して製品を異物付着不良で不良品にすることとなっている。
(2)特開2003−300190号公報で開示されるようなセラミックグリーンシートの切断方法は、アンダシートが薄物シートの切断部分での変形を抑制することができ、キャリアフィルムとグリーンシートとの層間剥離を防止することができるものの、アンダシートへの切断刃の繰り返しの進入によって、アンダシートに刃溝が形成されることとなる。そして、そこに載置されたグリーンシートを切断するときには、押し切り方式による剪断開始が遅れ、グリーンシートの切断部の先端部分が刃溝の内部に垂れ込んだ状態で押し切られるので、剪断面にバリや、欠け等を発生させ、剪断面から剥離したバリや、欠け等のセラミック屑が製品部分に付着して製品を異物付着不良で不良品にすることとなっている。また、アンダシートへの切断刃の繰り返しの進入位置は、決められた進入回数毎に進入位置を移動させるとしても、刃溝は僅かな進入回数で形成されるので、アンダシートの移動と、取り替えで、作業能率の低下と、費用が掛かることとなり、製品のコストアップとなっている。
(3)特開2002−134356号公報で開示されるようなセラミックグリーンシートの切断方法は、通気性を有する下敷きシートへの切断刃の繰り返しの進入によって、下敷きシートに刃溝が形成されることとなるので、そこに載置された積層数が比較的少なく厚みの薄いセラミックシート積層体を切断するときには、押し切り方式による剪断開始が遅れ、セラミックシート積層体の切断部の先端部分が刃溝の内部に垂れ込んだ状態で押し切られ、剪断面にバリや、欠け等を発生させ、剪断面から剥離したバリや、欠け等のセラミック屑が製品部分に付着して製品を異物付着不良で不良品にすることとなっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切断時の異物付着を防止すると共に、製品のコストアップを防止するセラミックグリーンシートの切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う本発明に係るセラミックグリーンシートの切断方法は、金属製の裁断台の格子状の所定位置に設ける溝部に硬質プラスチックからなる棒体の受け部を裁断台の上面と面一にして設け、加熱した裁断台の載置面上にセラミックグリーンシートを載置した状態で、裁断台の上方に縦方向と、横方向のそれぞれの受け部の長さに合わせたそれぞれの切断刃を並行させて設ける縦方向用の切断刃の先端を縦方向の受け部に当接するまで下降させると共に、横方向用の切断刃の先端を横方向の受け部に当接するまで下降させることによりセラミックグリーンシートを所定寸法に切断する。
【0010】
ここで、上記のセラミックグリーンシートの切断方法は、硬質プラスチックがロックウェル硬度のRスケールでHRR90以上の硬度と、70℃以上の耐熱温度を有するのがよい。
【0011】
また、上記のセラミックグリーンシートの切断方法は、棒体が受け部を少なくとも2面以上備えると共に、裁断台の溝部から上方に離脱しない形状からなるのがよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセラミックグリーンシートの切断方法は、金属製の裁断台の格子状の所定位置に設ける溝部に硬質プラスチックからなる棒体の受け部を裁断台の上面と面一にして設け、加熱した裁断台の載置面上にセラミックグリーンシートを載置した状態で、裁断台の上方に縦方向と、横方向のそれぞれの受け部の長さに合わせたそれぞれの切断刃を並行させて設ける縦方向用の切断刃の先端を縦方向の受け部に当接するまで下降させると共に、横方向用の切断刃の先端を横方向の受け部に当接するまで下降させることによりセラミックグリーンシートを所定寸法に切断するので、切断刃の受け部が硬質プラスチックからなり、切断刃による刃溝の形成がなく、剪断面のバリや、欠け等に起因するセラミック屑の発生を防止して、製品へのセラミック屑による異物付着不良の発生を防止できるセラミックグリーンシートの切断方法を提供できる。
【0013】
特に、上記のセラミックグリーンシートの切断方法は、硬質プラスチックがロックウェル硬度のRスケールでHRR90以上の硬度と、70℃以上の耐熱温度を有するので、受け部における切断刃による刃溝の形成を防止でき、剪断面にバリや、欠け等のセラミック屑の発生を防止して、製品への異物付着不良の発生を防止できるセラミックグリーンシートの切断方法を提供できる。また、受け部の加熱に対しての変形等の発生を防止でき、平坦性を確保できるので、切断残りの発生を防止できるセラミックグリーンシートの切断方法を提供できる。
