説明

ソフトカプセル製造装置及びソフトカプセル製造方法

【課題】ダブルソフトカプセルを効率よく量産可能なソフトカプセル製造装置及びソフトカプセル製造方法を提供する。
【解決手段】ソフトカプセル製造装置1において、チューブアッセンブリボトム41Bの注入穴411と、スライドバルブ43Bの通液穴431と、ウェッジ45の吐出穴451を直線状に連通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソフトカプセルを製造するためのソフトカプセル製造装置及びソフトカプセル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から主に医薬品として、ゼラチン等の動物性原料や、澱粉等の植物性原料からなるカプセル皮膜内に薬液を充填してなるソフトカプセルが知られている。このソフトカプセルは種々あり、その中には、いわゆるダブルソフトカプセルというものがある。例えば、図8の断面図に示すように、このダブルソフトカプセル8は、ゼラチン等からなる第1の皮膜81と、この第1の皮膜81内に充填される薬液82と、この薬液82中に混合された複数の内包ソフトカプセル83、83、・・・とからなる。各内包ソフトカプセル83は、第2の皮膜831と、この第2の皮膜831内に充填される薬液832とからなる。例えば、このダブルソフトカプセル8は、服用されるとまず第1の皮膜81が胃の中で崩壊し、中の薬液82とこれに混合された内包ソフトカプセル83、83、・・・が胃の中に供給される。更に時間が経過すると、内包ソフトカプセル83の第2の皮膜831が崩壊し、その中に充填されていた薬液832が供給される。よって、このダブルソフトカプセル8を利用すれば、薬液を時間差で体内に供給することが可能となる。
【0003】
このダブルソフトカプセル8は、従来、平板法という製造方法により製造されているが、この平板法は人の手によりダブルソフトカプセル8を製造するものであるので、多くの人数が必要であり、非常に手間がかかり効率が悪い。
【0004】
そこで、本発明者らは、いわゆるロータリー方式の製造装置を用いてダブルソフトカプセルを製造することを試みた。このロータリー方式の製造装置としては、例えば、下記の特許文献1に記載のソフトカプセル製造装置がある。
【0005】
図4〜図7を参照して、このソフトカプセル製造装置の構造について説明する。図4はソフトカプセル製造装置の内部構造を示す斜視図であり、このソフトカプセル製造装置1は、シート成形部2、薬液供給部3、薬液充填部4A及びカプセル成形部5から構成されている。このソフトカプセル製造装置1を使用して一般的なソフトカプセル、すなわちゼラチンシートからなる皮膜に薬液が内包されたソフトカプセルを製造する場合には、まず、薬液供給部3のホッパー31内に薬液を入れる。これと並行してシート成形部2においてゼラチンシートの成形が行われる。
【0006】
次いで、ホッパー31内に供給された薬液は、プランジャー式ポンプ32により供給用チューブ34を介して薬液充填部4Aに供給される。薬液充填部4Aに供給された薬液は、カプセル成形部5のダイロール51、51間に向けて噴射される。他方、シート成形部2、2においては、製造されたゼラチンシート13、13が巻上げローラ24、24によりダイロール51、51に搬送され、この搬送されたゼラチンシート13、13は、ダイロール51、51間に挟みこまれてヒートシールされる。その際に、ゼラチンシート13、13間に薬液が注入され、ダイロール51、51外周面の金型でゼラチンシートをカプセル形状に型抜きすることにより、ゼラチン皮膜内に薬液が充填されたソフトカプセルが製造される。
【0007】
このソフトカプセル製造装置1における薬液充填部4Aの構造を図5〜図7を参照して更に詳しく説明する。図5〜図7はこの薬液充填部4Aの構造を示す図であり、図5は斜視図、図6は上面図、図7は側面図である。
【0008】
図5に示す通り、薬液充填部4Aは、チューブアッセンブリボトム41A、第1のパッド42A、スライドバルブ43A、リターン用パッド46、分散板47、第2のパッド44及びウェッジ45からなる。この図5には、各部材を接続する前の状態が記載されているが、実際にはこれら各部材は積層接続してソフトカプセル製造装置1内に取り付けられる。
【0009】
