説明

センサ及び非平面撮像装置

【課題】非晶質酸化物を用いた新規な撮像装置を提供する。
【解決手段】基板1と、基板1上に設けられている電磁波を検知するセンサと、該センサからの信号を読み出すための電界効果型トランジスタとを備え、該電界効果型トランジスタの活性層は、In―Zn―Ga―O系酸化物、In―Zn―Ga―Mg−O系酸化物、In―Zn―O系酸化物、In―Sn―O系酸化物、In−O系酸化物、In―Ga―O系酸化物、及びSn−In−Zn―O系酸化物のうちのいずれかである非晶質酸化物2を有し、非晶質酸化物2の電子キャリア濃度は1018/cm未満であり、前記電界効果型トランジスタは、ゲート電圧無印加時のソース−ドレイン端子間の電流が10マイクロアンペア未満であり、電界効果移動度が1cm/(V・秒)超である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受容した電磁波を検知するセンサ、例えば光センサや太陽電池やX線センサに関する。また、本発明は、非平面撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ZnOを含む酸化物半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)の開発が活発に行われている(特許文献1)。
【0003】
上記薄膜は、低温で成膜でき、かつ可視光に透明であるため、プラスチック板やフィルムなどの基板上にフレキシブルな透明TFTを形成することが可能であるとされている。
【0004】
また、ZnOは光センサや太陽電池に用いる試みも行われている。
【0005】
一方、原子力発電所等では、複雑に配管が敷設されている。
【0006】
そして、当該配管の腐食状態等の検査に多大な費用と時間が費やされており、複雑な配管等の間に挿入できる非平面X線イメージャ(撮像装置)が望まれている。
【0007】
また、医療関係では、マンモグラフィー等によるX線診断において、患者に多大な負担をかけているのが現状である。患者に、より負担の少ないX線診断方法として、非平面X線イメージャが望まれている。
【0008】
非平面イメージャは、一般に、薄膜トランジスタとX線センサとから構成されている。
【0009】
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)は、ゲート端子、ソース端子、および、ドレイン端子を備えた3端子素子である。TFTはセンサと組み合わされて、センサを選択するスイッチや増幅器として使用される。
【0010】
電磁波を検知するセンサや非平面X線撮像装置として、より性能のよいフレキシブルなものが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−298062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、非晶質酸化物を用いた、新規なセンサや撮像装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明の別の目的は、電子キャリア濃度が1018/cm未満の非晶質酸化物あるいは、電子キャリア濃度が増加すると共に、電子移動度が増加する傾向を示す非晶質酸化物を用いたセンサや非平面撮像装置を提供することにある。
【0014】
更にまた、本発明の別の目的は、X線センサとノーマリーオフ型の電界効果型トランジスタを備えた撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明における受容した電磁波を検知するセンサには、光センサは勿論、紫外線センサのような非可視光を検出するセンサやX線センサのような放射線を検出するセンサも含まれる。
【0016】
以下、具体的に本発明について説明する。
本発明の撮像装置は、基板と、該基板上に設けられている電磁波を検知するセンサと、該センサからの信号を読み出すための電界効果型トランジスタとを備え、該電界効果型トランジスタの活性層は、In―Zn―Ga―O系酸化物、In―Zn―Ga―Mg−O系酸化物、In―Zn―O系酸化物、In―Sn―O系酸化物、In−O系酸化物、In―Ga―O系酸化物、及びSn−In−Zn―O系酸化物のうちのいずれかである非晶質酸化物を有し、前記非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満であり、前記電界効果型トランジスタは、ゲート電圧無印加時のソース−ドレイン端子間の電流が10マイクロアンペア未満であり、電界効果移動度が1cm/(V・秒)超であることを特徴とする。
【0017】
本発明は、前記センサと前記電界効果型トランジスタを含む、非平面の領域を有する撮像装置を包含する。
【0018】
本発明は、前記センサが、X線を光に変換するシンチレータと光電変換素子とを含み構成されている撮像装置を包含する。
また、前記基板は、可撓性を有することが好ましい。
【0019】
ところで、無機薄膜トランジスタは、平面上に形成され、平面形状の状態で使用されることが一般的である。アモルファスシリコンに代表される、従来の無機薄膜トランジスタは、その成膜に高温プロセスが必要であり、プラスチック樹脂などのフレキシブル基板上への形成が難しかった。
【0020】
可撓性の基板上に形成できる薄膜トランジスタとして、ペンタセンなどの有機半導体を使用した薄膜トランジスタが検討されているが、そのトランジスタ特性は、未だ十分ではない。
【0021】
また、最近では、上述のようにZnOの多結晶酸化物をチャンネル層に用いたTFTの開発が活発に行われている。
【0022】
本発明者が酸化物半導体を検討したところ、ZnOは、一般に安定なアモルファス相を形成することができないことが判った。そして、殆どのZnOは多結晶相を呈するために、多結晶粒子間の界面でキャリアは散乱され、結果として電子移動度を大きくすることができないようである。
【0023】
また、ZnOには、酸素欠陥が入りやすく、キャリア電子が多数発生してしまうため、電気伝導度を小さくすることが難しい。このために、トランジスタのゲート電圧が無印加時でも、ソース端子とドレイン端子間に大きな電流が流れてしまい、TFTのノーマリーオフ動作を実現できないことが判った。また、トランジスタのオン・オフ比を大きくすることも難しいようである。
【0024】
また、本発明者は、特開2000−044236号公報に記載されている非晶質酸化物膜ZnIn(x+3y/2+3z/2)(式中、MはAl及びGaのうち少なくとも一つの元素である。)について検討した。この材料は、電子キャリア濃度が、1018/cm以上であり、単なる透明電極としては好適な材料である。
【0025】
しかし、電子キャリア濃度が1018/cm以上の酸化物をTFTのチャネル層に用いた場合、オン・オフ比が十分にとれず、ノーマリーオフ型のTFTにはふさわしくないことが分かった。
【0026】
つまり、従来の非晶質酸化物膜では、電子キャリア濃度が1018/cm未満の膜を得ることはできていなかった。
【0027】
そこで、本発明者は、電界効果型トランジスタの活性層として、電子キャリア濃度が1018/cm未満の非晶質酸化物を用いているTFTを作製したところ、所望の特性のTFTが得られ、発光装置などの画像表示装置に適用できることを発見したのである。
【0028】
本発明者らは、InGaO(ZnO)、及びこの材料の成膜条件に関する研究開発を精力的に進めた結果、成膜時の酸素雰囲気の条件を制御することで、電子キャリア濃度を1018/cm未満にできることを見出した。
【0029】
本発明は、所望の電子キャリア濃度を実現した膜を用いたセンサや撮像装置に関するものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、新規なセンサおよび撮像装置が提供される。特に、非平面イメージャによって被測定物をX線透過測定を行った場合、平面のイメージャに比べて、ひずみの少ない画像が得られる。
【0031】
また、人体のX線測定を行う場合、被測定者に肉体的な負担が少なくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】パルスレーザー蒸着法で成膜したIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体の電子キャリア濃度と成膜中の酸素分圧の関係を示すグラフである。
【図2】パルスレーザー蒸着法で成膜したIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体の電子キャリア濃度と電子移動度の関係を示すグラフである。
【図3】アルゴンガスを用いたスパッタ法で成膜したIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体の電気伝導度と成膜中の酸素分圧の関係を示すグラフである。
【図4】酸素分圧0.8Paの雰囲気でパルスレーザー蒸着法で成膜したInGaO(Zn1−xMgO)のxの値に対する電気伝導度、キャリア濃度、電子移動度の変化を示すグラフである。
【図5】本発明の光センサに使用しているアモルファス酸化物半導体を評価するために作成したTFTの模式的構造図である。
【図6】トップゲート型MISFET素子の電流−電圧特性を示すグラフである。
【図7】In−Ga−Zn−Oから構成されるアモルファス半導体層(200nm)の透過率のグラフである。
【図8】本発明の光センサの模式的説明図である。
【図9】本発明の光センサの、第二の例の模式的説明図である。
【図10】本発明のX線センサの模式的構造図である。
【図11】本発明の非平面イメージャの画素回路図である。
【図12】本発明の非平面イメージャの作成方法の模式的説明図である。
【図13】本発明の非平面イメージャを使用しX線測定の模式的説明図である。
【図14】パルスレーザー蒸着装置を示す模式図である。
【図15】スパッタ成膜装置を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、非晶質酸化物を用いたセンサ及び非平面イメージャに関するものである。
【0034】
以下では、第1の実施形態において、光センサについて詳述し、その後第2の実施形態にて非平面イメージャについて説明する。
【0035】
その後に、両実施形態に共通する非晶質酸化物について、その特性と共に詳述する。
【0036】
(第1の実施形態)
図8に本発明に係る受容した電磁波を検知するセンサの模式的構造図を示す。
【0037】
本発明に係るセンサは、基板(701)上に下部電極(702)、非晶質酸化物半導体層(703)、および、上部電極(704)から構成されている。
【0038】
なお、上部電極を第1の電極と、下部電極を第2の電極と称する場合がある。
【0039】
本実施形態においては、前記非晶質酸化物層として、例えば電子キャリア濃度が1018/cm未満である酸化物を用いている。
【0040】
アモルファス酸化物層の層厚は、照射する光の波長や色素増感の色素によって適宜最適化されるものではあるが、好ましくは10nmから1μmである。より好ましくは、10nmから500nmである。
【0041】
非晶質酸化物が、In−Ga−Zn−Oを含有する半導体である場合は、n型伝導を示す。
【0042】
該酸化物半導体とPt等の仕事関数の大きい金属と接合を形成し、フォトダイオードを構成することも好ましいものである。またn型の該酸化物半導体とp型の酸化物半導体であるSrCuとを積層して半導体接合を形成してフォトダイオードを構成してもよい。
【0043】
なお、本発明に係るセンサは、紫外線、あるいはX線に対する光センサとしては勿論、後述の有機色素を用いることにより、可視光に対するセンサとしても利用できる。図9に本発明におけるセンサの第二の模式的構造図を示す。
【0044】
第二の本発明のセンサは、基板(801)場に下部電極(802)、複数のアモルファス酸化物半導体を積層して構成される多層構造半導体層(803)、および、上部電極(804)から構成されている。
【0045】
多層構造の半導体層は、照射する光の波長によって各半導体層の層厚を適宜最適化して形成することも好ましい形態である。多層構造半導体層の構成半導体層の層厚は、好ましくは1nmから100nmであり、より好ましくは5nmから50nmである。多層構造半導体層の全体の層厚としては、好ましくは10nmから1μmである。より好ましくは、10nmから500nmである。
