説明

セラミックメタルハライドランプ

【課題】
ハロゲン化金属としてヨウ化セリウムを発光管に添加しても、点灯初期からアークを安定させて点灯できるようにする。
【解決手段】
透光性セラミックで形成した発光管(1)が、透光性外管(10)内に収納されると共に、ハロゲン化金属としてヨウ化セリウムが添加されたセラミックメタルハライドランプ(L)において、外管(10)内には、口金(11)が形成された基端(10A)側から先端(10B)側まで長手方向に沿って延びる給電部材を兼ねた二本の並行支柱(12R,12L)を備えた閉ループ型の発光管支持フレーム(F)が、口金(11)を介して電力供給を受けるステムリード(18b)に溶接固定され、さらに給電ワイヤ8A8Bを加えた3本以上の給電部材が発光管周りに180度以上の範囲にわたって存在し、前記給電部材群の間隔は互いに等間隔とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、ハロゲン化金属としてヨウ化セリウムが添加されたセラミックメタルハライドランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
メタルハライドランプは、高圧ナトリウムランプや水銀ランプに比して、最も自然光に近い光が放射されるので演色性に優れており、オフィスや店舗のベース照明としても用いられている。
そして、一般には、ISO8995演色区分1B以上である平均演色評価数Ra=80以上、相関色温度は3000〜4500Kの範囲となる高演色で暖色から白色と言われる範囲の光源が使用されているが、省エネの観点から、より発光効率の高いランプが求められている。
しかしながら、高演色性と高効率は相反する効果であり、演色性を向上させれば発光効率が低下し、発光効率を高くすれば演色性が低下する。
このため、従来のメタルハライドランプは、高効率・高演色を謳っていても、効率重視型または演色性重視型のいずれかに分類されることとなる。
この場合に、一般に、平均演色評価数Ra≧80であれば高演色であると評価され(ISO8995の演色区分1B以上)、発光効率η≧100程度であれば高効率であると評価される。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたDy−Ho−Tm系メタルハライドランプの最高データは、平均演色評価数Ra=87と優れるが、発光効率η=93(lm/W)とやや劣るため、演色性重視型ということができる。
【0004】
また、特許文献2に開示されたNa−Ce系メタルハライドランプは、Ceの強烈な緑色発光により平均発光効率η=123(lm/W)と優れるが、平均演色評価数Ra=60とやや劣るため、効率重視型ということができる(特許文献2[0049]参照)。
【0005】
さらに、特許文献2[0082]には「NaI以外にも、所望のランプ特性に応じて適宜、ディスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)、ホルミウム(Ho)、タリウム(Tl)等を発光物質として添加してもよい。」と記載されているが、これらの物質を加えてNa−Ce系メタルハライドランプの発光封入物質の比率を調整しても、Ceの強烈な緑色発光を抑えてRa=70以上にすることは困難であるだけでなく、発光物質としてDy、Tm、Ho、Tlを添加していくと、特許文献1のランプ特性に近づき発光効率は低下してしまう。
【0006】
一方、従来の高演色セラミックメタルハライドランプは、発光管を収納する透光性外管を真空にして発光管の保温効果を高めることにより高演色性・高発光効率を実現しているが、この場合、消灯時に発光管が冷却されにくいことから、消灯後再度点灯されるまでの再始動時間が25分から30分ほどかかっており、これを15分程度まで短縮することが望まれている。
【0007】
始動パルス電圧を高めることで再始動時間を短縮することもできるが、試作ランプにおいて透光性外管内を真空とし、15分以内に再始動できるパルス電圧を測定したところ、3kV以上の高電圧パルスが必要だとわかった。
最近の安全・安心指向重視の使用環境においては、始動電圧もせいぜい1〜1.5kV程度が適当と考えられている。水銀灯安定器で点灯する低始動電圧タイプの一般照明用ランプにおいては、3kVの高電圧パルスを発生させることは安全性の面で避けることが望ましい。
【0008】
そこで、本発明者は、メタルハライドランプにおいて相反する効果である高演色性及び高効率を両立させ、具体的には、平均演色評価数Ra≧80という高演色性を維持しつつ、発光効率η≧100(lm/W)という高効率を達成すると共に、従来ランプと同程度の始動パルス電圧で再始動時間を短縮させるランプを開発した(特願2009−148358号参照)。