【0014】
また、特に、上記のセラミックグリーンシートの切断方法は、棒体が受け部を少なくとも2面以上備えると共に、裁断台の溝部から上方に離脱しない形状からなるので、棒体の寿命を延ばすことができ、安価な製品を確保できるセラミックグリーンシートの切断方法を提供できると共に、受け部の平坦性が確保でき、切断残りの発生を防止できるセラミックグリーンシートの切断方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)〜(C)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係るセラミックグリーンシートの切断方法で用いる裁断台の平面図、A−A’線縦断面図、B−B’線縦断面図である。
【図2】(A)〜(C)はそれぞれ同セラミックグリーンシートの切断方法における切断状態を説明する要部の拡大断面図である。
【図3】(A)〜(E)はそれぞれ同セラミックグリーンシートの切断方法に用いる棒体の断面視する各種形状の拡大断面図である。
【図4】(A)〜(D)はそれぞれ従来のセラミックグリーンシートの切断方法の説明図である。
【図5】(A)〜(D)はそれぞれ同セラミックグリーンシートの他の切断方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施するための形態について説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)〜(C)、図2(A)〜(C)を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るセラミックグリーンシートの切断方法を説明する。
図1(A)〜(C)に示すように、このセラミックグリーンシートの切断方法では、鉄板や、ステンレス板等からなる金属製の裁断台11の載置面にセラミックグリーンシート12を載置した状態で、セラミックグリーンシート12を所定の大きさに切断するのに用いている。この裁断台11は、格子状の所定位置に溝部13を設けている。そして、溝部13には、溝部13の断面形状に嵌合するようにして硬質プラスチックからなる棒体14を設けている。また、棒体14は、後述するセラミックグリーンシート12を切断するための切断刃15、15aのそれぞれの先端が当接する部位となる受け部16を、裁断台11の上面であるセラミックグリーンシート12の載置面と面一となるようにして設けている。この棒体14は、裁断台11の格子状溝部13に、溝部13の上方から落とし込んだり、溝部13の側方から差し込んだりして設けている。
【0017】
図2(A)に示すように、上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、裁断台11にセラミックグリーンシート12を例えば、50〜70℃程度の温度に加熱するためのヒーター(図示せず)等が設けられている。また、この裁断台11は、通常、縦方向、又は横方向に平行移動できたり、中心で90°回転できるようになっている。更に、裁断台11の上方には、裁断台11の縦方向と、横方向のそれぞれの棒体14の受け部16の長さに合わせたそれぞれの切断刃15、15aを並行させて設けている。そして、図2(B)に示すように、セラミックグリーンシートの切断方法では、加熱された裁断台11の載置面上に載置した状態のセラミックグリーンシート12を、裁断台11の上方に設ける縦方向用の切断刃15の先端を縦方向の棒体14の受け部16に当接するまで下降させて切断している。更に、セラミックグリーンシートの切断方法では、縦方向用の切断刃15を裁断台11の上方に戻すと共に、裁断台11を次の切断所定位置まで平行移動させて、切断刃15の先端を棒体14の受け部16に当接するまで下降させて切断するのを繰り返し、縦方向の全ての切断をおこなっている。次いで、図2(C)に示すように、上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、加熱された裁断台11をこの中心を軸にして90°回転させて載置面上に載置した状態のセラミックグリーンシート12を90°回転させた後、裁断台11の上方に設ける横方向用の切断刃15aの先端を横方向の棒体14の受け部16に当接するまで下降させて切断している。更に、セラミックグリーンシートの切断方法では、横方向用の切断刃15aを裁断台11の上方に戻すと共に、裁断台11を次の切断所定位置まで平行移動させて、切断刃15aの先端を棒体14の受け部16に当接するまで下降させて切断するのを繰り返し、横方向の全ての切断をおこなっている。そして、大型のセラミックグリーンシート12は、縦、横方向の所定位置の切断を行うことで、所定寸法のブロック体のセラミックグリーンシートにしている。
