説明

センサベースのオリエンテーションシステム

リニア加速度計を使用して、3つの軸のうちの任意あるいはすべてに関する回転を含むオブジェクトの位置の変化、を測定する方法。さらなる使用のために、6次元の情報、すなわち、3つの次元における平行移動と3つの軸に関する回転、について測定し供給するために、2つの他の3Dのリニア加速度計を積分する1つのリニア加速度計を使用する方法が開示されている。2つのリニア加速度計センサは、6自由度における変数のうちの1つ以外のすべてを決定するように使用される。第3の加速度計からの出力は、回転6自由度を決定するために必要なデータを、生成する。ヘディングにおける変化(すなわち、ヨーあるいは方位)を検出するためのジャイロスコープの必要性は、それゆえに避けられることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、ここでの譲受人に譲渡され、参照により、ここに明示的に組み込まれる、2006年3月15日に出願され、「センサベースのオリエンテーションシステム(“Sensor-based Orientation System”)」と題された、米国仮特許出願第60/783,196号の優先権を主張する。
【背景】
【0002】
(分野)
本開示は、一般にオリエンテーションシステム(orientation systems)に関し、より具体的には、3次元空間における移動体(moving body)の線形平行移動(linear translation)に加えて、移動体におけるロール(roll)、ピッチ(pitch)、ヨー(yaw)を検知する(sensing)ための方法および装置(apparatus)に関する。
【0003】
(背景)
物理的な状態あるいは現象(physical conditions or phenomena)を、検出する、あるいは測定するために利用可能な多種多様のセンサが存在する。多くの産業的、商業的、あるいは科学的なコンテキストにおいて一般に導入されるタイプのセンサは、リニア加速度計(linear accelerometers)である。地球の重力ベクトルの方向(direction)を検出することによって、「3D」加速度計の線形(linear)は、オブジェクトの平行移動(translation)(角回転(angular rotation)のない線形運動)を測定するために使用され得る、またさらに「チルト(“tilt”)」(例えば、「ロール(“roll”)あるいは「ピッチ(“pitch”)」に関連する角加速度(angular acceleration))、自由落下(free-fall)、および衝撃(shock)を検知(sense)できる。異なるタイプおよび感度の加速度計(accelerometers)は、任意の様々な物理的現象、例えば小さなボールのローリング(rolling of a small ball)、導電性液体あるいは重液のシフティング/フローイング(shifting/flowing of a conductive or heavy liquid)、振り子のスウィンギング(swinging of the pendulum)、あるいは、正確度(accuracy)および感度を変える他の力学的手段(mechanical means)を、活用すること(exploiting)によって機能することができる。より精巧で知られているリニア加速度計は、地球の磁界を通して運動(movement)を検知するか、あるいは他の磁気現象あるいは光学現象(magnetic or optical phenomena)を活用することができる。
【0004】
しかしながら、現在のところ、従来の費用効率のよい(cost-effective)リニア加速度計を使用して、線形の動き(linear motion)(通常のデカルト座標系に関する加速度)とデバイス(device)のオリエンテーションにおける変化と、ロールあるいはピッチにおける対応する変化(すなわち、角加速度(angular acceleration))とを、区別することは、困難あるいは不可能である。「ヘディング(“heading”)」における変化、あるいは移動しているオブジェクトのヨーは、従来のリニア加速度計によって全く検知されることができない。比較的高価で、複雑で、壊れやすいジャイロスコープは、一般に、可動オブジェクト(moveable object)のヨー、ロールとピッチのような回転的自由(rotational freedom)におけるシフト(shift)あるいは変化を検知するための手段として役立つ。マイクロ電子機械システム(micro-electromechanical systems)(MEMS)技術における最近の発展は、2つの軸のジャイロスコープの開発を可能にしたが、通常、3つのジャイロスコープが、回転の軸につき1つ、使用される。したがって、比較的単純な加速度計センサを使用して、ロールとピッチ同様ヨーにおける変化を含む、全6自由度(all six degrees of freedom)におけるオブジェクトの運動、を確実に測定するための方法および手段について、当技術分野において必要性がある。
【発明の開示】
【概要】
【0005】
