説明

ソフトトップ駆動装置及びカブリオレ車両

【課題】ソフトトップ駆動装置若しくはソフトトップ駆動装置を備えたカブリオレ車両のために、特にリア領域において閉鎖された折畳みソフトトップに対し平らな形状を与えることが簡素化されていることを特徴とする、改良された構成を提供する。
【解決手段】各耐風リンクアッセンブリ9は連結部材16を有しており、連結部材16に上側の耐風ロッド12の下側の端部17と、下側の耐風ロッド13の上側の端部18とが互いに離間されて枢着されているようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カブリオレ車両において布カバーを備えた折畳みソフトトップを調節するためのソフトトップ駆動装置において、折畳みソフトトップが閉鎖している場合に布カバーを張設する張設フレームを備えており、張設フレームに布カバーのリア側の端部が固定されており、折畳みソフトトップが閉鎖している場合に張設フレームをルーフフレーム部分に支持する少なくとも1つの耐風リンクアッセンブリを備えており、耐風リンクアッセンブリは上側の耐風ロッドと下側の耐風ロッドとを有しており、上側の耐風ロッドの上側の端部は張設フレームに枢着されており、下側の耐風ロッドの下側の端部は張設フレームに枢着されている、カブリオレ車両において布カバーを備えた折畳みソフトトップを調節するためのソフトトップ駆動装置に関する。さらに、本発明は、上記ソフトトップ駆動装置を備えたカブリオレ車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、布カバーを備えた折畳みソフトトップを調節するソフトトップ駆動装置が公知である。ソフトトップ駆動装置は、折畳みソフトトップが閉鎖している場合に布カバーを張設するための張設フレームを有している。このために、布カバーのリア側の端部が張設フレームに固定されている。車両速度が比較的高い場合であっても、張設フレームを確実に張設された位置に保持することができるように、ソフトトップが閉鎖されている場合に張設フレームを支持するための耐風リンクアッセンブリがルーフフレーム部分に設けられている。耐風リンクアッセンブリは上側の端部がルーフフレーム部分に枢着されている上側の耐風ロッドと、下側の端部が張設フレームに枢着されている下側の耐風ロッドとを有している。公知のソフトトップ駆動装置において、上側の耐風ロッドの下側の端部は、下側の耐風ロッドの上側の端部に枢着されているので、結果的に、2つの部分から成る耐風リンクアッセンブリが実現される。
【0003】
上記2つの部分から成る耐風リンクアッセンブリを備えた別のソフトトップ駆動装置が、特許文献2及び特許文献3において公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州登録特許第0749859号
【特許文献2】米国登録特許第6966599号
【特許文献3】米国登録特許第5042868号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
規定のカブリオレ車両においては、例えば車両の外観及び/又は空気抵抗を改良するために、折畳みソフトトップを下流側の領域において可能な限り平らに構成することが望まれている。平らな折畳みソフトトップの場合に張設フレームを収納された張設位置に確実に位置固定することができるように、適切な耐風ロッドを比較的長く構成する必要がある。長い耐風ロッドはソフトトップ駆動装置の運動機構を妨害するか若しくは阻害する。さらに折畳みソフトトップが開放している場合に、ソフトトップボックスにおける長い耐風ロッドの収納を困難にする。
【0006】
本発明の目的は、ソフトトップ駆動装置若しくはソフトトップ駆動装置を備えたカブリオレ車両のために、特に閉鎖された折畳みソフトトップに対しリア領域において平らな形状を与えることが単純化されていることを特徴とする、改良された構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、カブリオレ車両において布カバーを備えた折畳みソフトトップを調節するためのソフトトップ駆動装置において、折畳みソフトトップが閉鎖している場合に布カバーを張設する張設フレームを備えており、張設フレームに布カバーのリア側の端部が固定されており、折畳みソフトトップが閉鎖している場合に張設フレームをルーフフレーム部分に支持する少なくとも1つの耐風リンクアッセンブリを備えており、耐風リンクアッセンブリは上側の耐風ロッドと下側の耐風ロッドとを有しており、上側の耐風ロッドの上側の端部は、ルーフフレーム部分に枢着されており、下側の耐風ロッドの下側の端部は、張設フレームに枢着されている、カブリオレ車両において布カバーを備えた折畳みソフトトップを調節するためのソフトトップ駆動装置において、各耐風リンクアッセンブリが連結部材を有しており、連結部材に上側の耐風ロッドの下側の端部と、下側の耐風ロッドの上側の端部とが互いに離間されて枢着されていることにより達成される。
