説明

セルロースマトリックスカプセル封入および方法

【課題】再生セルロースにカプセル封入している活性物質、および再生セルロースマトリックス内に活性物質をカプセル封入する方法を提供する。
【解決手段】活性物質は、再生セルロースのマトリックス内に実質的に均一に分布しているのが好ましい。再生セルロースは、(i)再生セルロースが調製された最初のセルロースと実質的に同じ分子量を有し、(ii)出発セルロースと比べて追加された置換基を実質的に含まず、捕捉されたイオン性液体分解生成物も実質的に含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2001年10月3日に出願された仮出願第60/326,704号から優先権を主張された2002年9月27日に出願された出願番号第10/256,521号の一部継続出願である。
【0002】
(技術分野)
本発明は、新規な物質を提供し、且つ分子状の物質、ナノスケールの物質、および肉眼で見える大きさの物質をセルロースマトリックス内に組み込むことによりこれらの新規な物質を調製する新規な方法を提供する。このプロセスは、再生溶液におけるイオン性液体溶媒に溶解されているセルロースを再生することにより、セルロースの骨組みへの活性固体物質のカプセル封入(encapsulation)または固定化を含む。該活性物質は、最初、イオン性液体または再生溶媒中に、溶液としてまたは分散体として存在する。本発明は、分子カプセル封入、および酵素を含むかなり大きい粒子、ナノ粒子および肉眼で見える大きさの成分の捕捉、および広範囲の形態を有するバルク材料の形成に適用できる。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
化学プロセス、生化学プロセスおよび分離プロセスにおける通常の有機溶媒の代わりにイオン性液体を使用できることが実証されている。最初に、Graenacherが、米国特許第1,943,176号において、特に、ピリジンなどの窒素含有塩基の存在下で、液体N−アルキルピリジニウムまたはN−アルキルピリジニウムクロライド塩中でセルロースを加熱することによりセルロース溶液を調製するプロセスを提案した。しかし、その発見は、当時溶融塩系は幾分扱い難い系であったので、新規ではあるが実用的な価値は低いものと見なされたようである。この最初の研究は、イオン性液体が本質的には未知なものであり、溶媒の1種としてのイオン性液体の適用および価値が実感されていない時に行われた。
【0004】
イオン性液体は、現在では、単独でイオン化された化学種を含み、大抵が150℃未満または最も好適には100℃の融点を有する確立された種類の液体である。大抵の場合、イオン性液体(IL)は、1つまたはそれ以上のカチオンを含む有機塩類であり、カチオンは通常アンモニウム、イミダゾリウムまたはピリジニウムイオンであるが、その他多くのタイプのカチオンが知られている。セルロースの溶解に適用されるイオン性液体の範囲は、2001年10月3日に出願された仮出願第60/326,704号から優先権を主張された「Dissolution and Processing of Cellulose Using Ionic Liquids」と題する2002年9月27日に出願された米国特許出願第10/256,521号、およびSwatloskiら、J.Am.Chem.Soc.2002,124:4974−4975で開示されている。
【0005】
銅アンモニウムプロセスおよびキサントゲン酸塩プロセスを含む従来のセルロース溶解プロセスは、しばしば厄介であるかまたはコスト高であり、且つ通常高いイオン強度を有する特別な溶媒を使う必要があり、比較的過酷な条件下で使われる。[Kirk−Othmer「Encyclopedia of Chemical Technology」,Fourth Edition 1993,Volume 5,p.476−563]。この種の溶媒には、二硫化炭素、N−メチルモルホリン−N−オキサイド(NMMNO)、N,N−ジメチルアセトアミドと塩化リチウムとの混合物(DMAC/LiCl)、ジメチルイミダゾロンと塩化リチウムとの混合物、濃縮無機塩水溶液[ZnCl/HO,Ca(SCN)/HO],濃縮鉱酸(HSO/HPO)または溶融塩水和物(LiClO・3HO,NaSCN/KSCN/LiSCN/HO)がある。
【0006】
これら従来のセルロース溶解プロセスは、セルロースのポリマー骨格を破壊し、分子あたり約1500またはそれ以上という元のままのかなり大きな数のグルコース単位ではなく、むしろ分子あたり平均約500から約600までのグルコース単位を含む再生生成物を生じる結果になる。さらに、レイヨン形成に使われるようなプロセスがキサントゲン酸塩中間体を経由して進行し、キサントゲン酸塩基含有セルロースなどに、一部の残留物から導かれた(置換基が結合した)グルコース残留物を残す傾向がある。
【0007】
例えば、米国特許第5,792,399号は、ポリエチレンイミン(PEI)を含む再生セルロースを調製するためにセルロースのN−メチルモルホリン−N−オキサイド(NMMNO)溶液を使用することを開示している。該特許は、分子量を下げる酵素セルラーゼを用いて、溶解前のセルロースに予備処理を実施するべきであることを開示している。さらに、溶解に使われる温度でNMMNOは分解しセルロース溶液から水蒸気蒸留で留去されうる分解生成物としてN−メチルモルホリンが得られることが開示されている。PEIが存在すると、NMMNOの分解が少なくなると言われている。
【0008】
可溶化セルロースを生じることができる他の従来のプロセスでは、置換基を形成することにより可溶化セルロースを作り出す。この置換基は、セルロースに結合されたまま残るように意図されており、例えば、アセテートエステルおよびブチレートエステルのようなセルロースエステル類が調製されるか、またはカルボキシメチル、メチル、エチル、(C〜C)2−ヒドロキシアルキル(ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピル)、または類似の基がセルロースポリマーに加えられている。そのような誘導体(置換基)構成物はまた、通常、セルロース重合化の程度の減少を導き、その結果、得られる生成物が、1分子あたり、それが調製されるもとであるセルロースよりも少ないセロビオース単位を含むことになる。
【0009】
このようにして、Linkoおよび共同研究者は、N−エチルピリジニウムクロライド(NEPC)とジメチルホルムアミドとの混合物に比較的低分子量のセルロース(DP=880)を溶解し、続いて30℃まで冷却し、該溶液への種々の微生物細胞の組み込み、次いで、水と混合することによる固形のセルロースの再生を報告した。[Linkoら、Enzyme Microb. Technol.,1:26−30(1979)]。この研究グループは、NEPCとジメチルスルホキサイドとの混合物に溶解した1%セルロース溶液におけるイースト細胞の捕捉のほか、いくつかの有機溶媒に溶解した7.5から15%までのセルロースジアセテートまたはトリアセテートを用いた捕捉も報告した。[Weckstromら、Food Enginering in Food Processing,Vol.2,Applied Science Publishers Ltd.,p.148−151(1979)]。
【0010】
捕捉された物質には、制御された放出システムをはじめから構造変性剤およびセンサー材料または反応物質など広範囲の多数の用途がある。捕捉された物質は、膜、コーティングまたはカプセルとして処方することができる。カプセル封入生成物を形成する方法としては、乳化重合、界面重合、デソリューション、乳化、ゲル化、スプレー乾燥、真空コーティング、および多孔性粒子への吸着などが周知である。通常使われる物質には、ポリマー、ヒドロコロイド、砂糖、ワックス、脂肪、金属および金属酸化物がある。
