説明

センサ制御装置

【課題】センサ制御装置において、設定忘れにより動作しない恐れを解消した安全装置が望まれる。
【解決手段】小型実装のできる半導体歪センサをはじめとする歪センサを備え、該歪センサが検出した振動パターンの特徴パラメータを求め、所定値または登録された特徴パラメータと比較する。これにより、前記振動の発生元が子供であると判定された場合には、センサ制御装置が有する機能の一部をロックし、例えば開閉扉の自動開閉機能をロックする。また個人を特定した場合には、センサ制御装置の設定を特定された人に適した設定とする。地震や人の転倒による振動であると判定された場合には、その旨を通知する。センサ制御装置自身が発生する振動の影響を除去して前記判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ制御装置に係り、特に生活環境における安全性を向上したセンサ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生活環境における安全性を向上するため、民生用の電化製品及び情報機器においては、例えば子供や高齢者を対象とした事故防止のための方策が考えられている。
自動扉を有する冷蔵庫では、例えば所定の押しボタンを数秒間押し続けることにより自動的な開閉機能を停止させ、いたずらによる扉の開閉を阻止する例がある。また、自動扉を有さない冷蔵庫で使用するためのドアストッパも市販されている。
洗濯機では、やはり所定の押しボタンを数秒間押し続けることで蓋をロックし、水を入れた洗濯層に子供が転落する事故を防止する例がある。この種のロックは通称でチャイルドロックと呼ばれる。
【0003】
一方、人や動物を識別する装置の分野では、これらが動くことで発生する振動を検出して個体を識別する方法が開発されている。
例えば人や動物が歩行時に発生する振動を検出し周波数分析を行った場合、人により、或いはその人の履物により、分析結果に明確な違いがあることが知られている。その振動は、例えばドアを閉じた時の衝撃音とは明確な違いがあることも知られている。このため、振動を分析することにより、雑音に妨げられることなく行動中の人を特定できるようになってきた。
【0004】
これらの技術を応用した例として、次にあげるシステムや装置がある。
特許文献1においては、室内空間の歩行面に与えられる振動を検出して、取得された振動情報と予め記憶されている固有振動情報が一致しない場合に、通報信号を発生するセキュリティシステムを開示している。
特許文献2においては、動物が発生する振動を検出して動物の個体を正確に識別する装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−304955号公報
【特許文献2】特開2000−193520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷蔵庫の扉の自動開閉を停止させ、洗濯機の蓋をロックさせるには、従来は前記したような押しボタンによる設定が必要であるために操作が煩わしく、さらにはユーザが設定を忘れるという問題があった。
一方、前記したような振動を検出するためのデバイスとして、歪ゲージ、或いは歪センサと呼ばれる検出デバイスが以前から使われていた。多くは金属箔を備えており、該金属箔が例えば圧力を受けたことによる電気抵抗の変化に応じて歪を検出していた。しかし、従来の歪センサは大きさが長手方向に数センチメータ程度あり、また電気抵抗の変化を示す微弱な信号を増幅するための増幅器を外付けする必要があった。このため、例えば民生用の製品に使用するうえでは、必ずしも適したデバイスとは言えなかった。
【0007】
これに対して、最近では半導体歪センサと呼ばれる新しい検出デバイスが実用化の段階にある。半導体歪センサは、半導体チップのピエゾ抵抗の変化に応じて歪を検出するデバイスである。半導体チップは、例えば2〜3ミリメータ角の大きさであって、歪検出部のみならず、前記した増幅器、及び歪検出値をデータ化するAD変換器を内蔵している。前記半導体チップは、10ミリメータ角程度の小型基板に搭載されて使用される。このため、小型で狭い場所に取付けることができ、また量産効果により低価格化することもでき、民生用の製品への広範囲な応用が期待されている。
【0008】
しかし、実際の応用方法については今後の展開が待たれている段階である。例えば、安全性の向上に寄与するための応用については、これからの開発が待たれている。