【0009】
このランプ20は、図3に示すように、ハロゲン化金属、水銀及び始動用希ガスを封入した発光部2と、その両端に配置されるキャピラリ3A、3Bとを透光性セラミックで形成した発光管1が、透光性外管10内に収納されている。
発光管内径はキャピラリ3A及び3Bの部分ではほぼ一定だが、発光部ではその中央部に向かって拡径している。このように発光管内径が拡径を始める位置を発光部2とキャピラリ3Aまたは3Bとの境界としている。
発光部2の両端に形成されたキャピラリ3A、3Bには、電極5A、5Bを備えた一対の電極アセンブリ6A、6Bが挿通されて気密にシールされている。
そして、外管10内には、口金11が形成された外管10の基端10A側から発光管1の両側を通り先端10B側までその長手方向に沿って延びる二本の並行支柱12R,12Lの先端に位置決め金具13が溶接された閉ループ型の給電兼用発光管支持フレーム21が配されている。
【0010】
この支持フレーム21は、両端を外管先端側に折り曲げて形成された二本の並行支柱12R,12Lの先端側に、外管先端10Bに内面当接されて支持フレーム21の位置ずれを防ぐリング状の位置決め金具13が溶接されて図3の方向から見て方形の閉ループ型に形成され、一対のサポートディスク16A、16Bを介して発光管1を支持している。
支持フレーム21は、閉ループ型に形成されているため剛性が高く、外力が作用しても変形しにくく、搬送中にランプ20に外力が作用して振動したときなどに支持フレーム21の変形などに起因して発光管1が位置ずれしたり、その両端に形成された強度的に弱いキャピラリ3A、3Bが破損することがない。
特に、始動器内蔵型のランプにあっては、支持フレーム21に回路部品が取り付けられるため、支持フレーム21の剛性が高ければ、振動などの影響により始動回路が破壊されることが少ない。
【0011】
そして、口金11内側に形成されたステム14には、当該口金14を介して電力供給を受ける一対のステムリード18A,18Bが立設されており、発光管1のキャピラリ3Aから突出した一方の電極リード7Aが一方のステムリード18Aに接続され、他方の電極リード7Bが、他方のステムリード18Bに溶接された支持フレーム21の先端側に取り付けられた金属リード22を介して給電されるようになっている。
【0012】
すなわち、導体である支持フレーム21は口金10が形成された外管10の基端10A側から、発光管1の電極リード7Bが配置される先端10B側まで延びているので、このフレーム21を給電部材として用いることが従来の技術常識であった。
【0013】
また、発光管内には、ハロゲン化金属として、少なくともヨウ化ツリウム、ヨウ化タリウム、ヨウ化ナトリウム及びヨウ化カルシウムが封入されると共に、ヨウ化ナトリウム及びヨウ化カルシウムが、全ハロゲン化金属に対して夫々40〜80%及び30%未満のモル比率で封入されている。
そして必要に応じ、例えば発光効率を向上させる場合には、ヨウ化セリウムが全ハロゲン化金属に対して5%以下のモル比率で封入される。
【0014】
このランプ20にヨウ化セリウムを加えた場合は、安定点灯すれば演色性・発光効率に優れたランプとなるが、垂直点灯させた場合に、点灯初期の数十時間の間、アークが安定せず、アークが曲がるアーク揺れを生じたり、ランプ電圧が大きく変化して、発光色が変化したり立消えを生ずる場合があることが判明した。これはセリウムを入れたランプで見られる特有な現象である。
【0015】
すなわち、発光管1の先端側の電極5Bに対して閉ループ型の支持フレーム21の先端側に接続した金属リード22を介して給電しているため、ステム14に立てられたステムリード18Bから二本の並行支柱12R、12Lを介して金属リード22に達する二つの給電ルートが形成されることとなる。
したがって、給電を開始し、例えば、図4に示すように、各並行支柱12R、12Lに矢印A方向に電流が流れると、磁界B、Bが形成され、その磁界B、B中に発光部2が位置する。
【0016】
電極5A、5B間のアークは矢印A方向に電流が流れるため、アークに対しては、フレミング左手の法則により夫々の並行支柱12R、12Lから離れる方向に力W、Wが働く。
すなわち、このとき、並行支柱12R、12Lの中間部分で全く反対方向の二つの磁界B、Bが作用しているので、アークに対しても、反対向きの二つの力W、Wが同時に作用する。
