説明

セラミックス管及びその製造方法

【課題】一つの管状体と、他の管状体または中実棒の端部同士を接合してなるセラミックス管及びその製造方法において、確実に接合し、管内部の気密性を保持する。
【解決手段】管状の第一長尺体2と、管状または中実棒状の第二長尺体3と、前記長尺体の端部同士が同軸上に連結された状態で、連結部1aを含む外周面を覆う筒状体4とを備え、前記第一長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第一の環状凹部2bが設けられ、前記第二長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第二の環状凹部3bが設けられ、前記筒状体の内周面に、前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部に沿ってそれぞれ環状に形成されると共に、前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部にそれぞれ嵌合する第一の環状突起部5及び第二の環状突起部6が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス管及びその製造方法に関し、一つの管状体と、他の管状体または中実棒の端部同士を接合してなるセラミックス管及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からセラミックス管は、例えば特許文献1に記載されているような熱電対保護管、反応炉内にガスを導入するガス導入管等に用いられており、直線状のセラミックス管が一般的に用いられている。
この直線状のセラミックス管は、金型により所定寸法に形成された後、焼成することによって製造することができ、比較的容易に製造することができる。
ところで、例えば金型のサイズ制限を越える長いセラミックス管が必要な場合、従来は、特許文献2に記載されているように複数のセラミックス管を連結していた。
【0003】
特許文献2に開示されたセラミックス管の接続構造は、図10に示すように第1及び第2のセラミックス管50a、50bの端部をそれぞれ筒状のスリーブ管51の内側に挿入して両セラミックス管50a、50bを互いに接続するようになされている。
前記スリーブ管51は、セラミックス管50a、50bよりも熱膨張率の小さい材料により形成されており、連結されたセラミックス管50a、50bを連続炉において炉心管として用いる際、加熱により膨張したセラミックス管50a、50bがスリーブ管51により締め付けられ、2本のセラミックス管50a、50bが確実に接続された状態となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−67582号公報
【特許文献2】特開平10−148470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のように2つのセラミックス管を連結し、得られたセラミックス管を水や空気等の流体用配管として用いる場合、管内部の気密性が保持される必要がある。このため、特許文献2に開示された接続構造にあっては、セラミックス管50a、50bの外周面に対し、スリーブ管51の内周面全体が均一に密着することが最も望ましい。
しかしながら、セラミックス管50a、50bの外周面にスリーブ管51の内周面全体を完全に密着させることは困難であり、実際には密着性が不均一となり、気密性が低下する虞があった。
また、2つのセラミックス管の接合面に、セラミックス管と同組成のスラリーを接着剤として用いる方法も考えられるが、気密性を保持するには不十分であり、水や空気等の流体用配管として使用できないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、一つの管状体と、他の管状体または中実棒の端部同士を接合してなるセラミックス管及びその製造方法において、確実に接合し、管内部の気密性を保持することのできるセラミックス管及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明に係るセラミックス管は、セラミックスからなる管状の第一長尺体と、前記第一長尺体と同外径に形成されたセラミックスからなる管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の端部同士が同軸上に連結された状態で、その連結部を含む外周面を覆うセラミックスからなる筒状体とを備え、前記第一長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第一の環状凹部が設けられ、前記第二長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第二の環状凹部が設けられ、前記筒状体の内周面に、前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部に沿ってそれぞれ環状に形成されると共に、前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部にそれぞれ嵌合する第一の環状突起部及び第二の環状突起部が設けられていることに特徴を有する。
尚、前記第一の環状突起部及び第二の環状突起部がそれぞれ嵌合する前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部の入口側角部において、その管軸方向の断面角度は、60°〜150°の範囲内に形成されていることが望ましい。
また、前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部の入口側角部における前記第一の環状突起部及び第二の環状突起部の接線と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外周面とのなす角度は、120°〜178°の範囲内に形成されていることが望ましい。
【0008】
このように、第一、第二の長尺体の連結部及び第一、第二の環状凹部を覆う筒状体を設け、前記筒状体の内周面に形成された第一、第二の環状突起部が前記第一、第二の環状凹部に嵌合することにより、第一、第二の長尺体同士を高い気密性をもって強固に接合することができる。したがって、このような構成のセラミックス管であれば空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0009】
或いは、前記した課題を解決するために、本発明に係るセラミックス管は、セラミックスからなる管状の第一長尺体と、前記第一長尺体と同外径に形成されたセラミックスからなる管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の端部同士が同軸上に連結された状態で、その連結部を含む外周面を覆うセラミックスからなる筒状体とを備え、前記第一長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第一の環状凸部が設けられ、前記第二長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第二の環状凸部が設けられ、前記筒状体の内周面に、前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部に沿ってそれぞれ環状に形成されると共に、前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部にそれぞれ嵌合する第一の環状陥没部及び第二の環状陥没部が設けられていることに特徴を有する。
尚、前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部の先端側角部における前記第一の環状陥没部及び第二の環状陥没部の接線と、前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部の頂面とのなす角度は、105°〜175°の範囲内に形成されていることが望ましい。
【0010】
このように、第一、第二の長尺体の連結部及び第一、第二の環状凸部を覆う筒状体を設け、前記筒状体の内周面に形成された第一、第二の環状陥没部が前記第一、第二の環状凸部に嵌合することにより、第一、第二の長尺体同士を高い気密性をもって強固に接合することができる。したがって、このような構成のセラミックス管であれば空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0011】
また、前記第一長尺体と第二長尺体のいずれか一方の端部は、その外周面が先細りに形成された凸テーパー形状であって、前記凸テーパー形状の端部に接合される他方の長尺体の端部は、その内周面が先端に向かって内径の大きくなる凹テーパー形状であることが望ましい。
尚、前記凸テーパー形状或いは凹テーパー形状に形成された第一長尺体及び第二長尺体の端部において、管軸方向に対する前記端部のテーパー角度は、3°〜80°の範囲内であることが望ましい。
このように構成することにより、軸合わせが容易且つ確実となるため、第一、第二の長尺体同士の接合性及び気密性を向上することができる。
【0012】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るセラミックス管の製造方法は、セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凹部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凹部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で焼成する第一の焼成工程と、前記成型工程によって得られた前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、前記第一の焼成工程によって焼結された前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記仮焼工程によって得られた前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記第一長尺体と前記第二長尺体との連結部及び前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことに特徴を有する。
【0013】
このような工程を実行することにより、第一、第二の長尺体の外周面に筒状体の内周面が密着すると共に、第一、第二の長尺体の周面に設けられた第一、第二の環状凹部に、前記筒状体の周面が食い込み、筒状体が第一、第二の長尺体に嵌合する状態とすることができる。
したがって、接合性及び気密性の高いセラミックス管を得ることができ、空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0014】
或いは、前記した課題を解決するために、本発明に係るセラミックス管の製造方法は、セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凸部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凸部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で焼成する第一の焼成工程と、前記成型工程によって得られた前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、前記第一の焼成工程によって焼結された前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記仮焼工程によって得られた前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記第一長尺体と前記第二長尺体との連結部及び前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことに特徴を有する。
【0015】
このような工程を実行することにより、第一、第二の長尺体の外周面に設けられた第一、第二の環状凸部の間に前記筒状体の周面が食い込み、第一、第二の長尺体の外周面に密着すると共に、筒状体が第一、第二の長尺体に嵌合する状態とすることができる。
したがって、接合性及び気密性の高いセラミックス管を得ることができ、空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0016】