チューブアッセンブリボトム41Aには、供給用チューブ34、34、・・・の数と同数の注入穴415、415、・・・が設けられている(ここではそれぞれ10個ずつ)。供給用チューブ34、34、・・・はジョイント416、416を介してチューブアッセンブリボトム41Aと接続される。
【0010】
スライドバルブ43Aは、薬液供給部3から供給された薬液を全通過させるか、あるいは薬液供給部3のホッパー31にリターンさせるかのバルブの開閉を行うように機能する部材であり、第1のパッド42Aを介してチューブアッセンブリボトム41Aに積層接続される。このバルブの開閉の操作はレバー433を操作することにより行う。スライドバルブ43Aには、上記注入穴415、415、・・・と対応する位置に通液穴431、431、・・・が設けられており、全通過の際には、これに続く通液管432、432、・・・を介して分散板47の方に薬液を通液させる。また、その略中央部にはホッパー31にリターンさせる薬液を通液させるリターン用穴434Aが設けられている。なお、第1のパッドには、この通液穴431、431、・・・とリターン用穴434A、434A、・・・に対応する位置に、通過穴421A、421A、・・・と、リターン用穴422A、422A、・・・とがそれぞれ設けられている。
【0011】
分散板47は、スライドバルブ43Aを通液した薬液を、中央部に集液してウェッジ45の方へ供給するものと、ウェッジ45に供給せずにホッパー31の方へリターンさせるものとに分散させる機能を有する部材である。分散板47は、リターン用パッド46を介してスライドバルブ43Aに積層接続される。このリターン用パッド46には、通液穴431、431、・・・と対応する位置に通過穴461、461、・・・が設けられており、中央部には細長状のリターン用穴462が設けられている。
【0012】
ここで、図5を参照すると、スライドバルブ43Aの10個の通液穴431、431、・・・から薬液が分散板47に供給されているが、ウェッジ45には供給穴452、452、・・・が7個しか設けられておらず、通液穴431、431、・・・から供給される薬液のうち3個分の薬液が余剰になっている。そこで、この分散板47において、通液穴431、431、・・・10個分のうち7個分の薬液のみを供給穴471、471、・・・とこれに直交する集液溝472により中央部に集液してウェッジ45の方へ供給する。残りの3個分の薬液は、貫通していないリターン溝473、473、・・・に供給されて、リターン用パッド46のリターン用穴462、リターン用穴434A及びリターン用穴422Aを介してチューブアッセンブリボトム41Aのリターン用ジョイント418に接続されたリターン用チューブ35を通ってホッパー31にリターンされる。
【0013】
ウェッジ45は、分散板47を通液した薬液をダイロール51の方へ噴射するよう構成されており、その中央部には直線状に7個の供給穴452、452、・・・が設けられている。この供給穴452、452、・・・には、分散板47から薬液が供給される。このウェッジ45は、第2のパッド44を介して分散板47と積層接続される。第2のパッド44には、供給穴452、452、・・・と対応する位置に通過穴441、441、・・・が設けられている。このウェッジ45は、ダイロール51、51間に入り込めるよう、その形状はくさび型をしている。その先端部には、供給穴452、452、・・・と連通する吐出穴451、451、・・・が設けられており、この吐出穴451、451、・・・から薬液が噴出される。
【0014】
上記説明したように、薬液充填部4Aを通液する薬液のうち、分散板47により通過させるものとリターンさせるものとに分散するのは、ソフトカプセル製造装置1を汎用的に用いるためである。すなわち、製造するソフトカプセルの大きさや、中に充填する薬液の量の多少によっては、ウェッジ45の吐出穴451、451、・・・の個数が変わってくるが、その都度、供給用チューブ34、34、・・・の本数を調整するのでは手間がかかる。そこで、このような分散板47を使用して、種々のソフトカプセルの製造に適用させている。
【0015】