【0011】
液体物質の放出を制御するために膜、コーティングおよびカプセルを使用することは、グラフィックアート材料、医薬品、食品の調製、および農薬の処方を含む農業用および非農業用化学物質の両方の分野で周知である。農業では、制御された放出技法により、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、および肥料の効率が改善された。非農業用途には、カプセル封入染料、インク、医薬品、香味料、および香料がある。
【0012】
放出を制御された物質の最も普通の形態は、コーティング液滴またはマイクロカプセル、多孔性および非多孔性の両粒子を含むコーティング固体、および固体粒子のコーティング集合体である。いくつかの例では、カプセルが水と接触するとカプセル封入物質を放出する水溶性カプセル封入フィルムが望ましい。その他のコーティングは、カプセルが外力により破壊される時に捕捉物質を放出するようにデザインされている。さらに、別のコーティングは、多孔性で、気孔を通ってゆっくりと拡散して周囲の媒体に捕捉物質を放出する。
【0013】
乳化性濃縮液としてまたは油状剤としての物質が処方されている乳化性濃縮液の場合、界面活性剤が混合されている有機溶媒中にこれらの物質を溶解する。固形物としては、殺虫剤が微粉状鉱物または珪藻土に吸着されている可溶性粉末として、ダストまたは顆粒として処方されている。
【0014】
しかし、これら従来の処方には、エマルジョン中の有機溶媒または可溶性粉末から生じるダストに起因する環境の汚染などの種々の問題がある。さらに、長期残留効果のあるこれらの処方の場合、普通の適用の場合よりもはるかに多量の物質が必要であり、これが環境に影響を及ぼすか、あるいは安全の問題を生じることになる。活性殺虫成分をカプセル封入するその他従来のマイクロカプセルは、界面重合反応により得られるが、生産プロセスに関して理想的ではないか、または安定した有効な殺虫剤として理想的ではない。
【0015】
したがって、長期に亘り高度の効力を維持することができるような処方が強く求められている。このような背景を考慮して、乳化濃縮物、界面重合した粉末、または可溶性粉末を効果的に代替することができ、より安全に使用することができる、優れたマイクロカプセル封入した処方を開発するために、現在、研究開発が活発に行われている。
【0016】
固体支持体における酵素捕捉は、酵素変換における安定性および分離性を改善するための確立された技法である。固体支持体における酵素捕捉は、pHおよび温度に対する安定性を改善し、反応混合物から酵素の分離を促し、センサー用の酵素電極の形成をも助長する結果になる。
【0017】
酵素の固定化に利用できる4つの主要な方法がある。即ち、吸着、共有結合、捕捉、および膜による拘束である。固定化する普通の方法は、アルカリ性条件下でセルロースビードを臭化シアノゲンと反応させる多糖類活性化を用いる方法である。その際生じた中間体は可溶性酵素と共有結合させる。該酵素の例は、ラクターゼ、ペニシリンアシラーゼ、およびアミノアシラーゼである。
【0018】
ゲルまたは繊維内の酵素の捕捉は、低分子量基質および生成物を含むプロセスにおいて使用する場合、便利な方法である。捕捉は、微生物、動物および植物の各細胞を固定化する場合に選択される方法である。アルギン酸カルシウムが広く使われている。酵素は、ジクロロメタン中で酵素プラス酢酸セルロースのエマルジョンを処方し、次いで、繊維を押し出すことにより酢酸セルロース繊維内に捕捉されうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
捕捉酵素方法は、適用性は広いが、捕捉酵素の調製が技術的に困難であり、コストは中程度以上である。したがって、捕捉酵素を調製する新規な方法が望まれている。
【0020】
以下、ILが可溶性であり、セルロースおよび活性剤にとって非溶媒である再生液体中に活性物質を含むILおよびセルロース溶液の分散および再生によりセルロースマトリックスにカプセル封入された物質の調製について開示する。本発明は、活性剤が捕捉されているビードおよび繊維に適用できることは当業者には明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の概要)
本発明は、セルロースカプセル封入活性物質、および該活性物質がマトリックス全体に分布している再生セルロースマトリックスを形成するために活性物質をカプセル封入する方法について考えている。活性物質は、再生セルロースのマトリックス内に実質的に均一に分布しているのが好ましい。再生セルロースは、(i)調製された該セルロースの元になったセルロースと実質的に同じ分子量、即ち通常約1200の重合度(DP)を有し、(ii)置換基および捕捉されたイオン性液体分解生成物を実質的に含まない。カプセル封入される物質(活性物質)は、好適には均一に分散しているか、または水、有機溶媒または窒素含有塩基を実質的に含まない、可溶化されたセルロースを含む親水性イオン性液体に溶けている。次いで、該セルロースは、セルロースマトリックス中に、好適には均一に分散している固体として改質(再生)される。
【0022】
この方法は、セルロースマトリックス内にカプセル封入することが望まれている多くの固体物質を含む複合物を形成する場合、特に水またはその他の普通の溶媒に溶けない活性剤、例えば、ナノ粒子または肉眼で見える大きさの物質を組み込む場合に利点がある。
【0023】
このプロセスにより形成されたマトリックスは、殻を通って周囲の媒体まで拡散によりカプセル封入された物質をゆっくりと放出することができ、セルロースマトリックス構造の制御された遅い分解により、またはマトリックス内から活性物質の遅い溶解により水などの液状媒体中で膨張することができる。
【0024】
カプセル封入に適した物質には、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、動物忌避剤、昆虫忌避剤、小鳥忌避剤、植物成長調節因子、肥料、香味料および臭気組成物、触媒、光活性剤、指示薬、染料および紫外線吸収剤などの化学的および生物学的薬剤がある。
【0025】
カプセル封入複合物の最終形態は、該物質の再生プロセスおよび望ましい用途に依存する。例えば、高表面積のビード、円柱または塊状物は、ろ過または分離用に製造され得、一方、薄いフィルムは膜およびセンサー用に調製され得る。
【0026】
固体支持体上に生体分子を捕捉する方法は、特に酵素および全細胞のpHおよび温度に対する安定性を改良する確立された技法である。セルロース支持体内に生体分子を捕捉すると、センサーおよび検出手段のための新規な物質を生じさせることができる。
【0027】
肉眼で見える大きさの磁鉄鉱粒子をセルロース内に組み込むと、磁気的に変性した物質を調製することができる。これらの物質は、タンパク質の磁気流動層抽出プロセスおよび金属抽出または検出において多くの用途がある。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1)
再生セルロースにカプセル封入された活性物質を形成するための方法であって、該方法は、
(a)溶融親水性イオン性液体溶媒に溶解されるかまたは実質的に均一に分散されている活性物質と共に、該溶媒に溶解されたセルロースの組成物を提供する工程であって、該溶液は水、有機溶媒または窒素含有塩基を実質的に含まず、該イオン性液体はカチオンおよびアニオンからなる、工程;ならびに
