説明

センサー内蔵型電子キャンドル

【課題】点灯から消灯まであたかも普通のろうそくであるかのような取り扱いができるセンサー内蔵型電子キャンドルを提供する。
【解決手段】磁石をセンサー内蔵型電子キャンドル10の透孔1aの近傍に近づけると、本体筒部1内の磁気センサー4が磁石の接近を検知し、LED2が点灯される。また、LED2の点灯後、音センサー3からの音検知信号の基準値との差または変化の大きさに応じてLED2の発光パターンおよび発光強度が変化される。さらに、透孔1aから強く息を吹き付けると、音センサー3からの所定レベル以上の音検知信号に基づいてLED2が消灯される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサー内蔵型電子キャンドルに関し、特に発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の半導体発光素子でなる光源でろうそくの炎のゆらぎを模擬するセンサー内蔵型電子キャンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、電気的光源でろうそくの炎を模擬し、あたかもろうそくが点灯されているが如き発光を人工的に得るようにした光源駆動装置がすでに知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−326299号公報(第4−5頁、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術では、電源コードを連ねてランプを設置したり、気の利いたものでもせいぜい手が触れると点灯したり、センサーで消灯したりと、ただのランプの域を出ていない、通常のろうそくとはおよそかけ離れたものばかりであった。
【0004】
本発明の目的は、点灯から消灯まであたかも普通のろうそくであるかのような取り扱いができるセンサー内蔵型電子キャンドルを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
請求項1記載のセンサー内蔵型電子キャンドルは、光源としての半導体発光素子と、磁石の接近を検知する磁気センサーと、前記磁気センサーからの磁石検知信号に基づいて前記半導体発光素子の駆動を開始する半導体発光素子制御手段とを有することを特徴とする。請求項1記載のセンサー内蔵型電子キャンドルによれば、磁石を接近させると、磁気センサーがこれを検出し、半導体発光素子が点灯する。これにより、マッチを模した磁石を、あたかも火をろうそくに近づけるようなやり方で、センサー内蔵型電子キャンドルを点灯させることができる。
【0006】
請求項2記載のセンサー内蔵型電子キャンドルは、光源としての半導体発光素子と、磁石の接近を検知する磁気センサーと、外部音を採音する音センサーと、前記磁気センサーからの磁石検知信号に基づいて前記半導体発光素子の駆動を開始し、前記音センサーからの所定レベル以上の音検知信号に基づいて前記半導体発光素子の駆動を停止する半導体発光素子制御手段とを有することを特徴とする。請求項2記載のセンサー内蔵型電子キャンドルによれば、磁気センサーからの磁石検知信号に基づいて半導体発光素子の発光を開始し、音センサーからの所定レベル以上の音検知信号に基づいて半導体発光素子の発光を停止することができる。これにより、マッチを模した磁石を、あたかも火をろうそくに近づけるようなやり方で、センサー内蔵型電子キャンドルを点灯させることができるとともに、炎を吹き消すように、息を吹き付けるだけで、センサー内蔵型電子キャンドルを消灯させることができる。
【0007】
請求項3記載のセンサー内蔵型電子キャンドルは、請求項1または請求項2記載のセンサー内蔵型電子キャンドルにおいて、前記半導体発光素子制御手段が、前記音センサーからの所定レベル以下の音検知信号に応じて前記半導体発光素子の発光をゆらぎ制御することを特徴とする。請求項3記載のセンサー内蔵型電子キャンドルによれば、音センサーからの所定レベル以下の音検知信号に応じて半導体発光素子の発光をゆらぎ制御することにより、自然なろうそくの炎の発光を模擬することができる。例えば、風が弱いときには光がかすかにゆらぎ、風が強いときには光が大きくゆらぐというような制御を行うことができる。また、炎に弱く息を吹きかけたときにも炎がゆらぐというような制御を行うことができる。
【0008】
請求項4記載のセンサー内蔵型電子キャンドルは、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセンサー内蔵型電子キャンドルにおいて、前記音センサーが本体筒部における前記半導体発光素子の下位に配設され、かつ前記音センサーの配置位置の近傍の前記本体筒部に透孔が穿設されており、前記半導体発光素子に向かって吹き付けた風や息を前記透孔を通じて前記音センサーが検知することを特徴とする。請求項4記載のセンサー内蔵型電子キャンドルによれば、音センサーに通じる透孔を設けたことにより、弱い風や息でも検知することが可能になり、自然なろうそくの炎の特性をより良く模擬することが可能となる。