本発明者らは、このように構成された従来のソフトカプセル製造装置1を用いてダブルカプセルの製造を試みたところうまく製造することが出来なかった。その理由を図5〜図7を参照して説明する。この従来のソフトカプセル製造装置1においては、上記説明した通り分散板47を使用していることから、注入穴415から供給された薬液は、分散板47の供給穴471まではストレートに通液するが、分散板47以降の通過穴441、供給穴452及び吐出穴451には、集液溝472を介して一度クランクしてから供給される。図7(a)には薬液の通液ルートR1が記載されており、分散板47のところで薬液が一度クランクしているのが分かる。この部分を拡大したのが図7(b)であり、薬液は供給穴471から供給されてから、これに直交する集液溝472を通液し、通過穴441の方へ排出されることとなる。
【0016】
このソフトカプセル製造装置1によりダブルソフトカプセルを製造するには、ホッパー31内に図8に示す第1の皮膜81内に充填される固体混合液、すなわち、薬液82に内包ソフトカプセル83を混合した液を充填する。すると、薬液充填部4A内を図7(a)に示す通液ルートR1にそって固体混合液が通液することとなるわけである。しかしながら、固体混合液内の内包ソフトカプセル83が図7(b)に示す部分に詰まりがちであり、吐出穴451から噴出される液には、内包ソフトカプセル83が混合されていない状態が生じたり、また、噴出される液に含まれる内包ソフトカプセル83量にかなりのばらつきが生じてしまい、良好にダブルソフトカプセルを製造することは出来なかった。
【0017】
【特許文献1】特許第3836494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ダブルソフトカプセルを効率よく量産可能なソフトカプセル製造装置及びソフトカプセル製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によるソフトカプセル製造装置は、上記の目的を達成するため、対向配置されて互いに逆回転する一対のダイロール間に2枚の皮膜シートを搬送するとともに、ホッパー内に充填された固体混合液を上記ダイロールの外周上方に嵌合させたウェッジを介して射出して上記皮膜シート間に充填し、上記ダイロールの外周面に配列されたカプセルポケットの刃部どうしを噛み合わせて上記皮膜シートをヒートシールすると同時にカプセル形状に型抜きすることにより、カプセル皮膜内に上記固体混合液が充填されたソフトカプセルを製造するソフトカプセル製造装置であって、上記ホッパー内の固体混合液を送り出すポンプと、このポンプから送り出される固体混合液をチューブに振り分けるチューブアッセンブリトップと、上記チューブが接続されるとともに、このチューブを介して上記チューブアッセンブリトップから上記固体混合液が送り込まれる注入穴を複数有するチューブアッセンブリボトムと、このチューブアッセンブリボトムから送り込まれる固体混合液を通液する穴であって、かつ上記注入穴と同数の通液穴を有するとともに、上記固体混合液を全通過させるかあるいは全リターンさせるかを操作可能なスライドバルブと、上記ダイロール間に入り込むようなくさび型の形状であるとともに、その先端に上記通液穴を介して送り込まれる固体混合液を上記ダイロール間に吐出する穴であり、かつその数が上記通液穴と同数である吐出穴を有するウェッジと、を備えるとともに、上記チューブアッセンブリボトム、上記スライドバルブ及び上記ウェッジを積層接続してなり、上記注入穴、上記通液穴及び上記吐出穴は、直線状に連通することを特徴とする。
【0020】
また、本発明によるソフトカプセル製造方法は、上記の目的を達成するため、ホッパー内の固体混合液を送り出すポンプと、このポンプから送り出される固体混合液をチューブに振り分けるチューブアッセンブリトップと、上記チューブが接続されるとともに、このチューブを介して上記チューブアッセンブリトップから上記固体混合液が送り込まれる注入穴を複数有するチューブアッセンブリボトムと、このチューブアッセンブリボトムから送り込まれる固体混合液を通液する穴であって、かつ上記注入穴と同数の通液穴を有するとともに、上記固体混合液を全通過させるかあるいは全リターンさせるかを操作可能なスライドバルブと、上記通液穴を介して送り込まれる固体混合液を吐出する穴であり、かつその数が上記通液穴と同数である吐出穴を有するくさび型形状のウェッジと、上記ウェッジの先端が間に入り込むとともに対向配置されて互いに逆回転する一対のダイロールと、を備え、上記チューブアッセンブリボトム、上記スライドバルブ及び上記ウェッジを積層接続してなるソフトカプセル製造装置を使用したソフトカプセル製造方法であって、上記ダイロール間に2枚の皮膜シートを搬送する一方、上記ホッパー内の固体混合液を上記チューブアッセンブリトップを介して、上記注入穴、上記通液穴及び上記吐出穴を直線状に通液するとともに上記吐出穴から噴出することにより、上記皮膜シート間に充填し、上記ダイロールの外周面に配列されたカプセルポケットの刃部どうしを噛み合わせて上記皮膜シートをヒートシールすると同時にカプセル形状に型抜きすることにより、カプセル皮膜内に上記固体混合液が充填されたソフトカプセルを製造することを特徴とする。
【0021】
本発明においては、ソフトカプセル製造装置のチューブアッセンブリボトムの注入穴、スライドバルブの通液穴及びウェッジの吐出穴を直線状に連通させるように構成した。このように構成することにより、チューブアッセンブリボトムに接続されるチューブの本数と、注入穴、通液穴及び吐出穴の個数が全て同じになる。よって、供給される固体混合液に余剰は生じず、通常運転において、ホッパーにリターンさせる液はなくなる。
【0022】
固体混合液としては、例えば、薬液内に薬液入りソフトカプセルが混合したものである。
【0023】
また、本発明において、カプセル皮膜になる皮膜シートの原料としては例えば牛、豚、魚に含まれるゼラチン等の動物性原料を使用することができ、また動物性原料に限らず、例えばとうもろこしに含まれる澱粉等の植物性原料やその他の原料を使用することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ソフトカプセル製造装置において、チューブアッセンブリボトムの注入穴、スライドバルブの通液穴及びウェッジの吐出穴を直線状に連通させるように構成したことにより、ダブルソフトカプセルを製造する際に、固体混合液内の固体がつまるのを防止でき、効率よくダブルソフトカプセルを量産することが出来るとともに、従来における分散板が不要となり、ソフトカプセル製造装置の製造コストの低減も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本発明のソフトカプセル製造装置は、図4に示す従来のソフトカプセル製造装置とは、薬液充填部と、供給用チューブの本数が異なるのみでその他は同様の構造である。よって、以下における本発明のソフトカプセル製造装置およびソフトカプセル製造方法の説明においては、図4を兼用し、特に従来と相違する部分を重点的に説明し、同一の部分については上記背景技術において説明したので詳細な説明は省略する。
【0026】
図1は本発明のソフトカプセル製造装置の薬液充填部の構造を示す斜視図、図2は同薬液充填部の上面図、図3は同薬液充填部の側面図である。まず、従来のソフトカプセル製造装置(以下「従来例」と言う)と異なる本発明の主要部である薬液充填部の構成について図1〜3を参照して説明し、その他の構成については図1を参照して後ほど説明する。
【0027】
まず、図1に示す通り、薬液充填部4は、チューブアッセンブリボトム41B、第1のパッド42B、スライドバルブ43B、第2のパッド44及びウェッジ45からなる。図4に示すホッパー31内に、固体混合液12、すなわち、図8に示す第1の皮膜81内に充填された薬液82と内包ソフトカプセル83とからなるものを充填すると、この固体混合液12は薬液充填部4を通液してダイロール51、51間に噴出される。また、図8に示すような第2の皮膜831内に薬液832が充填された内包ソフトカプセル83は、例えば、シームレス製法などにより予め製造しておく。なお、従来例と異なり、リターン用パッド46及び分散板47は不要である。
【0028】
チューブアッセンブリボトム41Bには、上記従来のチューブアッセンブリボトム41Aと同様に、複数の注入穴411、411、・・・、供給用チューブ34、34、・・・と注入穴411、411、・・・を連通接続させるためのジョイント412、412、・・・、ソフトカプセル製造装置1に取り付けるための取付け具413、413、・・・及びリターン用チューブと接続するためのリターン用ジョイント414を有している。
【0029】