【0046】
このような多層構造の半導体層は、例えば、互いに構成材料の異なる非晶質酸化物層から構成されたり、互いに厚さの異なる非晶質酸化物層から構成される。
【0047】
上部電極から光を照射する場合には、上部電極は照射光を透過する材料・膜厚を選択する必要がある。たとえば、酸化物透明導電膜が好ましいものである。また、基板側から光を照射する場合には、基板材料としては透光性の優れた石英材料やアクリル樹脂等が好ましいものである。その場合下部電極としても、バンドギャップの広い酸化物透明導電膜が好ましいものである。
【0048】
本発明のアモルファス酸化物半導体を有機色素により増感する場合について説明する。
【0049】
図8に示すように光センサ素子の上部から光を入射する場合には、アモルファス酸化物半導体膜を堆積した後に、有機色素を溶解した有機溶剤中に浸漬し有機色素を、該半導体に吸着させる。または、真空蒸着法により有機色素を、該半導体上に蒸着させる。その後、上部電極を真空蒸着法やスパッタ法で形成する。
【0050】
また、基板側から光を入射する場合には、下部電極上に有機色素を吸着させた後、アモルファス酸化物半導体をレーザーアブレーション法やスパッタ法で形成する。
【0051】
更に図9に示すように、多層構造の半導体層に有機色素増感を行う場合には、半導体層の積層ごとに有機色素を、浸漬法や蒸着法等で繰り返し積層することによって形成することができる。
【0052】
その場合に光の入射側から半導体層に深く入るにしたがって、短波長の光を吸収する色素から長波長の光を吸収する色素を分布させることが好ましい形態である。
【0053】
本発明において使用される基板としては、導電性でも電気絶縁性であっても良い。導電性支持体としては、たとえば、NiCr,ステンレス,Al,Cr,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pb等の金属またはこれらの合金が挙げられる。電気絶縁性支持体としては、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック、紙等が挙げられる。これらの電気絶縁基板は、好適には少なくともその一方の表面を導電処理し、該導電処理された表面側に光受容層を設けるのが望ましい。
【0054】
たとえばガラスであれば、その表面に、NiCr,Al,Cr,Mo,Au,Ir,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pd,InO,ITO(In+Sn)等から成る薄膜を設けることによって導電性を付与する。あるいはポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムであれば、NiCr,Al,Ag,Pb,Zn,Ni,Au,Cr,Mo,Ir,Nb,Ta,V,Tl,Pt等の金属の薄膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング等でその表面に設けて導電性を付与する。またポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムの場合、前記金属でその表面をラミネート処理して、その表面に導電性を付与することもできる。なお、基板は可撓性を有する基板であること、即ち変形(特に曲げ変形)可能であることが好適である。
【0055】
本発明において用いられる酸化物透明導電膜としては、光の透過率が60%以上、より好ましくは85%以上であるのが望ましい。更に、電気的には光起電力素子の出力に対して抵抗成分とならぬようにシート抵抗値は100Ω以下であることが望ましい。上記光の透過率とは、光センサが検出しようとする波長域の光の透過率という意味である。
【0056】
このような特性を備えた材料としてSnO,In,ITO(SnO+In),ZnO,CdO,CdSnO、TiO、Tiなどの金属酸化物や、Au,Al,Cu等の金属を極めて薄く半透明状に成膜した金属薄膜等が挙げられる。
【0057】
この内、インジウム酸化物、インジウム−スズ酸化物の透明電極が特に適したものである。これらの作製方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、スパッタリング法、スプレー法等を用いることができ所望に応じて適宜選択されるが、スパッタリング法と真空蒸着法が最適な堆積方法である。
【0058】
前記有機色素としては、前記半導体と化学的に結合することができるシアニン色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、フタロ/ナフタロ混合フタロシアニン色素、ジピリジルRu錯体色素、ターピリジルRu錯体色素、フェナントロリンRu錯体色素、フェニルキサンテン色素、トリフェニルメタン色素、クマリン色素、アクリジン色素、アゾ金属錯体色素の中から選ばれる。勿論、複数の色素と組み合わせても良い。
【0059】
本発明に適した有機色素増感剤としては、本発明のIn−Ga−Zn−Oを主成分とするアモルファス酸化物半導体と光励起された電荷が移動しやすい結合を形成するものが好ましいものである。
【0060】
半導体層に吸着して光増感剤として機能する色素としては、種々の可視光領域および/または赤外光領域に吸収をもつものである。
【0061】
半導体層に色素を強固に吸着させるために、色素分子中にカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などを有するものが好ましい。
【0062】
これらの中でも、カルボン酸基およびカルボン酸無水基が特に好ましい。なお、前記基類は、励起状態の色素とアモルファス酸化物半導体の導電帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
【0063】
前記基類を有する色素としては、例えば、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素がある。他にも、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、べリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。
【0064】
半導体層に色素を吸着させる方法としては、例えば導電性支持体上に形成された半導体層を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法、有機色素を蒸着する方法がある。他にも、有機色素を加熱しヘリウムや窒素等の不活性なガスで有機色素を輸送し、半導体に吸着させる方法等が挙げられる。有機色素はアモルファス酸化物半導体上に単分子層的に形成されることが好ましい形態である。
【0065】
色素を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類がある。他にも、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、水などが挙げられる。これらの溶剤は2種以上を混合して用いることもできる。
【0066】
溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶剤の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましい。色素濃度は、例えば1×10−5mol/l以上、より好ましくは1×10−4mol/l以上であればよい。
【0067】
本発明においては、光センサ素子として目標とする波長域に対応した有機色素を適宜選択して使用することが好ましいものである。そのための色素としては単一の色素を使用しても良いし、複数の色素を組み合わせて使用しても良い。
【0068】
(第2の実施形態)
本発明に係る撮像装置の模式図を図10に示す。本実施形態に係る発明は、例えば、X線イメージセンサである。本発明は、形状可変な基板901上に、下部電極902、光電変換素子となる半導体層903、上部電極904、そして、シンチレータ905から構成されている。基板901から上部電極904までの構成は、図8と図9に示す構成が使用可能である。上記半導体層は例えば、In−Ga−Zn−Oを少なくとも含む非晶質酸化物などで形成される。
【0069】
なお、本発明に係る撮像装置は、非平面部を少なくとも一部に有することが好ましい。勿論、ある瞬間には平面形状であっても、非平面形状に変形させ得る撮像装置であることも好ましい。
【0070】
半導体層903としては、非晶質酸化物(詳細は後述している。)を用いることもできるし、アモルファスシリコンなどを用いることもできる。非晶質酸化物とは、後述するように、その電子キャリア濃度が1018/cm未満であるか、あるいは該非晶質酸化物は、電子キャリア濃度が増加すると共に、電子移動度が増加する傾向を示す酸化物を用いることができる。
【0071】
前記基板としては、ガラス基板等の他にも、樹脂やプラスチック、PET(ポリエチレンテラフタラート)が適用できる。好ましくは、可撓性のある基板がよい。
【0072】
なお、X線センサとして、主として蛍光体が利用されるシンチレータ905は、必要に応じて用いればよく、前述の半導体層がX線に感度を持っていれば、省略することもできる。
【0073】
シンチレータとしては、NaI(Tl)(潮解性)、CsI(Tl)(潮解性)、Cs(Na)(潮解性)、CsI(pure)、CaF(Eu)、BaF、CdWO等が使用される。シンチレータ層の厚さとしては、十分なX線を吸収できる厚さとして、100μmから500μmが好ましい範囲である。シンチレータ層は、スパッタ法が好ましい成膜方法である。潮解性のシンチレータを使用する場合には、防湿処理をする必要がある。防湿処理としては、基板901の裏面およびシンチレータ表面に窒化シリコン層や酸化シリコン層等の防湿層を100nm以上積層することが好ましいものである。
【0074】
本発明に係る、In−Ga−Zn−Oなどの非晶質酸化物を活性層に使用したTFTと、シンチレータとIn−Ga−Zn−Oを含む酸化物半導体を使用した光電変換素子からなるX線センサとをもちいた1画素当たりの回路を図11に示す。
【0075】
なお、ここでTFTの活性層には、後述の非晶質酸化物を用いて、ノーマリーオフ型のTFTとするのがよい。
【0076】
このような3トランジスター画素構造のイメージングセンサのセンシング動作は次の通りである。
【0077】
X線センサ1006において、X線がシンチレーションに入射し可視光に変換され、その光が色素増感されたIn−Ga−Zn−O含有酸化物半導体で電気に変換される。変換された信号電荷は、リセットTFT1001のソース端であるフローチングノード1005の電位を変化させる。これにより、画素レベルソースフォロアのドライバであるセレクトTFT1004のゲート電位が変化される。セレクトTFT1004のソース端又はアクセスTFT1007のドレインノードのバイアスを変化させる。
【0078】
このように信号電荷が蓄積される間、リセットTFT1001のソース端とセレクトTFT1004のソース端の電位が変化する。この際、アクセスTFT1007のゲートにロー選択信号入力端子1008を介してロー選択信号が入力されると、X線センサ1006で生成された信号電荷による電位差をカラム選択ライン1009の方に出力する。
【0079】
このように、X線センサ1006の電荷生成による信号レベルを検出した後、リセット信号入力端子1002を介したリセット信号によってリセットトランジスタ1がオン状態に変わり、X線センサ1006に蓄積された信号電荷は全部リセットされる。
【0080】
なお、X線に感度を有する半導体層を用いる場合は、前記シンチレータは勿論、前記有機色素も省略できる。上記TFTは、その活性層を、例えば、後述する非晶質酸化物で形成することができる。非晶質酸化物は、例えば、その電子キャリア濃度が1018/cm未満であるか、あるいは該非晶質酸化物は、電子キャリア濃度が増加すると共に、電子移動度が増加する傾向を示す酸化物を用いることができる。上記TFTは、図10に示す、上部電極904、半導体層903、下部電極902を利用して、光電変換部の横に設けることができる。また、基板901と下部電極902との間に、別途上記TFT用の層を設けてもよい。