【0009】
請求項5記載のセンサー内蔵型電子キャンドルは、請求項1ないし4記載のセンサー内蔵型電子キャンドルにおいて、充電池と、前記充電池の電圧を昇圧して前記半導体発光素子制御手段に給電する昇圧回路と、前記充電池への充電中に前記昇圧回路から前記半導体発光素子制御手段への給電をシャットダウンさせる充電回路とを含むことを特徴とする。請求項5記載のセンサー内蔵型電子キャンドルによれば、充電池を内蔵したことにより、手軽に持ち運べるという自然のろうそくと同じ特性を電子キャンドルで実現することができる。これにより、ユーザはセンサー内蔵型電子キャンドルを、配線を気にすることなくどこにでも持ち運んで使用することができる。また、充電池の充電中には、充電回路の昇圧動作が停止されるので、電力消費を低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
点灯から消灯まであたかも普通のろうそくであるかのような取り扱いができるという目的を達成するために、光源としての半導体発光素子と、磁石の接近を検知する磁気センサーと、外部音を採音する音センサーと、磁気センサーからの磁石検知信号に基づいて半導体発光素子の駆動を開始し、音センサーからの所定レベル以上の音検知信号に基づいて半導体発光素子の駆動を停止する半導体発光素子制御手段とを設けるようにした。
【実施例1】
【0011】
次に、本発明の実施例1に係るセンサー内蔵型電子キャンドル10について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係るセンサー内蔵型電子キャンドル10の構成を示す縦断面図である。図2は、センサー内蔵型電子キャンドル10の斜視図である。図3は、センサー内蔵型電子キャンドル10の拡大底面図である。
【0013】
本実施例1に係るセンサー内蔵型電子キャンドル10は、本体筒部1と、半導体発光素子としてのLED2と、風や音を検知する音センサー3と、磁石50(図5参照)の接近を検出する磁気センサー4と、LED2の発光を制御する制御基板5と、LED2,制御基板5等に電源を供給する充電池6と、本体筒部1の底面部に設けられたアダプタージャック7と、本体筒部1の底面開口を塞ぐ底蓋8とから構成されている。
【0014】
本体筒部1は、透光性または半透光性を有するプラスチック等で有蓋の円筒体状に形成され、上部中程にLED2を収納配設している。このため、LED2が点灯すると、LED2の発光を円筒体壁を通して視認することができる。
【0015】
LED2は、電流に基づいて発光量を制御可能な半導体発光素子である。
【0016】
音センサー3は、コンデンサマイクロフォンでなり、本体筒部1の中に組み込まれたLED2の真下に配置されている。音センサー3に消費電力が非常に小さいコンデンサマイクロフォンを使用したことにより、充電池6だけでLED2の起動の検知,発光パターンの制御などを行うことが可能になる。なお、従来の風センサーは、一般的に熱線式で、風センサーを加熱するために大きな電力が必要であった。
【0017】
音センサー3の配設位置の周囲の本体筒部1には、複数(例えば4つ)の小さな透孔1aがあけられている。このため、音センサー3は、本体筒部1の表面に当たった風が小さな透孔1aを通して本体筒部1内で乱気流となって発生する音を検知することが可能となる。また、本体筒部1に当たった風の風速が本体筒部1の表面で変化することによる圧力変動を、小さな透孔1aを通して本体筒部1の内部に伝達することができる。このため、LED2に向かって吹き付けた風や息に反応するようにして、自然のろうそくの炎に近い感じを出すことが可能になる。
【0018】
磁気センサー4は、ホール素子等で形成されていて、本体筒部1内の音センサー3の直下に配設されている。
【0019】
制御基板5は、フレキシブルプリント基板で形成されていて、本体筒部1内の中程に収納配設されている。制御基板5は、図4に示すような回路を搭載している。
【0020】
充電池6は、ニッケル水素充電池等で形成されており、本体筒部1内の制御基板5の下位に配設されている。
【0021】
アダプタージャック7は、家庭用電源に電源コードを接続された充電器(図示せず)からのプラグを挿入する端子である。
【0022】
底蓋8は、図3に拡大して示すように、本体筒部1の下端開口に螺着できるようになった円盤体で形成されており、前記充電器(図示せず)からのプラグを挿入できるように中央部にアダプタージャック7が取り付けられている。また、ねじ回し,硬貨等の工具によって本体筒部1の下端開口部から取り外せるように、底蓋8の表面には溝8aが切られている。
