説明

セントラライザ、通路測量及び誘導装置

【課題】 新規で有用なセントラライザ等の提供。
【解決手段】穴の中心に計測装置を維持するセントラライザであって、第1回転ポイントと、前記固定された回転ポイントに回転可能に搭載される第1リンクと、第2回転ポイントと、前記可動の回転ポイントに回転可能に搭載される第2リンクと、前記第1リンクを前記第2リンクに接続する第3回転ポイントと、前記第1及び第2回転ポイントを互いに向けて付勢するように構成された弾性部材と、前記第1及び第2リンクの一方に接続されるローラとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、これに限定されないが、ボ−リング孔若しくは管のような通路により取られる経路及び/又は通路内の対象物の位置に関する3次元情報を精度良く求めるためのセントラライザ、通路測量及び誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボーリング産業は、前もって運命付けられたターゲット位置に掘削ヘッドを案内するために用いることができる位置決定システムを有することの望ましさを認識してきた。掘削パイプが前進する際の任意の時間にて掘削ヘッドの位置及び/又はボーリング孔の経路に関する正確な位置情報を提供できる位置決定システムが継続して望まれてきた。理想的には、位置決定システムは、掘削流体若しくは戻り流体の流れに対して最小限の制約を提供するように、掘削パイプに適合するほど十分小型であり、精度ができるだけ高くあるべきである。
【0003】
幾つかのシステムは、かかる位置情報を提供するために考案されてきた。傾斜計、加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計のような、従来の案内及び孔測量ツールが用いられてきた。これらのシステムの全てに直面する1つの問題は、それらは、小さい径の孔に対して“掘削中の計測”が可能でないほど大きすぎる傾向にあることである。“掘削中の計測”システムでは、孔からツールを取り出すことなく測定がなされることができるように、掘削パイプ内に、典型的には掘削ヘッドの近傍に、位置検出装置を内蔵することが望ましい。かかる掘削パイプ内の計器装備の含有は、流体の流れを相当に制約する。かかるシステムを用いると、掘削パイプの径及び孔の径は、しばしば、流体の流れに最小限の制約を提供するために十分な内部スペースを依然として可能としつつ、位置計測装備を収容するために4インチよりも大きくならなければならない。傾斜計、加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計に基づくシステムは、また、それらが信号ドリフト、変動、若しくは磁気若しくは重力偏差により全て影響を受けるので、高い精度を提供できない。1%若しくはそれ以上のオーダーの誤りがしばしば知見される。
【0004】
ある浅深位置特定システムは、掘削ヘッド近傍のゾンデにより放射される音若しくは電磁放射を追跡することに基づく。深さが制限されることに加えて、かかるシステムは、また、放射を検出し掘削ヘッドの位置を追従するために、作業者が受信機を持ち、掘削ヘッド上の表面を歩くことを必要とする点で、欠陥がある。かかるシステムは、掘削ヘッド上の表面への作業者のアクセスがない場合や地面が放射に対して十分透過性がない場合には、用いることができない。
【0005】
ここでの参照によりその内容が組み込まれる特許文献1に開示されるシステム及び方法は、4インチよりも実質的に小さい径の掘削パイプ内に適合するほど十分小さく、流体の円滑な通路を可能とする非常に高精度の位置決定システムを提供するように設計されている。このシステム及び方法は、“POLO”と称され、POsition LOcation技術を指す。特許文献1に開示のシステムは、連続的且つ周期的に、掘削パイプがボーリング孔若しくは他の通路を通過する際に掘削パイプの外面上で得られる軸方向の歪測定値から掘削パイプの部位の曲線の方位及び曲率半径を求める。連続的に取得される曲率半径及び方位情報を用いて、特許文献1に記載のシステムは、セグメントベースで、ボーリング孔の経路を表す円弧データであって、各測定ポイントで、測定する歪ゲージセンサの位置をも表す円弧データを構築する。センサが掘削ヘッド近傍に配置される場合、掘削ヘッドの位置を得ることができる。
【0006】
特許文献1の記載のシステム及び方法は、傾斜掘削用途を有し、例えば回転掘削、水噴掘削、ダウンホールモータ掘削及び油圧掘削のような、種々の掘削装置と共に用いることができる。このシステムは、井戸掘削、貯留刺激、ガス若しくは流体貯蔵、新規のパイプ及びワイヤの配索、インフラの再生、既存のパイプ及びワイヤの交換、設備配置、コア掘削、コーン透過度計挿入、貯蔵タンク監視、パイプジャッキング、トンネル掘削のような傾斜掘削及び他の関連分野で有用である。
【0007】
特許文献1の特許は、また、各測定ポイントにて、測定管が通路を通過する際に測定管の可能ならば絶対参照値に対する正味の回転量に関する情報を求め、歪測定値と共に回転情報を用いて、絶対参照値に対する測定された局部の曲率半径に対応付けられる方位を求めることによって、掘削動作中に測定管の回転を補償する方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】Hill,III他への米国特許第5,193,628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の特許は、大きな利点を提供するが、このシステム及び方法には幾つかの局面で改善する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
セントラライザベースの測量及び誘導(CSN)装置は、ボーリング孔ないし通路位置情報を提供するように設計される。装置は、クローズドトラバース測量(測量と称す)及びオープントラバース測量若しくは掘削中の誘導(誘導と称す)の双方に好適である。CSN装置は、通路内にセグメント(複数も可)を位置付けるセントラライザを有する一以上のセグメントからなるセンサストリング、及び、重力に対してでも、セントラライザの向き及び相対位置を測定する少なくとも1つの測定センサからなることができる。CSN装置は、また、少なくとも1つのオドメトリセンサ、初期化システム、誘導アルゴリズム実現プロセッサ(複数も可)を有することができる。センサストリング内のセントラライザの数は、少なくとも3つであるべきである。傾斜計、加速度計及びその他ののような追加のセンサがCSN装置及びシステムに含められてもよい。
【0011】