ただし、従来のチューブアッセンブリボトム41Aと異なり、注入穴411、411、・・・の個数は7個であり、チューブアッセンブリボトム41Bの中央部に巾方向直線状に縦列配置されている点と、供給用チューブ34、34、・・・の本数がこれに対応して7本である点と、リターン用ジョイント414の位置が異なる。なお、注入穴411、411、・・・及び供給用チューブ34、34、・・・の数は、7個に限定されず、使用者において適宜設計変更が可能であり、要するに注入穴411、411、・・・の数と、供給用チューブ34、34、・・・の数を対応付ければよい。
【0030】
スライドバルブ43Bには、通液穴431、431、・・・、これに続く通液管432、432、・・・、レバー433を有する。スライドバルブ43Bの構造は、リターン用穴422Bの位置が上記リターン用ジョイント414の取付け位置に対応する位置であることから、従来のスライドバルブ43Aの位置とは異なる位置に設けられている点が異なるだけである。
【0031】
また、スライドバルブ43Bは、チューブアッセンブリボトム41Bと第1のパッド42Bを介して積層接続される点も上記従来例と同様であるが、上記従来の第1のパッド42Aとは、リターン用穴422Bの位置が異なる。
【0032】
ウェッジ45及び第2のパッド44の構造は、上記従来のものと全く同様であり、ウェッジ45はスライドバルブ43Bと第2のパッド44を介して積層接続される。
【0033】
図1には、ホッパー31から供給された固体混合液が通液するルートである通液ルートR2が記載されているが、従来例と異なりこの通液ルートR2は一度もクランクしていない。このことを、図2及び図3を参照して説明する。
【0034】
図2は、薬液充填部4の上面図であり、注入穴411、411、・・・、通液穴431及び吐出穴451の位置関係が主に記載されている。図3は、薬液充填部4の側面図であり、通液ルートR2が主に記載されている。
【0035】
本発明に使用する薬液充填部4においては、注入穴411、411、・・・、通液穴431及び吐出穴451は、この図2を参照すると直線状に配置されていることが分かる。このように、注入穴411、411、・・・、通液穴431及び吐出穴451が直線状に配置されていることから、通液ルートR2も図3に示す通り、一度もクランクすることなく直線となる。
【0036】
すなわち、各注入穴411、411、・・・から供給された固体混合液は、薬液充填部4内において一度もクランクすることなく、ストレートに薬液充填部4内を通液し、吐出穴451、451、・・・から噴出される。また、従来例と異なり、各注入穴411、411、・・・に供給された固体混合液は、通常運転時においてはホッパー31内にリターンすることなく全て吐出穴451、451、・・・から噴出される。
【0037】
よって、従来例と異なり、薬液充填部4内で固体混合液内の固体が薬液充填部4内で詰まることなく、効率よく良好にダブルソフトカプセルの製造が行える。
【0038】
次いで、本発明のソフトカプセル製造装置1のその他の構成について図4を参照して説明する。
【0039】
図4に示すように、本発明のソフトカプセル製造装置1は、シート成形部2、薬液供給部3、薬液充填部4及びカプセル成形部5とから構成されている。シート成形部2では溶液(ゼラチン溶液)11から2枚の皮膜シート(ゼラチンシート)13,13を成形するとともに、カプセル成形部5ではそのゼラチンシート13,13どうしをヒートシールし、それと同時にシート間に固体混合液12を注入してカプセル形状に型抜きすることにより、カプセル皮膜(ゼラチン皮膜)内に固体混合液12が充填されたダブルソフトカプセル15を製造するものである。なお、このダブルソフトカプセル15は、図8に示すダブルソフトカプセル8のような構造のものである。
【0040】
シート成形部2はダブルソフトカプセル15の皮膜になるゼラチンを連続したシート状に成形するための機構部であり、溶液供給部(ゼラチン供給部)21、スプレッダーボックス22、成形ドラム23、および巻上げローラ24を備えて構成されている。
【0041】
図示しないゼラチン供給部は小分け用のタンクと溶液ホースとからなり、例えば牛、豚、魚などの各種原料から抽出・精製されたゼラチン溶液11がタンク内に貯留され、そのゼラチン溶液11を溶液ホースによりスプレッダーボックス22まで移送するようになっている。また移送途中でゼラチン溶液11が固化することを防ぐために、溶液ホースはヒータとセンサ(図示略)で温度調節される。
