説明

ゼリー飲料

【課題】 魚類由来コラーぺプチドを配合したゼリー飲料であって、該コラーゲンペプチドの生理活性効果が期待できる十分な量を含有し、かつ魚類由来コラーゲンペプチドの魚臭がマスキングされた良好な風味と食感を有するゼリー飲料を提供する。
【解決手段】 ゼリー飲料に、魚類由来コラーゲンペプチドを好ましくは1〜10質量%、前記難消化性デキストリンを好ましくは2〜20質量%含有させる。前記魚類由来コラーゲンペプチドの平均分子量は1,000〜10,000であることが好ましく、更に、キチン分解物、ビタミンC及びビタミンB2から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。また、1包体当り、前記魚類由来コラーゲンペプチドを0.5〜10g、前記難消化性デキストリンを1〜20g含有することが好ましく、更に、固形量が15〜40質量%であって、かつ1包体当りの量が50〜100gであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類由来コラーゲンペプチドを含有するゼリー飲料に関し、詳しくは、魚類由来コラーゲンペプチドに由来する魚臭がマスキングされたゼリー飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは動物組織における主要構成タンパク質であり、皮膚、血管、内臓、骨等、いたるところに存在していることが知られている。コラーゲンやコラーゲンの熱変性物であるゼラチンを加水分解して得られるコラーゲンペプチドは、美容効果や関節強化効果等の生理活性効果を有しており、コラーゲンやコラーゲンペプチドを配合した様々な形態の飲食品が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、コラーゲンに対して反応性を有するコラーゲン反応成分を含有し、酸性乳成分を含まない飲食品に対して、コラーゲンを低分子化処理した低分子コラーゲンペプチドを添加してなり、前記コラーゲン反応成分が、カラギーナン、ジェランガム、アラビアガム、キサンタンガム、ペクチンを包含する酸性多糖類、グレープ、ブルーベリー、ラズベリー、クランベリーを包含する果汁、緑茶、紅茶を包含する茶系エキス類、赤ワインから選ばれる少なくとも1種を含み、前記低分子コラーゲンペプチドが平均分子量4000以下であり、前記飲食品が、前記低分子コラーゲンペプチドの等電点よりも低いpH値を有するコラーゲン添加飲食品が開示されている。
【0004】
下記特許文献2には、(a)糖、(b)タンパク質、ペプチド又はアミノ酸、及び(c)電解質を含有し、脂肪を実質的に含有せず、かつアミノ酸スコアが90〜100であり、NPC/N値が50〜180である栄養飲料又はゼリーが開示されており、好ましい配合例として、デキストリン:80〜130g/L、コラーゲン及び/又はコラーゲンペプチド:10〜20g/L、メチオニン:140〜170mg/L、ヒスチジン:190〜215mg/L、トリプトファン:80〜100mg/L、イソロイシン:0〜30mg/L、難消化性デキストリン:8〜12g/L、Na:30〜40mEq/L、K:15〜25mEq/L、Mg:1〜10mEq/L、Cl:30〜40mEq/L、Ca:0〜10mEq/L、P:1〜10mmol/L、ビタミンB1:0.8〜1.4mg/Lを含む栄養飲料又はゼリーが開示されている。
【0005】
下記特許文献3には、コラーゲンペプチドとグルコサミン塩を含み、そのpHが2〜5である関節強化飲料が開示されている。
【0006】
下記特許文献4には、蓋のできる吸い口を有する柔軟性容器に充填され、ゲル化剤によって流動性が損なわれない程度にゲル化されたゼリー様飲食品において、コラーゲンペプチドを含有することを特徴とするゼリー様飲食品が開示されている。
【0007】
通常、コラーゲンやコラーゲンの熱変性物であるゼラチンの多くは、牛、豚、鶏等の家禽の皮や骨等から抽出されて工業的に製造されている。
【0008】
