説明

ソーラシミュレータ

【課題】従来の問題とされていた品質の低下を回避し得るソーラシミュレータを提供すること。
【解決手段】ソーラシミュレータ(1)は、太陽光に近似した光を照射するランプ(11)と、ランプの光の通過を許し、光についての調光を行うための調光円板(30)と、調光された光を受け入れ、これを平行光にするためのレンズ(14)と、平行光を受け、これを対象物に向けて反射させるための反射板(15)とを備えることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソーラシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調光はランプに加える電力や電流を減らして発光量を減らしていた。ランプに加える電力や電流を減らして調光するとスペクトル分布が変わってしまうためソーラシミュレータとしての品質が落ちるという問題がある。同じく、後記特許文献1(特開平11−102665)に示すように陽光柱が細くなるためにランプ内の希ガス対流によって、アークゆらぎが大きくなり、光リップルが増えてソーラシミュレータとしての品質が落ちるという問題がある。
【特許文献1】特開平11−102665公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明目的は、前記した従来の問題である品質の低下を回避し得るソーラシミュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(請求項1に記載の発明の特徴)
請求項1に記載の発明は、ソーラシミュレータに係り、太陽光に近似した光を照射するランプと、該ランプの光の通過を許し、該光についての調光を行うための調光板と、調光された光を受け入れ、これを平行光にするためのレンズと、前記平行光を受け、これを対象物に向けて反射させるための反射板とを備えることを特徴とする。
【0005】
請求項1に記載の発明によれば、ランプから照射された太陽光に近似の光について、これを前記調光板に通して調光、より具体的には光量を調整し、調光された光を前記レンズに通して平行光とすることにより、平行で平均で均一な面照度を持つ光、すなわちスペクトル分布にほとんど変化のない擬似太陽光を得ることができる。この光は、反射板により対象物に向けて反射させることができる。その結果、ソーラシミュレータについて、従来に比べて、品質低下がほとんどないものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0007】
ランプ11は、電気のエネルギーを光に変換するランプである。この例におけるランプ11は、例えばキセノンのような希ガスと2個の電極11p,11nを石英ガラスで封入した放電灯を用いている。2個の電極11p,11n間に電気のエネルギーを加えると2個の電極11p,11n間にアーク放電が発生して、太陽光のスペクトルに近似した光を周囲に放射する。ランプ11の放射する光量は2個の電極11p,11n間に加える電気のエネルギーに比例する。すなわち、電気のエネルギーを多く加えれば光量は増え、電気のエネルギーを絞れば光量は減る。ランプ11は、後述する集光鏡12の焦点軸の上に設置されている。
【0008】
集光鏡12は、ランプ11が自らの周囲に放射した光を集光して図1に示すレンズ14に導く機能を持つ。この例における集光鏡12は、半球型の外形を持ち、球の内面に光学的反射物質を蒸着したガラスで構成されている。集光鏡12は、レンズ14に、集光した放射光13を照射する位置に設置されている。放射光13は、ランプ11が放射して、集光鏡12が集光した光である。
【0009】
レンズ14は、入射する放射光13を光学的に整えて、後述する反射板15に導く機能を持つ。光学的に整えるとは具体的に説明すると2つある。放射光13は、図1に示すように逆円錐の形状で入射角をもってレンズ14に入射する、この入射角を持った光を平行光に変換することが1つ目の整えである。2つめは、放射光13は、後述する調光円板30のスリット34を通過してレンズ14に入射する際にスリット34の形状に変形される。この変形された形状を平均で均一な面照度に整えて反射板15に導くことである。レンズ14は、例えばロッドレンズ、フライアイレンズという名称で呼ばれる光学素材で構成されている。
【0010】
反射板15は、レンズ14から放出される平行で平均で均一な面照度を持つ光を図1には図示していない対象物に導く機能を持つ。この例における反射板15は、平板の外形を持ち、光が照射される面に光学的反射物質を蒸着したガラスで構成されている。