【0042】
スプレッダーボックス22は溶液ホースから移送されてきたゼラチン溶液11を一定量貯留するとともに、そのゼラチン溶液11を成形ドラム23の上に薄く広げる機能を有している。スプレッダーボックス22の内部に貯留されたゼラチン溶液11はボックス底部に開口した細長状のゲート221から吐出され、成形ドラム23の表面に所定の幅および厚みに広げて塗布される。またスプレッダーボックス22にはヒータ222とセンサが取り付けられており、ヒータ222でボックスを加熱して所定温度に保ち、ボックス内部に貯留したゼラチン溶液11のゾル状態を維持するようになっている。
【0043】
成形ドラム23はスプレッダーボックス22の直下に設置されており、ゲート221から吐出されたゼラチン溶液11を固化するためのものである。成形ドラム23は後述する駆動系統27によって回転可能に支持されており、ドラム表面に塗布されたゼラチン溶液11はドラム外周をほぼ周回する間に冷却されてゲル化し、これにより所定の幅と厚みで帯状に連続したゼラチンシート13が成形される。
【0044】
巻上げローラ24は成形ドラム23で成形されたゼラチンシート13がほぼ周回を終えた位置に設置されており、ドラム外周面に密着したゼラチンシート13を引き剥がして後段のカプセル成形部5に供給するためのものである。巻上げローラ24は後述する駆動系統28によって4本のローラ241〜244が交互に逆回転するようになっており、成形ドラム23から引き剥がされたゼラチンシート13はローラに巻き付けられ、4本のローラ間をジグザグに通過しながらシートガイド25に到達する。さらにシートガイド25で位置調整されたゼラチンシート13はリボンローラ26を介してカプセル成形部5のダイロール51に供給される。
【0045】
リボンローラ26は搬送されてきたゼラチンシート13をダイロール51へ正確にガイドするためのローラであるが、ローラ外周面にテフロン(登録商標)のコーティングが施され、ゼラチンシート13を円滑に移送できるようになっている。
【0046】
4本の巻上げローラのうち最下端に位置する第1ローラ241は、成形ドラム23からゼラチンシート13を剥がし易くするためローラ外周面にロレット加工が施され、ゼラチンシート13を保持するグリップ力が高められている。また、中間に位置する第2ローラ242と第3ローラ243は、カプセル成形時にウェッジ45とダイロール37との間に挟まれるゼラチンシート13の滑りを良くするために、ローラ外周面からゼラチンシート13の裏面、次いで表面へとオイルを塗布する。なお、最上端に位置する第4ローラ244は第3ローラ243でのオイルの塗布面積を第2ローラ242のそれと同じにするためのローラとして機能する。
【0047】
以上のようなゼラチン供給部21、スプレッダーボックス22、成形ドラム23、および巻上げローラ24からなるシート成形部2は、図4に示すようにカプセル成形部5を中心とした左右両側に対にして設置されており、これにより一対のシート成形部2,2で成形した2枚のゼラチンシート13,13をカプセル成形部5に搬送するようになっている。
【0048】
カプセル成形部5は、左右両側のシート成形部2,2から搬送されてきた2枚のゼラチンシート13,13をヒートシールすると同時にカプセル形状に型抜きしてソフトカプセル15を成形する部位である。ここには互いに逆回転する一対のダイロール51、51が近接して対向配置されており、両ローラの外周上方にはウェッジ45を嵌め込むための湾曲凹部511が区画形成される。ダイロール51の外周面にはゼラチンシート13をカプセル形状に型抜きする金型として複数個のカプセルポケット512、512、・・・が整列して開口されており、隣接するカプセルポケット512、512間にはゼラチンシート13を切り抜くための刃部(図示略)が形成されている。
【0049】
カプセル成形部5では、一対のダイロール51、51間に2枚のゼラチンシート13,13が供給され、その上方位置にウェッジ45を嵌め込んで吐出穴451、451、・・・から固体混合液12を射出することにより、ダイロール51、51に挟まれた2枚のゼラチンシート13,13の間に固体混合液12が注入される。これと同時にウェッジ45はヒータ453で加熱されていて、その熱によりゼラチンシート13を溶融させて接着力を高め、ローラ間の最狭部を通過する際の圧力でヒートシールを行う。さらにこのとき左右両側のダイロールの刃部(図示略)どうしが噛み合わさることにより、ゼラチンシート13はカプセル形状にカット加工される。