本発明の目的は前記した状況に鑑み、生活環境における安全性を向上したセンサ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は、外部から与えられた振動に応じて機能を制御するセンサ制御装置であって、前記振動を検出し該振動に応じた検出信号を出力する歪センサと、該歪センサが出力した前記検出信号が供給され該検出信号を分析して前記振動の特徴パラメータを検出し前記センサ制御装置の全体の動作を制御する制御部と、該制御部により動作制御され前記センサ制御装置の主なる機能を実行する主機能部を有することを特徴としている。
【0010】
また本発明は、外部から与えられた振動に応じて機能を制御するセンサ制御装置であって、前記振動を検出し該振動に応じた検出信号を出力する歪センサと、該歪センサが出力した前記検出信号が供給され該検出信号を分析して前記振動の特徴パラメータを検出し前記センサ制御装置の全体の動作を制御する制御部と、該制御部により動作制御され前記センサ制御装置の主なる機能を実行する主機能部と、前記制御部により動作制御され前記センサ制御装置の機能の一部をロックする機能ロック部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生活環境における安全性を向上したセンサ制御装置を提供でき、例えば子供や高齢者の事故防止に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施例におけるセンサ制御装置の第1のブロック図である。
【図2】一実施例におけるセンサ制御装置の第1の見取り図である。
【図3】一実施例におけるセンサ制御装置の第2の見取り図である。
【図4】一実施例におけるセンサ制御装置の第3の見取り図である。
【図5】一実施例における振動の特徴パラメータ検出方法のフロー図である。
【図6】一実施例における振動の周波数特性の例を示す図である。
【図7】一実施例における周波数軸上の特徴パラメータの一例を示す図である。
【図8】一実施例における振動の包絡線波形の一例を示す図である。
【図9】一実施例における検出結果の報知方法のフロー図である。
【図10】一実施例におけるセンサ制御装置の第4の見取り図である。
【図11】一実施例におけるセンサ制御装置の第2のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて説明する。
本実施例においては、人が移動した際に発生した振動を歪センサで検出し、これを分析して得た振動パターンに応じて、適応的にセンサ制御装置の一部を制御することを特徴としている。具体的な一例をあげれば、分析して得た振動パターンから子供が歩いて接近していることが分かった場合には、センサ制御装置の一部の機能を制限または停止して、子供を危険から守ることを特徴としている。
【0014】
図1は、一実施例におけるセンサ制御装置1の第1のブロック図である。ここでセンサ制御装置1とは、例えば前記した半導体歪センサに代表される歪センサ12により制御される装置である。もちろん、歪センサ12は半導体歪センサに限定されるものではない。センサ制御装置1は、同時に洗濯機、冷蔵庫、キッチンコンロ、空調装置、湯沸しポットをはじめとした民生用の電化製品であって良い。
【0015】
制御部11は、センサ制御装置1の全体の動作制御を行うためのCPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)を有する。制御部11は、主機能部15に制御信号を供給することにより、センサ制御装置1が洗濯機であれば例えば洗濯用ドラムを回転制御し、冷蔵庫であれば冷却サイクルを動作制御し、湯沸器や空調装置であれば加熱部、或いは冷却部を動作制御する。
【0016】
さらに制御部11は、歪センサ12にクロックを送ることで、例えば所定の時間周期おきに歪センサ12が検出した振動データを供給される。制御部11が前記振動データの振幅を検出し、これが所定値よりも大きい場合に前記主機能部15を停止させるような制御があっても良い。以下の実施例では、制御部11が前記振動データを分析して、例えばメモリ14に登録された振動パターンを参照して振動を発生した人を特定し、この結果に応じて機能ロック部13にロック制御信号を供給することにより、センサ制御装置1における所定の機能をロックする場合を説明する。
【0017】
機能ロック部13がロックする所定の機能とは、例えば冷蔵庫においては自動扉の開閉機能である。洗濯機においてはチャイルドロックと通称される洗濯層の扉の開閉機能である。空調装置においては温度設定や風量を調整するための操作パネルの機能である。キッチンコンロや湯沸ポットでは操作部の機能を無効とする以外に、電源を切断して全ての機能を停止しても良い。