【0081】
なお、X線吸収のためには、酸化物半導体層の厚さは、50μm以上、好ましくは100μm以上、更に好ましくは300μm以上である。
【0082】
また、X線センサの半導体と、同センサからの信号を受け取る(または読み取る)ためのTFTの活性層をともに非晶質酸化物でつくることができる。高い平坦性が求められる場合には好ましい構成となる。
【0083】
形状可変な基板上に形成した図11に示すイメージングセンサユニットを複数並べて非平面イメージャを構成した。イメージャの解像度としては、XGA(1024×768)、SXGA(1280×1024)等以上にした。非平面イメージャの作成方法の一例を図12に示す。平面上に作成されたセンサユニットを、図12の左図に示すように破線で切断し、右図に示すように球状に構成する。このようにすることによって、半球状の非平面イメージャが構成される。1101は、平面上に形成されたTFTとセンサを示している。1102はTFTとセンサユニットである。1103は半球状の非平面イメージャに、前記TFTとセンサを設けているものを示している。
【0084】
なお、非平面イメージャの当該非平面上へのTFTやセンサ部の配置は以下のようにして実現することもできる。例えば、まず、プラスチックやPETなどのフレキシブル基板上、即ち平面上に、TFT等を設ける。その後、当該可撓性基板を加熱した状態で、非平面の型に当該基板を押し付けて、平面状の基板を非平面に変形させる。勿論、本発明にいう非平面イメージャとは、平面領域と共に、非平面である領域を有するイメージャ、平面状態から非平面状態に変形し得るイメージャの両方を包含するものである。
【0085】
本発明の非平面イメージャでの測定方法の例を図13に示す。図12で形成した非平面イメージャ1201内に、被測定物1203を入れ、外部よりX線1204を照射して、被測定物1203を測定する。X線光源と被測定物の間にセンサユニットが入らないように、センサユニットは半球面の被平面イメージャの半分に形成することも好ましい実施形態である。
(非晶質酸化物)
上述のように、本発明においては、所定の電子キャリア濃度を有する非晶質酸化物を、光センサ部自体として、あるいは光センサに用いられる電界効果型トランジスタの活性層として用いている。勿論、両方に用いても良い。
【0086】
本発明に係る非晶質酸化物の電子キャリア濃度は、室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択されるある温度である。なお、本発明に係るアモルファス酸化物の電子キャリア濃度は、0℃から40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度を更に下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリオフのTFTが歩留まり良く得られる。電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることが出来る。
【0087】
なお、本発明において、アモルファス酸化物とは、X線回折スペクトルにおいて、ハローパターンが観測され、特定の回折線を示さない酸化物をいう。
【0088】
本発明のアモルファス酸化物における、電子キャリア濃度の下限値は、TFTのチャネル層として適用できれば特に限定されるものではない。下限値は、例えば、1012/cmである。従って、本発明においては、後述する各実施例のようにアモルファス酸化物の材料、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、更には1015/cm以上1016/cm以下の範囲にすることが好ましいものである。前記非晶質酸化物としては、InZnGa酸化物のほかにも、In酸化物、InZn1−x酸化物(0.2≦x≦1)、InSn1−x酸化物(0.8≦x≦1)、あるいはIn(Zn、Sn)1−x酸化物(0.15≦x≦1)から適宜選択できる。なお、In(Zn、Sn)1−x酸化物は、In(ZnSn1−y1−x酸化物と記載することができ、yの範囲は1から0である。
【0089】
なお、ZnとSnを含まないIn酸化物の場合は、Inの一部をGaに置換することもできる。即ち、InGa1−x酸化物(0≦x≦1)の場合である。
以下に、本発明者らが作製することに成功した電子キャリア濃度が1018/cm未満の非晶質酸化物について詳述する。
【0090】
上記酸化物とは、In−Ga−Zn−Oを含み構成され、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表され、電子キャリア濃度が1018/cm未満であることを特徴とする。
【0091】
また上記酸化物は、In−Ga−Zn−Mg−Oを含み構成され、結晶状態の組成がInGaO(Zn1−xMgO)(mは6未満の自然数、0<x≦1)で表され、電子キャリア濃度が1018/cm未満であることを特徴とする。
【0092】
なお、これらの酸化物で構成される膜において、電子移動度が1cm/(V・秒)超になるように設計することも好ましい。
【0093】
上記膜をチャネル層に用いれば、トランジスターオフ時のゲート電流が0.1マイクロアンペヤ未満のノーマリーオフで、オン・オフ比が10超のトランジスタ特性を実現できる。そして、可視光に対して、透明あるいは透光性を有し、フレキシブルなTFTが実現される。
【0094】
なお、上記膜は、伝導電子数の増加と共に、電子移動度が大きくなることを特徴とする。透明膜を形成する基板としては、ガラス基板、樹脂製プラスチック基板又はプラスチックフィルムなどを用いることができる。
【0095】
上記非晶質酸化物膜をチャネル層に利用する際には、Al、Y、又はHfOの1種、又はそれらの化合物を少なくとも二種以上含む混晶化合物をゲート絶縁膜に利用できる。
【0096】
また、非晶質酸化物中に、電気抵抗を高めるための不純物イオンを意図的に添加せず、酸素ガスを含む雰囲気中で、成膜することも好ましい形態である。
【0097】
本発明者らは、この半絶縁性酸化物アモルファス薄膜は、伝導電子数の増加と共に、電子移動度が大きくなるという特異な特性を見出した。そして、その膜を用いてTFTを作成し、オン・オフ比、ピンチオフ状態での飽和電流、スイッチ速度などのトランジスタ特性が更に向上することを見出した。即ち、非晶質酸化物を利用して、ノーマリーオフ型のTFTを実現できることを見出した。
【0098】
非晶質酸化物薄膜を膜トランジスタのチャネル層として用いると、電子移動度が1cm/(V・秒)超、好ましくは5cm/(V・秒)超にすることができる。
【0099】
電子キャリア濃度が、1018/cm未満、好ましくは、1016/cm未満のときは、オフ時(ゲート電圧無印加時)のドレイン・ソース端子間の電流を、10マイクロアンペア未満、好ましくは0.1マイクロアンペア未満にすることができる。
【0100】
また、該膜を用いれば、電子移動度が1cm/(V・秒)超、好ましくは5cm/(V・秒)超の時は、ピンチオフ後の飽和電流を10マイクロアンペア超にでき、オン・オフ比を10超とすることができる。
【0101】
TFTでは、ピンチオフ状態では、ゲート端子に高電圧が印加され、チャネル中には高密度の電子が存在している。したがって、本発明によれば、電子移動度が増加した分だけ、より飽和電流値を大きくすることができる。この結果、オン・オフ比の増大、飽和電流の増大、スイッチング速度の増大など、トランジスタ特性の向上が期待できる。
【0102】
なお、通常の化合物中では、電子数が増大すると、電子間の衝突により、電子移動度は減少する。
【0103】
なお、上記TFTの構造としては、半導体チャネル層の上にゲート絶縁膜とゲート端子を順に形成するスタガ(トップゲート)構造や、ゲート端子の上にゲート絶縁膜と半導体チャネル層を順に形成する逆スタガ(ボトムゲート)構造を用いることができる。
(第1の成膜法:PLD法)
結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物薄膜は、mの値が6未満の場合は、800℃以上の高温まで、非晶質状態が安定に保たれる。しかし、mの値が大きくなるにつれ、すなわち、InGaOに対するZnOの比が増大して、ZnO組成に近づくにつれ、結晶化しやすくなる。
【0104】
したがって、非晶質TFTのチャネル層としては、mの値が6未満であることが好ましい。
【0105】
成膜方法は、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして、気相成膜法を用いるのが良い。気相成膜法の中でも、スパッタ法、パルスレーザー蒸着法が適している。さらに、量産性の観点から、スパッタ法が最も適している。
【0106】
しかしながら、通常の条件で該非晶質膜を作成すると、主として酸素欠損が生じ、これまで、電子キャリア濃度を1018/cm未満、電気伝導度にして、10S/cm以下にすることができなかった。そうした膜を用いた場合、ノーマリーオフのトランジスタを構成することができない。
【0107】
本発明者らは、図14で示される装置により、パルスレーザー蒸着法で作製したIn−Ga−Zn−Oを作製した。図14に示すようなPLD成膜装置を用いて、成膜を行った。同図において、701はRP(ロータリーポンプ)、702はTMP(ターボ分子ポンプ)、703は準備室、704はRHEED用電子銃、705は基板を回転、上下移動するための基板保持手段である。また、706はレーザー入射窓、707は基板、708はターゲット、709はラジカル源、710はガス導入口、711はターゲットを回転、上下移動するためのターゲット保持手段、712はバイパスラインである。また、713はメインライン、714はTMP(ターボ分子ポンプ)、715はRP(ロータリーポンプ)、716はチタンゲッターポンプ、717はシャッターである。また、図中718はIG(イオン真空計)、719はPG(ピラニ真空計)、720はBG(バラトロン真空計)、721は成長室(チャンバー)である。
【0108】
KrFエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法により、SiOガラス基板(コーニング社製1737)上にIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を堆積させた。堆積前の処理として、基板の超音波による脱脂洗浄を、アセトン,エタノール,超純水を用いて、各5分間行った後、空気中100℃で乾燥させた。前記多結晶ターゲットには、InGaO(ZnO)焼結体ターゲット(サイズ20mmΦ5mmt)を用いた。これは、出発原料として、In:Ga:ZnO(各4N試薬)を湿式混合した後(溶媒:エタノール)、仮焼(1000℃:2h)、乾式粉砕、本焼結(1550℃:2h)を経て得られるものである。こうして作製したターゲットの電気伝導度は、90(S/cm)であった。
【0109】
成長室の到達真空を2×10−6(Pa)にして、成長中の酸素分圧を6.5(Pa)に制御して成膜を行った。チャンバー721内酸素分圧は6.5Pa、基板温度は25℃である。なお、ターゲット708と被成膜基板707間の距離は、30(mm)であり、入射窓716から入射されるKrFエキシマレーザーのパワーは、1.5−3(mJ/cm/pulse)の範囲である。また、パルス幅は、20(nsec)、繰り返し周波数は10(Hz)、そして照射スポット径は、1×1(mm角)とした。こうして、成膜レート7(nm/min)で成膜を行った。得られた薄膜について、薄膜のすれすれ入射X線回折(薄膜法、入射角0.5度)を行ったところ、明瞭な回折ピークは認めらなかったことから、作製したIn−Ga−Zn−O系薄膜はアモルファスであるといえる。
【0110】