【0023】
図4は、センサー内蔵型電子キャンドル10の回路ブロック図である。この回路は、既述した制御基板5に搭載されている。詳しくは、制御基板5は、音センサー3からの音検知信号を入力するバンドパスフィルタ41と、バンドパスフィルタ41を透過した音検知信号を全波整流する全波整流器42と、全波整流器42で全波整流された音検知信号を入力するワンチップマイコン43と、磁石50(図5参照)の接近を検出してワンチップマイコン43に出力する磁気センサー4と、ワンチップマイコン43からの駆動制御信号に基づいてLED2を電流駆動するLEDドライバ45と、充電回路48から逆流阻止ダイオード47を介して、または介することなしに接続され、バンドパスフィルタ41,全波整流器42,ワンチップマイコン43およびLEDドライバ45に動作電圧を供給する昇圧回路49とを含んで構成されている。
【0024】
バンドパスフィルタ41は、音センサー3で検出された音検知信号を通すことにより、検知された音や風の圧力変動から不必要な成分を除去することができる。これにより、ワンチップマイコン43は、周囲の雑音などには反応しないようになり、自然な発光パターンの制御が表現できる。例えば、10Hz〜100Hz等のバンドパスフィルタ41が使用される。
【0025】
全波整流器42は、バンドパスフィルタ41から入力される音検知信号の電圧の、正負に関係なく正の絶対電圧を得る回路である。
【0026】
ワンチップマイコン43は、図示しないCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),I/O(Input/Output)等を含む周知のマイクロコンピュータで形成され、磁気センサー4からの磁石検知信号に基づいてLED2の駆動をLEDドライバ45に開始させ、音センサー3からの所定レベル以上の音検知信号に基づいてLED2の駆動を停止する半導体発光素子制御手段としての役目をする。また、音センサー3からの所定レベル以下の音検知信号に応じてLED2の発光をLEDドライバ45にゆらぎ制御させる半導体発光素子制御手段としての役目をする。
【0027】
LEDドライバ45は、LED2を電流駆動して発光させる。
【0028】
充電回路48は、アダプタージャック7を通じて充電器(図示せず)から供給される充電電流を逆流阻止ダイオード47を介して充電池6に供給することにより、充電池6を充電する。なお、充電池6の充電中には、電力消費を低下させるために、充電回路48は、シャットダウン信号を昇圧回路49に出力して昇圧動作を停止させる。なお、通常は充電回路48の電圧の方が充電池6の電圧より高いが、万が一に充電池6から充電回路48に電流が逆流するのを防止するために逆流阻止ダイオード47が設けられている。
【0029】
昇圧回路49は、充電池6の電圧を昇圧して、バンドパスフィルタ41,全波整流器42,ワンチップマイコン43およびLEDドライバ45に動作電圧を供給する。
【0030】
図5(a)および(b)は、センサー内蔵型電子キャンドル10の使用状態を説明する斜視図である。図5(a)および(b)中に示すように、本体筒部1の下端部に附属品である設置型ホルダー60を取り付けることにより、センサー内蔵型電子キャンドル10を机等の上に設置することができる。また、図示しない壁掛け型のホルダーを使用することにより、センサー内蔵型電子キャンドル10を壁に掛けて使用することもできる。
【0031】
次に、このように構成された実施例1に係るセンサー内蔵型電子キャンドル10の動作について説明する。
【0032】
ユーザが、図5(a)に示すように、自然なろうそくの点火を模倣して、例えばマッチ形状の磁石50をセンサー内蔵型電子キャンドル10の透孔1aの近傍に近づけると、磁気センサー4が磁石50の接近を検知し、磁石検知信号をワンチップマイコン43に入力する。
【0033】
ワンチップマイコン43は、磁石検知信号を入力すると、LEDドライバ45を駆動してLED2に通電し、図5(b)に示すように、LED2を点灯させる。LED2が点灯すると、その光があたかもろうそくの炎のように透光性または半透光性を有する本体筒部1上に映し出される。
【0034】
LED2の点灯後、音センサー3からの音検知信号がバンドパスフィルタ41を通して全波整流器42で全波整流されてワンチップマイコン43に入力されるので、ワンチップマイコン43は、入力された音検知信号と基準値との差または音検知信号の変化の大きさに応じてLEDドライバ45を制御し、LED2の発光パターンおよび発光強度を変化させる。これにより、LED2は、擬似的な1/fゆらぎパターンを用いた発光パターンおよび発光強度で発光を制御される。例えば、透孔1aから音センサー3がわずかな空気の流れを検知すると、LED2の発光輝度が変化し、あたかも炎がゆらいでいるような状態を演出することができ、視覚効果が高まる。
