説明

ソックダクトを用いた床放射冷房併用置換空調システム

【課題】高発熱の発熱源や作業者が点在する大空間の作業域に対し、低コストで少ないエネルギによる効率的な冷房を行う空調システムを提供する。
【解決手段】床面から天井面までの高さが比較的大きい空間で床面上に発熱源が点在する空間を、作業者の頭部高さよりもやや上方に仮定する仮想水平面で上下に分割し、下側を空調域、上側を非空調域として設定する。外調機,PAC型空調機,排気ファン、吸込口,排気ダクトと、発熱源の上方に配置される排気フードと、仮想水平面に下向きに配置される第1及び第2の吹出チャンバーと第1及び第2の給気ダクトとを備える。各吹出チャンバーの下端に鉛直方向に第1又は第2のソックダクトが連結配置され、各ソックダクトの側面及び下端から置換空調を可能とする低速気流が吹き出されるように風量が調整されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面から天井面までの高さが比較的大きく、電気炉などの高発熱の発熱源を有し、製品を生産する都合上、気流の影響を嫌うために、作業者が発熱源から高い熱量を浴びるおそれのある生産工場等において、発熱源が作業者に及ぼす熱量を軽減できるような低コストで少ないエネルギによる効率的な冷房を行う空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
床面から天井面までの高さが比較的大きく、電気炉などの高発熱の発熱源を有する大空間用の空調システムの例として、図7に従来の空調システムを例示する。図7において、天井面12から上階スラブ19までの空間18に外調機(外気用空調機)20と排気ファン24とが配置され、ダクトを介して、天井面に取り付けられたアネモ型吹出口25から空調空気が作業空間内へと吹き出され、天井面に取り付けられたHS(横羽根とシャッター付き)吸込口26から汚染された還気が排気されていく。発熱源である電気炉などの炉14の上方には排気フード30が設置されて暑熱を吸い込み、ダクト32を通じて排気ファンから排気されていく。このように床面10から天井面12までの高さが大きい作業空間では、作業者の頭部よりやや上の仮想水平面15から下側が空調域16、上側が非空調域17と考えられ、炉14が少ない場合は作業者は炉からの熱による影響を受けずに済んでいる。
【0003】
しかしながら、炉14が増設されるにつれて、作業者が被る熱量が急増していくことは明らかであり、有効な冷房対策が求められていた。簡便な対策として、電気炉の周囲を遮蔽カバーで覆う方法、電気炉の周囲を水冷式の断熱ジャケットで覆う方法、排気ダクトを断熱材で覆う方法、給排気用の送風機を増設する方法、アネモ吹出口をVHS(縦羽根・横羽根とシャッター付き)吹出口に変更する方法、作業衣を特殊仕様の耐熱服に変更する方法などが提案されたが、炉の表面状態が外から見えなくなること、炉に近づいての作業が困難になること、送風量が大きくなりすぎると気流速度が増加し炉の表面を冷却するため、炉の運転制御が困難になって炉内で製造される製品の品質低下を招くなどの欠点が判明した。
図7から理解されるように、従来のシステムは作業域・居住域以外の上部空間や平面的な非空調域を含む大空間を全体的に冷房する方式であり、経済性に劣り、多くのエネルギを無駄に費やしていた。
【0004】
一方、床面に吸込口を設置できる空間では、高天井空間の空調は天井吹出し・床吸い込み方式による空間全域均一空調が一般的であったが、天井付近などを無駄に冷却することを避けるために、床から2m程度の人間が活動する領域だけを快適な温度とする置換空調方式が採用されるようになった。置換空調方式は、所定温度の空調空気を低速で押し出すように供給して室内の空気との混合を抑制するもので、床や壁から微速で空調空気を吹き出し、高天井空間において人体の発熱から生じる上昇気流を利用して換気を行う方式である。
【0005】
また、天然繊維や合成繊維で作られるソックダクトを用いた空調や換気設備は、工場やクリーンルームなど多くの用途で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−267702「置換換気空調システム及び置換換気空調方法」には、室内下側の空調領域に2つの吹出口を設け、上側の吹出口から低温空気を吹出し、下側の吹出口から高温空気を吹出し、室内上側の非空調領域に汚染空気を排出するための排気口を設けた置換空調システムが記載されている。
【0007】