【0008】
好ましくは、各連結部材は耐風リンクアッセンブリに配置されていて、上側の耐風ロッドとルーフフレーム部分との間の枢着個所と、下側の耐風ロッドと張設フレームとの間の枢着個所との間隔が拡大されるように、連結部材は、折畳みソフトトップが閉鎖している場合における布カバーを張設する張設位置への張設フレームの降下時に旋回する。
【0009】
好ましくは、各耐風リンクアッセンブリは制御リンクを有しており、制御リンクの下側の端部がルーフフレーム部分に枢着されており、制御リンクの上側の端部が、両耐風ロッドの連結部材側の枢着個所に対して離間されて連結部材に枢着されている。
【0010】
好ましくは、一方の端部において前記ルーフフレーム部分に枢着されており、他方の端部において連結部材に直接的に又は間接的に枢着されている少なくとも1つの作動装置が設けられている。
【0011】
好ましくは、作動装置はレバーアッセンブリを介して間接的に連結部材に枢着されており、レバーアッセンブリは連結部材に枢着されている第1のレバーと、第1のレバー及び、上側の耐風ロッドの連結部材側の枢着個所に対して離間されて上側の耐風ロッドに枢着されている第2のレバーとを有しており、作動装置は両レバーの間に形成されている枢着個所の領域において、レバーアッセンブリに枢着されている。
【0012】
好ましくは、折畳みソフトトップの閉鎖位置において、第2のレバーと上側の耐風ロッドとの間の枢着個所が、連結部材と上側の耐風ロッドとの間の枢着個所の下側に配置されており、及び/又は、第1のレバーと連結部材との間の枢着個所が、耐風ロッドの連結部材側の枢着個所の間に配置されている。
【0013】
好ましくは、さらに連結部材にコーナトップボウが枢着されており、特にコーナトップボウは連結部材と下側の耐風ロッドとの間の枢着個所の領域において、連結部材に枢着されているようになっていてよい。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの主支承ブラケットが設けられており、主支承ブラケットはソフトトップ駆動装置が取り付けられた状態において、カブリオレ車両のボデーに堅固に結合されており、主支承ブラケットにルーフフレーム部分と張設フレームとが枢着されている。
【0015】
好ましくは、一方の端部側において張設フレームに枢着されていて、かつ、他方の端部側においてルーフフレーム部分に枢着されている少なくとも1つの結合リンクが設けられており、特に、制御リンクとルーフフレーム部分との間の枢着個所が、結合リンクとルーフフレーム部分との間の枢着個所と、ルーフフレーム部分と主支承ブラケットとの間の枢着個所との間においてルーフフレーム部分に配置されているようになっていてよく、特に、作動装置とルーフフレーム部分との間の枢着個所が、上側の耐風ロッドとルーフフレーム部分との間の枢着個所と、結合リンクとルーフフレーム部分との間の枢着個所との間においてルーフフレーム部分に配置されているようになっていてよく、特に、結合リンクとルーフフレーム部分との間の枢着個所が、作動装置とルーフフレーム部分との間の枢着個所と、制御リンクとルーフフレーム部分との間の枢着個所との間においてルーフフレーム部分に配置されているようになっていてよい。
【0016】
さらに、ソフトトップ駆動装置によって、閉鎖位置と開放位置との間を調節可能である折畳みソフトトップを備えたカブリオレ車両によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、2つの耐風ロッド(Sturmstange)を互いに直接的に支承するのではなく、間接的に、つまり連結部材を介して互いに支承するという思想に基づく。したがって、この連結部材には上側の耐風ロッドの下側の端部と、下側の耐風ロッドの上側の端部とが枢着されており、とりわけ互いに離間されている。提案する構造は、3つの部材から成る、つまり2つの耐風ロッドと、これらの両耐風ロッドを互いに結合する1つの連結部材とから成る耐風リンクアッセンブリである。個々の耐風ロッドは、耐風リンクアッセンブリ(Sturmlenkeranordnung)の支持長さが同じ場合には、2つの部材から成る耐風リンクアッセンブリの2つの耐風ロッドよりも短く構成することができる。したがって、ソフトトップ駆動装置の機構と、折畳みソフトトップが開放されている場合のソフトトップボックスにおける耐風リンクアッセンブリの収納とが簡単になる。したがって全体的に、閉鎖された折畳みソフトトップのリア領域のための特に平坦な構成を実現することができる。
【0018】