【0035】
最後に、ユーザが、自然なろうそくの消灯を模倣して、例えば透孔1aに強く息を吹き付けると、音センサー3からの所定レベル以上の音検知信号がバンドパスフィルタ41を通して全波整流器42で全波整流されてワンチップマイコン43に入力されるので、ワンチップマイコン43は、入力された音検知信号と基準値との差または音検知信号の変化の大きさに応じてLEDドライバ45を制御し、LED2を消灯させることができる。
【0036】
実施例1によれば、センサー内蔵型電子キャンドル10を点灯から消灯まであたかも普通のろうそくのように使用することができ、内部のLED2が点灯して光が浮かび上がったときと、その光がゆらいだときと、その光が消えたときとでは、雰囲気が大きく変化する。このため、心を癒されるような自然なろうそくの炎のゆらぎと同じ光のゆらぎを得ることができ、他に追随を許さない電子キャンドルを得ることができる。また、火による燃焼を伴わないので、安全かつ経済的に使用することができる電子キャンドルを得ることができる。
【0037】
以上、本発明の実施例1を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、実施例1では、半導体発光素子としてLED2を使用するようにしたが、半導体レーザー等の他の種類の半導体発光素子を使用することもできる。また、本体筒部を円筒体としたが、角筒体,球体,多面体等の他の形状とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1に係るセンサー内蔵型電子キャンドルの縦断面図。
【図2】図1のセンサー内蔵型電子キャンドルの斜視図。
【図3】図1のセンサー内蔵型電子キャンドルの拡大底面面。
【図4】図1のセンサー内蔵型電子キャンドルの回路ブロック図。
【図5】図1のセンサー内蔵型電子キャンドルは使用状態説明図であり、(a)はセンサー内蔵型電子キャンドルを点灯する図、(b)は点灯したセンサー内蔵型電子キャンドルを図示する図。
【符号の説明】
【0040】
1 本体筒部
2 発光ダイオード
3 音センサー
4 磁気センサー
5 制御基板
6 充電池
7 アダプタージャック
8 底蓋
10 センサー内蔵型電子キャンドル
41 バンドパスフィルタ
42 全波整流器
43 ワンチップマイコン
44 磁気センサー
45 LEDドライバ
47 逆流阻止ダイオード
48 充電回路
49 昇圧回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としての半導体発光素子と、
磁石の接近を検知する磁気センサーと、
前記磁気センサーからの磁石検知信号に基づいて前記半導体発光素子の駆動を開始する半導体発光素子制御手段と
を有することを特徴とするセンサー内蔵型電子キャンドル。
【請求項2】
光源としての半導体発光素子と、
磁石の接近を検知する磁気センサーと、
外部音を採音する音センサーと、
前記磁気センサーからの磁石検知信号に基づいて前記半導体発光素子の駆動を開始し、前記音センサーからの所定レベル以上の音検知信号に基づいて前記半導体発光素子の駆動を停止する半導体発光素子制御手段と
を有することを特徴とするセンサー内蔵型電子キャンドル。
【請求項3】
前記半導体発光素子制御手段が、前記音センサーからの所定レベル以下の音検知信号に応じて前記半導体発光素子の発光をゆらぎ制御する請求項1または2記載のセンサー内蔵型電子キャンドル。
【請求項4】
前記音センサーが本体筒部における前記半導体発光素子の下位に配設され、かつ前記音センサーの配置位置の近傍の前記本体筒部に透孔が穿設されており、前記半導体発光素子に向かって吹き付けた風や息を前記透孔を通じて前記音センサーが検知する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセンサー内蔵型電子キャンドル。
【請求項5】
充電池と、前記充電池の電圧を昇圧して前記半導体発光素子制御手段に給電する昇圧回路と、前記充電池への充電中に前記昇圧回路から前記半導体発光素子制御手段への給電をシャットダウンさせる充電回路とを含む請求項1ないし請求項4のいずれかの1項に記載のセンサー内蔵型電子キャンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−351360(P2006−351360A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176173(P2005−176173)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000002266)シルバー精工株式会社 (17)
【出願人】(595047167)株式会社ハーズ実験デザイン研究所 (1)
【Fターム(参考)】