さらに、X線反射率測定を行い、パターンの解析を行った結果、薄膜の平均二乗粗さ(Rrms)は約0.5nmであり、膜厚は約120nmであることが分かった。蛍光X線(XRF)分析の結果、薄膜の金属組成比はIn:Ga:Zn=0.98:1.02:4であった。電気伝導度は、約10−2S/cm未満であった。電子キャリア濃度は約1016/cm以下、電子移動度は約5cm/(V・秒)と推定される。光吸収スペクトルの解析から、作製したアモルファス薄膜の禁制帯エネルギー幅は、約3eVと求まった。以上のことから、作製したIn−Ga−Zn−O系薄膜は、結晶のInGaO(ZnO)の組成に近いアモルファス相を呈しており、酸素欠損が少なく、電気伝導度が小さな透明な平坦薄膜であることが分かった。具体的に図1を用いて説明する。同図は、In−Ga−Zn−Oから構成され、結晶状態を仮定した時の組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の数)で表される透明アモルファス酸化物薄膜を本実施例と同じ条件下で作成する場合の特性を示したものである。そして、図1の特性図は、酸素分圧を変化させた場合に、成膜された酸化物の電子キャリア濃度の変化を示したものである。本実施例と同じ条件下で酸素分圧を4.5Pa超の高い雰囲気中で、成膜することにより、図1に示すように、電子キャリア濃度を1018/cm未満に低下させることができた。この場合、基板の温度は意図的に加温しない状態で、ほぼ室温に維持されている。フレキシブルなプラスチックフィルムを基板として使用するには、基板温度は100℃未満に保つことが好ましい。
【0111】
酸素分圧をさらに大きくすると、電子キャリア濃度をさらに低下させることができる。例えば、図1に示す様に、基板温度25℃、酸素分圧5Paで成膜したInGaO(ZnO)薄膜では、さらに、電子キャリア数を1016/cmに低下させることができた。得られた薄膜は、図2に示す様に、電子移動度が1cm/(V・秒)超であった。しかし、本実施例のパルスレーザー蒸着法では、酸素分圧を6.5Pa以上にすると、堆積した膜の表面が凸凹となり、TFTのチャネル層として用いることが困難となる。
【0112】
従って、酸素分圧4.5Pa超、望ましくは5Pa超、6.5Pa未満の雰囲気で、パルスレーザー蒸着法で、結晶状態における組成InGaO(ZnO)(mは6未満の数)で表される透明アモルファス酸化物薄膜を用いれば、ノーマリーオフのトランジスタを構成できる。また、該薄膜の電子移動度は、1cm/V・秒超が得られ、オン・オフ比を10超に大きくすることができた。以上、説明したように、本実施例に示した条件下でPLD法によりInGaZn酸化物の成膜を行う場合は、酸素分圧を4.5Pa以上6.5Pa未満になるように制御することが望ましい。なお、電子キャリア濃度を1018/cm未満を実現するためには、酸素分圧の条件、成膜装置の構成や、成膜する材料や組成などに依存する。
【0113】
次に、上記装置における酸素分圧6.5Paの条件で、アモルファス酸化物を作製し、図5に示すトップゲート型MISFET素子を作製した。具体的には、まず、ガラス基板(1)上に上記のアモルファスIn−Ga−Zn−O薄膜の作製法により、チャンネル層(2)として用いる厚さ120nmの半絶縁性アモルファスInGaO(ZnO)膜を形成した。さらにその上に、チャンバー内酸素分圧を1Pa未満にして、パルスレーザー堆積法により電気伝導度の大きなInGaO(ZnO)及び金膜をそれぞれ30nm積層した。そして、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子(5)及びソース端子(6)を形成した。最後にゲート絶縁膜(3)として用いるY膜を電子ビーム蒸着法により成膜し(厚み:90nm、比誘電率:約15、リーク電流密度:0.5MV/cm印加時に10−3A/cm)、その上に金を成膜した。そして、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子(4)を形成した。
MISFET素子の特性評価
図6に、室温下で測定したMISFET素子の電流−電圧特性を示す。ドレイン電圧VDSの増加に伴い、ドレイン電流IDSが増加したことからチャネルがn型半導体であることが分かる。これは、アモルファスIn−Ga−Zn−O系半導体がn型であるという事実と矛盾しない。IDSはVDS=6V程度で飽和(ピンチオフ)する典型的な半導体トランジスタの挙動を示した。利得特性を調べたところ、VDS=4V印加時におけるゲート電圧VGSの閾値は約−0.5Vであった。また、V=10V時には、IDS=1.0×10−5Aの電流が流れた。これはゲートバイアスにより絶縁体のIn−Ga−Zn−O系アモルファス半導体薄膜内にキャリアを誘起できたことに対応する。
【0114】
トランジスタのオン・オフ比は、10超であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約7cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。作製した素子に可視光を照射して同様の測定を行なったが、トランジスタ特性の変化は認められなかった。本実施例によれば、電子キャリア濃度が小さく、したがって、電気抵抗が高く、かつ電子移動度が大きいチャネル層を有する薄膜トランジスタを実現できる。なお、上記したアモルファス酸化物は、電子キャリア濃度の増加と共に、電子移動度が増加し、さらに縮退伝導を示すという優れた特性を備えていた。本実施例では、ガラス基板上に薄膜トランジスタを作製したが、成膜自体が室温で行えるので、プラスチック板やフィルムなどの基板が使用可能である。
また、本実施例で得られたアモルファス酸化物は、可視光の光吸収が殆どなく、透明なフレキシブルTFTを実現できる。
【0115】
(第2の成膜法:スパッタ法(SP法))
雰囲気ガスとしてアルゴンガスを用いた高周波SP法により、成膜する場合について説明する。SP法は、図15に示す装置を用いて行った。同図において、807は被成膜基板、808はターゲット、805は冷却機構付き基板保持手段、814は、ターボ分子ポンプ、815はロータリーポンプ、817はシャッターである。また、818はイオン真空計、819はピラニ真空計、821は成長室(チャンバー)、830はゲートバルブである。
被成膜基板807としては、SiOガラス基板(コーニング社製1737)を用意した。成膜前処理として、この基板の超音波脱脂洗浄を、アセトン、エタノール、超純水により各5分ずつ行った後、空気中100℃で乾燥させた。ターゲット材料としては、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体(サイズ20mmΦ5mmt)を用いた。
【0116】
この焼結体は、出発原料として、In:Ga:ZnO(各4N試薬)を湿式混合(溶媒:エタノール)し、仮焼(1000℃:2h)、乾式粉砕、本焼結(1550℃:2h)を経て作製した。このターゲット808の電気伝導度は90(S/cm)であり、半絶縁体状態であった。
【0117】
成長室821内の到達真空は、1×10−4(Pa)であり、成長中の酸素ガスとアルゴンガスの全圧は、4〜0.1×10−1(Pa)の範囲での一定の値とした。そして、アルゴンガスと酸素との分圧比を変えて、酸素分圧を10−3〜2×10−1(Pa)の範囲で変化させた。
【0118】
また、基板温度は、室温とし、ターゲット808と被成膜基板807間の距離は、30(mm)であった。
【0119】
投入電力は、RF180Wであり、成膜レートは、10(nm/min)で行った。
得られた膜に関し、膜面にすれすれ入射X線回折(薄膜法、入射角0.5度)を行ったところ、明瞭な回折ピークは検出されず、作製したIn−Zn−Ga−O系膜はアモルファス膜であることが示された。
【0120】
さらに、X線反射率測定を行い、パターンの解析を行った結果、薄膜の平均二乗粗さ(Rrms)は約0.5nmであり、膜厚は約120nmであることが分かった。蛍光X線(XRF)分析の結果、薄膜の金属組成比はIn:Ga:Zn=0.98:1.02:4であった。
【0121】
成膜時の雰囲気の酸素分圧を変化させ、得られたアモルファス酸化物膜の電気伝導度を測定した。その結果を図3に示す。図3に示すように、酸素分圧を3×10−2Pa超の高い雰囲気中で、成膜することにより、電気伝導度を10S/cm未満に低下させることができた。酸素分圧をさらに大きくすることにより、電子キャリア数を低下させることができた。例えば、図3に示す様に、基板温度25℃、酸素分圧10−1Paで成膜したInGaO(ZnO)薄膜では、さらに、電気伝導度を約10−10S/cmに低下させることができた。また、酸素分圧10−1Pa超で成膜したInGaO(ZnO)薄膜は、電気抵抗が高すぎて電気伝導度は測定できなかった。この場合、電子移動度は測定できなかったが、電子キャリア濃度が大きな膜での値から外挿して、電子移動度は、約1cm/V・秒と推定された。
【0122】
トランジスタに酸素分圧3×10−2Pa超、望ましくは5×10−1Pa超のアルゴンガス雰囲気で、スパッタ蒸着法で作製したIn−Ga−Zn−Oから構成され、結晶状態における組成InGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される透明アモルファス酸化物薄膜を用いた。その結果、ノーマリーオフで、かつオン・オフ比を10超のトランジスタを構成することができた。本実施例で示した装置、材料を用いる場合は、スパッタによる成膜の際の酸素分圧としては、例えば、3×10−2Pa以上、5×10−1Pa以下の範囲である。なお、パルスレーザー蒸着法およびスパッタ法で作成された薄膜では、図2に示す様に、伝導電子数の増加と共に、電子移動度が増加する。
【0123】
上記のとおり、酸素分圧を制御することにより、酸素欠陥を低減でき、その結果、電子キャリア濃度を減少できる。また、アモルファス状態では、多結晶状態とは異なり、本質的に粒子界面が存在しないために、高電子移動度のアモルファス薄膜を得ることができる。
【0124】
なお、ガラス基板の代わりに厚さ200μmのポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルムを用いた場合にも、得られたInGaO(ZnO)アモルファス酸化物膜は、同様の特性を示した。
なお、ターゲットとして、多結晶InGaO(Zn1−xMgO)(mは6未満の自然数、0<x≦1)を用いれば、1Pa未満の酸素分圧下でも、高抵抗非晶質InGaO(Zn1−xMgO)膜を得ることができる。
【0125】
例えば、Znを80at%のMgで置換したターゲットを使用した場合、酸素分圧0.8Paの雰囲気で、パルスレーザー堆積法で得られた膜の電子キャリア濃度を1016/cm未満とすることができる(電気抵抗値は、約10−2S/cmである。)。
【0126】
こうした膜の電子移動度は、Mg無添加膜に比べて低下するが、その程度は少なく、室温での電子移動度は約5cm/(V・秒)で、アモルファスシリコンに比べて、1桁程度大きな値を示す。同じ条件で成膜した場合、Mg含有量の増加に対して、電気伝導度と電子移動度は、共に低下するので、Mgの含有量は、好ましくは、20%超、85%未満(xにして、0.2<x<0.85)である。
【0127】
上記した非晶質酸化物膜を用いた薄膜トランジスタにおいて、Al、Y、HfO、又はそれらの化合物を少なくとも二つ以上含む混晶化合物をゲート絶縁膜とすることが好ましい。
【0128】
ゲート絶縁薄膜とチャネル層薄膜との界面に欠陥が存在すると、電子移動度の低下及びトランジスタ特性にヒステリシスが生じる。また、ゲート絶縁膜の種類により、リーク電流が大きく異なる。このために、チャネル層に適合したゲート絶縁膜を選定する必要がある。Al膜を用いれば、リーク電流を低減できる。また、Y膜を用いればヒステリシスを小さくできる。さらに、高誘電率のHfO膜を用いれば、電子移動度を大きくすることができる。また、これらの膜の混晶を用いて、リーク電流、ヒステリシスが小さく、電子移動度の大きなTFTを形成できる。また、ゲート絶縁膜形成プロセス及びチャネル層形成プロセスは、室温で行うことができるので、TFT構造として、スタガ構造及び逆スタガ構造いずれをも形成することができる。
【0129】
このように形成したTFTは、ゲート端子、ソース端子、及び、ドレイン端子を備えた3端子素子である。そして、このTFTはセラミックス、ガラス、又はプラスチックなどの絶縁基板上に成膜した半導体薄膜を、電子又はホールが移動するチャネル層として用いたものである。さらにこのTFTは、ゲート端子に電圧を印加して、チャンネル層に流れる電流を制御し、ソース端子とドレイン端子間の電流をスイッチングする機能を有するアクテイブ素子である。
