説明

センサノードチップおよびセンサノードシステム

【課題】センサノードチップでの消費電力を効果的に削減でき、センサノードの小型化を実現する。
【解決手段】ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOを、互いに異なる閾値電圧を持つ第1のゼロパワー閾値回路部13と第2のゼロパワー閾値回路部14とで閾値処理し、得られた比較結果信号CO1,CO2の時間差を示す傾き信号SBを傾き信号生成部15で生成し、この傾き信号SBに応じて発振部18から出力されたクロック信号のパルス数のカウント値CNTを、無線部22から無線電波で送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットワーク技術に関し、特にセンサノードチップの低電力化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のデータを検知するセンサに通信機能やデータ処理機能を付加して高機能なセンサノードを構成し、さらにこれらセンサノードでネットワークを構築するセンサネットワーク技術の研究が進んでいる。
このセンサネットワーク技術では、センサノードの小型化・軽量化を目的として、データを検知して受信装置へ送信するための回路構成を半導体チップで実現したセンサノードチップが注目されている。
【0003】
このようなセンサノードチップは、物や人などの様々な対象に取り付けられることで、その対象の各種状態を示すデータを検知して、無線信号により受信装置へ送信することができる。このため、受信装置で受信したこれら検知データを、インターネットなどのネットワークを介して収集することで、様々なサービスを実現することができ、いわゆるユビキタスネットワークサービスを実現することができる。例えば、装置に取り付けたセンサノードチップでその振動周波数や加速度を検知するとともに、受信装置でこれら検知データを収集して提供することにより、ネットワークを介して遠隔地で装置の動作状態を把握でき、有用な保守・整備サービスを広い範囲で提供することが可能となる。
【0004】
図30は、従来のセンサノードシステムの構成を示すブロック図である(例えば、特許文献1など参照)。センサノードシステム5は、センサノードチップ50と受信装置60で構成される。センサノードチップ50で検知したデータは無線電波を介して受信装置60に送信される。無線電波は、比較的微弱な無線信号であり、数十cmから数十m離れた距離を通信できる。
【0005】
センサノードチップ50は、センサ素子部51、センサ回路部52、A/D変換部53、CPU54、メモリ部55、無線部56、および電源部57により構成され、電源部57から各ブロックへ電力が供給されている。電源部57は、例えば振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機構や2次電池等で構成されており、長時間の動作が実現可能なように工夫されている。
【0006】
センサ素子部51から得られた差動の電圧信号は、センサ回路52の差動増幅器AMPで増幅された後、後段のA/D変換部53でA/D変換され、CPU54によりメモリ部55へ検知データとして保存される。その後、検知データはCPU54により所定のタイミングでメモリ部55から読み出され、無線部56から無線電波により受信装置60へ送信される。
【0007】
図31は、センサ素子部およびセンサ回路部の構成を示す回路図である。センサ素子部51は、電源電位VDDと接地電位GNDとの間に逆方向で並列接続された2つの振動センサ51A,51Bから構成されている。振動センサ51Aは、外部振動により互いに逆方向に容量値が変化する2つの可変容量素子CP1,CN1の直列接続からなり、振動センサ51Bは、外部振動により互いに逆方向に容量値が変化する2つの可変容量素子CP2,CN2からなる。
【0008】
図32は、振動センサの構成例である。振動センサ51A,51Bは、MEMS(Micro Electro Mechanical System)プロセスによりシリコンチップ上に構成された微細な櫛歯構造からなり、可動電極51Mと2つの固定電極51P,51Nとを有している。
これら振動センサ51A,51Bにおいて、外部振動で可動電極51Mが振動することにより、固定電極51P,51Nとの距離が変化して、可動電極51Mと固定電極51P,51Nと間の容量CP,CNの大きさが変化する。この際、固定電極51Pと固定電極51Nとの中間に可動電極51Mが配置されているため、これら容量CP,CNは差動的に変化する。
【0009】
したがって、ノードN51を介して固定電極51Pへ電源電位VDDを印加し、ノードN52を介して固定電極51Nへ接地電位GNDを印加した場合、VDDとGNDの中間電位を中心として外部振動に応じて電圧が上下に変化する電圧信号が、可動電極51MのノードN53からセンサ回路52へ出力される。この際、振動センサ51A,51Bは、電源電位VDDと接地電位GNDとの間に逆方向で並列接続されていることから、同一外部振動に対して互いに逆位相の電圧信号がセンサ回路52へ出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−024551号公報
【特許文献2】特許第3899110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来技術では、A/D変換部、CPU、およびメモリ部を搭載しているため、これら回路部での消費電力が大きく、センサノードチップ全体の消費電力を効果的に削減できないという問題点があった。また、上記消費電力を確保するために電源部の発電量を大きくするには発電機構の体積を大きくする必要があり、センサノードチップの小型化が制約されるという問題点があった。
【0012】
その結果、小さな物や人などの対象にセンサノードチップを取り付ける際、センサノードチップの大きさによって取付位置が制約されるため、センサノードシステムの導入を妨げる要因となる。また、このような制約に応じてセンサノードチップの取付位置を変更した場合には、対象の状態を示す所望の検知データを正確に取得することができない場合も考えられる。したがって、センサノードシステムを用いたユビキタスネットワークサービスで、有用なサービスを容易に提供することができない場合もある。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、センサノードチップでの消費電力を効果的に削減でき、センサノードの小型化を実現できるセンサノードチップおよびセンサノードシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明にかかるセンサノードチップは、センサにより外部状態変化を検知し、その検知結果を無線電波で送信するセンサノードチップであって、外部状態変化に応じて容量値が変化する可変容量素子を有し、この可変容量素子の容量変化に応じた検知信号を出力するセンサ素子部と、センサ素子部からの検知信号の変化に応じて固定容量素子を徐々に充電し、当該充電電圧に応じたセンサ出力電圧を出力するセンサ回路部と、センサ回路部からのセンサ出力電圧を第1の閾値電圧と比較し、その比較結果を示す第1の比較結果信号を出力する第1の閾値回路部と、センサ回路部からのセンサ出力電圧を第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧と比較し、その比較結果を示す第2の比較結果信号を出力する第2の閾値回路部と、第1の閾値回路部からの第1の比較結果信号および2の閾値回路部からの第2の比較結果信号に基づいて、センサ回路部からのセンサ出力電圧が第2の閾値電圧から第1の閾値電圧まで変化する期間を示す傾き信号を出力する傾き信号生成部と、傾き信号生成部からの傾き信号に応じて、電源部から出力されるクロック発振動作用電力の供給を制御する発振制御部と、発振制御部の制御に基づき供給されたクロック発振動作用電力に応じてクロック発振動作を行うことにより、クロック信号を発振して出力する発振部と、発振部から出力されたクロック信号のパルス数をカウントして出力するカウンタと、第1の閾値回路部からの第1の比較結果信号または第2の閾値回路部からの第2の比較結果信号に応じて、電源部から出力される無線送信動作用電力を供給を制御する送信制御部と、送信制御部の制御に基づき供給された無線送信動作用電力に応じて無線送信動作を行うことにより、カウンタから出力されたカウント値を無線電波で送信する無線部とを備えている。
【0015】
この際、第1の閾値回路部に、センサ回路部からのセンサ出力電圧がゲート端子に入力され、第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第1のトランジスタと、第1のトランジスタのドレイン端子と第1の共通電位とは異なる第2の共通電位との間に接続されて、第1のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、第1の比較結果信号として出力する第1の容量素子と、第1のトランジスタのドレイン端子が接続される接続端子と第2の共通電位との間に接続されて、接続端子へ印加される電圧を、電流値が制限された放電電流で第2の共通電位へ放電する第1の電流制限部とを含み、第2の閾値回路部に、センサ回路部からのセンサ出力電圧がゲート端子に入力され、第1の共通電位から一定の電位差を生じる電圧制御部を介して第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第2のトランジスタと、第2のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続されて、第2のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、第2の比較結果信号として出力する第2の容量素子と、第2のトランジスタのドレイン端子が接続される接続端子と第2の共通電位との間に接続されて、接続端子へ印加される電圧を、電流値が制限された放電電流で第2の共通電位へ放電する第2の電流制限部とを含むようにしてもよい。
【0016】
また、電圧制御部を、第1の共通電位と第2のトランジスタのソース端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続された第1導電型からなる第3のトランジスタ、または、第1の共通電位と第2のトランジスタのソース端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続された第1導電型とは異なる第2導電型からなる第4のトランジスタから構成してもよい。
【0017】
また、第1の電流制限部または第2の電流制限部を、接続端子と第2の共通電位との間に接続され、当該トランジスタの閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続された、第1導電型とは異なる第2導電型の第5のトランジスタから構成してもよい。
【0018】
また、第1の電流制限部または第2の電流制限部で、接続端子へ印加される電圧の放電が進むにつれて、当該放電電流を増加させるようにしてもよい。
【0019】
また、第1の電流制限部または第2の電流制限部に、第1の共通電位にソース端子が接続され、接続端子にゲート端子が接続された、第1導電型からなる第6のトランジスタと、接続端子と第2の共通電位との間に接続されて、第6のトランジスタのドレイン端子にゲート端子が接続された、第1導電型とは異なる第2導電型からなる第7のトランジスタとを設けてもよい。
【0020】
また、第1の電流制限部または第2の電流制限部に、第7のトランジスタのゲート端子と第2の共通電位との間に接続されて、接続端子へ印加される電圧に基づいて、第7のトランジスタのゲート端子の電位を、接続端子へ印加される電圧の電圧変化よりも小さい電圧変化に抑制する電圧制御電圧源を含むようにしてもよい。
【0021】