或いは、前記した課題を解決するために、本発明に係るセラミックス管の製造方法は、セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凹部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凹部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で仮焼すると共に、前記第一長尺体及び第二長尺体の仮焼温度よりも低い温度で、前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、前記仮焼工程によって得られた前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記第一長尺体と第二長尺体との連結部及び前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことに特徴を有する。
【0017】
このような工程を実行することにより、本焼成工程における、第一、第二の長尺体の収縮率よりも筒状体の収縮率が大きくなる。このため、第一、第二の長尺体の外周面に筒状体の内周面が密着すると共に、第一、第二の長尺体の周面に設けられた第一、第二の環状凹部に、前記筒状体の周面が食い込み、筒状体が第一、第二の長尺体に嵌合する状態とすることができる。
したがって、接合性及び気密性の高いセラミックス管を得ることができ、空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0018】
或いは、前記した課題を解決するために、本発明に係るセラミックス管の製造方法は、セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凸部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凸部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で仮焼すると共に、前記第一長尺体及び第二長尺体の仮焼温度よりも低い温度で、前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、前記仮焼工程によって得られた前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記第一長尺体と第二長尺体との連結部及び前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことに特徴を有する。
【0019】
このような工程を実行することにより、本焼成工程における、第一、第二の長尺体の収縮率よりも筒状体の収縮率が大きくなる。このため、第一、第二の長尺体の外周面に設けられた第一、第二の環状凸部の間に前記筒状体の周面が食い込み、第一、第二の長尺体の外周面に密着すると共に、筒状体が第一、第二の長尺体に嵌合する状態とすることができる。
したがって、接合性及び気密性の高いセラミックス管を得ることができ、空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0020】
また、前記仮焼体の組立工程において、前記第一長尺体と第二長尺体と筒状体との間に、平均粒径100nm以下に形成され、前記第一長尺体、第二長尺体、筒状体と同一の組成の粉体を10%以上含むスラリーを接着剤として用いることが望ましい。
このように接合面等に接着剤を用いることにより接合性及び気密性を向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一つの管状体と、他の管状体または中実棒の端部同士を接合してなるセラミックス管及びその製造方法において、確実に接合し、管内部の気密性を保持することのできるセラミックス管及びその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のセラミックス管の第一の実施の形態を示す一部破断平面図である。
【図2】図2は、図1のセラミックス管を構成する各部材を組み立て製造する状態を説明するための図である。
【図3】図3は、図1のセラミックス管の一部拡大図(断面図)である。
【図4】図4は、本発明のセラミックス管の第二の実施の形態を示す一部破断平面図である。
【図5】図5は、図4のセラミックス管を構成する各部材を組み立て製造する状態を説明するための図である。
【図6】図6は、図4のセラミックス管の一部拡大図(断面図)である。
【図7】図7は、本発明のセラミックス管の変形例を示す図である。
【図8】図8は、本発明のセラミックス管の変形例を示す図である。
【図9】図9は、本発明のセラミックス管の変形例を示す図である。
【図10】図10は、従来のセラミックス管の接続方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のセラミックス管及びその製造方法に係る実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は、本発明のセラミックス管の第一の実施の形態を示す一部破断平面図である。図2は、図1のセラミックス管を構成する各部材を組み立て製造する状態を説明するための図である。図3は、図1のセラミックス管の一部拡大図(断面図)である。
【0024】
図1のセラミックス管1は、図2(a)に示す複数の部材を、図2(b)に示すように組み立てた後、本焼成工程を経て図2(c)に示す焼結体を得ることができる。
即ち、セラミックス管1は、管の軸線に沿って延設された管部材2、3(第一長尺体、第二長尺体)と、それらを1つの管状に確実に接合するための筒状体4とにより構成される。前記管部材2,3及び筒状体4は、それぞれセラミックスにより形成されている。より具体的には、管部材2,3は略同じ内外径を有し、筒状体4の内径は、管部材2,3の外径よりも大きく形成されている。図示するように、管部材2,3の一端部2a、3a同士が同軸上に突き合わされて連結され、その連結部1aを含む管の外周面が筒状体4によって覆われている。
【0025】
管部材2、3には、それぞれ端部2a、3aに近い外周面に、周方向に沿って断面方形の溝である環状凹部2b、3b(第一の環状凹部、第二の環状凹部)が形成されており、本焼成工程での筒状体4の収縮により、図1に示すように、前記環状凹部2b、3bに対し筒状体4の周面が変形して食い込んでいる。即ち、焼結体として得られたセラミックス管1においては、前記管部材2,3の環状凹部2b、3bに対し、筒状体4の内周面側に環状に突出して形成される環状突起部5、6(第一の環状突起部、第二の環状突起部)が嵌合した状態となされている。