しかし、近年の狂牛病や豚口蹄疫、鳥インフルエンザといった家畜伝染病の影響により、安全性の面から魚類の皮や骨、ウロコ等から抽出された魚類由来のコラーゲンが注目を浴びており、例えば、下記特許文献5には、平均分子量が1,000〜10,000である魚類由来のコラーゲンペプチドと、ビタミンCと、ビタミンB2とを有効成分として含むことを特徴とする美肌促進剤が開示されている。
【0009】
下記特許文献6には、魚皮及び/又は魚骨の抽出物の酵素分解物を逆浸透膜処理して得られるコラーゲンペプチドであって、固形分中の遊離アミノ酸含量が1.0質量%以下、ヒ素含量が2ppm以下であることを特徴とする魚類由来のコラーゲンペプチド、及び該コラーゲンペプチドを含有する飲食品が開示されている。
【0010】
一方、難消化性デキストリンは、馬鈴薯、甘藷、キャッサバ等の芋類やトウモロコシ等に含まれる澱粉を、酵素や酸を触媒として加水分解して、水溶性の未分解物より難消化性画分を回収して得られる水溶性食物繊維であり、低カロリー、低脂肪の食品素材として知られている。
【0011】
難消化性デキストリンは、整腸作用、血糖上昇抑制、血清コレステロール低下、腸内環境改善、中性脂肪低下等の生理活性効果を有しており、下記特許文献7〜9には難消化性デキストリンを配合した様々な飲食品が記載されている。
【特許文献1】特許第3574612号公報
【特許文献2】特開2002−315548号公報
【特許文献3】特開2002−125638号公報
【特許文献4】特開平11−75726号公報
【特許文献5】特開2004−238365号公報
【特許文献6】特開2003−238597号公報
【特許文献7】特許第3053997号公報
【特許文献8】特許第2962450号公報
【特許文献9】特許第2840634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、消費者が飲食品に対して求める品質は年々高くなっており、上記のコラーゲンやコラーゲンペプチドを配合した飲食品、特に飲料やゼリー飲料等において、生理活性効果が期待できるほど十分な量のコラーゲンやコラーゲンペプチドを配合しようとした場合、コラーゲンやコラーゲンペプチドに由来する好ましくない風味が問題となりやすかった。特に、魚類由来コラーゲンペプチドは、原料に由来する魚臭が大きな問題となり、生理活性効果が期待できるほど十分な量を配合することは難しかった。
【0013】
例えば、上記特許文献1〜4に記載された飲食品において、家畜や家禽由来のコラーゲンやコラーゲンペプチドの代わりに魚類由来コラーゲンやコラーゲンペプチドを使用した場合、魚臭が強くなって製品の風味を損なってしまうという問題があった。
【0014】
一方、上記特許文献5、6に記載された飲食品においては、魚臭を低減した魚類由来コラーゲンペプチドを用いており、風味の点で大分改善されているものの、十分満足できるものではなかった。
【0015】
したがって、本発明の目的は、魚類由来コラーぺプチドを配合したゼリー飲料であって、該コラーゲンペプチドの生理活性効果が期待できる十分な量を含有し、かつ魚類由来コラーゲンペプチドの魚臭がマスキングされた良好な風味と食感を有するゼリー飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため本発明者らが鋭意研究した結果、魚類由来コラーゲンペプチドと共に難消化性デキストリンを配合することにより、魚特有の臭いがマスキングされ、良好な風味を有するゼリー飲料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明のゼリー飲料は、魚類由来コラーゲンペプチドと難消化性デキストリンを含有することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、魚類由来コラーゲンペプチドと難消化性デキストリンを配合することにより、魚類由来コラーゲンペプチドの好ましくない臭いをマスキングすることができ、コラーゲンペプチドの生理活性効果が期待できる十分な量を含有し、かつ良好な風味を有するゼリー飲料を提供できる。また、ゼリー飲料の形態としたので、手軽に摂取することができ、腹持ちがよいので時間がないときの食事の代わりとしても利用できる。