ここに開示された実施形態は、事実上、任意の可動オブジェクト(movable object)についての全6自由度における運動を測定するためのプロセスおよび装置を提供することによって、上記に述べられた必要性を対処する。3つのリニア加速度計は、そのような測定について必要とされるすべてのデータを生成する。2つの加速度計は、それらの加速度計に関連する同一線上の2つの点の位置における変化を検出するのに必要とされるデータを提供する、一方で最初の2つに非同一直線に配置された第3の加速度計は、最初の2つの加速度計を接続している虚軸の位置あるいはオリエンテーションにおいて、変化を、もしあれば、正確に測定する(gauge)のに適切なデータを生成する。
【詳細な説明】
【0006】
今、開示される方法は、オブジェクトのオリエンテーションおよび線形の動き(linear motion)が検知され、測定されることを可能にする。開示される方法によって、限定されないが、アビオニクス機器(avionics)および地上の運輸(ground transportation)、テレコミュニケーション、リモートセンシングおよびフォトグラフィ(remote sensing and photography)、電子追跡(electronic tracking)、人あるいは貨物のモニタリング、人、製品、消費家電製品の安全を含んだ広範の分野および環境において、有益な応用が見出されることが、意図されている。
【0007】
今開示される方法によって、選択されるオブジェクトの線形の動きおよび3次元のオリエンテーションは、確実に測定されることができる。それによって生成された動きおよび位置データは、その後で、任意の適切な手段によって、他のシステムコンポーネント(components)あるいはプロセッサに送信されることができる。例えば、3次元の位置における求められていない変化の測度(measure)は、例えば、適切なオリエンテーション(例、垂直についての)からの逸脱(deviation)が修正される(rectified)ように、姿勢制御システム(attitude control systems)に提供されることが出来る。あるいは、さらなる例の方法によって、もしオブジェクトの加速度とオリエンテーションがあらかじめ決定されたパラメータからはずれるように(fall outside predetermined parameters)同時に測定される場合、アラームシステムは、信号が送られ、作動される可能性がある。消費家電製品においては、6次元情報は、ジョイスティックのようなゲーム機器(gaming devices)を制御するために使用されることができ、出力とメニュー選択の点からユーザ相互作用を可能にし、デジタルスチルおよびビデオカメラ(digital still and video cameras)についての画像安定化(image stabilization)を提供する。
【0008】
様々な異なるタイプおよび機能性を有するリニア加速度計は、科学的で産業的な適用の広域スペクトルにおいて広く使用されている。3次元の加速度計は、複雑さおよび費用の多数の異なるレベルにおいて(at a number of different levels of sophistication and expense)一般に利用可能で、最も広く用いられているマイクロ電子機械システム(MEMS)センサの中にある。図1は、チルトセンサとして役立つ従来のリニア加速度計を示す。加速度計センサは、線形の動き(すなわちローカル水平面(local horizontal plane)のような、任意の面(plane)における平行移動)を検知することができ、平行移動は、少なくとも2つの軸(例、XとY)に関連して測定されることができる。そのような加速度計はまた、オブジェクトのチルトの測度(図1において提案されたようにロールあるいはピッチ)をオファ(offer)することができる。したがって、単独の3D加速度計を用いて、デカルト座標空間(x,y,z)にあるオブジェクトの動きは検知されることができ、重力の方向は、オブジェクトのロール(τ)およびピッチ(φ)を推定するように検知されることができる。本方法および装置の著しい利点は、3つの、そのような一般的に利用可能で、比較的手ごろな3D加速度計が、第6の変数における変化、それのヨー、またしばしば方位あるいは「ヘディング(“heading”)」(ψ)と呼ばれる、を検知するように、機能的に組み合わせられることができる。
【0009】
図2を参照する。本開示にしたがって、2つの好ましい、しかし同一である必要がない3D加速度計20、20´は、自動車、テレコミュニケーション、無線あるいは感光デバイス(photographic device)、航空機、あるいは同様なもののような、対象のオブジェクトに関連するメトリックボード22上の空間関連において展開される。3次元空間における2つの加速度計20、20´の正確な配置(disposition)は決定的ではなく、それらの分離の線形距離が固定される場合は、距離に顕著に比例して、動きの程度(degree)は、モニタされるように求められる。一実施形態において、加速度計20、20´は、平面ボード(planar board)22のほぼ対角線上の端に位置を定められる。各加速度計は、ローカル水平面25、25´を有するとみなされることができ、面25、25´は、メトリックボード22において含まれる、あるいはメトリックボード22に平行であることができる。ボード22は、オブジェクトあるいはデバイス(示されていない)内で守られており、オブジェクトあるいはデバイスの平行移動および回転は検知され、モニタされることになっている。