【0026】
より詳しく説明すると、前記筒状体4の環状突起部5(6)は、管部材2(3)における環状凹部2b(3b)の形成方向(周方向)に沿って連続的に形成されている。図3の管軸方向の断面図に示すように、環状凹部2b(3b)の一対の入口側角部2c(3c)を起点として環状凹部2b(3b)内に筒状体4の内周面が食い込み、環状凹部2b(3b)内に環状突起部5(6)の側面5a(6a)が形成されている。
【0027】
尚、環状凹部2b(3b)の入口側角部2c(3c)の断面角度θ1が鋭角すぎると、筒状体4の周面が変形して食い込む際、角部2c(3c)が欠ける虞がある。一方、鈍角すぎると、食い込む筒状体4の周面と接触する面が大きくなり、接合部が不均一となって気密性が低下する虞がある。このため、図3に示す前記角部2c(3c)の管軸方向の断面角度θ1は、60°≦θ1≦150°の範囲内であることが好ましい。
また、高い気密性を得るためには、環状凹部2b(3b)の入口側角部2c(3c)における環状突起部5(6)の接線と、管部材2(3)の外周面とのなす角度θ2(管軸方向の断面角度)は、120°≦θ2≦178°の範囲内であることが好ましい。
【0028】
このように本焼成後においては、筒状体4に形成された環状突起部5,6が、それぞれ管部材2,3の環状凹部2b、3bに嵌合した状態となされ、これにより2つの管部材2,3は確実に連結し、気密性の高い一つのセラミックス管1が得られる。
【0029】
本発明に係るセラミックス管の製造方法にあっては、管部材2、3の成形体、筒状体4の成形体を製造し、管部材2,3を焼成(第一の焼成)もしくは仮焼し、管部材2,3の焼成温度もしくは仮焼温度よりも低い温度で、筒状体4の成形体を仮焼する。
尚、管部材2,3、筒状体4の成形体は、一般的なセラミックス成形体を製造する方法によって製造することができる。
一例を挙げれば、平均粒径0.5μm(最大粒径2μm、最小粒径0.1μm)のアルミナ原料粉末100重量部、イオン交換水20重量部、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム少量、バインダーとしてポリビニルアルコール1重量部をポットミルにて混合してスラリーを調整する。
【0030】
得られたスラリーをスプレードライヤーを用いて造粒し、得られた造粒粉をCIPを用い、2トン/cm2の圧力で、外内径が等しい2本の直線状の管部材の成形体(例えば外径12mm、内径11mm、長さ100mm)を製造する。ここで、2本の管部材の一端部2a,3aの先端から所定寸法(例えば5mm)の位置には、それぞれ周方向に沿って環状凹部2b、3b(例えば幅0.8mm、深さ0.3mm)を設ける。
また、同様にして、得られたスラリーをスプレードライヤーを用いて造粒し、得られた造粒粉をCIPを用い、2トン/cm2の圧力で、前記管部材の外径よりも大きい内径を有する筒状体の成形体(例えば、外径13.3mm、内径12.3mm、長さ30mm)を製造する。
【0031】
続いて、前記2本の管部材の成形体を、それぞれ例えば大気中1800℃〜1900℃の温度で焼成し、前記筒状体の成形体を、例えば、800℃〜900℃で仮焼する。
或いは、前記2本の管部材の成形体を、それぞれ例えば1100℃〜1200℃の温度で仮焼し、前記筒状体の成形体を、前記管部材の仮焼温度よりも低い、例えば、800℃〜900℃で仮焼する。
そして、得られた管部材2,3の一端部2a、3a同士を互いに突き合わせ、1本の管状に連結した状態で筒状体4の仮焼体内に挿通させ、筒状体4により、管部材2,3の連結部及び環状凹部2b、3bが覆われた状態とし、セラミックス管仮焼体として組み立てる。
このとき、必要があれば精度を向上させるため、管部材2,3の焼結体(もしくは仮焼体)、筒状体4の仮焼体に機械加工を施した上で、組み立ててもよい。
また、この組み立ての際、本焼成において、より確実に接合させると共に気密性を向上させるため、管部材2,3同士の連結部、及び管部材2,3と筒状体4との接合部分に接着剤として、接着される各部材と同材質(同一組成)を10%以上含む平均粒径100nmのスラリーを介在させてもよい。
【0032】
その後、この組み立てられたセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度、例えば大気中1800℃で本焼成を行う。
尚、前記のように管部材2,3の仮焼温度よりも低い温度で筒状体4の成形体が仮焼されるため、この本焼成工程においては、筒状体4の収縮量が管部材2,3の収縮量よりも大きくなる。
その結果、筒状体4がより大きく収縮して、その周面が管部材2,3の外周面に密着すると共に環状凹部2b、3bに沿って食い込むよう変形する。
したがって、この本焼成後には、筒状体4に形成された環状突起部5,6が管部材2,3の環状凹部2b、3bに嵌合した状態のセラミックス管1が得られる。
【0033】
以上のように本発明に係る第一の実施の形態によれば、焼結体として得られたセラミックス管1において、管部材2,3の環状凹部2b、3bに、筒状体4に形成された環状突起部5,6が嵌合し、管部材2,3同士を高い気密性をもって強固に接合することができる。
したがって、接合性及び気密性の高いセラミックス管1を得ることができ、空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0034】
続いて、本発明のセラミックス管及びその製造方法に係る第二の実施の形態について説明する。図4は、本発明のセラミックス管の第二の実施の形態を示す一部破断平面図である。図5は、図4のセラミックス管を構成する各部材を組み立て製造する状態を説明するための図である。図6は、図4のセラミックス管の一部拡大図(断面図)である。
【0035】
図4のセラミックス管10は、図5(a)に示す仮焼された複数の部材を、図5(b)に示すように組み立てた後、本焼成を経て図5(c)に示す焼成体を得ることができる。