【0018】
なお、上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、加熱された裁断台11の載置面上に載置した状態のセラミックグリーンシート12の切断の順序が限定されるものではなく、例えば、先に、横方向用の切断刃15aの先端を横方向の棒体14の受け部16に当接するまで下降させて切断し、裁断台11の中心を軸にして90°回転させた後、縦方向用の切断刃15の先端を縦方向の棒体14の受け部16に当接するまで下降させて切断してもよい。また、縦方向と、横方向のぞれぞれの棒体14は、交叉する部分でいずれかの方向の棒体14が不連続となるので、少なくとも、いずれか一方の方向が連続した場合には、他方は不連続とならざるを得ず、両方が連続した棒体14を形成するものではない。
【0019】
上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、予め、セラミックグリーンシート12を50〜70℃程度の温度に加熱することで、セラミックグリーンシート12にバリや、欠け等に起因するセラミック屑の発生を抑制して切断することができる。また、上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、受け部16を設ける棒体14が硬質プラスチックからなることで、受け部16にそれぞれの切断刃15、15aの先端が食い込んで棒体14に形成されるような刃溝の発生がない。従って、上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、セラミックグリーンシート12に、従来の刃溝がある場合のようなセラミックグリーンシートの押し切り方式による剪断開始の遅れによる刃溝の内部に垂れ込んだ状態で押し切られて発生する剪断面のバリや、欠け等の発生がなく、バリや、欠け等の剥離によるセラミック屑の製品部分への付着による製品の異物付着不良での不良品となるのを防止することができる。
【0020】
上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、硬質プラスチックがロックウェル硬度のRスケールでHRR90以上の硬度と、70℃以上の耐熱温度を有するのがよい。硬質プラスチックは、ロックウェル硬度がRスケールでHRR90を下まわる場合には、棒体14の受け部16、16aに切断刃15、15aの先端が食い込み易くなり刃溝の発生が起こり易くなり、セラミックグリーンシート12にセラミック屑の製品部分への付着による製品の異物付着不良での不良品となるのを防止することができなくなる。また、硬質プラスチックは、耐熱温度が70℃を下まわる場合には、裁断台11自体を70℃程度に加熱したときに棒体14自体に変形が発生し易くなり、棒体14の受け部16、16aの上面にうねりが発生して、切断刃15、15aの先端を受け部16、16aの全てに当接できなくて、セラミックグリーンシート12に切断残りを発生させ易くなる。上記のような硬質プラスチックは、例えば、ポリアセタールや、ポリエチレンテレフタレートを主原料としガラス短繊維、無機フィラー等を充填複合して押し出し成形し、加熱積層プレスして形成するユニレート(ユニチカの登録商標)や、フェノール樹脂であるベークライト等のプラスチックを採用することができる。
【0021】
上記のセラミックグリーンシートの切断方法では、棒体14が受け部16を少なくとも2面以上備えると共に、棒体14が裁断台11の溝部13から上方に離脱しない形状からなるのがよい。このような棒体14には、図3(A)に示すように、例えば、受け部16を上、下に2面備える棒体14aがある。この棒体14aには、例えば、高さ方向の途中に出っ張り部17を設けると共に、この棒体14aが装着される裁断台11の溝部13には、出っ張り部17と嵌合するへこみ部18を設けることで、棒体14aが裁断台11の溝部13から上方に離脱しないようにしている。また、このような棒体14には、図3(B)に示すように、例えば、受け部16を断面視する三角形の角部に切り欠き部19を設ける3辺となる面に備える棒体14bがある。この棒体14bは、例えば、これが装着される裁断台11の溝部13に、切り欠き部19と嵌合するつめ部20を設けることで、裁断台11の溝部13から上方に離脱しないようにしている。