また、電圧制御電圧源に、接続端子と第7のトランジスタのゲート端子との間に接続された第3の容量素子と、第7のトランジスタのゲート端子と第2の共通電位との間に接続された第4の容量素子とを含むようにしてもよい。
【0022】
また、電圧制御電圧源に、第7のトランジスタのゲート端子と第2の共通電位との間に接続され、接続端子にゲート端子が接続された、第2導電型からなる第8のトランジスタを含むようにしてもよい。
【0023】
また、電圧制御電圧源に、第7のトランジスタのゲート端子と第2の共通電位との間に接続された、第2導電型からなる第8のトランジスタと、接続端子と第8のトランジスタのゲート端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続された、第2導電型からなる第9のトランジスタとを含むようにしてもよい。。
【0024】
また、電圧制御電圧源に、第8のトランジスタのゲート端子と第9のトランジスタのソース端子との間に挿入されて、ドレイン端子とゲート端子とが接続された、第2導電型からなる第10のトランジスタとを含むようにしてもよい。
【0025】
また、電圧制御電圧源のうち、第9のトランジスタのドレイン端子が、接続端子に代えて第1の共通電位に接続されているようにしてもよい。
【0026】
また、第1の閾値回路部に、第1の共通電位と第1のトランジスタのソース端子との間に挿入されて、当該第1の閾値回路部の電圧制御電圧源に設けられた第6のトランジスタのドレイン端子にゲート端子が接続された、第2導電型からなる第11のトランジスタを含み、または、第2の閾値回路部に、第1の共通電位と第2のトランジスタのソース端子との間に挿入されて、当該第2の閾値回路部の電圧制御電圧源に設けられた第6のトランジスタのドレイン端子にゲート端子が接続された、第2導電型からなる第12のトランジスタを含むようにしてもよい。
【0027】
また、電圧制御電圧源に、第8のトランジスタのソース端子と第2の共通電位の間に挿入されて、接続端子にゲート端子が接続された、第2導電型からなる第13のトランジスタを含むようにしてもよい。
【0028】
また、第1の閾値回路部に、センサ回路部からの出力電圧がゲート端子に入力され、第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第1のトランジスタと、第1のトランジスタのドレイン端子と第1の共通電位とは異なる第2の共通電位との間に接続されて、第1のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、第1の比較結果信号として出力する第1の容量素子と、第1のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続されて、第1の容量素子の保持電圧を、電流値が制限された放電電流で第2の共通電位へ放電する第1の電流制限部とを含み、第2の閾値回路部に、センサ回路部からの出力電圧がゲート端子に入力され、第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第2のトランジスタと、第2のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続されて、第2のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、第2の比較結果信号として出力する第2の容量素子と、第2のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続されて、第2の容量素子の保持電圧を、第1の電流制限部の放電電流よりも小さい放電電流で第2の共通電位へ放電する第2の電流制限部とを含むようにしてもよい。
【0029】
また、第1の電流制限部に、第1のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続され、第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続された、第1導電型とは異なる第2導電型からなる第14のトランジスタを含み、第2の電流制限部は、第2のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続され、第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続され、第17のトランジスタのゲート幅よりも小さいゲート幅を有する、第2導電型からなる第15のトランジスタを含むようにしてもよい。
【0030】
また、第1の電流制限部に、第1のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続され、第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続された、第1導電型とは異なる第2導電型からなる第16のトランジスタを含み、第2の電流制限部に、第2のトランジスタのドレイン端子と第2の共通電位との間に接続され、第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続され、第17のトランジスタのゲート端子に接続されている固定電位よりも小さい固定電位にゲート端子が接続された、第2導電型からなる第17のトランジスタを含むようにしてもよい。
【0031】
また、第1の電流制限部に、第17のトランジスタのゲート端子と第2の共通電位との間に接続された第5の容量素子を含み、第2の電流制限部に、第18のトランジスタのゲート端子と第2の共通電位との間に接続された第6の容量素子を含むようにしてもよい。
【0032】
また、第1の閾値回路部に、第1のトランジスタのドレイン端子と第1の電流制限部との間に挿入されたトランスファーゲートを含み、第2の閾値回路部に、第2のトランジスタのドレイン端子と第2の電流制限部との間に挿入されたトランスファーゲートを含むようにしてもよい。
【0033】
また、第1の閾値回路部に、第1の共通電位と第1のトランジスタのドレイン端子との間に接続されて、第1の容量素子の保持電圧を第1の共通電位に初期化する第1の初期化スイッチを含み、第2の閾値回路部に、第1の共通電位と第2のトランジスタのドレイン端子との間に接続されて、第2の容量素子の保持電圧を第1の共通電位に初期化する第2の初期化スイッチを含むようにしてもよい。
【0034】
また、発振部を、電流欠乏型電圧制御発振回路から構成し、当該電流欠乏型電圧制御発振回路を構成するインバータによる充放電電流がサブマイクロアンペア以下に設定するようにしてもよい。
【0035】
また、インバータをリング状に接続する接続線のいずれか1つを除く接続線ごとに、当該接続線と任意の共通電位との間にそれぞれ容量素子を接続してもよい。
【0036】
また、本発明にかかるセンサノードシステムは、センサノードチップから送信された無線電波の受信間隔を計測し、当該受信間隔からセンサノードチップに与えられた外部振動の周波数または加速度を示す検知データを算出する受信装置とを備えている。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、消費電力が大きいA/D変換部、CPU、およびメモリ部を搭載することなく、センサノードチップを実現することができる。このため、これら消費電力を確保する必要がなくなり、電源部における発電機構の体積を削減でき、結果としてセンサノードの小型化を実現することが可能となる。
したがって、今までサイズの制約で埋め込むことができなかった物や人の部分にも埋め込むことができる。さらには、センサノードシステムを用いたユビキタスネットワークサービスの範囲を広げることができ、ユーザの利便性を高めたサービスを提供することができ、効果大である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよびセンサノードチップの構成を示すブロック図である。
【図2】センサ素子部およびゼロパワーセンサ回路部の構成例を示す回路図である。
【図3】センサ素子部の構成例である。
【図4】第1のゼロパワー閾値回路および第2のゼロパワー閾値回路の構成例である。
【図5A】電圧制御部の構成例である。
【図5B】電圧制御部の他の構成例である。
【図6A】電流制限部の構成例である。
【図6B】電流制限部の他の構成例である。
【図7】センサノードチップの動作を示す信号波形図である。
【図8】受信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】受信装置で受信したカウント値を示す説明図である。
【図10】第2の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図11】第3の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図12】第4の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図13】第5の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図14】第6の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図15】第7の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図16】第8の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図17】第9の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図18】第10の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図19】第11の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図20】第12の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路および第2のゼロパワー閾値回路の構成例である。
【図21A】第1のゼロパワー閾値回路の電流制限部の構成例である。
【図21B】第2のゼロパワー閾値回路の電流制限部の構成例である。
【図22】第13の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部および第2のゼロパワー閾値回路部の要部を示す構成例である。
【図23】第14の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部および第2のゼロパワー閾値回路部の要部を示す構成例である。
【図24】第15の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部および第2のゼロパワー閾値回路の構成例である。
【図25】第16の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路の構成例である。
【図26】第17の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図27】第18の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【図28】第19の実施の形態にかかる発振部の構成例である。
【図29】第20の実施の形態にかかる発振部の構成例である。
【図30】従来のセンサノードシステムの構成を示すブロック図である。
【図31】センサ素子部およびセンサ回路部の構成を示す回路図である。
【図32】振動センサの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよびセンサノードチップについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよびセンサノードチップの構成を示すブロック図である。