次いで、交流により極性が反転され、各並行支柱12R、12Lに反矢印A方向に電流が流れ、電極5A、5B間で反矢印A方向に電流が流れても、並行支柱12R、12Lの中間部分で全く反対方向の二つの磁界が生成され、アークに対して夫々の並行支柱12R、12Lから離れる方向に力が働くので、同様の現象が生ずる。
そのため、アークは両側から押されるので、その力の方向(図4で見て左右方向)には行き場がなくなり、これに直交する方向(図4で見て紙面の手前側か又は奥側の方向)に曲がり不安定な状態になる。
しかも、セリウム入りの場合点灯初期には発光管内に存在する余剰添加物が均等に蒸発していないためか、アーク放電の道筋が安定しない。このように力のバランスが微妙に崩れることによりアークが行ったり来たりを繰り返してアーク揺れを生じていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2003−187744号公報
【特許文献2】特開2003−086130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明は、閉ループ型の支持フレームが形成されている場合に、ヨウ化セリウムを発光管に添加しても、点灯初期からアークを安定できるようにすることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題を解決するために、本発明は、ハロゲン化金属、水銀及び始動用希ガスを封入した発光部と、その両端に配置される一対の電極アセンブリを挿通したキャピラリとを透光性セラミックで形成した発光管が、透光性外管内に収納されると共に、前記ハロゲン化金属として少なくともヨウ化セリウムが添加されたセラミックメタルハライドランプにおいて、前記外管の口金が形成された基端側から発光管の両側を通り先端側までその長手方向に沿って延びる給電部材を兼ねた二本の並行支柱を備えた閉ループ型の発光管支持フレームが、口金を介して電力供給を受けるステムリードに溶接固定されて外管内に配されると共に、前記並行支柱の基端側に、発光管の先端側電極に通電する給電部材が接続され、合計3本以上の給電部材群を有し、前記給電部材群は発光管発光部の範囲では、少なくともランプ電極軸に垂直な断面において180度の範囲にわたって存在し、前記給電部材群の間隔は互いに等間隔であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るセラミックメタルハライドランプによれば、発光管を支持する閉ループ型の支持フレームが配されている場合に、この支持フレームが給電部材を兼ねていると同時に前記支持フレームの基端側に発光管の先端側電極に通電する給電部材が接続されている。
これにより、発光管の電極軸に垂直な断面において3箇所以上の位置で、同時に同方向に電流が流れるので、発光管アークの周りに同一方向の磁界が形成される。
そのためアークが形成される部分に3箇所以上の位置で形成された磁界の影響によりアーク位置が固定され、アークが不安定になることが少ない。
支持フレームが閉ループ型に形成されているため外力が作用しても変形しにくく、発光管の両端に形成された強度的に弱いキャピラリを支持する場合に、搬送中にランプに外力が作用して振動したときなどにフレームの変形などに起因して発光管が位置ずれしたり、破損したりすることがない。
また、始動器内蔵型のランプにあっては、閉ループ型の支持フレームに取り付けられた始動回路部品が、フレームの変形により破壊されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るセラミックメタルハライドランプの一例を示す説明図。
【図2】給電部材の配置例を示す図。
【図3】従来のセラミックメタルハライドランプを示す説明図。
【図4】その通電時にアークに作用する力を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ヨウ化セリウムを発光管に添加しても、点灯初期からアークを安定できるようにするという目的を達成するために、ハロゲン化金属、水銀及び始動用希ガスを封入した発光部と、その両端に配置される一対の電極アセンブリを挿通したキャピラリとを透光性セラミックで形成した発光管が、透光性外管内に収納されると共に、前記ハロゲン化金属としてヨウ化セリウムが添加されたセラミックメタルハライドランプにおいて、前記外管の口金が形成された基端側から発光管の両側を通り先端側までその長手方向に沿って延びる給電部材を兼ねた二本の並行支柱を備えた閉ループ型の発光管支持フレームが、口金を介して電力供給を受けるステムリードに溶接固定されて外管内に配されると共に、前記並行支柱の基端側に、発光管の先端側電極に通電する給電部材が接続され、合計3本以上の給電部材群を有している。前記給電部材群は発光管発光部の位置において、少なくともランプ電極軸に垂直な断面において180度の範囲にわたって存在し、前記給電部材群の間隔は互いに等間隔である。