センサストリングの孔内CSN組立体に関する模範的な実施例を含め、CSNの多数の考えられる実現が存在し、当該模範的な実施例では、各セグメントがセントラライザの相対位置を測定するための独自の検出器を有することができ、その各自の検出器は、重力に対するセンサストリングの相対的な向きを測定し、及び/又は、部分的なデータ低減がセグメント内部に配置されたプロセッサにより実行され、高価値データが誘導アルゴリズムプロセッサにバスを介して通信される。
【0012】
その他の模範的な実施例は、参照直線計測本体若しくはビームに対するセントラライザの相対位置を測定する容量性近接検出器及び/又は光ファイバ近接検出器及び/又は歪ゲージベースの近接検出器を利用するCSN装置に関する。
【0013】
その他の模範的な実施例は、角度計測センサを利用するCSN装置に関し、一以上のセントラライザに取り付けられるセンサストリングセグメントとして剛ビームを有する。これらのビームは、歪ゲージが撓曲部に実装された撓曲部ベースのジョイント及び/又は角度エンコーダのような角度検出器を備えるユニバーサルジョイントを用いて互いに接続される。セントラライザの相対位置は、当該エンコーダ及び/又は歪ゲージの読み取り値に基づいて決定される。
【0014】
その他の模範的な実施例は、歪ゲージが実装された撓曲ビームをストリングセグメントとして利用するCSN装置に関し、セントラライザの相対位置を測定するためにこれらの歪ゲージの読み取り値を用いることができる。
【0015】
その他の模範的な実施例は、撓曲ビームセンサを利用するCSN装置に関し、当該撓曲ビーム内に誘起される考えられうるせん断力を補償するために歪ゲージの複数のセットを利用することができる。
【0016】
その他の模範的な実施例は、センサストリングに回転を誘起することにより若しくは掘削ストリングの回転の平均を取ることによりセントラライザの相対変位を測定する検出器及びセンサストリングの向きを計測する検出器のゼロドリフトに対する補償器に関する。センサストリングの向きを計測する検出器が加速度計である場合、かかる装置は、局所の地球の重力の検出器測定値の平均が、所与の時間での既知の値gに等しくなるように強制することによって、加速度計のゼロドリフトを計算することができ、及び/又は、セントラライザの相対変位を測定する検出器のゼロドリフトは、歪ゲージの読み取り値が、掘削ストリング上に配置された傾斜計、加速度計及び/又はジャイロスコープ、若しくは、地球の重力に対するセンサストリングの向きを測定するセンサストリングにより測定された角度依存性と同一のストリングの回転に関する角度依存性を追従するように、強制することによって補償される。
【0017】
その他の模範的な実施例は、近接検出器ベース若しくは角度計測ベースの変位センサストリングの計測ビームの重力誘起サグを補償するために浮力を用いる装置に関する。
【0018】
その他の模範的な実施例は、ボーリング孔に接触する各セントラライザのポイント間の一定の分離を維持するセントラライザに関する。
【0019】
これらの模範的な実施例及び本発明の他の特徴は、添付図面を参照した次の詳細な説明に基づいてより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるCSN装置を内蔵するシステムを示す図。
【図2a】本発明によるCSN装置の種々の実施例を示す図。
【図2b】本発明によるCSN装置の種々の実施例を示す図。
【図2c】本発明によるCSN装置の種々の実施例を示す図。
【図2d】本発明によるCSN装置の種々の実施例を示す図。
【図2e】本発明によるCSN装置の種々の実施例を示す図。
【図3】本発明による図2aに示すようなCSN装置を内蔵するシステムを示す図。
【図4】本発明による図2b、2c及び2eに示すような変位若しくは歪測定を利用するCSN装置を示す図。
【図5a】本発明によるCSN装置により利用されるグローバル座標系及びローカル座標系を示す図。
【図5b】本発明によるCSN装置により利用されるグローバル座標系及びローカル座標系を示す図であり、図5aに示す丸で囲まれたローカル座標系の拡大図。
【図5c】本発明によるCSN装置により利用されるグローバル座標系及びローカル座標系を示す図。
【図5d】本発明によるCSN装置により利用されるグローバル座標系及びローカル座標系を示す図。
【図6】本発明によるCSNシステム/装置によりどのようにして誘導及び/又は測量が実行できるかを示すブロック図。
【図7a】本発明による変位測定CSN装置を示す図。
【図7b】本発明による変位測定CSN装置を示す図であり、図7aの装置の断面A−Aを示す図。
【図8】本発明による歪ゲージ計測センサを利用するCSN装置を示す図。
【図9】本発明による図8に示すようなCSN装置上に作用する力を示す図。
【図10】本発明による図8に示すようなCSN装置に対する歪ゲージデータ低減のブロック図。
【図11】本発明によるCSN装置の回転する撓曲ビームに生ずる歪を示す図。
【図12】本発明による図11に示すような、回転型歪ゲージCSN装置においてどのようにしてデータ低減が実行できるかを示すブロック図。
【図13】本発明によるCSN装置を用いた加速度計の感度を定義するベクトルを示す図。
【図14】本発明によるCSN装置と共に用いられる加速度計でどのようにしてデータ低減が実行できるかを示すブロック図。
【図15】本発明によるユニバーサルジョイント歪ゲージCSN装置を示す図。
【図16】本発明によるユニバーサルジョイント歪ゲージCSN装置を示す図。
【図17】本発明によるユニバーサルジョイント歪ゲージCSN装置を示す図。
【図18】本発明によるCSN組立体のブロック図。
【図19】本発明によるセントラライザの実施例を示す図。
【図20a】本発明によるセントラライザの実施例を示す図。
【図20b】本発明によるセントラライザの実施例を示す図。
【図21a】重力補償CSN装置を示す図。
【図21b】重力補償CSN装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、通路及びダウンホール位置情報を提供するように設計されたセントラライザベースの測量(サーベイ)及び誘導(ナビゲーション)(以下、“CSN”)装置、システム、及び方法に関する。CSN装置は、略任意のサイズの通路及び孔での使用のために大きさを決めることができ、掘削孔、パイピング、衛生工事、公共システム、及び、実質的に任意の他の孔環境における測量若しくは誘導に適している。ここで、用語通路及びボーリング孔は、互換性を持って用いられる。
【0022】
