説明

ソケットおよびランプ装置

【課題】ランプを脱着しやすく、かつランプの傾きを抑制可能なソケットおよびランプ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、発光部31およびシール部32を有するバルブ3と、リード4とを備えたランプ1と、シール部収容空間65を有するソケット本体6と、シール部収容空間65内に配置された支持端子76とを備えたソケット2と、を具備し、ランプ1のシール部32がソケット2のシール部収容空間65に挿入保持されたランプ装置であって、支持端子76は、第一の金属片761と、第二の金属片762と、第一、第二の金属片761、762を繋ぐ連結部763とを備え、連結部763を支点として、第一の金属片761と第二の金属片762とが揺動運動可能に構成されており、シール部32は、第一の金属片761および第二の金属片762に接触保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の尾灯や方向指示灯などに用いられるランプを取り付けるためのソケットおよびランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の尾灯などに用いられるランプには、特許文献1や特許文献2に記載のようにウエッジベースランプが使用されている。このランプは、灯具などに配置された専用のソケットに装着される。このランプのソケットへの装着では、装着によってそれらの電気的な接続が完了するとともに、脱着が可能であることが要求される。
【0003】
ここで、ランプとソケットの装着状態において、特許文献2の図12に記載のように、ランプに横方向、具体的にはフィラメントの長手方向に沿う方向の力が加わったときに、ランプが傾くという問題が生じている。このようにランプが傾く場合があるようだと、ランプ装置に大きな衝撃が加わったときに、ランプに複雑な振動が生じてフィラメントを断線させてしまうことがあるとともに、ランプがソケットに対して傾いた状態では光中心のズレにより、光源性能の低下等が発生することがある。この問題に対し、特許文献2では、剛体突起および剛体張りだし部からなる規制部をソケット内部に設けており、これによって当該問題を解決できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3710648号
【特許文献2】特開2000−40566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、発明者の検討の結果、特許文献2のような構造では、剛体突起および剛体張りだし部のシール部に作用するバネ弾性が弱いために、ランプの傾きを効果的に抑制することができないことがわかった。
【0006】
本発明の目的は、ランプを脱着しやすく、かつランプの傾きを抑制可能なソケットおよびランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発光部、前記発光部に連接するように形成されたシール部を有するバルブと、一端は前記発光部内に配置され、他端は前記シール部から導出されたリードとを備えたランプと、シール部収容空間を有するソケット本体と、前記シール部収容空間を形成する短側壁に沿うように、前記シール部収容空間内に配置された支持端子とを備えたソケットと、を具備し、前記ランプの前記シール部が前記ソケットの前記シール部収容空間に挿入保持されたランプ装置であって、前記支持端子は、第一の金属片と、第二の金属片と、前記第一、第二の金属片を繋ぐ連結部とを備え、前記連結部を支点として、前記第一の金属片と第二の金属片とが揺動運動可能に構成されており、前記シール部は、前記第一の金属片および前記第二の金属片に接触保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ランプを脱着しやすく、かつランプの傾きを抑制可能なソケットおよびランプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態のランプ装置について説明するための図である。
【図2】ソケットのみを断面とした図1のランプ装置について説明するための図である。
【図3】ソケットについて説明するための図である。
【図4】金属端子について説明するための図である。
【図5】ソケットへのランプ装着について説明するための図である。
【図6】各段階におけるランプとシール部の装着の様子を示す図である。
【図7】図5の各状態における要部拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のランプ装置について説明するための図である。
【図9】ソケットへのランプ装着について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1および図2を参照して、本発明の実施形態の一例について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のランプ装置について説明するための図、図2は、ソケットのみを断面とした図1のランプ装置について説明するための図である。
【0011】
本形態のランプ装置は、ランプ1とソケット2とで構成されている。
【0012】
ランプ1は、主要部としてガラスバルブ3を備えている。ガラスバルブ3は、例えばホウ珪酸ガラスからなるもので、発光部31とシール部32とで構成されている。発光部31は、円筒と半球を組み合わせた形状となっており、その内部の空間には、キセノンなどのガスが封入されている。シール部32は、面積の大きな主面、側面および端面を備えた板状の部分であり、ガラスバルブ3の内部を気密に保つため、発光部31に連接するように形成されている。なお、シール部32は、ピンチャーによって圧潰する、いわゆるピンチシールすることにより形成することができ、発光部31内の排気及びガス導入は、排気管33により行うことができる。また、ピンチャーの形状により、図2(b)のように、厚み方向に突出する突状部が形成された主面を備えたシール部32を形成することもできる。
【0013】