【0010】
本開示は、第3の加速度計23を使用して、第1の20および第2の20´の加速度計の出力を、求められる「6次元(“six-dimensional”)」データ行列(x,y,z,τ,φ,ψ)を提供するために、積分する方法をオファする。リニア加速度計が第2の運動量測定値(momentum measurements)を提供するので、加速度計20、20´、23によってされたロコモーション測定値(locomotion measurements)は、変化(線形のあるいは角度の速度における)の率を得るために、一度積分されなくてはならず、また、その後で、絶対測度(absolute measure)、すなわち位置あるいはチルトにおける変化の絶対測度、を得るために、二度積分されなくてはならない。
【0011】
図2の考察は、2つの加速度計20と20´によって完全に検出されない、動きのたった1度のみが、2つの加速度計20と20´を接続している線によって定義される虚軸R−Rについての回転であることを示唆する。対象のオブジェクトに関するボード22のオリエンテーションによって、そのような回転は、ロール(τ)、ピッチ(φ)あるいはヨー(ψ)において変化するよう対応することができる、しかし2つのセンサデバイスは、すべての3つのタイプの回転を確実に検出するには不適当である。
【0012】
図3は、加速度計センサの出力レスポンス対重力に関するオリエンテーションを、図表を用いて示す。各センサの個々のオリエンテーションが示される場合には、重力加速度は、センサのアレイにおける(in an array of sensors)各センサについての感度の各軸に関して、測定される。図で示されているのは、4つのセンサのアレイ(あるいは、代替的に、異なる時間の4つの異なる位置で図示される単独のセンサ)で、それらのオリエンテーションは、観察できる(センサ上にある白い角の印の位置に注目)。センサのx−y座標面(感度のxおよびy軸によって定義される)は、重力ベクトルに平行であるので、一番上のセンサは、x軸に沿った重力の結果、加速度を除いた、ゼロ出力を示す。アレイの一番下のセンサは同様に、一番上のセンサについてのx軸の逆さ(inversion)の結果、加速度測定が反対の「向き(“sense”)」を備える出力であること以外には、重力加速度のみを示す。アレイの2つのサイドセンサは、それぞれ2つの平行で、しかし反対に向けられている、感度のy軸、に沿って、重力加速度を用いて、一致出力(concordant outputs)を生成する。すべてのセンサ軸は、設計によって互いに垂直であることと、どんなミスアライメント(misalignment)も、加速度測定エラーを結果としてもたらすことと、は注意されるべきである。当然の結果として生じる議論については、センサ軸は、完璧に位置合わせされ、互いに垂直であることと、またセンサ自体が、センサ20のx、y、z軸が完璧にセンサ20´および23のx、y、z軸で位置合わせされているような方法で、面22において位置されることと、が想定される。
【0013】
図3はまた、どのように単独のセンサがセンサのz軸の感度についてのデータを出力するかを示す。図の下のほうの右において、単独のセンサのx−y座標面は、重力ベクトルに垂直である。したがって、xおよびy軸の感度に対応する出力は、0である、しかし、感度のz軸に沿った加速度は、重力加速度の定数g、あるいは、センサのz軸の感度の方向的「向き」をリバースするために、センサが逆にされる場合は、−gと等しい。
【0014】
図5は、2つの3D加速度計20および20´が、線形運動、例えばz軸40に平行である「ドロップ(“drop”)」(おそらくは重力ベクトル)、を検知できるということを示す。そのような状況において、加速度計20と20´は、一般的に平行なベクトル(図で、複数の矢印によって示されている)に沿って、同じ方向に動く、したがって同様の出力を生成する。対照に、図6によって示されているように、2つの加速度計20と20´は、それらが反対に向けられたベクトルに沿って動くので、オリエンテーション(例えば、任意の与えられた虚軸の回転S−Sについての)を検知できる、したがって反対の出力(opposite outputs)を生成する。
【0015】
2つの加速度計システムの感覚欠陥(sensory deficiencies)を克服するために、第3のリニア加速度計23が提供される。第3の加速度計センサ23は、それぞれ、センサ番号1の20からと、センサ番号2の20´からの固定された分離距離において配置され、センサ20と20´の位置によって規定される虚軸R−Rから離れて配置される(すなわち、3つのセンサ20、20´そして23´は、同じ虚の面内にあるが、同一線上に配列されていない)。追加のセンサコンポーネント23は、「6つの軸(“six axis”)」運動、すなわち線形(x,y,z)、回転(τ、φ、ψ)、の観察と区分を可能にする。したがって、図2で示される3つのセンサアレイは、3つの加速度計20、20´、23の配置によって規定される面(例えば、メトリックボード22)のすべての6つの動きの程度を、効果的に検出し、説明することができる。
【0016】