図1は、CSN装置10を内蔵した傾斜掘削システムの基本要素、セグメント13及びセントラライザ14(14a,14b及び14c)を含むセンサストリング12、掘削ストリング18、イニシャライザ20、オドメータ22、コンピューター24、及び、掘削ヘッド26を示す。計測センサ28は、含まれ、中央のセントラライザ14bに対応付けられることができ、若しくは、掘削ストリング18上に配置されることができる。オドメータ22及び誘導アルゴリズムを統治するコンピューター24は、典型的には、掘削リグ30上に実装され、CSN装置10と通信する。CSN装置10は、ボーリング孔16内に挿入される前に事前に組み立てられてもよいし、若しくは、ボーリング孔16内にCSN装置10が前進する際に組み立てられてもよい。
【0023】
図1に示すように、CSN装置10は、掘削ストリング18上に配置され、ボーリング孔16内に前進されることができる。CSN装置10のセントラライザ14は、図19乃至図20bに関連して以下で詳説されるが、孔壁の不規則性に関らず、ボーリング孔16の断面の中心にセントラライザ14を繰り返し可能な態様で位置付ける機械的若しくは電気機械的装置である。図1に示すように、CSN装置10は、少なくとも3つのセントラライザ14、即ち、ボーリング孔16内の走行方向をベースに名付けられる、後尾セントラライザ14a、中間セントラライザ14b及び先導セントラライザ14cを用いる。セントラライザ14は、任意の2つのセントラライザ14を接続する一以上のセグメント13内のセンサストリング12に沿って接続され、接続されるセントラライザ14間及びボーリング孔16内の既知の一定の間隔を維持する。セントラライザ14の互いに対する向きの変化若しくはセンサストリング12セグメント13に対する変化により実証されるCSN装置10の方向の変化は、ボーリング孔16のジオメトリを決定するために用いることができる。
【0024】
図1に示すイニシャライザ20は、ボーリング孔16及びボーリング孔16に対するCSN装置10の挿入向きに関する情報を提供し、従って、位置に関する将来の計算は、初期の挿入位置に基づくことができる。イニシャライザ20は、センサストリングセグメント13上の対の隣接するセントラライザ14間の距離よりも長い長さを有し、CSN装置10が初期的に向けられることができるように、ボーリング孔16内への既知の走行経路を提供する。ある環境下では、ボーリング孔16の入口経路に沿った2点ほどの少ない位置に関する情報が、イニシャライザ20の代わりに用いられても良い。本発明の模範的な実施例による誘導は、CSN装置10の開始位置及び向きに対するCSN装置10の位置付け位置を、イニシャライザ20を用いて得られるデータに基づいて提供する。
【0025】
図2a乃至図2eに示すように、CSN装置10と互換性のある種々のタイプのセントラライザベースの計測がある。しかし、全ては、CSN装置10での読み取り値に基づいてCSN装置10の位置を決定することができる。CSN装置10の計測の種類は、これらに限定されないが、(1)図2aに示すような直線ビーム/角度計測、(2)図2bに示すような直線ビーム/変位計測、(3)図2cに示すような撓曲ビーム計測、(4)図2dに示すような光ビーム変位計測、(5)図2eに示すような、(1)から(4)の組み合わせシステムを含む。これらの種々の計測タイプは、すべて、鉛直面内及び直交面内のボーリング孔16の曲率を測定する。鉛直面は、任意のボーリング孔16の位置でのボーリング孔16の軸及び局所鉛直に直角なベクトルにより定義される。直交面は、鉛直軸に直交し、ボーリング孔16の軸に平行である。CSN装置10は、ボーリング孔16に沿った走行距離と共に、このボーリング孔16の曲率情報を用いて、3次元でその位置を求める。入口ポイントから現在のCSN装置10までのボーリング孔16内の走行距離は、CSN装置10を前進させるために用いられる掘削ストリング18に接続された若しくはCSN装置10自体に接続されたオドメータ22により測定されることができる。CSN装置10は、コンピューター24と通信でき、コンピューター24は、CSN装置10の測定値及びオドメータ22に基づいて位置を算出するために用いることができる。或いは、CSN装置10自身が、その位置を求める処理能力及び全ての装備を含むことができ、接続されたコンピューター24は、この情報を表示するために用いることができる。
【0026】
イニシャライザ20により提供される所定のローカル座標系(図5b)からの開始位置及び開始向き(傾角及び方位角)の定義により、CSN装置10の操作者は、掘削誘導を、グローバル座標系における既知の表面及び内層面特徴に関連させることが可能である。図6に示すような誘導アルゴリズムは、ボーリング孔16のCSN装置10の位置を計算するために、センサストリングセグメント(複数も可)12、オドメトリセンサ(複数も可)22及びイニシャライザ20の読み取り値を結合することができる。
【0027】
CSN装置10は、セントラライザ14の相対位置を提供する。より正確には、理想的な3セントラライザCSN装置10は、図5bに示すように、ローカル座標系における先導セントラライザ14cのベクトル座標を提供し、図5bでは、“x”軸は、セントラライザ14a及び14cを結ぶ線により定義され、“z”軸は、“x”軸及びグローバル鉛直“Z”により定義される面内にある。或いは、中間のセントラライザの位置は、“x”軸がセントラライザ14a及び14bを結ぶ線により定義され、“y”軸及び“z”軸が上述と同様に定義される座標系で提供されるだろう。x軸が、先導セントラライザ及び後尾セントラライザ、若しくは、先導セントラライザ及び中間セントラライザ、若しくは、中間セントラライザ及び後尾セントラライザを接続する座標系では、細かい詳細は異なるが、全て数学的に等価の誘導アルゴリズムを導き、互換性のある態様で用いられるだろう。
【0028】
図3は、図2aに示す計測技術によるCSN装置10を示し、この場合、先導セントラライザ14cと後尾セントラライザ14a間の方向の角度の変化は、中間セントラライザ14bにて測定される。示すように、CSN装置10は、掘削ヘッド26が方向を変化する際にボーリング孔16を通って掘削ヘッド26を追従する。互いに対するセントラライザ14の変位の大きさは、セントラライザ14c及び14bを繋ぐビーム形成セグメント13と、セントラライザ14b及び14cを繋ぐビーム形成セグメント13との間の角度θにより反映され、これは、中間セントラライザ14bにある若しくはその近傍の角度センシング検出器(複数も可)29(計測センサ28)により測定される。センサストリング12の回転ψも測定できる。