【0040】
このセンサノードシステム1は、1つ以上のセンサノードチップ10と受信装置30とから構成されている。
センサノードチップ10は、全体として、電子回路が形成された半導体チップからなり、物や人などの様々な対象に取り付けられることで、その対象の状態を検知して、無線電波により外部機器へ送信する機能を有している。
この無線電波は、比較的微弱な無線信号であり、数十cmから数十m離れた距離を通信できる。受信装置30は、センサノードチップ10から受信した無線電波により、対象の状態を示すデータを収集し、これらデータを通信ネットワーク(図示せず)で提供する。
【0041】
センサノードチップ10には、主な機能部として、センサ素子部11、ゼロパワーセンサ回路部(センサ回路部)12、第1のゼロパワー閾値回路部(第1の閾値回路部)13、第2のゼロパワー閾値回路部(第2の閾値回路部)14、傾き信号生成部15、電源部16、発振制御部17、発振部18、カウンタ19、遅延部20、送信制御部21、および無線部22が設けられている。
【0042】
センサ素子部11は、全体として、対象の振動や加速度に応じた量の電荷を出力する振動センサなどのセンサ素子からなり、外部状態変化に応じて容量値が変化する可変容量素子を有し、この可変容量素子の容量変化に応じた検知信号BP,BNを出力する機能を有している。本実施の形態では、センサ素子部11が振動センサからなる場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、他の物理量の変化からなる外部状態変化を容量値の変化として検知するセンサであればよい。
ゼロパワーセンサ回路部12は、センサ素子部11で得られた検知信号BP,BNの電荷を固定容量素子で蓄積することにより、対象の振動や加速度に応じた電圧を有するセンサ出力電圧SOを出力する機能を有している。
【0043】
第1のゼロパワー閾値回路部13は、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOを第1の閾値電圧と比較し、その比較結果を示す比較結果信号CO1を出力する機能を有している。
第2のゼロパワー閾値回路部14は、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOを第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧と比較し、その比較結果を示す比較結果信号CO2を出力する機能を有している。
【0044】
傾き信号生成部15は、第1のゼロパワー閾値回路部13からの比較結果信号CO1および第2のゼロパワー閾値回路部14からの比較結果信号CO2を論理回路で処理することにより、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOが第2の閾値電圧から第1の閾値電圧まで変化する期間を示す傾き信号SBを出力する機能を有している。
電源部16は、例えば振動により発電動作を行う発電機構を有し、発振部18でのクロック発振動作に用いるクロック発振動作用電力PCや、無線部22での無線送信動作に用いる無線送信動作用電力PSなど、センサノードチップの各回路部で用いる各種電力を出力する機能を有している。
【0045】
発振制御部17は、傾き信号生成部15からの傾き信号SBに応じて、電源部16から出力されるクロック発振動作用電力PCの、発振部18に対する供給を制御する機能を有している。
発振部18は、発振制御部17の制御に基づき供給されたクロック発振動作用電力PCに応じてクロック発振動作を行うことにより、一定周期のクロック信号CLKを発振して出力する機能を有している。
カウンタ19は、発振部18から出力されたクロック信号CLKのパルス数をカウントし、そのカウント値CNTを出力する機能を有している。
【0046】
遅延部20は、第1のゼロパワー閾値回路部13からの比較結果信号CO1または第2のゼロパワー閾値回路部14からの比較結果信号CO2を、所定の遅延時間だけ遅延させて出力する機能を有している。
送信制御部21は、遅延部20で遅延させた、比較結果信号CO1または比較結果信号CO2に応じて、電源部16から出力される無線送信動作用電力PSの、無線部22に対する供給を制御する機能を有している。
無線部22は、送信制御部21の制御に基づき供給された無線送信動作用電力PSに応じて無線送信動作を行うことにより、カウンタ19から出力されたカウント値CNTを、無線電波で受信装置30へ送信する機能を有している。
【0047】
センサノードチップ10のうち、電力供給を制御する発振制御部17や送信制御部21については、MOSトランジスタで実現してもよく、MEMSスイッチを用いてもよい。MEMSスイッチを用いると、制御回路部の信号変化が緩やかなときでも、スイッチがOFFからONに変化する過渡状態で、リーク電流を生じることがなくなり、さらなる低電力動作が可能である。
また、無線部22において、UWB(Ultra Wide Band)等の高周波パルスそのものを変調して送信する方式を用いてもよく、これにより低電力化無線通信が可能である。無線方式としては、UWBに限定するものではなく、これと同等またはそれ以下の低電力化が可能な無線方式を用いてもよい。
【0048】
[センサ素子部とゼロパワーセンサ回路部]
次に、図2および図3を参照して、センサ素子部11とゼロパワーセンサ回路部12について説明する。図2は、センサ素子部およびゼロパワーセンサ回路部の構成例を示す回路図である。図3は、振動センサの構成例である。
【0049】
センサ素子部11は、図2に示すように、電源電位VDDと接地電位GNDとの間に接続された振動センサ11Aから構成されている。振動センサ11Aは、外部振動により差動的に容量値が変化する2つの可変容量素子CP,CNの直列接続からなる。
振動センサ11Aは、図3に示すように、前述した振動センサ51A,51Bと同様に、MEMS(Micro Electro Mechanical System)プロセスによりシリコンチップ上に構成された微細な櫛歯構造からなり、可動電極11Mと2つの固定電極11P,11Nとを有している。
【0050】
外部振動で可動電極11Mが振動することにより、固定電極11P,11Nとの距離が変化して、可動電極11Mと固定電極11P,11Nと間の容量CP,CNの大きさが変化する。この際、固定電極11Pと固定電極11Nとの中間に可動電極11Mが配置されているため、これら容量CP,CNは差動的に変化する。
本実施の形態では、ノードN3を介して可動電極11Mへ接地電位GNDを印加している。これにより、外部振動に応じて正負に電圧が差動で変化する検知信号が、固定電極11P,11NからノードN1,N2を介してそれぞれ出力される。
【0051】
ゼロパワーセンサ回路部12は、図2に示すように、順方向で直列接続されたダイオードD1〜D3と固定容量素子CSとからなり、これらが電源電位VDDと接地電位GNDとの間に直列接続されている。図2の例では、MOSトランジスタでダイオードを構成しているが、PNダイオードを用いてもよい。
【0052】
ゼロパワーセンサ回路部12において、ダイオードD1(第1のダイオード)のアノード端子は、電源電位VDDに接続され、ダイオードD3(第2のダイオード)のカソード端子は、接地電位に接続され、ダイオードD1のカソード端子とダイオードD3のアノード端子との間にダイオードD2(第3のダイオード)が順方向で直列接続されている。また、ダイオードD3のカソード端子と接地電位GNDとの間に固定容量素子CSが接続されている。
【0053】
また、ゼロパワーセンサ回路部12では、各ダイオード間を接続する接続ノードのうち隣り合う2つの接続ノードごとに、一方の接続ノードが可変容量素子CPのノードN2に接続され、他方の接続ノードが可変容量素子CNのノードN3に接続されている。したがって、センサ素子部11のノードN1は、ダイオードD1とダイオードD2との接続ノードに接続され、センサ素子部11のノードN2は、ダイオードD2とダイオードD3との接続ノードに接続されている。
これにより、センサ素子部11のノードN1,N2から出力された逆位相の2つの検知信号BP,BNによりダイオードD1〜D3が交互に導通制御され、電源電位VDDにより固定容量素子CSが徐々に充電される。
【0054】
一定周波数の外部振動をセンサノードチップ10に与えた場合、この外部振動に応じてセンサ素子部11から出力される検知信号BP,BNの電圧が変化する。この際、1回の振動でセンサ素子部11の可変容量素子CP,CNに充電される電荷は一定であることから、電荷Q=容量C×電圧Vの関係に基づき、容量Cと電圧Vとが反比例する。
【0055】
このため、1回の振動で固定電極11Pと可動電極11Mとの距離が大きくなって可変容量素子CPの容量Cが小さくなると検知信号BPの電圧が高くなり、上記距離が小さくなって可変容量素子CPの容量Cが大きくなると検知信号BPの電圧が低くなる。また、このことは、固定電極11Nと可動電極11Mとから構成される可変容量素子CNと検知信号BNとの関係についても同様である。
ここで、図3に示したように、可変容量素子CP,CNは対象構造をなすことから、検知信号BP,BNは、互いに逆位相の信号となる。
【0056】
一方、ゼロパワーセンサ回路部12のダイオードD1〜D3は、それぞれの両端電圧差がしきい値電圧Vt以上になった時点で導通状態となる。このため、検知信号BPの電圧が電源電位VDDよりVt以上低下した時点でダイオードD1が導通し、検知信号BNの電圧が検知信号BPの電圧よりVt以上低下した時点でダイオードD2が導通し、検知信号BNの電圧が固定容量素子CSの電位すなわちセンサ出力電圧SOよりVt以上上昇した時点でダイオードD3が導通する。
【0057】
したがって、外部振動の繰り返しに応じて、ダイオードD1,D3とダイオードD2とが交互に導通することから、電源電位VDDからの電荷がダイオードD1〜D3を介して固定容量素子CSまで順に伝達されて、固定容量素子CSに充電され、センサ出力電圧SOが徐々に上昇する。
【0058】
この際、センサ出力電圧SOは、検知信号BP,BNの繰り返し回数に依存する。このため、検知信号BP,BNの繰り返し速度、すなわち外部振動の周波数や加速度の大きさに応じて、センサ出力電圧SOが上昇する傾きが変化する。
本実施の形態のセンサノードチップ10では、センサ出力電圧SOが、2つの閾値電圧の間を変化するのに要した時間長を検出し、この時間長に応じた検出データを無線電波で受信装置30へ送信している。
【0059】
[第1のゼロパワー閾値回路および第2のゼロパワー閾値回路]
次に、図4、図5A、図5B、図6A、および図6Bを参照して、第1のゼロパワー閾値回路部13および第2のゼロパワー閾値回路部14について説明する。図4は、第1のゼロパワー閾値回路および第2のゼロパワー閾値回路の構成例である。図5Aは、電圧制御部の構成例である。図5Bは、電圧制御部の他の構成例である。図6Aは、電流制限部の構成例である。図6Bは、電流制限部の他の構成例である。
【0060】
第1のゼロパワー閾値回路部13には、図4に示すように、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOがゲート端子に入力され、電源電位VDD(第1の共通電位)にソース端子が接続された、PMOSトランジスタ(第1のトランジスタ)Q1と、このトランジスタQ1のドレイン端子と接地電位GND(第2の共通電位)との間に接続されて、トランジスタQ1のドレイン端子から出力された電圧を保持し、比較結果信号CO1として出力する容量素子(第1の容量素子)C1と、トランジスタQ1のドレイン端子が接続される接続端子Pと接地電位GNDとの間に接続されて、接続端子Pへ印加される電圧を、電流値が制限された放電電流で接地電位GNDへ放電する電流制限部(第1の電流制限部)CC1とが設けられている。
【0061】