【0050】
このようにしてカプセル成形が完了したダイロール51の下方位置には、ストリップローラ521とマングルローラ522とからなるシュートアッセンブリ52が配置されている。このシュートアッセンブリ52では、マングルローラ522を回転させてソフトカプセル15を切り抜いた後の残りのゼラチンシート(残シート)14が下方に引っ張られるとともに、ストリップローラ521の回転によりシート側に残されたソフトカプセル15と残シート14とが分離され、ソフトカプセル15のみが正面に配置されたシューターを経由して回収される。なお、残シート14がダイロール51に巻き込まれないように、また残シート14が途中で引きちぎられないようにマングルローラ522の回転速度が調整される。
【0051】
以上のように構成された本発明のソフトカプセル製造装置1におけるダブルソフトカプセルの製造方法について次に説明する。
【0052】
図4に示すように、ホッパー31内に固体混合液12を供給すると、このホッパー31内の固体混合液12は、プランジャー式ポンプ32の駆動によって所定タイミングで供給用チューブ34、34、・・・により薬液充填部4へ供給される。この供給タイミングの制御は次のようにして行われる。すなわち、プランジャー式ポンプ32はシリンダ内を進退動作する複数本のプランジャーピン321,321,…を備えており、プランジャーピン321の圧力を受けた弁が座面に離着することにより弁を開閉して固体混合液12の供給タイミングを制御する。
【0053】
次に、薬液供給部4に供給された固体混合液12は、チューブアッセンブリボトムの注入穴411、スライドバルブの通液穴431及びウェッジの吐出穴451を直線状に通液し、吐出穴451からダイロール51、51間に噴射される。
【0054】
その後、噴出された固体混合液12は、上記説明したようにしたようにカプセル成形部5によりゼラチンシート13からなるカプセル皮膜内に充填され、図8に示すようなダブルソフトカプセル8が製造されることとなる。
【0055】
以上のように、本発明においては、ホッパー31から薬液充填部4に供給される固体混合液12を薬液充填部4内において一度もクランクさせることなく、ダイロール51、51間に噴出するように、注入穴411、通液穴431及び吐出穴451を配置し、この間をストレートに通液させるようにした。これにより、薬液充填部4内で固体混合液内の固体が詰まることなく効率よく良好にダブルソフトカプセルの製造が行える。また、このようにしたことにより、従来例において使用していたリターン用パッド46及び分散板47が不要になったので、ソフトカプセル製造装置の製造コストの低減が図れるといった効果も生まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のソフトカプセル製造装置の薬液充填部の構造を示す斜視図。
【図2】同薬液充填部の上面図。
【図3】同薬液充填部の側面図。
【図4】従来及び本発明のソフトカプセル製造装置の構造を説明するための斜視図。
【図5】従来のソフトカプセル製造装置の薬液充填部の構造を示す斜視図。
【図6】図5に示す薬液充填部の上面図。
【図7】図5に示す薬液充填部の図であり、(a)は側面図、(b)は部分拡大図。
【図8】ダブルソフトカプセルの断面図。
【符号の説明】
【0057】
1 ソフトカプセル製造装置
11 溶液(ゼラチン溶液)
12 固体混合液
13 皮膜シート(ゼラチンシート)
14 残シート
15 ダブルソフトカプセル
2 シート成形部
22 スプレッダーボックス
23 成形ドラム
24 巻上げローラ
25 シートガイド
26 リボンローラ
3 薬液供給部
31 ホッパー
32 プランジャー式ポンプ
321 プランジャーピン
33 チューブアッセンブリトップ
34 供給用チューブ
35 リターン用チューブ
4 薬液充填部
41B チューブアッセンブリボトム
411 注入穴
412 ジョイント
413 取付け具
414 リターン用ジョイント
42B 第1のパッド