図4は、図2b、2c及び2eに示した計測技術、即ち変位及び曲げ/歪測定の双方を反映する代替的な誘導/測量技術用に構成されたCSN装置10を示す。変位測定(図7a及び7bに関連して後に詳説)は、先導及び後尾セントラライザ14c,14a上に搭載された(センサストリング12セグメント13として)直線変位計測ビーム31を用いてセントラライザ14の相対位置を測定する。近接センサ38(測定センサ28)は、直線計測ビーム31に対する中間セントラライザ14bの位置を計測する。
【0029】
図4の参照を続けるに、それぞれセントラライザ14間を接続する堅固な計測ビーム32(センサストリングセグメント12のその他の形態)に誘起される歪を測定するように構成された歪検出器計測(図8乃至12に関連して後に詳説)も、CSN装置10において使用できる。直線からの如何なるセントラライザ14の逸脱は、ビーム32に歪を与えることになる。歪検出器若しくは歪ゲージ40(計測センサ28の一種)は、これらの歪を測定する(用語歪検出器及び歪ゲージは、ここでは互換性を持って用いられる)。歪ゲージ40は、機械的な運動を電気信号に変換するように構成される。CSN装置10は、ビーム32にわずか2つの歪ゲージを間隔をおいて実装することができる。センサストリング12の回転ψも測定されることができる。
【0030】
その他の実現では、歪検出器40及び近接検出器38の双方が、誘導精度を改善するために同時に使用されてもよい。その他の実現では、図2dに示すように、変位計測は、レーザービームのような光のビームの偏差に基づく。3つのセントラライザ14構成では、可干渉性の線形光源(例えばレーザー)は、後尾セントラライザ14aを照明するために先導セントラライザ14a上に搭載されることができる。後尾セントラライザ14aに搭載される反射面は、中間セントラライザ14bに搭載される可干渉性の光を半導体位置検出素子(PSD,計測センサ28)へと戻るように反射し、当該検出器は、可干渉性の光の反射位置を電気信号に変換する。ビームがPSD計測センサ28に交わるポイントは、3つのセントラライザ14の相対変位に関連する。2つのセントラライザ14光計測センサ構成では、中間セントラライザ14bに搭載されるレーザーからの光は、隣接するセントラライザ14に搭載されるミラーから反射され、中間セントラライザ14bに搭載されるPSD計測センサ28へと戻るように再び方向付けられる。ビームがPSD計測センサ28に交わるポイントは、セントラライザ14の相対角度に関連する。
【0031】
上述の如く、CSN誘導アルゴリズム(図6)は、グローバル座標系(X,Y,Z)に対して3次元でCSN装置10の位置を求めるためにローカル座標系(x、y、z)を用いる。図5aは、2つの座標系間の一般的な関係を示し、この場合、ローカル座標は、値表面下のボーリング孔16に沿ったCSN装置10の位置が原点とされる。CSN誘導アルゴリズムは、CSN装置10の次の動作に基づくことができる。(1)CSN装置10は、後尾セントラライザ14a及び中間セントラライザ14bが、ボーリング孔16の測量された部分(既知部)内に配置され、先導セントラライザ14cがボーリング孔16内の未知部内にあるような態様で、配置される。(2)変位測定を用いて、CSN装置10は、例えば計測センサ28のような、ローカル座標系内で互いに対するセントラライザ14の相対変位を算出する検出器のセットを含む。(3)ローカル座標系は、セントラライザ14a及び14cを結ぶベクトル(図5bの軸“x”)及び計測センサ28のような、例えば鉛直角度検出器により、測定されるような重力の方向(図5bの鉛直若しくは“Z”)に基づいて定義される。(4)中間及び後尾セントラライザ14b,14aの位置の事前の決定。この情報が手に入ると、先導セントラライザ14cの位置を求めることができる。
【0032】
例えばプロセッサにより適用され、図5cのジオメトリにより機能する図6に示すようなアルゴリズムは、次を実行することができる。(1)CSN装置10は、前の段落で示すように配置される。(2)ローカル座標系における任意の2つの隣接するセンサストリングセグメントの相対角度向きθ、θ及び位置(y、z)が、内部のCSN装置10のセグメント13検出器を用いて求められる。(3)3つのセントラライザ14は、等価物若しくは理想的な3セントラライザCSN装置10の先導セントラライザ14c、後尾セントラライザ14a及び中間セントラライザ14bに割り当てられる。(4)理想的なCSN装置10を形成する先導セントラライザ、中間セントラライザ及び後尾セントラライザ14の相対位置は、センサストリング12のローカル座標系で求められる。
【0033】
図7aは、セントラライザ14a,14b及び14cのそれぞれの位置を算出するための計測センサ28として(図2b及び図4に示すような)直線ビーム変位及び容量性測定を利用する本発明の代替的な模範的実施例によるCSN装置10を示す。図7aに示すように、剛性の高い直線ビーム31は、軸方向(τ)に関して柔軟で径方向に関して高剛性である撓曲部33により先導及び後尾セントラライザ14c及び14aに取り付けられる。近接検出器38のセットは、中間セントラライザ14bに関連付けられることができる。近接検出器38は、直線ビーム31に対する中間セントラライザ14bの変位を測定する。加速度計36は、鉛直に対する中間セントラライザ14bの向きを測定するために使用することができる。近接検出器の例は、容量、渦電流、磁力、歪ゲージ及び光近接検出器を含む。本実施例のCSN装置10に関連するグローバル座標系及びローカル座標系(図5a乃至図5d)は、図7aに示される。
【0034】
これらの近接検出器38と直線ビーム31の関係は、中間セントラライザ14bの中心を通る図7aのCSN装置10の断面図として図7bに示される。近接検出器38は、先導セントラライザ14a及び後尾セントラライザ14cを結ぶベクトル及び鉛直により定義されるようなローカル座標系における中間セントラライザ14bの位置を測定する。図7a及び図7bに示すようなCSN装置10は、近接検出器38、歪ゲージ40(図8)、傾斜計(例えばか独時計36)等を含む全ての検出器を支援するデータ取得回路、電源及び通信要素(図示せず)を含むことができる電子機器パッケージを有することができる。
【0035】
データ低減は、以下で説明するように、図7aに示すように、直線ビーム変位CSN装置10において達成されることができる。模範的な例は、直線ビーム変位計測、容量性近接検出器38、及び、加速度計36を検出器の例として用いる。先導及び後尾セントラライザ14c及び14aにより定義されるローカル座標系(x、y、z)における中間セントラライザ14bの変位は、次の通りである。
【0036】
【数1】

