説明

セルロースエステルポリマーの製造法及びセルロースエステルポリマーを製造するためのセルロース前処理

セルロースエステルポリマーの製造法は、セルロース供給源を前処理する工程;前処理したセルロース供給源をエステル化してセルロースエステルを形成する工程;及び場合によりセルロースエステルを加水分解する工程を含む。前処理工程はさらに、第一段階において、セルロース供給源と、弱酸と水との第一の溶液とを混合し、これによってセルロース供給源を第一の溶液中に懸濁させ;第一段階の懸濁液を溶液分離し;第二段階において、溶液分離した塊と、弱酸と水との第二の溶液とを混合し、これによって塊を第二の溶液中に懸濁させ;そして、第二段階の懸濁液を溶液分離することを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2006年9月19日出願の同時係属の米国仮特許出願シリアル番号第60/845,664号の利益を請求する。
【0002】
セルロースエステルの製造は、たとえばKirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、100〜105頁(1979)に開示されている。
【0003】
従来、セルロースエステル類、特に酢酸セルロース(即ち、アセトン溶解性酢酸セルロース)の商業生産は、「アセテートグレード」パルプと一般に言われる高級セルロースパルプで始まった。これらの「アセテートグレード」パルプは通常>95%がα-セルロースであり、約1〜3%がヘミセルロースである。しかしながらこれらのパルプは値段が上昇してきており、製造プロセスでの出発材料としてパルプの代替源が調査されている。
【0004】
もっと低いグレードのパルプは公知である。これらとしては、「ビスコースグレード」パルプ(88〜95%α-セルロース及び約5〜12%ヘミセルロース)と「紙/毛羽グレード」パルプ(約80〜88%α-セルロース及び約12〜20%ヘミセルロース)が挙げられる。これらの低グレードパルプを使用してセルロースエステルを製造することができるが、エステル品質は「アセテートグレード」パルプから製造したものと同じではない。従って、より低いグレードのパルプから製造したエステルをアセテートグレードパルプから製造したエステルと同じ水準にするためには、追加の処理が必要である。これらの追加の処理によってエステル製造コストが上昇する。
【0005】
従って、加工処理のための追加の費用がより安価な原材料と釣り合う、低グレードパルプからセルロースエステルを製造するプロセスに対する需要がある。
【0006】
種々の前処理プロセスが公知である。たとえば、二段階前処理プロセスは、米国特許第1,916,273号;同第2,140,639号;同第2,478,425号;同第2,603,634号;同第2,603,636号;同第2,603,638号及び同第2,838,488号に記載されている。米国特許第2,603,634号;同第2,603,636号及び同第2,603,638号では、前処理プロセスは、通常、セルロースを調整して、その水分量を2〜10重量部/セルロース100重量部にする;低級脂肪酸20〜100部/セルロース100部を好ましくは水3〜20部/セルロース100部と共に前記調整済みセルロースに添加する;次いで低級脂肪酸35〜300部とエステル化触媒3〜15部/セルロース100部を前記調整済みセルロースにさらに添加することを含む。その後、この前処理したセルロースをエステル化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第1,916,273号
【特許文献2】米国特許第2,140,639号
【特許文献3】米国特許第2,478,425号
【特許文献4】米国特許第2,603,634号
【特許文献5】米国特許第2,603,636号
【特許文献6】米国特許第2,603,638号
【特許文献7】米国特許第2,838,488号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、100〜105頁(1979)
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明を説明する目的のために、現在好ましい構造を図面に示す。しかしながら、本発明は示されている詳細な配置及び手段に限定されないことは理解すべきである。
【図1】図1は、セルロースエステルを製造するプロセスの略図である。
【図2】図2は、本明細書中に記載の前処理プロセスの一態様の略図である。
【発明の概要】
【0010】
セルロースエステルポリマーの製造法は、セルロース供給源を前処理する工程;前処理したセルロース供給源をエステル化してセルロースエステルを形成する工程;及び場合により前記セルロースエステルを加水分解する工程を含む。この前処理工程は、第一段階において、セルロース供給源と、弱酸と水との第一の溶液と混合し、これによってセルロース供給源を第一の溶液中に懸濁させ;第一段階の懸濁液を溶液分離(de-liquefy)し;第二段階において、溶液分離した塊(mass)と、弱酸と水との第二の溶液と混合し、これによって塊を第二の溶液中に懸濁させ;そして第二段階の懸濁液を溶液分離することをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同じような番号は同じような部材を示す図面を参照して、図1にはセルロースエステルを製造するためのプロセス100の略図が示されている。このプロセス100は、原材料10をセルロースエステルポリマー90に転換するための、前処理工程20とエステル化工程40と、任意選択の加水分解工程60と、後処理工程80を含む。上記の工程それぞれについて、以下詳細に記載する。