【特許文献2】特開2005−241105「置換空調システム」には、二重床の内部空間からタイルカーペットを介して微風速の空調空気を室内に供給する置換空調システムが記載されている。
【0008】
【特許文献3】特開2000−230747「冷却装置」には、作業室の天井部に冷却ユニットと静音箱体と布地製ソックダクトとを水平方向に連結して取り付け、送風機から吐出される冷気を静音箱体を介してソックダクトの周囲から冷却空気を吐出し、作業室内を冷却する装置が記載されている。
【0009】
【特許文献4】特開2004−101027「クリーンストッカー」には、外壁と棚の背面の整流板との間に天然繊維又は合成繊維製のソックダクトを垂直方向に配置し、送風チャンバを形成して棚部分のクリーンエアの流れを均一・均等かつ静流・整流・低速化して層流となし、ソックダクトのもつフィルター効果を付加させて塵埃や温度調節の精度を向上させたクリーンストッカーが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、各種生産工場など発熱源が高発熱で、製品を生産する都合上、気流の影響を嫌う場合で、しかも天井高さが高く、発熱源や作業者が点在する大空間の作業域(居住域)に対し、低コストで少ないエネルギによる効率的な冷房を行う空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はその基本的態様として、床面から天井面までの高さが比較的大きい生産工場等の空間で床面上に発熱源が点在する空間を、作業者の頭部高さよりもやや上方に仮定する仮想水平面で上下に分割し、仮想水平面より下側を空調域、仮想水平面より上側を非空調域として設定し、発熱源が作業者に及ぼす熱量を軽減するための空調を行う空調システムである。
その具体的態様として、本発明の空調システムは、天井面より上の空間に配置される外調機(外気用空調機),室内循環式パッケージ型(PAC)空調機及び排気ファンと、前記天井面に取り付けられる吸込口とこの吸込口から前記排気ファンへと通じる排気ダクトと、前記発熱源の上方に配置される排気フード及びこの排気フードから前記排気ファンへと通じる排気ダクトと、前記仮想水平面に下向きに配置される第1の吹出チャンバーとこの吹出チャンバーから前記外調機の給気側へと通じる第1の給気ダクトと、前記仮想水平面に下向きに配置される第2の吹出チャンバーとこの吹出チャンバーから前記室内循環式パッケージ型空調機の給気側へと通じる第2の給気ダクトとを備える。
さらに、前記第1の吹出チャンバーの下端に鉛直方向に第1のソックダクトが連結配置され、前記第2の吹出チャンバーの下端に鉛直方向に第2のソックダクトが連結配置され、各ソックダクトの側面及び下端から置換空調を可能とする低速気流が吹き出されるように風量が調整されていることを特徴とする床放射冷房を併用した置換空調システムである。
【0012】
かかる構成に基づき、この空調システムによれば、
(1)空調機からの吹き出し気流は、ソックダクトを介して作業者の頭部高さ以内で水平方向から微風速で吹き出し、還気吸込口は仮想水平面に設置することにより、空調域内で冷気が循環する仕組みを構築し、空調域と非空調域を空間的に分離することで、より少ないエネルギにより限定した最小限の作業域を局所的かつ効率的に冷房することができる。
(2)吹出口に布製のソックダクトを用いて水平方向に吹き出すことで、水平面吹出風速が0.5m/s程度の『にじみ出し』気流を発生させ、吹き出し冷気流と周囲空気を混合させずに作業域を冷気の『塊』で覆うことにより、効率的な局所冷房が可能となる。
【0013】
(3)水平方向に吹き出された冷風は密度差により降下し、コアンダ効果により床面に付着した流れを形成して床スラブ温度を低下させ、床から人体への冷放射効果により作業域の温度設定を高くすることが可能になる。
(4)ソックダクトを使用することにより吹き出し気流速度が0.5m/s程度と低いため、作業者に対するコールドドラフトや生産機械への気流の影響を少なくすることができる。
(5)本方式の構成機器・機材は汎用品を使用できる利点があり、新設のみならず既存のシステムにも容易に導入することができる。
【0014】
ソックダクトは360°又は180°あるいは任意の角度での吹き出しが可能であり、ソックダクトからの吹き出し気流は、冷気流によるコアンダ効果で到達距離が延びたとしても、距離の2乗に反比例して減衰することになる。従って、今回のシステムによる冷却効果は、発熱源である炉の近傍で作業を行う作業者をターゲットにしているが、吹き出し口から水平距離で7〜8m程度を冷房の限界として設定することができる。
