説明

ソフトウェア管理システム

【課題】マスターデータとして保持されているソフト変更を実施する場合、変更前データを消失することなく、ソフト変更を可能にする。
【解決手段】変更内容受付手段21がマスターデータ34に対する変更内容を受け付けると、変更データ保存手段32に保存されていた前回変更時の変更データを変更前データ保存手段31に保存させると共に、今回受け付けた変更内容を変更データ保存手段32に保存させる。変更内容比較手段22は、変更データ保存手段32に保存されている今回の変更データと変更前データ保存手段31に保存されている変更前データ複数回分とを読み出し、それらの比較内容を視覚的に表示させると共に、今回変更となった部分だけを変更差分データとして取り出す。この取り出され、変更差分データ保存手段33に保存された変更差分データを、差分データ結合手段23によりマスターデータ34に結合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターデータとして保持されているデータの変更を管理するソフトウェア管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラント監視装置等では、マスターデータとして保持されているデータなどに基づき、プラントの監視が行われていた。この場合、監視用のソフトウェア作成はメーカーが行い、ソフトウェアのメディア管理はメーカーにて行ってきた。しかし、最近はパソコンの普及とともにユーザのコンピュータに関する知識も向上し、ユーザ自身にて監視装置のソフトウェアを変更したいという要望が増えてきている。このような要望に対しては、従来からユーザによるソフトウェア変更を認めてきた。
【0003】
この場合問題となるのが、最終ソフトの管理である。ユーザがソフトウェア変更した場合、その後のソフトウェアの管理をユーザが行う場合は問題ないが、その後のソフトウェア変更をメーカーに依頼する場合もある。その場合、ユーザの変更管理が十分に行われていない場合、メーカー側はユーザの変更内容がわからず、最終メディアもわからないために、メーカーがソフト改造するとユーザの変更内容を消失してしまう場合がある。
【0004】
すなわち、従来は図3のようにソースファイル35を変更機能25が読み込んで、変更内容をマスターデータ34に書き込んでいた。この方法ではソースファイル35の最終版が正しく管理されていないとマスターデータ34を壊してしまうことになる。ソースファイル35を変更する人が1箇所であれば、人間系による管理もある程度うまくいくが、ユーザとメーカーなど、ソースファイル35を変更する人が複数箇所にわたると人間系の管理にも限界があり、マスターデータ34を壊してしまう可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ユーザが使用するプラント監視装置などにおいて、ユーザとメーカーなど、監視装置のソフトウェアを複数箇所で変更しようとすると、最終メディアの管理ができていないと、変更したソフトウェアを消失してしまう恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、監視装置などにおいてソフトウェア変更を実施する場合、変更前データと変更内容を保存することによって、変更前データを消失することなく、ソフトウェア変更ができるソフトウェア管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるソフトウェア管理システムは、マスターデータとして保持されているデータの変更を管理するソフトウェア管理システムであって、前記マスターデータに対する変更データを、複数の変更回数分保存可能な変更前データ保存手段と、前記マスターデータに対する変更データが変更の度に保存される変更データ保存手段と、前記マスターデータに対する変更内容を受け付けると、前記変更データ保存手段に保存されていた前回変更時の変更データを前記変更前データ保存手段に保存させると共に、今回受け付けた変更内容を前記変更データ保存手段に保存させる変更内容受付手段と、前記変更データ保存手段に保存されている今回の変更データと前記変更前データ保存手段に保存されている変更前データ複数回分とを読み出し、それらの比較内容を視覚的に表示できると共に、今回変更となった部分だけを変更差分データとして取り出す変更内容比較手段と、この変更内容比較手段により取り出された変更差分データを保存する変更差分データ保存手段と、この変更差分データを変更差分データ保存手段から読み出し、前記マスターデータに結合させる差分データ結合手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、過去複数回分の変更データを保存し、その過去データを今回の変更データと比較して、変更部分を確認し、かつ変更部分のみをマスターデータに反映するので、最終メディアの管理が正しくできていなくても、現状のマスターデータを壊すことなく、ソフトウェア変更を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明によるソフトウェア管理システムの一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
始めに、本発明の要点を説明する。本発明では、プラント監視装置などにおいて、変更前データと変更内容をそれぞれ保存する機能を持たせ、今回の変更内容との差分を把握するようにしている。そして、その差分だけをマスターデータに反映させることにより、変更前データの消失を防げるようにした。本発明により、監視装置などにおけるソフトウェア変更が、ユーザとメーカーなど複数箇所にわたっても、過去のソフト変更データを消失することなく、ソフト変更を実施できるようになる。以下詳述する。
【0011】