一方、第2のゼロパワー閾値回路部14には、図5に示すように、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOがゲート端子に入力され、電源電位VDDから一定の電位差を生じる電圧制御部VCを介して電源電位VDDにソース端子が接続された、PMOSトランジスタ(第2のトランジスタ)Q2と、このトランジスタQ2のドレイン端子と接地電位GNDとの間に接続されて、トランジスタQ2のドレイン端子から出力された電圧を保持し、比較結果信号CO2として出力する容量素子(第2の容量素子)C2と、トランジスタQ2のドレイン端子が接続される接続端子Pと接地電位GNDとの間に接続されて、接続端子Pへ印加される電圧を、電流値が制限された放電電流で接地電位GNDへ放電する電流制限部(第2の電流制限部)CC2とが設けられている。
【0062】
電圧制御部VCは、図5Aに示すように、電源電位VDDとトランジスタQ2のソース端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続されたPMOSトランジスタ(第3のトランジスタ)Q3から構成されている。また、電圧制御部VCは、図5Bに示すように、電源電位VDDとトランジスタQ2のソース端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続されたNMOSトランジスタ(第4のトランジスタ)Q4で構成してもよい。
【0063】
電流制限部CC1,CC2は、同様の構成をなしており、図6Aに示されているように、接続端子Pと接地電位GNDとの間に接続され、当該トランジスタの閾値電圧以下の固定電位REFがゲート端子に接続された、NMOSトランジスタ(第5のトランジスタ)Q5からなる。この際、図6Bに示すように、接地電位GNDからなる固定電位REFがゲート端子に接続された、NMOSトランジスタ(第5のトランジスタ)Q5を用いてもよい。これにより、トランジスタQ5のソース・ドレイン間電流をサブマイクロアンペア(例えば100nA)以下に制限している。
【0064】
まず、第1のゼロパワー閾値回路部13の動作を説明する。センサノードチップ10の初期化時にセンサ出力電圧SOはLowレベル、すなわち接地電位GNDに制御されて、トランジスタQ1がオン状態となり、トランジスタQ1を介して印加された電源電位VDDが容量素子C1に保持され、比較結果信号CO1の電圧がHighレベル、すなわち電源電位VDDとなる。
【0065】
このような初期化動作の後、センサノードチップ10に対して振動や加速度が加えられた場合、ゼロパワーセンサ回路部12のセンサ出力電圧SOがLowレベルから徐々に上昇するため、トランジスタQ1はオフ状態に近づいてくる。
ここで、電流制限部CC1が流す放電電流を、サブマイクロアンペア程度に設定した場合、トランジスタQ1の閾値電圧をVth1とすると、センサ出力電圧SOがVDD−Vth1付近の電位に到達したところで、トランジスタQ1のソース・ドレイン間電流が電流制限部CC1の放電電流よりも小さくなる。このため、電流制限部CC1を介して、容量素子C1で保持されている比較結果信号CO1の電圧の放電が開始される。
【0066】
これにより、比較結果信号CO1の電圧が低下し、容量素子C1の容量値と電流制限部CC1の放電電流値で決まる放電時間が経過した後、比較結果信号CO1の電圧はLowレベル、すなわち接地電位GNDとなる。
このようにして、第1のゼロパワー閾値回路部13では、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOに対して、VDD−Vthを第1の閾値電圧とした閾値処理の動作が行われ、センサ出力電圧SOがこの第1の閾値電圧に達した場合、比較結果信号CO1がHighレベルからLowレベルへ反転する。
【0067】
従来のように、シュミットトリガ回路などを用いた閾値回路では、入力電圧が電源電位VDDと接地電位GNDとの中間電位に保持された場合、数十マイクロアンペアの貫通電流が流れてしまう。
これに対して、本実施の形態では、容量素子C1に保持された比較結果信号CO1の電圧を、電流制限部CC1によりサブマイクロアンペア以下で行うため、貫通電流を極めて小さく削減することができ、センサノードチップ10全体の消費電力を削減できる。
【0068】
一方、第2のゼロパワー閾値回路部14の動作も、第1のゼロパワー閾値回路部13と同様に、予め初期化動作により、比較結果信号CO2の電圧がHighレベル、すなわち電源電位VDDとなる。この後、センサ出力電圧SOが徐々に上昇して、トランジスタQ2はオフ状態に近づいてくる。
ここで、第2のゼロパワー閾値回路部14には、トランジスタQ2のソース端子と電源電位VDDとの間に電圧制御回路VCが設けられている。これにより、トランジスタQ2がオフ状態となるソース電位、すなわち第2の閾値電圧が、電圧制御回路VCの発生する電圧降下分Vdだけ、トランジスタQ1がオフ状態となるソース電位、すなわち第1の閾値電圧より低く設定される。
【0069】
したがって、電流制限部CC2が流す放電電流を、サブマイクロアンペア程度に設定した場合、センサ出力電圧SOが第2の閾値電圧VDD−Vd−Vth2付近の電位に到達したところで、トランジスタQ2のソース・ドレイン間電流が電流制限部CC2の放電電流よりも小さくなる。このため、電流制限部CC2を介して、容量素子C2で保持されている比較結果信号CO2の電圧の放電が開始される。
【0070】
これにより、比較結果信号CO2の電圧が低下し、容量素子C2の容量値と電流制限部CC2の放電電流値で決まる放電時間が経過した後、比較結果信号CO2の電圧はLowレベル、すなわち接地電位GNDとなる。
このようにして、第2のゼロパワー閾値回路部14では、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOに対して、VDD−Vd−Vthを第2の閾値電圧とした閾値処理の動作が行われ、センサ出力電圧SOがこの第2の閾値電圧に達した場合、比較結果信号CO1がHighレベルからLowレベルへ反転する。
【0071】
従来のように、シュミットトリガ回路などを用いた閾値回路では、入力電圧が電源電位VDDと接地電位GNDとの中間電位に保持された場合、数十マイクロアンペアの貫通電流が流れてしまう。
これに対して、本実施の形態では、容量素子C2に保持された比較結果信号CO2の電圧を、電流制限部CC2によりサブマイクロアンペア以下で行うため、貫通電流を極めて小さく削減することができ、センサノードチップ10全体の消費電力を削減できる。
【0072】
[センサノードチップの動作]
次に、図7を参照して、本実施の形態にかかるセンサノードチップの動作について説明する。図7は、センサノードチップの動作を示す信号波形図である。
第1および第2のゼロパワー閾値回路部13,14を含む、センサノードチップ10の各回路部が、それぞれの初期状態に初期化された後、時刻T0から、センサノードチップ10に対して外部振動が加えられ始めた場合、センサ素子部11から差動の検知信号BP,BNが出力され、ゼロパワーセンサ回路部12の固定容量CSが充電されて、外部振動の大きさに応じた傾きでセンサ出力電圧SOがLowレベルから徐々に上昇する。
【0073】
この後、センサ出力電圧SOは、第1のゼロパワー閾値回路部13の第1の閾値電圧VDD−Vth1よりも先に、第2のゼロパワー閾値回路部14の第2の閾値電圧VDD−Vd−Vth2に達する。このため、時刻T1において、第2のゼロパワー閾値回路部14が先に動作して、比較結果信号CO2の電圧が接地電位GNDとなり、その後の時刻T2において、第1のゼロパワー閾値回路部13が動作して、比較結果信号CO1の電圧が接地電位GNDとなる。
傾き信号生成部15は、比較結果信号CO1,CO2を論理回路で処理することにより、センサ出力電圧SOが、第2の閾値電圧から第1の閾値電圧まで上昇する期間、すなわち継続時間ΔT(=T2−T1)だけ、Hightレベルとなる傾き信号SBを出力する。
【0074】
発振制御部17は、傾き信号生成部15からの傾き信号SBが、Hightレベルとなる期間に合わせて、電源部16から出力されるクロック発振動作用電力PCを、発振部18に対する供給する。
発振部18は、クロック発振動作用電力PCの供給に応じてクロック発振動作を開始し、一定周期のクロック信号CLKを発振して出力する。発振部18としては、参考文献「CMOS CIRCUIT DESIGN, LAYOUT, AND SIMULATION p.384」に記載の電流欠乏型電圧制御発振器(Current-Starved Voltage Controlled Oscillator)を用いると低電力化に効果的である。
【0075】
カウンタ19は、発振部18から出力されたクロック信号CLKのカウント値CNTをカウントして出力する。このカウント値CNTは、傾き信号SBの継続時間ΔTに比例している。ここで、センサ出力電圧SOは、検知信号BP,BNの繰り返し回数に依存する。すなわち、検知信号BP,BNの繰り返し速度で示される外部振動の周波数や加速度が大きいほど、センサ出力電圧SOが上昇する速度も大きくなる。このため、傾き信号SBの継続時間ΔT、すなわちカウント値CNTと、センサノードチップ10に与えられた外部振動の周波数や加速度の大きさとは、逆比例の関係を有している。
【0076】
一方、遅延部20は、第1のゼロパワー閾値回路部13からの比較結果信号CO1を、所定の遅延時間tdだけ遅延させて出力する。無線部22からカウント値CNTを無線送信するタイミングは、継続時間ΔTのカウント動作が終了してカウント結果、すなわちカウント値CNTが確定した後のタイミングとする必要がある。このため、遅延部20では、継続時間ΔTの終わりを示す比較結果信号CO1を、遅延時間tdだけわずかに遅延させることにより、無線送信タイミングを調整している。なお、遅延部20では、比較結果信号CO1に代えて比較結果信号CO2を用いてもよい。また、無線部22における、無線送信動作用電力PSの供給開始から無線送信開始までの遅れ時間が、遅延時間td以上の場合には、遅延部20を省くこともできる。
【0077】
送信制御部21は、遅延部20で遅延させた、比較結果信号CO1または比較結果信号CO2が、HighレベルからLowレベルへ変化したタイミングに合わせて、電源部16から出力される無線送信動作用電力PSを、無線部22に対して供給開始する。
無線部22は、無線送信動作用電力PSに応じて無線送信動作を開始し、カウンタ19から出力されたカウント値CNTを、無線送信信号TXで受信装置30へ無送信する。この後、無線部22は、例えば1ms以下の一定期間だけカウント値CNTを無線送信した後、一般的な無線モジュールが持つ省電力状態へ移行する。
【0078】
図8は、受信装置の構成を示すブロック図である。この受信装置30には、主な機能部として、無線部31、通信部32、メモリ部33、およびCPU34が設けられている。また、CPU34は、処理部として受信処理部34A、検知データ算出部34B、通信制御部34Cが設けられている。
無線部31は、センサノードチップ10から送信された無線電波を受信してカウント値CNTへ復調し、送信元センサノードチップ10の識別情報などの各種情報をCPU34へ出力する。
【0079】
図9は、受信装置で受信したカウント値を示す説明図である。受信処理部34Aは、無線部31からのカウント値CNTを取得してメモリ部33へ保存する。検知データ算出部34Bは、カウント値CNTを演算処理することにより、センサノードチップ10で検出した外部振動の周波数や加速度に応じたデータを検知データとして算出し、メモリ部33へ保存する。このカウント値CNTと外部振動の周波数や加速度とは、前述したように逆比例の関係にある。通信制御部34Cは、定期的あるいは外部装置(図示せず)からの要求に応じて、メモリ部33から検知データを読み出し、LANやインターネットなどの通信ネットワークを介して外部装置へ提供する。