【0011】
調整光16は、ランプ11より放射され、集光鏡12で集光され、調光円板30で光量を調光され、シャッター円板40でシャッターの開閉をされ、レンズ14で光学的に整えられて、反射板15で対象物に導かれた光である。
【0012】
調光円板30は、放射光13を減じることによって調光を行う機能を持つ。調光円板30は、集光鏡12とレンズ14の間に存在しており、放射光13はこれを通過する。放射光13は円板に刻み込まれたスリット34の幅の広い、狭いによって、光量を減じられる。この例における調光円板30は金属の円板にスリット34を加工した形状を持つ。
【0013】
調光モータ31は、調光円板30を図2のAR1またはAR2方向に回転させる機能を持つ。調光モータ31は、1chipCPU(図示せず)に制御されたモータドライバ(図示せず)より駆動される。調光モータ31の回転軸には調光円板30と初期位置検出円板32が取り付けられており、回転軸の回転により両円板30,32は同じ回転角だけ回転を行う。この例における調光モータ31はパルスモータまたは、ステッピングモータという名称で呼ばれるモータであり、前記1chipCPUが制御するモータドライバにより加えられた電気信号で定められた回転方向と、定められた回転角に回転する。すなわち、調光モータ31により調光円板30と初期位置検出円板32は、定められた回転方向と、定められた回転角に連動する。
【0014】
初期位置検出円板32は、後述する調光センサ33と協働して、調光モータ31の回転軸の初期位置を検出する機能を持つ。初期位置検出円板32は、調光モータ31の回転軸に取り付けられていて、回転軸の回転に連動する。初期位置検出円板32には、図3に示すように円板の外周には「切りかけ」が加工されており、この「切りかけ」が、回転によって調光センサ33を通過することで、調光モータ31の回転軸の初期位置を検出する。
【0015】
調光センサ33は、初期位置検出円板32と協働して、調光モータ31の回転軸の初期位置を検出する機能を持つ。この例における調光センサ33は、凹型の外形を持ち、凹の間を光が通過するか否かをもってON-OFF信号とし、後述する1chipCPUにそれを通知する。調光センサ33は、調光モータ31の回転によって、調光センサ33の凹の位置に初期位置検出円板32の外周の「切りかけ」が来ると、それを検出する。
【0016】
スリット34は、放射光13を減じてレンズ14に導くことによって調光を行う機能を持つ。この例におけるスリット34は、図2に示すような調光円板30に加工された穴であり、その形状は円板の回転角度によって穴の幅が増減するものである。すなわち、放射光13が、スリット34を通過する際に、どの箇所を通過するかで光量の減じかたが変わる。
【0017】
シャッター円板40は、放射光13を通過、もしくは遮蔽することによってシャッター機能を行う。シャッター円板40は、集光鏡12とレンズ14の間に存在しており、放射光13はこれを通過する。この例におけるシャッター円板40は、円周上のレンズ14と重なる位置に4つの開口部44が90度づつの角度を持って加工されている。シャッター円板40は、シャッターモータ41の回転軸に取り付けられており、シャッターモータ41の回転によってレンズ14と重なる位置に開口部44を移動する。
【0018】
シャッターモータ41は、シャッター円板40を図2のAR3方向に回転させる機能を持つ。シャッターモータ41は、前記1chipCPUに制御されたモータドライバ(図示せず)より駆動される。シャッターモータ41の回転軸にはシャッター円板40と初期位置検出円板42が取り付けられており、回転軸の回転により両円板は同じ回転角だけ回転を行う。この例におけるシャッターモータ41はパルスモータまたは、ステッピングモータという名称で呼ばれるモータであり、前記1chipCPUが制御するモータドライバにより加えられた電気信号で定められた回転角に回転する。すなわち、シャッターモータ41によりシャッター円板40と初期位置検出円板42は、定められた回転角に回転する。
【0019】
初期位置検出円板42は、後述するシャッターセンサ43と協働して、シャッターモータ41の回転軸の初期位置を検出する機能を持つ。初期位置検出円板42は、シャッターモータ41の回転軸に取り付けられていて、回転軸の回転に連動する。初期位置検出円板42には、図3に示すように円板の外周に「切りかけ」が加工されており、この「切りかけ」が、回転によってシャッターセンサ43を通過することで、シャッターモータ41の回転軸の初期位置を検出する。