また、このような棒体14には、図3(C)に示すように、例えば、受け部16を断面視する四角形の角部に切り欠き部19aを設ける4辺となる面に備える棒体14cがある。この棒体14cは、例えば、これが装着される裁断台11の溝部13に、切り欠き部19aと嵌合するへこみ部18aを設けることで、裁断台11の溝部13から上方に離脱しないようにしている。また、このような棒体14には、図3(D)に示すように、例えば、受け部16を断面視する正五角形の5辺となる面に備える棒体14dがある。この棒体14dは、例えば、これが装着される裁断台11の溝部13に、棒体14dの正五角形の角度に嵌合するつめ部20aを設けることで、裁断台11の溝部13から上方に離脱しないようにしている。また、このような棒体14には、図3(E)に示すように、例えば、受け部16を断面視する正六角形の6辺となる面に備える棒体14eがある。この棒体14eは、例えば、これが装着される裁断台11の溝部13に、棒体14eの正六角形の角度に嵌合するつめ部20bを設けることで、裁断台11の溝部13から上方に離脱しないようにしている。
【0022】
上記の棒体14a、14b、14c、14d、14eは、受け部16が2面以上となり、切断刃15、15aの繰り返しの当接で1面にキズ等が発生して使えなくなった場合に他の面が使用できるので、安価なセラミックグリーンシートの切断方法を提供できる。また、上記の棒体14a、14b、14c、14d、14eは、容易に加工できる出っ張り部17や、切り欠き部19、19aで、裁断台11の溝部13に設けるへこみ部18、18aや、つめ部20、20a、20bで裁断台11の溝部13から上方に離脱するのを防止することができるので、確実に切断ができ、切断残りや、切断ミスのないセラミックグリーンシートの切断方法を提供できる。なお、上記の棒体14は、正六角形を超える多角形で構成される棒体14であってもよいが、切断刃15、15aが当接する受け部16の適切な幅寸法を確保して多角形の角度を多くすると棒体14自体が大きくなり、棒体14を取り付けた裁断台11が大きくなる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、セラミックパッケージや、セラミック多層基板等を形成するための1枚、又は複数枚を積層した積層体からなる焼成前のセラミックグリーンシートを切断刃による押し切り方式で所定の大きさに切断するセラミックグリーンシートの切断方法として用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
11:裁断台、12:セラミックグリーンシート、13:溝部、14、14a、14b、14c、14d、14e:棒体、15、15a:切断刃、16:受け部、17:出っ張り部、18、18a:へこみ部、19、19a:切り欠き部、20、20a、20b:つめ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の裁断台の格子状の所定位置に設ける溝部に硬質プラスチックからなる棒体の受け部を前記裁断台の上面と面一にして設け、加熱した前記裁断台の載置面上にセラミックグリーンシートを載置した状態で、前記裁断台の上方に縦方向と、横方向のそれぞれの前記受け部の長さに合わせたそれぞれの切断刃を並行させて設ける前記縦方向用の前記切断刃の先端を前記縦方向の前記受け部に当接するまで下降させると共に、前記横方向用の前記切断刃の先端を前記横方向の前記受け部に当接するまで下降させることにより前記セラミックグリーンシートを所定寸法に切断することを特徴とするセラミックグリーンシートの切断方法。
【請求項2】
請求項1記載のセラミックグリーンシートの切断方法において、前記硬質プラスチックがロックウェル硬度のRスケールでHRR90以上の硬度と、70℃以上の耐熱温度を有することを特徴とするセラミックグリーンシートの切断方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のセラミックグリーンシートの切断方法において、前記棒体が前記受け部を少なくとも2面以上備えると共に、前記裁断台の前記溝部から上方に離脱しない形状からなることを特徴とするセラミックグリーンシートの切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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