【0080】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ゼロパワーセンサ回路部12からのセンサ出力電圧SOを、互いに異なる閾値電圧を持つ第1のゼロパワー閾値回路部13と第2のゼロパワー閾値回路部14とで閾値処理し、得られた比較結果信号CO1,CO2の時間差を示す傾き信号SBを傾き信号生成部15で生成し、この傾き信号SBに応じて発振部18から出力されたクロック信号のパルス数のカウント値CNTを、無線部22から無線電波で送信している。
これにより、消費電力が大きいA/D変換部、CPU、およびメモリ部を搭載することなく、センサノードチップを実現することができる。このため、これら消費電力を確保する必要がなくなり、電源部における発電機構の体積を削減でき、結果としてセンサノードの小型化を実現することが可能となる。
【0081】
また、本実施の形態では、傾き信号生成部15で生成した傾き信号SBに応じて発振部18から出力されたクロック信号のパルス数のカウント値CNTを、無線部22から無線電波で送信するようにしたので、第1のゼロパワー閾値回路部13と第2のゼロパワー閾値回路部14における閾値処理ごとに、比較結果信号CO1,CO2の反転タイミングを個別に無線送信で通知して、受信装置30でこれら期間を計時する場合と比較して、無線送信回数を半減させることができ、極めて大きな省電力効果を得ることが可能となる。
【0082】
[第2の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図10は、第2の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0083】
本実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13は、第1の実施の形態と比較して、電流制限部CCにおいて、接続端子Pへ印加される電圧の放電が進むにつれて、当該放電電流を増加させる機能を有している点が異なる。
【0084】
すなわち、電流制限部CCは、トランジスタQ1がオフ状態に近づくまでは、容量素子C1の放電を小さな放電電流で行い、トランジスタQ1がオフ状態となった時点で、放電電流を大きくする。これにより、第1の実施の形態のゼロパワー閾値回路の貫通電流を低減する効果を維持したまま、閾値処理の動作を高速化できるという効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0085】
[第3の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図11は、第3の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0086】
本実施の形態では、第2の実施の形態にかかる電源制御部CC(CC1,CC2)の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電源制御部CCには、図11に示すように、電源電位VDDにソース端子が接続され、接続端子Pにゲート端子が接続された、PMOSトランジスタ(第6のトランジスタ)Q6と、接続端子Pと設置電位GNDとの間に接続されて、トランジスタQ6のドレイン端子にゲート端子が接続された、NMOSトランジスタ(第7のトランジスタ)Q7とが設けられている。スイッチSW1は、初期化動作を示すリセット信号RSTに応じて導通することにより、トランジスタQ7のゲート端子を接地電位GNDに接続するスイッチ素子である。
【0087】
本実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13では、センサノードチップ10の初期化動作時にスイッチSW1がオン状態となりトランジスタQ7のゲート端子が接地電位GNDとされる。このとき、電流制限部CCを流れる放電電流は、トランジスタQ7のリーク電流に設定される。その後、初期化動作が終了してスイッチSW1はオフ状態とされ、入力待ち状態とされる。
入力待ち状態において、センサ出力電圧SOの上昇に伴い、トランジスタQ1がオフ状態に近付き、比較結果信号CO1の電圧が下降するにつれてトランジスタQ6がオン状態に近付き、トランジスタQ7のゲート電圧が上昇する。
【0088】
これにより、トランジスタQ7を介して流れる放電電流が増加し、容量素子C1で保持されている比較結果信号CO1の電圧の放電時間が短くなる。このため、第2の実施の形態で述べた第1のゼロパワー閾値回路部13の貫通電流を低減する効果を維持したまま、閾値処理を高速化できるという効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0089】
[第4の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図12は、第4の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0090】
本実施の形態では、第2の実施の形態にかかる電源制御部CC(CC1,CC2)の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電源制御部CCには、図12に示すように、トランジスタQ7のゲート端子と第2の共通電位との間に接続されて、接続端子Pへ印加される比較結果信号CO1の電圧に基づいて、トランジスタQ7のゲート端子の電位を、接続端子Pへ印加される比較結果信号CO1の電圧変化よりも小さい電圧変化に抑制する電圧制御電圧源VCVが設けられている。
【0091】
電圧制御電圧源VCVは、接続端子Pへ印加される比較結果信号CO1の電圧変化よりも小さい電圧変化で、トランジスタQ7のゲート電圧を制御する。センサ出力電圧SOが上昇する際に、NMOSトランジスタQ7のゲート端子の電圧変化を小さく抑えることで、第3の実施の形態に比べて閾値回路の閾値電圧の低下を抑えられるという効果がある。これにより、センサ出力電圧SOの変化範囲が広く、高い電圧まで変化する場合でも、閾値処理の動作が可能となる。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0092】
[第5の実施の形態]
次に、図13を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図13は、第5の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0093】
本実施の形態では、第4の実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVの具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVは、図13に示すように、接続端子PとトランジスタQ7のゲート端子との間に接続された容量素子(第3の容量素子)C3と、トランジスタQ7のゲート端子と接地電位GNDとの間に接続された容量素子(第4の容量素子)C4とから構成されている。
【0094】
本実施の形態の第1のゼロパワー閾値回路部13では、センサノードチップ10の初期化動作後、トランジスタQ7のゲート端子の電圧を、出力端子と接地電位に対して容量素子C1と容量素子C2で容量分割した電圧で制御する。
これにより、トランジスタQ7のゲート端子の電圧変化を小さく抑えることができ、第4の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0095】
[第6の実施の形態]
次に、図14を参照して、本発明の第6の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図14は、第6の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0096】
本実施の形態では、第4の実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVの他の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVは、図14に示すように、トランジスタQ7のゲート端子と接地電位GNDとの間に接続され、接続端子Pにゲート端子が接続された、NMOSトランジスタ(第8のトランジスタ)Q8から構成されている。
【0097】
本実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13では、接続端子Pへ印加される比較結果信号CO1の電圧がトランジスタQ8の閾値電圧以上ある場合は、トランジスタQ8がオン状態となる。
これにより、トランジスタQ7のゲート端子の電圧変化を小さく抑えることができ、第4の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0098】
[第7の実施の形態]
次に、図15を参照して、本発明の第7の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図15は、第7の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0099】
本実施の形態では、第4の実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVの他の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVは、図15に示すように、トランジスタQ7のゲート端子と接地電位GNDとの間に接続された、NMOSトランジスタQ8と、接続端子PとトランジスタQ8のゲート端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続された、NMOSトランジスタ(第9のトランジスタ)Q9とから構成されている。スイッチSW2は、初期化動作を示すリセット信号RSTに応じて導通することにより、トランジスタQ8のゲート端子を接地電位GNDに接続するスイッチ素子である。
【0100】
本実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13では、トランジスタQ8のゲート電圧を、接続端子Pへ印加される比較結果信号CO1の電圧から、トランジスタQ9の閾値電圧分だけ小さくした電圧で制御することができる。
このため、トランジスタQ7のゲート電圧が小さく容量素子C1で保持されている比較結果信号CO1の電圧の放電時間が長い場合でも、第6の実施の形態の第1のゼロパワー閾値回路と比べて、放電時間を短くできるという効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0101】
[第8の実施の形態]
次に、図16を参照して、本発明の第8の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図16は、第8の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0102】
本実施の形態では、第4の実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVの他の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVは、図16に示すように、第7の実施の形態に加え、トランジスタQ8のゲート端子とトランジスタQ9のソース端子との間に挿入されて、ドレイン端子とゲート端子とが接続された、NMOSトランジスタ(第10のトランジスタ)Q10とから構成されている。
【0103】
トランジスタQ8のゲート電圧を、比較結果信号CO1の電圧から、トランジスタQ9,Q10の閾値電圧分だけ小さくした電圧で制御することができる。