ここで、dhorizontal及びdverticalは、上述に定義された鉛直及び直交面における変位であり、d及びdは、容量性検出器38により測定される変位であり、また、図4に示すように、ψは、加速度計(複数も可)36により決定される鉛直に対する容量性検出器38の回転角度である。従って、ローカル座標系(x、y、z)におけるセントラライザ14の座標は、次の通りである。
【0037】
【数2】

ここで、uは、先導(i=3)、後尾(i=1)及び中間(i=2)セントラライザ14c、14b及び14aのそれぞれの位置であり、また、L及びLは、先導セントラライザ14c及び中間セントラライザ14b間の距離、及び、中間セントラライザ14b及び後尾セントラライザ14a間の距離である。
【0038】
ベクトルuの方向は、後尾及び中間セントラライザはボーリング孔の既知部内に配置されているので、グローバル座標系(X,Y,Z)で既知である。それ故に、ローカル座標系の軸x、y及びzの向きは、グローバル座標系では次の通りである。
【0039】
【数3】

中間及び後尾セントラライザ14b及び14a(それぞれ図5b)により決定されるような座標系における先導セントラライザ14cの変位(図5b)は、次のように書ける。
【0040】
【数4】

グローバル座標系におけるuを算出することは、先導セントラライザ14cの位置の情報を提供し、測量されるボーリング孔16の知見を広げる。
【0041】
上述の如く、直線ビーム変位CSN装置10に対する代替例は、図2c及び図4に示すような撓曲ビームCSN装置10である。図8は、撓曲ビーム32に取り付けられた歪ゲージ検出器40を備えるCSN装置10を示す。任意の種類の歪検出器40及び例えば加速度計36のような向き検出器が使用されてもよい。各実装されたセンサストリング12セグメント13、ここではCSN装置10の(セントラライザ14間の)撓曲ビーム32は、(撓曲ビーム32の反対側にある)対の歪ゲージ検出器40の4以上のセットを担持し、各対向する対は、ハーフブリッジを形成する。これらのセグメント13は、CSN装置10が容量性検出器38を利用する場合、容量性検出器38を収容する同一のセグメント13であってもよいし若しくは同一のセグメント13でなくてもよい。図8に示す装置10では、歪ゲージ検出器40及び加速度計36の読み取り値は同時に記録されることができる。オドメトリ補正(Δl)を支援する変位検出器は、少なくとも1つのセグメント13(図示せず)に配置されることもできる。幾つかの温度検出器(図示せず)も、熱作用を補償することを可能とするために各セグメント13に配置されることができる。
【0042】
好ましくは、この実施例において、4つのハーフブリッジ(歪検出器40の対)が、最小数の歪検出器40として各センサストリングセグメント13(セントラライザ14間)に搭載される。出力電圧V, V, V,及びVを備えたCSN装置10の下に示される回路図は、これらのハーフブリッジの模範的な配線を表す。これらの検出器40は、後尾セントラライザ14aに対する先導セントラライザ14cの相対位置及び相対向き、若しくは、4つの変数の合計を提供することができる。また、好ましくは、セントラライザ14間の隣接するセンサストリングセグメント13の少なくとも1つは、CSN装置10及び掘削ストリング18がボーリング孔内に前進されるときに実際のボーリング孔16の長さを求めるためにボーリング孔16に対するCSN装置10の相対的な動きを検出できる検出器(図示せず)を含むべきである。
【0043】
せん断力は、各連続するセグメント12が僅かに異なる曲率(CSN装置10に対応する以下のチャート参照)を有する図8に示す予測される形状に対応するCSN装置10に作用する。ビーム32の曲率の変動は、セントラライザ14にかかるせん断力無しに達成できない。図8に示すCSN装置10の好ましい歪ゲージ検出器40スキームは、これらのせん断力を考慮する。チャートに対応するCSN装置10の下に示す模範的な回路レイアウトは、どのようにセンサ40を接続できるかを示す。
【0044】
図9は、図8に示すような撓曲ビーム32からなる単一のセンサストリングセグメント13のセントラライザ14上に作用する2次元の最終的なせん断力を示す。4つの未知の変数、即ち2つの力及び2つの曲げモーメントは、2つの平衡式を満たすべきである。即ち、撓曲ビーム32に作用する全体の力及び全体のモーメントはゼロに等しい。図9は、せん断力(T)及びモーメント(M)の撓曲ビーム32の長さに沿った分布を示す。値は、次の曲げ方程式に関連する。
【0045】
【数5】

ここで、θは、ビーム32の向きと水平との間の角度であり、Eは、ビーム32の材料のヤング率、Iは、慣性モーメント、Lは、セントラライザ14の位置により求められるようなセグメント12の長さである。
【0046】
図9によると、小さい角度近似において、ビームの軸(x)に垂直な2方向(y、z)のそれぞれにおけるセグメント12の軸に沿ったポイントの向きは、セグメント12の端部ポイントの互いに対する相対的な角度向きが、セグメントの全長に亘って積分することにより表されることができるように、表現されてもよい。
【0047】
【数6】

若しくは、
【0048】
【数7】

積分値は、負荷されたモーメントの値から独立しており、双方の積分値は、正の数である。従って、これらの式(6及び7)は、組み合わせて次のように書きなおせる。
【0049】
【数8】

ここで、Intθ及びIntθは、図9に示すような所与のセンサストリングセグメント12に対する校正係数である。
【0050】
歪ゲージ40の2セット(R,R及びR,R)が、ビーム32(図9参照)上に位置x,xにて(図9の図の下のチャート参照)配置される場合、これらの歪ゲージ40の読み取り値は、次のように、CSN装置10のセグメントにかかる曲げモーメントに関連する。
【0051】
【数9】

ここで、I,Iは、ハーフブリッジが実装される(図9)(歪ゲージ40でのビーム32の)対応する断面の慣性モーメントであり、d,dは、対応する断面でのビームの径である。
【0052】
歪ゲージの出力値が既知の場合、モーメント(M)の値は、前の式9を解くことにより求めることができる。解は、次の通りである。
【0053】
【数10】

これは、次のようも書きなおせる。
【0054】
【数11】

ここで、mi,jは校正係数である。式8への式11の代入は、次を与える。
【0055】
【数12】

同様に、ストリングセグメント12の前端の鉛直方向の変位は、次のように書ける。
【0056】
【数13】

式6及び7に関する場合と同様、式13の積分値の双方は、印加されるモーメントの値とは独立した正の数である。従って、式13は、次のように書きなおせる。
【0057】
【数14】

また、
【0058】
【数15】

尚、mi,jの値は、式12及び式15で同じである。また、Int係数の値は、次の関係を満たす。
【0059】
【数16】

これは、装置校正を簡易化するために使用されてもよい。
【0060】
一定断面を備える撓曲ビーム32(図9)に対して、式16における積分値は、次の通りである。
【0061】
【数17】