加速度計は、加速度計をすえつけているオブジェクトのオリエンテーションによって重力(force of gravity)を検知するので(図3)、装置(apparatus)の異なる軸は、本開示によると、オブジェクトによって経験された(experienced)任意の他の加速度と重力(gravitational force)の測度を検知し、報告する。本発明については、重力が常に存在していることは注意されるべきである。図4に示されているように、チルト加速度は、角度τのサインと重力(gravitational force)の積から決定される。もし、例えば、加速度計20、20´、あるいは23の感度のx軸に関連する加速度が、axとして表される場合、そのときサインτ=ax/gとなる、なおgは重力(~9.8m/s)による加速度である。それに応じて、x軸におけるチルトの1度(1°)については、
【数1】

【0017】
のx軸に関連する加速度の変化がある。したがって、もしおよそ1度のチルトが観察され、報告される場合には、測定値を生成した加速度計の質は、17.45mgよりもよいものでなければならない。
【0018】
図5を再び参照すると、2つの3D加速度計あるいはセンサ20、20´は、それぞれ3つの感度の軸(x,y,z)を有する。もしz軸40が重力ベクトルに位置合わせされる場合、すべての運動のアブセンスにおいて、センサ番号1の20は、それぞれ0g、0g、および1gの、複数の感度の軸に関連する加速度を経験し報告する、センサ番号2の20´も同様に経験し、報告する。もしz軸40のみに沿った線形運動がある場合、そのときには、センサ20、20´の両方は、0g、0g、az+1gの加速度を報告する、なおazは、z軸40に沿った運動による加速度を表す。他のxおよびy軸に関連する線形の動きおよび加速度は、同じ概念的フレームワーク(conceptual framework)において分析される。
【0019】
角運動(Angular movement)もまた検出され、評価される(evaluated)。もし回転が、図6に示されているように、軸S−S(感度のセンサの軸のうちの1つと平行であるかもしれないし、あるいはないかもしれない)について生じる場合、2つのセンサ20および20´は、図6の複数のまっすぐな矢印によって示されているように、複数の反対の「向き」を有する変化を報告する。軸S−Sについての回転は、センサ番号1の20に、それぞれ0g、0g、およびaz+1gの感度のセンサの軸に関する加速度を経験させ報告させるであろう。反対に、センサ番号2の20´は、それぞれ0g、0g、および-az+1gの感度のそのセンサの軸に関連する加速度を経験し、報告する、またz軸に沿った加速度は、重力加速度から差し引かれている。特に、回転および線形の動きの両方の組み合わせは、z軸に沿った加速度のマグニチュードにおけるアンバランスをひき起こすだろう。それゆえ、もしそれぞれの加速度azのマグニチュードが同じであるとセンサ20、20´によって報告されない場合は、デバイスは、回転および線形の動きの組み合わせを示す。重ねて、当業者は、同じコンセプトが他の直交軸についての回転に適用されることをすぐに理解するだろう。
【0020】
上述のコンセプトを適用し、また、感度のセンサの与えられた軸にτ関連の角度を通じてチルトによる加速度についての式(サインτ=ax/g(あるいはay/g)など)を使用して、各センサ20、20´、23は、特定のセンサが選択される時間のインターバルの間、どのように線形的にあるいは回転的に動いたのかを信号で伝える出力を生成する。述べたように、それぞれの加速度計センサ出力の方向およびマグニチュードは、その後で、位置がモニタされるべきオブジェクトの全体的動作(gross motion)を計算するためにCPUによって、測定され、比較され、対比させられることができる。加速度計20、20´からの出力のみは、知られているアルゴリズムを使用して、全体的なオブジェクト(gross object)が3D空間を通じて平行移動的、非回転運動を経験した(undergone)程度の計算を可能にする、さらに、1つの選択される軸についての回転は、反対の方向的「向き」の出力を生成する2つのセンサ20、20´によって検出され測定されることができるので、3D空間における2自由度における回転(例、「ロール」および「ピッチ」)はまた計算されることができる。
【0021】
第3のセンサ23は、最初の2つのセンサを「接続している」軸R−Rから離れて位置されている、そして軸R−R自体が回転を経験した(undergone)かどうか−すなわち、メトリックボード22、したがって対象のオブジェクトの、測定されていない3自由度における回転的変化(例えば、「ヨー」あるいは「方位」)があったかどうか、を決定するのに十分な出力データを生成する。
【0022】
すべての6自由度(x,y,z,τ,φ,ψ)における変化をモニタする方法は、初期の座標(X,Y,Z)を3つの加速度計20、20´また23のそれぞれに、時間ゼロ(t)において、割り当てることと、またその後で、任意の適して選択される座標系に基づいて、座標における変化をコンピュートすること、を含む。方法にしたがって、各センサ20、20´および23の3D座標は、初期化され、また対象のオブジェクトは、その後で動きがモニタされることを経験することを可能にする。加速度計センサ20、20´および23のそれぞれの出力は、選択される座標系に関する各センサの位置的変化を生成するために、受信され、二重積分方程式への入力として使用される。