このため、トランジスタQ7のゲート電圧が小さく容量素子C2で保持されている比較結果信号CO1の電圧の放電時間が長い場合でも、第7の実施の形態の第1のゼロパワー閾値回路と比べて、放電時間を短くできるという効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0104】
[第9の実施の形態]
次に、図17を参照して、本発明の第9の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図17は、第9の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0105】
本実施の形態では、第4の実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVの他の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVは、図17に示すように、第8の実施の形態のうち、トランジスタQ9のドレイン端子が、接続端子Pに代えて電源電位VDDに接続されており、トランジスタQ9のゲート端子が接続端子Pに接続されている。スイッチSW3は、初期化動作を示すリセット信号RSTの反転論理信号RSTNに応じて導通することにより、トランジスタQ9のドレイン端子を電源電位VDDとするスイッチ素子である。
【0106】
本実施の形態の第1のゼロパワー閾値回路部13では、センサノードチップ10の初期化状態で、スイッチSW2はオン状態、スイッチSW3はオフ状態とされ、初期化動作終了において、スイッチSW2はオフ状態、スイッチSW3はオン状態とされて、入力信号待ちの状態となる。
このような接続とすることで、トランジスタQ9のドレイン端子の寄生容量を、接続端子Pから切り離すことができるため、容量素子C1の放電時間を短くできるという効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0107】
[第10の実施の形態]
次に、図18を参照して、本発明の第10の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図18は、第10の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0108】
本実施の形態では、第2の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13の他の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13には、図18に示すように、第3の実施の形態に加え、電源電位VDDとトランジスタQ1のソース端子との間に挿入されて、トランジスタQ6のドレイン端子にゲート端子が接続された、PMOSトランジスタ(第11のトランジスタ)Q11が設けられている。
【0109】
接続端子Pへ印加される比較結果信号CO1の電圧が、第1のゼロパワー閾値回路部13の閾値電圧付近で保持され、トランジスタQ1が不完全なオフ状態となり、容量素子C1の放電が進まない場合でも、トランジスタQ11を挿入したことで、少しの比較結果信号CO1の電圧低下でトランジスタQ11がオフ状態となり、容量素子C1の放電を進めることができ、閾値処理の誤動作を防止できる効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0110】
[第11の実施の形態]
次に、図19を参照して、本発明の第11の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図19は、第11の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0111】
本実施の形態では、第4の実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVの他の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる電圧制御電圧源VCVは、図19に示すように、第7の実施の形態に加え、トランジスタQ8のソース端子と接地電位GNDの間に挿入されて、接続端子Pにゲート端子が接続されたNMOSトランジスタ(第13のトランジスタ)Q13が設けられている。スイッチSW1は、初期化動作を示すリセット信号RSTに応じて導通することにより、トランジスタQ7のゲート端子を接地電位GNDに接続するスイッチ素子である。
【0112】
本実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13では、接続端子Pへ印加される比較結果信号CO1の電圧がトランジスタQ13の閾値電圧以下に低下した場合は、トランジスタQ13がオフ状態となる。
これにより、第1のゼロパワー閾値回路部13での閾値処理動作後に流れるトランジスタQ8とトランジスタQ6を流れる電流を抑制することができ、第1のゼロパワー閾値回路部13での消費電力を抑制できる効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0113】
[第12の実施の形態]
次に、図20を参照して、本発明の第12の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図20は、第12の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路および第2のゼロパワー閾値回路の構成例である。
【0114】
本実施の形態では、第1の実施の形態にかかる第2のゼロパワー閾値回路部14に電圧制御回路を用いずに、電流制限部CC2の放電電流を電流制限部CC1の放電電流よりも小さくすることにより、第1および第2のゼロパワー閾値回路部13,14の閾値電圧に電圧差を設けている点が異なる。
【0115】
第1のゼロパワー閾値回路部13では、トランジスタQ1のソース・ドレイン間電流の値と電流制限部CC1の放電電流の値が一致する際の、トランジスタQ1の入力電圧が閾値電圧となる。
したがって、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2の放電電流値を電流制限部CC1の放電電流値よりも小さくすると、第2のゼロパワー閾値回路部14の閾値電圧は第1のゼロパワー閾値回路部13の閾値電圧よりも低くなる。
【0116】
図21Aは、第1のゼロパワー閾値回路の電流制限部の構成例である。図21Bは、第2のゼロパワー閾値回路の電流制限部の構成例である。
電流制限部CC1は、トランジスタQ1のドレイン端子と接地電位GNDとの間に接続され、接地電位GNDから当該トランジスタ14の閾値電圧以下の固定電位REFがゲート端子に接続されたNMOSトランジスタ(第14のトランジスタ)Q14から構成されている。
また電流制限部CC2は、トランジスタQ2のドレイン端子と接地電位GNDとの間に接続され、接地電位GNDから当該トランジスタQ15の閾値電圧以下の固定電位REFがゲート端子に接続され、トランジスタQ14のゲート幅よりも小さいゲート幅、例えば1/10程度を有するNMOSトランジスタ(第15のトランジスタ)Q15から構成されている。
【0117】
第1−第12の実施の形態にかかる第2のゼロパワー閾値回路部14では、接続端子Pの電位を初期化するためのリセット信号を必要とし、リセット信号が出力される前の電源供給時に初期化されない。このため、第2のゼロパワー閾値回路部14の後段に位置する、例えばインバータ回路などの後段回路の入力電圧が、接地電位と電源電位の中間電位となり後段回路に電流が流れてしまう場合がある。
本実施の形態にかかる第2のゼロパワー閾値回路部14では、初期化動作にリセット信号を必要とせず、リセット信号が入る前の電源供給時においても接続端子Pの電位を初期化できるという効果を有する。
【0118】
[第13の実施の形態]
次に、図22を参照して、本発明の第13の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図22は、第13の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部および第2のゼロパワー閾値回路部の要部を示す構成例である。
【0119】
本実施の形態では、第12の実施の形態にかかる第1および第2のゼロパワー閾値回路部13,14の閾値電圧に電圧差を設ける他の構成について説明する。
本実施の形態にかかる電流制限部CC1は、トランジスタQ1のドレイン端子と接地電位GNDとの間に接続され、接地電位GNDから当該トランジスタQ16の閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続されたNMOSトランジスタ(第16のトランジスタ)Q16から構成されている。
また、電流制限部CC2は、トランジスタQ2のドレイン端子と接地電位GNDとの間に接続され、接地電位GNDから当該トランジスタQ17の閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続され、第17のトランジスタのゲート端子に接続されている固定電位よりも小さい固定電位にゲート端子が接続されたNMOSトランジスタ(第17のトランジスタ)Q17から構成されている。
【0120】
このように、トランジスタQ16,Q17のサイズは同一で、トランジスタQ17のゲート電圧を、トランジスタQ16のゲート電圧よりも低く設定することで、電流制限部CC2の放電電流値を電流制限部CC1の放電電流値よりも小さくしている。これにより、第12の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、これらトランジスタQ16,Q17のゲート電圧は、例えば、ダイオード接続したMOSトランジスタを直列に複数個接続した定電圧生成回路VTで生成すればよい。
【0121】
[第14の実施の形態]
次に、図23を参照して、第14の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図23は、第14の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部および第2のゼロパワー閾値回路部の要部を示す構成例である。
【0122】
本実施の形態において、電流制限部CC1には、第13の実施の形態にかかる電流制限部CC1に加え、トランジスタQ16のゲート端子と接地電位GNDとの間に接続された容量素子(第5の容量素子)C5が設けられており、電流制限部CC2には、第13の実施の形態にかかる電流制限部CC1に加え、トランジスタQ17のゲート端子と接地電位GNDとの間に接続された容量素子(第6の容量素子)C6が設けられている。
これら容量素子C5,C6を備えることで、電流制限部CC1,CC2に流れる放電電流を安定化することができるという効果を有する。
【0123】
[第15の実施の形態]
次に、図24を参照して、本発明の第15の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図24は、第15の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部および第2のゼロパワー閾値回路の構成例である。
【0124】
本実施の形態では、第2の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13および第2のゼロパワー閾値回路部14の具体的構成について説明する。本実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13には、図24に示すように、第2の実施の形態に加え、電源制御部CC1と並列して、容量素子C1で保持されている比較結果信号CO1の電圧の放電が進むにつれて、当該放電電流を増加させる電源制御部CC3が設けられている。また、第2のゼロパワー閾値回路部14には、第2の実施の形態に加え、電源制御部CC2と並列して、容量素子C2で保持されている比較結果信号CO2の電圧の放電が進むにつれて、当該放電電流を増加させる電源制御部CC4が設けられている。
