説明

セラミック微粒子をともなう金属‐セラミック複合大気ろう材

酸化銅と銀とセラミック微粒子との混合物からなるろう材を提供することにより、2つまたはそれ以上の、セラミックおよび/または金属の部分をひとつに接合するための方法。該部分の表面に、該ろう材を載せて、次いで、該部分のあいだの接合をろう材に形成させるために十分な時間および十分な温度で、該部分をひとつに固定する。セラミック微粒子の添加は、ろう材の粘性を増加させて、はみ出しを低減し、エアポケットの形成を低減し、核形成部位を提供することによる脆弱相の形成を低減させ、かつ継手の曲げ強度を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府権限の陳述
本発明は、米国エネルギー省により裁定された契約書DE-AC0676RLO 1830に従って、政府の援助でなされたものである。政府は、本発明における、ある一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、固体酸化物形燃料電池、酸素分離装置、および水素分離装置を含むが、これらに限定されない、電気化学装置に関する。より具体的には、本発明は、電気化学装置で利用される継手を形成させるために用いられる、改良されたろう材に関する。
【背景技術】
【0003】
刊行物であるJ.S. Hardy、J.Y. Kim、K.S. Weilの「Joining Mixed Conducting Oxides Using An Air-Fired Electrically Conductive Braze」, J. Electrochem. Soc. Vol. 151, No. 8, pp. j43-j49(非特許文献1)、および米国特許出願第10/334,346号(特許文献1)に、最近、例えば酸素発生装置等の高温固体装置を製造するために有用なセラミックと金属とのろう付の方法が記載された。「大気ろう付」として好ましい技術は、以下の2つの重要な手段において、従来の活性金属ろう付とは異なる。(1)それは、接合のための主成分として、液相の酸化物-貴金属溶融物を利用しており、従って高温耐酸化性を示す、および(2)加工処理は、融剤および/または不活性なカバーガスの使用なしで、大気中で直接行われる。事実、大気ろう付中に形成される接合の強度は、金属基材上への薄い接着性酸化物スケールの形成に依存する。該技術は、酸化物接合面を予めぬれさせるための貴金属溶媒(noble metal solvent)に少なくとも部分的に可溶である溶融酸化物を使用し、残りの溶融ろう付用金属を容易にぬれさせる新しい表面を形成する。本明細書で用いられる「ろう材」という用語は、金属、セラミック、またはそれらの組み合わせであり得る2つの部分の間に気密継手を形成させるために用いられる、金属、または金属を含有する混合物を意味する。「ろう材」は、科学文献および工学文献において「溶加材」または「溶加金属」と称されることが多い。Z.B. Shao, K.R. Liu, L.Q. Liu, H.K. Liu, S. Dou (1993),「Equilibrium Phase Diagrams In The Systems PbO-Ag and CuO-Ag」, J. Am. Cer. Soc., 76 (10) 2663-4(非特許文献2);A.M. Meier, P.R. Chidambaram, G.R. Edwards (1995),「A Comparison Of The Wettability Of Copper-Copper Oxide And Silver-Copper Oxide On Polycrystalline Alumina」, J. Mater. Sci., 30 (19) 4781-6(非特許文献3);およびR.S. Roth, JR. Dennis, H.F. McMurdie編 (1987) Phase Diagrams for Ceramists, Volume VI, The American Ceramic Society, Westerville, OH(非特許文献4)に記載されている、Ag-CuO、Ag-V2O5、およびPt-Nb2O5を含む、多数の金属酸化物-貴金属系が適している。
【0004】
Ag-CuO大気ろう付は、従って、不活性環境または融剤の使用を必要としない。銀がマトリックス相として用いられるため、ろう付は、大気中で直接行うことができ、かつ得られる継手は、高温で良好な耐酸化性を有する。溶融銀に溶解する酸化銅の添加は、セラミックおよび金属の両方の接合面上の溶融銀のぬれ性を改善し、銀と基材表面との間の良好な接合をもたらす。
【0005】
これらの利点にもかかわらず、溶融Ag-CuOの低い粘性が、ろう材をはみ出させる(ビーズ形成)。ろう材と接合面との間に良好な接触を維持するために、通常、それらが互いに圧をかけあうようにおもりが用いられる。しかしながら、溶融ろう材は、加工処理中にはみ出すことが多く、図1(a)に示されるように、接合した面の外側にろう材のビーズを形成させる。このはみ出し現象は、接合した部分に損傷を与える可能性があるこれらのビーズを除去するための、さらなる後処理を必要とする。