【0019】
本発明のゼリー飲料においては、前記魚類由来コラーゲンペプチドの平均分子量が1,000〜10,000であることが好ましい。これによれば、上記魚類由来コラーゲンペプチドは消化性に優れており、吸収されやすいので、美容効果や関節強化効果等の生理活性効果がより期待できる。
【0020】
また、更に、キチン分解物、ビタミンC及びビタミンB2から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。これによれば、魚類由来コラーゲンペプチドと上記成分との相乗効果によって、より優れた生理活性効果が期待できる。
【0021】
更に、前記キチン分解物が、N−アセチルグルコサミンであることが好ましい。
【0022】
更にまた、前記キチン分解物が、N−アセチルグルコサミンを80〜99質量%、キチンオリゴ糖を1〜20質量%含有するものであることが好ましい。
【0023】
これらによれば、N−アセチルグルコサミンやキチンオリゴ糖はさわやかな甘味を有するので、より良好な風味を有するゼリー飲料を提供できる。
【0024】
更にまた、前記魚類由来コラーゲンペプチドを1〜10質量%、前記難消化性デキストリンを2〜20質量%含有することが好ましい。
【0025】
更にまた、1包体当り、前記魚類由来コラーゲンペプチドを0.5〜10g、前記難消化性デキストリンを1〜20g含有することが好ましい。
【0026】
更にまた、固形量が15〜40質量%であって、かつ1包体当りの量が50〜100gであることが好ましい。
【0027】
これらによれば、良好な風味を有し、1回の喫食で生理活性効果が期待できる十分な量のコラーゲンペプチドを摂取できるゼリー飲料を提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、魚類由来コラーゲンペプチドの魚臭がマスキングされた良好な風味を有するゼリー飲料を提供することができる。本発明のゼリー飲料は、少量の1包体に魚類由来コラーゲンペプチドを高濃度で配合することができ、1回の喫食で生理活性効果が期待できる十分な量のコラーゲンペプチドを手軽に摂取できる。また、美容効果や関節強化効果等のコラーゲンペプチドの生理活性効果に加えて、整腸作用、腸内環境改善等の難消化性デキストリンの生理活性効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明において、魚類由来コラーゲンペプチドとは、魚皮、魚骨、魚鱗から抽出されたコラーゲンを加水分解により低分子化して得られるペプチドを意味する。
【0030】
コラーゲンペプチドの由来となる魚種に制限はないが、例えば、タラ類、カレイ類、サケ類、マス類、サメ類、エイ類、ティラピア類、アジ類、サバ類、カワハギ類、ハタ類、カツオ、マグロ類、カジキ類、フグ類、カサゴ類、タイ類、ウナギ類、イワシ類、ニシン、サンマ、メバル、ブリ等が挙げられ、中でも大量かつ安定的な調達が可能であるクロマグロ、ミナミマグロ、キハダ、ビンチョウマグロ、メバチマグロ等のマグロ類、タラ、コマイ、スケソウダラ等のタラ類、カレイ、ソウハチ、オヒョウ、ヒラメ等のカレイ類の魚皮、若しくはタイ類の魚鱗等が好ましく用いられる。
【0031】
本発明で用いられる魚類由来コラーゲンペプチドは、平均分子量が1,000〜10,000であることが好ましく、1,000〜5,000であることがより好ましく、2,000〜4,000であることが特に好ましい。このようなコラーゲンペプチドは、より消化性に優れており美容効果や関節強化効果を期待することができる(M. Saito et al, Food Style 21, 7(2), 85-88, 2003)。
【0032】
上記魚類由来コラーゲンペプチドは、食品素材として市販されているものを用いることができるが、特開2003−238597号公報に記載された下記方法により製造されたものが好ましく用いられる。
【0033】
(1)魚類原料からコラーゲンを含む抽出物を調製する工程