(b)該イオン性液体と混和性である該セルロース用の液体非溶媒と該溶液とを混合する工程であって、該活性物質は該非溶媒に実質的に不溶性であり、該混合する工程が再生セルロース固相およびイオン性液相を形成し、これにより、該活性物質がカプセル封入され、かつ形成された再生セルロース固相中に実質的に均一に分散し、該再生セルロースは工程(a)のセルロースと実質的に同じ分子量を有し、かつイオン性液体分解生成物を実質的に含まない工程、
を包含する、方法。
(項目2)
前記イオン性液体は、約150℃未満の温度で溶融している、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記イオン性液体のカチオンは、構造が以下:
【0028】
【化1】

【0029】
からなる群より選択される式に対応し、
式中、RおよびRは、独立して、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルコキシアルキル基であり、R、R、R、R、R、RおよびR(R〜R)は、存在する場合、独立して、ヒドリド、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシアルキル基またはC〜Cアルコキシ基であり、そして該イオン性液体のアニオンは、ハロゲン、擬ハロゲンまたはC〜Cカルボン酸塩である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記イオン性液体のアニオンは、ハロゲンイオン、過塩素酸塩、擬ハロゲンイオンまたはC〜Cカルボン酸塩である、項目1に記載の方法。
(項目5)
形成されたセルロース相を収集する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目6)
再生セルロースにカプセル封入された活性物質を形成するための方法であって、該方法は、
(a)溶融親水性イオン性液体溶媒に溶解するかまたは実質的に均一に分散している活性物質と共に、約150℃未満の温度で溶融されている該溶媒に溶解されたセルロースの組成物を提供する工程であって、該溶液は水、有機溶媒または窒素含有塩基を実質的に含まず、該イオン性液体はカチオンおよびアニオンからなり、該カチオンは、構造が以下:
【0030】
【化2】

【0031】
からなる群より選択される式に対応し、
式中、RおよびRは、独立して、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルコキシアルキル基であり、R、R、R、R、R、RおよびR(R〜R)は、存在する場合、独立して、ヒドリド、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシアルキル基またはC〜Cアルコキシ基であり、該イオン性液体のアニオンは、ハロゲン、擬ハロゲンまたはC〜Cカルボン酸塩であり、そして該イオン性液体のアニオンは、ハロゲン、擬ハロゲンである、工程;
(b)該イオン性液体と混和性である該セルロース用の液体非溶媒と該溶液とを混合する工程であって、該活性物質は、該非溶媒に実質的に不溶性であり、該混合する工程は、再生セルロース固相およびイオン性液相を形成し、これによって、該活性物質がカプセル封入され、かつ形成された再生セルロース固相中に実質的に均一に分散し、該再生セルロースは、該工程(a)のセルロースと実質的に同じ分子量を有し、かつイオン性液体分解生成物を実質的に含まない、工程;ならびに
(c)形成された再生セルロース固相を収集する工程
を包含する、方法。
(項目7)
前記イオン性液体は、約−44℃〜約120℃の温度で溶融される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記イオン性液体と混和性である前記セルロース用の前記液体非溶媒は、水とも混和性である、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記カチオンは、構造が以下:
【0032】
【化3】

【0033】
からなる群より選択される式に対応し、
式中、RおよびRは、独立して、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルコキシアルキル基であり、R、R、R(R〜R)は、独立して、ヒドリド、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシアルキル基またはC〜Cアルコキシ基であり、前記イオン性液体のアニオンは、ハロゲンまたは擬ハロゲンである、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記カチオンは、構造が式A:
【0034】
【化4】

【0035】
に対応するN,N−1,3−ジ−(C〜C)アルキルイミダゾリウムイオンである、
項目9に記載の方法。
(項目11)
前記N,N−1,3−ジ−(C〜C)アルキル基の1つは、メチルである、項目10に記載の方法。
(項目12)
はC〜Cアルキルである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記R〜R基は、各々ヒドリドである、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記カチオンは、構造が式B:
【0036】
【化5】

【0037】
に対応する、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記アニオンが、塩素イオンである、項目9に記載の方法。
(項目16)
前記セルロースは、最初に、約10〜約25重量%の量で前記溶液中に存在する、項目6に記載の方法。
(項目17)
前記イオン性液体と混和性であり、かつ水にも混和性である前記セルロース用の前記液体非溶媒は、水、アルコールまたはケトンである、項目8に記載の方法。
(項目18)
前記液体非溶媒は、水である、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記混合する工程は、前記セルロース溶液を、金型を通して前記非溶媒中に押出すことによって行われる、項目6に記載の方法。
(項目20)
前記活性物質は、微生物細胞、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、動物または昆虫用の忌避剤、植物成長調節因子、肥料、香気組成物または臭気組成物、触媒、酵素、光活性剤、指示薬、染料、およびUV吸収剤からなる群より選択される、項目6に記載の方法。
(項目21)
前記活性物質は、前記親水性イオン性液体に溶解するかまたは分散される前に、疎水性イオン性液体でコーティングされ、該疎水性イオン性液体は、前記液体非溶媒希釈剤と混和しない、項目6に記載の方法。
(項目22)
前記疎水性イオン性液体は、前記液体非溶媒希釈剤に可溶性ではない、項目21に記載の方法。
(項目23)
再生セルロースにカプセル封入された活性物質であって、該再生セルロースにカプセル封入された活性物質は、再生セルロースのマトリックス内に実質的に均一に分布する活性物質を含み、該再生セルロースは、(i)該再生セルロースが調製される元のセルロースと実質的に同じ分子量を有し、(ii)出発セルロースに対して増加した量の置換基を実質的に含まず、そして(iii)捕捉されたイオン性液体分解生成物を実質的に含まない、
再生セルロースにカプセル封入された活性物質。
(項目24)
活性物質に対するセルロースの重量比は、約1000:1〜約1:2である、項目23に記載の再生セルロースにカプセル封入された活性物質。
(項目25)