図2は一般的なプラント監視装置のシステム構成例を示している。この種の監視装置は、通常、CRT監視装置11、制御用コントローラ13、制御用LAN12から構成される。このシステム構成により、各種監視対象の設備の状態を監視し、操作などを行うことができる。
【0012】
図1はこの実施の形態の構成を示す機能ブロック図である。通常、この種の監視装置では、監視対象の情報を定義したマスターデータ34を参照して、監視機能24にて監視対象設備の監視を実施している。監視内容に変更が発生した場合はマスターデータ34の変更が必要である。
【0013】
図1において、31は変更前データ保存手段であり、マスターデータ34に対する変更データを、複数の変更回数分保存可能に構成されている。32は変更データ保存手段で、マスターデータ34に対する変更データが変更の度に保存される。21は変更内容受付手段であり、マスターデータ34に対する変更内容を受け付けると、変更データ保存手段32に保存されていた前回変更時の変更データを、変更前データ保存手段31に保存させる。また、この変更内容受付手段21は、今回受け付けた変更内容を、変更データ保存手段32に保存させる。
【0014】
22は変更内容比較手段であり、変更データ保存手段32に保存されている今回の変更データと、変更前データ保存手段31に保存されている複数回分の変更前データとを読み出し、それらの比較内容を視覚的に表示することができる。また、この変更内容比較手段22は、今回変更となった部分だけを変更差分データとして取り出し、変更差分データ保存手段33に保存させる。23は差分データ結合手段であり、変更差分データ保存手段33に保存された変更差分データを読み出し、マスターデータ34に結合させる。
【0015】
上記構成において、変更が発生すると変更内容受付手段21が変更内容を受け付ける。変更内容受付手段21は変更内容を受け付けると、変更データ保存手段32に保存されていた前回変更時の変更データを、変更前データ保存手段31に保存させる。変更前データ保存手段31は、変更回数、複数回分のデータを保存している。
【0016】
このようにして変更前データ保存手段31への前回変更データのコピーが終わると、変更内容受付手段21は、今回変更内容を反映して、変更データ保存手段32に保存させる。
【0017】
次に、変更内容比較手段22は、変更データ保存手段32に保存されている今回の変更データと、変更前データ保存手段31に保存されている変更前データの複数回分とを比較する。
【0018】
そして、それらの内容を視覚的に表示する。この表示機能により、変更データが今回変更した以外の部分を壊していないかを確認することができる。また、変更データが今回変更した以外の部分を壊していた場合には、変更前データ保存手段31から読み出した過去複数回分の変更前データから壊したデータを取り込み、復旧させる。
【0019】
以上の処理により正常になった変更データから変更内容比較手段22は変更した部分だけを変更データから抜き出し、これを変更差分データとして変更差分データ保存手段33に保存する。
【0020】
次に、差分データ結合手段23は、変更差分データ保存手段33に保存されている変更差分データを読み込み、このデータをマスターデータ34と結合させる。これにより、変更部分のマスターデータしか変更されないので、変更対象外のマスターデータを壊すことはなくなる。
【0021】
このように、過去複数回分の変更データを保存し、その過去データを今回の変更データと比較して、変更部分を確認し、かつ変更部分のみをマスターデータに反映するので、最終メディアの管理が正しくできていなくても、現状のマスターデータを壊すことなく、ソフトウェア変更を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるソフトウェア管理システムの一実施の形態を示す構成図である。
【図2】一般的なプラント監視装置のシステム構成例を示す図である。
【図3】従来のシステム例を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
21 変更内容受付手段
22 変更内容比較手段
23 差分データ結合手段
31 変更前データ保存手段
32 変更データ保存手段
33 変更差分データ保存手段
34 マスターデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターデータとして保持されているデータの変更を管理するソフトウェア管理システムであって、
前記マスターデータに対する変更データを、複数の変更回数分保存可能な変更前データ保存手段と、
前記マスターデータに対する変更データが変更の度に保存される変更データ保存手段と、
前記マスターデータに対する変更内容を受け付けると、前記変更データ保存手段に保存されていた前回変更時の変更データを前記変更前データ保存手段に保存させると共に、今回受け付けた変更内容を前記変更データ保存手段に保存させる変更内容受付手段と、
前記変更データ保存手段に保存されている今回の変更データと前記変更前データ保存手段に保存されている変更前データ複数回分とを読み出し、それらの比較内容を視覚的に表示できると共に、今回変更となった部分だけを変更差分データとして取り出す変更内容比較手段と、
この変更内容比較手段により取り出された変更差分データを保存する変更差分データ保存手段と、
この変更差分データを変更差分データ保存手段から読み出し、前記マスターデータに結合させる差分データ結合手段と
を備えたことを特徴とするソフトウェア管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−165509(P2008−165509A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354643(P2006−354643)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】