【0012】
このプロセスは、任意のセルロースエステルを製造するのに使用することができる。セルロースエステルとしては、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース(たとえば2〜3の置換度(degree of substitution:DS)であり、通常、酢酸セルロースとして公知)、DS2の酢酸セルロース、蟻酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロースなどが挙げられるが、これらに限定されない。本プロセスは任意のセルロースエステルを製造するのに使用することができるが、本発明の以下の議論を簡単に言えば、本プロセスは、一態様、即ち酢酸セルロースの製造プロセスについて説明するものとする。
【0013】
原材料10は、プロセス100で使用されるセルロース供給源を指す。このセルロース供給源としては、任意のグレードのウッドパルプ若しくはコットンリンター若しくは再生セルロースまたはその組み合わせを含むことができる。そのようなウッドパルプとしては、アセテートグレードパルプ(>95%α-セルロースと約1〜3%ヘミセルロース);ビスコースグレードパルプ(88〜95%α-セルロースと約5〜12%ヘミセルロース);及び紙/毛羽(fluff)グレードパルプ(約80〜88%α-セルロースと約12〜20%ヘミセルロース)が挙げられる。当業者は他のグレードのパルプ、即ち、上記のグレードの間のものも存在し、本明細書中に含まれることを理解するだろう。任意のグレードのパルプを本プロセスで使用することができるが、殆どの態様では非アセテートグレードパルプ、たとえばアセテートグレードパルプより下のパルプグレード、たとえばビスコースグレードパルプ及び紙/毛羽グレードパルプを使用することができる。さらに、パルプは、硬材、軟材、またはその組み合わせから供給することができる。パルプはシート、ロール、ベール(梱)、断片、チップまたは毛羽を含む任意の出発形状であってもよい。一態様において、パルプはその出発形状に軽微な物理的変化を加えるだけで使用することができる。別の態様では、パルプは容易に湿潤し得るサイズに小さくしてから、このプロセスに導入する。粉砕度(degree of size reduction)は使用する装置次第であり、当業者には公知である。
【0014】
前処理工程20は、パルプ、通常、粉砕したパルプを、セルロースエステルポリマー90を形成するための続く反応用に準備する工程である。図2を参照されたい。通常、前処理工程20は、第一の湿潤段階26、続く溶液分離28、続いて第二の湿潤段階36、続く溶液分離38を含むことができる。これらの段階はそれぞれ、以下詳細に記載する。
【0015】
パルプ22を、第一段階26で、水と弱酸との第一の溶液24で湿潤させる。パルプと水/弱酸溶液の懸濁液のコンシステンシー(consistency)は、懸濁液の総重量をベースとしてパルプ1〜18重量%であり、一態様では、コンシステンシーは2〜4重量%の範囲内であり得る。弱酸は水が過剰量であってもよい。一態様では、溶液は弱酸80〜95重量%と水5〜20重量%を含むことができ、別の態様では水は弱酸/水水溶液の5〜10重量%を構成することができる。一態様では、弱酸はカルボン酸であってもよい。カルボン酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びその組み合わせの群から選択することができる。別の態様では、弱酸は酢酸であってもよい。パルプは5〜240分にわたる時間、懸濁液に保持することができ、一態様ではこの時間は5〜90分間であってもよい。パルプは0〜90℃の範囲の温度でこの懸濁液中に保持することができ、一態様では、温度は10〜50℃の範囲であってもよい。
【0016】
前処理の第一段階26の後、懸濁液を溶液分離28する。この溶液分離した塊は固体20〜90重量%のコンシステンシーを有することができ、一態様では、溶液分離した塊は固体20〜50重量%のコンシステンシーを有する。この塊は任意の慣用法で溶液分離することができる。そのような慣用の溶液分離装置としては、遠心分離、プレス、ふるい、フィルター、乾燥機などが挙げられる。一態様において、この塊は遠心分離により溶液分離することができる。除去した液体は、たとえばリサイクル29されて、第一の段階26に戻すことができる。さらにリサイクルされた液体は、制御下で回収されて、第一の溶液の組成制御を維持する。
【0017】
溶液分離した塊30は、第二段階36で、弱酸と水との第二の溶液32で再湿潤される。一態様において、第二の溶液中の弱酸の量は第一の溶液中の弱酸の量より多くてもよい。パルプと水/弱酸溶液の懸濁液のコンシステンシーは、懸濁液の総重量をベースとしてパルプ1〜18重量%の範囲であってもよく、一態様ではコンシステンシーは2〜4重量%の範囲であってもよい。弱酸は水が過剰量であってもよい。一態様では、溶液は弱酸80〜95重量%と水5〜20重量%を含んでもよく、別の態様では、水は弱酸/水水溶液の<1〜5重量%を構成してもよい。一態様において、弱酸はカルボン酸であってもよい。カルボン酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びその組み合わせの群から選択することができる。別の態様において、弱酸は酢酸であってもよい。パルプは、5〜240分にわたる時間、この懸濁液中に保持することができ、一態様において、この時間は5〜90分であってもよい。パルプは0〜90℃の範囲の温度で懸濁液中に保持することができ、一態様において、温度は10〜50℃の範囲であってもよい。