前記活性物質は、微生物細胞、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、動物または昆虫用の忌避剤、植物成長調節因子、肥料、香気組成物または臭気組成物、触媒、酵素、光活性剤、指示薬、染料、およびUV吸収剤からなる群より選択される、項目23に記載の再生セルロースにカプセル封入された活性物質。
(項目26)
前記活性物質が、前記再生セルロースマトリックス内で疎水性イオン性液体によりコーティングされている、項目23に記載の再生セルロースにカプセル封入された活性物質。
(項目27)
再生セルロースにカプセル封入された活性物質であって、該再生セルロースにカプセル封入された活性物質は、再生セルロースのマトリックス内に実質的に均一に分布する、疎水性イオン性液体でコーティングされた活性物質を含み、該再生セルロースは、(i)該再生セルロースが調製される元のセルロースと実質的に同じ分子量を有し、(ii)出発セルロースに対して増加した量の置換基を実質的に含まず、そして(iii)捕捉されたイオン性液体分解生成物を実質的に含まない、再生セルロースにカプセル封入された活性物質。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面は、本開示の一部を形成する。
【図1】図1は、CMPO含浸セルロース(丸)、セルロース単独(正方形)および硝酸水溶液からの再生セルロース(ダイヤモンド)に対する241Amの酸濃度の関数としてのD値のグラフである。
【図2】図2は、CMPO含浸セルロース(丸)、セルロース単独(正方形)および硝酸水溶液からの再生セルロース(ダイヤモンド)に対する239Puの酸濃度の関数としてのD値のグラフである。
【図3】図3は、CMPO含浸セルロース(丸)、セルロース単独(正方形)および硝酸水溶液からの再生セルロース(ダイヤモンド)に対する233UOの酸濃度の関数としてのD値のグラフである。
【図4】図4は、セルロース−セルロース空色フィルムのpH6.88(実線)およびpH2.10(点線)における紫外/可視スペクトルである。
【図5】図5は、セルロースフィルム単独(実線)およびウシ血清アルブミン含有セルロースフィルム(BSA;点線)の紫外/可視スペクトルである。
【図6】図6は、セルロースフィルム単独(実線)およびラッカーゼ含有セルロースフィルム(点線)の紫外/可視スペクトルである。
【図7】図7は、セルロースフィルム単独(実線)およびユビキノン含有セルロースフィルム(点線)の紫外/可視スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(発明の詳細な説明)
本発明は、再生セルロースマトリックス全体に実質的に均一に分布した活性物質を提供するために効果的に行われうる、活性物質として本明細書で言及された広範囲の物質をカプセル封入する方法を提供する。この方法は、水、有機溶媒または窒素含有塩基を実質的に含まない、可溶化されたセルロースを含む親水性イオン性液体に分散または溶解し、次いで、活性物質が該マトリックスに分散している固体マトリックスとしてセルロースを再形成することによるカプセル封入を用いる。得られた物質は、再生セルロースマトリックス全体に実質的に均一に分布した活性物質を含んでいる。
【0040】
セルロースマトリックス内に分子スケールの物質、ナノスケールの物質および肉眼で見える大きさの物質を組み込む新規物質を調製する方法を対象とする。セルロースおよび活性物質の両方が不溶性または難溶性、即ち実質的に不溶性である再生溶液内に、活性固体物質を含む親水性イオン性液体(IL)溶液からポリマーマトリックスを再生することにより活性物質をカプセル封入することを意図した方法を対照とする。
【0041】
より詳細に述べると、この方法は、イオン性液体溶液が、水、非イオン性有機溶媒または窒素含有塩基を実質的に含まない、可溶化されたセルロースを含む親水性イオン性液体に溶解または分散したセルロースおよび活性物質を含む均一な組成物を提供する工程を意図している。この組成物は液状非溶媒希釈剤と接触させ、該希釈剤にはセルロースおよび活性物質の両方がほとんど不溶性であり、活性物質をカプセル封入するマトリックスとして液相および再生固体セルロース相を形成し、それによりセルロースにカプセル封入された活性物質を含む複合物質を形成する。残留親水性イオン性液体は、その後除去するのが好ましい。活性物質の例には、水不溶性金属抽出物、水不溶性染料、生体分子、直径約5ミクロン(近似的に球状でなければ最大寸法)の磁鉄鉱粒子の一体化物があり、これはIL溶液に分散することができ、物理学的に懸濁液またはコロイドを形成するか、またはその成分をIL溶媒に溶解することにより、この複合物質を再生する。
【0042】
活性物質は、再生セルロースのマトリックス内に実質的に均一に分布しているのが好ましい。再生固体セルロースは、(i)調製された該セルロースの元になったセルロースと実質的に同じ分子量、即ち通常約1200またはそれ以上の重合度(DP)を有する。該再生セルロースは、(ii)出発セルロースに比べて増量した置換基および捕捉されたイオン性液体分解生成物を実質的に含まない。
【0043】
少量のセルロース加水分解が、想定した溶解および再生の間に起こりうる。しかし、再生後のセルロースの重量平均分子量は、溶解および再生の前のセルロースの該分子量の約90%である。この結果は、溶解させるために出発セルロースをNMMNOの存在下でセルラーゼにより処理する米国特許第5,792,399号の結果に反している。
【0044】
再生セルロースに実質的に含まれていない置換基は、ILに溶解しないセルロースには存在しない置換基である。したがって、例えば、天然セルロースのヒドロキシル基は酸化されてケトン、アルデヒド、またはカルボン酸などのオキソ(C=O結合を有する置換基)基を形成することができ、天然セルロースはかなりの数のこの種の官能基を含むことができる。本明細書で使われた溶解および再生プロセスは、本来存在した量より数%多くこれらの基を形成することはない。米国特許の再生酸化セルロース(ROC)などの高いレベルのオキソ基を含む酸化セルロースが、出発物質として使われる場合は、溶解および再生後の再生セルロースには、これらの工程が行われる前と実質的に同数の官能基(例えば、ROCについて約18〜約24%カルボキシル基)が再度含まれる。
【0045】
再生セルロースに実質的に含まれていない別の置換基は、キサンセート基、(C〜C)2−ヒドロキシアルキル(例えば、2−ヒドロキシエチルおよび2−ヒドロキシプロピル)基、およびセルロースを溶解するためにその他のプロセスで使われるアセチルおよびブチリルのようなカルボキシル基などの置換基である。
【0046】
本明細書で使われる親水性イオン性液体溶液には、水、水またはアルコール混和性有機溶媒または窒素含有塩基が実質的に含まれておらず、可溶化されたセルロースが含まれている。この溶液に含まれていない想定した有機溶媒には、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ヘキサメチルホスホールアミドなどの溶媒、エタノール、メタノール、1−または2−プロパノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの水溶性アルコール、ケトンまたはアルデヒド、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールなどのC〜Cアルキルおよびアルコキシエチレングリコールおよびプロピレングリコールなどがある。
【0047】
親水性イオン性液体のカチオンは、好適には環状であり、構造は以下:
【0048】
【化6】

【0049】
からなる群より選択される化学式に対応し、
式中、RおよびRは、独立して、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルコキシアルキル基、R、R、R、R、R、RおよびR(R〜R)は、存在する場合は、独立して、ヒドリド、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシアルキル基、またはC〜Cアルコキシ基である。より好適には、RおよびR基の両方は、1つがメチル基であるC〜Cアルキルであり、R〜Rは、存在する場合は、ヒドリドであることが好ましい。代表的なC〜Cアルキル基およびC〜Cアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、2−エチルブチル、2−メチルペンチル、などがある。対応するC〜Cアルコキシ基には、カチオン環にも結合している酸素原子に結合した上記C〜Cアルキル基がある。アルコキシアルキル基には、アルキル基に結合したエーテル基があり、全部で6個までの炭素原子が含まれる。
【0050】
1,2,3−トリアゾールには2つの異性体があることに注意する必要がある。カチオン形成に必要ではないすべてのR基がヒドリドであることは好ましい。
【0051】
「存在する場合は」という句は、すべてのカチオンが番号を付けられた基のすべてを有するわけではないので、置換基Rについて本明細書でよく使われる。想定したカチオンのすべてが、ヒドリドであるかもしれない少なくとも4つのR基を含んでいるが、Rはすべてのカチオンで存在する必要はない。
【0052】
「実質的に存在しない」および「実質的に含まない」という句は、例えば、約5重量%未満の水が存在することを意味する同義語として使われている。より好適には、約1%未満の水が組成物中に存在する。窒素含有塩基の存在についても同じ意味がある。
【0053】
想定したイオン性液体カチオンのアニオンは、ハロゲンイオン(フッ素,塩素,臭素,ヨウ素の各イオン)、過塩素酸塩、チオシアネートおよびシアネートなどの擬ハロゲンまたはC〜Cカルボン酸塩である。擬似ハライドは1価であり、ハライドに似た特性を有する[Schriverら、Inorganic Chemistry,W.H.Freman & Co.,New York(1990)406−407]。擬似ハライドには、シアン化物(CN−1)、チオシアネート(SCN−1)、シアネート(OCN−1)、フルミネート(CNO−1)、およびアジド(N−1)アニオンがある。1〜6個の炭素原子を含むカルボン酸塩(C〜Cカルボン酸塩)には、フォーメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ヘキサノエート、マレエート、フマレート、オギザレート、ラクテート、ピルベートなどがある。
【0054】
本明細書で使われることが意図されるイオン性液体は、親水性であり、したがって、トリフルオロメタンスルホネートまたはトリフルオロアセテートアニオンにおけるように炭素原子に共有結合した1つまたはそれ以上のフッ素原子を含む、Koch et al.の米国特許第5,827,602号またはBonhote et al.の米国特許第5,683,832号に記載された疎水性イオン性液体とは異なる。
【0055】
想定した溶媒には、2つまたはそれ以上のイオン性液体の混合物も含まれる。
【0056】
カチオン形成に必要ではないすべてのR基、即ち上に示したイミダゾリウム、ピラゾリウムおよびトリアゾリウムの各カチオンを除く化合物のRおよびR以外のものはヒドリドであることが好ましい。したがって、上に示したカチオンは、下に示した構造に対応する構造を有するのが好ましく、ここでRおよびRは以前に記載した通りである。
【0057】
【化7】

【0058】
その他の環構造と縮合していない単一の5員環を含むカチオンはより好ましい。これらのカチオンを含むイオン性液体を用いたセルロース溶解方法も対象とする。この方法は、混合物を形成するために、水を実質的に含まないこれらの5員環カチオンおよびアニオンを含む親水性イオン性液体とセルロースの混合を含む。該混合物は溶解するまで攪拌する。代表的カチオンは下に示しており、式中、R、R、および存在する場合R〜Rは、以前に規定された通りである。
【0059】
【化8】

【0060】
その他の環構造と縮合していない単一の5員環を含むより好適なカチオンの中で、構造が化学式Aに対応するイミダゾリウムカチオンは特に好ましく、式中、R、R、およびR〜Rは、以前に規定された通りである。
【0061】
【化9】

【0062】
N,N−1,3−ジ−(C〜Cアルキル)置換イミダゾリウムイオンは特に好適なカチオンであり、即ち化学式AのR〜Rが各々ヒドリドであり、RおよびRは、独立して、各々がC〜Cアルキル基またはC〜Cアルコキシアルキル基であるイミダゾリウムカチオンである。1−(C〜Cアルキル)−3−(メチル)−イミダゾリウム[Cmim,ここでn=1−6]カチオンは最も好ましく、ハロゲンは好ましいアニオンである。最も好ましいカチオンは構造が下の化学式Bに対応する化合物により示され、式中、化学式AのR〜Rは各々がヒドリドであり、RはC〜Cアルキル基またはC〜Cアルコキシアルキル基である。
【0063】
【化10】

【0064】
想定したイオン性液体は、約150℃またはそれ未満の温度、および好適には約100℃未満の温度および約−100℃より上の温度で液体である。例えば、N−アルキルイソキノリニウムおよびN−アルキルキノリニウムハライド塩の融点は、約150℃未満である。N−メチルイソキノリニウム塩化物の融点は183℃、N−エチルキノリニウムよう化物の融点は158℃である。より好適には、想定したイオン性液体は約120℃またはそれ未満の温度、およびマイナス44℃(−44℃)より上の温度で液体(溶融している)である。最も好適には、想定したイオン性液体は約−10〜約100℃の温度で液体(溶融している)である。
【0065】
セルロースは、イオン性液体中で高濃度において誘導体化することなく、約100℃に加熱することにより、または超音波浴中で約80℃に加熱することにより、および最も効果的には家庭用マイクロ波オーブンを用いて試料をマイクロ波加熱することにより溶解することができる。マイクロ波加熱器を用いる場合は、親水性イオン性液体およびセルロースの混合物を約100〜約150℃の温度に加熱するのが好ましい。
【0066】
想定したイオン性液体の蒸気圧は非常に低く、通常沸騰する前に分解する。実例として、RおよびRの1つがメチルであるN,N−1,3−ジ−C〜C−アルキルイミダゾリウムイオン含有液体の代表的な液化温度[即ち、融点(MP)およびガラス転移温度(T)]および分解温度を下の表に示す。
【0067】
【表1−1】

【0068】
【表1−2】

【0069】
a)Ngoら、Thermochim.Acta,2000,357,97。
b)Fanninら、J.Phys.Chem.,1984,88,2614。
c)Wilkesら、Chem.Commun.,1992,965。
d)Suarezら、J.Chim.Phys.,1998,95,1626。
e)Holbreyら、J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1999,2133。
f)Bonhoteら、Inorg.Chem.,1996,35,1168。
【0070】
