説明

ソルフェージュ学習システム、ソルフェージュ学習提供サーバ、及びプログラム

【課題】ネットワーク接続された利用者端末に学習されるソルフェージュの科目の生成した学習データに基づくテストを実施させ、当該テストの結果を自動評価するソルフェージュ学習システム、ソルフェージュ学習提供サーバ、及びプログラムを提供する。
【解決手段】ソルフェージュ学習提供サーバ10は、利用者端末の利用者の情報に基づいて、学習者別学習レベルデータベース105に記憶保持される学習者別の学習レベルの情報から当該利用者の学習レベルを特定するとともに、学習データ格納データベース106に記憶保持される学習用の基準データを1つ以上取り出して、前記特定した学習レベルに対応する学習データを作成する学習データ作成部1013と、前記テストの自動評価の結果に基づいて、学習者別学習レベルデータベース105に記憶保持される当該利用者の学習レベルを更新する学習レベルスケジュール制御部1014と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルフェージュに関する学習を支援するソルフェージュ学習システム、ソルフェージュ学習提供サーバ、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からのソルフェージュを学習する方法は、音楽教室に出向き直接指導を受けるということが一般的であった。このための補助教材として、テキスやCD(Compact Disc)等も利用されることもある。尚、本願明細書中、ソルフェージュとは、楽典(音楽理論)、聴音、視唱、記憶演奏など音楽学習の基礎を学ぶことを云う。
【0003】
従来技術のテキストやCDは、ソルフェージュという学習の特性から最適なものとは言い切れない。これは、ソルフェージュでは繰り返し学習が簡単ではないためである。また、聴音や視唱の分野で自習のために、学習内容の再生方法を工夫している技術もあるが、これは従来からの音楽教室で行なわれている演奏方法を再現するに過ぎず、自習学習に最適なものではない。
【0004】
また、自習学習では採点を行なって学習効果を把握するのが有効であるが、テキストなどの印刷物等を用いる場合、その採点に時間がかかるという問題もある。また講師が演奏するのを聴音や視唱して学習する場合も、講師の演奏は常に同じとは言い切れないため、安定した学習方法とはいえない。例えば、1拍が1秒の曲で、この1拍を2連符(8分音符2つ)にすると1音0.5秒、3連符では1音0.33秒、16分音符の4連符は1音0.25秒となり、数字にすると安定演奏の困難さが理解できる。一方で、学習者は、聴音学習にあたって、この違いを正確に聴音しなければならず、複雑なリズムの曲ではよりいっそう演奏の正確性が必要とされる。
【0005】
聴音は、音楽学校入試でも多くの学校で必須となっており、ソルフェージュの各科目の中でも特に重要視されている。一方で、聴音の学習方法がよく分からないという声も非常に多い。テキスやCD等も利用した、講師が弾いた旋律や和音を聴き取って楽譜に記述し、講師が添削を行なう直接指導では、1回のレッスンで取り上げられるテスト内容は限られており、訓練量と指導時間の観点から効率的とは云えない。従って、直接指導による対面学習の利点を生かした、より効率的且つ効果的な自習学習方法が望まれる。
【0006】
このため、自習学習のために、独学が困難であった聴音や新曲視唱のための音楽学習装置を提供する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3964504号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでの音楽教室及び講師は、所有している楽譜、問題集の中からそのまま出題するしかなかった。特に、聴音は、直接指導では、1回のレッスンで取り上げられるテスト内容は限られており、訓練量と指導時間の観点から効率的とは云えない。
【0009】
また、特許文献1の音楽学習装置は、複数の旋律に対応する楽譜データを予め記憶しておき、この楽譜データを選択して演奏し、学習者に聴音・採譜させ、音楽学習装置が演奏した楽譜と学習者によって採譜させた楽譜との相違箇所を採点するように構成したものであるが、この技術では、予め保持した限られた固定の楽譜データを元に学習するため、繰り返しの学習になる可能性がある。また、この技術では、異なるジャンルで流用して学習させることができないばかりでなく、そもそも異なるジャンルでの学習を提供することができない。さらに、特許文献1の技術では、学習内容の選択を自身で行い、その採点結果を取得するために、聴音の学習効果として正確に採点されて評価するには更なる改善の余地がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて為されたものであり、ソルフェージュに関する学習を効果的且つ効率的に支援するソルフェージュ学習システム、ソルフェージュ学習提供サーバ、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明のソルフェージュ学習システムは、ネットワーク接続された利用者端末に対してソルフェージュの科目別の学習データに基づくテストを実施させ、当該テストの結果を自動評価するソルフェージュ学習システムであって、当該利用者端末の利用者によって学習されるソルフェージュの科目別の学習データを作成して前記利用者端末に提示するとともに、前記利用者端末から得られる当該学習データの回答に対する自動評価を行なうソルフェージュ学習提供サーバと、前記ソルフェージュの科目別の学習データに関して、前記ソルフェージュ学習提供サーバを介して前記利用者端末から得られる当該学習データの回答及び前記評価の結果を取得する講師端末とを備え、前記利用者端末は、前記ソルフェージュの科目別の学習データの選択に関する所定の学習条件を前記ソルフェージュ学習提供サーバに送信する通信手段を有し、前記講師端末は、前記利用者端末が送信する学習条件よりも優先的に適用される学習条件を前記ソルフェージュ学習提供サーバに送信する通信手段を有し、前記ソルフェージュ学習提供サーバは、前記利用者の情報に基づいて、学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される学習者別の学習レベルの情報から当該利用者の学習レベルを特定するとともに、学習データ格納データベースに記憶保持される学習用の基準データを1つ以上取り出して、前記特定した学習レベルに対応する学習データを作成する学習データ作成部と、前記評価の結果に基づいて、前記学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される当該利用者の学習レベルを更新する学習レベルスケジュール制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のソルフェージュ学習提供サーバは、ネットワーク接続された利用者端末に対して学習されるソルフェージュの科目の学習データを生成し、生成した学習データに基づくテストを実施させ、当該テストの結果を自動評価するソルフェージュ学習提供サーバであって、前記利用者の情報に基づいて、学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される学習者別の学習レベルの情報から当該利用者の学習レベルを特定するとともに、学習データ格納データベースに記憶保持される学習用の基準データを1つ以上取り出して、前記特定した学習レベルに対応する学習データを作成する学習データ作成部と、前記評価の結果に基づいて、前記学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される当該利用者の学習レベルを更新する学習レベルスケジュール制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のプログラムは、ネットワーク接続された利用者端末に対して学習されるソルフェージュの科目の学習データを生成し、生成した学習データに基づくテストを実施させ、当該テストの結果を自動評価するソルフェージュ学習提供サーバとして構成するコンピュータに、前記利用者の情報に基づいて、学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される学習者別の学習レベルの情報から当該利用者の学習レベルを特定するとともに、学習データ格納データベースに記憶保持される学習用の基準データを1つ以上取り出して、前記特定した学習レベルに対応する学習データを作成するステップと、前記評価の結果に基づいて、前記学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される当該利用者の学習レベルを更新するステップと、を実行させるためのプログラムとして構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、あくまで補助教材であったテキストやCDといったものに代わるもの、又はより効果的な学習効果を得ることができるものとして、ソルフェージュの各科目について学習効果の高い学習データの提供及び自動採点や評価を提供することにより、採点時間の短縮だけでなく、講師の直接指導による対面学習の利点を生かした、より効率的且つ効果的な自習学習が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムの概略図である。
【図2】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおけるソルフェージュ学習提供サーバの概略図である。
【図3】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける利用者端末の概略図である。
【図4】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける講師端末の概略図である。
【図5】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムの動作フロー図である。
【図6】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおけるソルフェージュ学習提供サーバの動作フロー図である。
【図7】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける学習内容選択画面の一例を示す図である。
【図8】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける学習条件入力画面の一例を示す図である。
【図9】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける学習データ再生中画面の一例を示す図である。
【図10】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける学習データ再生後演奏画面の一例を示す図である。
【図11】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける新曲視唱学習画面の一例を示す図である。
【図12】本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける評価結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムについて説明する。尚、本実施例のソルフェージュ学習システムの説明から、本発明に係るソルフェージュ学習提供サーバ及びプログラムの内容も明らかになる。
【0017】
〔システム構成〕
図1は、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムの概略図である。本実施例のソルフェージュ学習システムは、典型的な構成例として、ソルフェージュ学習提供サーバ10と、ソルフェージュの学習を行う利用者Uが使用する端末としての利用者端末40とを備え、好適には、更に、当該学習者に対する講師Kが使用する端末としての講師端末50を備える。ソルフェージュ学習提供サーバ10と、利用者端末40と、講師端末50とは広域ネットワーク(WAN)で相互通信(例えば、Web通信)可能に接続される。典型的には、利用者Uは、利用者端末40の周辺機器として、データ入力用に、マイク40a、イメージスキャナ40b、グラフィックタブレット40cや、キーボード40d及びマウス40e、或いはデータ出力用に、表示装置40f、音声出力装置40g及びプリンタ40hを利用可能であり、さらに、利用者Uが用意できる場合、広域ネットワーク(WAN)に接続可能なネットワーク対応楽器20やタッチパネル式のタブレット端末30も利用できる。尚、楽譜や問題を取り込む入力デバイスとして、上記で例示したイメージスキャナ40b以外にもカメラを用いてもよいことは勿論である。以下の説明では、代表的に利用者端末40を用いる例を説明する。
【0018】
本実施例のソルフェージュ学習システムにおいて、利用者Uは、利用者端末40等を操作して学習条件を設定し、ソルフェージュ学習提供サーバ10と通信し、ソルフェージュ学習提供サーバ10が提供する学習データに基づいてテストを実行し、ソルフェージュを学習するとともに、利用者端末40等を操作して、テスト結果をソルフェージュ学習提供サーバ10に送信して評価結果を得るように構成される。また、講師Kは、講師端末50を操作して、利用者Uの当該学習条件よりも優先的に講師Kによる学習条件を設定し、ソルフェージュ学習提供サーバ10による評価結果を得ることができる。
【0019】
(ソルフェージュ学習提供サーバ)
図2は、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおけるソルフェージュ学習提供サーバの概略図である。本実施例のソルフェージュ学習提供サーバ10は、制御部101と、記憶部102と、Web通信部103と、楽典データ格納データベース104と、学習者別学習レベルデータベース105と、学習データ格納データベース106とを備える。制御部101は、Webプロトコル処理部1011と、学習条件設定部1012と、学習データ作成部1013と、学習レベルスケジュール制御部1014と、表示画面制御部1015と、聴音学習評価部1016と、記憶演奏学習評価部1017と、新曲視唱学習評価部1018とを備える。
【0020】
尚、本発明に係る制御部101の各機能を説明するが、ソルフェージュ学習提供サーバ10が他の機能を排除することを意図したものではないことに留意する。ソルフェージュ学習提供サーバ10は、コンピュータとして構成することができ、制御部101の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該コンピュータの記憶部102に格納しておき、当該コンピュータの中央演算処理装置(CPU)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0021】