【0006】
溶融大気ろう材の低粘性は、特に、基材上のろう材のぬれ性が乏しい場合に、エアポケット(air pocket)の形成の原因にもなる。また、CuOが溶融液体として溶解される場合、CuOは、沈澱するか、またはセラミック基材と反応して、基材/ろう材の界面で脆弱相を形成する。溶融液体のぬれ性は、CuO含量の増加とともに改善されるが、これらの脆弱界面相の形成に起因して、CuO含量を追加することによる曲げ強度の増加は制限される。連続脆弱界面相の形成は、高CuO含量をともなうろう材で観測されることが多く、これらの脆弱界面相が亀裂伝播への容易な経路を与えることから、継手の曲げ強度を制限する決定的な要因である。
【0007】
例えば前記のろう付技術等の封着技術における進歩が、例えば固体酸化物形燃料電池等の電気化学装置特有の高温環境における、セラミックと金属との継手、および/またはセラミックとセラミックとの継手の性能を改善してきたが、金属およびセラミックの部分の間の気密封止を維持しながら、かつエアポケットおよび連続脆弱界面相の形成を最小限に抑えながら、それらが多重周期にわたり稼動することを可能にする、これらの継手におけるさらなる改良の必要性が未だ存在する。本発明は、該必要性に取り組む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第10/334,346号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.S. Hardy、J.Y. Kim、K.S. Weilの「Joining Mixed Conducting Oxides Using An Air-Fired Electrically Conductive Braze」, J. Electrochem. Soc. Vol. 151, No. 8, pp. j43-j49
【非特許文献2】Z.B. Shao, K.R. Liu, L.Q. Liu, H.K. Liu, S. Dou (1993),「Equilibrium Phase Diagrams In The Systems PbO-Ag and CuO-Ag」, J. Am. Cer. Soc., 76 (10) 2663-4
【非特許文献3】A.M. Meier, P.R. Chidambaram, G.R. Edwards (1995),「A Comparison Of The Wettability Of Copper-Copper Oxide And Silver-Copper Oxide On Polycrystalline Alumina」, J. Mater. Sci., 30 (19) 4781-6
【非特許文献4】R.S. Roth, JR. Dennis, H.F. McMurdie編 (1987) Phase Diagrams for Ceramists, Volume VI, The American Ceramic Society, Westerville, OH
【発明の概要】
【0010】
従って、本発明は、2つのセラミック部分、および/または金属部分を、セラミック部分、および/または2つの金属部分に接合するための方法、ならびに該方法で用いられるろう材混合物である。簡単に言えば、本発明は、酸化銅と銀とセラミック微粒子との混合物からなるろう材を提供することにより、2つまたはそれ以上の部分をひとつに接合する。本明細書で用いられるセラミック微粒子は、従って、ろう材の一部となっている。ろう材は、セラミックおよび/または金属の部分の表面に載せられ、次いで、セラミックおよび/または金属の部分の間の接合を該ろう材に形成させるために十分な時間および十分な温度で、ひとつに固定される。好ましくは、限定されることを意味していないが、セラミックおよび/または金属の部分に力をかけて、それらをお互いに隙間なく近接に固定する。
【0011】
酸化銅と銀とセラミック微粒子との混合物に加えて、ろう材は、酸化チタンを、さらに組み入れてもよい。酸化チタンは、ぬれ調節剤として作用し、セラミックおよび/または金属の部分の間の、ろう材の均一で良好な塗布層の形成を助ける。好ましくは、限定されることを意味していないが、酸化チタンは、混合物中の銀の約0.1 mol%〜5 mol%を構成する。
【0012】
ろう材は、ろう材の融点を調節するための添加剤として、Pt、Pd、およびそれらの組み合わせを、さらに組み入れてもよい。好ましくは、限定されることを意味していないが、Pt、Pd、およびそれらの組み合わせは、混合物中の銀の約0.1 mol%〜約25 mol%を構成する。
【0013】