実例として1−アルキル−3−メチル−イミダゾリウムのイオン性液体[Cmim]X[n=4および6,X=Cl,Br,SCN,(PF,(BF]が調製されている。これらのイオン性液体におけるセルロース(Aldrich Chemical Co.から入手した繊維状セルロース)の周辺条件下における溶解を、超音波処理およびマイクロ波加熱により100℃まで加熱して調べた。マイクロ波加熱の使用により溶解は強化される。セルロース溶液は非常に迅速に調製することができるので、エネルギー効率がよく、関連した経済的利益も得られる。
【0071】
水または窒素含有塩基を実質的に含まない溶融親水性イオン性液体溶媒にセルロースを含む溶液が、セルロースマトリックスカプセル封入物質の調製に使われる。それ故に、この種の液体または溶液は、約1%またはそれ未満の水または窒素含有塩基を含んでいる。したがって、溶液が調製される場合、溶液は水または窒素含有塩基が存在しないイオン性液体およびセルロースを混合して調製される。
【0072】
上に記載したように、イオン性液体は上で述べたようなカチオンとアニオンとを含むのが好ましい。より好適な溶液には、親水性液体に溶解されたセルロースが含まれ、該液体のカチオンは、上で述べたように、その他の環構造と縮合していない単一の5員環を含んでいる。想定した溶液は、セルロースアセテートまたはブチレートを形成するためにアシル化などの別の反応をセルロース上で行えるように、または再生のために使用することができる。
【0073】
セルロースは、イオン性液体において高い溶解度を示す。粘性のある、複屈折性液晶溶液は、高濃度、例えば、約10〜約25重量%において得られる。
【0074】
イオン性液体中の想定したセルロース溶液は、該溶液の約5〜約35重量%の量のセルロースを含むことができる。より好適には、セルロースは該溶液の約5〜約25重量%の濃度で存在する。より一層好適には、セルロースは該溶液の約10〜約25重量%の濃度で存在する。
【0075】
溶融組成物中における活性物質に対するセルロースの重量比は、かなり変動しうる。例えば、活性物質に対するセルロースの、重量で、約1000:1〜約1:2の範囲が考えられる。想定される、もっと普通の重量比は、約100;1〜約1:1である。これらの重量比は、再生セルロース製品においても反映される。
【0076】
塩素アニオンを含むイオン性液体は、最も効果的なように思われる。塩素アニオンは必要ではなく、該イオン性液体がチオシアネート、過塩素酸塩、および臭素アニオンを含む場合にも、妥当な溶解度が観察された。テトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスフェートアニオンを含むイオン性液体の場合は溶解しなかった。
【0077】
普通に実行した場合、セルロースはILに溶解して均一溶液または液晶異方性溶液を形成する。次いで、一体化するための物質が媒体中に溶解または分散され(例えば、ナノ粒子または肉眼で見える大きさのビード)、IL溶液に導入される。次いで、セルロースマトリックスが、非溶媒希釈剤を有するIL溶液に接触する再生により形成され、添加剤が随伴されている再生セルロース物質(処理方法により塊状物、フィルム、膜、繊維、モノリスとして)を形成する結果になる。
【0078】
IL溶媒へ成分を添加する順番は、再生およびカプセル封入プロセスにとっては重要ではなく、処理条件下の個々の成分の安定性などのその他の条件に依存する。まず、セルロースを溶解してIL中の溶液を形成し、次いで、活性成分の分散および再生が続く。または、該活性成分をILに分散させ、次いで、セルロースの溶解、および複合物の再生を行うことができる。
【0079】
再生流体または非溶媒希釈剤は、該活性物質およびセルロースが溶けない媒体である。即ち、再生流体はセルロースや活性剤を大量に溶解しないので、両成分は再生流体に実質的に不溶性である。したがって、活性物質およびセルロースは、約5重量%、好適には約1%まで再生流体に独立して可溶性である。イオン性液体は再生流体と混和性であり、IL相が再生流体と接触すると固体セルロースポリマーの再生を誘起し、該ポリマーはマトリックスであり、その中に活性物質がカプセル封入される。
【0080】
セルロースおよび添加剤のイオン性液体溶液の押出しが金型を通ると考えられる場合は、押出しは周知の多数の方式で行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、該溶液が押出される1つまたはそれ以上のオリフィスを含む金型の表面は再生流体の表面の下にある。その他の実施形態では、該溶液は、再生流体と接触する前に、金型のオリフィスから空気、または窒素やアルゴンなどの別のガスの中を通過する。
【0081】
液体非溶媒は水と混和するのが好ましい。代表的な液体非溶媒には、水、メタノールやエタノールなどのアルコール、アセトニトリル、フランやジオキサンなどのエーテル、およびアセトンなどのケトンがある。水の利点は、該プロセスが揮発性有機化合物(VOC)を使用しないことである。再生には、揮発性有機溶媒の使用を必要としない。イオン性液体は乾燥することができ、さもないと液体非溶媒を含まないか、再生後再使用することができる。
【0082】
この方法は、セルロースマトリックスにカプセル封入することが望まれているが、イオン性液体に可溶性でない多くの固体物質、例えば、ナノ粒子または肉眼で見える大きさの物質を含む複合物を形成する場合に利点を有する。
【0083】
本明細書に記載された概念は、添加されるべきIL不溶性化学物質の添加を許し、次いで、セルロースおよび添加剤の両方が不溶性か、わずかに可溶性である非溶媒希釈剤を用いて再生する。最初は粘性のあるIL媒体内に分散しているセルロースマトリックスにおいてナノ粒子と肉眼で見える大きさの粒子とを一体化すると、再生セルロースマトリックス内に実質的に均一な分散体を生じ、ナノ分散した複合物を形成する結果になる。
【0084】
強化された特性および用途を有する含浸添加剤を含む加工された形態のセルロースは、イオン性液体溶液から調製することができる。有用な用途には、膜およびフィルター、燃料電池、分離装置、電解膜、難燃剤、生物致死フィルター、センサー、金属抽出剤、酵素支持体、金属イオンと生体分子とガス分子をろ過・分離および抽出するための抽出剤、膜および抽出処理用磁気粒子、セルロースコーティングの変性剤、生物活性剤(制御された放出・感知・破壊)、金属錯化剤(感知・制御された放出・抽出剤およびフィルターの結合剤と分離剤)、セルロースを着色する水不溶性染料、感知および指示薬、ホトレジスト、光子剤またはUV遮蔽物としてナノ粒子の一体化物、磁気応答ビードの磁気粒子、ろ過および反応性ビード、ナノ粒子触媒、粘土およびその他の難燃剤の分散体、酵素支持体、支持ポリマー電解質、ナノクラスの多孔性物質を製造するための空洞形成柱状物および足場組み材料があるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0085】
(実施例A:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド[Cmim]Clの調製)
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド[Cmim]Clを、1−クロロブタンおよび1−メチルイミダゾール(両方ともウイスコンシン州ミルウォーキーのAldrich Chemical Co.から入手)から文献の方法[Huddlestonら、Green Chem.,2001,3:156]を用いて調製し、室温で無色の無水結晶性固体として分離した。
【0086】