【0125】
また、本実施の形態では、電流制限部CC2の放電電流を第1のゼロパワー閾値回路部13電流制限部CC1の放電電流よりも小さくすることにより、第1および第2のゼロパワー閾値回路部13,14の閾値電圧に電圧差を設けている。
電源制御部CC1,CC2については、第2の実施の形態で説明した電源制御部CC1と同様に構成を用いればよく、電源制御部CC3,CC4については、第12の実施の形態で説明した電源制御部CC1,CC2と同様に構成を用いればよい。
したがって、本実施の形態によれば、第2の実施の形態と第12の実施の形態を組み合わせた効果が得られる。
【0126】
[第16の実施の形態]
次に、図25を参照して、本発明の第16の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図25は、第16の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路の構成例である。
【0127】
本実施の形態では、第2の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13に加えて、トランジスタQ1のドレイン端子と第1の電流制限部との間にトランスファーゲートTGが挿入されている。
第1〜第15の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13では、電流制限部CC1にNMOSトランジスタを用いるとドレイン端子の寄生容量が大きく、電荷蓄積部の電荷の放電時間が長くなってしまう。
【0128】
これに対して、本実施の形態では、トランスファーゲートTGを挿入したことで、電流制限部CC1のNMOSトランジスタのドレイン端子の寄生容量が、容量素子C1から切り離されるため、容量素子C1の放電時間を短くすることができる効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0129】
「第17の実施の形態」
次に、図26を参照して、本発明の第17の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図26は、第17の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0130】
本実施の形態では、第16の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13に加え、電源電位VDDとトランジスタQ1のドレイン端子との間に接続されて、第1の容量素子の保持電圧を電源電位VDDに初期化するスイッチSW4が設けられている。
スイッチSW4は、初期化動作を示すリセット信号RSTの反転論理信号RSTNに応じて導通することにより、容量素子C1の電位をトランジスタQ1のドレイン端子を電源電位VDDとするスイッチ素子である。
これにより、センサ出力電圧SOの初期状態がLowでない場合でも、比較結果信号CO1を初期化できるという効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0131】
「第18の実施の形態」
次に、図27を参照して、本発明の第18の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図27は、第18の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部の構成例である。
【0132】
本実施の形態では、第16の実施の形態にかかる第1のゼロパワー閾値回路部13に加え、トランジスタQ1のドレイン端子に入力端子が接続された、入力ゲート容量が最小サイズのトランジスタのゲート容量値(100fF以下)のバッファ回路BUFが設けられている。
これにより、第1のゼロパワー閾値回路部13の後段に接続される負荷容量が大きい場合でも、バッファ回路BUFを用いることで、電荷蓄積部の電荷の放電時間を短くすることができる効果がある。
なお、本実施の形態では、第1のゼロパワー閾値回路部13の電流制限部CC1を例として説明したが、第2のゼロパワー閾値回路部14の電流制限部CC2に対して本実施の形態を適用してもよく、電源制御部CC1,CC2の両方に適用してもよい。
【0133】
「第19の実施の形態」
次に、図28を参照して、本発明の第19の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図28は、第19の実施の形態にかかる発振部の構成例である。
【0134】
本実施の形態では、発振部18として、電流欠乏型電圧制御発振回路を用いた場合について説明する。本実施の形態にかかる電流欠乏型電圧制御発振回路は、3段のインバータINV1,INV2,INV3で構成され、これらインバータの電流はカレントミラー回路で制御される。カレントミラー回路の電流は電流制御電圧SPCで制御される。電流制御電圧SPCをNMOSトランジスタの閾値電圧程度以下に設定することで、インバータの電流をサブマイクロアンペア以下に設定することができ、発振部の消費電力を低減できる効果がある。
【0135】
「第20の実施の形態」
次に、図29を参照して、本発明の第20の実施の形態にかかるセンサノードチップについて説明する。図29は、第20の実施の形態にかかる発振部の構成例である。
【0136】
本実施の形態では、第19の実施の形態にかかる電流欠乏型電圧制御発振回路に加え、インバータINV1,INV2,INV3をリング状に接続する接続線のいずれか1つの接続線L3を除く接続線L1,L2ごとに、当該接続線と接地電位GNDとの間にそれぞれ容量素子C7,C8が接続されている。
いずれか1つの接続線のみ容量素子をなくすことにより、インバータINV1,INV2,INV3におけるそれぞれの初期状態の電圧が早く確定して、発振動作が開始されるまでの時間を短縮できるので、センサ回路出力の傾きをデジタルデータに変換する際の精度を向上できるという効果がある。
【0137】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0138】
また、各実施の形態では、第1導電型トランジスタをPMOSトランジスタとし、第2導電型トランジスタをNMOSトランジスタとした場合を例として説明したが、第2導電型トランジスタをPMOSトランジスタとし、第1導電型トランジスタをNMOSトランジスタとした場合でも、各実施の形態を適用でき、同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0139】
1…センサノードシステム、10…センサノードチップ、11…センサ素子部、12…ゼロパワーセンサ、13…第1のゼロパワー閾値回路部、14…第2のゼロパワー閾値回路部、15…傾き信号生成部、16…電源部、17…発振制御部、18…発振部、19…カウンタ、20…遅延部、21…送信制御部、22…無線部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサにより外部状態変化を検知し、その検知結果を無線電波で送信するセンサノードチップであって、
外部状態変化に応じて容量値が変化する可変容量素子を有し、この可変容量素子の容量変化に応じた検知信号を出力するセンサ素子部と、
前記センサ素子部からの検知信号の変化に応じて固定容量素子を徐々に充電し、当該充電電圧に応じたセンサ出力電圧を出力するセンサ回路部と、
前記センサ回路部からのセンサ出力電圧を第1の閾値電圧と比較し、その比較結果を示す第1の比較結果信号を出力する第1の閾値回路部と、
前記センサ回路部からのセンサ出力電圧を前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧と比較し、その比較結果を示す第2の比較結果信号を出力する第2の閾値回路部と、
前記第1の閾値回路部からの第1の比較結果信号および前記2の閾値回路部からの第2の比較結果信号に基づいて、前記センサ回路部からのセンサ出力電圧が前記第2の閾値電圧から前記第1の閾値電圧まで変化する期間を示す傾き信号を出力する傾き信号生成部と、
前記傾き信号生成部からの傾き信号に応じて、電源部から出力されるクロック発振動作用電力の供給を制御する発振制御部と、
前記発振制御部の制御に基づき供給されたクロック発振動作用電力に応じてクロック発振動作を行うことにより、クロック信号を発振して出力する発振部と、
前記発振部から出力されたクロック信号のパルス数をカウントして出力するカウンタと、
前記第1の閾値回路部からの第1の比較結果信号または前記第2の閾値回路部からの第2の比較結果信号に応じて、前記電源部から出力される無線送信動作用電力を供給を制御する送信制御部と、
前記送信制御部の制御に基づき供給された無線送信動作用電力に応じて無線送信動作を行うことにより、前記カウンタから出力されたカウント値を無線電波で送信する無線部と
を備えることを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の閾値回路部は、
前記センサ回路部からの前記センサ出力電圧がゲート端子に入力され、第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第1の共通電位とは異なる第2の共通電位との間に接続されて、前記第1のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、前記第1の比較結果信号として出力する第1の容量素子と、
前記第1のトランジスタのドレイン端子が接続される接続端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記接続端子へ印加される電圧を、電流値が制限された放電電流で前記第2の共通電位へ放電する第1の電流制限部と
を含み、
前記第2の閾値回路部は、
前記センサ回路部からの前記センサ出力電圧がゲート端子に入力され、前記第1の共通電位から一定の電位差を生じる電圧制御部を介して前記第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記第2のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、前記第2の比較結果信号として出力する第2の容量素子と、
前記第2のトランジスタのドレイン端子が接続される接続端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記接続端子へ印加される電圧を、電流値が制限された放電電流で前記第2の共通電位へ放電する第2の電流制限部と
を含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサノードチップにおいて、
前記電圧制御部は、前記第1の共通電位と前記第2のトランジスタのソース端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続された前記第1導電型からなる第3のトランジスタ、または、前記第1の共通電位と前記第2のトランジスタのソース端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続された前記第1導電型とは異なる第2導電型からなる第4のトランジスタからなることを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の電流制限部または前記第2の電流制限部は、
前記接続端子と第2の共通電位との間に接続され、当該トランジスタの閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続された、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第5のトランジスタからなる
