説明

セルフチェックアウトシステム、およびカスタマーステーション

【課題】期限切れの商品を顧客が登録する場合に、自動的に適切に対処するセルフチェックアウトシステムを提供する。
【解決手段】カスタマーステーション(CS)4には、商品に付されたバーコードを読み取るスキャナ65、及び投入された商品の重量を計測する重量センサ66を備えた回収ボックス51が配置されている。CS本体40のスキャナ49で読み取ったバーコードから賞味期限切れが判明した商品は、タッチパネル付表示部46に表示させるメッセージにより、購入するか否か問い合わせる。その結果、顧客が購入を希望した場合、商品登録を行う。購入を希望しない場合には、回収ボックス51への投入を促すメッセージを表示させる。回収ボックス51への商品の投入は、スキャナ65、及び重量センサ66により監視する。それにより、商品が実際には回収されなかった場合への対応を可能とさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が自身で購入する商品を登録し、該登録した商品の代金を支払う取引が可能なセルフチェックアウトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セルフチェックアウトシステムが注目されている。このシステムでは、来店した顧客は自身で商品登録から支払までの取引を行えるようになっている。それにより、より少ない店員でレジスタの運用ができるという利点を備えている。
【0003】
通常、セルフチェックアウトシステム(以降「SCO」)は、購入する商品の登録、更には登録した商品の購入代金の支払いを顧客が行うためのカスタマーステーション(以降「CS」)、及びそのカスタマーステーションを使用する顧客を店員がサポートするためのアテンダントステーション(以降「AS」)を用いて構築される。そのサポートのためにASでは、CSで行われる取引の確認や、エラー解除・イレギュラー対処などが行えるようになっているのが普通である。
【0004】
ところで、食品や飲料といった食料品のように、商品のなかには消費期限、或いは賞味期限といった期限が設定されているものがある。周知のように、消費期限は、期限切れとなった場合に、安全性を欠くこととなる恐れがあると認められる期限(年月日)であり、賞味期限は、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限(年月日)である。そのような定義であることから、賞味期限が設定されている商品(食料品)は、期限切れによって直ちに食べられなくなるということにはならない。
【0005】
従来のSCOでは、CSで顧客が登録する商品の期限切れを監視し、期限切れの商品を登録しようとした場合、商品の期限切れを顧客に通知するようにしていた。しかしながら、これまでのSCOは通知のみを行っていたため、期限切れの商品も購入可能となっていた。
【0006】
商品の登録は一般的に、商品に取り付けられたバーコードの読み取りにより行われる。CSは、その読み取りによって得られた例えば商品コードから商品名や価格等の商品情報を取得する。商品情報は、例えば店舗に設置されたサーバに送信することにより取得する。期限切れか否かは、その商品情報に含まれている期限を示す年月日から判定するのが普通である(特許文献1〜3)。
【0007】
上記したように、消費期限切れの商品は安全性が保証されないことから、販売できないようにする必要がある。さらに、販売できないようにするだけでなく、店外に持ち出されないようにすることも重要と云える。これは、たとえ購入したものでなくとも、商品を食べて具合が悪くなった顧客等から苦情がくる可能性も考えられるからである。
【0008】
消費期限切れの商品の店外への持ち出しは、店員に対応させることで確実に防止させることができる(特許文献1及び3−6)。しかし、店員に対応させる場合、CSを操作する顧客用により多くの店員を配置しなければならなくなり、SCOを導入する利点は小さくなる。
【0009】
期限切れとなった商品を完全に店舗内(商品棚)から排除できれば、期限切れとなっている商品を登録するようなことは発生しない。しかし、膨大な商品を扱うような店舗では、そのような商品を常に完全に排除するのは困難なのが実情である。そうであれば、期限切れの商品を登録しようとする状況は想定すべきということになる。このことから、期限切れの商品を顧客が登録しようとする場合には、店員による対応をできる限り不要とする、つまり自動的に適切に対処できるようにすることが重要と考えられる。
【特許文献1】特開平4−174100号公報