Webプロトコル処理部1011は、利用者端末40とのWeb通信を確立する機能を有する。即ち、Webプロトコル処理部1011は、Web通信部103を介して利用者端末40に対するアクセス機能として動作し、URLの引数情報のような形式等で学習条件の情報やテスト結果の情報等を利用者端末40から取得する機能を有する。尚、Webプロトコル処理部1011は、当該利用者U及び講師Kの認証処理を含む。
【0022】
学習条件設定部1012は、利用者端末40及び/又は講師端末50から入力される学習条件の情報(本例では、ジャンル、リズム、調拍子の情報)を、ソルフェージュの学習内容別に学習レベルスケジュール制御部1014及び学習データ作成部1013に設定する機能を有する。尚、学習条件設定部1012は、利用者端末40及び講師端末50の双方から学習条件の情報を取得した場合には、講師端末50からの学習条件の情報を優先する機能を有する。
【0023】
学習データ作成部1013は、学習条件設定部1012によってソルフェージュの学習内容別に設定された学習条件と、学習レベルスケジュール制御部1014によって判別される当該利用者Uの学習レベルに基づいて、学習データ格納データベース106に記憶保持される基準データを1つ以上取り出し、学習データとして生成する機能を有する。比較的少ない基準データでも多様な学習データを生成可能なように、学習データ作成部1013は、各々が複数の音源の基準データからなる音源グループから予め定めたポリシに従って異なる音源グループから個別に基準データを抽出し、調が異なる場合には移調して1つの曲として構成して学習データを作成する。このポリシの例として、例えば、学習データ作成部1013は、グループ化された2つの基準データ(例えば、4小節区切りの2つのファイル)をそれぞれ数回通して再生可能なように学習データを作成するとすれば、異なる音源グループについて、各音源グループの前半部及び後半部にセグメント化し、それぞれ前半部及び後半部を別々に抽出するとともに、調が異なる場合には移調して1つの曲として構成し、多様な学習データを生成する。学習データ作成の他の例として、前半・後半で合わせて8小節のグループに、12小節のグループから中間部を抽出し、新たな12小節の曲を作成することができる。これは、「視唱」における学習データの作成でも同様である。また、「リズム聴音」では、リズム聴音用のデータを予め用意する方法だけでなく、「聴音」や「視唱」のためのデータからリズムのみ抽出して学習用データを作成することができる。学習データ作成部1013は、利用者Uによって選択されたソルフェージュの学習内容が、“音楽理論学習”である場合には、楽典データ格納データベース104から楽典データを予め定めた順に読み出して学習データを生成する。
【0024】
学習レベルスケジュール制御部1014は、学習条件設定部1012によってソルフェージュの学習内容別(すなわち、科目別)に設定された学習条件と当該利用者Uの情報を基に、学習者別学習レベルデータベース105を参照して、当該利用者Uの学習レベルを特定し、学習データ作成部1013に送出する機能を有する。例えば、ソルフェージュの学習内容別に設定された学習条件に応じて10段階の学習レベルを設けておき、各評価結果(例えば、100点満点)について予め定めた基準(例えば、80点以上で学習レベルアップ)に従って更新した内容を学習者別学習レベルデータベース105に記憶する。これにより、学習者の学習レベルをスケジューリング(計画管理)することができる。また、学習レベルスケジュール制御部1014は、特定のジャンルにおける学習において高採点が得られているか否か、その逆であまりに低採点となっているか否かを、定期的に、又はテスト評価を行なうたびに判別し、当該特定のジャンルとは別の学習データを作成するよう自動的に学習データ作成部1013に指示する機能を有する。
【0025】
表示画面制御部1015は、Webプロトコル処理部1011と協動して、音楽理論学習、聴音学習、記憶演奏学習及び新曲視唱学習のうちのいずれかを当該利用者Uに選択させるための「学習内容選択画面」(図7参照)と、ソルフェージュの学習内容別の学習条件を当該利用者Uに選択させるための「学習条件入力画面」(図8参照)と、記憶演奏学習における演奏記憶時の表示画面(聴音学習の表画面も同様)である「学習データ再生中画面」(図9参照)と、記憶演奏学習における学習データ再生後の演奏を要求する時の表示画面である「学習データ再生後演奏画面」(図10参照)と、新曲視唱学習における曲に応じて動的に変化させて譜面表示する時の表示画面である「新曲視唱学習画面」(図11参照)と、学習後の評価結果を示す「評価結果画面」(図12では、記憶演奏評価結果画面を例示している)とを利用者端末40の表示装置40fに表示させる機能を有する。
【0026】
聴音学習評価部1016は、学習データ作成部1013によって作成した聴音学習用の学習データを基に利用者端末40の音声出力装置40gにて音を発生させ、一定時間経過後に、利用者Uによる聴音学習結果(つまり、学習データのテスト結果)を取得して音符や音高について評価し、表示画面制御部1015と協働して評価結果を当該「評価結果画面」を通じて利用者端末40の表示装置40fに表示させるとともに、評価結果を学習レベルスケジュール制御部1014に送出する機能を有する。
【0027】
記憶演奏学習評価部1017は、学習データ作成部1013によって作成した記憶演奏学習用の学習データを基に利用者端末40の音声出力装置40gにて音(和音等)を発生させ、一定時間経過後に、利用者Uによる記憶演奏学習結果を取得して、提示した音と取得した音のリズム(タイミング)や音程(音高)を評価し、表示画面制御部1015と協働して評価結果を当該「評価結果画面」を通じて利用者端末40の表示装置40fに表示させるとともに、評価結果を学習レベルスケジュール制御部1014に送出する機能を有する。
【0028】
新曲視唱学習評価部1018は、学習データ作成部1013によって作成した新曲視唱学習用の学習データを基に利用者端末40の表示装置40fにて楽譜を表示させ、利用者Uによる新曲視唱学習結果を取得して、提示した音と取得した音のリズム(タイミング)や音程(音高)を評価し、表示画面制御部1015と協働して評価結果を当該「評価結果画面」を通じて利用者端末40の表示装置40fに表示させるとともに、評価結果を学習レベルスケジュール制御部1014に送出する機能を有する。
【0029】
楽典データ格納データベース104は、学習データの生成用に予め用意した楽典データ(音楽理論)を通常の問題集のように格納するデータベースである。音楽理論の学習の評価結果は、制御部101の機能によって(図示せず)、既存の問題集に沿って択一的な選択を要求する構成で簡単に評価できる。
【0030】
学習者別学習レベルデータベース105は、学習レベルスケジュール制御部1014によって制御され、ソルフェージュの学習内容別に設定された学習条件を引数とした学習レベルを格納する。
【0031】
学習データ格納データベース106は、設定される学習条件と判別される当該利用者Uの学習レベルを引数として、各々が複数の音源の基準データからなる音源グループを予め記憶保持しておくデータベースである。
【0032】
(利用者端末)