図1において、主機能部15を動作制御するための構成要素を制御部11とは別に有し、例えば別な半導体デバイスを備えていても良い。
【0018】
図2は、一実施例におけるセンサ制御装置1の第1の見取り図であり、センサ制御装置1はドラム式洗濯機である場合を示す。2は移動中の人物であり、ここでは図中の矢印の方向に移動しており、例えば矢印の下側に記したような振動を時間軸方向に発生しているものとする。
【0019】
センサ制御装置1は、例えば設置される床面に接した脚に歪センサ12を有している。これにより、床面を伝わった振動が感度良く検出される。即ち歪センサ12は、センサ制御装置1の据付部の近傍に取付けられると良い。歪センサ12は、人物2が移動することにより発生する振動を検出して検出データを制御部11に供給する。制御部11は、供給されたデータを後に詳しく説明するように分析して、人物2を特定する。例えば近づいている人物2が子供である場合には、ドラム式洗濯機の扉が開いた場合に洗濯層への転落が危惧される。この際には、制御部11は機能ロック部13に指示して、扉13Aが開かないようにロックさせる。図示するように、機能ロック部13が扉を開閉するための押しボタンを兼ねている場合には、押しボタンに応じて通常は発生される制御信号を、発生しないようにする。なお、後記するように制御部11は、人物2がセンサ制御装置1に対して近づいているか、遠ざかっているかを判定することができる。後者の場合は特に危険はないため、扉のロックを行わないようにすれば無駄な動作を回避することができる。
【0020】
図3は、一実施例におけるセンサ制御装置1の第2の見取り図であり、センサ制御装置1は大型冷蔵庫である場合を示す。図示の大型冷蔵庫は、一例として6個の扉13B〜13Gを有している。機種によっては、これらの扉の内いくつかが例えば押しボタン式の自動扉であるため、子供が興味本位で開閉する問題がある。
【0021】
センサ制御装置1が自動扉付きの冷蔵庫であれば、少なくも自動扉をロックするための機能ロック部13(図3では図示せず)を、例えば冷蔵庫の内部に設ける。近づいている人物2が子供である場合には、機能ロック部13が扉の自動開閉機能を停止させる。或いは、機能ロック部13が扉を開閉するための押しボタン(図3では図示せず)を兼ねる場合には、押しボタンに応じて通常は発生される制御信号を、発生しないようにする。これにより興味本位のいたずらで扉が開いて冷蔵庫内の温度が上昇し、或いは扉に手を挟まれる問題を解消することができる。自動ではない扉、自動扉を有さない冷蔵庫の扉においては、子供が近づく場合には扉をロックすることにより、手動でも開かないようにしても良い。
【0022】
センサ制御装置1が空調装置であれば、操作パネルの機能を無効とすることで、いたずらによる操作を阻止することができる。センサ制御装置1がキッチンコンロや湯沸しであれば、操作部の機能を無効とし、或いは電源を切断して全ての機能を停止することで危険を回避することができる。子供に限ることなく、人物2が障碍のある高齢者である場合にも、同様にして人物を特定することにより危険を回避し、或いは装置に無駄な動作をさせることを防ぐ効果がある。また、これまでの実施形態のいずれにおいても、例えば従来のチャイルドロック機能とは異なり、ロックを忘れることによる事故の発生を防ぐことができるという効果がある。
【0023】
図4は、一実施例におけるセンサ制御装置1の第3の見取り図であり、センサ制御装置1が設置された部屋の天井側から見た平面図である。ここではセンサ制御装置1の種類は特に限定されない。図2、図3とは異なり図4では、4個の歪センサ12a〜12dを備えている。これらはセンサ制御装置1が設置された部屋の異なる4箇所に設置されており、床面を伝わった振動を感度良く検出できるよう、床面に接して設けると良い。もちろん、設置場所は4箇所に限定されるものではなく、複数箇所であれば良い。歪センサ12a〜12dが検出した振動データは、有線または無線の通信路(図中の破線の矢印で示す)を介してセンサ制御装置1の制御部111へ供給される。
【0024】
複数の振動データを分析することにより、制御部111は人物2が単に近づいているか否かを判定するにとどまらず、図中の実線の矢印で例を示すように、平面内のいずれの方向へ移動しているかを、図2や図3の場合よりも詳細に判定することができる。例えばセンサ制御装置1に向かって、人物2が直進して移動している場合に一部の機能を停止する。人物2がセンサ制御装置から遠ざかるように移動し、または近づきながらも洗濯機の扉のような危険な箇所に向かっていない場合には、機能の停止を行わない。このようにすれば、不要な機能停止動作を頻繁に繰返す問題を解消することができる。