【特許文献2】特開2006−221223号公報
【特許文献3】特許第3939507号公報
【特許文献4】特開平8−101974号公報
【特許文献5】特開2003−67835号公報
【特許文献6】特開2005−50032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、期限切れの商品を顧客が登録する場合に、自動的に適切に対処するセルフチェックアウトシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明を適用した1システムでは、自身で購入する商品を登録し、登録した商品の代金を支払う取引を顧客が行うための装置(例えばカスタマーステーション)で登録される商品の期限切れを検出し、検出した商品の期限切れを顧客に通知し、期限切れの商品を回収する制御を行う。その制御により、店員が対応することなく、期限切れの商品のなかで回収すべき商品は自動的に回収される。このため、顧客が期限切れの商品を購入しようとしても、自動的に適切に対処することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明を適用した場合には、期限切れの商品を顧客が購入のために登録しようとしても、自動的に適切に対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態によるセルフチェックアウトシステム(以降「SCO」)を導入した店舗のシステム構成図である。この店舗システムは、図1に示すように、LAN1に対し、店舗サーバ2、複数のPOS端末装置3、複数のカスタマーステーション(以降「CS」)4及び1台以上のアテンダントステーション(以降「AS」)5を接続することで構築されている。
【0014】
POS端末装置3では、店員が操作して商品登録や決済が行われる。LAN1により接続されたCS4及びAS5は、SCOを構成する装置である。SCOの構成は、そのようなものに限定されるわけではなく、別の構成であっても良い。
【0015】
図2は、店舗サーバ2の構成図である。この店舗サーバ2は、販売する商品を管理するためのものである。図2に示すように、制御部21、PLU(Price Look Up)マスタテーブルが格納された第1の記憶部22、LAN1を介した通信を行うための回線制御部23、制御部21がワークに用いるメモリ24、期限情報データベース(DB)が構築された第2の記憶部25、及び外部機器との接続用のI/O制御部26を備えた構成となっている。I/O制御部26は、実際には複数のインターフェースから構成され、外部機器として、表示装置27、及びキーボード(KB)が接続されている。PLUマスタテーブルは、商品毎に、商品の基本的な情報を管理するためのものである。期限情報DBは、商品毎に、設定された期限に係わる各種データ(期限情報)を管理するためのものである。第1及び第2の記憶部22及び25は、例えばハードディスク装置である。それらは、異なる記憶装置であっても良いが、同じ記憶装置であっても良い。
【0016】
図6は、PLUマスタテーブルのデータ構成を説明する図である。このテーブルは、商品の基本的な情報を管理するためのものである。図6に示すように、1商品の情報は、商品コード、商品名、価格、設定された期限の種類を示す消費期限/賞味期限フラグ、期限、及び割引率の各データを含むものとなっている。
【0017】
消費期限/賞味期限フラグが示すのは、期限無し、消費期限、及び賞味期限のうちの何れかである。期限は、例えば年月日、或いは時刻を含む年月日で表されている。割引率は、賞味期限切れの商品を販売する場合の価格算出用のデータである。その算出は、例えばテーブルに格納されている価格に対し、100−割引率の減算結果を乗算することで行われる。
【0018】
図7は、期限情報DBのデータ構成を説明する図である。このDBには、図7に示すように、1商品の期限情報として、商品コード、消費期限/賞味期限フラグ、期限、再設定可能期限、再設定期限、再販割引率、再販ポイント付加率、及び保存方法の各データを含むものとなっている。
【0019】
賞味期限が設定された商品は、賞味期限が切れてから安全性が欠く恐れが生じるまでに或る程度の期間が存在する。このことは、賞味期限より後の期限が設定可能であることを意味する。再設定可能期限および再設定期限は、このようなことから用意したものである。再設定可能期限は、例えば安全性が維持されると考えられる最大期限であり、再設定期限は、例えば安全性の面から望ましいと考えられる期限のことである。それにより、期限の到来は、再設定期限のほうが再設定可能期限より前となっている。