即ち、セラミックス管10は、管の軸線に沿って延設された管部材12、13(第一長尺体、第二長尺体)と、それらを1つの管状に確実に接合するための筒状体14とにより構成される。前記管部材12,13及び筒状体14は、それぞれセラミックスにより形成されている。より具体的には、管部材12,13は同じ内外径を有し、それらの一端部12a、13a同士が同軸上に突き合わされた連結状態で、その連結部10aを含む管の外周面が筒状体14によって覆われている。
【0036】
管部材12、13には、それぞれ端部12a、13aに近い外周面に、管軸方向の断面が方形に突起した環状凸部12b、13bが周方向に沿って形成されている。このため、筒状体14の内径は、前記環状凸部12b、13bの高さを含む管部材12,13の外径よりも大きく形成されている。図5(b)に示すように本焼成前において、筒状体14によって前記環状凸部12b、13bが覆われるため、本焼成後は、図4に示すように筒状体14の収縮により、前記管部材12の環状凸部12bと管部材13の環状凸部13bとの間に筒状体14の周面が変形し食い込んだ状態(さらには管部材12,13の外周面に筒状体14の内周面が略密着した状態)となっている。また、管部材12,13の環状凸部12b、13bに筒状体14の内周面が覆い被さった状態で嵌合している。
【0037】
即ち、本焼成後の筒状体14において、管部材12(13)の環状凸部12b(13b)に接する部位には、図6に示すように管軸方向の断面が環状凸部12b(13b)に対し凹状に変形し嵌合する環状陥没部15(16)が、周方向に沿って環状に形成されている。
ここで、高い気密性を得るためには、環状凸部12b(13b)の先端側角部12c(13c)における前記環状陥没部15(16)の接線と、前記環状凸部12b(13b)の頂面とのなす角度θ3(管軸方向の断面角度)は、105°≦θ3≦175°の範囲内であることが好ましい。
【0038】
このように本焼成後においては、管部材12の環状凸部12bと管部材13の環状凸部13bとの間に筒状体14の内周面が食い込み、管部材12,13の外周面に密着すると共に、前記環状凸部12b、13bがそれぞれ筒状体14の環状陥没部15,16に覆われて嵌合状態となる。これにより2つの管部材12,13は確実に連結し、気密性の高い一つのセラミックス管10が得られる。
【0039】
尚、このセラミックス管10を製造する場合、前記した第一の実施形態(セラミックス管1)と同様に、管部材12、13の成形体、及び筒状体14の成形体を製造し、管部材12,13を焼成もしくは仮焼し、管部材12,13の焼成温度もしくは仮焼温度よりも低い温度で、筒状体14の成形体を仮焼する。
そして、得られた仮焼体を組み立て、仮焼温度よりも高い温度で本焼成を行う。
即ち、この本焼成において、仮焼温度の違いにより、管部材12、13よりも筒状体14が大きく収縮し、管部材12,13の環状凸部12b、13bに筒状体14の環状陥没部15,16がそれぞれ嵌合した状態のセラミックス管10が得られる。
【0040】
このように第二の実施の形態によれば、焼結体として得られたセラミックス管10において、管部材12,13の環状凸部12b、13bに対し、筒状体14の環状陥没部15,16がそれぞれ嵌合した状態となり、管部材12,13同士を高い気密性をもって強固に接合することができる。
したがって、接合性及び気密性の高いセラミックス管10を得ることができ、空気や水等の流体用配管として十分に使用することができる。
【0041】
尚、前記第一、第二の実施の形態においては、2つの管部材を接合することによりセラミックス管を形成する例を示したが、本発明にあっては、その形態に限定されず、接合する2つの長尺体のうち、少なくともいずれか一方が管部材であればよく、他方は中実棒状であってもよい。
また、前記実施の形態においては、接合する各管部材の周面にそれぞれ1つの環状凹部2b(3b)或いは環状凸部12b(13b)を設けたものを示したが、各管部材に2つ以上の環状凹部或いは環状凸部を設け、それらを筒状体で覆うように構成してもよい。
【0042】
また、前記第一、第二の実施の形態においては、管部材同士の接合面となる端部形状は、管軸に直交する面として示したが、本発明にあっては、その形態に限定されるものではない。
例えば、図7に第一の実施形態の変形例として示すように、一方の管部材2(または管部材3)の端部外周面7を先細りのテーパー形状とし、他方の管部材3(または管部材2)の端部内周面8を、先端に向かって内径が大きくなるテーパー形状としてもよい。
そのように形成することによって、仮焼後の組み立て作業において、管部材2,3を同軸上に連結する作業が容易となり、且つ、管内部の気密性を向上することができる。
【0043】
また、前記第一、第二の実施の形態においては、管部材の外周面に設けられる環状凹部2b(3b)或いは環状凸部12b(13b)は、それらの形成方向が周方向に沿ったものとしたが、本発明にあっては、その形態に限定されるものではない。
例えば、図8に第一の実施形態の変形例として示すように、管部材2,3の外周面に形成される環状凹部2b、3b(或いは環状凸部)を、周方向及び軸方向に対し所定角度傾斜した状態で設けてもよい。
或いは、図9に示すように、管部材2,3の外周面に形成される環状凹部2b、3b(或いは環状凸部)を、管の周方向に沿ってジグザグ状に設けてもよい。
【0044】
また、前記実施の形態においては、管部材2、3(或いは管部材12,13)の外内径が略同一であるものとしたが、本発明のセラミックス管においては、それに限定されるものではない。
例えば、管部材2,3(12,13)の外径が略同一であれば、筒状体4(14)によって確実に管部材同士を結合することができるため、それらの内径が異なっていても構わない。
或いは、管部材2,3(12,13)の外径が異なっていても、それら異なる外径に対応する内径を筒状体4(14)が有していればよく、その場合も管内部の気密性を保持した状態で管部材同士を接合することができる。
【実施例】
【0045】
本発明に係るセラミックス管及びその製造方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に従いセラミックス管を製造し、本発明の効果を検証した。
【0046】
〔実施例1〕
実施例1では、アルミナ原料を用い、外径12mm、内径11mm、長さ100mmの2本の管部材と、外径13.3mm、内径12.3mm、長さ30mmの筒状体とを成形した。
尚、前記2本の管部材の接合面となる各端部は、軸方向に対し12°の傾斜を有するように、それぞれ凸状と凹状にテーパー加工を施した。