以上示した方法を用いて本実施例では、移動体が発生する振動パターンを検出し、移動体を特定し、また移動方向を判定し、その結果に基づきセンサ制御装置1の一部の機能を制御して、例えば安全性を向上するようにしている。
【0025】
次に、人物2を特定する方法について説明する。
図5は、一実施例における振動の特徴パラメータ検出方法のフロー図である。図5における波形図は、歪センサ12が検出する振動の一例を示す。人をはじめとする動物が移動する際に発生する振動は、図示するように時間軸上で一歩ごとに類似した振動であるが、一歩ごとの振動波形、その包絡線波形、及び複数歩の振動波形の包絡線波形を周波数分析することにより、多くの情報を得ることができる。例えば移動体が人か他の動物かはもちろんのこと、子供であるか否か、履物の有無や種類、床の種類、さらには誰であるかを特定することもできるようになってきた。
【0026】
これらの判定は、メモリ14に予め登録した振動パターンや周波数分布を参照して行われる。振動の高周波成分の割合が所定量よりも多い場合、或いは歩行のピッチが短い場合は、移動する人は子供と判定できる。複数の人について振動パターンを登録しておけば、誰が移動しているかを高い精度で特定することができる。なお、予め登録する振動パターンや周波数分布の情報は、個々のセンサ制御装置1のメモリ14に限らず、センサ制御装置1を統括する上位のホスト装置のメモリに登録しても良い。ネットワーク家電の分野では、後者の実施形態が有効である。その場合、センサ制御装置1は図示しない通信処理部を備える。
なお、人物を特定する際に、誰であるかを正確に特定するためには、予め本人を歩行させて発生する振動パターンを学習する必要がある。しかし、図2、図3で説明したように単に子供であるか否かを知る場合には、例えば高周波成分の割合や歩行のピッチを所定値と比較すれば良い。後者の場合は、手間のかかる学習をユーザが行う必要がないため、民生用の装置で使用するに適している。
【0027】
図6は、一実施例における振動の周波数特性の例を示す図であり、実線と破線とでは異なる移動体の場合を示す。この周波数特性は、一歩の振動波形そのものから求めても良いが、振動波形の包絡線を検波して求めた場合には、体の大きさをはじめとする身体的な特徴の差が明確に現れ、特徴を把握し易いとされる。
図7は、一実施例における周波数軸上の特徴パラメータの一例を示す図である。図6で示した周波数スペクトルから、所定の周波数における強度を離散的なサンプル値として求め、所定数のサンプル値をメモリ14に登録することで、移動体の判定に用いることができる。
【0028】
図8は、一実施例における振動の包絡線波形の一例を示す図である。前記した振動波形の包絡線の強度が暫増する場合は、移動体が接近する方向であることを知ることができる。包絡線の周期、即ち歩行のピッチも移動体を特定するための特徴パラメータであり、人により差があり、また子供と大人を判別するうえで重要である。
以上示した方法を用いた場合の、さらに進んだ制御方法について説明する。
【0029】
歪センサ12が検出した振動を制御部11が分析する際に、例えば周波数分析を用いれば、複数の移動体の存在を知ることができる。子供と大人の双方が移動している場合には、子供一人の場合と比較して危険性は小さいと思われる。従いこの場合、制御部11は機能ロック部13に例えば扉のロックを指示しなくとも良い。
一方、大人が装置の周辺から立ち去った後、子供が一人で戻ってきた場合には、いたずらをするなどして事故が発生する危険性が大きいと思われる。従いこの場合、大人が発生する振動が検出されなくなり、所定時間経た後に子供のみの振動を検出すると、制御部11は機能ロック部13に例えば扉のロックを指示すると良い。
【0030】
冷蔵庫、洗濯機のような電化製品では、装置自身が人の歩行よりも大きな振動を発生することがある。そこでメモリ14に予め装置自身の標準的な振動パターンを登録しておき、歪センサ12が検出した振動から装置自身の振動の影響を除去して、制御部11が振動を分析するようにすれば、精度の高い判定をすることができる。なお、装置自身の振動パターンは実際の設置状態で実測して登録すると、さらに精度の高い判定をすることができる。
【0031】
メモリ14に登録する振動パターンとして、センサ制御装置1を使用する人のそれぞれが発生する振動パターンを登録しておけば、その設定状態を各人に適した状態にすることができる。例えばセンサ制御装置1が空調装置である場合、振動パターンの学習機能を備えておき、ある人が設定した室温とともに、設定した人が発生する振動の振動パターンをメモリ14に記憶する。それ以後、歪センサ12が検出した振動を分析して得た振動パターンが、メモリ14に記憶されていた振動パターンのうちのいずれかと類似している場合には、制御部11は主機能部15に指示して、空調装置の温度設定を以前にその人が設定した室温に合わせる。このようにすれば、使用するごとに温度設定を行う手間を省略することができる。