特に有利な構成によれば、各連結部材は耐風リンクアッセンブリに配置されていてよく、上側の耐風ロッドとルーフフレーム部分との間の枢着位置及び下側の耐風ロッドと張設フレームとの間の枢着位置の間隔が拡大されるように、折畳みソフトトップが閉鎖されている場合に布カバーを張設する張設位置へ張設フレームが降下する際に旋回する。したがって連結部材の旋回により、全長、つまり耐風リンクアッセンブリの実現可能な支持長さを変更することができる。閉鎖されている折畳みソフトトップのために、耐風リンクアッセンブリのための最大の長さを実現することができる。開放されたソフトトップのために連結部材は、耐風ロッドと連結部材とが簡単にソフトトップボックス内に収納可能である程度に旋回することができる。
【0019】
各耐風リンクアッセンブリは制御リンクを有している構成が有利である。制御リンクの下側の端部はルーフフレーム部分に枢着されており、制御リンクの上側の端部は、2つの耐風ロッドの連結部材側の枢着位置に対して離間されて連結部材に枢着されている。耐風リンクアッセンブリは連結部材の領域において、制御リンクによってルーフフレーム部分に支持されることにより安定化される一方で、所望の機構に基づいて案内される。
【0020】
例えば一方の端部においてルーフフレーム部分に枢着されていて、他方の端部において直接的に又は間接的に連結部材に枢着されているピストン・シリンダ装置の形式の少なくとも1つの作動装置が設けられていると、特に有利である。これにより、連結部材を介して耐風リンクアッセンブリを作動させる作動力を導入することができるので、3つの部材から成る耐風リンクアッセンブリに設けられている連結部材は付加的な機能を有する。
【0021】
別の構成によれば、作動装置はレバーアッセンブリを介して間接的に連結部材に枢着されていてよい。このレバーアッセンブリは連結部材に枢着されている第1のレバーと、この第1のレバーに及び上側の耐風ロッドの連結部材側の枢着個所に対して離間されて上側の耐風ロッドに枢着されている第2のレバーとを有している。さらに、作動装置は、特に2つのレバーの間に形成されている枢着個所の領域においてレバーアッセンブリに枢着されていてよい。作動装置及び連結部材の間の間接的な連結により、比較的複雑な機構を実現することができる。この機構は構成スペースが小さい場合に、ソフトトップボックスにおける収納のために、耐風リンクアッセンブリのコンパクトな折畳みを可能にする。
【0022】
さらに別の構成によればコーナトップボウ(Eckspriegel)が連結部材に枢着されていることにより、付加的に連結部材の機能を高めることができる。コーナトップボウが、布カバーの支持のために折畳みソフトトップのリア領域に配置されていてよい。最適には上記コーナトップボウは、連結部材と下側の耐風ロッドとの間の枢着個所の領域において連結部材に枢着されていてよい。
【0023】
本発明のさらに重要な特徴及び利点が、従属請求項、図面及び図面に基づく説明から明らかになる。
【0024】
上記説明した特徴及び以下に説明する特徴は夫々、記載の組合せにおいてだけでなく、別の組合せ又は単独で使用可能でもあり、本発明の請求の範囲を超えることはない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ソフトトップ駆動装置の領域における、カブリオレ車両の一状態を示す側面図である。
【図2】ソフトトップ駆動装置の領域における、カブリオレ車両の別の状態を示す側面図である。
【図3】ソフトトップ駆動装置の領域における、カブリオレ車両のさらに別の状態を示す側面図である。
【図4】ソフトトップ駆動装置の領域における、カブリオレ車両のさらに別の状態を示す側面図である。
【図5】ソフトトップ駆動装置の領域における、カブリオレ車両のさらに別の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。同一の符号を、同一の又は類似の又は機能に関して同一の構成部材に付す。
【0027】
図1〜5において、カブリオレ車両1は布カバー3を備えた折畳みソフトトップ(部分的に図示)2を有している。この折畳みソフトトップ2は閉鎖位置(図1)と開放位置(図5)との間を調節可能である。折畳みソフトトップ2を調節若しくは作動させるために、車両1にはソフトトップ駆動装置4が備え付けられている。ソフトトップ駆動装置4は、一般的に車両1の下流側の領域において、折畳みソフトトップ2が開放位置にある場合に折畳みソフトトップ2を収容するためのソフトトップボックスの上流側に位置する。図1〜5において、このソフトトップボックスのうちラゲージルーム5だけが把握可能である。以下、理解しやすくするために、ソフトトップボックスに符号5が付されていてもよい。
【0028】
ソフトトップ駆動装置4は張設フレーム6を有している。張設フレーム6は、折畳みソフトトップ2が閉鎖されている場合に布カバ3ーを張設するために働く。さらに、張設フレーム6には布カバー3のリア側の端部7が固定されている。本実施の形態において、さらにソフトトップ駆動装置4は、布カバー3をとりわけ同様にリア領域ではあるが内方に支持するために働くコーナトップボウ8を、張設フレーム6の上流側に有している。
【0029】