【0020】
再販割引率は、PLUマスタテーブルに格納された割引率に相当する。再販ポイント付加率は、例えば店舗が発行、或いは提携しているカード会社が発行のカードを用いた決済(支払)をした顧客に特別に付加するポイントを計算するためのデータである。
【0021】
図3は、本実施形態によるCS4の構成図である。このCS4は、図3に示すように、CS本体40に対し、外部機器として、タッチパネル付表示部46、プリンタ48、スキャナ49、サイドテーブル50、回収ボックス51、カード処理ユニット52、ランプ点灯部53、及び放音部54を接続することで構成されている。CS本体40は、制御部41、ローカルPLU/期限情報合成テーブル(以降「合成テーブル」と略記)が格納された記憶部42、LAN1を介した通信を行うための回線制御部43、制御部41がワークに用いるメモリ44、及び上記外部機器との接続用のI/O制御部45を備えた構成となっている。
【0022】
記憶部42は、例えばハードディスク装置、或いはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置であり、制御部41が実行するプログラムが格納されている。プリンタ48は、レシート等の印刷に用いられるものである。スキャナ49は、商品に付されたバーコードを読み取るものである。サイドテーブル50は、置かれた商品を検出するものである。その検出は、例えば重量の計測により行われる。回収ボックス51は、期限切れの商品を回収するためのものである。カード処理ユニット52は、クレジットカード等の各種カードの搬送、カードに記録された情報の読み取りを行うものである。ランプ点灯部53は、点灯させるランプ55を通して、CS4の状態を確認可能とさせるためのものである。ランプ55としては、赤色点灯用のランプ55r、黄色点灯用のランプ55y、緑色点灯用のランプ55gが接続されている。放音部54は、状況に応じた音声出力を行うためのものである。
【0023】
外部機器が接続されるI/O制御部45は、例えば店舗サーバ2のI/O制御部26と
同様に、複数のインターフェース、例えば外部機器毎のインターフェースから構成されている。それにより、多数の外部機器が接続可能となっている。
【0024】
上記合成テーブルは、店舗サーバ2が管理するPLUマスタテーブルと、期限情報DBとを合成して得られるものである。図8に示すように、合成テーブルの1商品(1レコード)の情報は、PLUマスタテーブル、及び期限情報DBの何れかに格納されているデータの組み合わせとなっている。PLUマスタテーブルと期限情報DBの合成は、商品コードをキーにして、例えば起動時、または一定時間間隔で自動的に行われるか、或いは店舗サーバ2、またはAS5からの指示で行われる。
【0025】
図4は、本実施形態による回収ボックス51の構成図である。この回収ボックス51は、図4に示すように、回収ボックス本体60に対し、外部機器として、スキャナ65及び重量センサ66が接続された構成となっている。回収ボックス本体60は、制御部61と、CS本体40との通信用のホスト通信制御部62と、制御部61が実行するプログラムを格納した不揮発性のメモリ63と、及び外部機器との接続用のI/O制御部64と、を備えた構成となっている。外部機器であるスキャナ65及び重量センサ66は、I/O制御部64に接続されている。このI/O制御部64も、例えば複数のインターフェースから構成されている。
【0026】
図5は、本実施形態によるCS4の外観図である。図5において、買い物かご71は、登録前の商品が入っているものであり、買い物かご72は、登録後の商品を入れるためのものである。それにより、サイドテーブル50は、買い物かご71及びかごに入れられた商品の重量を検出するようになっている。
【0027】
CS本体40の正面側(操作する顧客と向き合う側)には、タッチパネル付表示部46及びスキャナ49が配置されている。買い物かご72は、CS本体40の正面側から見て、買い物かご71の反対側に配置される。それにより、買い物かご71から取り出した商品は、それに付されたバーコードをスキャナ49に読み取らせた後、買い物かご72に入れるようになっている。
【0028】
買い物かご71が置かれる台の隣には、回収ボックス51が配置されている。回収ボックス51は、内部に回収すべき商品を収容する収納用空間が設けられている。スキャナ65は、その空間の入り口近傍に配置することにより、その空間内に投入(収納)される商品に付されたバーコードの読み取り用となっている。重量センサ66は、この空間に収納された商品の総重量の計測用となっている。なお、回収ボックス51は、CSO4の設置状況により、CS本体40に対して左右どちらでも設置可能となっている。