【0023】
位置の変化を計算する、すなわち、その後の時間tにおいて単一の与えられたセンサに関連した座標を決定する、ためのアルゴリズムは、以下となる。
【0024】
(1)(X,Y,Z)=(X,Y,Z)+∫∫(ax,ay,az)(t―t
なお、Xは、時間ゼロ(t)における特定のセンサのx座標であり、同様に時間ゼロにおいて、Yはセンサのy座標であり、Zは、センサのz座標である。すべての3つの座標軸に関連する加速度の積分(integration)は、当業者のプログラミングスキル内でプログラムを動作する(running)プロセッシングユニットによって実行されることができる計算法である。他の2つのセンサのそれぞれに関連する、後に続く座標(X,Y,Z)は、同様に式(1)のアルゴリズムを実行することによって、各センサの出力データを入力として使用して、コンピュートされる。対応する座標を備える各センサは、ボード22上で位置される1つの点の3D運動(また一般に面を定義するために3つの点を使用する)を説明するので、時間の関数としてコンピュートされる3つのセンサおよびそれらの対応する座標は、差t―tとして定義される測定ドエル(measurement dwell)の間にわたって、ボード22のオリエンテーションと位置における変化を説明する。
【0025】
図7を参照する。方法の最適パフォーマンスに対して重要なのは、同時的、あるいはほぼ同時的な、すべての加速度計20、20´、23からの測定値の読み出しである。同時的読み出しは、デジタル信号プロセッサと適切なDRAMの手段によって、受信され、記録されることができる。代替実施形態において、測定信号は、受信され、「タイムスタンプされる」(“time stamped.”)ことができる。タイムスタンプされたデータは、その後に続いて、さらなるプロセッシングについて関連づけられることができ、もし必要であれば、ナビゲーションあるいは画像安定化システムにおいて用いられているもののような、任意の様々な、知られている動き検出アルゴリズム(motion detection algorithms)への組み込みについても関連づけられることができる。図7は、分離センサ20、20´、23が、データをプロセッサ32に、共通クロック(common clock)34との動作関連において、センサ20、20´、23から分かれて受信されるデータの座標の「データスタンピング」を提供するように、データを提供できるということを示す。単一のレファレンスクロックを有することによって、正確で相対的なタイムスタンピングが成し遂げられることができる。プロセッサ32は、センサ20、20´、23から加速度測定データを要求し、受信する。センサレスポンスにおける相対的な遅延がある可能性があるので、プロセッサ32は、タイムスタンプを、センサ20、20´、23からの個々の測定値に、リファレンスクロック34にしたがって、割り当てる。これらのタイムスタンプは、そのときに、測定値を相互に関連させるために使用され、オプションとして、センサ20、20´および23から個々の加速度計測定値を、共通時間(common time)に、補間する(interpolate)ように使用される。オプションとして、プロセッサ32はまた、測定ノイズを減らすために未処理の測定値をフィルタリングし、未処理センサ測定値を積分し、補間するローパス(low pass)、あるいは動きの検出および伝播に利益があると考えられ得る任意の他の機能、のようないくつかの測定処理を実行することができる。
【0026】
前述の例について、個々の人間は、その動きがモニタされるべきオブジェクトとして考えられることができる。人間の動きは、約10Hzの範囲内にあると推測されることができる。したがって、100Hzアップデートレートにおいてセンサ20、20´、23を動作することは、測定されモニタされる動きの帯域幅の10倍において10ミリ秒ごとに測定値を引き起こすであろう。タイムスタンピングは、それゆえに、複数のセンサ20、20´、23からの測定を適切に位置合わせするために、5ミリ秒より低い正確度(accuracy)で行なわれるべきである。特に、絶対時間(absolute time)は決定的ではない、なぜならそこにあるどんなエラーもすべてのセンサからの測定値に対して共通(common)となるであろう。追跡されるプラットフォームの動力(dynamics)が高いほど、より高いサンプリングレートが動きを検知し、説明するのに必要とされる、すなわち、よりよいタイムスタンピングが必要とされている。しかし、とても好ましくは、同じクロックが、異なるセンサから測定値をタイムスタンプするために使用されている。
【0027】