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の電流制限部または前記第2の電流制限部は、前記接続端子へ印加される電圧の放電が進むにつれて、当該放電電流を増加させることを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサノードチップにおいて
前記第1の電流制限部または前記第2の電流制限部は、
前記第1の共通電位にソース端子が接続され、前記接続端子にゲート端子が接続された、前記第1導電型からなる第6のトランジスタと、
前記接続端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記第6のトランジスタのドレイン端子にゲート端子が接続された、前記第1導電型とは異なる第2導電型からなる第7のトランジスタと
を含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項7】
請求項6に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の電流制限部または前記第2の電流制限部は、前記第7のトランジスタのゲート端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記接続端子へ印加される電圧に基づいて、前記第7のトランジスタのゲート端子の電位を、前記接続端子へ印加される電圧の電圧変化よりも小さい電圧変化に抑制する電圧制御電圧源を含むことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサノードチップにおいて、
前記電圧制御電圧源は、前記接続端子と前記第7のトランジスタのゲート端子との間に接続された第3の容量素子と、
前記第7のトランジスタのゲート端子と前記第2の共通電位との間に接続された第4の容量素子と
を含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項9】
請求項7に記載のセンサノードチップにおいて、
前記電圧制御電圧源は、前記第7のトランジスタのゲート端子と前記第2の共通電位との間に接続され、前記接続端子にゲート端子が接続された、前記第2導電型からなる第8のトランジスタを含むことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項10】
請求項7に記載のセンサノードチップにおいて、
前記電圧制御電圧源は、
前記第7のトランジスタのゲート端子と前記第2の共通電位との間に接続された、前記第2導電型からなる第8のトランジスタと、
前記接続端子と前記第8のトランジスタのゲート端子との間に接続され、ドレイン端子とゲート端子とが接続された、前記第2導電型からなる第9のトランジスタと
を含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項11】
請求項10に記載のセンサノードチップにおいて、
前記電圧制御電圧源は、前記第8のトランジスタのゲート端子と前記第9のトランジスタのソース端子との間に挿入されて、ドレイン端子とゲート端子とが接続された、前記第2導電型からなる第10のトランジスタとを含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項12】
請求項7に記載のセンサノードチップにおいて、
前記電圧制御電圧源は、前記第9のトランジスタのドレイン端子が、前記接続端子に代えて前記第1の共通電位に接続されていることを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項13】
請求項6〜請求項12のいずれか1つに記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の閾値回路部は、前記第1の共通電位と前記第1のトランジスタのソース端子との間に挿入されて、当該第1の閾値回路部の電圧制御電圧源に設けられた前記第6のトランジスタのドレイン端子にゲート端子が接続された、前記第2導電型からなる第11のトランジスタを含み、
または、
前記第2の閾値回路部は、前記第1の共通電位と前記第2のトランジスタのソース端子との間に挿入されて、当該第2の閾値回路部の電圧制御電圧源に設けられた前記第6のトランジスタのドレイン端子にゲート端子が接続された、前記第2導電型からなる第12のトランジスタを含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項14】
請求項9〜請求項12のいずれか1つに記載のセンサノードチップにおいて、
前記電圧制御電圧源は、前記第8のトランジスタのソース端子と前記第2の共通電位の間に挿入されて、前記接続端子にゲート端子が接続された、前記第2導電型からなる第13のトランジスタを含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項15】
請求項1に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の閾値回路部は、
前記センサ回路部からの前記出力電圧がゲート端子に入力され、第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第1の共通電位とは異なる第2の共通電位との間に接続されて、前記第1のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、前記第1の比較結果信号として出力する第1の容量素子と、
前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記第1の容量素子の保持電圧を、電流値が制限された放電電流で前記第2の共通電位へ放電する第1の電流制限部と
を含み、
前記第2の閾値回路部は、
前記センサ回路部からの前記出力電圧がゲート端子に入力され、前記第1の共通電位にソース端子が接続された、第1導電型からなる第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記第2のトランジスタのドレイン端子から出力された電圧を保持し、前記第2の比較結果信号として出力する第2の容量素子と、
前記第2のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続されて、前記第2の容量素子の保持電圧を、前記第1の電流制限部の放電電流よりも小さい放電電流で前記第2の共通電位へ放電する第2の電流制限部と
を含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項16】
請求項15に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の電流制限部は、前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続され、前記第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続された、前記第1導電型とは異なる第2導電型からなる第14のトランジスタを含み、
前記第2の電流制限部は、前記第2のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続され、前記第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続され、前記第14のトランジスタのゲート幅よりも小さいゲート幅を有する、前記第2導電型からなる第15のトランジスタを含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項17】
請求項15に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の電流制限部は、前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続され、前記第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続された、前記第1導電型とは異なる第2導電型からなる第16のトランジスタを含み、
前記第2の電流制限部は、前記第2のトランジスタのドレイン端子と前記第2の共通電位との間に接続され、前記第2の共通電位から当該閾値電圧以下の固定電位がゲート端子に接続され、前記第16のトランジスタのゲート端子に接続されている固定電位よりも小さい固定電位にゲート端子が接続された、前記第2導電型からなる第17のトランジスタを含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項18】
請求項15に記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の電流制限部は、前記第16のトランジスタのゲート端子と前記第2の共通電位との間に接続された第5の容量素子を含み、
前記第2の電流制限部は、前記第17のトランジスタのゲート端子と前記第2の共通電位との間に接続された第6の容量素子を含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項19】
請求項2〜請求項18のいずれか1つに記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の閾値回路部は、前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第1の電流制限部との間に挿入されたトランスファーゲートを含み、
前記第2の閾値回路部は、前記第2のトランジスタのドレイン端子と前記第2の電流制限部との間に挿入されたトランスファーゲートを含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項20】
請求項2〜請求項19のいずれか1つに記載のセンサノードチップにおいて、
前記第1の閾値回路部は、前記第1の共通電位と前記第1のトランジスタのドレイン端子との間に接続されて、前記第1の容量素子の保持電圧を前記第1の共通電位に初期化する第1の初期化スイッチを含み、
前記第2の閾値回路部は、前記第1の共通電位と前記第2のトランジスタのドレイン端子との間に接続されて、前記第2の容量素子の保持電圧を前記第1の共通電位に初期化する第2の初期化スイッチを含む
ことを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項21】
請求項1に記載のセンサノードチップにおいて、
前記発振部は、電流欠乏型電圧制御発振回路からなり、当該電流欠乏型電圧制御発振回路を構成するインバータによる充放電電流がサブマイクロアンペア以下に設定されていることを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項22】
請求項21に記載のセンサノードチップにおいて、
前記インバータをリング状に接続する接続線のいずれか1つを除く接続線ごとに、当該接続線と任意の共通電位との間にそれぞれ容量素子が接続されていることを特徴とするセンサノードチップ。
【請求項23】
請求項1に記載のセンサノードチップと、
前記センサノードチップから送信された無線電波の受信間隔を計測し、当該受信間隔から前記センサノードチップに与えられた外部振動の周波数または加速度を示す検知データを算出する受信装置と
を備えることを特徴とするセンサノードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−44076(P2011−44076A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193035(P2009−193035)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】