本明細書で用いられる「セラミック」という用語は、金属酸化物、金属窒化物、および金属炭化物を意味する。本発明における使用に適したセラミックとしては、ペロブスカイト、アルミナ、YSZ、NiO、CeO2、炭化ケイ素、シリカ、マグネシア、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
好ましくは、限定されることを意味していないが、酸化銅は、銀の約1 mol%〜約70 mol%である。また、好ましくは、限定されることを意味していないが、セラミック微粒子は、酸化銅と銀とセラミック微粒子との混合物の総体積の約1%〜約50 %である。本発明には、任意の大きさのセラミック微粒子が包含されることを理解するべきであるが、約200μmより小さいセラミック微粒子が、一般に好ましい。これらのセラミック微粒子は、短繊維、長繊維、粉末、フレークおよびそれらの組み合わせの形状であってもよく、またはこれらの形状のままであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の態様の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて解釈されれば、さらに容易に理解されるであろう。
【0016】
【図1】銀ろう材にセラミック粒子を添加することの、はみ出しの形成(ビーズ形成(beading))への効果を示す、一連の比較写真である。図1(a)は、銀(Ag)ろう材のみを含有する試料である。図1(b)は、アルミナセラミック微粒子を5 vol%加えたAgろう材を含有する試料であり、図1(c)は、アルミナセラミック微粒子を10 vol%加えたAgろう材を含有する試料である。
【図2】種々の量のセラミック微粒子を含有する、CuOを2 mol%とAgを98 mol%ともなう1組の試料の横断面を示す、一連のSEM顕微鏡写真である。図2(a)は、セラミック微粒子を0%含有する試料である。図2(b)は、アルミナセラミック微粒子を5 vol%含有する試料であり、図2(c)は、アルミナのセラミック微粒子を10 vol%含有する試料である。
【図3】セラミック微粒子の添加により、連続脆弱界面相の形成が最小限に抑えされることを示す、一連のSEM顕微鏡写真である。図3(a)は、8 mol% CuOのろう材を示し、図3(b)は、アルミナセラミック微粒子を10 vol%加えた同じ8 mol% CuOのろう材を示す。
【図4】種々のCuO-Agろう材を用いた場合の、アルミナセラミック微粒子の添加による強度の増加を示す、グラフである。グラフに示されるように、アルミナ基材の曲げ強度(280〜310 MPa)に匹敵する最大260 MPaまでの曲げ強度が達成される。
【図5】屈曲試験片の破断面を示す、一連のSEM顕微鏡写真である。図5(a)は、脆弱界面相での破断を示しているAg-8 mol% CuOの試験片を示す。図5(b)は、アルミナ基材での(界面でではなく)破断を示している、アルミナを5 vol%添加したAg-8 mol% CuOの試験片を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい態様の詳細な説明
本発明の原理の理解を促進する目的のために、これから図面で説明される態様が参照されるであろうし、かつ特定の言語が該態様を記載するために用いられるであろう。本発明の範囲が、本明細書に添付される特許請求の範囲を参照して評価されるべきであるように、該態様によって本発明の範囲が限定されないことを意図することが、それでもなお、理解されるであろう。説明される装置における変化およびさらなる改変、ならびに本明細書で説明される本発明の原理のこのようなさらなる適用は、本発明が関連する技術分野の当業者が、通常思いつくであろうような適用であることが予期される。
【0018】
一連の実験は、本発明の好ましい態様を実証するために行われた。酸化同(CuO)-銀(Ag)の状態図を用いて、4種の基本2成分ろう材組成物(「CA」ろう材と称される)を、0〜20 mol%の範囲のCuO濃度で選択した。それぞれの組み合わせを、表1に示す。金属-セラミック複合ろう材の接合特徴を確認するために、0 vol%〜20 vol%のアルミナ粉末(Al2O3)を、基本4成分ろう材組成物に添加した。
【0019】
【表1】

【0020】
これらのろう材組成物を、適当な量の銅粉末(99%、8〜11μm、Alfa Aesar)、銀粉末(99.9%、0.5〜1.0μm、Alfa Aesar)、およびアルミナ粉末(99.9%、0.35〜0.49μm、Alfa Aesar)をボールミルで粉砕することにより、それぞれ調合した。X線回折の結果は、CuOを形成させるための典型的な大気ろう付の加熱スケジュール中で、銅粉末がインサイチュで完全に酸化されたことを示唆した。これらの接合実験で用いられたろう材ペーストは、15 wt%の高分子接着剤(polymer binder)(V006, Heraeus Inc.)とともに、CuO、銀、およびアルミナを混合することにより調製した。
【0021】