【0015】
本発明では、非空調域に吹出口を設けない場合は、天井面の吸込口から排気ファンへと排気されるだけなので、天井直下で熱が対流しないようになっている。非空調域に吹出口を設けた場合は、天井近くから吹き出される外気冷房による吹き出し気流は、コアンダ効果により天井面に沿って流れるので、吹出口から遠くまで拡散させることができて天井面への熱溜まりを解消させることができる。
【0016】
本発明の特徴点をまとめると、必要な作業域のみを局所的、効率的に冷房を行う空調システムであり、特長としては、
A)空調域・非空調域を空間分離し、局所的に冷房を行う方式である。
B)置換空調吹出口に布製のソックダクトを立型に設置し、『にじみ出し』気流を形成させて省エネルギを図っている。
C)床放射冷房を併用できるため、作業域温度を高くすることが可能である。SET*(体感温度指標:Standard Effective Temperature)による評価で、体感温度を低く感じさせることができるためである。
D)吹出口はソックダクトを作業域床上で縦型に設置できるので、設計の自由度が高く、レイアウト変更の多い工場などに適用しやすい。
【0017】
E)空調機からの給気吹き出し位置は、作業者の頭部高さ以内で水平方向から微風速で吹き出し、還気吸込口は作業域高さの上端に設置することにより、対象空間域を非空調域と空間分離することが可能になり、より少ないエネルギで最小限の作業空間を効率的に冷房することができる。
F)従来型の全体空調と比較すると、冷房必要エリアは、床面から頭上までの高さで約1.8m〜2.0mとなり、天井高に比例してランニングコストの削減が可能となる。
G)さらに床からの冷気放射効果を併用するため、作業域の温度設定を高くすることが可能になり、省エネルギ効果が大きい。
H)SET*30℃で従来方式と比較して、少なくとも20%以上の省エネルギとなる。
【0018】
I)冷房シーズンオフにPAC型空調機を使用しない場合、ソックダクトを簡単に吹き出しチャンバー内に収納することができるため、ソックダクト周辺の作業空間が広く使用できる。さら作業域・居住域に吊り下げたソックダクトは吹き出し状態でも自立しているので、固定する必要がなく、容易に作業者の手により歩行動線(移動することが可能な通路)を確保できる。
J)水平方向に吹き出された冷風は密度差により降下し、コアンダ効果により床面に付着した流れを形成して床スラブ温度を低下させ、床から人体への冷気放射効果により体感温度が低下できるため、作業域の温度設定を高くすることが可能になる。
K)工場などでは1スパン毎にコンパクト化・モジュール化が図れるので、負荷の変更に合わせて対応できる利点がある。
L)汎用品の組み合わせによるシステム構成のため、専用吹出口と比較してコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による置換空調システムの1区画を表す縦断面図。
【図2】本発明による置換空調システムの5区画を表す平面図。
【図3】体感温度をSET*30℃に設定した場合の本発明による空調の温度分布を表すグラフ。
【図4】体感温度をSET*30℃に設定した場合の従来技術による空調の温度分布を表すグラフ。
【図5】従来技術による運転時の空調機の冷房能力の計算を表す概略図。
【図6】本発明による運転時の空調機の冷房能力の計算を表す概略図。
【図7】従来技術による高天井空間の空調システムを表す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明による高天井空間の置換空調システムの1区画を表している。図1に示すように、床面10から天井面12までの高さが比較的大きい生産工場等の空間で床面上に電気炉などの発熱源14が点在する空間を、作業者の頭部高さよりもやや上方に仮定する仮想水平面15(鉛直高さ1.8〜2.0m)で上下に分割し、仮想水平面より下側を空調域16、仮想水平面より上側を非空調域17として設定し、発熱源が作業者に及ぼす熱量を軽減し、熱中症の発生を防止するための空調を行う空調システムである。このシステムは、従来型の外調機20を風力源とする外気冷房系統と、排気ファン24を風力源とする排気系統と、本発明により追加される室内循環式PAC(パッケージ型)空調機22を風力源とする室内冷房系統とが複合的に組み合わされて構成されている。
【0021】