【0020】
シャッターセンサ43は、初期位置検出円板42と協働して、シャッターモータ41の回転軸の初期位置を検出する機能を持つ。この例におけるシャッターセンサ43は、凹型の外形を持ち、凹の間を光が通過するか否かをもってON-OFF信号とし、前記1chipCPUにそれを通知する。シャッターセンサ43は、シャッターモータ41の回転によって、シャッターセンサ43の凹の位置に初期位置検出円板42の外周の「切りかけ」が来ると、それを検出する。
【0021】
開口部44は、放射光13を通過させレンズ14に導くことによってシャッター機能を行う。この例における開口部44は、図2に示すようなシャッター円板40に加工された90度ずつ離れた4つの穴であり、その形状は、レンズ14と同一か、大きい。開口部44は、シャッター円板40の回転によって移動し、開口部44が、レンズ14に重なればシャッター開となり、重ならなければシャッター閉となる。
【0022】
前記1chipCPUは、内部に制御と演算を行うCPUと、記憶を行うROM、RAMと、入出力を行うI/Oポートを備えた電子部品である。この例における1chipCPUは、ソーラシミュレータ1を制御するプログラムをROMに記憶して、CPUは、そのプログラムを読み出して実行する。その際、CPUは、RAM上に制御や演算のワークエリアを展開する。
【0023】
ランプドライバ(図示せず)は、ランプ11を駆動する電子部品である。この例におけるランプ11は、例えばキセノンのような希ガスと2個の電極11p,11nを石英ガラスで封入した放電灯である。ランプドライバは、前記1chipCPUからの点灯命令により放電開始の高電圧を発生してランプ11が備える2個の電極11p,11nに加える。そして、放電が開始した後はランプ11の電気的定格に従った駆動を行うと共に前記1chipCPUに点灯成功を表す信号を送る。
【0024】
シャッタースイッチ、UPスイッチ、DOWNスイッチ(図示せず)は、利用者がソーラシミュレータ1に指示を行う操作スイッチであり、スイッチを押すと前記1chipCPUに「スイッチが押された」ことを表す信号を送る。それぞれのスイッチは、シャッターの開閉、光量のUP、光量のDOWNの意味を持つ。この例におけるそれぞれのスイッチは、押しボタンスイッチである。
【0025】
前記モータドライバは、調光モータ31を駆動し、前記モータドライバは、シャッターモータ41を駆動する電気部品である。前記モータドライバは、前記1chipCPUの制御によって調光モータ31、およびシャッターモータ41を指定した回転方向に、指定した角度だけ駆動する。表示ドライバ(図示せず)は、前記1chipCPUの制御によって、後述する表示器を駆動する電気部品である。
【0026】
表示器(図示せず)は、利用者にソーラシミュレータの情報を表示する機能を持つ電気部品である。この例における表示器は7セグメントのLED表示器を用いている。表示器は、表示ドライバによって駆動され、利用者に例えば「ランプ運転時間」や「絞り値」などを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ソーラシミュレータの内部の機械機構と光学機構を示した図である。
【図2】図1のA側よりソーラシミュレータの構成を見た図である。
【図3】図1のB側よりソーラシミュレータの構成を見た図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ソーラシミュレータ
11 ランプ
11p 陽極
11n 陰極
12 集光鏡
13 放射光
14 レンズ
15 反射板
16 調整光
30 調光円板
31 調光モータ
32 初期位置検出円板
33 調光センサ
34 スリット
40 シャッター円板
41 シャッターモータ
42 初期位置検出円板
43 シャッターセンサ
44 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光に近似した光を照射するランプと、
前記ランプの光の通過を許し、該光についての調光を行うための調光円板と、
調光された光を受け入れ、これを平行光にするためのレンズと、
前記平行光を受け、これを対象物に向けて反射させるための反射板とを備える、
ことを特徴とする、ソーラシミュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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