【0130】
なお、酸素欠損量を制御して所望の電子キャリア濃度を達成できていることが本発明においては重要である。
【0131】
上記記載においては、非晶質酸化物膜の酸素量(酸素欠損量)の制御を、成膜時に酸素を所定濃度含む雰囲気中で行うことで制御している。しかし、成膜後、当該酸化物膜を酸素を含む雰囲気中で後処理して酸素欠損量を制御(低減あるいは増加)することも好ましいものである。
【0132】
効果的に酸素欠損量を制御するには、酸素を含む雰囲気中の温度を0℃以上300℃以下、好ましくは、25℃以上、250℃以下、更に好ましくは100℃以上200℃以下で行うのがよい。
【0133】
勿論、成膜時にも酸素を含む雰囲気中で行い、且つ成膜後の後処理でも酸素を含む雰囲気中で後処理してもよい。また、所定の電子キャリア濃度(1018/cm未満)を得られるのであれば、成膜時には、酸素分圧制御は行わないで、成膜後の後処理を酸素を含む雰囲気中で行ってもよい。
【0134】
なお、本発明における電子キャリア濃度の下限としては、得られる酸化物膜をどのような素子や回路あるいは装置に用いるかにもよるが、例えば1014/cm以上である。
(材料系の拡大)
さらに、組成系を拡大して研究を進めた結果、Zn,In及びSnのうち、少なくとも1種類の元素の酸化物からなるアモルファス酸化物で、電子キャリア濃度が小さく、かつ電子移動度が大きいアモルファス酸化物膜を作製できることを見出した。
【0135】
また、このアモルファス酸化物膜は、伝導電子数の増加と共に、電子移動度が大きくなるという特異な特性を有することを見出した。
【0136】
その膜を用いてTFTを作成し、オン・オフ比、ピンチオフ状態での飽和電流、スイッチ速度などのトランジスタ特性に優れたノーマリーオフ型のTFTを作成できる。
【0137】
上記のZn,In及びSnのうち、少なくとも1種類の元素を含むアモルファス酸化物に、以下の元素を含む複合酸化物を構成できる。
【0138】
Znより原子番号の小さい2族元素M2(M2は、Mg,Ca)、Inより原子番号の小さい3属元素M3(M3は、B,Al、Ga、Y),Snより小さい原子番号の小さい4属元素M4(M4は、Si,Ge,Zr)、5属元素M5(M5は、V,Nb,Ta)およびLu、Wのうち、少なくとも1種類の元素である。
【0139】
本発明には、以下(a)から(h)の特徴を有する酸化物を用いることができる。
(a) 室温での電子キャリア濃度が、1018/cm未満のアモルファス酸化物。
(b) 電子キャリア濃度が増加すると共に、電子移動度が増加することを特徴とするアモルファス酸化物。
【0140】
なおここで、室温とは0℃から40℃程度の温度をいう。アモルファスとは、X線回折スペクトルにおいて、ハローパターンのみが観測され、特定の回折線を示さない化合物をいう。また、ここでの電子移動度は、ホール効果測定で得られる電子移動度をいう。
(c) 室温での電子移動度が、0.1cm/V・秒超であることを特徴とする上記( P.16a)又は(b)に記載されるアモルファス酸化物。
(d) 縮退伝導を示す上記(b)から(c)のいずれかに記載されるアモルファス酸化物である。なお、ここでの縮退伝導とは、電気抵抗の温度依存性における熱活性化エネルギーが、30meV以下の状態をいう。
(e) Zn,In及びSnのうち、少なくとも1種類の元素を構成成分として含む上記(a)から(d)のいずれかに記載されるアモルファス酸化物。
(f) 上記(e)に記載のアモルファス酸化物に、Znより原子番号の小さい2族元素M2(M2は、Mg,Ca)、Inより原子番号の小さい3属元素M3(M3は、B,Al、Ga、Y),Snより小さい原子番号の小さい4属元素M4(M4は、Si,Ge,Zr)、5属元素M5(M5は、V,Nb,Ta)およびLu、Wのうち、少なくとも1種類の元素を含むアモルファス酸化物膜。
(g) 結晶状態における組成がIn1−xM3(Zn1−yM2O)(0≦x、y≦1、mは0又は6未満の自然数)である化合物単体又はmの異なる化合物の混合体である(a)から(f)のいずれかに記載のアモルファス酸化物膜。M3たとえば、Gaであり、M2は例えば、Mgである。
(h) ガラス基板、金属基板、プラスチック基板又はプラスチックフィルム上に設けた上記(a)から(g)記載のアモルファス酸化物膜。
【0141】
また、本発明は、(10)上記記載のアモルファス酸化物、又はアモルファス酸化物膜をチャネル層に用いた電界効果型トランジスタである。
【0142】
なお、電子キャリア濃度が1018/cm未満、1015/cm超のアモルファス酸化物膜をチャネル層に用い、ソース端子、ドレイン端子及びゲート絶縁膜を介してゲート端子を配した電界効果型トランジスタを構成する。ソース・ドレイン端子間に5V程度の電圧を印加したとき、ゲート電圧を印加しないときのソース・ドレイン端子間の電流を約10−7アンペヤにすることができる。
【0143】
酸化物結晶の電子移動度は、金属イオンのs軌道の重なりが大きくなるほど、大きくなり、原子番号の大きなZn,In,Snの酸化物結晶は、0.1から200cm/(V・秒)の大きな電子移動度を持つ。
【0144】
さらに、酸化物では、酸素と金属イオンとがイオン結合している。
【0145】
そのため、化学結合の方向性がなく、構造がランダムで、結合の方向が不均一なアモルファス状態でも、電子移動度は、結晶状態の電子移動度に比較して、同程度の大きさを有することが可能となる。
【0146】
一方で、Zn,In,Snを原子番号の小さな元素で置換することにより、電子移動度は小さくなる、こうした結果により、本発明のよるアモルファス酸化物の電子移動度は、約0.01cm/(V・秒)から20cm/(V・秒)である。
【0147】
上記酸化物を用いてトランジスタのチャネル層を作製する場合、トランジスタにおいて、Al、Y、HfO、又はそれらの化合物を少なくとも二つ以上含む混晶化合物をゲート絶縁膜とすることが好ましい。
【0148】
ゲート絶縁薄膜とチャネル層薄膜との界面に欠陥が存在すると、電子移動度の低下及びトランジスタ特性にヒステリシスが生じる。また、ゲート絶縁膜の種類により、リーク電流が大きく異なる。このために、チャネル層に適合したゲート絶縁膜を選定する必要がある。Al膜を用いれば、リーク電流を低減できる。また、Y膜を用いればヒステリシスを小さくできる。さらに、高誘電率のHfO膜を用いれば、電界効果移動度を大きくすることができる。また、これらの化合物の混晶からなる膜を用いて、リーク電流、ヒステリシスが小さく、電界効果移動度の大きなTFTを形成できる。また、ゲート絶縁膜形成プロセス及びチャネル層形成プロセスは、室温で行うことができるので、TFT構造として、スタガ構造及び逆スタガ構造いずれをも形成することができる。
【0149】
In酸化物膜は、気相法により成膜でき、成膜中の雰囲気に水分を、0.1Pa程度添加することにより、アモルファス膜が得られる。
【0150】
また、ZnO及びSnOは、アモルファス膜を得ることは難しいが、Inを、ZnOの場合には20原子量%程度、SnOの場合には、90原子量%程度添加することによりアモルファス膜を得ることができる。特に、Sn−In―O系アモルファス膜を得るためには、雰囲気中に窒素ガスを0.1Pa程度導入すればよい。
【0151】
上記のアモルファス膜に、Znより原子番号の小さい2族元素M2(M2は、Mg,Ca)、Inより原子番号の小さい3属元素M3(M3は、B、Al、Ga、Y),Snより小さい原子番号の小さい4属元素M4(M4は、Si,Ge,Zr)、5属元素M5(M5は、V,Nb,Ta)およびLu、Wのうち、少なくとも1種類の複合酸化物を構成する元素を添加できる。
【0152】
それにより、室温での、アモルファス膜をより安定化させることができる。また、アモルファス膜が得られる組成範囲を広げることができる。
【0153】
特に、共有結合性の強い、B,Si,Geの添加は、アモルファス相安定化に有効であるし、イオン半径の差の大きいイオンから構成される複合酸化物は、アモルファス相が安定化する。
【0154】
たとえば、In−Zn−O系では、Inが約20原子%超の組成範囲でないと、室温で安定なアモルファス膜は得難いが、MgをInと当量添加することにより、Inが約15原子量%超の組成範囲で、安定なアモルファス膜を得ることができる。
【0155】
気相法による成膜において、雰囲気を制御することにより、電子キャリア濃度が、1018/cm未満、1015/cm超のアモルファス酸化膜を得ることができる。
【0156】
アモルファス酸化物の成膜方法としては、パルスレーザー蒸着法(PLD法)、スパッタ法(SP法)及び電子ビーム蒸着法などの気相法を用いるのがよい。気相法の中でも、材料系の組成を制御しやすい点では、PLD法が、量産性の点からは、SP法が適している。しかし、成膜法は、これらの方法に限られるのものではない。
(PLD法によるIn−Zn−Ga−O系アモルファス酸化膜の成膜)
KrFエキシマレーザーを用いたPLD法により、ガラス基板(コーニング社製1737)上にIn−Zn―Ga―O系アモルファス酸化物膜を堆積させた。このとき、InGaO(ZnO)及びInGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をそれぞれターゲットとした。
【0157】
成膜装置は、既述の図14に記載されている装置を用い、成膜条件は、当該装置を用いた場合と同様とした。
【0158】
基板温度は25℃である。得られた膜に関し、膜面にすれすれ入射X線回折(薄膜法、入射角0.5度、SAXS;smallangleX−rayscatteringmethod)を行った。すると、明瞭な回折ピークは検出されず、2種類のターゲットから作製したIn−Zn−Ga−O系膜は、いずれもアモルファス膜であることが示された。
【0159】
さらに、ガラス基板上のIn−Zn―Ga―O系アモルファス酸化物膜のX線反射率測定を行い、パターンの解析を行った結果、薄膜の平均二乗粗さ(Rrms)は約0.5nmであり、膜厚は約120nmであることが分かった。
【0160】
蛍光X線(XRF)分析の結果、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして得られた膜の金属組成比はIn:Ga:Zn=1.1:1.1:0.9であった。また、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして得られた膜の金属組成比は、In:Ga:Zn=0.98:1.02:4であった。
【0161】
成膜時の雰囲気の酸素分圧を変化させ、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして得られたアモルファス酸化膜の電子キャリア濃度を測定した。その結果を図1に示す。酸素分圧が4.2Pa超の雰囲気中で成膜することにより、電子キャリア濃度を1018/cm未満に低下させることができた。この場合、基板の温度は意図的に加温しない状態でほぼ室温に維持されている。また、酸素分圧が6.5Pa未満の時は、得られたアモルファス酸化物膜の表面は平坦であった。
【0162】
酸素分圧が5Paの時、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして得られたアモルファス酸化膜の電子キャリア濃度は1016/cm、電気伝導度は、10−2S/cmであった。また、電子移動度は、約5cm/V・秒と推測された。光吸収スペクトルの解析から、作製したアモルファス酸化物膜の禁制帯エネルギー幅は、約3eVと求まった。
【0163】
酸素分圧をさらに大きくすると、電子キャリア濃度をさらに低下させることができた。図1に示す様に、基板温度25℃、酸素分圧6Paで成膜したIn−Zn−Ga−O系アモルファス酸化物膜では、電子キャリア濃度を8×1015/cm(電気伝導:約8×10−3S/cm)に低下させることができた。得られた膜は、電子移動度が1cm/(V・秒)超と推測された。しかし、PLD法では、酸素分圧を6.5Pa以上にすると、堆積した膜の表面が凸凹となり、TFTのチャネル層として用いることが困難となった。
【0164】
InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとし、異なる酸素分圧で成膜したIn−Zn−Ga−O系アモルファス酸化物膜に関して、電子キャリア濃度と電子移動度の関係を調べた。その結果を図2に示す。電子キャリア濃度が、1016/cmから1020/cmに増加すると、電子移動度は、約3cm/(V・秒)から約11cm/(V・秒)に増加することが示された。また、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして得られたアモルファス酸化膜に関しても、同様の傾向が見られた。
【0165】
ガラス基板の代わりに厚さ200μmのポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルムを用いた場合にも、得られたIn−Zn−Ga−O系アモルファス酸化物膜は、同様の特性を示した。
(PLD法によるIn−Zn−Ga−Mg−O系アモルファス酸化物膜の成膜)
ターゲットとして多結晶InGaO(Zn1−xMgO)(0<x≦1)を用い、PLD法により、ガラス基板上にInGaO(Zn1−xMgO)(0<x≦1)膜を成膜した。
【0166】
成膜装置は、図14に記載の装置を用いた。
【0167】
被成膜基板としては、SiOガラス基板(コーニング社製1737)を用意した。その基板に前処理として、超音波脱脂洗浄を、アセトン、エタノール、超純水により各5分間ずつ行った後、空気中100℃で乾燥させた。ターゲットとしては、InGa(Zn1−xMgO)(x=1−0)焼結体(サイズ20mmΦ5mmt)を用いた。
【0168】
ターゲットは、出発原料In:Ga:ZnO:MgO(各4N試薬)を、湿式混合(溶媒:エタノール)、仮焼(1000℃:2h)、乾式粉砕、本焼結(1550℃:2h)を経て作製した。
【0169】
成長室到達真空は、2×10−6(Pa)であり、成長中の酸素分圧は、0.8(Pa)とした。基板温度は、室温(25℃)で行い、ターゲットと被成膜基板間の距離は、30(mm)であった。
【0170】
なお、KrFエキシマレーザーのパワーは、1.5(mJ/cm/pulse)、パルス幅は、20(nsec)、繰り返し周波数は、10(Hz)、照射スポット径は、1×1(mm角)とした。
【0171】
成膜レートは、7(nm/min)であった。
【0172】
雰囲気は酸素分圧0.8Paで、基板温度は25℃である。得られた膜に関し、膜面にすれすれ入射X線回折(薄膜法、入射角0.5度)を行ったところ、明瞭な回折ピークは検出されず、作製したIn−Zn−Ga−Mg−O系膜はアモルファス膜であることが示された。得られた膜の表面は平坦であった。
【0173】
異なるx値のターゲットを用いて、酸素分圧0.8Paの雰囲気中で成膜したIn−Zn−Ga−Mg−O系アモルファス酸化物膜の電気伝導度、電子キャリア濃度及び電子移動度のx値依存性を調べた。
【0174】
その結果を、図4に示す。x値が0.4超のとき、酸素分圧0.8Paの雰囲気中で、PLD法により成膜したアモルファス酸化物膜では、電子キャリア濃度を1018/cm未満にできることが示された。また、x値が0.4超のアモルファス酸化物膜では、電子移動度は、1cm/V・秒超であった。
【0175】
図4に示すように、Znを80原子%のMgで置換したターゲットを使用した場合、酸素分圧0.8Paの雰囲気で、パルスレーザー堆積法で得られた膜の電子キャリア濃度を1016/cm未満とすることができる(電気抵抗値は、約10−2S/cmである。)。こうした膜の電子移動度は、Mg無添加膜に比べて低下するが、その程度は少なく、室温での電子移動度は約5cm/(V・秒)で、アモルファスシリコンに比べて、1桁程度大きな値を示す。同じ条件で成膜した場合、Mg含有量の増加に対して、電気伝導度と電子移動度は、共に低下するので、Mgの含有量は、好ましくは、20原子%超、85原子%未満(xにして、0.2<x<0.85)、より好適には0.5<x<0.85である。
ガラス基板の代わりに厚さ200μmのポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルムを用いた場合にも、得られたInGaO(Zn1−xMgO)(0<x≦1)アモルファス酸化物膜は、同様の特性を示した。
(PLD法によるInアモルファス酸化物膜の成膜)
KrFエキシマレーザーを用いたPLD法により、In多結晶焼結体をターゲットとして、厚さ200μmのPETフィルム上にIn膜を成膜した。
【0176】
装置は、図14に示した装置を用いた。被成膜基板として、SiOガラス基板(コーニング社製1737)を用意した。
【0177】
この基板の前処理として、超音波脱脂洗浄を、アセトン、エタノール、超純水で各5分間ずつ行った後、空気中100℃で乾燥させた。
【0178】
ターゲットとしては、In焼結体(サイズ20mmΦ5mmt)を用いた。これは、出発原料In(4N試薬)を仮焼(1000℃:2h)、乾式粉砕、本焼結(1550℃:2h)を経て準備した。
【0179】
成長室到達真空は、2×10−6(Pa)、成長中の酸素分圧は、5(Pa)、基板温度は室温とした。
【0180】
酸素分圧は5Pa、水蒸気分圧は0.1Paとし、さらに、酸素ラジカル発生装置に200Wを印加して、酸素ラジカルを発生させた。
【0181】
ターゲットと被成膜基板間の距離は、40(mm)、KrFエキシマレーザーのパワーは0.5(mJ/cm/pulse)、パルス幅は、20(nsec)、繰り返し周波数は、10(Hz)、照射スポット径は1×1(mm角)であった。成膜レートは、3(nm/min)であった。
【0182】
得られた膜に関し、膜面にすれすれ入射X線回折(薄膜法、入射角0.5度)を行ったところ、明瞭な回折ピークは検出されず、作製したIn−O系膜はアモルファス膜であることが示された。膜厚は、80nmであった。
【0183】
得られたIn−O系アモルファス酸化物膜の電子キャリア濃度は5×1017/cmで、電子移動度は、約7cm/V・秒であった。
(PLD法によるIn−Sn−O系アモルファス酸化物膜の成膜)
KrFエキシマレーザーを用いたPLD法により、(In0.9Sn0.1)O3.1多結晶焼結体をターゲットとして、厚さ200μmのPETフィルム上にIn−Sn−O系酸化物膜を成膜した。
【0184】
具体的には、被成膜基板として、SiOガラス基板(コーニング社製1737)を用意した。基板前処理として、超音波脱脂洗浄をアセトン、エタノール、超純水を用いて各5分間ずつ行った。その後、空気中100℃で乾燥させた。ターゲットは、In−SnO焼結体(サイズ20mmΦ5mmt)を準備した。これは、出発原料として、In−SnO(4N試薬)を湿式混合(溶媒:エタノール)、仮焼(1000℃:2h)、乾式粉砕、本焼結(1550℃:2h)を経て得られる。
【0185】
基板温度は室温である。酸素分圧は5(Pa)、窒素分圧は、0.1(Pa)とし、さらに、酸素ラジカル発生装置に200Wを印加して、酸素ラジカルを発生させた。
【0186】
ターゲットと被成膜基板間の距離は、30(mm)とし、KrFエキシマレーザーのパワーは、1.5(mJ/cm/pulse)、パルス幅は、20(nsec)であった、また、繰り返し周波数は、10(Hz)、照射スポット径は、1×1(mm角)であった。成膜レートは、6(nm/min)であった。
【0187】
得られた膜に関し、膜面にすれすれ入射X線回折(薄膜法、入射角0.5度)を行ったところ、明瞭な回折ピークは検出されず、作製したIn−Sn−O系膜はアモルファス膜であることが示された。
【0188】
得られたIn−Sn−Oアモルファス酸化物膜の電子キャリア濃度は、8×1017/cmで、電子移動度は、約5cm2/V・秒であった。膜厚は、100nmであった。
(PLD法によるIn−Ga−O系アモルファス酸化物膜の成膜)
被成膜基板として、SiOガラス基板(コーニング社製1737)を用意した。基板の前処理として、超音波脱脂洗浄をアセトン、エタノール、超純水を用いて、各5分間行った後、空気中100℃で乾燥させた。
【0189】
ターゲットとして、(In1−x−(Ga(X=0−1)焼結体(サイズ20mmΦ5mmt)を用意した。なお、例えばx=0.1の場合は、ターゲットは、(In0.9Ga0.1多結晶焼結体ということになる。
【0190】
これは、出発原料:In−Ga(4N試薬)を、湿式混合(溶媒:エタノール)、仮焼(1000℃:2h)、乾式粉砕、本焼結(1550℃:2h)を経て得られる。
【0191】
成長室到達真空は、2×10−6(Pa)であり、成長中の酸素分圧は、1(Pa)とした。
【0192】
基板温度は、室温で行い、ターゲットと被成膜基板間の距離は、30(mm)、KrFエキシマレーザーのパワーは、1.5(mJ/cm/pulse)、パルス幅は、20(nsec)、繰り返し周波数は、10(Hz)、照射スポット径は、1×1(mm角)であった。成膜レートは、6(nm/min)であった。
【0193】
基板温度は25℃である。酸素分圧は1Paであった。得られた膜に関し、膜面にすれすれ入射X線回折(薄膜法、入射角0.5度)を行った。すると、明瞭な回折ピークは検出されず、作製したIn−Ga−O系膜はアモルファス膜であることが示された。膜厚は、120nmであった。
【0194】
得られたIn−Ga−Oアモルファス酸化物膜の電子キャリア濃度は、8×1016/cmで、電子移動度は、約1cm2/V・秒であった。
(In−Zn−Ga−O系アモルファス酸化物膜を用いたTFT素子の作製(ガラス基板))TFT素子の作製
図5に示すトップゲート型TFT素子を作製した。
【0195】
まず、ガラス基板(1)上に、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとし、酸素分圧5Paの条件で、前述したPLD装置を用いて、In−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物膜を作製した。チャンネル層(2)として用いる厚さ120nmのIn−Ga−Zn−O系アモルファス膜を形成した。
【0196】
さらにその上に、チャンバー内の酸素分圧を1Pa未満にして、PLD法により電気伝導度の大きなIn−Ga−Zn−O系アモルファス膜及び金膜をそれぞれ30nm積層した。さらに、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子(5)及びソース端子(6)を形成した。
【0197】
最後にゲート絶縁膜(3)として用いるY膜を電子ビーム蒸着法により成膜した(厚み:90nm、比誘電率:約15、リーク電流密度:0.5MV/cm印加時に10−3A/cm)。その上に金を成膜し、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子(4)を形成した。チャネル長は、50μmで、チャネル幅は、200μmであった。
【0198】
TFT素子の特性評価
図6に、室温下で測定したTFT素子の電流−電圧特性を示す。ドレイン電圧VDSの増加に伴い、ドレイン電流IDSが増加したことからチャネルがn型伝導であることが分かる。
【0199】
これは、アモルファスIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物膜がn型伝導体であるという事実と矛盾しない。IDSはVDS=6V程度で飽和(ピンチオフ)する典型的な半導体トランジスタの挙動を示した。利得特性を調べたところ、VDS=4V印加時におけるゲート電圧VGSの閾値は約−0.5Vであった。
【0200】
また、V=10V時には、IDS=1.0×10−5Aの電流が流れた。これはゲートバイアスにより絶縁体のIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物膜内にキャリアを誘起できたことに対応する。
【0201】
トランジスタのオン・オフ比は、10超であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約7cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。作製した素子に可視光を照射して同様の測定を行なったが、トランジスタ特性の変化は認められなかった。
【0202】