図1において、天井面より上の空間18には、外調機20と、PAC型空調機22と、排気ファン24とが設置されている。天井面12には、HS型吸込口26と、この吸込口26から排気ファン24へと通じる排気ダクト28と、VHS型給気口68と、この給気口68から外調機20の給気側へと通じる排気ダクト70とが設けられている。発熱源14の上方には従来と同様の排気フード30とこの排気フード30から排気ファン24へと通じる排気ダクト32が設けられている。
【0022】
本発明に基づき、外気冷房系統には、仮想水平面15に下向きに配置される第1の吹出チャンバー40と、この吹出チャンバー40から外調機20の給気側へと通じる第1の給気ダクト42が設けられている。
【0023】
さらに、本発明に基づき、室内冷房系統には、仮想水平面15に下向きに配置される第2の吹出チャンバー44と、この吹出チャンバー44からPAC型空調機の給気側へと通じる第2の給気ダクト46とが設けられている。
【0024】
図1に示すように、第1の吹出チャンバー40の下端に鉛直方向に第1のソックダクト50が連結配置され、第2の吹出チャンバー44の下端に鉛直方向に第2のソックダクト52が連結配置され、各ソックダクトの側面及び下端から置換空調を可能とする低速気流が吹き出されるように風量が調整されている。この低速気流は約0.5m/s以下でソックダクトからにじみ出るような『にじみ出し気流』であり、周囲の空気を攪乱することなく押し出すようにして流れ、置換空調を実現する。にじみ出し気流は図示のような釣鐘型の冷気となり、その下端は床スラブ上の冷気の塊56となって冷気を放射熱として放出し、作業者に向けて冷温放射を及ぼす結果、SET*(体感温度)の評価を行うことにより作業域(居住域)温度を低下させる効果を発揮する。
【0025】
本発明はさらに好適な態様として、仮想水平面15に下向きに配置される吸込口60と、この吸込口60からPAC型空調機22の還気側へと通じる還気ダクト62とで構成される還気系統を作業者の近傍に設けることが望ましい。これにより、にじみ出し気流による冷気が作業者の周囲を通過してPAC型空調機へと流れる通路が形成されることにり、空調の効果を最大限に発揮させることができる。
【0026】
本発明で利用するソックダクトは、冷房を必要としない時期には、チャンバー64に示すように、チャンバー内に収納することができる。
【0027】
かくして、図1に示す好適な空調システムでは、仮想水平面15より下の空調域16の一部である冷気放射エリア66(ソックダクトの周囲)だけが冷気空調空間となり、炉14の周囲の空間とソックダクトから離れた空間とは非空調域となるため、従来のように大空間全体を空調する場合に比べて経済的で省エネルギの空調システムが実現されることになる。
【0028】
図2は本発明による置換空調システムが5区画にわたって並列されている実施例の平面配置を表しており、区画81〜85のそれぞれに1つ又は複数の炉14a〜14dが配置され、各区画内に外調機系統のソックダクト50及びPAC系統のソックダクト52と、HS型吸込口26と、VHS型吹出口68とが配置されて、それぞれの区画内で置換空調が実現されるようになっている。ソックダクト50,52の周囲の円形又は半円形は吹き出し角度を表しており、円形は360°吹き出し、半円形は180°吹き出しを表している。一例として、ソックダクト50は外形350φ、長さL=2000mm、風量2000m3 /h、ソックダクト52は外形300φ、長さL=1450mm、風量2400m3 /hに設定することができる。
【0029】
図3,図4は本発明と従来技術とを比較するために上下方向の温度分布を測定した結果を表しており、図3は体感温度SET*を30℃に設定した場合の本発明による空調の上下方向の温度分布を表すグラフ、図4は体感温度SET*を30℃に設定した場合の従来技術による空調の上下方向の温度分布を表すグラフである。本発明によるにじみ出し気流は釣鐘型の冷気となり、その下端は床スラブ上の冷気の塊となって冷気を放射熱として放出し、作業者に向けて冷温放射を及ぼす結果、SET*(体感温度)を低下させる効果があることが実験結果によって裏付けられた。
【0030】
図5,図6は本発明と従来技術とを比較するために空調機の冷房能力を計算をした結果を表しており、図5は従来技術による運転時の空調機の冷房能力の計算を表す計算式、図6は本発明による運転時の空調機の冷房能力の計算を表す計算式を表している。本発明によれば、室内循環式PAC型空調機が追加されるため必要な電力は増加するが、従来の暑熱環境に比べて室温が約10℃低下し、作業者の労働環境が改善され、熱中症が予防できるなどの効果があることが予測できた。