図8は、例えば、画像安定化ルーチンにおいて、使用されることができるような開示方法の典型的なアプリケーションについての呼び出しフローをオファする。アプリケーションを開始するとき、クロック34は、システムについての共通タイミングを初期化するためにリセットされる。クロックのリセットを同時的に、あるいはとてもすぐ後にすると、いくつかの選択される時間ゼロ(t)において、すべてのセンサ20、20´、23についての座標は、初期化される、例えば、センサ番号1の20の座標は(x,y,z)に初期化され、センサ番号2の20´の座標は、(x,y,z)に初期化され、センサ番号3の23の座標は(x,y,z)に初期化される。アプリケーションが作動すると、センサ1の20の完全な角および線形の動き(もしあれば)は検出され、測定され、プロセッサ32に送信される、それによってセンサ1の20についてのデータはタイムスタンプされ、記録される。センサ番号2の20´の完全な動き(もしあれば)も同様に検出され、測定され、プロセッサ32に送信される、またセンサ2の20´についての受信されるデータはまた、タイムスタンプされ、記録される。測定記録およびタイムスタンピングは、プロセッサ32によって制御されるサンプリングレートにおいて実行される。
【0028】
図8を引き続いて参照すると、正確なデータ処理は、各測定値を得るために必要な時間が好ましくは説明されることを必要とすることがわかる。したがって、プロセッサ32は、時間インターバル、あるいはセンサ番号1の20の測定ドエル、と同様にセンサ番号2の20´の測定ドエルについての「デルタ(“delta”)」を、時間の期間の間(平行移動的および/または回転的運動が生じている可能性がある)に、コンピュートする。測定ドエルは、測定サンプリングレートによって規定され、t―tと等しい、なおtは、前の測定のタイムスタンプであり、tは、現在の測定のタイムスタンプである。十分な観察期間(full observation period)は、複数のドエル期間から成り立っており、位置的および回転的変化は、十分な観察期間にわたって、時間のこの期間の間に起こったすべての動きを説明するために、積分されなくてはならない。例えば、100Hzサンプリングレートにおいて、それぞれが10ミリ秒持続時間の100ドエルが、1秒の観察期間内にオブジェクトの線形および回転的位置における変化を生成するために、積分されることができる。
【0029】
センサ番号1の20についての位置座標は、その後で、上の式(1)を使用して、時間tにおいて、計算される。センサ番号2の20´の位置座標は、コンピュートされる。
【0030】
最後に、センサ番号3の23によって提供される、動きの検出および測定は、6自由度、観察、およびプロセッシングについて同様に処理されることができる。(x,y,z,τ,φ,ψ)におけるどんな変化も、センサ20、20´および23についての時間t1における「新しい」座標(すなわち、(x,y,z)、(x,y,z)および(x,y,z))の完全な決定(complete determination)を可能にする、センサ1および2の、20、20´および、センサ3の23の座標によって定義される面22の位置をコンピュートし、アップデートし、記憶するために使用される。このプロセスは、動きが潜在するアプリケーション(underlying application)について観察される必要がある間に、繰り返される。新しいアプリケーションは、その後で、再びセットされるクロック、再初期化されるセンサ20、20´および23についての座標と望まれるように繰り返される方法で再開されることができる。
【0031】
当業者は、情報および信号は、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表わされることができるということを、理解するであろう。例えば、上記の説明をとおして参照されることができる、データ、インストラクション、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場あるいは磁性粒子、光場あるいは光学粒子、あるいはそれらの任意の組合せによって表わされることができる。
【0032】
当業者は、様々な説明のための論理ブロック、モジュール、回路、および、ここに開示された実施形態に関連して説明されたアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアあるいは両方の組合せとしてインプリメントされることができる、ということをさらに理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明瞭に説明するために、様々な説明のためのコンポーネント、ブロック、モジュール、回路およびステップが、一般に、それらの機能性という観点から、上記に説明されてきた。そのような機能性が、ハードウェアあるいはソフトウェアとしてインプリメントされるかどうかは、特定のアプリケーションと全体のシステムに課された設計制約(design constraints)に依存する。熟練職人は、各特定のアプリケーションについての様々な方法で、説明された機能性をインプリメントすることができるが、そのようなインプリメンテーションの決定は、本発明の範囲からの逸脱を生じさせるものとして解釈されるべきでない。
【0033】