図9に示すようなCSN装置10が見ると予測される最大曲げ半径は、曲げ角度の値が3度若しくは0.02ラジアンより小さくなることを保証するのに依然として十分大きい。cos(0.02)≒0.999であるので、小さい角度近似が有効であり、式6乃至17は、ローカル座標系の“y”及び“z”の双方の方向における後尾セントラライザ14に対する先導セントラライザ14の変位の投影の独立的な算出に使用できる。
【0062】
図10は、図9に示すような歪ゲージCSN装置10における検出器低減用のブロック図である。CSN装置10の撓曲ビーム32の校正は、次のように、後尾セントラライザ14aに対する先導セントラライザ14cの角度及び偏向を定義する係数を提供すべきである。
【0063】
【数18】

ここで、係数pαは、校正中に決定される。これらの係数は、図10に示す4×4の影響行列と称される。追加の複雑化は、CSN装置10が、通常使用中に、熱荷重下のみならず、引張荷重及び捻り荷重下でありうるという事実に起因する。捻り荷重補正は、次のように、一般形を有する。
【0064】
【数19】

ここで、τは、捻り検出器により測定されるようなCSN装置10のセグメント13に掛かる捻りであり、pτは、校正係数である。式19内の係数は、図10における2×2の回転行列である。
【0065】
図10の参照を続けるに、熱荷重は、係数pαの値を変化させる。第1の近似において、値は、次のように書ける。
【0066】
【数20】

CTEのものは、校正パラメータである。これらは、材料及び材料剛性熱依存性の双方を含む。pαの各値は、次の通り、軸方向の歪荷重に関して独自の校正された線形依存性を有する。
【0067】
【数21】

式21の2つの式で記述される補正係数は、図10における校正係数と称される。
【0068】
図11を参照するに、歪ゲージ検出器40は、センサストリングセグメント12を形成する不動のボーリング孔16の壁により固定されたセントラライザ14にて拘束される軸方向の回転ビーム32に配置されることができる。ビーム32が受けている曲げ量に関連した時間変化信号を生成するためにビーム32を回転させることにより得られるCSN装置10からのより大きい全体の測定精度の利点は、これに限定されないが、信号内のノイズの影響を減らすための時間に亘る信号の平均化及び改善された識別能の曲げ方向から生まれる。歪ゲージ検出器40の単一のブリッジにより生成される信号は、回転角ψ及びψに対する振動パターンに追従することになり、歪ゲージ検出器40により記憶される歪の値は、次のように算出できる。
【0069】
【数22】

ここで、ψ及びψは、図11に定義され、Ψは、歪検出器40の角度位置である。
【0070】
所定時間に亘って歪の値を測定することによって曲げ平面の向き及び最大歪の値を回復することができる。式22は、次の等価形で書きなおせる。
【0071】
【数23】

ここで、ε及びεは、図11に示す“xz”及び“yz”面内の対応した曲げにより生ずる歪である。
【0072】
従って、値ε(ψ)が測定される場合、ε及びεは、先ず、正弦(sin)及び余弦(cos)へのε(ψ)の最小二乗適合(フィット)を実行することにより回復されてもよい。考えられる手順の1つは、先ず、次の方程式を解くことにより、εsin、εcos及びεoffsetの値を求めることである。
【0073】
【数24】

ここで、
【0074】
【数25】

値ε及びεは、次から回復されることができる。
【0075】
【数26】

式26の行列は、各センサストリングセグメント12に対する校正された実験により決定されなければならない向き行列である。
【0076】
図12を参照するに、ブロック図は、回転歪ゲージ40のデータに対する低減アルゴリズムを示す。歪ゲージ40のブリッジは、未知のオフセットを有するので、式23は、次の形を有するだろう。
【0077】
【数27】

従って、ε及びεは、式26への最小二乗適合を解くことにより求められ、この場合、
【0078】
【数28】

より一般的な場合であって、2つの略直交するブリッジ(a及びb)が同一の値ε及びεを測定するために用いられる場合、より一般的な最小二乗適合手順は、単一のブリッジ状況に対する式28により記述される最小二乗適合の分析的解法に代えて実行される。最小化関数は、次の通りである。
【0079】
【数29】

ここで、インデックスa,bは、(図9、歪ゲージデータの)2つのブリッジを指し、インデックスiは測定番号を指し、Ψ及びΨは、図12及び式29のゲージ方向角である。図12に示すゲージ方向角は、各センサストリングセグメント12に対して校正された実験により決定される。
【0080】
図13を参照するに、これは、図7a及び8に関連して説明したCSN装置10の電子部品パッケージに組み入れられるような上述の加速度計36に関する。3軸加速度計36は、次のデータにより完全に表すことができ、この場合、グローバル鉛直方向“Z”に対して、加速度計の各成分は、校正された電気出力(ゲージ係数)、他の加速度計36の成分に対する既知の固定の空間的方向(向き)、及び、測定のその好ましい軸に関する測定された回転角度を有する(角度位置)。
【0081】
【表1】

【0082】
座標系及び角度は、図13に定義される。ローカル座標系の定義に基づいて、回転行列は、次のように定義されてもよい。
【0083】
【数30】

【0084】
【数31】

従って、角度ψYZ=ψ回転した後の角度ψYZでのボーリング孔16を下方に行くCSN装置10に対して、CSN装置10の外周に配置される加速度計36の読み取り値は、次のように求めることができる。
【0085】
【数32】

ここで、適合パラメータc、c及びcは、3軸加速度計36の初期校正中に決定され、gは地球の重力係数である。全ての3つの加速度計36の読み取り値を記述する式は、次の形を有するだろう。
【0086】
【数33】