ろう材で接合したセラミック部分は、100mm×25mm×4mmの寸法である多結晶アルミナプレート(A123、Alfa Aesar)から調製した。2枚のアルミナプレートを、ろう材ペーストの1つを用いて、長端に沿って接合して、100mm×50mm×4mmのプレートを形成させ、これから試験片を切り取った。ろう材層の均一な最初の厚さを維持するために、型紙捺染技術を用いて、ペーストを、アルミナプレートのそれぞれの接合面に適用し、次いで、80℃で30分間乾燥させた。乾燥後、2枚のアルミナプレート間のろう材層の厚さは、〜200 μmであった。ばね鋼のサイドクリップ(side clips)および適当に配置された耐火れんが(200 gの重量で、接合面に〜5kPaの圧を与えて)を用いて、ろう付中、試験片をひとつに固定し、かつ加熱周期中、それらがずれないようにした。静的大気中、3℃/分で1000℃に加熱し、1000℃で1時間保持し、3℃/分で室温に冷却することにより、ろう付を行った。
【0022】
一旦接合したら、それぞれの試料を、それらの長さに沿って中ほどに位置する継手についてそれぞれ4mm×3mm×50mmの寸法である長方形の屈曲棒に切った。屈曲中、張力がかかった状態に置かれる端を、早期破損を引き起こす可能性がある機械加工での亀裂を排除するために面取りした。次いで、それぞれの継手の曲げ強度を測定するために、ASTM標準試験法(C1161-02c)に従う4点屈曲試験を行った。Oxfordエネルギー分散型X線分析(EDX)装置を備えたJEOL JSM-5900LV走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、屈曲棒の研磨した横断面についての微細構造解析を行った。SEM分析は、折れた屈曲棒の破断面についても行った。
【0023】
本明細書に記載されるセラミック粉末の添加は、溶融ろう材の粘性を増加させ、かつ圧縮に対する抵抗性を改善した。図1(a)、(b)および(c)は、はみ出しの形成(ビーズ形成)に対する、セラミック微粒子の添加の効果を示す。図1(a)は、銀(Ag)ろう材のみを含有する試料である。図1(b)は、アルミナセラミック微粒子を5 vol%加えたAgろう材を含有する試料であり、図1(c)は、アルミナセラミック微粒子を10 vol%加えたAgろう材を含有する試料である。従って、図1は、はみ出しが、セラミック粉末を銀ろう材に組み入れることにより、うまく取り除かれることを示す。
【0024】
たとえ基材と溶融ろう材との間のぬれ性が良好ではない場合であっても、高い粘性をもつ溶融ろう材が、自由に移動できるわけではないので、粘性の増加は、エアポケットの形成に対する抵抗性も改善する。図2は、図1に示される試料の横断面を示す。図2(a)は、アルミナセラミック微粒子を0 vol%ともなう、2mol% CuOと98mol% 銀(Ag)とのろう材を含有する試料である。図2(b)は、アルミナセラミック微粒子を5 vol%ともなう、2mol% CuOと98mol% 銀(Ag)とのろう材を含有する試料であり、図2(c)は、アルミナセラミック微粒子を10 vol%ともなう、2mol% CuOと98mol% 銀(Ag)とのろう材を含有する試料である。従って、図2は、セラミック粒子をろう材に添加することによりエアポケットの形成が抑制されていることを示す。
【0025】
脆弱相が、基材/ろう材の界面で連続層としてではなく、ろう材マトリックス(braze matrix)全体にばらばらの粒子として形成するよう、セラミック粒子の分散は、脆弱相に核形成部位も与える。図3は、アルミナセラミック微粒子を10 vol%添加する(図3(b)に示される)ことにより、CuO(図3(a)に示される)を8 mol%ともなうろう材の連続脆弱界面相の形成を最小限に抑えることを示す。
【0026】
エアポケットの除去および脆弱界面相の最小化は、種々の異なるAg-CuOろう材でろう付したアルミナ継手の曲げ強度を増加させる。図4に示されるように、4種の個々のAg-CuOろう材の組み合わせを、100mol%の銀〜80mol%の銀で20mol%のCuOの範囲で試験した。次いで、これらのろう材の組み合わせに、0、5、10、15および20 vol%のアルミナセラミック微粒子を付与し、標準4点屈曲試験を用いて強度を試験した。図4に提示される結果により示されるように、セラミック微粒子を10vol%ともなう、CuO 8 mol%、Ag 92 mol%のものに関して、アルミナセラミック微粒子を添加することにより、強度は、2倍を超える強さになっている。アルミナ基材の最大曲げ強度(280〜310 MPa)に匹敵する、260 MPaの最大曲げ強度が達成される。
【0027】
屈曲試験片の破断面を図5に示す。アルミナ粒子(Ag-8 mol% CuO、図5a)なしで接合した試料は、脆弱界面相での破断を示す。5 vol%のアルミナを添加したろう材(図5b)の破断面は、アルミナ基材での破断、または銀ろう材マトリックスの延性破断による破断を示し、基材/ろう材の界面が、セラミック基材自体よりもいっそう強いことを示唆する。