上記魚類原料からコラーゲンを抽出する方法は公知の方法を採用できるが、水を加えて加熱抽出又は加圧加熱抽出する方法が好ましく用いられる。この抽出方法によれば、水難溶性であるエラスチン等の不溶性タンパク質が溶出せず、効率よくコラーゲンを抽出できる。なお、魚類原料は抽出効率を上げるために、適当な手段により切断、細断、粉砕、あるいはミンチしてから用いることが好ましく、魚骨や魚鱗は予め塩酸等により脱灰してから用いることが好ましい。
【0034】
例えば、魚類原料100質量部に対して、100〜500質量部の水を加えて60〜100℃で0.5〜3時間加熱抽出すればよい。また、加圧加熱抽出する場合は110〜120℃で0.5〜3時間抽出すればよい。
【0035】
(2)コラーゲンを含む抽出物を酵素分解する工程
上記の工程で得られたコラーゲンを含む抽出物を、タンパク加水分解酵素で処理してコラーゲンをペプチド化する。
【0036】
上記タンパク加水分解酵素は特に制限されず、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、あるいはそれらを含有する酵素製剤等を用いることができる。市販のタンパク加水分解酵素製剤としては、一般に食品製造に用いられるタンパク加水分解酵素を用いることができ、例えば、商品名「プロテアーゼN」(アマノエンザイム製、中性プロテアーゼ)、商品名「プロテアーゼP−3」(アマノエンザイム製、アルカリ性プロテアーゼ)、商品名「スミチームAP」(新日本化学工業製、酸性プロテアーゼ)等を用いることができる。
【0037】
酵素の添加量、反応時間及び処理温度は適宜設定できるが、通常、酵素の添加量は処理液の固形分に対して0.2〜5質量%が好ましく、1〜2質量%がより好ましい。反応時間は0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。また、反応温度は30〜70℃が好ましく、45〜65℃がより好ましい。酵素反応条件が上記範囲外であると、コラーゲンを十分に加水分解できなかったり、逆に加水分解が進みすぎて、収率が低下する場合がある。なお、酵素反応終了後は、加熱するなどして酵素を失活させることが好ましい。
【0038】
(3)前記抽出物の酵素分解物を逆浸透膜を用いて濃縮、精製する工程
上記の工程で得られた酵素分解物を逆浸透膜処理して濃縮液を回収する。逆浸透膜を用いて、濃縮・精製することにより、魚特有の味や臭い成分(例えば、アミノ酸、オリゴペプチド、核酸、有機酸、ミネラル、揮発含性硫化合物、脂肪酸、窒素化合物、カルボニル化合物等)やヒ素を1ステップで簡単に除去することができる。また、分子量の小さなコラーゲンペプチドを損失することなく回収することができる。回収した濃縮液は、そのまま、あるいは適宜乾燥して粉末化して用いることができる。
【0039】
ここで用いられる逆浸透膜としては、食塩阻止率が10〜50%のものが好ましく用いられる。このような逆浸透膜としては、例えば、商品名「NTR−7410」、商品名「NTR−7430」、商品名「NTR−7450」(いずれも日東電工製)等が挙げられる。
【0040】
逆浸透膜の食塩阻止率が上記範囲外であると、呈味成分や臭い成分、ヒ素などの不純物の除去が不十分になったり、コラーゲンペプチドの損失が大きくなるため好ましくない。
なお、逆浸透膜処理の条件は適宜設定できるが、通常、処理液を固形分濃度15質量%以下になるように調整し、pH4〜7、液温60℃以下で循環しながら、固形分濃度25質量%以上になるまで濃縮を行うことが好ましい。また、この際、適宜加水しながら原液量の1〜10倍量、好ましくは3〜5倍量の水を加えて液を透過させることが好ましい。加水操作を繰り返すことにより、不純物を効率よく除去することができる。
【0041】
なお、上記(1)〜(3)のいずれかの工程中において、脱色、脱臭処理を行うことが好ましく、特に、上記(3)よりも前の工程において、前記コラーゲンを含む抽出物又はその酵素分解物を脱色、脱臭処理することが好ましい。上記(3)よりも前の工程で脱色、脱臭処理することにより、抽出や酵素分解によって生じた着色や臭いを除去しやすく、また、逆浸透膜の目詰まりを防止できるので膜処理の効率を向上することができる。