理想的な配置ΨYZ=0を備える理想的な加速度計36に対して、式33は、次のように簡素化される。
【0087】
【数34】

図14を参照するに、示されたデータ低減アルゴリズムは、ゼロオフセットドリフト及び角速度に対する加速度計36の読み取り値を補正する。かかるアルゴリズムは、例えば、図11に示すようなCSN装置10と共に、プロセッサを含むゼロドリフト補償器により使用されることができる。ゼロドリフト補償器は、CSN装置10を回転させることにより働く。ゼロドリフト補償器は、任意の時間の既知の値gに測定された値gの平均が同一となる規則を強制することによって動作することができる。或いは、ゼロドリフト補償器は、歪ゲージ40の歪読み取り値が、加速度計36により記録される角度依存性と同一のストリング12の回転に関する角度依存性を追従する規則を強制することによって動作することができる。或いは、ゼロドリフト補償器は、歪ゲージ40の歪読み取り値が、掘削ストリング18(図1)若しくはセンサストリングに配置される角度エンコーダにより測定されるのと同一の角度依存性を追従する規則を強制することによって動作することができる。
【0088】
加速度計のゼロオフセットは、ドリフトするだろうし、及び/又は、加速度計36は、回転する物体に搭載されるので、加速度計の読み取り値のより正確な記述は、次のようになるだろう。
【0089】
【数35】

ここで、offは、加速度計のゼロオフセットであり、ωは、回転の角速度であり、インデックスαは、ローカルx、y及びz座標系を指す。式35は、角度に対して解くことができる。解は、次の形を有する。
【0090】
【数36】

12個の定数dαの値は校正中に決定される。式36は、次のように、適合性条件を受ける。
【0091】
【数37】

次のように、変数を定義する場合には、表記は簡易化される。
【0092】
【数38】

ここで、インデックスiは、加速度計により実行される各計測を指す。尚、オフセットOF,OF及びOFは、測定に独立であり、インデックスiを有さない。式37の適合性条件は、次のように書きなおせる。
【0093】
【数39】

ωは小さく、値cos(θ)≒1であるので、ωの値は、次の通り求められる。
【0094】
【数40】

cos(θ)≠1に対する任意の補正の必要性は、この近似からの偏差がこのアプリケーションに対して重大となるときを評価することにより実験的に決定されなければならない。
【0095】
加速度計36は、時間と共に変化するゼロオフセットを有するので、式70は、実際の測定値に対して満足されないだろう。オフセットOF,OF及びOFの値は、次のように、最小二乗適合、即ち最小化により求められる。
【0096】
【数41】

オフセットOF,OF及びOFの値が求められると、回転角度は、次のように定義できる。
【0097】
【数42】

オフセットOF,OF及びOFの値が知られているとき、個々の加速度計36のオフセットの値及びψ及びcos(θ)は、求めることができる。
【0098】
図15乃至図17を参照するに、それぞれの図は、例えば図2c及び8に関連して上述した歪ゲージ変位CSN装置10の実施例に対する代替実施例である、ユニバーサルジョイント角度測定センサ50を示す。図15に示すように、ユニバーサルジョイント50は、ボーリング孔16若しくは管内に適合する円筒形の形状であることができ、対向する可撓性の撓曲部54の2つのセットにて結合される2つの部材56からなり、ジョイント50は、その長さに直交する任意の面内の全ての方向に曲がることができる。可撓性の撓曲部54は、ユニバーサルジョイント50の仮想的な中心軸に対して径方向に配置される。可撓性の撓曲部54の2セットの各セットは、仮想中心軸に沿った一面に沿ったジョイント50内の屈曲を可能とする。屈曲の各面は、互いに直交し、従って、仮想中心軸まわりの全ての方向における屈曲が可能である。可撓性の撓曲部54での歪力は、検出器52を用いて、図8のCSN装置10の歪ゲージ検出器40においてと同一の方法で測定される。鉛直に対するユニバーサルジョイント50の空間的な向きは、ユニバーサルジョイント50の内部に取り付けられる3軸加速度計57により測定される。
【0099】
ユニバーサルジョイント50は、図16に示すようなCSN装置10の中間セントラライザ14bに接続されてもよい。スプリング58は、セントラライザ14bを作動させるために用いることができる(これは、図19乃至20bを参照して後に詳説する)。ユニバーサルジョイント50及び中間セントラライザ14bは、互いに剛結され、先導及び後尾セントラライザ14a及び14cへのアーム44と接続される。
【0100】
図17に示すように、ユニバーサルジョイント50は、測量及び/又は誘導用のダウンホールツールとして用いられるためにCSN装置10上に搭載されるとき、3つのセントラライザ14の中間セントラライザ14bに若しくはその付近に配置される。2つの外側のセントラライザ14a及び14cは、図17に示すように、アーム44によりユニバーサルジョイント50に接続され、アーム44は、望ましい場合には、電子部品パッケージを収容してもよい。ユニバーサルジョイント50は、ジョイント部材56及びアーム44の動きを測定するために歪ゲージ52(図15)を含む。
【0101】
上述の如く、本発明の種々の実施例のCSN装置10は、ダウンホール装置の誘導及びボーリング孔16若しくは通路の測量のために用いられる。誘導アルゴリズム(図6)の目標は、CSN装置10のセントラライザ14の相対位置を求めること、及び、当該データに基づいてCSN装置10のボーリング孔16の位置を求めることである。図18を参照するに、この図は、CSN装置10の組立体のブロック図であり、第1のローカル座標系(#1)は、次のように、座標ベクトルを有する。
【0102】
【数43】

ここで、cosθは、加速度計57により求められ、gは地球重力係数である。原点
[外1]

を備えたローカル座標系(図5a−5d)、及び、x軸の向き
[外2]

、及び、アーム44の長さLとすると、軸の向きは次のようになるだろう。
【0103】
【数44】

再度、図5dを参照するに、この図は、上述のローカル座標系を示し、例えば図15に示すような歪ゲージ52の読み取り値は、ローカル座標系におけるCSN装置10のセグメントの先導セントラライザ14cの位置の角度θ、θを提供する。従って、次のセントラライザ14b及び次の座標系の原点は、次のようになるだろう。
【0104】
【数45】