図3は、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける利用者端末の概略図である。本実施例の利用者端末40は、データ入力用の周辺機器からデータを入力する入力IF401と、制御部402と、Web通信部403と、記憶部404と、データ出力用の周辺機器にデータを出力する出力IF405とを備える。制御部402は、Webプロトコル処理部4021と、表示画面制御部4022と、入力音符画像データ変換部4023と、入力音声データ変換部4024と、出力データ生成部4025とを備える。
【0033】
尚、本発明に係る制御部402の各機能を説明するが、利用者端末40が他の機能を排除することを意図したものではないことに留意する。利用者端末40は、コンピュータとして構成することができ、制御部402の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該コンピュータの記憶部404に格納しておき、当該コンピュータの中央演算処理装置(CPU)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0034】
Webプロトコル処理部4021は、ソルフェージュ学習提供サーバ10とのWeb通信を確立する機能を有する。即ち、Webプロトコル処理部4021は、Web通信部403を介してソルフェージュ学習提供サーバ10に対するアクセス機能として動作し、URLの引数情報のような形式等で学習条件の情報やテスト結果の情報等をソルフェージュ学習提供サーバ10に送信する機能を有する。尚、Webプロトコル処理部4021は、ソルフェージュ学習提供サーバ10とのWeb通信で当該利用者Uの認証処理を含む。
【0035】
表示画面制御部4022は、Webプロトコル処理部4021と協動して、前述したようにソルフェージュ学習提供サーバ10から提示された、「学習内容選択画面」(図7参照)と、「学習条件入力画面」(図8参照)と、「学習データ再生中画面」(図9参照)と、「学習データ再生後演奏画面」(図10参照)と、「新曲視唱学習画面」(図11参照)と、「評価結果画面」(図12参照)とを利用者端末40の表示装置40fに表示して、画面上で選択された各項目をソルフェージュ学習提供サーバ10に通知する機能を有する。
【0036】
入力音符画像データ変換部4023は、イメージスキャナ40bから取得した譜面等の画像データを取得して予め定めたコードに変換し、Webプロトコル処理部4021を介してソルフェージュ学習提供サーバ10に送出させる機能を有する。ただし、画像データを直接ソルフェージュ学習提供サーバ10に送出するように構成する場合には、入力音符画像データ変換部4023を必ずしも設ける必要はなく、ソルフェージュ学習提供サーバ10が画像データを解析するように構成してもよい。
【0037】
入力音声データ変換部4024は、マイク40aから取得した音声データを取得して予め定めたコードに変換し、Webプロトコル処理部4021を介してソルフェージュ学習提供サーバ10に送出させる機能を有する。ただし、音声データを直接ソルフェージュ学習提供サーバ10に送出するように構成する場合には、入力音声データ変換部4024を必ずしも設ける必要はなく、ソルフェージュ学習提供サーバ10が音声データを解析するように構成してもよい。
【0038】
出力データ生成部4025は、出力IF405を介してデータ出力用の周辺機器にデータを出力する機能を有する。
【0039】
(講師端末)
図4は、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおける講師端末の概略図である。本実施例の講師端末50は、データ入力用の周辺機器(キーボード50dやマウス50e等)からデータを入力する入力IF501と、制御部502と、記憶部503と、Web通信部504と、データ出力用の周辺機器(表示装置50f)にデータを出力する出力IF505とを備える。制御部502は、Webプロトコル処理部5021と、表示画面制御部5022と、出力データ生成部5023とを備える。
【0040】
尚、本発明に係る制御部502の各機能を説明するが、講師端末50が他の機能を排除することを意図したものではないことに留意する。講師端末50は、コンピュータとして構成することができ、制御部502の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該コンピュータの記憶部503に格納しておき、当該コンピュータの中央演算処理装置(CPU)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0041】
Webプロトコル処理部5021は、ソルフェージュ学習提供サーバ10とのWeb通信を確立する機能を有する。即ち、Webプロトコル処理部4021は、Web通信部504を介してソルフェージュ学習提供サーバ10に対するアクセス機能として動作し、URLの引数情報のような形式等で学習条件の情報を取得または送信する機能、及びテスト結果の情報等をソルフェージュ学習提供サーバ10から取得する機能を有する。尚、Webプロトコル処理部5021は、ソルフェージュ学習提供サーバ10とのWeb通信で当該講師Kの認証処理を含む。
【0042】
表示画面制御部5022は、Webプロトコル処理部5021と協動して、前述したようにソルフェージュ学習提供サーバ10から提示された、「学習条件入力画面」(図8参照)と、「評価結果画面」(図12参照)とを講師端末50の表示装置50fに表示して、画面上で選択された各項目をソルフェージュ学習提供サーバ10に通知する機能を有する。
【0043】
出力データ生成部5023は、出力IF505を介してデータ出力用の周辺機器にデータを出力する機能を有する。
【0044】
次に、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムの動作について説明する。
【0045】
(システム動作)
図5は、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムの動作フロー図である。まず、利用者Uは、利用者端末40を操作してソルフェージュ学習システムに係るプログラムを起動する(ステップS1)。このプログラム起動により、利用者端末40では、Webプロトコル処理部4021により、ソルフェージュ学習提供サーバ10とのWeb通信を確立し、利用者Uの認証処理を実行する。認証に成功した後、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、表示画面制御部1015によって、「学習内容表示画面」を利用者端末40に表示させる(ステップS2)。
【0046】
利用者Uは、利用者端末40を操作して「学習内容表示画面」を参照して、音楽理論学習、聴音学習、記憶演奏学習及び新曲視唱学習のうちのいずれかを選択し、利用者端末40は、Webプロトコル処理部4021により、選択された学習内容を通知する(ステップS3)。
【0047】
ソルフェージュ学習提供サーバ10は、利用者Uによって選択された学習内容に応じて、表示画面制御部1015によって、「学習条件入力画面」を利用者端末40に表示させる(ステップS4)。尚、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、講師端末50に対して、学習条件入力画面を表示させることも可能である。
【0048】
利用者Uは、利用者端末40を操作して「学習条件入力画面」を参照して、学習条件の情報(本例では、予め個定数のジャンル、リズム、調拍子の情報が選択可能であるとする)を選択し、利用者端末40は、Webプロトコル処理部4021により、選択された学習条件の情報を通知する(ステップS5)。尚、講師Kは、講師端末50を操作して「学習条件入力画面」を参照して、学習条件の情報(同様に、予め個定数のジャンル、リズム、調拍子の情報が選択可能とする)を選択し、講師端末50は、Webプロトコル処理部5021により、選択された学習条件の情報を通知することができる(ステップS6)。