【0018】
場合により、エステル化工程に関し以下詳細に記載する、強酸触媒の一部34を前処理の第二段階36に添加することができる。エステル化工程からの強酸触媒を前処理工程で加えると、エステル化工程で添加する強酸触媒の量は、比例して減らしてもよい。
【0019】
前処理の第二段階36の後、懸濁液を溶液分離38する。この溶液分離した塊は固体20〜90重量%のコンシステンシーを有していてもよい。一態様において、溶液分離した塊は固体20〜50重量%のコンシステンシーを有する。この塊は任意の慣用法で溶液分離することができる。そのような慣用の溶液分離装置としては、遠心分離、プレス、ふるい、フィルター、乾燥機などが挙げられる。一態様において、この塊は遠心分離により溶液分離することができる。除去した液体は、リサイクル39されて、たとえば第一段階26または第二段階36またはその両方に戻すことができる。さらにリサイクルされた液体は、必要により制御下で回収されて、第一または第二の溶液の組成制御を維持する。
【0020】
エステル化工程40は、任意の慣用法で実施することができ、バッチまたは連続プロセスで実施することができる。エステル化は、セルロースポリマーのヒドロキシル基が所望のエステル部分と置き換わるプロセスである。化学的には、エステル化反応では、パルプを最初にエステル部分の供給源(たとえば好適な無水物)と強酸触媒と一緒に弱酸中で懸濁させる。強酸触媒は、硫酸、過塩素酸、置換硫酸(たとえばメタンスルホン酸)、または当業者に公知の他のものの群から選択することができる。反応は、ヒドロキシル基の全て(または実質的に全て)がエステル部分に置き換わるまで推進する。セルロースエステルが酢酸セルロースであるとき、ヒドロキシル基はアセテート部分(たとえば無水酢酸から供給される)と置き換わり、このエステル化はアセチル化という。エステル化は、減圧または大気圧下、温度範囲35〜100℃で、<20重量%の強酸触媒(前処理とエステル化段階に添加された全触媒を含む、絶乾(bone dry)セルロースをベースとする重量%)を使用して実施することができる。一態様において、強酸は<7重量%で配合する。
【0021】
アセチル化は任意の方法で実施することができる。一態様において、酢酸セルロースを製造する従来法は、強い発熱反応中バッチの温度を制御することができるよう、無機強酸触媒、酢酸の一部と無水酢酸の全てを冷却し、次いで周囲温度のパルプ/酢酸懸濁液に添加する。別の態様では、高温アセチル化(high temperature acetylation:HTA)を使用することができる。HTAプロセスは公知であり、本明細書中、そのそれぞれが参照として含まれる米国特許第2,923,706号;同第4,439,605号及び欧州特許第626,391号に開示されている。通常、HTAプロセスは50〜100℃の温度で実施される。
【0022】
任意選択の加水分解工程60は、任意の慣用法で実施することができ、バッチプロセスまたは連続プロセスであってもよい。加水分解(または熟成:ripening)は、過剰量のエステル部分がセルロース鎖から除去されて、ヒドロキシル基で置き換わることをいう。たとえばセルロースポリマーがアセチル化されると、得られた生成物は三酢酸セルロース(DS=3)という。三酢酸セルロースポリマーは多くの用途をもつが、アセトンに容易に溶解しないので、特定の市販のフィラメントに紡糸することができない。これをアセトン溶解性にして他の望ましい特性を得るために、アセテート部分を幾らかヒドロキシル基で置き換えなければならない。それゆえ、加水分解は、三酢酸セルロースが、たとえばアセトン(DS<3または2.3〜2.6)に溶解性となるまで実施する。
【0023】
加水分解工程60は、任意の慣用法で実施することができる。一態様において、加水分解は、強酸触媒の存在下、50〜100℃で実施することができる。別の態様では、高温熟成(high temperature ripening:HTR)を使用することができる。HTRプロセスは公知であり、本明細書中、そのそれぞれが参照として含まれる米国特許第3,767,642号;同第4,439,605号及び欧州特許第626,391号に開示されている。通常、HTRプロセスは、100〜170℃の温度で、強酸触媒の部分または完全中和後に実施する。
【0024】
加水分解後、必要により、ポリマーの塊を70〜110℃の範囲の温度に冷却することができる。一態様において、冷却は減圧または大気圧下でフラッシュ冷却によって実施する。たとえば本明細書中、参照として含まれる米国特許第4,504,355号を参照されたい。
【0025】
任意選択の後処理工程80は任意の慣用法で実施することができ、バッチプロセスまたは連続プロセスであってもよい。通常、後処理工程80としては、以下の慣用の工程:反応塊からセルロースエステルを沈殿させる;沈殿したセルロースエステルを洗浄する;洗浄したセルロースエステルを乾燥する;及び乾燥したセルロースエステルを漂白する、のいずれか一つまたはその組み合わせを含むことができる。これらの工程のそれぞれは慣用法である。漂白は、沈殿したセルロースエステルポリマーを過酸化水素または他の酸化剤と接触させることにより実施することができる。漂白剤の量及び(単数または複数回の)接触点は、所望の結果を得るのに必要に応じて変動させることができる。