最初のセルロースIL溶液はすべて、米国特許出願番号第10/256,521号または出願番号第60/326,704号で開示された方法に従って調製した。なお、これらの特許出願については前に言及した。マイクロ波パルス法により調製された溶液は、通常、約110〜約130℃にある。活性物質は、通常、IL中のセルロース溶液に約80〜約90℃の溶液温度において添加した。
【0087】
(実施例1:セルロースマトリックス内への疎水性金属抽出物の一体化)
アクチニドコンプレックサント(錯化剤)、カルバモイルメチルホスフィンオキサイド、即ちCMPO(マサチューセッツ州,Newburyport,Strem Chemicals)を、再構成されたセルロースマトリックス内に組み込み、固体により支持された金属抽出物を得た。
【0088】
CMPOをセルロースマトリックス内にカプセル封入した(CMPO−セルロースと呼ばれる)。CMPO(セルロースについて20重量%)を、マイクロ波加熱により調製した約90℃の[Cmim]Clイオン性液体溶液においてセルロース(微結晶性,Aidrich)の10重量%溶液に加えた。イオン性液体溶液中のセルロース全体にCMPOが均一に分布するようにするために激しく攪拌した後、CMPO−セルロースを、800mLの脱イオン水を含む1Lのビーカーに移す(注入により)ことにより再構成した。ビーカーの内容物は急速攪拌し、イオン性液体を完全に除去するために水を3度新しくした。得られた物質は塊状物に似ており、吸引ろ過により分離した。
【0089】
CMPOなしで同じ手順を用いてイオン性液体溶液から調製し再構成した微結晶性セルロースのスタンダード、および受け入れたものをそのまま用いた未処理微結晶性セルロースは、吸収測定のブランクとして用いた。
【0090】
再構成セルロース性マトリックスに抽出物が存在することは、未処理および再構成の両セルロースブランクの分布に関する酸水溶液からCMPO−セルロース物質へのアクチニド(1MHCl中の241AmCl,1MHNO中の239PuCl,希釈HNO中の233UOCl)放射性トレーサーの高められた分布を観察することにより確認した。測定は、0.001M、0.01M、0.1M、1.0M、および10.0M硝酸溶液中で行った。すべての水溶液は、Barnstead脱イオン装置(アイオワ州Dubuque)を用いて浄化し、18.3メグオーム/cmまで純度を上げた脱イオン水を用いて調製した。
【0091】
セルロース、再構成セルロース、およびCMPO−セルロースの各物質の乾燥重量変換因子は、次のように測定した。既知質量の物質を過剰の水の中、室温で24時間攪拌した。これに次いで、ブフナー漏斗上で10分調整(空気乾燥)し、調整した試料は、予め計量したるつぼに移し、一定質量に到達するまで110℃のオーブンで乾燥した。各重量分析は、三重に行われた。すべての物質は密封された小瓶に貯蔵され、水分を維持するために長期間空気にさらさないようにした。
【0092】
すべての重量分布比は、所望の溶液とセルロース、再生セルロースおよびCMPO−セルロース物質のバッチ接触により放射計で測定した。乾燥重量分布比は、以下式のように規定され、
=[(A−A)/A]×[V/(m×dwcf)]
ここで、Aは接触前の溶液の活動度であり、Aは接触後の溶液の活動度であり、Vは物質が接触する溶液の容積(mL)であり、mはセルロースまたはCMPO−セルロース物質の質量(g)であり、dwcfは水和物質の質量をその乾燥質量に関係付ける重量変換因子である。
【0093】
の試験は次のように行った。放射トレーサーを1.3mLの問題溶液に加えた。この溶液を1分間渦状に攪拌し、放射計による計数(A)を行うために100μLのアリコートを2個採取した。次いで、残りの溶液(V)の1mLを、既知質量の乾燥セルロース、水和再生セルロース、または水和CMPO−セルロース物質(m)に添加し、1分間遠心分離した。次いで、この溶液を約60分間攪拌した(セルロース物質が溶液中に確実に懸濁しないように)。この接触時間は、このシステムが平衡に到達するのに十分であると考えられる。攪拌終了後、水相からセルロース物質が完全に分離するために、これらの試料を2分間遠心分離した。次いで、100μLのアリコート(A)を計数のために採取した。239Puおよび233UOの計数は、標準液体シンチレーション分析を用いて行った。241Amの計数は、標準γ(ガンマ)放射計分析を用いて行った。放射計で二重に測定された分布比は±5%以内で一致した。
【0094】
これらの抽出試験の結果は、図1、2および3に示している。CMPO−セルロースは、広範囲のpH値において硝酸溶液からアクチニドの抽出に成功し、該抽出物はセルロースのみを用いて得られたものより優れていた。
【0095】
(実施例2:別の疎水性金属抽出物としてプロトポルフィリンIXの組み込み)
プロトポルフィリンIX(10mg,CAS 553−12−8;Aldrich Chemical Co,)を、[粘性のある均一な溶液が形成されるまで短いパルスを用いてIL中でセルロースをマイクロ波加熱して調製した]溶融[Cmim]Cl(10g)中のセルロース(Whatmanろ紙,1g)の溶液に粉末として添加し、溶解するまで攪拌し、セルロース(10重量%)および染料(0.1重量%)を含む暗赤色からオレンジ色の粘性溶液を得た。該セルロースは、イオン性液体溶液の薄層をガラスシートにコーティングし、次いで、脱イオン水を含む浴に浸漬することによりフィルムとして再生した。30分間浸漬後、オレンジ色のセルロースフィルムを再生浴から取り出し、15分間空気中で乾燥し、柔らかくてしなやかなフィルムを得た。洗浄水が着色していないことは、プロトポルフィリンIXがフィルムから浸出していないことを示している。
【0096】
該フィルムの紫外/可視スペクトル(透過)は、フィルム内に封入されたプロトポルフィリンIX金属抽出物からの400nmにピークがある特徴的な幅の広い吸収帯があることを示している。
【0097】
(実施例3:染料分子の捕捉による着色したセルロース製品の形成)
非反応性染料ビクトリアブルーB(50mg,CAS 2185−86−6;ニュージャージー州,J.T.Baker Chemical Company)を、[ろ紙と[Cmim]Clのスラリーを時々攪拌しながら120℃で5時間加熱して調製した]溶融[Cmim]Cl(30g)中で予め作られたセルロース溶液(Whatmanろ紙,1.5g)に約80℃で粉末として添加した。得られた組成物を染料が溶解するまで攪拌すると、セルロース(5重量%)および染料(0.15重量%)を含む濃青色の粘性溶液が得られた。該セルロースは、イオン性液体溶液の薄層をガラスシートにコーティングし、次いで、脱イオン水を含む浴に浸漬することによりフィルムとして再生した。1時間浸漬後、青色のセルロースフィルムを再生浴から取り出し、15分間空気中で乾燥し、柔らかくてしなやかなフィルムを得た。水が薄い青色であったことは、低濃度の染料がフィルムから浸出したことを示している。
【0098】
該フィルムの紫外/可視スペクトル(透過)は、フィルム内に封入されたビクトリアブルーB染料からの597nmにピークがある特徴的な幅の広い吸収帯があることを示している。
【0099】
(実施例4:pH感応性セルロースフィルムの形成)
セルロース空色(10mg,CAS 76296−24−7;ミズーリ州セントルイス,Sigma Chemical Co.)、セルロース骨格に共有結合したpH感応性染料分子(Remazol Brilliant Violet 5R)を、溶融[Cmim]Cl(10g)中のセルロース(微結晶性セルロース[9004−34−6],1g;Sigma)の溶液に粉末として添加した。IL溶液中の最初のセルロースは、[Cmim]Cl中におけるセルロース粉末をマイクロ波でパルス加熱し、次いで、添加が起きる約90℃に冷却して形成した。得られた組成物を青い粉末が溶解するまで攪拌すると、セルロース(10重量%)およびセルロース空色(0.1重量%)を含む濃青色の粘性溶液が得られた。