また、各管部材において、凸状の端部先端から7mmの位置、凹状の端部先端から5mmの位置に幅0.8mm、深さ0.3mmの環状凹部(溝)を周方向に沿って環状に形成した。
次いで、2本の管部材を1800℃で焼成し、その管部材の焼成温度よりも低い900℃で、筒状体を仮焼した。
このように焼成および仮焼された各部材を組み立てる際、2本の管部材の接合部、筒状体により覆われる管部材の周面に、平均粒径80nmのアルミナ微粒子と純水とを1:1の比率で混練したスラリーを塗布した。
その後、この組み立てられたセラミックス管仮焼体を1800℃にて大気焼成し、セラミックス管の焼結体を得た。
【0047】
得られたセラミックス管の焼結体の一方の端部を封止し、他方をリーク測定機に設置し、リーク量を測定した。この結果、リーク量は、0.0057Lusec(ルーセック)であることが確認され、空気や水等の配管として十分に使用可能であることを確認した。
また、得られたセラミックス管において、筒状体の長手方向における外径の変化は、12.5mm〜12.8mmであり、2.4%のばらつきが生じた。この結果から、本焼成により、管部材の環状凹部に筒状体が食い込んだものと予測された。
また、実際に得られたセラミックス管の焼結体を管軸方向に切断し、管部材の環状凹部の断面を観察した。その結果、管部材の環状凹部に筒状体の内周面が食い込んでいることを確認し、環状凹部の断面積は元の断面積に対し89.3%〜76.9%の範囲で減少していた。尚、第一の実施の形態において、図3に示した角度θ2は167°であった。
【0048】
〔実施例2〕
実施例2では、アルミナ原料を用い、外径12.3mm、内径11.3mm、長さ100mmの2本の管部材と、外径13.4mm、内径12.4mm、長さ30mmの筒状体とを成形した。
また、前記2本の管部材の接合面となる各端部は、軸方向に対し12°の傾斜を有するように、それぞれ凸状と凹状にテーパー加工を施した。
また、凸状の端部先端から10mmの位置、凹状の端部先端から8mmの位置に管軸方向の断面が方形の環状凸部(幅0.8mm、高さ0.3mm)を周方向に沿って形成した。尚、管部材において、前記環状凸部が形成された部分の外径が12.3mmであり、それ以外の外径は12.0mmである。
次いで、2本の管部材を1800℃で焼成し、その管部材の焼成温度よりも低い900℃で、筒状体を仮焼した。
このように焼成および仮焼された各部材を組み立てる際、2本の管部材の接合部、筒状体により覆われる管部材の周面に、平均粒径80nmのアルミナ微粒子と純水とを1:1の比率で混練したスラリーを塗布した。その後、この組み立てられたセラミックス管仮焼体を1800℃にて大気焼成した。
【0049】
得られたセラミックス管の焼結体一方の端部を封止し、他方をリーク測定機に設置し、リーク量を測定した。この結果、リーク量は、0.0053Lusec(ルーセック)であることが確認され、空気や水等の配管として十分に使用可能であることを確認した。
また、得られたセラミックス管の筒状体の長手方向における外径の変化は、12.5mm〜12.9mmであり、3.2%のばらつきが生じた。この結果から、本焼成により、管部材の環状凸部間に筒状体が食い込んでいると予測された。
また、実際に得られたセラミックス管の焼結体を管軸方向に切断し、管部材の環状凹部の断面を観察した。その結果、管部材の環状凸部間に筒状体の内周面が食い込んでいることが確認され、環状凸部間に形成された空間の断面積は元の断面積に対し4.7%〜11.3%の範囲となり、大きく減少していた。尚、第一の実施の形態において図6に示した角度θ3は168°であった。
【0050】
〔実施例3〕
実施例3では、2本の管部材の接合面となる各端部のテーパー角度(管軸方向に対する傾斜角)を変化させ、リーク量を抑えるために最も適した範囲について検討した。テーパー加工の傾斜角は、1°〜89°まで2°間隔でサンプルを作成し、それぞれについてリーク量を測定した。その他の条件は、前記実施例1で用いたサンプルと同様に形成した。
その結果、リーク量を抑えるためには、テーパー加工の傾斜角は3°〜80°が好ましく、組立時のぐらつき等を考慮すると、5〜60°がより良好な範囲であると確認した。
尚、管軸方向に対するテーパー角度が3°未満のように低い場合、凹状のテーパー加工が困難である上、欠け等の損傷が生じやすく、欠け等の発生はリーク量の抑制にも悪影響が生じるため好ましくないことを確認した。
【0051】
〔実施例4〕
実施例4では、筒状体により覆われる、端部先端から所定寸法の管部材周面に、軸方向に対して60°傾斜する、幅0.5mm、深さ0.2mmの環状凹部を形成した。
その他の条件は、前記実施例1で用いたサンプルと同様に形成し、1800℃の大気焼成によりセラミックス管の焼結体を得た。
得られたセラミックス管の焼結体に対し、リーク量を測定した結果、0.0063Lusec(ルーセック)となり、前記環状凹部の形成方向が管軸方向に直交する場合(実施例1)と比較しても、遜色ない結果が得られた。
また、筒状体により覆われる各管部材の周面に、前記環状凹部を周方向に沿って並列に複数形成した場合、或いは、環状凹部をジグザグ状に形成した場合、或いは、環状凹部と環状凸部とを並列に混在させた場合、或いは、環状凸部をジグザグに形成した場合等についてもリーク量を測定したが、その値が劣ることはなかった。
【0052】
〔実施例5〕
実施例5では、図3に示した角度θ1(環状凹部の入口側角部の管軸方向の断面角度)を変化させ、リーク量を抑えるために最も適した範囲について検討した。角度θ1は、45°〜180°まで15°間隔でサンプルを作成し、それぞれについてリーク量を測定した。その他の条件は、前記実施例1で用いたサンプルと同様に形成した。
表1に測定の結果得られた角度θ1に対するリーク量と、その判定結果を示す。尚、表中の判定結果において、○は良好、△は可、×は不可を表す。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示されるように十分にリーク量を抑制できる角度θ1の範囲は、60°〜150°の範囲であることを確認した。また、それらの角度範囲におけるサンプルの軸方向断面を観察した結果、環状凹部に筒状体が確実に食い込んでいることを確認した。
【0055】
〔実施例6〕