【0042】
脱色、脱臭の方法は、作業性の点から固体吸着剤を用いることが好ましい。固体吸着剤としては、活性炭、アルミナ、シリカゲル、活性白土等を適宜組み合わせて用いることができ、中でも活性炭が特に好ましく用いられる。
【0043】
例えば、コラーゲンを含む抽出液又はその酵素分解液に、0.5〜30質量%の活性炭を加えて、50〜90℃で15分〜3時間撹拌した後、濾過して液部を回収すればよい。また、活性炭等を充填したカラムに通液することによって行うこともできる。
【0044】
上記製造方法で得られた魚類由来コラーゲンペプチドは、固形分中の遊離アミノ酸含量が1.0質量%以下、ヒ素含量が2ppm以下であることが好ましい。このようなコラーゲンペプチドは、アミノ酸含量が低いので、ゼリー飲料に高濃度で含有させても、加熱時の変色や味への悪影響が起こることがない。また、ヒ素含量が低いのでゼリー飲料に高濃度で配合しても安全性が非常に高い。このような魚類由来コラーゲンペプチドとして、例えば、商品名「マリンマトリックス」(焼津水産化学工業製)を用いることができる。
【0045】
本発明において用いられる難消化性デキストリンとは、馬鈴薯、甘藷、キャッサバ等の芋類やトウモロコシ等に含まれる澱粉から得られる水溶性食物繊維であり、例えば、上記澱粉を塩酸を添加して加熱処理した後にアミラーゼ処理を行う、もしくは上記澱粉に塩酸を添加してエクストルーダーを用いて加熱処理を行う、又はこれらの組合せにより得られる組成物から、必要に応じて塩類やグルコース等を除去して難消化性成分を適宜精製することによって得られるが、その由来、製法については特に限定されるものではない。本発明において好ましく用いられる難消化性デキストリンは食物繊維の含量が15%以上であり、より好ましくは、30%以上である。なお、食物繊維の含量はプロスキー法(No.985.29, Total Dietary Fiber in Foods, "Official Method of Analysis", AOAC, 15th ed., 1990, P.1105-1106)による定量値である。このような難消化性デキストリンとしては、例えば、商品名「パインファイバー」、「ファイバーソル2」(いずれも松谷化学工業株式会社製)等の市販のものを用いることができる。
【0046】
難消化性デキストリンを用いることにより、魚類由来コラーゲンペプチドの魚臭をマスキングできるとともに、難消化性デキストリンが有する整腸作用、血糖上昇抑制、血清コレステロール低下、腸内環境改善、中性脂肪低下等の生理活性効果が期待できる。
【0047】
本発明のゼリー飲料は、前記魚類由来コラーゲンペプチドを1〜10質量%、前記難消化性デキストリンを2〜20質量%含有することが好ましく、前記魚類由来コラーゲンペプチドを3〜8質量%、前記難消化性デキストリンを5〜15質量%含有することがより好ましい。魚類由来コラーゲンペプチド及び難消化性デキストリンの含量が上記範囲外であると、魚類由来コラーゲンペプチドの魚臭を十分にマスキングできず、また、食感が著しく悪化する等の不具合が生じる可能性があるため好ましくない。
【0048】
本発明のゼリー飲料は、他の有効成分として、キチン分解物、ビタミンC及びビタミンB2から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0049】
本発明においてキチン分解物とは、エビ、カニ等の甲殻類の外殻、イカの軟骨等を常法にしたがって脱灰、脱タンパクすることによって得られたキチンを、酸や酵素を用いて加水分解することにより得られる糖組成物を意味する。該糖組成物は、グルコサミンやキトサンオリゴ糖及びそれらの塩、N−アセチルグルコサミン、キチンオリゴ糖等を含み、これをそのまま、あるいは精製して用いることができる。本発明においては、上記キチン分解物として、N−アセチルグルコサミンを用いることが好ましいが、より安価に入手できる点から、N−アセチルグルコサミンを80〜99質量%、キチンオリゴ糖を1〜20質量%含有するものを用いることもできる。