シール部32の内部には、例えばニッケルからなる一対のリード4が封着されている。リード4の一端は発光部31の内部空間に導出され、その先端には折り返されることで形成されたクランプ部41が設けられている。一方、リード4の他端はシール部32の外部に端面部分から導出され、その先端にはシール部32の主面に沿うように折り返されることで形成された受電部42が設けられてなる。なお、本実施の形態では一対の受電部42は、一の主面に対して一つが沿うように形成されている。
【0014】
発光部31の内部には、タングステンからなるフィラメント5が設けられている。フィラメント5は、螺旋状に形成されてなる主発熱部51とその両端に形成された一対のレグ部52とからなり、レグ部52が一対のリード4のクランプ部41に狭持されることで発光部31中に配置されている。
【0015】
ソケット2は、主要部として例えばPPS樹脂により形成されてなるソケット本体6を備えている。ソケット本体6は、シール部収容部61と円盤状のフランジ部62と円筒状部63と灯具等に取り付けるための係止突起64で構成されている。
【0016】
シール部収容部61は、図3に示すように、内部にシール部収容空間65を備えている。このシール部収容空間65は、シール部32を収容するための空間であるので、シール部収容空間65を形成する短側壁66と長側壁67は、シール部32や排気管33の形状と合致するような形状や長さになっている。シール部収容部61の短側壁66の開口側には、空間が外方向に広がるように、逃げ空間68が形成されている。また、シール部収容部61には、凹部69が複数形成されている。
【0017】
このシール部収容空間65には、例えばステンレスからなる一枚の金属板を折り曲げ加工することによって形成した金属端子7が配置される。金属端子7は、図4に示すように、本体基板部71、給電端子72、受電端子73、屈曲基板部74、支持基板部75および支持端子76で構成されている。
【0018】
本体基板部71は金属端子7の本体となる基板である。給電端子72は、ランプ1に電力を供給するための金属片であり、本体基板部71の面に対して垂直な方向に弾性を備えるよう本体基板部71から180°折り返されてなる。受電端子73は、外部装置から電力を受けるための金属片であり、本体基板部71の面に対して垂直な方向であって、給電端子72が形成されている側とは反対側に突出形成されてなる。屈曲基板部74は、本体基板部71の面に対して垂直な方向に設けられた基板である。支持基板部75は、支持端子76を支持するための基板である。
【0019】
支持端子76は、屈曲基板部74と支持基板部75の間に形成された波状の金属片であり、第一の金属片761、第二の金属片762および連結部763とで構成されている。第一の金属片761は、屈曲基板部74に対して垂直の方向に凸の形状に形成されてなる金属片である。第二の金属片762は、屈曲基板部74に対して垂直の方向に突出するように形成されてなる金属片である。連結部763は、前記第一、第二の金属片の略中間部に位置し、それらを繋ぐ連結部分であり、さらに連結部763は屈曲基板部74および支持基板部75とも繋がっている。
【0020】
支持端子76がこのような構成であることにより、第一の金属片761および第二の金属片762は屈曲基板部74に対して垂直の方向に弾性を保持することになり、それらの先端は連結部763に対して自由端となる。その結果、支持端子76は連結部763を支点として、第一の金属片761と第二の金属片762とが揺動運動(シーソー運動)可能な端子となる。すなわち、第一の金属片761に力が加わった場合、第二の金属片762は連結部763を支点としてその力の方向とは逆の向きに動くようになる。第二の金属片762に力が加わった場合も同様に、連結部763を支点として第一の金属片761がその力の方向とは逆の向きに動くようになる。ちなみに、この揺動運動を起こしやすくするため、連結部763は壁、本実施の形態においては短側壁66に接触しないように配置するのが望ましい。
【0021】
この支持端子76は一対で構成され、図5のように、シール部収容部61のシール部収容空間65に収容される。具体的には、第一の金属片761が開口側、第二の金属片761が底部側となるように、本体基板部71および支持基板部75を凹部69に嵌め込むことにより、支持端子76はシール部収容部61のシール部収容空間65に固定配置される。
【0022】
この支持端子76が収容されたシール部収容空間65にランプ1のシール部32を挿入することで、図2(a)に示すように、シール部32の側面が第一の金属片761と第二の金属片762によって接触保持されるようになる。このように、連結部763の開口側と底部側において、シール部32の側面を第一の金属片761と第二の金属片762により接触保持するようにしたことで、シール部32の強固な保持が可能となり、ランプ1に衝撃や振動が加わったとしても、ランプ1が傾くことを抑制することができる。すなわち、シール部32と第一の金属片761および第二の金属片762は、それぞれX地点、Y地点で接触するようになるが、これらX地点とY地点は支点となる連結部763から距離が従来品などと比べても近いため、シール部32に作用する第一の金属片761、第二の金属片762によるバネ弾性が大きくなるためである。また、X地点とY地点との距離が十分に確保されることで、シール部32側面の両端部付近が保持されるようになるため、シール部32の側面保持のバランスがよくなるためである。
【0023】
ここで、シール部収容空間65へのランプ1の装着について、図6および図7を参照して説明する。図6は、各段階におけるランプとシール部の装着の様子について示す図、図7は、図6のA、B、Cの拡大図について説明するための図である。
【0024】
まず、図6(a)のように、ランプ1のシール部32をソケット2のシール部収容空間65を開始する。このとき、支持端子76によってシール部32を支持可能とすべく、一対の支持端子76による間隔d2は、シール部6の幅d1よりもあらかじめ小さく設定されている。また、シール部32を挿入しやすくするため、図7(a)に示すように、第一の金属片761の凸形状部分の角度αを45°〜65°に設定するのが望ましい。さらに、シール部32の挿入をしやすくしつつ、シール部32の保持を強固にするため、第一の金属片731の高さh1を、第二の金属片732の高さh2よりも低く設定するのが望ましい。