実施例6では、図3に示した角度θ2(管部材2(3)の外周面と、環状凹部2b(3b)の入口側角部2c(3c)に対する環状突起部5(6)の接線とのなす管軸方向の断面角度)を変化させ、リーク量を抑えるために最も適した範囲について検討した。角度θ2は、90°〜180°まで表2に示す条件で各サンプルを作成し、それぞれについてリーク量を測定した。その他の条件は、前記実施例1で用いたサンプルと同様(θ1=90°)に形成した。
表2に測定の結果得られた角度θ2に対するリーク量と、その判定結果を示す。尚、表中の判定結果において、○は良好、△は可、×は不可を表す。
【0056】
【表2】

【0057】
表2に示されるように十分にリーク量を抑制できる角度θ2の範囲は、120°〜178°の範囲であることを確認した。また、それらの角度範囲におけるサンプルの軸方向断面を観察した結果、環状凹部に筒状体が確実に食い込んでいることを確認した。
【0058】
〔実施例7〕
実施例7では、図6に示した角度θ3(環状凸部12b(13b)の頂面と、環状凸部12b(13b)の先端側角部12c(13c)に対する環状陥没部15(16)の接線とのなす管軸方向の断面角度)を変化させ、リーク量を抑えるために最も適した範囲について検討した。角度θ3は、90°〜180°まで表3に示す条件で各サンプルを作成し、それぞれについてリーク量を測定した。その他の条件は、前記実施例2で用いたサンプルと同様に形成した。
表3に測定の結果得られた角度θ3に対するリーク量と、その判定結果を示す。尚、表中の判定結果において、○は良好、△は可、×は不可を表す。
【0059】
【表3】

【0060】
表3に示されるように十分にリーク量を抑制できる角度θ3の範囲は、105°〜175°の範囲であることを確認した。また、それらの角度範囲におけるサンプルの軸方向断面を観察した結果、2つの環状凸部間に筒状体が確実に食い込んでいることを確認した。
【符号の説明】
【0061】
1 セラミックス管
1a 連結部
2 管部材(第一長尺体)
2a 端部
2b 環状凹部(第一の環状凹部)
3 管部材(第二長尺体)
3a 端部
3b 環状凹部(第二の環状凹部)
4 筒状体
5 環状突起部(第一の環状突起部)
6 環状突起部(第二の環状突起部)
10 セラミックス管
10a 連結部
12 管部材(第一長尺体)
12a 端部
12b 環状凸部(第一の環状凸部)
13 管部材(第二長尺体)
13a 端部
13b 環状凸部(第二の環状凸部)
14 筒状体
15 環状陥没部(第一の環状陥没部)
16 環状陥没部(第二の環状陥没部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスからなる管状の第一長尺体と、
前記第一長尺体と同外径に形成されたセラミックスからなる管状または中実棒状の第二長尺体と、
前記第一長尺体及び第二長尺体の端部同士が同軸上に連結された状態で、その連結部を含む外周面を覆うセラミックスからなる筒状体とを備え、
前記第一長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第一の環状凹部が設けられ、
前記第二長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第二の環状凹部が設けられ、
前記筒状体の内周面に、前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部に沿ってそれぞれ環状に形成されると共に、前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部にそれぞれ嵌合する第一の環状突起部及び第二の環状突起部が設けられていることを特徴とするセラミックス管。
【請求項2】
前記第一の環状突起部及び第二の環状突起部がそれぞれ嵌合する前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部の入口側角部において、その管軸方向の断面角度は、60°〜150°の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載されたセラミックス管。
【請求項3】
前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部の入口側角部における前記第一の環状突起部及び第二の環状突起部の接線と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外周面とのなす角度は、120°〜178°の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたセラミックス管。
【請求項4】
セラミックスからなる管状の第一長尺体と、
前記第一長尺体と同外径に形成されたセラミックスからなる管状または中実棒状の第二長尺体と、
前記第一長尺体及び第二長尺体の端部同士が同軸上に連結された状態で、その連結部を含む外周面を覆うセラミックスからなる筒状体とを備え、
前記第一長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第一の環状凸部が設けられ、
前記第二長尺体の端部外周面に、周方向に沿って環状に形成されると共に、前記筒状体に覆われる第二の環状凸部が設けられ、
前記筒状体の内周面に、前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部に沿ってそれぞれ環状に形成されると共に、前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部にそれぞれ嵌合する第一の環状陥没部及び第二の環状陥没部が設けられていることを特徴とするセラミックス管。
【請求項5】
前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部の先端側角部における前記第一の環状陥没部及び第二の環状陥没部の接線と、前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部の頂面とのなす角度は、105°〜175°の範囲内に形成されていることを特徴とする請求項4に記載されたセラミックス管。
【請求項6】
前記第一長尺体と第二長尺体のいずれか一方の端部は、その外周面が先細りに形成された凸テーパー形状であって、