【0049】
ソルフェージュ学習提供サーバ10は、利用者U及び/又は講師Kによって選択された学習条件と、学習者である利用者Uの情報を基に、学習レベルスケジュール制御部1014によって、学習者別学習レベルデータベース105を探索して、当該利用者Uの学習レベルを特定する(ステップS7)。尚、利用者U及び講師Kの双方によって選択された学習条件がある場合には、講師Kの学習条件の情報が優先される。
【0050】
続いて、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、特定した学習レベルと設定された学習条件を基に、学習データ作成部1013によって、学習データ格納データベース106に記憶保持される基準データを1つ以上取り出して学習データとして生成するか、又は学習内容が、“音楽理論学習”である場合には、楽典データ格納データベース104から楽典データを予め定めた順に読み出して学習データを生成する(ステップS8)。ここで、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、学習データ作成部1013によって、各々が複数の音源の基準データからなる音源グループから予め定めたポリシに従って異なる音源グループから個別に基準データを抽出し、調が異なる場合には移調して1つの曲として構成して学習データを作成する。
【0051】
続いて、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、生成した学習データに対応するテスト出題画面(例えば、「学習データ再生中画面」、「学習データ再生後演奏画面」、「新曲視唱学習画面」等)を、表示画面制御部1015によって利用者端末40に表示させる(ステップS9)。
【0052】
利用者Uは、利用者端末40を操作してテストを実行し、利用者端末40は、Webプロトコル処理部4021により、テスト結果の情報をそのレスポンスとしてソルフェージュ学習提供サーバ10に通知する(ステップS10)。ソルフェージュ学習提供サーバ10は、通知されたテスト結果の情報をWebプロトコル処理部1021の機能として講師端末50に転送し、講師端末50上に表示するように構成することが可能である(ステップS13)。
【0053】
ソルフェージュ学習提供サーバ10は、Webプロトコル処理部1021の機能として通知されたテスト結果の情報を取得すると(ステップS12)、制御部101の機能によって、学習内容に応じたテスト結果の評価を実行する(ステップS13)。
【0054】
続いて、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、表示画面制御部1015によって、学習内容に応じたテスト結果の評価として「学習条件入力画面」を利用者端末40や講師端末50に表示又はプリンタで出力させる(ステップS14)。
【0055】
利用者端末40は、Webプロトコル処理部4021によって「学習条件入力画面」を取得し、表示画面制御部4022により表示する(ステップS15)。また、講師端末50は、Webプロトコル処理部5021によって「学習条件入力画面」を取得し、表示画面制御部5022により表示することが可能である(ステップS16)。
【0056】
最終的に、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、学習レベルスケジュール制御部1014によって、各評価結果について予め定めた基準に従って更新した内容を学習者別学習レベルデータベース105に記憶する(ステップS17)。
【0057】
図6は、本発明による一実施例のソルフェージュ学習システムにおけるソルフェージュ学習提供サーバの動作フロー図である。まず、利用者Uは、利用者端末40を操作してソルフェージュ学習システムに係るプログラムを起動する(ステップS21)。このプログラム起動により、利用者端末40では、Webプロトコル処理部4021により、ソルフェージュ学習提供サーバ10とのWeb通信を確立し、利用者Uの認証処理を実行する。認証に成功した後、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、表示画面制御部1015によって、「学習内容表示画面」を利用者端末40に表示させる(ステップS22)。
【0058】
ソルフェージュ学習提供サーバ10は、所定時間、利用者Uによる「学習内容表示画面」における学習内容の選択入力を待つ(ステップS23)。音楽理論学習が選択された場合にはステップS24に進み、聴音学習が選択された場合にはステップS31に進み、記憶演奏学習が選択された場合にはステップS38に進み、新曲視唱学習が選択された場合にはステップS46に進む。
【0059】
音楽理論学習が選択された場合、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、音楽理論学習用の条件設定画面を表示して(ステップS25)、楽典データ格納データベース104から楽典データを予め定めた順に読み出して学習データを生成し、音楽理論テストを利用者端末40に提示する(ステップS26)。音楽理論テストでは、利用者Uによって択一回答され(ステップS27)、この択一回答を入力して(ステップS28)、テスト評価を実行する(ステップS29)。音楽理論学習の次のテストを実行する場合には(ステップS30)、再度ステップS25(又はステップS26)から開始し、音楽理論学習の次のテストを実行しない場合にはプログラムを終了する(ステップS53)。
【0060】
聴音学習が選択された場合、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、聴音学習用の条件設定画面を表示して(ステップS32)、学習データ格納データベース106から基準データを1以上読み出してランダム又は優先度を設けた所定の順序で規定したパターンで組み合わせて曲を構成することにより学習データを生成し、聴音テストとして利用者端末40を介して利用者Uに聴音させる(ステップS33)。聴音テストでは、利用者Uによって聴音された後、採譜され(ステップS34)、この聴音結果を入力して(ステップS35)、テスト評価を実行する(ステップS36)。聴音学習の次のテストを実行する場合には(ステップS37)、再度ステップS32(又はステップS33)から開始し、聴音学習の次のテストを実行しない場合にはプログラムを終了する(ステップS53)。
【0061】
記憶演奏学習が選択された場合、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、記憶演奏学習用の条件設定画面を表示して(ステップS39)、学習データ格納データベース106から基準データを1以上読み出してランダム又は優先度を設けた所定の順序で規定したパターンで組み合わせて曲を構成することにより学習データを生成し、記憶演奏テストとして利用者端末40を介して利用者Uにまず所定回数、記憶聴音させ(ステップS40,S41)、次いで利用者端末40を介して演奏させ(ステップS42)、このテスト結果を入力して(ステップS43)、テスト評価を実行する(ステップS44)。記憶演奏学習の次のテストを実行する場合には(ステップS45)、再度ステップS39(又はステップS40)から開始し、記憶演奏学習の次のテストを実行しない場合にはプログラムを終了する(ステップS53)。