【実施例1】
【0023】
図1に示すセラミックメタルハライドランプLは、片端に口金11を形成した透光性外管10内に、発光管1と、その電極5A,5B間に始動電圧を供給する非線形セラミックコンデンサなどからなる始動器9が配されている。
発光管1は、楕円の長軸を回転軸として回転させたような略楕円球状に形成された発光部2の長軸方向両端側に、一対のキャピラリ3A、3Bが角隅部のない遷移曲面4を介して連続的に形成されており、発光部2には、ハロゲン化金属、水銀及び始動用希ガスが封入されている。
発光管内径はキャピラリ3A及び3Bの部分ではほぼ一定だが、発光部ではその中央部に向かって拡径している。このように発光管内径が拡径を始める位置を発光部2とキャピラリ3Aまたは3Bとの境界としている。
【0024】
本例の発光管1は、発光部2とキャピラリ3A、3Bを透光性アルミナの粉末圧縮体を型取りして一体成形した所謂1ピースタイプのものを用いている。
発光部2の両端に形成されたキャピラリ3A、3Bには、電極5A、5Bを備えた一対の電極アセンブリ6A、6Bが挿通されて、そのキャピラリ3A、3Bの両端が、電気絶縁性を有するフリットガラスなどのシール材によって気密にシールされると同時に、該シール材によって電極アセンブリ6A、6Bが、キャピラリ3A、3B内の定位置に固定されている。
【0025】
なお、発光部2には、ハロゲン化金属として、少なくともヨウ化ツリウム(TmI)、ヨウ化タリウム(TlI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)及びヨウ化カルシウム(CaI)が封入されると共に、ヨウ化ナトリウム(NaI)及びヨウ化カルシウム(CaI)が、全ハロゲン化金属に対して夫々40〜80%及び30%未満のモル比率で封入されている。
また、ヨウ化セリウム(CeI)が全ハロゲン化金属に対して5%以下のモル比率で封入されている。
【0026】
また、外管10内には、口金11が形成された外管10の基端10A側から先端10B側までその長手方向に沿って延びる給電部材を兼ねた二本の並行支柱12R,12Lを備えた閉ループ型の発光管支持フレームFが配されている。
この支持フレームFは、金属線状部材12の両端を外管10の先端10B側に向かって折り曲げることにより長さの等しい二本の並行支柱12R,12Lが形成され、その先端に、外管先端10Bの内面に当接されてフレーム先端の位置ずれを防ぐリング状の位置決め金具13が溶接されることにより、図1で見て方形の閉ループ型に形成されている。
【0027】
そして、二本の並行支柱12R,12Lには、一対のサポートディスク16A、16Bが取り付けられ、その中心に形成された挿通孔(図示せず)にキャピラリ3A、3Bが挿通されて発光管1が取り付け支持されると共に、このディスク16A、16Bに透光性スリーブ17が発光部2を囲むように固定されている。
【0028】
そして、口金11内側に形成されたステム14には、当該口金14を介して電力供給を受ける一対のステムリード18A,18Bが立設されており、発光管1のキャピラリ3Aから突出した一方の電極リード7Aは一方のステムリード18Aに接続される。他方の電極リード7Bは、他方のステムリード18Bに溶接された支持フレームFの口金11側から並行支柱12Rおよび12Lを通り、支持フレームFの先端側に取り付けられた金属リード22を介して給電されるようになっている。
さらに電力供給リード7Bは、フレームFの基端側に接続されている2本の給電ワイヤ8を介しても給電される。
この場合、給電ワイヤ8Aおよび8Bは、支持フレームFの並行支柱12R,12L間に形成されるベース部12Cに接続することが好ましい。
さらに、前記始動器9は、電力供給リード7A、7B間に電気的に接続されている。
【0029】
以上が本発明の一構成例であって、次にその作用について説明する。
セラミックメタルハライドランプLの口金11を灯具ソケット(図示せず)に装着し、スイッチ(図示せず)をオンすると、電極5A、5B間にランプ電流が流れて点灯する。
このとき、並行支柱12Rおよび12L並びに給電ワイヤ8Aおよび8Bには、同時に同方向へ電流が流れる。
【0030】
したがって、図2(b)に示すように発光管の周囲に均等に給電部材が配置されているため、それぞれの給電部材の周りに磁界Bが形成され、それぞれの給電部材とアークとの間に反発力が生じる結果、全体としてアークは図2(b)において四角形Mで示すように、発光管2の中心部に固定される。