次の座標系の向きは、式46により定義されることなり、この場合、新しいベクトルは、次の通りである。
【0105】
【数46】

式45及び46を用いて、第1のローカル座標系におけるボーリング孔16の未知領域におけるCSN装置10の部分の向き及び原点を定義することができる。式45及び46を全てのCSN装置10のセグメント13に適用した後、ボーリング孔16の未知領域におけるCSN装置10の部分の位置が求められる。CSN装置10の形状は、歪ゲージ40若しくは52の精度まで定義される。CSN装置10の鉛直に対する傾斜は、加速度計36若しくは57の精度内で定義される。CSN装置10の方位角は未知である。
【0106】
図19、20a及び20bを参照するに、CSN装置10用のセントラライザの一実施例が示される。上述の如く、セントラライザ14は、ボーリング孔16内に上述の計測センサ(図1)を正確且つ繰り返し可能に位置付けるために用いられる。更に、セントラライザ14は、既知の回転ポイント60を有し、回転ポイント60は、それが取り付く計測物に対して軸方向に移動しないだろう。セントラライザ14は、セントラライザ14の回転ポイント60を、同一の横方向の面内に軸方向に留まらせるために拘束するように直線機構を適合させるように構成される。この機構は、“Scott Russell”若しくは“Evan’s リンク”と時々称されるが、図19に示すような、2つのリンク64、及び、図20a及び20bに示すような64a,64bからなる。図20a及び20bの短い方のリンク64bは、固定の回転ポイント60bを有する一方、長い方のリンク64aは、管ハウジング34に沿って軸方向に自由に動く回転ポイント60aを有する。リンク64a及び64bは、長いリンク64aの全長に沿った途中に配置される回転ポイント66にて結合され、短いリンク64bは、固定されたポイント60bからリンクされた回転ポイント66までの距離が長いリンク64aの長さの半分になるように大きさにされる。
【0107】
このセントラライザ14の機構は、スプリング68を、摺動する回転ポイント60aの背後に配置することによって形成され、スプリング68は、長いリンク64aの自由端に外向きに押す力を付与する。この設計は、回転ポイントにてローラベアリングを使用できるが、或いは、それらは、より密な公差のための撓曲部によるような、若しくは、より緩い公差が許容される場合には孔内のピンによるような、他の手段によりなされうる。ローラ62は、ボーリング孔16の壁に接触するために長いリンク64aの端部に配置される。
【0108】
このセントラライザ14の概念によれば、全ての回転ポイントは、短いリンク64bの回転ポイント60bに対して、従って、CSN装置10の上の既知の位置にて、軸方向に平行になる。また、この機構は、セントラライザ14の容積を低減する。図19は、回転ポイント60が固定された、ダブルローラを備えたセントラライザ14の実施例を示す。この実施例は、固定された回転ポイント60まわりに中心化された2つのスプリング実装68のロール62を有する。図20a及び20bは、同様に単一の固定回転ポイント60を備えるが、1つのスプリング実装68のロール62を備える単一のローラ構造を示す。
【0109】
本発明の代替実施例では、装置は、サグ(垂れ)を抑えるために機械的ビーム上の重力作用を相殺するために利用される。図21a及び図21に示すように、近接検出器ベース若しくは角度計測ベースの変位センサストリングを有するCSN装置10の計測ビームの重力により誘起されるサグを補償するために浮力を用いて、測量若しくは誘導の精度を改善することができる。図21aに示すように、角度測定計測センサCSN装置10は、流体81を収容するハウジング34内にセンサストリングセグメント13を収容することができる。この流体は、セグメント13に対して浮力を提供し、従って、サグを抑制する。或いは、図21bに示すように、変位測定計測センサCSN装置10は、ハウジング34に充填された流体81内にその直線ビーム31を同様に収容させることができる。このようにして、直線ビーム31のサギングが抑制され、これにより、容量センサ38によりセンシングされる変位の誤りが防止される。
【0110】
本発明の種々の実施例が説明されてきた。本発明は、これらの特定の実施例を参照して説明されてきたが、この説明は、本発明の例示を意図し、限定を意図しない。種々の改変及び用途は、添付の特許請求の範囲の請求項に記載の本発明の範囲及び真の精神から逸脱することなく等業者に浮かびうる。
【0111】
本願は、ここでの参照によりその全体が組み込まれる、2004年12月14日に出願された米国予備出願第60/635,477号の優先権を主張する。
【符号の説明】
【0112】
10 CSN装置
13 センサストリングセグメント
14 セントラライザ
16 ボーリング孔
22 オドメータ
28 計測センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴の中心に計測装置を維持するセントラライザであって、
第1回転ポイントと、
前記固定された回転ポイントに回転可能に搭載される第1リンクと、
第2回転ポイントと、
前記可動の回転ポイントに回転可能に搭載される第2リンクと、
前記第1リンクを前記第2リンクに接続する第3回転ポイントと、
前記第1及び第2回転ポイントを互いに向けて付勢するように構成された弾性部材と、
前記第1及び第2リンクの一方に接続されるローラとを含む、セントラライザ。
【請求項2】
前記第1回転ポイントは固定であり、前記第2回転ポイントは可動である、請求項に記載のセントラライザ。
【請求項3】
前記弾性部材は、スプリングである、請求項に記載のセントラライザ。
【請求項4】
前記第1リンクは、前記第2リンクよりも長い、請求項に記載のセントラライザ。
【請求項5】
前記第3回転ポイントは、前記第1リンクの長さに沿った中間にある、請求項に記載のセントラライザ。
【請求項6】
前記ローラは、前記第1リンクに接続される、請求項に記載のセントラライザ。
【請求項7】
前記第1リンク及び第2リンクは同一長さである、請求項に記載のセントラライザ。
【請求項8】
前記ローラは、前記第1リンク及び第2リンクに接続される、請求項に記載のセントラライザ。
【請求項9】
通路測量及び誘導装置であって、
加速度計と、
当該装置の形状の変化を測定するように構成された少なくとも1つの歪ゲージと、
当該装置の少なくとも一部位を回転させるように構成されたゼロドリフト補償器とを含む、装置。
【請求項10】
前記ゼロドリフト補償器は、前記加速度計及び前記歪ゲージのゼロドリフトを算出する手段を含む、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記ゼロドリフト補償器は、gを重力としたとき、測定値gの平均が任意の時間での既知の値gと同一となるようにすることによって、前記加速度計及び前記歪ゲージのゼロドリフトを補償するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記ゼロドリフト補償器は、前記歪ゲージの読取り歪が、前記加速度計により記録される角度依存性と同一の当該装置の回転に対する角度依存性を追従するようにすることにおり、前記加速度計及び前記歪ゲージのゼロドリフトを補償するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項13】
前記ゼロドリフト補償器は、前記歪ゲージの読取り歪が、当該装置上の角度エンコーダにより計測されるのと同一の角度依存性を追従するようにすることにおり、前記加速度計及び前記歪ゲージのゼロドリフトを補償するように構成される、請求項に記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20a】
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【図20b】
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【図21a】
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【図21b】
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【公開番号】特開2012−83360(P2012−83360A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270671(P2011−270671)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2007−546864(P2007−546864)の分割
【原出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(507196103)