【0062】
新曲視唱学習が選択された場合、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、新曲視唱学習用の条件設定画面を表示して(ステップS47)、学習データ格納データベース106から基準データを1以上読み出してランダム又は優先度を設けた所定の順序で規定したパターンで組み合わせて曲を構成することにより学習データを生成し、新曲視唱テストとして利用者端末40を介して利用者Uに譜面を提示する(ステップS48)。新曲視唱テストでは、利用者Uによって譜面にしたがって演奏又は歌唱された後(ステップS49)、この視唱結果を入力して(ステップS50)、テスト評価を実行する(ステップS51)。新曲視唱学習の次のテストを実行する場合には(ステップS52)、再度ステップS47(又はステップS48)から開始し、新曲視唱学習の次のテストを実行しない場合にはプログラムを終了する(ステップS53)。
【0063】
また、ステップS22の「学習内容選択画面」にて、ソルフェージュ学習提供サーバ10や講師による「オススメ」又は「お任せ」が設定される場合(図7参照)、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、講師が講師端末50を操作して設定した後、もしくは2回目の学習の際、当該「オススメ」又は「お任せ」の問題を実行させるためにソルフェージュ学習提供サーバ10によって学習条件入力画面(図8参照)の提示をスキップし、学習条件を自動的に提示し(ステップS26,S33,S40,S48のいずれかに進む)、利用者の回答を取得し、テスト評価し、次のテストを実行するという一連の処理を経た後、ステップS22の「学習内容選択画面」へ戻るように制御する。
【0064】
このように、本実施例のソルフェージュ学習システムによれば、従来技術では改善する余地があった学習データの作成効率の増大(基準データの組み合わせによる)、ソルフェージュの各科目について学習効果の高い学習データの提供及び自動採点や評価を提供することが可能となり、採点時間の短縮だけでなく、利用者によるソルフェージュ学習提供サーバ10へのアクセスをトリガとして、講師端末へも試験内容及び評価結果が伝えられるだけでなく、利用者及び講師の双方で学習条件設定が可能としたため、講師の直接指導による対面学習の利点を生かした、より効率的且つ効果的な自習学習が可能になる。
【0065】
つまり、これまでの音楽教室や講師は、所有している楽譜、問題集の中からそのまま出題するしかなかったが、ソルフェージュ学習提供サーバ10によれば、学習データを基準データから多様な学習データを生成することにより、講師又は学習者が選んだリズムや調、拍子といった条件を元に、その生徒(学習者)に適する問題を自動作成し、生徒に提示することができる。また、「聴音」、「記憶演奏」、「新曲視唱」の学習のために、必ずしも別々のデータを用意する必要がなくなり、1つのデータを応用して種々の学習データを作成できるので、当該システムにおける学習データの利用効率が向上するようになる。また、ソルフェージュ学習提供サーバ10によれば、ジャンルを問わず関連性のある学習データを作成して提示するため、学習者が要望するジャンルについて学習効果を高めることができる。
【0066】
通常の音楽教室であれば、膨大な資料と時間を費やすために、音楽教室に出向き直接指導を受けるという学習システムのみでは、つまり、従来技術のテキストやCDを用いるやり方では、市販されている問題集、または講師の用意した問題の中から宿題を出すしかなく、宿題の量とともに採点に時間がかかっていた。ソルフェージュ学習提供サーバ10によれば、学習者は、日々の学習ペースや学習到達具合が瞬時にわかり(図12参照)、通常の音楽教室によるレッスンと併用した場合でも、レッスン内での指導をより充実させることができるようになる。
【0067】
上述の実施例では、主に、パーソナルコンピュータを利用した利用者端末40を用いる例について説明したが、「聴音」の学習及び評価には、利用者端末40の代わりに、タッチパネル式のタブレット端末や周辺機器としてのグラフィックタブレットを用いることができ、予め規定した五線の画面に聴音結果を記述させ、ソルフェージュ学習提供サーバ10側で五線上の位置情報によって音符や音高を判別してコード化することができる。
【0068】
また、学習者がタブレット端末等を利用しない場合でも、イメージスキャナ40bやカメラ等を利用して、楽譜に記述した音符等の学習結果のテキストを画像データとして認識して、五線の認識後に五線上の位置情報によって音符や音高を判別してコード化することができるため、ソルフェージュ学習提供サーバ10にて自動採点するか、または講師端末50に転送して講師に採点させるように構成することもできる。
【0069】
また、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、「記憶演奏」及び「新曲視唱」の学習データを作成するために、一般的に学習者が苦手とされる音型などを含めた基準データを予め学習データ格納データベース106に備蓄しておくのが好適である。
【0070】
また、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、学習者の学習結果・内容により、或る分野(ジャンル)の学習において高採点が得られている場合や、その逆であまりに低採点となっている場合などでは、異なる分野の同様な学習を提示するように構成することで、学習者の適正を自動推定するように構成することもできる。
【0071】
また、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、例えば学習者の兄弟等で同一IDを利用した、なりすましログインを防ぐための機能を設けることもできる。例えば、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、制御部101の一機能として、学習レベル判定のテストを実施した上で、その学習レベルに合わせた問題を提示する際に、一定の基準を下回った場合それまでの上位レベルでの学習記録を廃棄し、下位レベルの基礎学習を再度学習しなければならないように構成する。これにより、例えば兄弟間でのID共有ができなくなり、なりすましログインを防ぐ手段として機能する。ただし、学習者の能力を高める目的で使用する限りにおいては、厳格になりすましログインを防ぐ必要はなく、学習者が順を追って学習している場合、その学習者がクリアできない下位レベルの学習内容については引き続き学習継続可能とし、部分的な復習については順次行なわれるようにするために、厳格に下位レベルに下げるように設定する必要はない。
【0072】
ソルフェージュ学習提供サーバ10は、利用者U又は講師Kが利用する端末に応じて、例えばタッチパネル式の端末、ペンタブレットやグラフィックタブレットを周辺機器として接続可能な端末、ネットワーク接続型の楽器、その他にネットワーク対応のゲーム機や携帯電話に応じて対応するテストを提示するように構成することもできる。
【0073】
タッチパネル式の端末を用いた場合、「聴音」や「記憶演奏」までその端末で行うことができる。また、「記憶演奏」は、音源からの音を学習者に聴かせ、一定の時間を設けた上で「鍵盤楽器」又は「打楽器」を端末上に表示させ「記憶演奏」させる。
【0074】