【0028】
図面および前述の説明において、本発明を詳細に図示および説明してきたが、これらは、特徴における例示であって制限されないものとしてみなされるべきである。単に特定の態様のみが示され、かつ説明されており、本明細書で記載される本発明の精神の範囲内にある、全ての変更、等価物および改変は、保護されることが望まれる。本明細書で提供される、いかなる実験、実験例、または実験結果も、本発明の例示であることが意図され、かつ本発明の範囲に関して限定的または制限的であるとみなされるべきではない。さらに、いかなる理論、稼動の機構、証明、または本明細書で述べた知見も、本発明の理解をさらに向上させるようになっており、いかなる意味においても、本発明を、このような理論、稼動の機構、証明、または知見に限定することを意図していない。
【0029】
従って、本明細書の詳細および添付の図面が、本発明の範囲を、その詳細に限定すると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲を参照して評価されるべきである。特許請求の範囲を読むときに、例えば「1つの(a)」、「1つの(an)」、「少なくとも1つの(at least one)」、および「少なくとも1部分の(at least a portion)」等の言葉が用いられる場合、特許請求の範囲にそれに反するものが具体的に提示されない限り、特許請求の範囲を1つの要素だけに限定することは意図されない。さらに、「少なくとも1部分の」および/または「1部分の(a portion)」という言語が用いられる場合、それに反するものが具体的に提示されない限り、特許請求の範囲は、1部分および/または全部の要素を包含してもよい。同様に、電気装置または流動加工処理装置に関して「入力」または「出力」という用語が用いられる場合、前後関係において適当な、単数または複数で、かつ1つまたは複数の信号通信路または流体ラインを包含すると理解されるべきである。最後に、本明細書で引用される、全ての出版物、特許、および特許出願は、それぞれが、参照により組み入れられることが具体的および個々に示され、かつその全体が本明細書で述べられているかのように、本開示と矛盾しない程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化銅と銀とセラミック微粒子との混合物を特徴とする、2つの部分を接合するためのろう材。
【請求項2】
混合物が、酸化チタンをさらに含む、請求項1記載のろう材。
【請求項3】
酸化チタンが、銀に対して約0.1 mol%〜5 mol%を構成する、請求項2記載のろう材。
【請求項4】
混合物が、Pt、Pd、およびそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1記載のろう材。
【請求項5】
Pt、Pd、およびそれらの組み合わせが、銀の約0.1 mol%〜約25 mol%を構成する、請求項4記載のろう材。
【請求項6】
セラミック微粒子が、ペロブスカイト、アルミナ(alumin)、YSZ、NiO、CeO2、炭化ケイ素、シリカ、マグネシア、およびそれらの組み合わせを含む、請求項1記載のろう材。
【請求項7】
酸化銅が、銀の約1 mol%〜約70 mol%である、請求項1記載のろう材。
【請求項8】
酸化銅が、酸化銅と銀とセラミック微粒子との混合物の総体積の約1 mol%〜約50 mol%である、請求項1記載のろう材。
【請求項9】
セラミック微粒子が、200マイクロメートルよりも小さい、請求項1記載のろう材。
【請求項10】
セラミック微粒子が、短繊維、長繊維、粉末、フレーク、およびそれらの組み合わせである、請求項1記載のろう材。
【請求項11】
2つの部分を接合するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a.2つまたはそれ以上の部分を提供する工程;
b.該2つまたはそれ以上の部分の間に、酸化銅と銀とセラミック微粒子との混合物からなるろう材を提供する工程;
c.該2つまたはそれ以上の部分をひとつに固定する接合を該ろう材に形成させるために十分な時間および温度で、該ろう材を加熱する工程。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−520063(P2010−520063A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552865(P2009−552865)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/055935
【国際公開番号】WO2008/115696
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(506283798)バッテル メモリアル インスティチュート (19)