421B 通過穴
422B リターン用穴
43B スライドバルブ
431 通液穴
432 通液管
433 レバー
434B リターン用穴
44 第2のパッド
441 通過穴
45 ウェッジ
451 吐出穴
452 供給穴
453 ヒータ
5 カプセル成形部
51 ダイロール
8 ダブルソフトカプセル
81 第1の皮膜
82 薬液
83 内包ソフトカプセル
831 第2の皮膜
832 薬液
R1、R2 通液ルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置されて互いに逆回転する一対のダイロール間に2枚の皮膜シートを搬送するとともに、ホッパー内に充填された固体混合液を上記ダイロールの外周上方に嵌合させたウェッジを介して射出して上記皮膜シート間に充填し、上記ダイロールの外周面に配列されたカプセルポケットの刃部どうしを噛み合わせて上記皮膜シートをヒートシールすると同時にカプセル形状に型抜きすることにより、カプセル皮膜内に上記固体混合液が充填されたソフトカプセルを製造するソフトカプセル製造装置であって、
上記ホッパー内の固体混合液を送り出すポンプと、
このポンプから送り出される固体混合液をチューブに振り分けるチューブアッセンブリトップと、
上記チューブが接続されるとともに、このチューブを介して上記チューブアッセンブリトップから上記固体混合液が送り込まれる注入穴を複数有するチューブアッセンブリボトムと、
このチューブアッセンブリボトムから送り込まれる固体混合液を通液する穴であって、かつ上記注入穴と同数の通液穴を有するとともに、上記固体混合液を全通過させるかあるいは全リターンさせるかを操作可能なスライドバルブと、
上記ダイロール間に入り込むようなくさび型の形状であるとともに、その先端に上記通液穴を介して送り込まれる固体混合液を上記ダイロール間に吐出する穴であり、かつその数が上記通液穴と同数である吐出穴を有するウェッジと、を備えるとともに、
上記チューブアッセンブリボトム、上記スライドバルブ及び上記ウェッジを積層接続してなり、
上記注入穴、上記通液穴及び上記吐出穴は、直線状に連通すること
を特徴とするソフトカプセル製造装置。
【請求項2】
ホッパー内の固体混合液を送り出すポンプと、
このポンプから送り出される固体混合液をチューブに振り分けるチューブアッセンブリトップと、
上記チューブが接続されるとともに、このチューブを介して上記チューブアッセンブリトップから上記固体混合液が送り込まれる注入穴を複数有するチューブアッセンブリボトムと、
このチューブアッセンブリボトムから送り込まれる固体混合液を通液する穴であって、かつ上記注入穴と同数の通液穴を有するとともに、上記固体混合液を全通過させるかあるいは全リターンさせるかを操作可能なスライドバルブと、
上記通液穴を介して送り込まれる固体混合液を吐出する穴であり、かつその数が上記通液穴と同数である吐出穴を有するくさび型形状のウェッジと、
上記ウェッジの先端が間に入り込むとともに対向配置されて互いに逆回転する一対のダイロールと、を備え、
上記チューブアッセンブリボトム、上記スライドバルブ及び上記ウェッジを積層接続してなるソフトカプセル製造装置を使用したソフトカプセル製造方法であって、
上記ダイロール間に2枚の皮膜シートを搬送する一方、上記ホッパー内の固体混合液を上記チューブアッセンブリトップを介して、上記注入穴、上記通液穴及び上記吐出穴を直線状に通液するとともに上記吐出穴から噴出することにより、上記皮膜シート間に充填し、上記ダイロールの外周面に配列されたカプセルポケットの刃部どうしを噛み合わせて上記皮膜シートをヒートシールすると同時にカプセル形状に型抜きすることにより、カプセル皮膜内に上記固体混合液が充填されたソフトカプセルを製造する
ことを特徴とするソフトカプセル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−259563(P2008−259563A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102742(P2007−102742)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(598025463)株式会社カマタ (3)
【Fターム(参考)】