張設フレーム6とコーナトップボウ8とは一方の車両側面から他方の車両側面に延びており、この実施の形態に応じてソフトトップ駆動装置4の内部には夫々、張設フレーム6とコーナトップボウ8とが1つずつ設けられている。これに対して、以下に記載するソフトトップ駆動装置4の構成要素は通常、各車両側面に夫々1つずつ設けられている、つまり全体として2つ設けられている。しかし図1〜5がソフトトップ駆動装置4を外側から見た図であると理解される場合には、図1〜5においてはソフトトップ駆動装置4の左側の部分だけが把握可能であるか、又は、図1〜5がソフトトップ駆動装置4を内側から見た図であると理解される場合には、ソフトトップ駆動装置4の右側の部分だけが把握可能である。
【0030】
ソフトトップ駆動装置4は少なくとも1つの耐風リンクアッセンブリ9を有している。有利には2つの耐風リンクアッセンブリ9が設けられており、つまり、左側の車両側面に1つ、右側の車両側面に1つ設けられている。耐風リンクアッセンブリ9は、折畳みソフトトップ2が閉鎖されている場合に張設フレーム6をルーフフレーム部分10において支持するために働く。本実施の形態において、張設フレーム6が位置する張設位置において、張設フレーム6は布カバー3を張設した状態に保持する。折畳みソフトトップ2の開閉のために、張設フレーム6は図1に示した、収納されているか又は降ろされた張設位置から、図3に示した、持ち上げられた又は起立した中間位置へと移行する。この中間位置において布カバー3は張設されていない。布カバー3が張設されていない場合、ソフトトップ2は閉鎖位置と開放位置との間を移動することができる。
【0031】
ルーフフレーム部分10は、布カバー3を側方において安定させる側方のルーフフレームの下流側の区分を形成することができる。折畳みソフトトップ2が閉鎖されている場合、ルーフフレーム部分10はCピラーを形成することができる。例えば、ルーフフレーム部分10はソフトトップ駆動装置4のメインリンク11により形成されている。メインリンク11はソフトトップ2の開閉のために運動する。
【0032】
耐風リンクアッセンブリ9は上側の耐風ロッド12と、下側の耐風ロッド13とを有している。上側の耐風ロッド12の上側の又は上流側の端部14はルーフフレーム部分10に枢着されている一方、下側の耐風ロッド13の下側の又は下流側の端部15は張設フレーム6に枢着されている。耐風リンクアッセンブリ9は両耐風ロッド12,13の間に連結部材16を有している。この連結部材16に上側の耐風ロッド12の下側の又は下流側の端部17が枢着されている。連結部材16には下側の耐風ロッド13の上側の又は上流側の端部18が枢着されてもいる。本実施の形態において、上側の耐風ロッド12の連結部材側の枢着個所19が、下側の耐風ロッド13の連結部材側の枢着個所20から離間されて連結部材16に位置決めされている。
【0033】
本実施の形態において、「上側」、「下側」、「上流」、「下流」の概念は、直進走行時の車両1の長手方向に関連するものである。
【0034】
さらに耐風リンクアッセンブリ9は制御リンク21を有している。この制御リンク21の下側の端部は、符号22の部分においてルーフフレーム部分10に枢着されており、上側の端部は、符号23の部分において連結部材16に枢着されている。本実施の形態において、制御リンク21の連結部材側の枢着個所23は、2つの耐風ロッド12,13の2つの連結部材側の枢着個所19,20から離間されて連結部材16に位置決めされている。図1に示す閉鎖位置において、上記枢着個所23は他の2つの枢着個所19,20の下側に位置する。
【0035】
さらにソフトトップ駆動装置4は作動装置24又は調節装置24を有している。この作動装置24又は調節装置24は、一方の端部で符号25の部分においてルーフフレーム部分10に枢着されており、他方の端部で符号26の部分において直接的に又は間接的に連結部材16に枢着されている。作動装置24は、例えば空気圧式又は液圧式に作動することができるピストン・シリンダ装置として構成されている。同様に電気的に操作可能な作動装置24も考慮可能である。図示した実施の形態において作動装置24は、直接的にではなく間接的に、つまりレバーアッセンブリ27を介して連結部材16に枢着されている。レバーアッセンブリ27は、連結部材16に支承されている第1のレバー28を有し、かつ、上側の耐風リンク12に枢着されている第2のレバー29を有している。2つのレバー28,29は、枢着個所26において互いに旋回可能に支承されている。したがって、例えば作動装置24は2つのレバー28,29の間に形成されている枢着個所26に支承されている。
【0036】