【0029】
以上の構成において、動作を説明する。ここでは便宜的に、商品登録時の動作に着目する。
商品登録は、登録しようとする商品に付されたバーコードをスキャナ49に読み取らせることで行われる。CS4の制御部41は、例えばタッチパネル付表示部46に表示されている商品登録開始の部分を押下することによりタッチパネル付表示部46のタッチパネルから押下情報がI/O制御部45を介して通知され、その通知によってスキャナ49によるスキャンを開始させる。そのスキャンの開始により、バーコードは読み取り可能、つまり商品登録が可能となる。
【0030】
バーコードには、周知のように商品コードが記録されている。制御部41は、I/O制御部45を介して、スキャナ49がバーコードを読み取ることで得られた商品コードを含む読取結果を取得し、その商品コードをキーにして合成テーブルから1レコードの情報を抽出する。その情報を参照して、設定されている期限の有無、期限の種類、期限切れか否
かの各種判定を行う。期限の有無、及び期限の種類の判定は、消費期限/賞味期限フラグから行われ、期限切れか否かの判定は、設定されている期限、及び現在日時から行われる。
【0031】
上記判定により期限切れであることが判明した場合、制御部41は期限の種類を判定し、その判定結果に応じた処理を行う。具体的には、期限の種類が消費期限であった場合、例えばその旨を通知するメッセージをタッチパネル付表示部46に表示させ、更に回収ボックス51への投入を依頼するためのメッセージを表示させる。
【0032】
制御部41は、このようなメッセージを表示させると共に、I/O制御部45を介して回収ボックス51に商品の検出を指示する。その指示により、回収ボックス51の制御部61は、スキャナ65によるスキャンを開始させ、重量センサ66による重量の計測結果を監視する。それにより、スキャナ65による読取結果、及び重量センサ65による計測結果を随時、ホスト通信制御部62を介してCS4に通知する。
【0033】
スキャナ65による読取結果として得られる商品コードを消費期限切れの商品の商品コードと比較することにより、消費期限切れの商品のバーコードをスキャナ65に読み取らせたか否か確認することができる。しかし、スキャナ65にバーコードを読み取らせた後、商品を投入しない顧客が居る可能性がある。このことから、商品が実際に投入されたか否かは重量センサ65により更に確認するようにしている。重量センサ65による確認は、例えば予め定めた重量が増加したか否かにより行う。商品別にその重量をPLUマスタテーブル等に登録しておく場合には、その重量から商品投入と見なす増加分を算出し、その増加分以上の重量の増加を商品の投入と見なすようにしても良い。或いは、商品をグループ分けし、グループ毎に商品の投入と見なす増加分を定めるようにしても良い。
【0034】
CS4の制御部41は、回収ボックス51からの通知により、商品の投入(回収)を監視し、商品の投入を確認した後、商品登録が可能な状態に復帰させる。一定時間、商品の投入を確認できない場合、店員に対応させるために、その旨をAS5に通知する。このAS5は、特に詳細な説明は省略するが、表示装置、及び通信機能を備えたデータ処理装置(コンピュータ)である。
【0035】
このようにして本実施形態では、回収すべき商品を回収するための回収ボックス51を用意して、商品の回収を監視することにより、回収すべき商品の回収を顧客自身に行わせ、店員が対応すべき状況とならない限り、店員が対応するのを不要としている。そのように自動的にCS4が対処することにより、店舗側にとっては、消費期限切れの商品を顧客が購入しようとした場合に、店員の手間を最小限に抑えつつ、消費期限切れの商品を確実に回収することができる。商品が回収できなかった、或いはその可能性がある場合には店員に対応させるため、そのような商品が店外に持ち出されるようなことは確実に防止できるようになる。このようなことから、期限切れの商品に自動的、且つ適切に対処できることとなる。
【0036】
上記したように、賞味期限切れは安全性が欠けていることを意味しているとは限らない。店舗側は期限切れの商品の排除を行っており、期限切れの商品が長い間、店舗から排除されないことは考えにくいことから、賞味期限切れであっても安全なのが普通である。このことから本実施形態では、期限の種類が賞味期限切れであった場合、制御部41は例えばその旨を通知するメッセージをタッチパネル付表示部46に表示させた後、賞味期限切れの商品を購入するか否か問い合わせる(確認する)ためのメッセージを表示させる。それにより、購入する意志を持つ顧客には販売し、その意志を持たない顧客からは商品を回収するように自動的に対処する。