【0026】
上記の発明は、以下の非限定的な実施例により詳細に説明される。セルロースエステル(即ち、これらの実施例では酢酸セルロース)の品質は、その閉塞値(plugging value)及び溶液デルタヘイズ(delta haze)により表される。
【実施例】
【0027】
閉塞値は、市販の繊維性フィルター媒体(20cfm/ft2 Frazier透過性)を、媒体が不溶性または部分的に溶解性の物質により詰まるまでに通過する、200psigにおけるアセトン/水溶媒(たとえば95重量%アセトン/5重量%水溶媒中の9重量%ポリマー)に溶解させたポリマーの状態の酢酸セルロースの量を測定することにより得られる。フィルターを閉塞させる物質は不都合であり、低い閉塞値により表される(20〜30g/cm2を超える値が好ましい)。
【0028】
溶液ヘイズは、溶液を2500rpmで10分間遠心分離する前後の測定結果(たとえばアセトン95重量%/水5重量%溶媒中に溶解したポリマー3重量/容積%)をベースとする。不溶性及び部分的に可溶性の物質は不都合であり、溶液ヘイズを導く。デルタヘイズは、二つのヘイズ測定結果間の差である(たとえば、光学セルを通して光透過により測定)。通常、デルタヘイズ値は、エステル閉塞値と相関する(4〜5より下のデルタヘイズ値が好ましい)。
【0029】
【表1】

本発明は、本発明の趣旨及び特性から逸脱することなく別の形態で具現化することができる。従って、本発明の範囲が示されているものとして、上記明細書よりも付記請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースエステルポリマーの製造法であって、
(1)第一段階において、セルロース供給源と、弱酸と水との第一の溶液とを混合し、これによってセルロース供給源を第一の溶液中に懸濁させ、
第一段階の懸濁液を溶液分離(de-liquefy)し、
第二段階において、溶液分離した塊と、弱酸と水との第二の溶液とを混合し、これによって塊を第二の溶液中に懸濁させ、そして
第二段階の懸濁液を溶液分離することによって、
セルロース供給源を前処理する工程と、
(2)前処理したセルロース供給源をエステル化して、セルロースエステルを形成する工程とを含む前記方法。
【請求項2】
セルロースエステルを加水分解する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一の溶液が過剰量の水中に弱酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第二の溶液が第一の溶液よりも多くの弱酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
セルロース供給源が、アセテートグレードパルプ、ビスコースグレードパルプ、紙/毛羽グレードパルプ、コットンリンター、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第一に記載した溶液分離が遠心分離により実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第二に記載した溶液分離が遠心分離により実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第二の溶液がさらに強酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
強酸が硫酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第一段階の懸濁液が1〜18重量%の固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第二段階の懸濁液が1〜18重量%の固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第二段階の懸濁液が溶液分離されて、固体20重量%を超える塊になる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
セルロース供給源が、シート、ロール、ベール(梱)、断片、チップ、毛羽、コットンリンター及びその組み合わせからなる群から選択される形態である、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
第一の溶液分離段階からの液体を第一段階に戻して再利用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第二の溶液分離段階からの液体を第一段階か、または第二段階か、またはその両方の段階に戻して再利用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
組成を制御する目的のために再利用した液体を制御回収(controlled withdrawal)することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
組成を制御する目的のために再利用した液体を制御回収することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
エステル化が、減圧または大気圧下、35℃〜100℃の範囲の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
加水分解が、50℃〜170℃の範囲の温度で実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