【0032】
前記した事項から推察できるように、振動パターンを分析することにより地震の発生を検知することができる。メモリ14に予め登録された地震の振動パターンと類似する振動を検出した場合には、制御部11は機能ロック部13に指示して、例えば冷蔵庫や洗濯機の扉をロックさせ、或いは洗濯機、空調装置、湯沸しポットの機能の一部を停止させる。これにより、地震発生時の危険性を低減する効果がある。ここで、地震の振動パターンなどの重要特定パターンについては、メモリ14に登録するのではなく、制御部11の制御方法(処理プログラム等)の一部に含めるようにしてもよい。
床の材質によって、発生する振動パターンが変化することを前記したが、これに応じて振動パターンの検出方法を切替えても良い。例えば、メモリ14に登録する振動パターンとして、同じ人に対して床の材質に応じた複数の振動パターンを登録しておき、いずれかを選択して検出しても良い。または、登録する振動パターンが一つであっても、床の材質に応じた関数を演算して検出するようにしても良い。
【0033】
以上の実施例で説明した特定の振動パターンの検出によりロックされたセンサ制御装置1は、当該特定の振動パターンが所定時間検出されなくなったことを検出した後に当該ロックを解除する。或いは、子供による振動パターンの検出によりセンサ制御装置1をロックした場合には、大人による振動パターンの検出により当該ロックを解除するようにしても良い。
【0034】
次に、実施形態としてセンサ制御装置1が通信機能付きのテレビジョン装置である場合を説明する。周知のとおり、特にディジタル放送に対応したテレビジョン装置では、ネットワークを介して他の通信装置とデータ通信する機能を有するものが多い。この通信機能を使用して安全性を高める例を述べる。
図9は、一実施例における検出結果の報知方法のフロー図である。まず、人物2が不意に転倒する事故を起こしたとする。転倒による振動が床を伝播してテレビジョン装置であるセンサ制御装置1に伝わる。センサ制御装置1が有する歪センサ12が前記振動を検出して所定の動作を開始し、人物2の安全性を確保するように機能する。なお、人の転倒による振動パターンは歩行など通常の振動パターンとは全く異なるため、異常の発生を検出することは充分に可能である。
【0035】
図10は、一実施例におけるセンサ制御装置1の第4の見取り図である。センサ制御装置1は表示パネル156を有するテレビジョン装置であって、設置された床の振動を感度良く検出するよう、歪センサ12は例えば装置の脚16に取付けられている。
図11は、一実施例におけるセンサ制御装置1の第2のブロック図である。主機能部である信号処理部15において、アンテナ151(もちろん外付けされても良い)で受信されたテレビジョン放送の電波信号はチューナ152に供給され、受信した複数のチャンネルからユーザが指定するチャンネルの受信信号が選択され、次いで映像音声処理部155に供給される。映像音声処理部155において放送局側で施されたデータ圧縮の作用が解除され伸張された映像信号は、表示パネル156に供給されて映像を表示し、音声信号はスピーカ157に供給されて音声を発生する。
【0036】
システム制御部11Aは、図1の制御部11の一部に相当し、前記した信号処理部15の全体の動作を制御する。例えばディジタル放送に特有な双方向番組を受信している場合には、システム制御部11Aが通信処理部158に指示して、例えばクイズ番組の回答をはじめとする情報につき、出力端子159とネットワークを介して放送局をはじめとする相手先に送信する。さらにセンサ制御装置1は内蔵カメラ153、内蔵マイク154を備えても良く、撮像し集音した情報を出力端子159とネットワークを介して他の相手先に送信しても良い。
さらにセンサ制御装置1は、図1の制御部11の一部に相当する振動分析部11B、歪センサ12、メモリ14を有する。振動分析部11Bはシステム制御部11Aと一体であっても良く、この場合は双方合わせて図1の制御部11に相当する。また、メモリ14は信号処理部15の内部にある既存のメモリ(図示せず)を共用しても良い。歪センサ12は、図10で一例を示したように振動を検出し易い場所に取付けると良い。
【0037】