【0037】
購入するか否かの意思表示は、例えばタッチパネル付表示部46に設けたボタン操作により顧客に行わせる。ボタン操作により意思表示させる場合、購入意志を示すためのものと、購入する意志がないことを示すためのものと、を別々に用意することが望ましい。ここでは以降、購入意志を示すためのボタンを「購入ボタン」、購入する意志がないことを示すためのボタンを「購入不可ボタン」とそれぞれ呼ぶことにする。意思表示については、キーボードを用いて行わせても良く、ボタン操作以外の操作により行わせても良い。
【0038】
商品の回収は、消費期限切れの商品と同様にして行われる。それにより、商品が店舗外に出るようなことは確実に回避させる。一方、顧客が購入を選択した場合、賞味期限切れであることから、割引販売、或いはポイントの付加を行う。そのようにして、消費期限切れの商品を購入する顧客に、その購入を行うことによる特典を付与する。割引販売は、上記したように、例えば合成テーブル(PLUマスタテーブル)に格納されている価格に対し、100−割引率の減算結果を乗算して得られる価格を請求することで行われる。ポイントの付加は、合成テーブル中の再販ポイント付加率を用いて行われる。より具体的には、例えば合成テーブル中の価格に対し、再販ポイント付加率を乗算して得られるポイントを付加することで行われる。
【0039】
このようにして本実施形態では、販売する意志を持つ顧客には賞味期限切れであっても商品を販売することにより、販売できない商品がより少なくなるようにしている。それにより、店員が対応することなく、商品の無駄を最小限に抑えられるようにしている。そのように自動的に対処するため、店舗側にとっては、店員を増やすことなく、より売上を伸ばせることとなる。このようなことからも、賞味期限切れの商品に自動的、且つ適切に対処することができる。
【0040】
図9及び図10は、商品登録処理のフローチャートである。この登録処理は、例えばタッチパネル付表示部46に表示された商品登録開始ボタンを顧客が押下したことを契機に、顧客が購入しようとする商品をCS4の制御部41が登録するために実行する処理である。記憶部42に格納されているプログラムを制御部41が実行することで実現される。次に図9及び図10を参照して、この登録処理について詳細に説明する。
【0041】
先ず、ステップS1では、スキャナ49によるスキャンを行わせる。そのスキャンによるバーコードの読取結果をI/O制御部45から取得すると、ステップS2に移行して、読取結果として得られた商品コードをキーにした合成テーブル(図中「PLUテーブル」と表記)の照会(検索)を行い、対応するレコードを抽出する。その後は、抽出したレコードを参照して、期限切れのチェックを行う。ステップS4にはそのチェック後に移行する。
【0042】
ステップS4では、バーコードを読み取った商品は消費期限切れか否か判定する。抽出したレコード中の消費期限/賞味期限フラグが消費期限を示し、且つ期限が現在日時よりも前であった場合、判定はY(YES)となって図10のステップS19に移行する。消費期限/賞味期限フラグが消費期限を示していない、或いは期限が現在日時よりも前でない場合、判定はN(NO)となってステップS5に移行する。
【0043】
ステップS5では、賞味期限切れか否か判定する。抽出したレコード中の消費期限/賞味期限フラグが賞味期限を示し、且つ期限が現在日時よりも前であった場合、判定はYとなってステップS7に移行する。消費期限/賞味期限フラグが賞味期限を示していない、或いは期限が現在日時よりも前でない場合、判定はNとなり、ステップS6で商品登録を行った後、上記ステップS1に戻る。それにより、次の商品のバーコードの読み取りに備える。
【0044】
ステップS7では、I/O制御部45を介し、タッチパネル付表示部46、ランプ点灯部53及び放音部54を用いて賞味期限切れであることを顧客に通知する。タッチパネル付表示部46には、賞味期限切れである旨を通知するためのメッセージを表示させ、放音部54にはアラーム音を放音させ、ランプ点灯部53には、ランプ55y(黄色)を点灯させる。続くステップS8では、回線制御部43を介して、CS4に割り当てられた番号(CS番号)、商品情報(商品コードや商品名等)、期限の種類やその期限等の期限切れ情報(これらの情報は何れもステップS2で抽出したレコードに格納されているデータである)をAS5に通知する。その通知後は、ステップS9で購入意志を確認するためのメッセージを更にタッチパネル付表示部46に表示させてから、ステップS10に移行する。