前記凸テーパー形状の端部に接合される他方の長尺体の端部は、その内周面が先端に向かって内径の大きくなる凹テーパー形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたセラミックス管。
【請求項7】
前記凸テーパー形状或いは凹テーパー形状に形成された第一長尺体及び第二長尺体の端部において、管軸方向に対する前記端部のテーパー角度は、3°〜80°の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載されたセラミックス管。
【請求項8】
セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凹部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凹部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、
前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で焼成する第一の焼成工程と、
前記成型工程によって得られた前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、
前記第一の焼成工程によって焼結された前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記仮焼工程によって得られた前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記第一の長尺体と前記第二の長尺体との連結部及び前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、
前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことを特徴とするセラミックス管の製造方法。
【請求項9】
セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凸部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凹部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、
前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で焼成する第一の焼成工程と、
前記成型工程によって得られた前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、
前記第一の焼成工程によって焼結された前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記仮焼工程によって得られた前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記第一の長尺体と前記第二の長尺体との連結部及び前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、
前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことを特徴とするセラミックス管の製造方法。
【請求項10】
セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凹部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凹部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、
前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で仮焼すると共に、前記第一長尺体及び第二長尺体の仮焼温度よりも低い温度で、前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、
前記仮焼工程によって得られた前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記連結部及び前記第一の環状凹部及び第二の環状凹部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、
前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことを特徴とするセラミックス管の製造方法。
【請求項11】
セラミックスからなる管状に形成され、その端部外周面に、周方向に沿って環状に形成された第一の環状凸部を有する第一長尺体と、セラミックスにより前記第一長尺体と同外径に形成され、周方向に沿って環状に形成された第二の環状凸部を有する管状または中実棒状の第二長尺体と、前記第一長尺体及び第二長尺体の外径よりも大きい内径を有するセラミックスからなる筒状体とを形成する成型工程と、
前記成形工程によって得られた前記第一長尺体及び第二長尺体を所定の温度で仮焼すると共に、前記第一長尺体及び第二長尺体の仮焼温度よりも低い温度で、前記筒状体を仮焼する仮焼工程と、
前記仮焼工程によって得られた前記第一長尺体と第二長尺体とを連結した状態で前記筒状体の仮焼体内に挿通させ、前記筒状体により前記連結部及び前記第一の環状凸部及び第二の環状凸部が覆われたセラミックス管仮焼体として組み立てる組立工程と、
前記組立工程を経たセラミックス管仮焼体を仮焼温度よりも高い温度で焼成する本焼成工程とを含むことを特徴とするセラミックス管の製造方法。
【請求項12】
前記仮焼体の組立工程において、
前記第一長尺体と第二長尺体と筒状体との間に、平均粒径100nm以下に形成され、前記第一長尺体、第二長尺体、筒状体と同一の組成の粉体を10%以上含むスラリーを接着剤として用いることを特徴とする請求項8及至請求項11のいずれかに記載されたセラミックス管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−285326(P2010−285326A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142054(P2009−142054)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】