【0031】
また、本発明による省エネルギ効果についても算定した。
(1)既存設備の冷熱源と運転時の室内環境と
(2)改善設備の冷熱源と運転時の室内環境とを考慮し、
(3)改善設備の省エネルギ効果を算定すると、
既存設備運転時と改善設備運転時の室温差Δtは
Δt=37.5−25.0=12.5℃
既存設備で改善設備と同等に冷房で室温を下げるための外調機の能力上昇分は
Qs=0.29×115,600×12.5
=419,050kcal/h
=419,050÷860=487kw
既存設備の必要冷房負荷(顕熱)は
=539+487=1,026kw
改善後の省エネルギ率は
=775÷1,026×100=約75%
よって、改善設備により、25%程度の省エネルギ効果を期待できることが推定できた。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上詳細に説明した如く、本発明による置換空調システムによれば、天井高さが高く、発熱源や作業者が点在する大空間の作業域(居住域)に対し、低コストで少ないエネルギによる効率的な冷房を行うことができ、作業者が熱中症におちいるのを防止できるなど、その技術的効果には極めて顕著なものがある。
【符号の説明】
【0033】
10 床面 12 天井面
14 発熱源 15 仮想水平面
16 空調域 17 非空調域
20 外調機 22 PAC型空調機
24 排気ファン
26 HS型吸込口 28 ダクト
30 排気フード 32 ダクト
40,44 吹出チャンバー 42,46 ダクト
50,52 ソックダクト
60 吸込チャンバー 62 ダクト
64 吹出チャンバー 66 ダクト
68 VHS型吹出口 70 ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面(10)から天井面(12)までの高さが比較的大きい生産工場等の空間で床面上に発熱源(14)が点在する空間を、作業者の頭部高さよりもやや上方に仮定する仮想水平面(15)で上下に分割し、仮想水平面より下側を空調域(16)、仮想水平面より上側を非空調域(17)として設定し、発熱源が作業者に及ぼす熱量を軽減するための空調を行う空調システムであって、
天井面より上の空間(18)に配置される外調機(20),室内循環式パッケージ型空調機(22)及び排気ファン(24)と、
前記天井面に取り付けられる吸込口(26)とこの吸込口から前記排気ファンへと通じる排気ダクト(28)と、
前記発熱源の上方に配置される排気フード(30)及びこの排気フードから前記排気ファンへと通じる排気ダクト(32)と、
前記仮想水平面に下向きに配置される第1の吹出チャンバー(40)とこの吹出チャンバーから前記外調機の給気側へと通じる第1の給気ダクト(42)と、
前記仮想水平面に下向きに配置される第2の吹出チャンバー(44)とこの吹出チャンバーから前記室内循環式パッケージ型空調機の給気側へと通じる第2の給気ダクト(46)とを備え、
前記第1の吹出チャンバーの下端に鉛直方向に第1のソックダクト(50)が連結配置され、前記第2の吹出チャンバーの下端に鉛直方向に第2のソックダクト(52)が連結配置され、各ソックダクトの側面及び下端から置換空調を可能とする低速気流が吹き出されるように風量が調整されていることを特徴とする床放射冷房を併用した置換空調システム。
【請求項2】
前記低速気流は風速0.5m/s以下のにじみ出し気流である請求項1記載の置換空調システム。
【請求項3】
さらに、前記仮想水平面に下向きに配置される吸込口(60)とこの吸込口から前記室内循環式パッケージ型空調機の還気側へと通じる還気ダクト(62)とを有する請求項1又は2記載の置換空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−15267(P2013−15267A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148571(P2011−148571)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000191319)新菱冷熱工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】