【0045】
ステップS10では、購入意志が有るか否か判定する。顧客がキーボード47の購入ボタンを操作した場合、判定はYとなってステップS12に移行する。キーボード47の購入不可ボタンを顧客が操作した場合には、判定はNとなり、ステップS11で賞味期限切れの商品を顧客が購入する意志のないことを通知する。この通知は、CS番号、及び賞味期限切れの商品情報(商品コード、商品名等)の通知と併せて行う。そのような通知を行った後、図10のステップS22に移行する。
【0046】
ステップS12では、I/O制御部45を介して、ランプ点灯部53にランプ55g(緑色)を点灯させる。続くステップS23では、顧客がポイント会員か否か判定する。ポイント会員であることが確認できなかった場合、判定はNとなり、ステップS14で割引率を用いて計算した割引金額をステップS2で抽出したレコード中の価格(図中「現行価格」と表記)とともにタッチパネル付表示部46に表示させる。その表示後はステップS17に移行する。割引金額は、現行価格に割引率を乗算することで計算される。
【0047】
一方、顧客がポイント会員であることが確認できた場合には、判定はYとなってステップS15に移行し、再販ポイント付加率に応じてポイントを付加する。続くステップS16では、現行価格と付加したポイントをタッチパネル付表示部46に表示させる。ステップS17にはその後に移行する。
【0048】
このようにして本実施形態では、顧客がポイント会員か否かに応じて、割引、及び特典としてのポイントの付加のうちの何れかを自動的に選択するようにしている。しかし、その選択は顧客に行わせても良い。
【0049】
ポイント会員となっている顧客とは、ポイント会員であることを示すカードの所有者である。このことから顧客がポイント会員か否かの判定は、カード処理ユニット52が読み取ったカードの情報を用いて行われる。その情報は、回線制御部43を介して店舗サーバ2に送信されて照会され、その照会によって顧客がポイント会員か否か確認される。その確認を行う必要から、例えばカードの挿入は随時、行えるようになっている。
【0050】
ステップS17では、抽出したレコード中の再設定期限、及び保存方法をレシートに印字すべき情報として保存する。次のステップS18では、バーコードを読み取った商品を登録する。その登録後、ステップS1に戻り、次の商品のバーコードの読み取りに備える。
【0051】
上記ステップS4の判定がYとなって移行する図10のステップS19では、I/O制御部45を介して、商品が消費期限切れである旨のメッセージをタッチパネル付表示部46に表示させる。続くステップS20では、I/O制御部45を介して、ランプ点灯部53によりランプ54y(黄色)を点灯させる。次のステップS21では、回線制御部43を介して、CS番号、商品情報(商品コードや商品名等)、期限の種類やその期限等の期限切れ情報(これらの情報は何れもステップS2で抽出したレコードに格納されているデータである)をAS5に通知する。ステップS22には、その通知後に移行する。
【0052】
ステップS22では、回収ボックス51に商品の投入を依頼するメッセージをタッチパネル付表示部46に表示させる。次のステップS23では、回収ボックス51からバーコードの読み取り、つまりバーコードのスキャンが行われたか否か判定する。回収ボックス51からI/O制御部45を介してバーコードの読取結果を取得できた場合、判定はYとなってステップS24に移行する。その読取結果を取得できない場合には、判定はNとなってステップS25に移行する。
【0053】
ステップS24では、重量がOKか否か判定する。回収ボックス51から通知された重量に商品投入に伴う増加分が認められた場合、判定はYとなって図9のステップS1に戻る。その増加分が認められない場合には、判定はNとなってステップS26に移行する。
【0054】
ステップS25では、タイムアウトか否か判定する。回収ボックス51への投入を促すメッセージを表示させてから所定時間が経過した場合、判定はYとなってステップS27に移行する。その所定時間が経過していない場合には、判定はNとなってステップS22に戻る。それにより、所定時間が経過するか、或いは商品のバーコードが読み取られるまでの間、回収ボックス51への投入を促すメッセージを表示させる。
【0055】
一方、ステップS26でも同様に、タイムアウトか否か判定する。タイムアウトによりYと判定するとステップS22に戻り、タイムアウトでないことによりNと判定するとステップS27に移行する。それにより、商品のバーコードが読み取られた後も、所定時間が経過するか、或いは商品が回収ボックス51に実際に投入されるまでの間、回収ボックス51への投入を促すメッセージを表示させる。