【0050】
例えば、N−アセチルグルコサミンは、特許第1822027号に開示されている方法により得ることができるが、商品名「マリンスウィート」(焼津水産化学工業株式会社製)等の市販されているものを用いてもよい。
【0051】
また、N−アセチルグルコサミンルコサミン80〜99質量%、キチンオリゴ糖1〜20質量%含有するキチン分解物は、本出願人による特願2003−318145号に記載されている方法により得ることができ、製造工程において、デンプン、デキストリン、乳糖、トレハロースから選ばれた賦形剤を0.1〜60質量%で適宜配合しても良く、上記組成比は、賦形剤を除いたキチン分解物由来の成分比として定義される。また、商品名「マリンスウィート40」(焼津水産化学工業株式会社製)等の市販されているものを用いてもよい。
【0052】
N−アセチルグルコサミンやキチンオリゴ糖は、さわやかな甘味を有しており、これらを用いることにより、より良好な風味を有するゼリー飲料を得ることができる。また、N−アセチルグルコサミンは、美容効果(O. Kajimoto et al, J. New Rem. & Clin., 52(3), 71-80, 2000)、関節症改善効果(O. Kajimoto et al, J. New Rem.& Clin., 49(5), 71-82, 2003)等を有しており、魚類由来コラーゲンペプチドとの相乗効果が期待できる。
【0053】
ビタミンCは、生体内でコラーゲンが合成されるときに必要なビタミンであり、ビタミンB2は、タンパク質、脂肪、炭水化物等の全ての栄養素の代謝に必要なビタミンであり、皮膚や口内の粘膜の発育を助け、保護することが知られている。したがって、これらのビタミンを配合することにより、魚類由来コラーゲンペプチドとの相乗効果が期待できる。
【0054】
本発明のゼリー飲料は、上記以外の成分として、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、糖アルコール、マンニトール、キシリトール、イノシトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、スクラロース、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、オリゴ糖、デキストリン等の糖類、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸類、果汁・果肉、ミネラル類、他のビタミン類、香料、pH調整剤、着色料等を適宜含むことができる。
【0055】
また、ゲル化剤として、寒天、ゼラチン、グルコマンナン、カードラン、カラギナン、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等を用いることができる。
【0056】
本発明のゼリー飲料は、従来のゼリー飲料と同様の方法により製造することができ、例えば、水に、魚類由来コラーゲンペプチド、難消化性デキストリン、ゲル化剤、その他の原料をそれぞれ所定量添加し、80〜95℃に加熱して均一に溶解した後、容器に充填し、冷却すればよい。
【0057】
本発明においては、製品1包体当り、前記魚類由来コラーゲンペプチドを0.5〜10g、前記難消化性デキストリンを1〜20g含有することが好ましく、前記魚類由来コラーゲンペプチドを1〜8g、前記難消化性デキストリンを2〜15g含有することがより好ましく、前記魚類由来コラーゲンペプチドを2〜6g、前記難消化性デキストリンを3〜11g含有することが更に好ましい。生理活性効果が期待できるコラーゲンペプチドの摂取量は、成人1人当り0.1〜10gであり、上記範囲内であれば、1回の喫食で魚類由来コラーゲンペプチドの生理活性効果が十分に期待できる。また、難消化性デキストリンによって魚臭を効果的にマスキングすることができるので、良好な風味と食感を有するゼリー飲料とすることができる。
【0058】