【0031】
また、並行支柱12Rおよび12Lを除く給電ワイヤ8は図2(a)に示すように1本のみであってもよい。この場合合計3本の給電部材が発光管発光部の範囲では、ランプ電極軸に垂直な断面において少なくとも180度の範囲にわたって存在し、前記給電部材群の間隔は並行支柱12Rと給電ワイヤ8との間が約90度、並行支柱12Lと給電ワイヤ8との間も約90度であり、互いに等間隔に配置されている。給電ワイヤ8が無いほうの並行支柱12Rと12Lとの間は約180度となっているが、この範囲は「給電部材が存在する範囲」に含まれないため等間隔かどうかは考慮されない。
【0032】
図2(a)のような構成を採用すると、「給電部材が存在する範囲」が図でみて上側のみに存在するため、アーク位置は図2(a)において四角形Mで示すように、発光管2の中心部より少し下側にずれた位置に固定される。
【0033】
また、図2(c)のように給電ワイヤの数を増やし、並行支柱12Rおよび12L並びに給電ワイヤ8A、8B、8C、8Dからなる給電部材6本を発光管のまわり360度の範囲に均等に配置すればアークは図2(c)において四角形Mで示すように、発光管2の中心部に固定され、安定性はより好ましい。ただし発光部のまわりに給電部材である金属線が数多く存在すると、当然発光部からの放射光が遮光されるのでランプとしての発光効率が悪くなる上、ランプ部材が増えたことにより重量が増え製造コストも増加する。
【0034】
本発明の構成を有するセラミックメタルハライドランプは、いずれの方向にランプ電流が流れても、アークに対しては、並行支柱および給電部材から離れる同一方向の力Wが作用するのみで、反対方向(並行支柱および給電部材に近づく方向)の力が同時に作用したり、交流ランプ電流により交番的に作用して複数の方向に順次引っ張られたりすることがないので、アークが不安定になりにくいという作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上述べたように、本発明は、オフィスや店舗のベース照明として用いられるセラミックメタルハライドランプの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0036】
L………セラミックメタルハライドランプ
1………発光管
2………発光部
3A、3B………キャピラリ
5A、5B………電極
6A、6B………電極アセンブリ
8………給電ワイヤ
10………外管
11………口金
10A………基端
10B………先端
12R、12L………並行支柱
F………支持フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化金属、水銀及び始動用希ガスを封入した発光部と、その両端に配置される一対の電極アセンブリを挿通したキャピラリとを透光性セラミックで形成した発光管が、透光性外管内に収納されると共に、前記ハロゲン化金属として少なくともヨウ化セリウムが添加されたセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記外管の口金が形成された基端側から発光管の両側を通り先端側までその長手方向に沿って延びる給電部材を兼ねた二本の並行支柱を備えた閉ループ型の発光管支持フレームが、口金を介して電力供給を受けるステムリードに溶接固定されて外管内に配されると共に、前記並行支柱の基端側に、発光管の先端側電極に通電する給電ワイヤが接続され、合計3本以上の給電部材群を有し、前記給電部材群は発光管発光部の範囲では、少なくともランプ電極軸に垂直な断面において180度の範囲にわたって存在し、前記給電部材群の間隔は互いに等間隔であることを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。
【請求項2】
前記発光管は、略楕円面状に形成された前記発光部の長軸方向両端側に前記キャピラリが角隅部のない遷移曲面を介して連続的に形成された請求項1記載のセラミックメタルハライドランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−238386(P2011−238386A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106830(P2010−106830)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】