歪センサ12が検出した振動を振動分析部11Bが分析した結果、図9に記したように人物2が倒れたと判定された場合には、振動分析部11Bはシステム制御部11Aに指示して、人が倒れた旨を知らせる緊急情報を出力端子159とネットワークを介して送信する。送信先としては親族や懇意な人が適当であり、緊急時の連絡先を登録する機能を装置が有することが望ましい。必要に応じて内蔵カメラ153で撮像した映像、内蔵マイク154で集音した音声も送信し、部屋の中の状況を伝達すると良い。また、このネットワークを介した通信を双方向とし、上記送信先から受信した映像と音声を表示パネル156とスピーカ157により再生する機能を追加し、人物2への呼びかけを可能とするシステムとしてもよい。この場合、人物2の反応をみることにより、状況をより的確に把握することができるようになる。
以上のようにすることで、例えば高齢者の生活における安全性をいっそう向上することができる。
【0038】
なお、図11で示したセンサ制御装置1は、歪センサ12が地震による振動を検出した場合に、出力端子159とネットワークを介して他の人に地震の発生を連絡し、注意を喚起するという応用も考えられる。
さらに最近では、一般家庭でもセキュリティ用のカメラが普及している。該カメラにおいてはアラーム信号を発報し、また、独自のネットワークを介して相手先へ通報する機能を有するものが増加している。図11で示した装置と同様にセキュリティ用のカメラに歪センサを設けることも有効であるが、図11の装置で発生した緊急情報をセキュリティ用のカメラの通信部に供給することにより、安全性を高めるための連携動作を行うようにしても良い。
【0039】
以上、図9乃至図11に示す実施形態は、センサ制御装置1の既存機能を使用した歪センサ12の応用方法を示している。
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0040】
1:センサ制御装置、2:人物、11:制御部、11A:システム制御部、11B:振動分析部、12:歪センサ、13:機能ロック部、13A〜13G:扉、14:メモリ、15:主機能部、16:脚、151:アンテナ、152:チューナ、153:内蔵カメラ、154:内蔵マイク、155:映像音声処理部、156:表示パネル、157:スピーカ、158:通信処理部、159:出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から与えられた振動に応じて機能を制御するセンサ制御装置であって、
前記振動を検出し該振動に応じた検出信号を出力する歪センサと、
該歪センサが出力した前記検出信号が供給され該検出信号を分析して前記振動の特徴パラメータを検出し前記センサ制御装置の全体の動作を制御する制御部と、
該制御部により動作制御され前記センサ制御装置の主なる機能を実行する主機能部
を有することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ制御装置において、人の歩行により発生し前記制御部が検出した前記振動の特徴パラメータを各人に対応して登録するためのメモリを有し、該メモリに登録された前記振動の特徴パラメータと類似する振動の特徴パラメータが検出された場合には、前記制御部は、前記メモリに登録された前記振動の特徴パラメータに対応した人に応じて前記主機能部を制御することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項3】
外部から与えられた振動に応じて機能を制御するセンサ制御装置であって、
前記振動を検出し該振動に応じた検出信号を出力する歪センサと、
該歪センサが出力した前記検出信号が供給され該検出信号を分析して前記振動の特徴パラメータを検出し前記センサ制御装置の全体の動作を制御する制御部と、
該制御部により動作制御され前記センサ制御装置の主なる機能を実行する主機能部と、
前記制御部により動作制御され前記センサ制御装置の機能の一部をロックする機能ロック部
を有することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記制御部が検出した振動の特徴パラメータより前記振動は子供の移動により発生したと判定された場合には、前記制御部は、前記機能ロック部に対し前記センサ制御装置の機能の一部をロックするように制御することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項5】
請求項1または請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記歪センサは、前記センサ制御装置の据付部近傍に設けられたことを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項6】