また、本発明のゼリー飲料は、固形量が15〜40質量%であって、かつ1包体当りの量が50〜100gであることが好ましく、固形量が20〜30質量%であって、かつ1包体当りの量が60〜90gであることがより好ましい。上記範囲内であれば、少量の1包体に魚類由来コラーゲンペプチドを高濃度で配合することができるので、1回の喫食で生理活性効果が期待できる十分な量のコラーゲンペプチドを手軽に摂取できる。
【実施例1】
【0059】
表1に示す配合にて、常法にしたがってオレンジ風味のゼリー飲料(実施例1、比較例1〜4)を製造した。すなわち、水に糖類と寒天を加えて加熱溶解後、その他の原料を溶解する。次いで所定のpHに調整後、1次殺菌工程を経て、スパウト付きアルミパウチに80g/包体ずつ充填後、更に2次殺菌を行い、ゼリー飲料とした。
【0060】
なお、コラーゲンペプチドとしては、商品名「マリンマトリックス」(焼津水産化学工業株式会社製)を使用した(以下、同じ)。







【0061】
【表1】

【0062】
得られた各ゼリー飲料の食感、臭い、総合評価について4段階で評価した。その結果を表2に示す。
評価基準
食感:◎良好 ○問題なし △やや悪い ×悪い
臭い:◎魚臭を感じない ○魚臭をわずかに感じるが問題なし
△魚臭が若干気になる ×魚臭が気になる
総合:◎美味しく飲める ○普通に飲める
△何とか飲める ×飲みたくない
【0063】
【表2】

【0064】
表2から、難消化性デキストリンの含量が2質量%を下回る(比較例1)と魚臭が感じられ、また、難消化性デキストリンの含量が20質量%付近(比較例4)では食感が悪化することが分かる。
【実施例2】
【0065】
表3に示す配合にて、実施例1と同様の方法で、常法にしたがってマンゴー風味のゼリー飲料(実施例2、比較例5〜8)を製造した。充填はスパウト付きアルミパウチに70.25g/包体ずつ行った。なお、N−アセチルグルコサミンは、商品名「マリンスウィート40」(N−アセチルグルコサミン40質量%、キチンオリゴ糖10質量%、賦形剤50%質量含有、焼津水産化学工業株式会社製)を使用した。
【0066】
【表3】

【0067】
得られた各ゼリー飲料の食感、臭い、総合評価について実施例1と同様に4段階で評価した。その結果を表4に示す。
【0068】
【表4】

【0069】
表4から、難消化性デキストリンの含量が2質量%付近(比較例5)では魚臭がやや感じられ、また、難消化性デキストリンの含量が20質量%を上回る(比較例8)と食感が著しく悪化することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のゼリー飲料は、少量の1包体に魚類由来コラーゲンペプチドが高濃度で含有されているにもかかわらず、魚臭がマスキングされて良好な風味と食感を有しており、美容健康食品等として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類由来コラーゲンペプチドと難消化性デキストリンを含有することを特徴とするゼリー飲料。
【請求項2】
前記魚類由来コラーゲンペプチドの平均分子量が1,000〜10,000である請求項1記載のゼリー飲料。
【請求項3】
更に、キチン分解物、ビタミンC及びビタミンB2から選ばれた少なくとも1種を含有する請求項1又は2記載のゼリー飲料。
【請求項4】
前記キチン分解物が、N−アセチルグルコサミンである請求項3記載のゼリー飲料。
【請求項5】
前記キチン分解物が、N−アセチルグルコサミンを80〜99質量%、キチンオリゴ糖を1〜20質量%含有するものである請求項3記載のゼリー飲料。
【請求項6】
前記魚類由来コラーゲンペプチドを1〜10質量%、前記難消化性デキストリンを2〜20質量%含有する請求項1〜5のいずれか一つに記載のゼリー飲料。
【請求項7】
1包体当り、前記魚類由来コラーゲンペプチドを0.5〜10g、前記難消化性デキストリンを1〜20g含有する請求項1〜6のいずれか一つに記載のゼリー飲料。
【請求項8】
固形量が15〜40質量%であって、かつ1包体当りの量が50〜100gである請求項1〜7のいずれか一つに記載のゼリー飲料。