なお、アモルファス酸化物の電子キャリア濃度を1018/cm未満にすることでTFTのチャネル層として適用できる。この電子キャリア濃度としては、1017/cm以下がより好ましく、1016/cm以下にすると更に好ましかった。
(In−Zn−Ga−O系アモルファス酸化物膜を用いたTFT素子の作製(アモルファス基板))
図5に示すトップゲート型TFT素子を作製した。まず、ポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルム(1)上に、PLD法により、酸素分圧5Paの雰囲気で、チャンネル層(2)として用いる厚さ120nmのIn−Zn−Ga−O系アモルファス酸化物膜を形成した。ターゲットはInGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体とした。
【0203】
さらにその上に、チャンバー内酸素分圧を1Pa未満にして、PLD法により電気伝導度の大きなIn−Zn−Ga−O系アモルファス酸化物膜及び金膜をそれぞれ30nm積層した。さらに、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子(5)及びソース端子(6)を形成した。最後にゲート絶縁膜(3)を電子ビーム蒸着法により成膜して、その上に金を成膜し、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子(4)を形成した。チャネル長は、50μmで、チャネル幅は、200μmであった。ゲート絶縁膜として、Y(厚さ:140nm),Al(厚さ:130μm)及びHfO(厚さ:140μm)を用いた3種類の上記の構造を有するTFTを作成した。
【0204】
TFT素子の特性評価
PETフィルム上に形成したTFTの室温下で測定した電流−電圧特性は、図6と同様であった。すなわち、ドレイン電圧VDSの増加に伴い、ドレイン電流IDSが増加したことから、チャネルがn型伝導であることが分かる。これは、アモルファスIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物膜がn型伝導体であるという事実と矛盾しない。IDSはVDS=6V程度で飽和(ピンチオフ)する典型的なトランジスタの挙動を示した。また、V=0のときには、Ids=10−8A,Vg=10V時には、IDS=2.0×10−5Aの電流が流れた。これはゲートバイアスにより絶縁体のIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物膜内に電子キャリアを誘起できたことに対応する。
【0205】
トランジスタのオン・オフ比は、10超であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約7cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。
【0206】
PETフィルム上に作成した素子を、曲率半径30mmで屈曲させ、同様のトランジスタ特性の測定を行ったが、トランジスタ特性に変化は認められなかった。また、可視光を照射して同様の測定を行なったが、トランジスタ特性の変化は認められなかった。
【0207】
ゲート絶縁膜としてAl膜を用いたTFTでも、図6に示したものと類似のトランジスタ特性を示したが、V=0のときには、Ids=10−8A,Vg=10V時には、IDS=5.0×10−6Aの電流が流れた。トランジスタのオン・オフ比は、10超であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約2cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。
【0208】
ゲート絶縁膜としてHfO膜を用いたTFTでも、図6に示したものと類似のトランジスタ特性を示したが、V=0のときには、Ids=10−8A,Vg=10V時には、IDS=1.0×10−6Aの電流が流れた。トランジスタのオン・オフ比は、10超であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約10cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。
(PLD法によるInアモルファス酸化物膜を用いたTFT素子の作成)
図5に示すトップゲート型TFT素子を作製した。まず、ポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルム(1)上に、PLD法により、チャンネル層(2)として用いる厚さ80nmのInアモルファス酸化物膜を形成した。
【0209】
さらにその上に、チャンバー内酸素分圧を1Pa未満にして、さらに酸素ラジカル発生装置への印加電圧をゼロにして、PLD法により、電気伝導度の大きなInアモルファス酸化物膜及び金膜をそれぞれ30nm積層した。そして、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子(5)及びソース端子(6)を形成した。最後にゲート絶縁膜(3)として用いるY膜を電子ビーム蒸着法により成膜して、その上に金を成膜して、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子(4)を形成した。
【0210】
TFT素子の特性評価
PETフィルム上に形成したTFTの室温下で測定した電流−電圧特性を測定した。ドレイン電圧VDSの増加に伴い、ドレイン電流IDSが増加したことからチャネルがn型半導体であることが分かる。これは、In−O系アモルファス酸化物膜がn型伝導体であるという事実と矛盾しない。IDSはVDS=5V程度で飽和(ピンチオフ)する典型的なトランジスタの挙動を示した。また、V=0V時には、2×10−8A、V=10V時には、IDS=2.0×10−6Aの電流が流れた。これはゲートバイアスにより絶縁体のIn−O系アモルファス酸化物膜内に電子キャリアを誘起できたことに対応する。
【0211】
トランジスタのオン・オフ比は、約10であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約10cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。ガラス基板上に作成したTFT素子も同様の特性を示した。
【0212】
PETフィルム上に作成した素子を、曲率半径30mmで曲げ、同様のトランジスタ特性の測定を行ったが、トランジスタ特性に変化は認められなかった。
(PLD法によるIn−Sn−O系アモルファス酸化物膜を用いたTFT素子の作成)
図5に示すトップゲート型TFT素子を作製した。まず、ポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルム(1)上に、PLD法により、チャンネル層(2)として用いる厚さ100nmのIn−Sn−O系アモルファス酸化物膜を形成した。さらにその上に、チャンバー内酸素分圧を1Pa未満にして、さらに酸素ラジカル発生装置への印加電圧をゼロにして、PLD法により、電気伝導度の大きなIn−Sn−O系アモルファス酸化物膜及び金膜をそれぞれ30nm積層した。そして、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子(5)及びソース端子(6)を形成した。最後にゲート絶縁膜(3)として用いるY膜を電子ビーム蒸着法により成膜し、その上に金を成膜して、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子(4)を形成した。
【0213】
TFT素子の特性評価
PETフィルム上に形成したTFTの室温下で測定した電流−電圧特性を測定した。ドレイン電圧VDSの増加に伴い、ドレイン電流IDSが増加したことからチャネルがn型半導体であることが分かる。これは、In−Sn−O系アモルファス酸化物膜がn型伝導体であるという事実と矛盾しない。IDSはVDS=6V程度で飽和(ピンチオフ)する典型的なトランジスタの挙動を示した。また、V=0V時には、5×10−8A、V=10V時には、IDS=5.0×10−5Aの電流が流れた。これはゲートバイアスにより絶縁体のIn−Sn−O系アモルファス酸化物膜内に電子キャリアを誘起できたことに対応する。
【0214】
トランジスタのオン・オフ比は、約10であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約5cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。ガラス基板上に作成したTFT素子も同様の特性を示した。
【0215】
PETフィルム上に作成した素子を、曲率半径30mmで曲げ、同様のトランジスタ特性の測定を行ったが、トランジスタ特性に変化は認められなかった。
(PLD法によるIn−Ga−O系アモルファス酸化物膜を用いたTFT素子の作成)
図5に示すトップゲート型TFT素子を作製した。まず、ポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルム(1)上に、実施例6に示した成膜法により、チャンネル層(2)として用いる厚さ120nmのIn−Ga−O系アモルファス酸化物膜を形成した。さらにその上に、チャンバー内の酸素分圧を1Pa未満にして、さらに酸素ラジカル発生装置への印加電圧をゼロにして、PLD法により、電気伝導度の大きなIn−Ga−O系アモルファス酸化物膜及び金膜をそれぞれ30nm積層した。そして、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子(5)及びソース端子(6)を形成した。最後にゲート絶縁膜(3)として用いるY膜を電子ビーム蒸着法により成膜し、その上に金を成膜して、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子(4)を形成した。
【0216】
TFT素子の特性評価
PETフィルム上に形成したTFTの室温下で測定した電流−電圧特性を測定した。ドレイン電圧VDSの増加に伴い、ドレイン電流IDSが増加したことからチャネルがn型半導体であることが分かる。これは、In−Ga−O系アモルファス酸化物膜がn型伝導体であるという事実と矛盾しない。IDSはVDS=6V程度で飽和(ピンチオフ)する典型的なトランジスタの挙動を示した。また、V=0V時には、1×10−8A、V=10V時には、IDS=1.0×10−6Aの電流が流れた。これはゲートバイアスにより絶縁体のIn−Ga−O系アモルファス酸化物膜内に電子キャリアを誘起できたことに対応する。
【0217】
トランジスタのオン・オフ比は、約10であった。また、出力特性から電界効果移動度を算出したところ、飽和領域において約0.8cm(Vs)−1の電界効果移動度が得られた。ガラス基板上に作成したTFT素子も同様の特性を示した。
【0218】
PETフィルム上に作成した素子を、曲率半径30mmで曲げ、同様のトランジスタ特性の測定を行ったが、トランジスタ特性に変化は認められなかった。
【0219】
なお、アモルファス酸化物の電子キャリア濃度を1018/cm未満にすることでTFTのチャネル層として適用できる。この電子キャリア濃度としては、1017/cm以下がより好ましく、1016/cm以下にすると更に好ましかった。
【0220】
In−Ga−Zn−Oから構成され、結晶状態に置ける組成がInGa(Zn)(mは6未満の自然数)で表されるアモルファス酸化物半導体層の膜厚200nmの透過率を図7に示す。バンドギャップは約3eVである。とくに400nmよりも短波長側にある透過率が60%以下であるような紫外線光に対しては強い感度がある。また、In−Ga−Zn−Mg−Oから構成され、結晶状態の組成がInGaO(Zn1−xMgO)(mは6未満の自然数、0<x≦1)で表されるアモルファス酸化物半導体層も類似した透過率を示し、紫外線光に対して感度を示す。
【0221】
また、有機色素を用いれば、電子の移動度の大きいIn−Ga−Zn−Oを主成分とするアモルファス酸化物半導体は、光の感度波長域を、紫外波長域から可視光波長領域に広げることができ、かつ、高い光電気変換効率を示す。
【0222】
以下に、実施例を示す。
(実施例1)