【0100】
該セルロースは、イオン性液体溶液の薄層をガラスシートにコーティングし、次いで、脱イオン水を含む浴に浸漬することによりフィルムとして再生した。20分間浸漬後、青いセルロースフィルムを再生浴から取り出し、15分間空気中で乾燥し、柔らかくてしなやかなフィルムを得た。洗浄水が着色していなかっので、セルロース空色はフィルムから浸出しなかったことを示している。
【0101】
このようにして調製されたセルロース−セルロース空色フィルムのpHに対する感応性を、まず、この膜をpH7の緩衝溶液に浸漬してテストし青いフィルムを得た。次いで、該フィルムをpH2の緩衝溶液に移すと、フィルムの色が青からピンクに変化した。このプロセスを多くの月日にわたり数回繰り返すと同等の結果が得られ、これはセルロース−セルロース空色pH感応フィルムの安定性が長期にわたり継続していることを示している。
【0102】
図4の該フィルムの紫外/可視スペクトル(透過)は、pH感応セルロース−セルロース空色フィルムは、pH6.88では570nmにピークを有する青の吸収帯を有し、pH2.10では550nmにピークを有するピンクの吸収帯を有することを示している。
【0103】
(実施例5:ウシの血清アルブミンのセルロースフィルムへのカプセル封入)
ウシの血清アルブミン(BSA)を、IL中のセルロース繊維を、粘性の均一な溶液が得られるまでマイクロ波パルス加熱して調製した[Cmim]Cl中におけるセルロース(繊維状,Aldrich;5重量%)の溶液に添加した。該混合物を渦状に攪拌し、BSAを分散させた。顕微鏡のスライドにIL溶液をコーティングして薄膜を調製した。該スライドを脱イオン水の浴に浸漬してセルロースを再生した。
【0104】
イオン性液体溶液からの再生セルロースマトリックス、およびタンパク質、ウシの血清アルブミン(BSA)を含むイオン性液体溶液からの再生セルロースマトリックスの紫外/可視スペクトルを測定した。図5においてUV吸収のピークが280nm付近にあることは、セルロースフィルム内にBSAが捕捉されたことを示している。このピークはBSAの溶液相UVスペクトルに特有なものである(λmax=284nm)。
【0105】
(実施例6:ラッカーゼおよび疎水性イオン性液体のセルロースへのカプセル封入)
International Paperから入手したセルロース(重合度約1,000)の溶解試料(0.10g)を5.0gの[bmim]Clに添加し、3−5秒パルスにおいてマイクロ波加熱した。試料を完全に溶解すると、粘性溶液が得られた。酵素の熱により誘起される変性を回避するために、セルロース性マトリックスを室温まで冷却した。
【0106】
別の小瓶に入っている5.0gの[bmim][TfN]に、酵素の保護コーティングとして作用させるために5.0mgのラッカーゼを入れた。次いで、コーティングしたラッカーゼを冷却したILおよびセルロース溶液に添加し、直ぐにフィルムに成形した。該フィルムを純水で3度洗浄し、セルロースを再生し、フィルムから過剰のイオン性液体を除去した。200μLのシリンジアルディジン溶液[20mLのメタノールに溶解した8.2mgのシリンジアルディジン]を加えた5.6mLの50mMのホスフェート緩衝液に一部のフィルムを添加した。該フィルムの紫外/可視スペクトルは、図6に示しているように、280nm付近の吸収ピークにより再生セルロースマトリックス内に酵素が組み込まれていることを示した。溶液中に一晩(約18時間)放置すると無色のフィルムが得られ、捕捉された酵素の活性は、シリンジアルディジンのラッカーゼ触媒酸化を示しているピンク色のフィルムにより確認された。
【0107】
(実施例7:セルロースフィルムマトリックスへのユビキノンのカプセル封入)
ユビキノン(補酵素Q;Sigma Chemical Co.)は、細胞エネルギーを産生するために電子輸送鎖で使われた膜に結合した電子キャリアーであり、ユビキノンをカプセル封入できると、イオン性液体から再生された生物学的に伝導性のセルロースフィルムに導くことができる。Sigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルス)から購入した微結晶性セルロースを、3−5秒のマイクロ波パルスを用いて[Cmim]Cl中に溶解し、粘性混合物を調製する。該混合物を約120−130℃から室温まで冷却し、攪拌しながらユビキノンを添加し、得られた組成物をフィルムに成形する。次いで、該フィルムを水で3度洗浄し、フィルムから過剰のILを除去する。
【0108】
得られたフィルムを2日間乾燥させ、次いで、Varian Cary−3分光光度計で紫外/可視走査(500−250nm)にかけた。カプセル封入された補酵素Qに対応するピークは280nm付近にはっきり目視でき、該ピークは生体分子には存在するが天然には存在しない芳香族部分、即ちIL再生セルロースフィルムに対応する。このスペクトルを図7に示している。
【0109】
(実施例8:磁性セルロース粒子の形成)
セルロース(1g,実質的に均一なWhatmanろ紙)を[Cmim]Cl(20g)中に120℃で6時間加熱して溶解し、5重量%の溶液を形成する。磁鉄鉱粒子(1g,約5ミクロン粉末;Aldrich Chemical Co.)を該溶融溶液に添加し、該溶液を渦状に攪拌して均一に分布させた。
【0110】
次いで、ひし形(lozenge)のセルロースおよび磁鉄鉱複合物を、プラスチックシート(約6×1.5インチ)をイオン性液体混合物のフィルムでコーティングして調製した。該シートを脱イオン水を含む浴に浸漬し、24時間放置し、すべてのILを溶解させて、マトリックスから拡散させた。次いで、該ひし形を洗浄し、蒸留水中に保存した。得られた柔らかくてしなやかなセルロースおよび磁鉄鉱からなるフィルムを空気乾燥し、堅くて脆い黒い固体を得た。
【0111】
光学顕微鏡を用いた目視検査により、磁鉄鉱粒子は分散しているように見えた。該セルロースフィルムは磁気を帯び、永久磁石に引き付けられた。空気乾燥したフィルムの熱重量分析により、100−400℃の間に約50%の質量が失われ、磁鉄鉱はすべてセルロース:磁鉄鉱が1:1の最初の組成物比を保持している再生複合物内に捕捉されていることを確認した。
【0112】
引用された特許、願書および論文の各々は、引用により本明細書に組み込まれている。不定冠詞aまたはanの使用は、1つまたはそれより多いことを含むことを意図している。
【0113】
上で述べたことから、本発明の真の精神および新規な概念の範囲を逸脱することなく多数の修正や変形を行うことができることが認められるであろう。例示された具体的な実施形態については制限する意図はなく、または制限が推測されるべきでないことも明らかである。この開示は、請求項の範囲に入るこの種の修正はすべて添付請求項により保護されるように意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−125864(P2011−125864A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−27888(P2011−27888)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2006−507356(P2006−507356)の分割
【原出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【出願人】(505355265)ザ ユニバーシティ オブ アラバマ (2)
【Fターム(参考)】