本実施の形態においてレバーアッセンブリ27は図1に示した閉鎖位置において、第2のレバー29を上側の耐風ロッド12に支承している枢着個所30が、枢着個所19の下側に位置決めされているように構成されている。この枢着個所19において上側の耐風ロッド12は連結部材16に支承されている。さらに、第1のレバー28を連結部材16に支承している枢着個所31は、上側の耐風リンク12を連結部材16に支承している枢着個所19と、下側の耐風リンク13を連結部材16に支承している枢着個所20との間で連結部材16に位置決めされている。さらに、2つのレバー28,29が互いに支承されている枢着個所26は、ソフトトップ2の閉鎖位置において2つのレバー28,29の2つの他の枢着個所30,31の上側に設けられている。
【0037】
図示の実施の形態においてコーナトップボウ8は、下側の耐風ロッド13を連結部材16に支承している枢着個所20の領域において、連結部材16に旋回可能に支承されている。
【0038】
さらに例えば、車両1に堅固に取り付けられている主支承ブラケット32を示す。例えば主支承ブラケット32は、車両1のボデー(図示せず)に堅固に結合されている。主支承ブラケット32に少なくともメインリンク11、つまり本実施の形態においてはルーフフレーム部分10と張設フレーム6とが旋回可能に支承されている。
【0039】
さらに例えば、一方の端部で符号34の部分において張設フレーム6に枢着されていて、かつ、他方の端部で符号35の部分においてルーフフレーム部分10に枢着されている結合リンク33を示す。結合リンク33をルーフフレーム部分10に支承している枢着個所35は、例えば制御リンク21をルーフフレーム部分10に支承している枢着個所22と、作動装置24をルーフフレーム部分10に支承している枢着個所25との間に設けられている。さらに、制御リンク21をルーフフレーム部分10に支承している枢着個所22は、結合リンク33をルーフフレーム部分10に支承している枢着個所35と、ルーフフレーム部分10を主支承ブラケット32に旋回可能に支承している枢着個所36との間に位置する。さらに、作動装置24をルーフフレーム部分10に支承している枢着個所25は、結合リンク33をルーフフレーム部分10に支承している枢着個所35と、上側の耐風ロッド12をルーフフレーム部分10に支承している支承個所37との間に位置する。さらに、結合リンク33を張設フレーム6に支承している枢着個所34は、張設フレーム6を主支承ブラケット32に支承している枢着個所38と、下側の耐風ロッド13を張設フレーム6に支承している枢着個所39との間に位置する。
【0040】
さらに、図示の実施の形態においてはストッパ40が設けられている。ストッパ40は、有利には連結部材16に形成されており、閉鎖位置において制御リンク21に接触する。ストッパ40は張設フレーム6の張設位置を規定する。
【0041】
調節駆動装置4の機能形式若しくは調節駆動装置4の機構は、以下に図1〜5を参照して詳細に説明する。
【0042】
図1に示す出発状態において、折畳みソフトトップ2は閉鎖位置にある。張設フレーム6は、折畳みソフトトップ2の布カバー3が張設されている張設位置にある。ストッパ40は制御リンク21に接触している。
【0043】
ソフトトップ2を開放するために、まず布カバー3を弛緩した状態にする必要がある。したがって、まず張設フレーム6が張設位置から図3に示す持ち上げられた中間位置に移行する必要がある。
【0044】
したがって、図2に示すように作動装置24が操作されて、作動装置24のルーフフレーム部分側の枢着個所25と、作動装置24の連結部材側の枢着個所26との間の間隔は減じられる。これにより、連結部材16は横方向軸線を中心に回動し、とりわけ図2の矢印41が示すように反時計回りに回動する。これにより、上側の耐風ロッド12をルーフフレーム部分10に枢着している枢着個所37と、下側の耐風ロッド13を張設フレーム6に枢着している枢着個所39との間の間隔は減じられる。開放プロセスのこの区分においてルーフフレーム部分10は運動しないので、連結部材16の回動運動により張設フレーム6の持上げがもたらされる。図2には、図1の張設位置と、図3の完全に持ち上げられた中間位置との間の張設フレーム6の位置を示す。
【0045】
張設フレーム6が図3の中間位置に到達して初めて、折畳みソフトトップ2の収納が始まる。このためメインリンク11、つまり本実施の形態においては図4のルーフフレーム部分10が矢印42に示すように上方に旋回し、図5にから把握可能であるように矢印43に示すようにソフトトップボックス5内に旋回する。ソフトトップ2の開放時に、メインリンク11がまずコーナトップボウ8に追いつき、次いで張設フレーム6にも追いつく。これにより図5においては、ソフトトップ2の極めてコンパクトに折り畳まれた開放位置がもたらされている。
【符号の説明】
【0046】