【0056】
ステップS27では、I/O制御部45を介して、ランプ点灯部53にランプ55r(赤色)を点灯させる。続くステップS28では、「お待ち下さい」等のメッセージをタッチパネル付表示部46に表示させる。その次に移行するステップS29では、AS5に、店員による対応が必要な異常が発生した旨を回線制御部43により通知する。
【0057】
この通知により、投入すべき商品を回収ボックス51に投入しない顧客が操作するCS4に店員が赴き、その商品に対応するための操作を行うことになる。その操作とは、商品の投入、賞味期限切れの商品であれば商品の登録、などである。ステップS30のアテンダント介入処理、及び次のステップS31の処理終了か否かの判定処理による処理ループは、そのような操作に対応し、必要な操作の終了を判定するために行われる。このことから、ステップS31でのYの判定によりステップS32に移行し、メッセージを消去した後に図9のステップS1に戻る。
【0058】
このようにして本実施形態では、顧客が行うべき操作を行わない場合にのみ、店員の介入を促すようにしている。しかし、CS4での状況は、CS4からのAS5への通知、並びにランプ55のなかで点灯させるランプにより、店員が把握できるようにしている。これは、対処する場合に必要な情報を事前に伝えることにより、店員がより迅速に対処できるようにするためである。
【0059】
図9及び図10に示す商品登録処理は、例えばタッチパネル付表示部46に表示されているボタンを操作して、商品登録の終了を指示することで終了する。CS4の制御部41は、その終了後に、登録した商品購入の代金の支払いに対応するための決済処理を実行することになる。その決済処理についての詳細な説明は省略するが、カード決済は、店舗サーバ2を用いて行われる。
【0060】
なお、本実施形態では、CS4毎に回収ボックス51を用意しているが、複数のCS4毎に1回収ボックス51を用意するようにしても良い。これは、そのようにしても、バーコードの読み取りによって回収ボックス51に投入された商品を特定できるからである。このことから、CS4の構成は図3及び図5に示すようなものに限定されない。
【0061】
本実施形態では、バーコードに情報が記録された商品を想定しているが、情報の記録はバーコードにのみ限定されるものではない。情報の記録はICタグ等の非接触で通信が可能な媒体に行っても良い。そのような媒体に情報を記録する場合、CS4に情報を読み取らせる前に期限切れを検出するようにしても良い。
【0062】
本実施形態では、回収ボックス51にスキャナ65及び重量センサ66を接続可能とすることにより、商品回収用の構成を一つにまとめている。これは、既存のCSへの本発明の適用をより容易に行えるようにするためである。本実施形態のような回収ボックス51を用意した場合、図3に示す構成では、CS4の制御部41に実行させるプログラムの変更により、本発明を適用させることが可能となる。
【0063】
回収については、商品を搬送する機構を用意し、その機構により搬送される商品の情報を読み取るようにしても良い。そのような機構を用意する場合、商品の重量の検出は行わないようにしても良い。店員の対応が必要となった際の通知も、本実施形態に限定されるわけではなく、SCOのシステム構成に応じて様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態によるセルフチェックアウトシステムを導入した店舗のシステム構成図である。
【図2】店舗サーバの構成図である。
【図3】本実施形態によるカスタマーステーションの構成図である。
【図4】本実施形態による回収ボックスの構成図である。
【図5】本実施形態によるカスタマーステーションの外観図である。
【図6】PLUマスタテーブルのデータ構成を説明する図である。
【図7】期限情報データベースのデータ構成を説明する図である。
【図8】ローカルPLU/期限情報合成テーブルのデータ構成を説明する図である。
【図9】商品登録処理のフローチャートである。
【図10】商品登録処理のフローチャートである(続き)。
【符号の説明】
【0065】
4 カスタマーステーション
5 アテンダントステーション
40 カスタマーステーション本体
41、61 制御部
42 記憶部
43 回線制御部
44、63 メモリ
45、64 I/O制御部
46 タッチパネル付表示部
48 プリンタ
49、65 スキャナ
50 サイドテーブル
51 回収ボックス