図8に示す光センサ素子を形成する。ガラス基板(コーニング社製1737)基板上に、真空蒸着法でAl電極を100nm形成し下部電極とする。続いて、Krエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法によりInGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を堆積させる。その上に真空蒸着法でIn(SnO)を、室温の基板温度で約20nm積層し上部電極とする。このようにして光センサが形成される。使用時には、光入射側の上部電極に負のバイアスを印加し、下部電極に正のバイアスを印加する。そして、水銀ランプから波長365nmの紫外光を光センサ素子に照射することにより、紫外線センサとして機能することが確認できる。
(実施例2)
図8に示す光センサ素子を形成する。ガラス基板(コーニング社製1737)基板上に、真空蒸着法でAl電極を100nm形成し下部電極とする。続いて、Krエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法によりInGaO(Zn0.9Mg0.1O)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を堆積させる。アモルファス酸化物半導体膜の層厚は100nm形成する。その上に真空蒸着法でIn(SnO)を、室温の基板温度で約20nm積層し上部電極とする。このようにして形成した光センサ素子に電圧を1V印加する。使用時には、光入射側の上部電極に負のバイアスを印加し、下部電極に正のバイアスを印加する。そして、水銀ランプから波長365nmの紫外光を光センサ素子に照射することにより、紫外線センサとして機能することが確認できる。
(実施例3)
図9に示す光センサ素子を形成する。ガラス基板(コーニング社製1737)基板上に、真空蒸着法でAl電極を100nm形成し下部電極とする。Krエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法によりInGaO(Zn0.9Mg0.1O)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を5nm堆積させる。続いて、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を5nm堆積させる。この操作を20回繰り返して、200nmの多層構造半導体層を積層する。アモルファス酸化物半導体膜の層厚は100nm形成する。その上に真空蒸着法でIn(SnO)を、室温の基板温度で約20nm積層し上部電極とする。
(実施例4)
実施例1に示す光センサ素子において、アモルファス酸化物半導体を100nm積層した後、シアニン色素をメタノールとクロロホルムの混合溶液に0.01%溶解したし色素溶液に、アモルファス酸化物半導体を浸漬し、有機色素を半導体上に吸着結合させる。有機溶剤を揮発させて後、その上に真空蒸着法でIn(SnO)を、室温の基板温度で約20nm積層し上部電極とする。このようにして形成した光センサ素子に電圧を1V印加する。光入射側の上部電極に負のバイアスを印加し、下部電極に正のバイアスを印加する。そして、水銀ランプから波長365nmの紫外光を光センサ素子に照射することにより、紫外線センサとして機能することが確認できる。
(実施例5)
図9に示す光センサ素子を形成する。ガラス基板(コーニング社製1737)基板上に、真空蒸着法でAl電極を100nm形成し下部電極とする。Krエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法によりInGaO(Zn0.9Mg0.1O)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を5nm堆積させる。続いて、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を5nm堆積させる。この操作を20回繰り返して、200nmの多層構造半導体層を積層する。このようにして形成した光センサ素子に電圧を1V印加する。光入射側の上部電極に負のバイアスを印加し、下部電極に正のバイアスを印加する。そして、水銀ランプから波長365nmの紫外光を光センサ素子に照射することにより、紫外線センサとして機能することが確認できる。
(実施例6)
非平面イメージャのTFTとして、図5に示すトップゲート形MISFETを作成する。基板としては、厚さ0.3mmポリイミドシートを使用する。
【0223】
KrFエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法により、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとして、ポリイミドシート上にIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を堆積させる。チャンネル層として用いる厚さ120nmのアモルファス酸化物半導体層InGaO(ZnO)膜を形成する。さらにその上に、チャンバー内酸素分圧を1Pa未満にして、パルスレーザー堆積法により電気伝導度の大きなInGaO(ZnO)及び金膜をそれぞれ30nm積層した。そして、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子及びソース端子を形成する。最後にゲート絶縁膜として用いるY膜を電子ビーム蒸着法により成膜し(厚み:90nm、比誘電率:約15、リーク電流密度:0.5MV/cm印加時に10−3A/cm)、その上に金を成膜した。そして、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子を形成する。
【0224】
非平面イメージャのセンサとして図8に示す光センサ素子を形成する。前記ポリイミド基板上に、真空蒸着法でAl電極を100nm形成し下部電極とする。続いて、Krエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法によりInGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を堆積させる。アモルファス酸化物半導体膜の層厚は100nm形成する。シアニン色素をメタノールとクロロホルムの混合溶液に0.01%溶解したし色素溶液に、アモルファス酸化物半導体を浸漬し、有機色素を半導体上に吸着結合させる。
【0225】
その上に真空蒸着法でIn(SnO)を、室温の基板温度で約20nm積層し上部電極とする。該上部電極上にシンチレータとしてCdWO層を、スパッタ法で400μm堆積する。そして図10に示すX線センサを形成する。このようなTFTとX線センサを組み合わせて図11に示す回路を形成し、図12に示す非平面イメージャを構成する。このような非平面イメージャ内に、非測定物として、小型のデジタルカメラを設置してx線測定を行う。従来の平面X線イメージャを用いた画像よりも、ひずみの少ない画像が得られる。
(実施例7)
非平面イメージャのTFTとして、図5に示すトップゲート形MISFETを作成する。基板としては、厚さ0.3mmプラスチックシートを使用する。KrFエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法により、ポリイミドシート上にIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を堆積させる。このときInGaO(Zn0.9Mg0.1O)組成を有する多結晶焼結体をターゲットに用いる。チャンネル層として用いる厚さ120nmのアモルファス酸化物半導体層InGaO(Zn0.9Mg0.1O)膜を形成する。さらにその上に、チャンバー内酸素分圧を1Pa未満にして、パルスレーザー堆積法により電気伝導度の大きなInGaO(Zn0.9Mg0.1O)及び金膜をそれぞれ30nm積層する。そして、フォトリゾグラフィー法とリフトオフ法により、ドレイン端子及びソース端子を形成する。最後にゲート絶縁膜として用いるY膜を電子ビーム蒸着法により成膜し(厚み:90nm、比誘電率:約15、リーク電流密度:0.5MV/cm印加時に10−3A/cm)、その上に金を成膜した。そして、フォトリソグラフィー法とリフトオフ法により、ゲート端子を形成する。
【0226】
非平面イメージャのセンサとして図9に示す光センサ素子を形成する。前記プラスチック基板上に、真空蒸着法でAl電極を100nm形成し下部電極とする。Krエキシマレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法によりInGaO(Zn0.9Mg0.1O)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を5nm堆積させる。続いて、InGaO(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてIn−Ga−Zn−O系アモルファス酸化物半導体薄膜を5nm堆積させる。この操作を20回繰り返して、200nmの多層構造半導体層を積層する。アモルファス酸化物半導体膜の層厚は100nm形成する。各酸化物半導体層を積層する毎に、フタロシアニン色素を真空蒸着して、該酸化物半導体層上に単分子膜程度積層する。その上に真空蒸着法でIn(SnO)を、室温の基板温度で約20nm積層し上部電極とする。
【0227】
このようなTFTとX線センサを組み合わせて図11に示す回路を形成し、図12に示す非平面イメージャを構成する。このような非平面イメージャ内に、非測定物として、小型のデジタルカメラを設置してX線測定を行う。従来の平面X線イメージャを用いた画像よりも、ひずみの少ない画像が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0228】
本発明は紫外光、可視光、X線に対して高い感度を有するセンサ及び非平面イメージャに適用できる。
【符号の説明】
【0229】
701,801,901 基板
702,802,902 下部電極
703,903 半導体層
704,804,904 上部電極
803 多層構造半導体層
905 シンチレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
基板と、
該基板上に設けられている電磁波を検知するセンサと、
該センサからの信号を読み出すための電界効果型トランジスタとを備え、
該電界効果型トランジスタの活性層は、In−Zn−Ga−O系酸化物、In−Zn−Ga−Mg−O系酸化物、In−Zn−O系酸化物、In−Sn−系酸化物、In−O系酸化物、In−Ga−O系酸化物、及びSn−In−Zn−O系酸化物のうちのいずれかである非晶質酸化物を有し、前記非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満であり、前記電界効果型トランジスタは、ゲート電圧無印加時のソース−ドレイン端子間の電流が10マイクロアンペア未満であり、電界効果移動度が1cm/(V・秒)超であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記センサと前記電界効果型トランジスタを含む、非平面の領域を有する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記センサが、X線を光に変換するシンチレータと光電変換素子とを含み構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記基板は、可撓性を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−142600(P2012−142600A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65329(P2012−65329)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2005−325368(P2005−325368)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】