端末として通常のコンピュータを利用する場合、「聴音」は現行の楽譜に採譜し、これをイメージスキャナ40bにて取り込み画像データ(又はこの画像データをコード化したデータ)でソルフェージュ学習提供サーバ10に送信するか、または専用シートを提示されたペンタブレットやグラフィックタブレットを用いて採譜し、ソルフェージュ学習提供サーバ10に送信する。これは、Web画面を利用した通信で実現可能である。
【0075】
また「記憶演奏」は、ネットワーク接続型の楽器を利用することができる。また「視唱」では、ガイドとなる音声を流すことなく、ソルフェージュ学習提供サーバ10が提示する音、和音を元に、学習者が表示装置40f上に表示された楽譜通り歌唱し(又は演奏し)、この音声データを当該端末で受信してソルフェージュ学習提供サーバ10に送信することで実現することができる。
【0076】
講師端末50に関して、1回のレッスンの中で指導できることやレッスンの時間は限られているが、その中でどのように周辺知識を身につけさせるかというのが、講師にとっての最大の課題である。通常は、初心者から上級者に向けた学習教材を幅広くそろえることは困難であるが、本発明によれば、ソルフェージュ学習提供サーバ10に備蓄してある基準データをその学習者に合わせ選ぶことができ、これまで以上の指導を行なうことができるようになる。また、学習者へのテスト問題の選択方法は、生徒の年齢や学習状況をふまえ、所定の条件を絞り込むことや、学習者の音楽的な特徴により、ソルフェージュ学習提供サーバ10から提示された範囲をそのまま、又はソルフェージュ学習提供サーバ10から提示された中から選び学習者に提示するように構成することができる。
【0077】
これにより、講師は、レッスン以外に宿題の設定ができ、生徒の自発性に任せその学習ペースを見守ることや、現在学習していることに関する範囲に限定し自宅での予習復習を促すことなど、自宅学習においても従来技術よりもより細やかな対応ができるようになる。また、講師は、自宅学習のペースなどに合わせた宿題の設定が可能となり、対応する学習結果を確認できることにより、毎回のレッスン時にそのフォローを行うことができる。
【0078】
さらに、器楽等のレッスン時に、このソルフェージュ学習提供サーバ10を使いソルフェージュ等を直接指導することも可能である。
【0079】
講師は、その学習者に合わせて紙ベースの宿題を用意することができる。この手順としては、通常の宿題設定においてプリント出力を選択するだけである。また学習のテスト結果の提供は、学習者からイメージスキャナ40bを通じてソルフェージュ学習提供サーバ10に送信するか、講師が学習者から取得したテスト結果を、講師端末50に接続したイメージスキャナやカメラ(図示せず)を通じてソルフェージュ学習提供サーバ10に送信することで実現することもできる。ソルフェージュ学習提供サーバ10内の著作権保護の観点から一定数のみ宿題として出力制限するように構成することができる。
【0080】
利用者端末40に関して、講師の指導に合わせた範囲で自宅学習を行なうことや、定期的に少しずつ学習していくことができる。また、苦手箇所の学習も、同じテキストで行なう場合は先の書込みがあるがソルフェージュ学習提供サーバ10が、これまでに学習されていない問題を選ぶことにより効果的に学習させることができる。ソルフェージュ学習提供サーバ10との一方通行の学習を行なう場合には、学習者の「今必要なこと」、「苦手なこと」が客観的に評価できないこともあるため、講師、学習者、サーバの三者で構築されるのが望ましい。
【0081】
特に、「聴音」、「視唱」といった分野は、自宅での学習が困難なものであったが、本発明によれば、端末とネットワークを利用して遠隔地の学習者でも安定した学習が行えるようになる。また当該入力デバイスのある環境下での「記憶聴音」は、指定の回数までしかテスト結果の入力を受け付けることができないように構成することにより、自宅学習においても不正をせず効果的な学習が行なえるようになる。これまでも独学用のCD等は発売されてきたが、CD等の容量の問題や独学の難しさもあり効果的な学習方法とは言い切れなかったが、本発明によれば、学習者は、これまで以上の学習効果が期待できる。
【0082】
聴音の採譜に関して、ペンタブレットやタッチパネル等の端末を利用する場合、採譜は五線譜上の“線”又は“間”に「/」又は「○」などの略式化した書き方を採用し、演奏と演奏の間、もしくは最後の確認の時間に浄書できるようにするやり方がある。イメージスキャナ40b等で取り組んだ場合、略図化された楽譜の場合は、候補を画面上に表示させ、確認や修正ができるよう構成することができる。尚、聴音には、単なるリズム聴音も含まれる。
【0083】
視唱に関して、特に男声は、原曲のままでは音域が高すぎることがあるため移調が許される場合がある。本発明によれば、学習者の音域を設定可能に構成することができ、その音域に合わせソルフェージュ学習提供サーバ10が移調する。これにより、無理なく、多くの曲を学習することができる。またテンポは、ソルフェージュ学習提供サーバ10により指定されて歌う場合のほか、タッチパネル端末(グラフィックタブレット40c)を叩く、またはマウス40eをクリックする等で学習者が歌うテンポを刻みながら歌唱することで、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、テンポを把握することができる。通常の点数(評価)のみならず、自己評価をするため、学習者の歌唱音声を、ソルフェージュ学習提供サーバ10にある伴奏又はその主旋律と合わせ確認する。また、視唱は新曲視唱のみならず、例えば、コールユーブンゲンやコンコーネなどにも利用できる。この際、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、学習者にとってテスト結果から苦手なリズム型であると判別した場合には、リズム練習へと誘導する画面を提示することができ、学習者は効率的且つ総合的な学習ができるようになる。
【0084】
記憶演奏に関して、例えば、“記憶聴音”として、指定回数再生される曲を記憶する学習方法がある。本発明では、この記憶聴音をさらに進展させて、記憶させた後に演奏させる「記憶演奏」の学習を実現している。例えば、学習者は、指定回数再生される曲を記憶する過程を経てタッチパネル端末又はネットワーク対応楽器等で演奏する。また、リズムのみの記憶演奏の場合には、タッチパネル端末(グラフィックタブレット40c)を叩く、またはマウス40eをクリックする等でテストを実行することができる。これまでは、どのような環境下でも、学習者が目隠しや後ろを向いて記憶する必要がある。これは聴音でも同じことであるが、演奏者の指が見えては、その学習効果が低下してしまうためである。仮に対面したピアノ2台で片方に講師、もう片方に生徒がいて、生徒はピアノの鍵盤を見ることができるとすると学習効果は低下してしまう。ソルフェージュ学習提供サーバ10における記憶演奏は、利用者端末40から曲が指定の回数再生された後、鍵盤楽器や打楽器が表示させるため、学習効果を維持することができる。また教室、自宅以外の環境でも学習することができる。また記憶を必要としないリズム練習にも同様の技術が使われる。例えば、左右違うリズム音型を刻む学習や、右手で3連符、左手で4連符をとるリトミック要素のある学習などがある。
【0085】