【0025】
シール部32をシール部収容空間65に挿入していくと、受電部42と給電端子72とが、シール部32と第一の金属片761とが接触しつつ、シール部32がシール部収容空間65の奥に入っていくことになる。シール部32が第一の金属片761に接触すると、図6(b)のように、第一の金属片761の先端を外方向に押すようになる。そのため、図7(b)に示すように、第一の金属片761は、連結部763を支点として外方向に動いて、その先端は逃げ空間68にまで動き、一方、第二の金属片762の先端は揺動運動によってシール部収容空間65の中央方向に動くことになる。
【0026】
シール部32をシール部収容空間65にさらに挿入していくと、今度はシール部32が第二の金属片762に接触して、第二の金属片762を外方向に押すようになる。そのため、第二の金属片762は、連結部763を支点として外方向に動き、一方、第一の金属片761は揺動運動によってシール部収容空間65の中央方向に動くことになる。そして、ランプのシール部32をソケット2のシール部収容空間65の奥まで挿入すると、図6(c)のように、第一の金属片761と第二の金属片762がシール部部32の側面のX地点、Y地点で接触し、ランプ1のソケット2への固定が完了する。このような支持端子76の一連の揺動運動により、容易にソケット2へのランプの装着することができる。また、ランプ1をソケット2から外すときも同様に、シール部32の動きによって支持端子76が揺動運動するため、ランプの取り外しを容易に行うことができる。
【0027】
したがって、本実施の形態では、第一の金属片761と、第二の金属片762と、第一、第二の金属片761、762を繋ぐ連結部763とを備え、連結部763を支点として、第一の金属片761と第二の金属片762とが揺動運動可能に構成された支持端子7の第一の金属片761および第二の金属片762により、シール部32の側面が接触保持されていることにより、連結部763の開口側と底部側において、シール部32の側面を第一の金属片761および第二の金属片762により接触保持することができる。そのため、ランプ1に衝撃や振動などによる力がかかったとしても、ランプ1が傾くことを抑制することができる。また、第一の金属片761と第二の金属片762が揺動運動することにより、ソケット2へのランプ1の着脱を容易に行うことができる。つまり、ランプの管軸に対して垂直方向の力には強いが、ランプを脱着する方向の力には抵抗の少ないソケット2を実現することができる。
【0028】
以上、実施の形態をいくつか説明したが、本発明は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0029】
シール部32は、実施の形態の形状、厚み等に限定されない。例えば、図8のように、シール部32の側面に突起321が形成されたものであっても本発明を適用できる。ちなみに、このようなシール部32の場合には、図9に示すように、突起321により第一の金属片761の動きが大きくなるため、逃げ空間68をさらに大きくするのが望ましい。また、シール部32を保持したときに、連結部763が傾いた状態にならないよう、連結部763のうち底部側の約半分は、壁に接触するような短側壁66の形状とするのが望ましい。
【0030】
リード4は、一対に限らず、さらにもう一対設けらたりしてもよい。
【0031】
受電端子73は、実施の形態のような構成である必要はなく、例えば、本体基板部71から延長するようにソケット2の底部方向に延びて、円筒状部63の内部に突出するようなピン端子であってもよい。
【0032】
支持端子76は、本体基板部71や給電端子72、受電端子73などと別体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、自動車の尾灯や方向指示灯などに用いられるランプを取り付けるためのソケットおよびランプ装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ランプ
2 ソケット
3 バルブ
32 シール部
4 リード
5 フィラメント
6 ソケット本体
65 シール部収容空間
7 金属端子
76 支持端子
761 第一の金属片
762 第二の金属片
763 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部、前記発光部に連接するように形成されたシール部を有するバルブと、一端は前記発光部内に配置され、他端は前記シール部から導出されたリードとを備えたランプと、
シール部収容空間を有するソケット本体と、前記シール部収容空間を形成する短側壁に沿うように、前記シール部収容空間内に配置された支持端子とを備えたソケットと、を具備し、
前記ランプの前記シール部が前記ソケットの前記シール部収容空間に挿入保持されたランプ装置であって、
前記支持端子は、第一の金属片と、第二の金属片と、前記第一、第二の金属片を繋ぐ連結部とを備え、前記連結部を支点として、前記第一の金属片と第二の金属片とが揺動運動可能に構成されており、
前記シール部は、前記第一の金属片および前記第二の金属片に接触保持されていることを特徴とするランプ装置。
【請求項2】
ランプのシール部を挿入可能なシール部収容空間を有するソケット本体と、前記シール部収容空間を形成する短側壁に沿うように、前記シール部収容空間内に配置された支持端子とを備えたソケットであって、
前記支持端子は、第一の金属片と、第二の金属片と、前記第一、第二の金属片を繋ぐ連結部とを備え、前記連結部を支点として、前記第一の金属片と第二の金属片とが揺動運動可能に構成されていることを特徴とするソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−69403(P2012−69403A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213618(P2010−213618)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】