ここに開示された実施形態に関連して説明された様々な説明のための論理ブロック、モジュールおよび回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)あるいは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートあるいはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいはここに説明された機能を実行するために設計されたそれらの任意の組み合わせで、インプリメントあるいは実行されることができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいはステートマシン(state machine)であってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイス(computing devices)の組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用しての1つ以上のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成のもの、としてインプリメントされてもよい。
【0034】
ここに開示された実施形態に関連して説明された方法あるいはアルゴリズムのステップは、ハードウェアにおいて、プロセッサによって実行されたソフトウェアモジュールにおいて、あるいはこれら2つの組み合わせにおいて、直接的に具現化されることができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROMあるいは当技術分野において知られている記憶媒体の任意の他の形態において常駐する(reside)ことができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ることができ、また記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。別の方法では、記憶媒体は、プロセッサと一体化していてもよい。プロセッサと記憶媒体は、ASICにおいて常駐していてもよい。ASICは、ユーザ端末に常駐していてもよい。あるいは、プロセッサと記憶媒体は、ユーザ端末におけるディスクリートコンポーネントとして常駐することができる。
【0035】
開示された実施形態の、以上の説明は、いずれの当業者も本発明を作り、使用することができるように提供される。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者にとって容易に明らかであろう、そして、ここにおいて定義された包括的な原理は、本発明の精神あるいは範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されることができる。したがって、本発明は、ここに示された実施形態に限定されるようには意図されておらず、ここに開示された原理および新規な特徴に整合する最も広い範囲が与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、ローカル水平面に関して、図示された選択された座標軸と共に、示された、先行技術の加速度計あるいは「チルト」センサの透視図である。
【図2】図2は、動き6自由度に関しての加速度を測定することにおいて使用されるメトリックボード上に、3つの加速度計センサがある、本開示の一態様を示す。
【図3】図3は、垂直に位置合わせされた4つの加速度計のアレイと各センサの軸に対応する出力データとを示し、そしてまた、一方が他方に対して逆さにされている、水平に位置合わせされた2つのセンサを、同様に、対応する出力データと共に、示す。
【図4】図4は、与えられた角のチルトτに対応する座標系のX軸上での加速度における、変化の決定を示す幾何学図である。
【図5】図5は、線形平行移動を経験するメトリックボード上での、2つの加速度計タイプセンサの出力の向きを示す。
【図6】図6は、軸S−Sについて回転を経験するメトリックボード上での、2つの加速度計タイプのセンサの対抗する出力の向きを示す。
【図7】図7は、3つの加速度計センサと1つのクロックとMPROCの組合せとの間の動作する接続を示している簡単な概略図である。
【図8】図8は、本開示の方法の一態様を図示しているフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6自由度のオブジェクトのオリエンテーションにおける変化および動きを測定するための方法であって、
前記オブジェクト上に、虚軸上に配置された第1および第2のリニア加速度計を準備することと、
前記オブジェクト上に、前記虚軸から離れて配置された第3のリニア加速器を配置することと、
前記第1および第2のリニア加速度計を用いて、x−y−z座標系に関する前記オブジェクトの線形運動を測定することと、
前記第1および第2のリニア加速度計を用いて、2つの軸の回転に関するオブジェクトの角回転を測定することと、
前記x−y−z座標系に関する前記虚軸の任意の運動を、前記第3のリニア加速器の少なくとも1つの出力から決定することと、
のステップ、を備えている方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−528547(P2009−528547A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557530(P2008−557530)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/064113
【国際公開番号】WO2007/127537
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】