請求項1または請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記歪センサを、前記センサ制御装置の周辺に複数個備えたことを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項7】
請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記制御部が検出した振動の特徴パラメータより前記振動は子供と大人の双方の移動により発生したと判定された場合には、前記制御部は、前記機能ロック部に対し前記ロック機能を無効とするよう制御することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ制御装置において、前記機能ロック部のロック機能が無効とされた後に大人の移動により発生した振動が停止した場合には、所定時間後に、前記制御部は、前記機能ロック部のロック機能を有効とするよう制御することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項9】
請求項1または請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記制御部が検出した前記センサ制御装置の発生する振動の特徴パラメータを登録するためのメモリを有し、前記制御部は、外部から与えられた振動の特徴パラメータを検出する場合には、前記メモリに登録された前記振動の特徴パラメータを参照し前記センサ制御装置の発生する振動を除去して検出することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項10】
請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記制御部が検出した振動の特徴パラメータより前記振動は地震により発生したと判定された場合には、前記制御部は、前記機能ロック部に対し前記センサ制御装置の機能の一部をロックするよう制御することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項11】
請求項1または請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記制御部が検出した振動の特徴パラメータを複数登録するためのメモリを有し、前記制御部は、外部から与えられた振動の発生源を特定する場合には、前記センサ制御装置が設置された設置面の材質に応じて前記メモリに登録された前記振動の特徴パラメータを参照することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項12】
請求項1または請求項3に記載のセンサ制御装置において、前記制御部が検出した振動の特徴パラメータを上位のホスト装置に登録するための通信処理部を有することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項13】
請求項1に記載のセンサ制御装置において、前記制御部により制御されネットワークを介して外部の装置へ情報を送信する通信処理部を有し、前記制御部が検出した振動の特徴パラメータより前記振動は地震により発生したと判定された場合には、前記制御部は、前記通信処理部に対し外部の装置へ所定の情報を送信するよう制御することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項14】
請求項1に記載のセンサ制御装置において、前記制御部により制御されネットワークを介して外部の装置へ情報を送信する通信処理部を有し、前記制御部が検出した振動の特徴パラメータにより前記振動は人の転倒により発生したと判定された場合には、前記制御部は、前記通信処理部に対し外部の装置へ所定の情報を送信するよう制御することを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載のセンサ制御装置において、前記制御部は、アラーム信号を発報する外部の装置へ所定の情報を送信し該外部の装置にアラーム信号を発報させることを特徴とするセンサ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−68455(P2013−68455A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205796(P2011−205796)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】