楽典による音楽理論学習に関して、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、通常の問題集のように出題し、答えを取得するが、他の学習の評価結果で苦手と判断される学習条件に基づく問題を重点的に学習させるように出題させるように優先度を設けることができ、またテキストではわかりにくい用語や学習内容の解説を動画で説明するように構成することもできる。これまで線でつなぐように出題していた問題も、ドラッグしグループ分けを行なうことができるため感覚的にも学習ができる。特に音程関係、転回音程の学習はこのように構成することにより、より判りやすくなるといえる。感覚的な学習が行なえるため、音大受験生はもちろん、幼児教育にも利用でき、1つのシステムで幅広い学習者を指導することができる。
【0086】
また、講師は、学習者の学習内容や、学習者のテスト結果を講師端末50で確認することができ、学習者のレッスン内容等に合わせ宿題を条件設定することができる。
【0087】
また、ソルフェージュ学習提供サーバ10は、学習者の苦手な範囲や、講師の指定した範囲から最適な問題を学習者に提示し、採点・解説を行なうように構成することができ、どの場合においても、利用者端末40は、携帯電話やポータブルゲーム機などであってもネットワークに対応するものであれば可能である。
【0088】
このように、本発明によれば、タブレット端末等を利用して、ソルフェージュ学習提供サーバ10に備蓄した基準データを複数種の学習で利用することができ、オンラインでライブ中継により行われる学習システムとしても構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
従来技術では、講師はこれまで限られた資料の中で時間的制約を受けながら補助教材の指導を行なわなければならなかったが、本発明に係るソルフェージュ学習システムでは、音楽教室等で学習する学習者の予習・復習のためのシステムとして利用でき、講師を必要とする学習のシステム化、及び採点の自動化により、無駄な時間を省<とともに、効果的な学習を自宅や教室内で行なうことができる。また独学者にとっても、本発明に係るソルフェージュ学習システムを利用することにより、ソルフェージュ学習提供サーバが、学習者の苦手な音型や調などを評価結果に基づき判断し、他のジャンルの関連する学習も提示することから、学習者は総合的に学習できるようになる。従って、本発明に係るソルフェージュ学習システムは、レッスン内での直接指導、学習者の予習復習、音高・音大の入試や定期試験の実施および自習や補講的な役割、教員・幼稚園教諭採用試験に向けた短期間での試験対策などの幅広い用途に有用である。
【符号の説明】
【0090】
10 ソルフェージュ学習提供サーバ
20 ネットワーク対応楽器
30 タブレット端末
40 利用者端末
40a マイク
40b イメージスキャナ
40c グラフィックタブレット
40d キーボード
40e マウス
40f 表示装置
40g 音声出力装置
40h プリンタ
50 講師端末
50f 表示装置
101 制御部
102 記憶部
103 Web通信部
104 楽典データ格納データベース
105 学習者別学習レベルデータベース
106 学習データ格納データベース
401 入力IF
402 制御部
403 Web通信部
404 記憶部
405 出力IF
501 入力IF
502 制御部
503 記憶部
504 Web通信部
505 出力IF
1011 Webプロトコル処理部
1012 学習条件設定部
1013 学習データ作成部
1014 学習レベルスケジュール制御部
1015 表示画面制御部
1016 聴音学習評価部
1017 記憶演奏学習評価部
1018 新曲視唱学習評価部
4021 Webプロトコル処理部
4022 表示画面制御部
4023 入力音符画像データ変換部
4024 入力音声データ変換部
4025 出力データ生成部
5021 Webプロトコル処理部
5022 表示画面制御部
5023 出力データ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続された利用者端末に対してソルフェージュの科目別の学習データに基づくテストを実施させ、当該テストの結果を自動評価するソルフェージュ学習システムであって、
当該利用者端末の利用者によって学習されるソルフェージュの科目別の学習データを作成して前記利用者端末に提示するとともに、前記利用者端末から得られる当該学習データの回答に対する自動評価を行なうソルフェージュ学習提供サーバと、
前記ソルフェージュの科目別の学習データに関して、前記ソルフェージュ学習提供サーバを介して前記利用者端末から得られる当該学習データの回答及び前記評価の結果を取得する講師端末とを備え、
前記利用者端末は、前記ソルフェージュの科目別の学習データの選択に関する所定の学習条件を前記ソルフェージュ学習提供サーバに送信する通信手段を有し、
前記講師端末は、前記利用者端末が送信する学習条件よりも優先的に適用される学習条件を前記ソルフェージュ学習提供サーバに送信する通信手段を有し、
前記ソルフェージュ学習提供サーバは、
前記利用者の情報に基づいて、学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される学習者別の学習レベルの情報から当該利用者の学習レベルを特定するとともに、学習データ格納データベースに記憶保持される学習用の基準データを1つ以上取り出して、前記特定した学習レベルに対応する学習データを作成する学習データ作成部と、
前記評価の結果に基づいて、前記学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される当該利用者の学習レベルを更新する学習レベルスケジュール制御部と、
を備えることを特徴とする、ソルフェージュ学習システム。
【請求項2】
ネットワーク接続された利用者端末に対して学習されるソルフェージュの科目の学習データを生成し、生成した学習データに基づくテストを実施させ、当該テストの結果を自動評価するソルフェージュ学習提供サーバであって、
前記利用者の情報に基づいて、学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される学習者別の学習レベルの情報から当該利用者の学習レベルを特定するとともに、学習データ格納データベースに記憶保持される学習用の基準データを1つ以上取り出して、前記特定した学習レベルに対応する学習データを作成する学習データ作成部と、
前記評価の結果に基づいて、前記学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される当該利用者の学習レベルを更新する学習レベルスケジュール制御部と、
を備えることを特徴とする、ソルフェージュ学習提供サーバ。
【請求項3】
ネットワーク接続された利用者端末に対して学習されるソルフェージュの科目の学習データを生成し、生成した学習データに基づくテストを実施させ、当該テストの結果を自動評価するソルフェージュ学習提供サーバとして構成するコンピュータに、
前記利用者の情報に基づいて、学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される学習者別の学習レベルの情報から当該利用者の学習レベルを特定するとともに、学習データ格納データベースに記憶保持される学習用の基準データを1つ以上取り出して、前記特定した学習レベルに対応する学習データを作成するステップと、
前記評価の結果に基づいて、前記学習者別学習レベルデータベースに記憶保持される当該利用者の学習レベルを更新するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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