セルロースエステルドープを70℃〜110℃の範囲の温度まで冷却する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
冷却が、減圧または大気圧下でのセルロースエステルドープのフラッシュ冷却である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
セルロースエステルドープを仕上げる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
セルロースエステルドープの仕上げが、
ドープからセルロースエステルポリマーを沈殿させる工程、
セルロースエステルポリマーを洗浄する工程、及び
セルロースエステルポリマーを乾燥する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
セルロースエステルポリマーを漂白する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
漂白が、セルロースエステルポリマーを過酸化水素または他の酸化剤と接触させる工程を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
連続法である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
バッチによってエステル化と加水分解で連続前処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
セルロースエステルを製造するためのセルロース供給源の前処理プロセスであって、
第一段階において、セルロース供給源を、弱酸と水との第一の溶液と混合して、これによってセルロース供給源を第一の溶液中に懸濁させる工程、ここでセルロース供給源は、アセテートグレードパルプ、ビスコースグレードパルプ、紙/毛羽グレードパルプ、コットンリンター及びその組み合わせからなる群から選択される;
第一段階の懸濁液を溶液分離する工程;
第二段階において、溶液分離した塊と、弱酸と水との第二の溶液とを混合し、これによって塊を第二の溶液中に懸濁させる工程;及び
第二段階の懸濁液を溶液分離する工程を含む前記プロセス。
【請求項29】
第一の溶液が過剰量の水中に弱酸を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第二の溶液が第一の溶液よりも多くの弱酸を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
第一に記載した溶液分離が遠心分離により実施される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
第二に記載した溶液分離が遠心分離により実施される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
第二の溶液がさらに強酸を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
強酸が硫酸である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
第一段階の混合物が1〜18重量%の固体を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
第二段階の混合物が1〜18重量%の固体を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
第二段階の混合物が溶液分離されて、固体20重量%を超える塊になる、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
セルロース供給源が、シート、ロール、ベール(梱)、断片、チップ、毛羽、コットンリンター及びその組み合わせからなる群から選択される形態である、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
第一の溶液分離段階からの液体を第一段階に戻して再利用することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
第二の溶液分離段階からの液体を第一段階か、または第二段階か、またはその両方の段階に戻して再利用する工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
組成を制御する目的のために再利用した液体を制御回収する工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
組成を制御する目的のために再利用した液体を制御回収する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−504376(P2010−504376A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528361(P2009−528361)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/073006
【国際公開番号】WO2008/036452
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(506099834)セラニーズ アセテート,エルエルシー (21)
【Fターム(参考)】