1 車両、 2 折畳みソフトトップ、 3 布カバー、 4 ソフトトップ駆動装置、 5 ラゲージルーム、 6 張設フレーム、 7 リア側の端部、 8 コーナトップボウ、 9 耐風リンクアッセンブリ、 10 ルーフフレーム部分、 11 メインリンク、 12 上側の耐風ロッド、 13 下側の耐風ロッド、 14 ルーフフレーム部分10の上側の又は上流側の端部、 15 張設フレームの下側の又は下流側の端部、 16 連結部材、 17 上側の耐風ロッド12の下側の又は下流側の端部、 18 下側の耐風ロッド13の上側の又は上流側の端部、 19 上側の耐風ロッド12の連結部材側の枢着個所、 20 下側の耐風ロッド13の連結部材側の枢着個所、 21 制御リンク、 22 制御リンク21の連結部材16における枢着個所、 23 連結部材16における制御リンク21の枢着個所、 24 作動装置、調節装置、 25 ルーフフレーム部分10における作動装置24の枢着個所、 26 連結部材16における作動装置24の枢着個所、 27 レバーアッセンブリ、 28 第1のレバー、 29 第2のレバー、 30 上側の耐風ロッド12における第2のレバー29の枢着個所、 31 連結部材16における第1のレバー28の枢着個所、 32 主支承ブラケット、 33 結合リンク、 34 張設フレーム6における結合リンク33の枢着個所、 35 ルーフフレーム部分10における結合リンク33の枢着個所、 36 主支承ブラケット32におけるルーフフレーム部分10の枢着個所、 37 ルーフフレーム部分10における上側の耐風ロッド12の枢着個所、 38 主支承ブラケット32における張設フレーム6の枢着個所、 39 張設フレーム6における下側の耐風ロッド13の枢着個所、 40 ストッパ、 41,42,43 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カブリオレ車両(1)において布カバー(3)を備えた折畳みソフトトップ(2)を調節するためのソフトトップ駆動装置において、
−前記折畳みソフトトップ(2)が閉鎖している場合に前記布カバー(3)を張設する張設フレーム(6)を備えており、該張設フレーム(6)に前記布カバー(3)のリア側の端部(7)が固定されており、
−前記折畳みソフトトップ(2)が閉鎖している場合に前記張設フレーム(6)をルーフフレーム部分(10)に支持する少なくとも1つの耐風リンクアッセンブリ(9)を備えており、該耐風リンクアッセンブリ(9)は上側の耐風ロッド(12)と下側の耐風ロッド(13)とを有しており、
−前記上側の耐風ロッド(12)の上側の端部(14)は、前記ルーフフレーム部分(10)に枢着されており、
−前記下側の耐風ロッド(13)の下側の端部(15)は、前記張設フレーム(6)に枢着されている、
カブリオレ車両において布カバーを備えた折畳みソフトトップを調節するためのソフトトップ駆動装置において、
前記各耐風リンクアッセンブリ(9)は連結部材(16)を有しており、該連結部材(16)に前記上側の耐風ロッド(12)の下側の端部(17)と、前記下側の耐風ロッド(13)の上側の端部(18)とが互いに離間されて枢着されていることを特徴とする、カブリオレ車両において布カバーを備えた折畳みソフトトップを調節するためのソフトトップ駆動装置。
【請求項2】
前記各連結部材(16)は耐風リンクアッセンブリ(9)に配置されていて、前記上側の耐風ロッド(12)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(37)と、前記下側の耐風ロッド(13)と前記張設フレーム(6)との間の枢着個所(39)との間隔が拡大されるように、前記連結部材(16)は、前記折畳みソフトトップ(2)が閉鎖している場合における前記布カバー(3)を張設する張設位置への前記張設フレーム(6)の降下時に旋回することを特徴とする、請求項1記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項3】
前記各耐風リンクアッセンブリ(9)は制御リンク(21)を有しており、該制御リンク(21)の下側の端部が前記ルーフフレーム部分(10)に枢着されており、前記制御リンク(21)の上側の端部が、前記両耐風ロッド(12,13)の連結部材側の枢着個所(19,20)に対して離間されて前記連結部材(16)に枢着されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項4】
一方の端部において前記ルーフフレーム部分(10)に枢着されており、他方の端部において前記連結部材(16)に直接的に又は間接的に枢着されている少なくとも1つの作動装置(24)が設けられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項5】
前記作動装置(24)はレバーアッセンブリ(27)を介して間接的に前記連結部材(16)に枢着されており、前記レバーアッセンブリ(27)は前記連結部材(16)に枢着されている第1のレバー(28)と、該第1のレバー(28)及び、上側の耐風ロッド(12)の連結部材側の枢着個所(19)に対して離間されて上側の耐風ロッド(12)に枢着されている第2のレバー(29)とを有しており、前記作動装置(24)は前記両レバー(28,29)の間に形成されている枢着個所(26)の領域において、前記レバーアッセンブリ(27)に枢着されていることを特徴とする、請求項4記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項6】