52 カード処理ユニット
53 ランプ点灯部
54 放音部
55、55r、55y、55g ランプ
60 回収ボックス本体
62 ホスト通信制御部
66 重量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が自身で購入する商品を登録し、該登録した商品の代金を支払う取引が可能なセルフチェックアウトシステムにおいて、
登録される商品の期限切れを検出する期限切れ検出手段と、
前記期限切れ検出手段が検出した前記商品の期限切れを顧客に通知するための通知手段と、
前記期限切れ検出手段が検出した期限切れの商品を回収する制御を行う制御手段と、
を具備することを特徴とするセルフチェックアウトシステム。
【請求項2】
前記期限切れ検出手段が検出した期限切れの種類が賞味期限であった場合、前記制御手段は、該賞味期限切れの商品を購入するか否かを確認し、該確認に応じて該商品の登録、または、回収のいずれか一方の処理を行う、
ことを特徴とする請求項1記載のセルフチェックアウトシステム。
【請求項3】
前記回収のために収納される前記期限切れの商品を検出する商品検出手段、を備え、
前記制御手段は、前記商品検出手段による検出結果を基に、前記期限切れの商品の回収を監視する、
ことを特徴とする請求項2記載のセルフチェックアウトシステム。
【請求項4】
前記商品検出手段は、前記商品に付されている情報を読み取る情報読取手段と、前記情報読取手段が情報を読み取った商品の重量を計測する重量計測手段とを備え、
前記制御手段は、前記情報読取手段による読取結果、及び前記重量計測手段による計測結果を基に、前記期限切れの商品の回収を監視する、
ことを特徴とする請求項3記載のセルフチェックアウトシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記期限切れの商品が登録対象となっていることを店員に通知する、
ことを特徴とする請求項1記載のセルフチェックアウトシステム。
【請求項6】
顧客が自身で購入する商品を登録し、該登録した商品の代金を支払う取引が可能なセルフチェックアウトシステムで該取引のために用いられるカスタマーステーションにおいて、
前記登録される商品に付された情報を読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段が読み取った情報を用いて、該情報が付された商品の期限切れを検出する期限切れ検出手段と、
前記期限切れ検出手段が検出した前記商品の期限切れを顧客に通知するための通知手段と、
前記期限切れ検出手段が検出した期限切れの商品を回収する制御を行う制御手段と、
を具備することを特徴とするカスタマーステーション。
【請求項7】
前記期限切れ検出手段が検出した期限切れの種類が賞味期限であった場合、前記制御手段は、前記賞味期限切れの商品を購入するか否かを確認し、該確認に応じて該商品の登録、または、回収のいずれか一方の処理を行う、
ことを特徴とする請求項6記載のカスタマーステーション。
【請求項8】
所定の場所に前記回収のために収納される前記期限切れの商品を検出する商品検出手段、を備え、
前記制御手段は、前記商品検出手段による検出結果を基に、前記期限切れの商品の回収を監視する、
ことを特徴とする請求項6、または7記載のカスタマーステーション。
【請求項9】
前記商品検出手段は、前記商品に付されている情報を読み取る他の情報読取手段と、前記他の情報読取手段が情報を読み取った商品の重量を計測する重量計測手段とを備え、
前記制御手段は、前記他の情報読取手段による読取結果、及び前記重量計測手段による計測結果を基に、前記期限切れの商品の回収を監視する、
ことを特徴とする請求項8記載のカスタマーステーション。
【請求項10】
顧客が自身で購入する商品を登録し、該登録した商品の代金を支払う取引が可能なセルフチェックアウトシステムで回収する商品の収納に用いられるボックスであって、
前記商品に付されている情報を読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段が情報を読み取った商品の重量を計測する重量計測手段と、
を具備することを特徴とする回収ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−157048(P2010−157048A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334140(P2008−334140)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】