−折畳みソフトトップ(2)の閉鎖位置において、第2のレバー(29)と上側の耐風ロッド(12)との間の枢着個所(30)が、前記連結部材(16)と前記上側の耐風ロッド(12)との間の枢着個所(19)の下側に配置されており、及び/又は、
−前記第1のレバー(28)と前記連結部材(16)との間の枢着個所(31)が、前記耐風ロッド(12,13)の連結部材側の枢着個所(19,20)の間に配置されていることを特徴とする、請求項5記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項7】
さらに前記連結部材(16)にコーナトップボウ(8)が枢着されており、特に前記コーナトップボウ(8)は前記連結部材(16)と前記下側の耐風ロッド(13)との間の枢着個所(20)の領域において、前記連結部材(16)に枢着されているようになっていてよいことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項8】
少なくとも1つの主支承ブラケット(32)が設けられており、該主支承ブラケット(32)は前記ソフトトップ駆動装置(4)が取り付けられた状態において、前記カブリオレ車両(1)のボデーに堅固に結合されており、前記主支承ブラケット(32)に前記ルーフフレーム部分(10)と前記張設フレーム(6)とが枢着されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項9】
−一方の端部側において前記張設フレーム(6)に枢着されていて、かつ、他方の端部側において前記ルーフフレーム部分(10)に枢着されている少なくとも1つの結合リンク(33)が設けられており、
−特に、前記制御リンク(21)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(22)が、前記結合リンク(33)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(35)と、前記ルーフフレーム部分(10)と主支承ブラケット(32)との間の枢着個所(36)との間において前記ルーフフレーム部分(10)に配置されているようになっていてよく、
−特に、前記作動装置(24)とルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(25)が、前記上側の耐風ロッド(12)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(37)と、前記結合リンク(33)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(35)との間において前記ルーフフレーム部分(10)に配置されているようになっていてよく、
−特に、前記結合リンク(33)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(35)が、前記作動装置(24)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(25)と、前記制御リンク(21)と前記ルーフフレーム部分(10)との間の枢着個所(22)との間において前記ルーフフレーム部分(10)に配置されているようになっていてよい、
ことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項記載のソフトトップ駆動装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項記載のソフトトップ駆動装置(4)によって、閉鎖位置と開放位置との間を調節可能である、折畳みソフトトップ(2)を備えたカブリオレ車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−207477(P2011−207477A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70916(P2011−70916)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(506292985)マグナ カー トップ システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (31)
【氏名又は名称原語表記】Magna Car Top Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 59, D−74321 Bietigheim−Bissingen, Germany